説明

コンベヤベルトにより物品を運搬するための搬送装置

【課題】積降しステーションの下流側でコンベヤベルトに残っている物品の断片を除去すること。
【解決手段】コンベヤベルトは、コンベヤベルトの運動方向に対して交差するように方向付けられた複数の支持バーの下面に装着されている。該支持バーの2つの横方向端部に装着された支持ローラは、搬送装置に沿って設けられると共に、該コンベヤベルトの前進ストランド及び戻りストランドにそれぞれ割り当てられた2対の支持ケーブルもしくは支持レール上を転動する。該コンベヤベルトを清浄にするためのアセンブリは、前記支持バーの位置に基づいて制御される閉ループ制御装置を介してコンベヤベルトの方向に移動できる掻取り条片等を備えるよう形成されている。該掻取り条片は、支持バーの間でコンベヤベルトと実質的に当接状態にされており、そして該掻取り条片は、1つの支持バーの領域においてコンベヤベルトから離昇している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を運搬するためにコンベヤベルトを有する搬送装置に関するものであり、該コンベヤベルトは、この搬送装置の積込みステーション及び積降しステーションにある転向ドラムの周りを案内されると共に、複数の支持バーの下面に取り付けもしくは締め付けられている。該支持バーは、コンベヤベルトの運動方向に交差するよう方向付けられていると共に、該コンベヤベルトの運動方向において互いに離れて置かれている。該支持バーの2つの横方向端部にはいずれの場合も支持ローラが装着されており、これらの支持ローラは、搬送装置に沿って設けられると共にコンベヤベルトの前進ストランド及び戻りストランドにそれぞれ配置された2対の支持ケーブルもしくは支持レールの上を転動する。また、コンベヤベルトを洗浄する手段も設けられている。
【背景技術】
【0002】
例えば米国特許第6,588,583号明細書に記載された、かかる搬送装置は、波状縁部を備えて設計されたコンベヤベルトを用いて、解体材料、鉱石関連鉱物及び石炭等のような物品を、それらが生ずる領域又は抽出される領域から、谷間のような障害を越え、それらが貯蔵される又は処理される別の領域へと搬送するのに使用することができる。それらは、この別の領域から自動車両により運び去られる。かかる搬送装置のコンベヤベルトは支持ケーブルに沿って案内されるので、当該物品は、比較的に低い技術的な出費で積込みステーションから積降しステーションまでの長い距離を搬送されることができる。
【0003】
しかしながら、この種の先行技術の搬送装置は、コンベヤベルトが転向ドラムの周りを案内される積降しステーションにおいて、該コンベヤベルト上に置かれた物品の大部分が該コンベヤベルトから離れ落ちるが、物品の断片がいずれの場合も支持バーによりコンベヤベルト上に形成された複数の別々の溝状積込み領域内に留まると共に、これらの物品の断片がコンベヤベルトの戻りの間に該コンベヤベルトから離れ落ちるか或いはその上に留まり、その結果、該物品の断片が積込みステーションに逆送される、という問題を有している。
【0004】
コンベヤベルトの戻りストランド上に残っている物品の断片が離れ落ちる状況を避けるために、これが搬送装置の真下に配置された諸領域、諸物体等を汚染するので、積降しステーションの下流側にコンベヤベルトの戻りストランドの方向を上向きに変える構造を設けることは既知である。しかしながら、この場合、戻りストランドが積込みステーションに配置された転向ドラムの周りを案内されて再積み込みされるのを可能とするために、該戻りストランドの方向を再び変える別の構造を積込みステーションの上流側に設ける必要がある。
【0005】
しかしながら、一方では、かかる方向変更の構造は更なる設計コストを必要とし、これらの搬送装置をより高価なものにする。他方では、コンベヤベルトの戻りストランドの方向を変える際に、コンベヤベルト上に残っている物品の断片が積込みステーションに逆送されるという問題が残っている。その結果、搬送能力が低下すると共に必要な駆動力が増すことに加え、搬送作業が進むに連れて、コンベヤベルトの戻りストランドの上に残っている物品の断片が増加し、その結果、上述した不都合な影響が一層促進されることになるという場合もある。
【0006】
