説明

コンベア用ガイド、並びに、伸縮コンベア

【課題】本発明は、コンベアの搬送路の形状に併せて伸縮させることができ、搬送物の落下を防止することができるコンベア用ガイドを提供することを課題とする。
【解決手段】帯または線状のガイド部材21と、ガイド部材21をコンベアの搬送路3の側方で支持する支持手段22と、ガイド部材21を巻き取る巻取軸31と、巻取軸31をガイド部材21の巻取方向に回転させてガイド部材21を巻取軸31に巻き取らせる付勢手段とを備えることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮コンベアの搬送路から搬送物が落下するのを防止するコンベア用ガイド、並びに、このコンベア用ガイドが装着された伸縮用コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、用途に合わせて搬送路の距離を調整することができる伸縮コンベアが知られている。伸縮コンベアは、隣接するローラの間隔を変更することにより搬送路の距離を調整することができる。また伸縮コンベアは、搬送方向に対して左右のローラ間の距離を変更することにより搬送路を曲げることも可能である。
例えば下記の特許文献1では、構成部品の数がすくなく、かつ構造が簡単な伸縮コンベアが開示されている。
【特許文献1】特開2002−240915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし従来の伸縮コンベアには、搬送路から搬送物が落下するのを防止するための手段が設けられていなかった。そのため搬送物がコーナーを通過するときなど、搬送物が搬送路から落下しやすいという弊害があった。
この弊害を解消するため従来は、コーナーの外側を内側よりも高くして傾斜をつけることにより、搬送路の外周側に搬送物が落下するのを防止していた。けれどもこの場合であっても、搬送物の重心が高いと搬送物が転倒しやすく、作業者は搬送物を支えながら搬送作業を行う必要があった。
そこで本発明は、コンベアの搬送路の形状に併せて伸縮させることができ、搬送物の落下を防止することができるコンベア用ガイドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、帯または線状のガイド部材と、ガイド部材をコンベアの搬送路の側方で支持する支持手段と、ガイド部材を巻き取る巻取軸と、巻取軸をガイド部材の巻取方向に回転させてガイド部材を巻取軸に巻き取らせる付勢手段とを備えることを特徴とした。
【0005】
これにより取り付けられるコンベア搬送路の長さに応じてガイド部材の長さを容易に変えることができる。コンベアに取り付けられたガイド部材には、付勢手段によって巻取方向に付勢力が加わっており一定以上の張力が維持される。そのため搬送物がコンベアの搬送路から逸れるのを防止することができる。また、ガイド部材によって搬送物の落下を防止することができるので、従来の伸縮コンベアのように、コーナーの外側を内側よりも高くして傾斜をつける必要もない。そのため請求項1の伸縮コンベアは、搬送物の重心が高い場合であっても、コーナー部分で搬送物が転倒するのを防止することができる。
【0006】
また伸縮コンベアに請求項1のコンベア用ガイドを取り付けると、伸縮コンベアの伸縮に合わせてガイド部材を伸縮させることができる。このときガイド部材がたるむことによる伸縮コンベアへの巻き付きや引っかかりも防止される。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ガイド部材を引き出す速度または加速度が増加すると、ガイド部材がロックされるロック機構を有することを特徴とした。
【0008】
搬送物がコンベアの搬送路から逸れると、搬送物は搬送路の側方に配置されたガイド部材に接触する。搬送物がガイド部材を押す力が、付勢手段による付勢力を超えるとガイド部材は搬送物により引き出される。搬送物が搬送路から落下し始めると、搬送物によって引き出されるガイド部材の速度または加速度が大きくなる。
【0009】
請求項2のコンベア用ガイドは、ガイド部材を引き出す速度または加速度が増加すると、ガイド部材がロックされるため、搬送物がコンベアの搬送路から落下するのを防止することができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、ガイド部材を引き出す速度または加速度が増加すると、ガイド部材の巻き取りを開始する巻取機構を有することを特徴とした。
