説明

コンベヤ装置

【課題】簡単かつ安価な構造でありながら、被搬送物の位置ずれ修正と円滑な搬送とを兼用して行えるコンベヤ装置を提供する。
【解決手段】被搬送物11を支持搬送するコンベヤ装置61である。被搬送物を下降によって搬送経路A上に供給し、その供給部で搬送経路の両側部分に、搬送方向の複数箇所に球体65を設けた。球体65を、搬送経路側が露出する状態でそれぞれ支持部材66に回動自在に支持している。供給する被搬送物がコンベヤ幅方向において位置ずれしていたとき、位置ずれ側の下部が、対応する球体群の露出した球面に上方から当接し、支持部材に対して球体を下方側へ回動させながら被搬送物を案内することになって、位置ずれ修正を自動的に行える。被搬送物を搬送する際に、被搬送物の外側面を球体の露出した球面に内側方から当接させていることで、支持部材に対して球体を水平方向側(下手側)へ回動させながら被搬送物を案内する状態で行えて、被搬送物を振れる(位置ずれする)ことなく円滑に搬送できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばガラス基板(プラズマディスプレイパネル)などの板状体が上下複数段に収納されているボックス体を搬送するのに採用されるコンベヤ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベヤ装置としては、次のような構成が提供されている。すなわち、一対のフレーム間に複数の搬送ローラを所定間隔で並設することでローラコンベヤが構成され、そして両フレームに、それぞれ所定間隔でガイド取付装置を取り付けるとともに、ガイド取付装置で支持した一対のガイドパイプにより搬送路の搬送物を案内している(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−206125号公報(第2頁、図1−3,8)
【特許文献2】特開平11−91916号公報
【特許文献3】特開平7−10205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した従来構成(特許文献1)によると、ガイドパイプにより搬送物を案内するときに摺接摩擦が生じ、ガイドパイプと搬送物との両方を損傷させる恐れがある。これに対しては、特許文献2に示される竪ローラ形式などがあり、搬送案内は好適に行える。しかし、たとえば上方から供給される搬送物の位置ずれ修正は行えず、位置ずれ修正のためには別個の案内構成が必要となって、全体が複雑かつ高価となる。
【0004】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、簡単かつ安価な構造でありながら、被搬送物の位置ずれ修正と円滑な搬送とを兼用して行えるコンベヤ装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載のコンベヤ装置は、被搬送物を支持搬送するコンベヤ装置であって、被搬送物は下降によって搬送経路上に供給され、その供給部で搬送経路の両側部分には、搬送方向の複数箇所に球体が設けられ、これら球体は、搬送経路側が露出される状態でそれぞれ支持部材に回動自在に支持されていることを特徴としたものである。
【0006】
したがって請求項1の発明によると、被搬送物を下降して搬送経路上に供給する際に、被搬送物がコンベヤ幅方向において位置ずれしていたとき、この被搬送物の位置ずれ側の下部が、対応する球体群の露出した球面に上方から当接し、そして下降力によって、支持部材に対して球体を下方側へ回動させながら被搬送物を案内することで、位置ずれ修正を自動的に行える。このように、搬送経路上において被搬送物を位置決め支持した状態で、このコンベヤ装置を駆動させることにより、搬送経路上において被搬送物を搬送し得る。その際に、被搬送物における位置ずれ修正側の外側面を、球体の露出した球面に内側方から当接させていることで、被搬送物の搬送経路上での搬送は、支持部材に対して球体を水平方向側(下手側)へ回動させながら被搬送物を案内する状態で行え、以て被搬送物を振れる(位置ずれする)ことなく円滑に搬送し得る。
【0007】
また本発明の請求項2記載のコンベヤ装置は、上記した請求項1記載の構成において、支持部材に対して球体は、搬送方向視において上部側で90度以上に露出されるとともに、平面視において中心線に対して前後に振り分ける状態で90度以上に露出されていることを特徴としたものである。
【0008】
したがって請求項2の発明によると、支持部材に対して球体を好適に露出させて、被搬送物の下降案内と搬送案内とを的確に行えるとともに、支持部材による球体の回動支持を安定して行える。
【0009】
そして本発明の請求項3記載のコンベヤ装置は、上記した請求項1または2記載の構成において、球体は、その中心の位置が搬送支持面よりも上方として配設されていることを特徴としたものである。
