説明

コンベア用ローラ

【課題】搬送物とローラ又はローラ本体における部材間で発生する静電気を逃がす対策を採るとともに、搬送物の運搬時における騒音を低減したコンベア用ローラを提供することである。
【解決手段】
中空形状のローラ本体2と、当該ローラ本体2に取り付けられた中心軸5とを有し、前記ローラ本体2と中心軸5との間に軸受けが介在されていてローラ本体2と中心軸5とが相対的に回転するコンベア用ローラ1において、前記中心軸5にブラシ状部材3を取り付けて、当該ブラシ状部材3が前記ローラ本体2の内面に接する様に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を搬送するコンベア用ローラに係り、具体的には、ローラに発生した静電気を徐電する徐電装置を内蔵したコンベア用ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被搬送物を搬送するコンベアには、電子デバイスの運搬時における故障や、静電気による塵埃の付着による誤動作を防ぐ等の目的のため、様々な徐電装置や徐電方法が用いられている。また、このような徐電装置を用いた搬送装置(コンベア)が特許文献1に開示されている。ここで特許文献1に記載の搬送装置は、フレームに取り付けられたローラの間にブラシ状の部材を配置し、ブラシ状の部材を搬送物に接触させることにより、徐電を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−30907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の搬送装置は、搬送中の物品が持つ静電気を確実に除去できる効果があるが、ローラ本体の静電気の除去が不可能であった。さらに、徐電部材をローラ間に配置する構造であるため設置上の制約があった。
【0005】
そこで、設置上の制約がなく、ローラ本体の静電気を除去する方法として、スチールウール等の通電部材を丸めてローラ内に配置することにより、ローラを軸支している軸に静電気を流し、その軸に設けたアース線等を接地して徐電する方法が考えられる。しかしこの方法は、搬送時に通電部材が他の部材等と接触するため、発生する騒音が大きく、さらに、ローラ内を通電部材が移動することでベアリングやスプリングなど他の部材に干渉するという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、静電気を逃がす対策を採るとともに、搬送物の運搬時における騒音を低減したコンベア用ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、中空形状のローラ本体と、当該ローラ本体に取り付けられた中心軸とを有し、前記ローラ本体と中心軸との間に軸受けが介在されていてローラ本体と中心軸とが相対的に回転するコンベア用ローラにおいて、前記中心軸にはブラシ状部材が取り付けられており、当該ブラシ状部材が前記ローラ本体の内面に接していることを特徴とするコンベア用ローラである。
【0008】
本発明のコンベア用ローラでは、ブラシ状部材がローラ本体の内面に接するように取り付けられているため、ローラ本体をコンベアに配置する時の設置上の制約がない。したがって、従来のコンベア用ローラに換えて、本発明のコンベア用ローラを用いたときにコンベアの周辺部材をそのまま流用できるので、導入コストを低減できる効果がある。
また、該ブラシ状部材はブラシ状であることで、ローラ本体と接触している部分の摩擦係数を低くできる。したがって、中心軸に取り付けてコンベア用ローラを回転すると、ローラ本体の内面に接触した部分が、ローラ本体の内側の表面上を滑る様に相対的に移動する。
したがって、コンベア用ローラの回転を阻害したり、大きな騒音を発したりすることなく、ローラ本体の静電気を中心軸に流すことができる。
【0009】
請求項2の発明は、ブラシ状部材は、銅合金を素材とする複数の線状部材を有し、当該線状部材自身の弾性によって当該ブラシ状部材が前記ローラ本体の内面に接していることを特徴とする請求項1に記載のコンベア用ローラである。
【0010】
本発明のコンベア用ローラでは、ブラシ状部材が銅合金を素材とする複数の線状部材を有するので、線状部材を一本で実施した場合や、ニクロム線やガラス線の様な電気抵抗の高い素材や炭素繊維等の耐摩耗度の低い素材等を用いた場合に比べて、ローラ本体から中心軸に安全且つ効率よく電流を流すことができる。
【0011】
請求項3の発明は、中心軸の中間部分に、リング状部材が取り付けられ、当該リング状部材は中心軸に対して相対回転を許容し、当該リング状部材にブラシ状部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンベア用ローラである。