【0011】
これにより、ガイド部材の引き出しが防止されるので、搬送物がコンベアの搬送路から落下するのを防止することができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、支持手段が、ガイド部材の端部に固定される固定支持部と、巻取軸と固定支持部との間に配置される中継支持部とを備えることを特徴とした。
【0013】
これにより、コンベア用ガイドが取り付けられるコンベアの搬送路の形状が曲線状であっても、ガイド部材を搬送路に沿って配置させることができる。
【0014】
請求項5の発明は、一定の力が加えると搬送路の長さを縮めることができる伸縮コンベアに取り付けられる請求項1〜4のいずれかに記載のコンベア用ガイドであって、巻取軸をガイド部材の巻取方向に回転させる付勢手段の力が、伸縮コンベアの搬送路を縮める力よりも小さいことを特徴とした。
【0015】
これにより、請求項5のコンベア用ガイドを伸縮コンベアに装着させた場合であっても、ガイド部材を巻き取る付勢手段の付勢力によって、伸縮コンベアの搬送路が縮むおそれがない。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかのコンベア用ガイドが装着されていることを特徴とする伸縮コンベアとした。
【0017】
これにより、伸縮コンベアの搬送路の伸縮に合わせてガイド部分を伸縮させることができ、伸縮コンベアの搬送路から搬送物が落下するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、コンベアの搬送路の形状に併せて伸縮させることができ、コンベアの搬送路から搬送物が落下するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態である伸縮コンベアについて図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る伸縮コンベアの斜視図である。図1に示すように、本実施形態の伸縮コンベア1は、伸縮コンベア本体2の搬送路3の側方にコンベア用ガイド5が取り付けられている。
【0020】
図1に示すように、伸縮コンベア本体2は、搬送ローラ6、支持フレーム7及び伸縮サイドフレーム12を備える。本実施形態の伸縮コンベア本体2において搬送ローラ6には、フリーローラが用いられる。フリーローラは、閉塞部材により両端部が閉塞された中空の金属製筒体であり、筒体の両端からは固定軸が突出している。そして閉塞部材の内側に装着された軸受を介して筒体を固定軸に対して自由に相対回転させることができる。
【0021】
本実施形態の支持フレーム7は、縦フレーム8と横フレーム9とを備え、平行に配された二本の縦フレーム8の間に横フレーム9が横架されて構成される。また縦フレーム8は伸縮可能な構造であり、下端部にはキャスタ10が取り付けられている。
【0022】
図2(a)〜(c)に示すように伸縮サイドフレーム12は、パンタグラフ構造のリンク機構であり、複数のリンク単位13からなる。図2(c)に示すようにリンク単位13は、長さの等しい二本のリンク材15,16がX字状に連結された部材である。リンク単位13は、二本のリンク材15,16が中心ピン17によって連結され、一定以上の力が加わった場合にのみ回動させることができる。そして複数のリンク単位13が横一列に並べられ、隣り合うリンク単位13の上端同士および下端同士がそれぞれ上端ピン18および下端ピン19で連結され、長尺状の伸縮サイドフレーム12が構成されている。このような構成であるため伸縮サイドフレーム12は、リンク材15,16を回動させて、長尺方向にその長さを伸縮させることができる。なお上端ピン18および下端ピン19における連結も中心ピン17と同様に、一定以上の力が加わった場合にのみリンク材15,16を回動させることができる。
なお、本発明におけるサイドフレーム12は上記構成に限られるわけではなく、長尺方向にその長さを伸縮できる構成のものであればよい。
【0023】
図1および図2に示すように、本実施形態の伸縮コンベア1では、支持フレーム7,7’が対向するように配置されている。支持フレーム7,7’間には、二本の伸縮サイドフレーム12,12’が平行に対向するように横架されている。伸縮サイドフレーム12,12’は、支持フレーム7,7’の縦フレーム8に取り付けられている。そして平行に配された二本の伸縮サイドフレーム12,12’間には、複数の搬送ローラ6が横架されている。