【0010】
したがって請求項3の発明によると、球体の搬送案内位置(接触位置)を搬送支持面よりも上方として、被搬送物の案内を行える。
さらに本発明の請求項4記載のコンベヤ装置は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、搬送経路はローラ群によって形成され、球体はローラ間に位置されて配設されていることを特徴としたものである。
【0011】
したがって請求項4の発明によると、支持部材を介しての球体の配設をコンパクトにして行える。
【発明の効果】
【0012】
上記した本発明の請求項1によると、被搬送物を下降して搬送経路上に供給する際に、被搬送物がコンベヤ幅方向において位置ずれしていたとき、この被搬送物の位置ずれ側の下部が、対応する球体群の露出した球面に上方から当接し、そして下降力によって、支持部材に対して球体を下方側へ回動させながら被搬送物を案内することで、位置ずれ修正を自動的に行うことができる。このように、搬送経路上において被搬送物を位置決め支持した状態で、このコンベヤ装置を駆動させることにより、搬送経路上において被搬送物を搬送できる。その際に、被搬送物における位置ずれ修正側の外側面を、球体の露出した球面に内側方から当接させていることで、被搬送物の搬送経路上での搬送は、支持部材に対して球体を水平方向側(下手側)へ回動させながら被搬送物を案内する状態で行うことができ、以て被搬送物を振れる(位置ずれする)ことなく円滑に搬送できる。すなわち、球体を兼用した簡単かつ安価な構造でありながら、被搬送物の位置ずれ修正と円滑な搬送とを、常に好適に行うことができる。
【0013】
また上記した本発明の請求項2によると、支持部材に対して球体を好適に露出させて、被搬送物の下降案内と搬送案内とを的確に行うことができるとともに、支持部材による球体の回動支持を安定して行うことができる。
【0014】
そして上記した本発明の請求項3によると、球体の搬送案内位置(接触位置)を搬送支持面よりも上方として、被搬送物の案内を常に安定して行うことができる。
さらに上記した本発明の請求項4によると、支持部材を介しての球体の配設をコンパクトにして行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、実のボックス体内から板状体を搬出処理する板状体処理設備において、ボックス体を処理手段に搬送するコンベヤ装置に採用した状態として、図に基づいて説明する。
【0016】
図4〜図8において、ボックス体(カセットケースなどで被搬送物の一例)11は、下部矩形枠体12と、この下部矩形枠体12の4隅から立設された縦枠13と、これら縦枠13の上端間に連結された上部矩形枠体14などにより矩形枠組体状に構成されている。したがってボックス体11は、下部矩形枠体12によって下位開放部(底壁の開放部)11aが形成されるとともに、上下の両矩形枠体12,14間でかつ縦枠13間にそれぞれ(4箇所)に側位開放部(側壁の開放部)11bが形成されている。また、ボックス体11の内部には、左右方向(後述するボックス体搬送方向)に一対でかつ前後方向(後述する直交状の方向)のほぼ全長に亘る支持部材15が、所定間隔置きで上下複数段に配設されている。その際に支持部材15は、ワイヤー、丸ロッド、平プレートなどにより構成され、縦枠13からのブラケット16を介してボックス体11側に固定されている。
【0017】
したがってボックス体11は、正方形状(矩形状)のガラス基板(板状体の一例)1を左右一対の支持部材15間に上方から係止させることで、内部に配設された支持部材15を介して、ガラス基板1を上下方向に所定の間隔を置いて複数段に収納自在として構成される。以上の12〜16などにより、ボックス体11の一例が構成される。
【0018】
前記ボックス体11に対してガラス基板1の出し入れ処理を行う処理手段20が設けられるとともに、この処理手段20の両側に振り分けて、ボックス体11を支持搬送自在な供給側コンベヤ装置61と排出側コンベヤ装置81とが設けられ、以て両コンベヤ装置61,81と処理手段20とに亘ってボックス体搬送経路(搬送経路)Aが形成される。そして処理手段20の前方には送り装置101が設けられ、また送り装置101とは反対側(後方側)には、供給側コンベヤ装置61の箇所に設けられた供給側昇降受台71や排出側コンベヤ装置81の箇所に設けられた排出側昇降受台91との間でボックス体11を受け渡し自在な移載手段111が設けられている。
【0019】
前記処理手段20は、枠本体21と、前の側位開放部11bを通して両コンベヤ装置61,81などによるボックス体搬送経路(左右方向)Aとは直交状の方向(前後方向)Bにガラス基板1を搬送自在な搬送装置31と、この搬送装置31に干渉されることなくボックス体11を昇降させる昇降装置41などから構成されている。