【0012】
本発明のコンベア用ローラでは、中心軸に対して相対回転を許容するリング状部材にブラシ状部材を取り付けることで、ブラシ状部材を取り付けるための加工等を中心軸に行う必要がないので、本発明のコンベア用ローラを低コストで導入できる。
また、ブラシ状部材を巻き付ける、結び付ける等の方法で直接中心軸に取り付けた場合に比べ、より強固に取り付けることができる。
【0013】
請求項4の発明は、中心軸は、ローラ本体に対して軸方向に移動可能であり、且つ中心軸にはバネ及びバネ受け座が取り付けられており、前記バネ受け座はバネの押圧力を中心軸に伝達するものであり、前記中心軸は前記バネによって所定の位置で安定する様に押圧されており、前記バネ受け座にブラシ状部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンベア用ローラである。
【0014】
本発明のコンベア用ローラでは、中心軸をローラ本体側に押し込むことができる。したがって、本発明のコンベア用ローラを取り付け対象部材(フレームや台座等)に配置時における、中心軸の取り付け対象部材への衝突を防ぐことができるので、取り付け作業が容易になる。さらに、中心軸がバネによって付勢されているので、ローラの回転時に取り付け対象部材からローラが外れにくい。
【0015】
さらに、バネによって付勢されているバネ受け座にブラシ状部材を取り付けることで、ブラシ部材が軸に対して相対的に移動して、ベアリングやバネ等の規定の部材以外の部材に干渉することを防止できる。さらにまた、ブラシ状部材を端部から離れた位置(中心軸の中心に近い位置)に設置できるため、ブラシ状部材が規定の部材以外の部材と干渉し難い構造にすることができる。
加えて、バネ受け座にブラシ状部材を取り付けることで、別途のリング状部材の様な取り付け用部材を用いる場合に比べて、部品点数を少なくでき、本発明のコンベア用ローラの導入コストを低減できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、設置上の制約が無い静電気対策を実施すると共に、搬送物の運搬時における騒音を低減したコンベア用ローラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を実施することができるローラコンベア装置の斜視図である。
【図2】本発明の具体的実施例におけるコンベア用ローラの断面図である。
【図3】図2のコンベア用ローラで用いるリング状部材の正面図である。
【図4】図3のリング状部材のA−A面の切断部端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、本発明の一実施形態にかかる、コンベア用ローラ1について図面を参照しながら詳細に説明する。図2に示す様に、本発明のコンベア用ローラ1は、略円柱状の部材であるローラ本体2の内部にブラシ状部材3(線状部材)が配置されたものである。
具体的に説明すると、ローラ本体2の中心に、中心軸5が貫通して設けられていて、この中心軸5にリング状部材4(バネ受け座)、バネ6、止め金8が取り付けられている。そしてローラ本体2の両端には閉塞部材7(軸受)が設けられ、当該閉塞部材7を介してローラ本体2が中心軸5に軸支されている。即ち、ローラ本体2は中心軸5と相対的に回転可能に取り付けられている。そしてリング部材4は、ブラシ状部材3が取り付けられた状態で配置しているものである。
【0019】
ローラ本体2は筒状であり、外側表面には、ローラの周方向に他のローラから動力を伝達するための凹部2aが設けられている。
【0020】
ブラシ状部材3は銅合金(真鍮)であり、弾性を持つ細い線状の部材が複数集まって形成されている。即ち、一方の端部が束ねられており、他方の端部が放射状に広がっている箒の様な形状をしている。なお、このブラシ状部材3は導電体であり、静電気を流すことが可能である。そして、このブラシ状部材3は一方の端部がリング状部材4に取り付けられており、他方の端部がローラ本体2の内面に接触して配置されている。
【0021】
ここで、ブラシ状部材3は銅合金を使用しているがブラシ状部材3に用いる素材はこれに限るものではない。例えば炭素繊維のような化学繊維や錫メッキ銅線の様な金属線を用いてもよい。つまり、静電気を流すことのできる導電体であればよい。
【0022】
また、本実施形態のブラシ状部材3は弾性を持つ部材を使用しているが、ブラシ状部材に使用する部材は弾性を持つ部材に限るものではない。例えば、弾性は無くてもの摩擦係数の少ない部材を用いることで、コンベア用ローラの回転時における騒音の発生を防ぐことができる。つまり、ブラシ状部材3はローラ本体2に接触した状態で回転した際に、その回転を阻害せず、騒音が発生しなければよい。