【0024】
このとき搬送ローラ6は、図2(c)に示すように伸縮サイドフレーム12,12’の上端ピン18によって軸支される。そして伸縮サイドフレーム12,12’に設置された複数の搬送ローラ6によって、伸縮コンベア本体2の搬送路3が形成される。そのため伸縮コンベア本体2は、図2(a)および(b)に示すように伸縮サイドフレーム12,12’を介して隣り合う搬送ローラ6の間隔を拡大または縮小させることにより、搬送路3の長さを伸縮させることができる。
【0025】
また伸縮コンベア本体2は、図3に示すように隣り合う搬送ローラ6の間隔を、搬送方向に対して左右において差を設けることにより、搬送路3を曲線状にすることもできる。加えて支持フレーム7の縦フレーム8が伸縮可能な構造であるため、搬送路3の高さを調節することも可能である。さらに縦フレーム8の下端部に取り付けられたキャスタ10によって伸縮コンベア本体2を容易に移動させることもできる。
【0026】
図4に示すように、本実施形態のコンベア用ガイド5は、ガイド部材21と支持手段22と巻取装置30とを備える。ガイド部材21は、帯状の合成繊維からなる。ガイド部材21は、取り付けられる伸縮コンベア本体2の搬送路3を最も長くした場合よりも長いものが用いられる。
【0027】
支持手段22は、ガイド部材21を所定の姿勢で支持するための部材であり、固定支持部23と、中継支持部25とで構成される。図4に示すように、固定支持部23および中継支持部25は、角柱状の棒材である。固定支持部23および中継支持部25のそれぞれの下方側面には、支持手段22をボルトで伸縮コンベア本体2に取り付けるための取付孔26が設けられている。
【0028】
また固定支持部23の上方側面には、ガイド部材21の一方の端部が挿入されて固定される挿入穴27が設けられている。一方、中継支持部25の上方の側面には、ガイド部材21が貫通される貫通孔28が設けられている。
【0029】
ガイド部21材は、一方の端部が固定支持部23の挿入穴27に挿入される。挿入穴27に挿入されたガイド部材21の端部は、図示しないボルトや接着剤等で固定支持部23に固定される。またガイド部材21の他方の端部には巻取装置30が取り付けられる。そして固定支持部23と巻取装置30の間には、複数の中継支持部25が配置される。このとき、ガイド部材21は、中継支持部25の貫通孔28を貫通しており、貫通孔28内を貫通方向に沿って自由に移動させることができる。
【0030】
本実施形態の巻取装置30は、ボルトによって伸縮コンベア本体2の支持フレーム7に取り付けられる。図5に示すように、巻取装置30のフレーム32は、両側部に一対の脚部33,35が互いに平行に延出されており、全体がコ字状に形成されている。これらの脚部33,35の間には、円筒状の巻取軸31が軸支されており、この巻取軸31にはガイド部材21の一方の端部が取り付けられている。
【0031】
巻取軸31の長手方向の一方の端部は、脚部33を貫通し外側に突出している。脚部33の外側には、ばねケース(図示せず)が取り付けられており、ばねケース内には、ストローク量に関係なくトルクが一定である定トルクばね(図示せず)が収容されている。脚部33の外側に突出した巻取軸の一方の端部には、この定トルクばねの内端が係止されており、定トルクばねの外端は、ばねケースに係止されている。これにより巻取軸22は、ガイド部材21の巻取方向に付勢回転され、ガイド部材21を層状に巻き取ることができる。
【0032】
巻取軸31の他方の端部は、脚部35の外側に突出しており、この突出部には放射方向に突出する矩形突出部38が形成されている。矩形突出部38の回りにはロック機構55が配置されている。ロック機構55は、ロックプレート40,41、内歯ギアホイル42およびロック輪51から構成されている。ロックプレート40,41は、矩形突出部38の回りに配置されている。内歯ギアホイル42は、ロックプレート40,41のさらに外側に配置され、脚部35に固定されている。
【0033】
ロックプレート40,41は、それぞれ中央に略U字状の切欠凹部43が形成されている。このためロックプレート40,41の全体形状は、略C字状となっている。この切欠凹部43は、巻取軸31の矩形突出部38が位置する。切欠凹部43の幅寸法は、矩形突出部38の幅寸法より若干大きく形成されており、巻取軸31がロックプレート40,41に対して所定角度だけ相対回転可能となっている。