【0020】
すなわち前記枠本体21は、平枠状のベース枠体22と、このベース枠体22の4隅部分から立設された縦枠体23と、これら縦枠体23の上端部間に設けられた連結体24などにより矩形枠組体状に構成されている。そしてベース枠体22の下部には、遊転自在な車輪体25と、上下方向に高さ調整自在な着地体26とが、それぞれ複数箇所に設けられ、以て枠本体21は、車輪体25を介して床F側に支持されることで走行自在(移動自在)に構成されるとともに、着地体26を介して床F側に支持されることで所定位置に定着されるように構成されている。このような矩形枠組体状の枠本体21によると、送り装置81に対向される前側開放部21aと、供給側コンベヤ装置61に対向される入れ側開放部21bと、排出側コンベヤ装置81に対向される出し側開放部21cとが形成される。以上の22〜26などにより、枠本体21の一例が構成される。
【0021】
前記搬送装置31はローラコンベヤ形式であって、ボックス体搬送経路Aの方向(コンベヤ幅方向)において2つ(複数)のゾーン、すなわち、右側ゾーン31Zと左側ゾーン31Zとにより形成されている。両ゾーン31Z,31Zは同様な構成であって、それぞれ直交状の方向Bの複数箇所に、ボックス体搬送経路Aに沿ったコンベヤフレーム32が配設されている。そして各コンベヤフレーム32の上方に、その回転軸心を振り分け方向とした回転軸34が単数本または複数本並列で配設され、これら回転軸34は、コンベヤフレーム32からのブラケット33に回転自在に支持されている。各回転軸34には、その長さ方向の複数箇所に外嵌してローラ体35が設けられ、また各回転軸34に直結して連動する駆動部(モータなど)36が、内側のブラケット33に設けられている。
【0022】
各コンベヤフレーム32は、それぞれ縦部材37の上端に連結固定され、そして縦部材37の下端は共通のベース体38に連結固定されるとともに、ベース体38は上下方向に高さ調整自在な着地体39を介して床F上に設置されている。以上の32〜39などにより、搬送装置31の一例が構成され、そしてローラ体35群によって搬送装置31の搬送面31aが形成される。
【0023】
かかる構成の搬送装置31は、実のボックス体11内に収納されているガラス基板1を搬送(搬出)させるものである。その際に、搬送装置31の搬送幅(コンベヤ幅)31Wはボックス体11の下位開放部幅11aWより狭く、すなわち[31W<11aW]に設定されている。したがって、ガラス基板1が上下方向に間隔を置いて複数段に収納されている実のボックス体11を昇降装置41にセットした状態で、昇降装置41により1段分ずつ下降させることで、下段のガラス基板1から順に搬送装置31のローラ体35群上に載置して搬送(搬出)し得るように構成されている。
【0024】
前記昇降装置41は、前側開放部21aを形成する一対の縦枠体23の部分に配設される前側装置部42Aと、後側で一対の縦枠体23の部分に配設される後側装置部42Bとからなり、これら装置部42A,42Bは、前後で対称状として同様に構成されるとともに、同期駆動されるように構成されている。
【0025】
すなわち、各縦枠体23は横断面がU型状の型レール体であって、直交状の方向Bで相対向する側が開放された状態で配設されている。そして各縦枠体23の溝内には上下方向のガイドレール43が配設され、このガイドレール43に被ガイド体44を介して昇降自在に案内される可動体45が設けられている。さらに各縦枠体23の溝内には、ガイドレール43に沿った螺子軸体46が回動自在に設けられ、この螺子軸体46に螺合されるナット体47が前記被ガイド体44側に設けられている。各装置部42A,42Bは、一対の縦枠体23間に位置される状態でベース枠体22上に設けられた正逆駆動自在なモータ48を有し、このモータ48の出力軸は歯車機構49を介してボックス体搬送経路Aに沿った方向の駆動軸50に連動連結されている。そして駆動軸50の遊端が、縦枠体23内の下部に設けられた歯車機構51を介して螺子軸体46の下端に連動連結されている。
【0026】
各装置部42A,42Bにおいて、一対の可動体45はガイドレール43の溝から突出され、そして突出部分の上部間に、両コンベヤ装置61,81とともに前記ボックス体搬送経路Aを形成する処理側コンベヤ装置52が設けられている。すなわち両処理側コンベヤ装置52は、可動体45の上部間に設けられたコンベヤフレーム53と、このコンベヤフレーム53に回転自在に配設されたローラ54群と、これらローラ54群を駆動させる駆動装置(図示せず。)などから構成されるとともに、両駆動装置は同期駆動されるように構成されている。
【0027】