積降しステーションにおいて物品の破片及び断片がコンベヤベルトの戻りストランド上にますます集まるような状況を避けるために、コンベヤベルトに振動手段もしくは吹付け手段を割り当てて、積降しステーションにおいてコンベヤベルト上に残留している物品の断片を除去することは既知である。しかしながら、これらの構造は、高レベルの設計コストの更なる追加を生じさせると共に、更に、所望の清浄作用を存分に行わない。コンベヤベルトはそれを溝状の領域に細分する支持バーの下面に取り付けられているので、他方では、コンベヤベルトに剛な掻取り条片を割り当てることにより積降しステーションの下流側のコンベヤベルトを清浄にすることは可能ではない。この理由から、積降しステーションの下流側でコンベヤベルトに残っている物品の断片を除去することを目的として、このコンベヤベルトに掻取り装置を割り当ててその上にある物品の断片を除去することは、先行技術から既知ではない。
【発明の開示】
【0007】
従って、本発明の目的は、これまで既知の一般的なタイプの装置及び方法についての上述した欠点を克服すると共に、技術的な要求に適合する清浄構造を与える、物品を運搬するための搬送装置を提供することである。
【0008】
上述した目的及びその他の目的を考慮して、本発明によると、物品を運搬するための搬送装置であって、前進ストランド及び戻りストランドになって積込みステーション及び積降しステーションの間に延在すると共に、該積込みステーション及び該積降しステーションにある転向ドラムの周りに案内されるコンベヤベルトと、該コンベヤベルトの走行方向に対して交差するように方向付けられており、前記コンベヤベルトの前記走行方向において互いに離れて置かれており、そして前記コンベヤベルトを下面に装着せしめている、複数の支持バーと、前記コンベヤベルトの前記前進ストランド及び前記戻りストランドにそれぞれ割り当てられて前記コンベヤベルトに沿って延びる2対の支持ケーブルもしくは支持レールと、を備えており、前記支持バーは、横方向端部と、該横方向端部に装着されると共に前記支持ケーブルもしくは前記支持レール上を転動可能に配置された支持ローラとを有しており、前記コンベヤベルトを清浄にするために、前記コンベヤベルトに対して可動に所定の方向に配置された掻取り条片と、該掻取り条片を前記コンベヤベルトに向かい移動させる制御アセンブリとを含む清浄装置を更に備えており、前記制御アセンブリが前記支持バーの位置に基づいて制御されて、前記掻取り条片を前記支持バーの間で前記コンベヤベルトとの実質的に当接状態にするのに対して、前記掻取り条片を各前記支持バーの領域において前記コンベヤベルトから離昇している、搬送装置が提供されている。
【0009】
換言すると、本発明の目的は、コンベヤベルトを清浄にするための清浄装置が掻取り条片等を含んでおり、これが制御アセンブリを経由してコンベヤベルトの方向に移動することができ、該制御アセンブリが支持バーの位置に基づいて制御されて、前記掻取り条片等を前記支持バーの間で前記コンベヤベルトとの実質的に当接状態にするのに対して、前記掻取り条片等を各支持バーの領域において前記コンベヤベルトから離昇するようにしていることで達成される。
【0010】
前記掻取り条片は、サーボモータにより前記コンベヤベルトに対して揺動することができるシャフトに取り付けられているのが好ましい。また、特にサーボモータが機能しないときに前記掻取り条片を離昇させうる復帰バネが設けられていることが好ましい。更に、前記積降しステーションに配置された転向ドラムは少なくとも1つの近接スイッチを割り当てられていることが好ましく、該少なくとも1つの近接スイッチは、前記掻取り条片の方向に移動する各支持バーの位置を検知できると共に、前記サーボモータを制御することができる。更に、前記制御アセンブリは少なくとも1つの遮断ロッドを備えるよう設計されていることが好ましく、該遮断ロッドは、前記制御アセンブリが機能しないときに前記搬送装置の駆動装置の電源を切る。
【0011】
本発明の特徴と考えられるその他の諸事項は従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明は、コンベヤベルトを有する、物品を運搬するための搬送装置に実施されるものとして例示され且つ記載されているが、それにも拘わらず、この搬送装置に対しては種々の改変及び構造変更を本発明の精神から逸脱することなく且つ特許請求の範囲の均等物の範囲内で行いうるので、図示の詳細に限定することを意図しているのではない。
【0013】
しかしながら、本発明の構成及び作動方法は、添付図面に関連して特定の実施形態についての以下の記載を読むことにより、本発明のその他の目的及び利点と共に、最も良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、図面の各図を詳細に、特に最初に図1を参照すると、解体材料、土壌材料、鉱石関連鉱物及び石炭等のような物品の搬送装置の積降しステーションが例示されている。この搬送装置は、積込みステーション及び積降しステーション(即ち、端末ステーション)にある転向ドラムの周りを案内されるコンベヤベルト1を有している。これらの転向ドラムの少なくとも1つは被動プーリである。断面がほぼ矩形の搬送領域を有するコンベヤベルト1は、波状縁部11を備えて横方向に設計されており、その結果、該コンベヤベルトは、積込みステーション及び積降しステーションにおいて、これらステーションに配置された転向ドラムの周りを案内されることができる。積降しステーションにおいて、コンベヤベルトは転向ドラム2の周りを案内される。