【0023】
リング状部材4は座金形状の導体であり、外径が略円形の部材の中心部分に貫通孔4bを設けた略ドーナツ状の部材である。
図3、図4で示される様にリング状部材4の略中心部分に設けた貫通孔4bの開口の形状は円形であり、中心軸5を挿通可能な大きさである。そして、貫通孔4bに中心軸5を挿通することで、リング状部材4を中心軸5に固定することができる。
そして、リング状部材4は円形の外周部分の一部から、円の中心から離れる方向に突出する突部4aを有している。突部4aの突出方向の先端側は、突出方向と垂直な方向に伸びており、さらにその一端が折り曲げられている。即ち、突部4aは正面視が略「T」字型であり、突出方向から見た形状は略「く」の字型である。
【0024】
図2で示されるように中心軸5は、断面が円形のパイプ状の部材であり、その両端部を断面が六角形となる様にプレス加工等で加工している。即ち、両端部の断面は六角形あり、それ以外の部分の断面は円形になっている。また、中心軸5の表面にはそれぞれの端部よりの位置に、表面を切り起こした突起5a、5bが設けられている。
【0025】
バネ6はつる巻バネであり、巻径は中心軸5の太い部分を挿通可能な大きさである。即ち、バネ6は中心軸5に巻きつけるように配置することができる。
【0026】
閉塞部材7はローラ本体2の両端の開口部を閉塞するキャップ状の部材であり、ローラ本体2に対して一体的に取り付けられている一対の閉塞部材7Aと閉塞部材7Bで構成されている。そして、閉塞部材7A、7Bはそれぞれ、上記開口部を閉塞して軸を保持する蓋部材7aと、ボールベアリング7bと、ローラ本体2への取り付け状態において姿勢を保持するための固定部材7cの3つの部材から形成されている。
【0027】
ここで、蓋部材7aは中心部に貫通孔が設けられている。即ち、閉塞部材7のローラ本体2への取り付け状態において、中心軸5が通る位置に貫通孔がある。そして、蓋部材7aの貫通孔の周辺は貫通孔の中心線と平行な方向に伸びており、挿通した中心軸5の姿勢を保持することができる。また、蓋部材7aは貫通孔の中心線と垂直に伸びた部分を有しており、ローラ本体2への取り付け状態において、この部分がローラ本体2の開口部を閉塞する。
【0028】
さらに、ボールベアリング7bは従来周知のボールベアリングであり、閉塞部材7のローラ本体2への取り付け状態において、蓋部材7aと固定部材7cに挟まれる様に配される。具体的に説明すると、ボールベアリング7bは、中央にある貫通孔に、蓋部材7aの貫通孔の中心線と垂直に伸びた部分が挿通された状態で配される。
【0029】
固定部材7cはローラ本体2の端部の形状に沿う様な形状であり、ローラ本体2の端部に固定することが可能な部材である。この固定部材7cは、中心部分に貫通孔を有しており、ローラ本体2への取り付け状態において、中心軸5を挿通可能である。そして、貫通孔の近傍にはボールベアリング7bを嵌入可能な段差部分を有しており、ボールベアリング7bを取り付けることができる。また、固定部材7cは、蓋部材7aを取り付けた状態でボールベアリング7bを装着しても蓋部材7aが固定部材7cに当接しない形状である。
【0030】
止め金8は、円形の部材の中心部分に貫通孔が設けられているドーナツ状の部材である。そして、外径は閉塞部材7の貫通孔の開口より大きくなっており、貫通孔の開口の大きさは中心軸5が挿通可能な大きさである。
【0031】
次に本発明のコンベア用ローラ1の組み立て構成について述べる。上述した様にコンベア用ローラ1はローラ本体2の内部にそれぞれの部材が配され、中心軸5に対してローラ本体2が回転可能に取り付けられているものである。
ブラシ状部材3は一端を、リング状部材4の凸部4aの細い部分に巻き付けて、ねじった状態で、凸部4aをかしめることでリング状部材4に取り付けられている。そのため、取り付けたブラシ状部材3が外れにくい構成となっている。
【0032】
ブラシ状部材3を構成している各線状部材は弾性を有しており、図3に示される様に、直線状に伸びている。そして、ローラ本体2の内部に配置することにより、各線状部材のローラ本体2の内側表面に接触している部分は、接触している面に沿うような形状となる。したがって、ブラシ状部材3の各線状部材の長さは、中心軸5からローラ本体2の内側表面への距離の長さより長くなっている。
また、各線状部材は、線状部材自身の弾性によりローラ本体2側に付勢されて、接触状態を保っている。
【0033】
ここで、ブラシ状部材3を構成している各線状部材は、ローラ本体2の内部に配置したときに、リング状部材4より中心軸5の長手方向の中心側の、ローラ本体の内側表面に接触するように配置している。