その際に各処理側コンベヤ装置52は、搬送装置31の搬送幅31W外に位置され、また両処理側コンベヤ装置52の直交状の方向Bでの最大幅52LWは、ボックス体11の幅11Wよりも大きく、すなわち[52LW>11W]に設定されている。したがって昇降装置41は、両処理側コンベヤ装置52におけるローラ54群間でボックス体11を支持し得、そして両処理側コンベヤ装置52を同期昇降させることで、搬送装置31に干渉されることなくボックス体11を昇降し得る。なお、両処理側コンベヤ装置52の同期昇降は、モータ48の正逆駆動により、歯車機構49を介して駆動軸50を正逆回転させ、そして歯車機構51を介して螺子軸体46を正逆回転させるとともに、ナット体47を介して被ガイド体44を昇降させることで行える。以上の42A,42B〜54などにより、昇降装置41の一例が構成され、そして21〜54などにより、処理手段20の一例が構成される。
【0028】
前記供給側コンベヤ装置61と排出側コンベヤ装置81とは、それぞれ2本(単数本または複数本)の脚体62,82を介して床F側に配設された直交状の方向Bにおいて一対のコンベヤフレーム63,83と、このコンベヤフレーム63,83に回転自在に配設されたローラ64,84群と、これらローラ64,84群を駆動させる駆動装置(図示せず。)などから構成されるとともに、両駆動装置は同期駆動されるように構成されている。その際に図7に示すように、両コンベヤ装置61,81のローラ64,84群によって形成される搬送支持面61a,81aは、搬送装置31の搬送面31aに対して少し上方に位置させた処理側コンベヤ装置52の搬送支持面52aと同様のレベルになるように設定されている。また両コンベヤ装置61,81の最大幅61LW,81LWは、処理側コンベヤ装置52の最大幅52LWと同様に、すなわち[61LW(81LW)≒52LW]に設定されている。
【0029】
そしてボックス体11は、供給側コンベヤ装置61に対して下降させることでボックス体搬送経路A上に供給される。その際に図1〜図5に示すように、供給部でボックス体搬送経路Aの両側部分には、搬送方向の3箇所(複数箇所)に球体65が設けられ、これら球体65は、ボックス体搬送経路A側が露出される状態でそれぞれ支持部材66に回動自在に支持されている。すなわち、コンベヤフレーム63は、上面開放のU型レール材により形成され、両側板63A間にローラ64群がローラ軸64Aを介して回転自在に配設されている。そしてコンベヤフレーム63の外側の側板63Aで所定箇所には、切り倒し状の受け板部63Bが外向き水平状に形成され、この受け板部63B上に支持部材66が載置され、連結具(ボルト・ナットなど)67により連結されている。
【0030】
その際に支持部材66の内向き上部側などを欠如状とすることで、支持部材66に対して球体65は、搬送方向視において上部側で90度以上θに露出されるとともに、平面視において中心線65aに対して前後に振り分ける状態で90度以上θに露出されている。さらに球体65は、支持板部63Bの形成状態や支持部材66の形状、連結などによって、ボックス体搬送経路Aを形成するローラ64間に位置されるように配設されるとともに、球体65の中心65bの位置が、コンベヤ装置61のローラ64群によって形成される搬送支持面61aよりも、或る高さhだけ上方として配設されている。以上の62〜67などにより供給側コンベヤ装置61の一例が構成され、また82〜87などにより排出側コンベヤ装置81の一例が構成される。
【0031】
前記供給側コンベヤ装置61の箇所に設けられた供給側昇降受台71と排出側コンベヤ装置81の箇所に設けられた排出側昇降受台91とは同様な構成であって、ボックス体搬送経路Aの方向で所定の間隔をおいて配設された一対の受け体72,92が、それぞれ床F側に配設された昇降作動部73,93からの昇降体74,94の上端に連結されることで構成されている。なお、前記受け体72,92の上面でボックス体搬送経路Aの方向の外端部には、受け体72,92とボックス体11との相対的な接近時にボックス体11の下部に作用する位置決め部材75,95が、それぞれ複数箇所に設けられている。ここで位置決め部材75,95は、ローラが遊転自在に設けられた形式や、丸ロッド体が横向きに配置されて溶接などで固定された形式などであり、以て内向きの円周面によってボックス体11の下部を案内したのち位置決めするように構成されている。
【0032】
その際に、一対の受け体72(92)はボックス体搬送経路Aの方向において、所定の幅11Wのボックス体11を支持し得る外端間幅72W(92W)、すなわち[11W<72W(92W)]に設定されるとともに、移載手段111が作用自在な内端間幅72S(92S)に設定されている。さらに受け体72(92)は、直交状の方向Bにおける長さ72L(92L)が、コンベヤ装置61(81)の内端面幅61SW(81SW)よりも短く、すなわち[72L(92L)<61SW(81SW)]に設定されている。以上の72〜75などにより供給側昇降受台71の一例が構成され、また92〜95などにより排出側昇降受台91の一例が構成される。