【0034】
ロックプレート40,41の外周の一部には爪部45が形成されており、この爪部45は、内歯ギアホイル42のロック歯46と対向している。またロックプレート40,41からは、それぞれ一対のピン47,48が巻取軸の軸方向と平行に突出している。
【0035】
また巻取軸31の矩形突出部38には、支軸50が装着される。支軸50は、巻取軸31と同軸線上に配置され、巻取軸31と一体的に回転する。この支軸50には、ロック機構55を構成するロック輪51が相対回転可能に軸支されており、支軸50とロック輪51との間には、ねじりコイルばね52が取り付けられている。
【0036】
ロック輪51には4つの長孔53が形成されている。これらの長孔53には、ロックプレート40,41から突出したピン47,48がそれぞれ挿通される。
【0037】
ロック機構55は、巻取軸31が急激な回転をしていない平常状態では、図6(a)に示すように、ロック機構55のロックプレート40,41のピン47,48がねじりコイルばね52の付勢力でロック輪51の長孔53の一端に当接している。またロックプレート40,41の切欠凹部43の一部が、ストッパ43aとして巻取軸31の矩形突出部38に当接している。これにより巻取軸31は定トルクばねの付勢力に抗することにより回転させることが可能であり、ガイド部材21を巻取装置30から自由に引き出すことができる。
【0038】
これに対し、ガイド部材21が急激に引き出されて、巻取軸31が急激に巻取方向に回転すると、ねじりコイルばね52が撓み、ロック輪51が巻取軸31に対して相対回転(回転遅れ)を生じる。この回転遅れにより図6(b)に示すように、ロックプレート40,41のピン47,48が長孔53によって案内され、ロックプレート40,41は、互いに反対方向に移動する。そしてロックプレート40,41の爪部45が内歯ギアホイル42のロック歯46と噛み合い、巻取軸31の回転が阻止されるとともに、ガイド部材21の引き出しが阻止される。
【0039】
図1に示すように、本実施形態の伸縮コンベア1は、伸縮コンベア本体2の搬送路3の左右両側にコンベア用ガイド5がそれぞれ1つずつ取り付けられている。コンベア用ガイドの巻取装置30は、伸縮コンベア本体2を構成する支持フレーム7,7’のうちの一方の支持フレーム7に取り付けられ、固定支持部23は、他方の支持フレーム7’に取り付けられる。中継支持部25は、巻取装置30と固定支持部23との間に配置される。
【0040】
本実施形態の伸縮コンベア1では、コンベア用ガイド5のガイド部材が、定トルクばねによって巻取軸31の巻取方向に付勢された状態で、巻取装置30の巻取軸31に巻き取られている。そのため伸縮コンベア本体2の搬送路3の伸縮に合わせて、コンベア用ガイド5のガイド部材21の長さを容易に変更させることができる。伸縮コンベア本体2の搬送路3が長くなると、ガイド部材21は巻取装置30から引き出され長くなり(図2(b))、伸縮コンベア本体2の搬送路3の長さが短くなると、ガイド部材21は巻取装置30内に巻き取られ短くなる(図2(a))。
【0041】
本実施形態の伸縮コンベア1は、搬送路3が直線状に伸縮される場合だけでなく、図3に示すように搬送路3が曲線状に形成された場合であっても、搬送路3の形状に合わせてガイド部材21を配置させることが可能である。ここで搬送路21の湾曲が大きい場合には、固定支持部23と巻取装置30との間に中継支持部25を配置することにより、ガイド部材21をより搬送路3の形状に沿った位置に配することができる。
【0042】
また、ガイド部材21によって搬送物Aの落下を防止することができるので、従来の伸縮コンベア1のように、コーナーの外側を内側よりも高くして傾斜をつける必要もない。そのため本実施形態の伸縮コンベア1は、搬送物Aの重心が高い場合であっても、コーナー部分で搬送物Aが転倒させず搬送するのを防止することができる。
【0043】
本実施形態のガイド部材21には定トルクばねによって常に一定の張力が加わっている。そのため搬送物Aがガイド部材21と接触しても、ガイド部材21に加わる力が定トルクばねによる張力を超えない限り、ガイド部材21が巻取装置30から引き出されることはない。よって搬送路3の側方に配置されたコンベア用ガイド5によって搬送物Aが搬送路3から逸れて落下するのを防止することができる。