【0015】
また、搬送装置は3対のケーブル31及び31a、32及び32a、並びに33及び33aも有しており、これらケーブルは、離れて配置された複数の支持フレームにより搬送装置の全範囲に沿って互いに結合されており、その結果、これらケーブルは、搬送装置の全体にわたり所要距離だけ互いに離れて置かれることになる。ここで、2本の上側ケーブル31及び31aは搬送装置の支持ケーブルとしての役目を果たしており、そして該ケーブルは、搬送装置に生ずる負荷を吸収する。対照的に、2本の中間ケーブル32及び32aは、積込みステーションから積降しステーションへと移動するコンベヤベルト1のストランド(strand)1aのための案内ケーブルとしての役目を果たしており、また、2本の下側ケーブル33及び33aは、コンベヤベルト1のストランド1bのための案内ケーブルとしての役目を果たしている。このストランド1bは積降しステーションから積込みステーションへと逆方向に移動する。
【0016】
また、コンベヤベルト1は、複数の支持バー4も備えていて、該支持バーの下面にコンベヤベルト1が取り付けられると共に(この場合、コンベヤベルトが物品を運ぶ前進ストランドに関して画成されている)、該支持バーは、例えば5m〜8mの距離だけ互いに離れて配置されている。これらの支持バー4は、コンベヤベルト1を複数の溝状領域に細分しており、これは、コンベヤベルト上にある物品が結果的に滑り落ちることなく、コンベヤベルトが搬送路の傾斜部分の周りであっても案内されることを可能にする。各支持バー4の2つの端部には支持ローラ5及び5aが装着されており、この場合、積込みステーションから積降しステーションへと移動するコンベヤベルト1のストランド1aの支持ローラ5及び5aは、案内ケーブル32及び32aに沿って転動し、そして積込みステーションへと戻り移動するコンベヤベルト1のストランド1bの支持ローラ5及び5aは、案内ケーブル33及び33aに沿って転動する。
【0017】
積降しステーションの領域において、支持ローラ5及び5aは案内レール34及び34aに沿って案内される。このような案内レールは積込みステーションにも設けられている。
【0018】
積降しステーションにおいて、コンベヤベルト1には掻取り装置6が配置されており、この掻取り装置により、一旦コンベヤベルト1から積降しがされた後、コンベヤベルト上に残っている物品の断片が除去される。掻取り装置6は、半径方向に突き出る支持アーム62を備えるよう設計されたシャフト61を有しており、ここに掻取り条片63又はそのようなものが取り付けられている。シャフト61は、復帰バネ65の作用を受ける半径方向に突き出る調節アーム64を追加的に備えるよう設計されており、この復帰バネ65がシャフト61を時計方向に回転させ、その結果、掻取り条片63が揺動してコンベヤベルト1から離れる。更に、シャフト61にはサーボモータ66が配置されており、それによりシャフト61が回転されて、掻取り条片63が復帰バネ65の作用に逆らいコンベヤベルト1の方向に揺動し、またコンベヤベルト1から離れる方向に揺動するようになっている。代案として、掻取り条片63は、復帰バネ65によりコンベヤベルト1から持ち上げられ離れるだけでよい。
【0019】
サーボモータ66は複数の近接スイッチ67により制御され、該近接スイッチの各々がその領域に配置された支持バー4を検知する。近接スイッチ67の出力信号はサーボモータ66の制御ユニットに伝達される。
【0020】
この掻取り装置6は次のように作動する。
【0021】
サーボモータ66は、復帰バネ65の作用に逆らって、掻取り条片63を揺動しコンベヤベルト1の積込み面10上に接触させ、該掻取り条片が2つの波状縁部11の間に配置される。その結果、コンベヤベルト1上に残っているどの物品も該コンベヤベルトから除去される。掻取り条片63が支持バー4に接近するや否や、該掻取り条片はサーボモータ66により揺動されてコンベヤベルト1から離される。サーボモータ66の作用が終了すると、掻取り条片63は復帰バネ65により揺動されてコンベヤベルト1から離される。
【0022】
図2、図2A及び図2Bは、掻取り条片63の3つの異なる作動位置を次の通り例示している。