【0033】
前記処理手段20の前方に設けられる送り装置101は、たとえば製造工程(製造ライン)にガラス基板1を1枚ずつ搬送(供給)するもので、ベルト形式やローラ形式などからなり、その際に送り面101aは前記搬送装置31の搬送面31aと同レベル状とされている。また送り装置101とは反対側に設けられる移載手段111は、たとえば、処理手段20とコンベヤ装置61,81との外方間に形成された一定経路115上で移動自在な移動体112と、この移動体112に設けられた昇降部113と、この昇降部113に横方向出退動自在に設けられたフォーク部114などにより、その一例が構成される。その際にフォーク部114のフォーク幅114Wは一対の受け体72(92)の内端間幅72S(92S)よりも短く、すなわち[114W<72S(92S)]に設定されている。
【0034】
したがって移載手段111は、昇降部113を介してのフォーク部114の昇降動と、フォーク部114の横方向出退動との組み合わせ動作によって、供給側昇降受台71や排出側昇降受台91に対してボックス体11を受け渡し自在に構成される。
【0035】
以下に、上記した実施の形態1における作用を説明する。
図4に示すように、移載手段111はフォーク部114上にボックス体11を支持しており、ここでボックス体11には、支持部材15を介してガラス基板1が上下方向に所定の間隔を置いて複数段に収納されている。この移載手段111により、供給側昇降受台71に対して実のボックス体11を渡すのであるが、このとき図5に示すように、供給側昇降受台71では、昇降作動部73の作動により昇降体74を上昇させて、受け体72を供給側コンベヤ装置61の搬送支持面61aよりも上方に位置させており、また処理手段20では、昇降装置41によって処理側コンベヤ装置52の搬送支持面52aを搬送装置31の搬送面31aに対して少し上方に位置させて、供給側コンベヤ装置61の搬送支持面61aと同様のレベルにしている。
【0036】
したがって、一定経路115上で移動させてきた移載手段111を供給側昇降受台71に対向して停止させたのち、図5に示すように、昇降部113を上昇させた状態でフォーク部114を受け体72間へ突出動させ、そして昇降部113を下降させることで、フォーク部114で支持していた実のボックス体11を両受け体72上に渡し得る。その際にフォーク部114は、そのフォーク幅114Wが受け体72の内端間幅72Sよりも短いことから、その突出動や下降は何ら支障なく行える。その後に図9に示すように、フォーク部114は、収縮動されて昇降部113上に収められる。
【0037】
このようにして実のボックス体11を両受け体72上に渡す際に、移載手段111の停止位置の誤差やフォーク部114による実のボックス体11の支持位置の誤差などによって、両受け体72に対して実のボックス体11がボックス体搬送経路Aの方向において位置ずれ状態で渡されようとしたとき、渡される直前に、実のボックス体11の位置ずれ側の下部を、対応する位置決め部材75の内向きの円弧周面により案内し得、以てボックス体搬送経路Aの方向での位置ずれを自動的に修正し得るとともに、修正姿勢で位置決めし得る。
【0038】
このように両受け体72により実のボックス体11を支持した状態で、昇降作動部73の逆作動により受け体72を下降させて、供給側コンベヤ装置61の搬送支持面61aよりも下方に位置させることによって、供給側昇降受台71の両受け体72で支持していた実のボックス体11を供給側コンベヤ装置61の搬送支持面61a上に渡し得る。その際に、受け体72の直交状の方向Bにおける長さ72Lが、両供給側コンベヤ装置61の内端面幅61SWよりも短く設定されていることから、その下降動は何ら支障なく行える。また両供給側コンベヤ装置61の直交状の方向Bでの最大幅61LWがボックス体11の幅11Wよりも大きく設定されていることから、供給側コンベヤ装置61間でのボックス体11の支持は安定して行える。
【0039】
さらに、両受け体72に対して実のボックス体11が直交状の方向Bにおいて位置ずれ状態で支持されていたとき、受け体72の下降により実のボックス体11を供給側コンベヤ装置61の搬送支持面61a上に渡す直前に、実のボックス体11の位置ずれ側の下部を、対応する球体65群により案内し得、以て位置ずれを自動的に修正し得るとともに、修正姿勢で位置決めし得る。すなわち、図1の実線に示すように、実のボックス体11の下部矩形枠体12における位置ずれ側の下部が球体65の露出した球面に上方から当接し、そして下降力によって、支持部材66に対して球体65を下方側へ回動させながら下部矩形枠体12を案内することで、図1の仮想線に示すように、直交状の方向Bの位置ずれを自動的に修正した状態で、供給側コンベヤ装置61のローラ64群により支持し得る。