【0044】
またガイド部材21には、定トルクばねによって一定の張力が加わっているのでガイド部材21の引き出し及び巻き取り時にたるみが生じにくく、ガイド部材21が搬送ローラ6や伸縮サイドフレーム12に引っかかるのを防止することができる。加えて搬送路3の側方で支持されるガイド部材21には、一定の弾力性がある。そのため搬送物Aがガイド部材21に接触しても、ガイド部材21によって衝撃が吸収されるので搬送物Aが傷まない。
【0045】
また搬送物Aがガイド部材21と接触して、ガイド部材21に加わる力が定トルクばねの付勢力による張力を超える場合、ガイド部材21は搬送物によって巻取装置30から引き出される。しかし本実施形態のコンベア用ガイド5は、巻取装置30にロック機構55を備えている。そのため本実施形態の伸縮コンベア1では、搬送物が搬送路3を移動したり、搬送物が搬送路3から落下しかけることによってガイド部材21が急激に引き出されるとロック機構55が作動する。その結果、巻取軸31の回転が阻止されてガイド部材21の引き出しが阻止され、搬送路3からの搬送物Aの落下を防止する。
【0046】
上記実施形態の巻取装置30は、ロックプレート40,41、内歯ギアホイル42およびロック輪51からなるロック機構55によって巻取軸31の回転を阻止し、ガイド部材21の引き出しをロックする構成であったが、本発明は、このような構成に限定されるわけではない。例えば図7に示すように、ガイド部材21を挟み込むクランプ機構61によってガイド部材21の急激な引き出しをロックする構成であってもよい。
【0047】
図7に示される巻取装置60は、全体がハウジング62で覆われている。ハウジング62には、ガイド部材21が引き出される引出口64が設けられている。またハウジング62内にはガイド部材21が捲回される巻取軸31がある。この巻取軸31は、定トルクばね等の付勢手段(図示せず)によって、ガイド部材21の巻取方向に回転するように付勢されている。
【0048】
さらに巻取装置60は、クランプ機構61を備える。クランプ機構61は、固定クランプ66と可動クランプ67とで構成される。固定クランプ66は、波形状の係止面68を有しており、ハウジング62内に固定されている。可動クランプ67は、第一ピン70、第二ピン71、ブラケット72、ローラ73および付勢ばね74を備える。第一ピン70は、ハウジング62の所定位置に取り付けられている。ブラケット72は、短冊状の部材であり、一方の端部が前記第一ピン70によって回転自在に軸支されている。
【0049】
これに対しブラケット72の他方の端部には第二ピン71が取り付けられ、第二ピン71は、ローラ73を回転自在に軸支する。このときローラ73は、固定クランプ66の係止面68と対向するように配置される。
【0050】
また巻取装置60のハウジング62には、第一ピン70を中心とした円弧状の長孔75が設けられている。第二ピン71は、この長孔75に挿通されており、長孔75内を移動させることが可能である。そして第二ピン71を移動させると、第二ピン71によって軸支されたローラ73も、第二ピン71とともに移動する。したがって長孔75内において第二ピン71を固定クランプ66側に移動させることにより、図7において矢印で示すように可動クランプ67のローラ73を固定クランプ66の係止面68に押圧させることができる。
【0051】
また可動クランプ67のローラ73には付勢ばね74が取り付けられており、ローラ73は、固定クランプ66の係止面68から離れる方向に常時付勢されている。そのため通常可動クランプ67のローラ73と固定クランプ66の係止面68との間には一定の隙間76が生じている。そしてガイド部材21は、巻取軸31から可動クランプ67のローラ73に懸架され、ローラ73と係止面68との間の隙間76を通って引出口63からハウジング62外に引き出されている。
【0052】
巻取装置60において、ガイド部材21が一定の加速度以上で急激に引き出されると、可動クランプ67のローラ73が付勢ばね74の付勢力に抗して固定クランプ66側に移動する。これにより固定クランプ66の係止面68と可動クランプ67のローラ73とでガイド部材21を挟み込むことができ、これによりガイド部材21の引き出しがロックされる。
【0053】