・ 図2において、掻取り条片63は、コンベヤベルト1の方向に既に揺動した位置に配置されており、その結果、コンベヤベルトが掻取り条片63により清浄にされる。
・ 図2Aにおいて、支持バー4が掻取り条片63の方向に既に移動されており、そのため、掻取り条片63がサーボモータ63により持ち上げられ離れてしまっている。
・ 図2Bにおいて、支持バー4は掻取り条片63の領域を既に去っており、それゆえに掻取り条片63はサーボモータ66によりコンベヤベルト1の方向に再び既に揺動されている。
【0023】
更にシャフト61には遮断ロッド69のために2つの半径方向の支持アーム68が配置されており、制御アセンブリ65,66の誤作動の結果として、コンベヤベルトが支持バー4に接近しているのに掻取り条片63がコンベヤベルト1から離れて揺動しないときに、該遮断ロッド69の上を支持ローラ5及び5aの支承ピンが走行する。この場合、搬送装置の駆動装置は遮断ロッド69により電源が切られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】積降しステーションの領域における本発明による搬送装置の不等角投影図である。
【図2】積降しステーションの領域における本発明による搬送装置の第1作動位置の側面図である。
【図2A】第2作動位置の同様の図である。
【図2B】第3作動位置の同様の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を運搬するための搬送装置であって、
前進ストランド及び戻りストランドになって積込みステーション及び積降しステーションの間に延在すると共に、該積込みステーション及び該積降しステーションにある転向ドラムの周りに案内されるコンベヤベルトと、
該コンベヤベルトの走行方向に対して交差するように方向付けられており、前記コンベヤベルトの前記走行方向において互いに離れて置かれており、そして前記コンベヤベルトを下面に装着せしめている、複数の支持バーと、
前記コンベヤベルトの前記前進ストランド及び前記戻りストランドにそれぞれ割り当てられて前記コンベヤベルトに沿って延びる2対の支持ケーブルもしくは支持レールと、
を備えており、
前記支持バーは、横方向端部と、該横方向端部に装着されると共に前記支持ケーブルもしくは前記支持レール上を転動可能に配置された支持ローラとを有しており、
前記コンベヤベルトを清浄にするために、前記コンベヤベルトに対して可動に所定の方向に配置された掻取り条片と、該掻取り条片を前記コンベヤベルトに向かい移動させる制御アセンブリとを含む清浄装置を更に備えており、
前記制御アセンブリが前記支持バーの位置に基づいて制御されて、前記掻取り条片を前記支持バーの間で前記コンベヤベルトとの実質的に当接状態にするのに対して、前記掻取り条片を各前記支持バーの領域において前記コンベヤベルトから離昇するようにしている、搬送装置。
【請求項2】
前記制御アセンブリは閉ループ制御システムである、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記掻取り条片はシャフトに取り付けられており、該シャフトはサーボモータにより前記コンベヤベルトに対して揺動するよう駆動される、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記掻取り条片を揺動させて前記コンベヤベルトから離すべく配置された復帰バネを更に備える、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記復帰バネは、前記サーボモータが機能しないときに前記掻取り条片を揺動させて前記コンベヤベルトから離すように構成されている、請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記積降しステーションにある前記転向ドラムに割り当てられた少なくとも1つの近接スイッチを備えており、該少なくとも1つの近接スイッチは、前記掻取り条片の方向に移動する各支持バーの位置を検知するよう配置されていると共に、前記サーボモータを制御するよう設定されている、請求項4に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記制御アセンブリが機能しないときに前記搬送装置の駆動装置の電源を切るよう構成された少なくとも1つの遮断ロッドを備える、請求項1に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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