【0040】
このように、供給側コンベヤ装置61において実のボックス体11を位置決め支持した状態で、この供給側コンベヤ装置61と処理側コンベヤ装置52とを同期駆動させる。これにより、ボックス体搬送経路A上において実のボックス体11を、供給側コンベヤ装置61によって供給搬送し得るとともに、処理側コンベヤ装置52によって受け入れ搬送し得、以て実のボックス体11を、図6〜図8に示すように、入れ側開放部21bを通して枠本体21内に位置させ得る。
【0041】
その際に、下部矩形枠体12における位置ずれ修正側の外側面を、球体65の露出した球面に内側方から当接させていることで、供給側コンベヤ装置61による供給搬送は、支持部材66に対して球体65を水平方向側(下手側)へ回動させながら下部矩形枠体12を案内する状態で行われ、以て図3の仮想線に示すように、実のボックス体11を、直交状の方向Bの方向に振れる(位置ずれする)ことなく供給搬送し得る。
【0042】
これにより、実のボックス体11を下降によってボックス体搬送経路A上に供給する際に、球体65を支持部材66に対して下方側へ回動させながら案内することで、位置ずれ修正を自動的に行うことができるとともに、実のボックス体11を供給側コンベヤ装置61によって供給搬送する際に、球体65を支持部材66に対して水平方向側へ回動させながら案内することで、実のボックス体11を振れる(位置ずれする)ことなく円滑に供給搬送できる。すなわち、球体65を兼用した簡単かつ安価な構造でありながら、実のボックス体11の位置ずれ修正と円滑な供給搬送とを、常に好適に行うことができる。
【0043】
しかも、支持部材66に対して球体65を、搬送方向視において90度以上θに露出させるとともに、平面視において中心線65aに対して前後に振り分ける状態で90度以上θに露出させたことで、支持部材66に対して球体65を好適に露出させて、実のボックス体11の下降案内と搬送案内とを的確に行うことができるとともに、支持部材66による球体65の回動支持を安定して行うことができる。
【0044】
そして球体65を、その中心65bの位置を搬送支持面61aよりも上方として配設したことで、球体65の搬送案内位置(接触位置)を搬送支持面61aよりも上方として、その案内を常に安定して行うことができる。さらに、ボックス体搬送経路Aをローラ64群によって形成し、球体65をローラ64間に位置した配設したことで、支持部材66を介しての球体65の配設をコンパクトにして行うことができる。
【0045】
上述したように、実のボックス体11を、処理側コンベヤ装置52によって受け入れ搬送し、枠本体21内の所定箇所に位置したことを適宜の検出手段により検出することで、供給側コンベヤ装置61や処理側コンベヤ装置52の駆動を停止させる。そして昇降装置41の作動により処理側コンベヤ装置52を下降させることで、搬送支持面52aで支持している実のボックス体11を下降し得る。その際に実のボックス体11の下降は、搬送装置31の搬送幅31Wが実のボックス体11の下位開放部幅11aWより狭いことから、搬送装置31に衝突することなく、大部分を外嵌する状態で円滑に行える。そして下降は、図8の仮想線に示すように、最下段のガラス基板1が搬送装置31のローラ体35群に受け止められ、このガラス基板1に対して支持部材15が所定高さ下方へ離間したときに停止される。
【0046】
このような状態において、まず搬送装置31における両ゾーン31Z,31Zの駆動部36を同期駆動して、各回転軸34を介してローラ体35群を回転させることで、支持しているガラス基板1を切り出し、前側開放部21aを通して送り装置101側に供給するとともに、このガラス基板1を、駆動させている送り装置101によって支持搬送し得る。そして、ガラス基板1が送り装置101上に完全に乗り移ったことを検出するなどして、駆動部36を停止させることで、ガラス基板1をボックス体11内から送り装置101へと搬出し得る。その後に、上述と同様にして、昇降装置41によりボックス体11を1段分ずつ下降させることと、搬送装置31から送り装置101へ搬出させることを繰り返して行うことで、ボックス体11内のガラス基板1を、下段のガラス基板1から順に搬送装置31のローラ体35群上に載置して送り装置101へと搬送(搬出)し得る。
【0047】
そして図7の仮想線に示すように、ボックス体11内のガラス基板1を全て搬出したのち、昇降装置41の作動により処理側コンベヤ装置52を上昇させ、その搬送支持面52aを、搬送装置31の搬送面31aに対して少し上方で、排出側コンベヤ装置81の搬送支持面81aと同様のレベルに位置させる。次いで、処理側コンベヤ装置52と排出側コンベヤ装置81とを同期駆動させる。これにより、ボックス体搬送経路A上において空のボックス体11を、処理側コンベヤ装置52によって排出搬送させるとともに、排出側コンベヤ装置81によって受け入れ搬送させ、以て空のボックス体11を、図10に示すように、出し側開放部21cを通して排出側昇降受台91の上方に位置させる。