このとき、ブラシ状部材3を構成している各線状部材の一部は、ローラ本体2の内側表面の中心軸5の方向へ突出する部分(表面に凹部2aを設けたことにより突出している部分)と接触している。
【0034】
中心軸5の一方の端部にはリング状部材4が取り付けられており、他端には止め金8が取り付けられている。具体的に説明すると、中心軸5は一端がリング状部材4の貫通孔4bに挿通され、もう一端が止め金8の中心部分に設けられた貫通孔に挿通されるように配置されている。このとき、リング状部材4は突起5aの近傍に配置され、止め金8は突起5b近傍に配置される。なお、リング状部材4と止め金8はそれぞれ突起5a、5bと当接することで、その移動が制限され、それぞれが当接する突起が設けられている位置よりも中心軸5の中心側に移動しない。
【0035】
さらに、中心軸5のリング状部材4が取り付けられている端部には、バネ6が中心軸5に巻きつけるように取り付けられており、バネ6は突起5aとの間にリング状部材4を挟むように配置されている。換言すると、リング状部材4より中心軸5の端寄りの位置に配置されている。そして、バネ6はリング状部材4を介して、中心軸5を付勢している。
【0036】
閉塞部材7は筒状のローラ本体2の両端を塞ぐように配置されている。そして、それぞれの蓋部材7aの貫通孔には中心軸5が挿通されている。ここで、中心軸5が挿通されている蓋部材7aは、ボールベアリング7bの中心にある貫通孔に回転可能な状態で挿通されている。さらにボールベアリング7bは固定部材7cに固定されており、固定部材7cはローラ本体2に固定されているため、ローラ本体2は中心軸5によって軸支される。
【0037】
ここで、本発明のコンベア用ローラ1は、中心軸5をローラ本体2に押し込むことができる。
【0038】
具体的に説明すると、ローラ本体2を固定した状態で、中心軸5の閉塞部材7Bを設けている側(図2における右側)の端部をローラ本体2側へ押圧する。すると、中心軸5は
図2における左方向へ移動する。中心軸5が移動すると、突起5aがリング部材4を押圧するので、リング部材4も中心軸5と共に同方向へ移動する。その時、リング部材4はバネ6と当接しており、バネ6は閉塞部材7Aと当接しているため、リング部材4はバネ6を圧縮させながら図2における左方向へ移動する。
そして中心軸5への押圧を止めると、バネ6がその圧縮力によりリング部材4を押圧し、リング部材4が突起5aを押圧することで、中心軸5が力を加える前の位置まで戻る。
【0039】
上記のように組み立てたコンベア用ローラ1は、図1に示すローラコンベアの様に、平行に配された2本のフレームや台座等の固定用部材に装着して使用する。即ち、図1に示すローラコンベアのコンベア用ローラ103の代わりに適宜の数を装着して使用する。換言すると、コンベア用ローラ103の全て又はいくつかをコンベア用ローラ1と交換して使用する。以下本発明のコンベア用ローラ1の作用効果について述べる。
【0040】
本発明のコンベア用ローラ1は、ローラ本体2が中心軸5に対して相対回転すると、ブラシ状部材3の先端部分はローラ本体2の内側表面における接触位置を変化させる。つまり、ブラシ状部材3の先端部分はローラ本体2の内側表面を相対的に移動する。
このとき、ブラシ状部材3は細い線状の部材が複数集まった部材であるため、摩擦係数が低い。したがって、ブラシ状部材3の先端部分がローラ本体2の内側表面を滑る様に相対移動し、大きな騒音が発生しない。
【0041】
さらに、ブラシ状部材3を取り付けているリング状部材4はバネ6によって、中心軸5の中心側に付勢されている。そのため、リング状部材4とブラシ状部材3は移動範囲を制限されている。そのため、ブラシ状部材3、或いはリング状部材4(本発明ではリング状部材4)が移動して、干渉すべきでない部材(ベアリング等)への干渉を防止している。
また、リング状部材4が上記のように付勢されていることにより、コンベア用ローラ1の回転中に、中心軸5の長手方向に移動しない。したがって、ブラシ状部材3の中心軸5とローラ本体2に対する相対的な位置も固定されているため、ブラシ状部材3が移動することによって大きな騒音が発生しない。
【0042】
また、本発明のコンベア用ローラ1は、中心軸5をローラ本体2に押し込むことができるので、したがって、コンベア用ローラ1をコンベアに取り付ける際に、中心軸5がフレーム等の他の部材に衝突することを避けることが可能である。
さらに、バネ6が中心軸5を付勢することで、コンベアに対する中心軸5の長手方向の中心の位置がバネ6によって決定されるので、中心軸5の中心の位置を設定する必要がない。したがって、本発明のコンベア用ローラ1はコンベアへの取り付け作業が容易であり、効率よく作業を行うことができる。
【0043】