上記実施形態において、急激なガイド部材21の引き出しを防止する機構としてロック機構やクランプ機構が用いられたが、本発明はこのような構成に限られるわけではない。例えば、ガイド部材21を引き出す速度または加速度が増加すると、ロックが解除されてガイド部材21の巻き取りを開始する巻取機構を用いることもできる。
【0054】
上記実施形態においてガイド部材21には、帯状のものが一本のみ使用されたが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えばガイド部材21は、ロープや鎖等のように線状であってもよいし、ガイド部材21を複数平行に並べて構成してもよい。
【0055】
また上記実施形態において、円筒状の巻取軸31が用いられたが、本発明は、このような構成に限られるわけではない。例えば巻取軸31には、角筒状や面状のものなどを用いてもよく、ガイド部材21を巻き取ることができるものであればよい。
【0056】
上記実施形態において、搬送ローラ6にはフリーローラが用いられたが、本発明はこのような構成に限られるわけではない。例えば搬送ローラ6についてはフリーローラだけではなくモータ内蔵ローラを用いることも可能である。モータ内蔵ローラは、筒体の内部にモータ(図示せず)と減速機(図示せず)とを内蔵したものである。モータ内蔵ローラは、内部のモータの回転によって筒体を回転させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る伸縮コンベアの斜視図である。
【図2】(a)は、本発明に係る伸縮コンベアの収縮状態を示す側面図であり、(b)は、本発明に係る伸縮コンベアの伸長状態を示す側面図であり、(c)は、伸縮サイドフレームの一部拡大図である。
【図3】搬送路を曲線状にした伸縮コンベアの平面図である。
【図4】コンベア用ガイドの斜視図である。
【図5】巻取装置を示す分解斜視図である。
【図6】(a)は、巻取軸の回転がロックされていないロック機構を示す説明図であり、(b)は、巻取軸の回転がロックされたロック機構を示す説明図である。
【図7】巻取装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 伸縮コンベア
2 伸縮コンベア本体
3 搬送路
5 コンベア用ガイド
21 ガイド部材
22 支持手段
23 固定支持部
25 中継支持部
31 巻取軸
55 ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯または線状のガイド部材と、ガイド部材をコンベアの搬送路の側方で支持する支持手段と、ガイド部材を巻き取る巻取軸と、巻取軸をガイド部材の巻取方向に回転させてガイド部材を巻取軸に巻き取らせる付勢手段とを備えることを特徴とするコンベア用ガイド。
【請求項2】
ガイド部材を引き出す速度または加速度が増加すると、ガイド部材がロックされるロック機構を有することを特徴とする請求項1に記載のコンベア用ガイド。
【請求項3】
ガイド部材を引き出す速度または加速度が増加すると、ガイド部材の巻き取りを開始する巻取機構を有することを特徴とする請求項1に記載のコンベア用ガイド。
【請求項4】
支持手段が、ガイド部材の端部に固定される固定支持部と、巻取軸と固定支持部との間に配置される中継支持部とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンベア用ガイド
【請求項5】
一定の力が加えると搬送路の長さを縮めることができる伸縮コンベアに取り付けられる請求項1〜4のいずれかに記載のコンベア用ガイドであって、巻取軸をガイド部材の巻取方向に回転させる付勢手段の力が、伸縮コンベアの搬送路を縮める力よりも小さいことを特徴とするコンベア用ガイド
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかのコンベア用ガイドが装着されていることを特徴とする伸縮コンベア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−285295(P2008−285295A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132706(P2007−132706)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】