【0048】
このように排出側コンベヤ装置81により空のボックス体11を支持した状態で、昇降作動部93の作動により受け体92を上昇させて、排出側コンベヤ装置81の搬送支持面81aよりも上方に位置させることによって、排出側コンベヤ装置81の搬送支持面81aで支持していた空のボックス体11を排出側昇降受台91の両受け体92で支持し得る。このとき、排出側コンベヤ装置81による搬送停止位置の誤差などによって、両受け体92に対して空のボックス体11がボックス体搬送経路Aの方向において位置ずれ状態で渡されようとしたとき、渡される直前に、空のボックス体11の位置ずれ側の下部を、対応する位置決め部材95の内向きの円弧周面により案内し得、以てボックス体搬送経路Aの方向での位置ずれを自動的に修正し得るとともに、修正姿勢で位置決めし得る。
【0049】
そして、一定経路115上で移動させてきた空の移載手段111を排出側昇降受台91に対向して停止させたのち、昇降部113を下降させた状態でフォーク部114を排出側昇降受台91へと突出動させて、フォーク部114を空のボックス体11の下方に位置させる。次いで昇降部113を上昇させることで、両受け体92で支持していた空のボックス体11をフォーク部114で支持し得る。その後に図10の仮想線に示すように、フォーク部114を収縮動して昇降部113上に収めることで、空のボックス体11を移載手段111により搬送し得る。
【0050】
上記した実施の形態1では、コンベヤ装置61として、実のボックス体11内からガラス基板1を搬出処理する板状体処理設備において、ボックス体11を処理手段20に搬送するのに採用した形式が示されているが、これはガラス基板1を所定の搬送経路で搬送させるのに採用した形式などであってもよい。
【0051】
上記した実施の形態1では、被搬送物としてガラス基板1を収納したボックス体11が示されているが、被搬送物としては箱状物や、パレット体などであってもよい。
上記した実施の形態1では、実のボックス体(被搬送物)11を下降によってボックス体搬送経路A上に供給するに、フォーク付きの自走台車からなる移載手段が示されているが、被搬送物を下降によってボックス体搬送経路A上に供給するものとしては、自動倉庫における出し入れ装置(フォーク形式)の形式、吊りクレーンによる上方からの受け渡し形式などであってもよい。
【0052】
上記した実施の形態1では、支持部材66に対して球体65を、搬送方向視において90度以上θに露出させるとともに、平面視において中心線65aに対して前後に振り分ける状態で90度以上θに露出させた形式が示されているが、これは両方、またはいずれか一方を90度以下とした形式などであってもよい。
【0053】
上記した実施の形態1では、球体65を、その中心65bの位置を搬送支持面61aよりも上方として配設した形式が示されているが、これは中心65bの位置を、搬送支持面61aと同じレベルとして配設した形式、または搬送支持面61aよりも下方として配設した形式などであってもよい。
【0054】
上記した実施の形態1では、球体65をローラ64間に位置して配設した形式が示されているが、これはローラ64の外端よりも外方に位置して配設した形式などであってもよい。
【0055】
上記した実施の形態1では、供給側コンベヤ装置61の部分に球体65などが配設された形式が示されているが、これは処理側コンベヤ装置52や排出側コンベヤ装置81に搬送案内用として、球体65などを配設した形式などであってもよい。
【0056】
上記した実施の形態1では、供給側昇降受台71や排出側昇降受台91における受け体72,92の上面に位置決め部材75,95が設けられた形式が示されているが、これは位置決め部材75,95が省略された形式などであってもよい。
【0057】
上記した実施の形態1では、移載手段111からの実のボックス体11に対して、処理手段20のコンベヤ装置31においてガラス基板1を送り装置101へと1枚ずつ搬出処理し、そして空のボックス体11を移載手段111で取り出す形式が示されているが、これはコンベヤ装置31や送り装置101を逆動作させるなどすることで、移載手段111からの空のボックス体11に対して、処理手段20のコンベヤ装置31によって送り装置101からのガラス基板1を1枚ずつ上下複数段に収納処理したのち、実のボックス体11を移載手段111で取り出すようにした形式などであってもよい。
【0058】