本発明のコンベア用ローラ1は、コンベアを構成する場合において、本発明のコンベア用ローラ1のみを複数用いて構成してもよいし、他のコンベア用ローラと共に用いてもよい。例えば、モータを内蔵した駆動用ローラと共に用いて、駆動用ローラの動力をゴムベルト等の伝導部材により伝達し、コンベア用ローラ1を回転させた状態で使用してもよい。
【0044】
本実施形態のブラシ状部材3は直線状に伸びた弾性を持つ線状部材を、ローラ本体2の内部に挿入することで、ローラ本体2の内面に沿う形状にして使用したが、線状部材の挿入時の形状はこれに限るものではない。例えば、予め線状部材を加工して、鉤形や熊手のような形状にしてからローラ本体2に挿入してもよい。
【0045】
本実施形態で使用した中心軸5は中心部の断面が円形であり、両端部の断面が六角形のパイプ状の部材であるが、中心軸5の形状はこれに限るものではない。例えば、両端部を加工せずに、何れの部分の断面の形状も円形になるようにしてもよい。また、断面の形状
も円形や六角形に限るものではない。例えば、断面が円形のパイプの一部をプレス等により加工した、略「D」字型でもよい。また、中心部分が中空であるパイプ状でなく棒状の部材を使用してもよい。要は、ローラ本体2を軸支可能であり、ブラシ状部材3、又はブラシ状部材3を取り付けた部材(本実施形態ではリング状部材4)を固定できればよい。
【0046】
なお、本実施形態のローラ本体2には凹部2aが設けられているが、動力を伝達する必要がないフリーローラとして、本発明のコンベア用ローラ1を使用する場合、凹部2aを設ける必要はない。また、凹部2aの配置場所はこれに限るものではない。即ち、搬送物の大きさや形状、ローラコンベアの使用方法等に応じて、凹部2aを設ける場所を端部や中心部等の他の場所にしてもよい。そして、凹部2aの形状もこれに限るものではない。動力を伝達するため部材の形状や大きさ等に合わせて自由に変更してもよい。
【0047】
また、本実施形態のブラシ状部材3は細い線状の部材を集めることで形成しているが、ブラシ状部材の形成方法はこれに限るものではない。例えば、板状や棒状の部材の一端を細かく裂くことでブラシ状部材3としてもよい。また、細い線状の部材を一本でブラシ状部材3として使用してもよい。
【0048】
さらにまた、本発明のブラシ状部材3はローラ本体2に常に接触しているが、ブラシ状部材3を常に接触する構造にしなくてもよい。例えば、数分又は数秒に一回接触する構造にしてもよい。すなわち、ローラ本体2の内面に突起を設けて、回転時において所定の位置関係になった場合のみ接触する構造やブラシ状部材3が移動して接触する構造などを採用してもよい。即ち、ある程度電荷が蓄えられた状態で徐電できればよい。
【符号の説明】
【0049】
1 コンベア用ローラ
2 ローラ本体
2a 凹部
3 ブラシ状部材(線状部材)
4 リング状部材(バネ受け座)
4a 突起
5 中心軸
6 バネ
7 閉塞部材(軸受)
8 止め金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空形状のローラ本体と、当該ローラ本体に取り付けられた中心軸とを有し、前記ローラ本体と中心軸との間に軸受が介在されていてローラ本体と中心軸とが相対的に回転するコンベア用ローラにおいて、前記中心軸にはブラシ状部材が取り付けられており、当該ブラシ状部材が前記ローラ本体の内面に接していることを特徴とするコンベア用ローラ。
【請求項2】
ブラシ状部材は、銅合金を素材とする複数の線状部材を有し、当該線状部材自身の弾性によって当該ブラシ状部材が前記ローラ本体の内面に接していることを特徴とする請求項1に記載のコンベア用ローラ。
【請求項3】
中心軸の中間部分に、リング状部材が取り付けられ、当該リング状部材は中心軸に対して相対回転を許容し、当該リング状部材にブラシ状部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンベア用ローラ。
【請求項4】
中心軸は、ローラ本体に対して軸方向に移動可能であり、且つ中心軸にはバネ及びバネ受け座が取り付けられており、前記バネ受け座はバネの押圧力を中心軸に伝達するものであり、前記中心軸は前記バネによって所定の位置で安定する様に押圧されており、前記バネ受け座にブラシ状部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンベア用ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−235264(P2010−235264A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85340(P2009−85340)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】