上記した実施の形態1では、ボックス体11として、正方形状のガラス基板1を1枚ずつ上下複数段に収納する形式が示されているが、これは長方形状の小型のガラス基板を2枚(複数枚)並べた状態で上下複数段に収納する形式などであってもよい。その際にボックス体11は各段において、たとえば小型のガラス基板を、その長尺寸法の方向をコンベヤ装置31の搬送方向(前後方向)として左右2列で支持するように構成されている。この場合にコンベヤ装置31による搬送は、右側ゾーン31Zと左側ゾーン31Zとを別々に駆動して1枚ずつ行ってもよいし、両ゾーン31Z,31Zを同時に駆動して2枚(1段)を同時に行ってもよい。
【0059】
上記した実施の形態1では、板状体としてガラス基板1が示されているが、これは金属板や樹脂板などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、コンベヤ装置の要部の一部切り欠き正面図である。
【図2】同コンベヤ装置の要部の斜視図である。
【図3】同コンベヤ装置の要部の平面図である。
【図4】同コンベヤ装置を採用した板状体処理設備におけるボックス体を移載する前の平面図である。
【図5】同コンベヤ装置を採用した板状体処理設備におけるボックス体を移載する途中の縦断側面図である。
【図6】同コンベヤ装置を採用した板状体処理設備における処理手段部分の横断平面図である。
【図7】同コンベヤ装置を採用した板状体処理設備における処理手段部分の縦断側面図である。
【図8】同コンベヤ装置を採用した板状体処理設備における処理手段部分の縦断正面図である。
【図9】同コンベヤ装置を採用した板状体処理設備におけるボックス体を移載した後の平面図である。
【図10】同コンベヤ装置を採用した板状体処理設備におけるボックス体を出し側に移動した後の平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ガラス基板(板状体)
11 ボックス体(被搬送物)
11a 下位開放部
11b 側位開放部
12 下部矩形枠体
13 縦枠
14 上部矩形枠体
15 支持部材
20 処理手段
21 枠本体
21a 前側開放部
21b 入れ側開放部
21c 出し側開放部
31 搬送装置
31a 搬送面
32 コンベヤフレーム
35 ローラ体
36 駆動部
41 昇降装置
42A 前側装置部
42B 後側装置部
48 モータ
52 処理側コンベヤ装置
52a 搬送支持面
53 コンベヤフレーム
54 ローラ
61 供給側コンベヤ装置(コンベヤ装置)
61a 搬送支持面
62 脚体
63 コンベヤフレーム
63A 側板
63B 受け板部
64 ローラ
64A ローラ軸
65 球体
65a 中心線
65b 中心
66 支持部材
67 連結具
71 供給側昇降受台
72 受け体
73 昇降作動部
75 位置決め部材
81 排出側コンベヤ装置
81a 搬送支持面
83 コンベヤフレーム
84 ローラ
91 排出側昇降受台
92 受け体
93 昇降作動部
95 位置決め部材
101 送り装置
101a 送り面
111 移載手段
112 移動体
113 昇降部
114 フォーク部
A ボックス体搬送経路(搬送経路)
B 直交状の方向(前後方向)
θ 搬送方向視における露出角度
θ 平面視における露出角度
h 或る高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を支持搬送するコンベヤ装置であって、被搬送物は下降によって搬送経路上に供給され、その供給部で搬送経路の両側部分には、搬送方向の複数箇所に球体が設けられ、これら球体は、搬送経路側が露出される状態でそれぞれ支持部材に回動自在に支持されていることを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項2】
支持部材に対して球体は、搬送方向視において上部側で90度以上に露出されるとともに、平面視において中心線に対して前後に振り分ける状態で90度以上に露出されていることを特徴とする請求項1記載のコンベヤ装置。
【請求項3】
球体は、その中心の位置が搬送支持面よりも上方として配設されていることを特徴とする請求項1または2記載のコンベヤ装置。
【請求項4】
搬送経路はローラ群によって形成され、球体はローラ間に位置されて配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンベヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−168996(P2008−168996A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3945(P2007−3945)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】