説明

コンベヤ装置

【課題】本発明の目的は、作業者の手作業による負担をなくすばかりでなく、設備コスト及びエネルギーコストもなくすことのできるコンベヤ装置を提供することである。
【解決手段】コンベヤ装置10を、自由転動する複数のローラー12を有するローラーコンベヤ14と、ローラーコンベヤ14をローラーコンベヤ14の重心Gよりも搬送方向後端B側で回動可能に軸支する回動軸16と、自重により回動するローラーコンベヤ14を一定角度θの傾きで止めて規制する規制部材18と、ローラーコンベヤ14の回動軸16よりも前記後端B側から垂下する垂下部材20と、を備えて構成し、フォークリフト22の車輪30が垂下部材20の一部を踏むことにより、ローラーコンベヤ14が回動軸16のまわりに回動して水平に維持されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自由転動する複数のローラーを有するローラーコンベヤを含むコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自由転動する複数のローラーを有するローラーコンベヤを含むコンベヤ装置が使用されている。コンベヤ装置の一例として、図5にコンベヤ装置1を示す。このコンベヤ装置1は、自由転動する複数のローラー2を有するローラーコンベヤ3と、ローラーコンベヤ3を支持する支持部材4と、搬送物5の移動を規制するストッパー6と、を備えて構成されている。また、ローラーコンベヤに関して種々の改良が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5のコンベヤ装置1は、フォークリフト7から搬送物5を移載した後、ストッパー6を手動により又はアクチュエータにより下へ退避させ又は取り去った状態で、手動で搬送物5を次工程の方向(X方向)へ送ることができる。
【特許文献1】特開2004−18244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、コンベヤ装置1の場合には、ストッパー6を手動により又はアクチュエータにより作動させる必要があるとともに、搬送物5を手動で搬送させる必要があった。手動にによる作業が必要となるため、作業者の負担が大きく、また、安全性をより向上させる必要があった。また、アクチュエータを作動させる場合には、設備コスト及びエネルギーコストが生じていた。
【0005】
上記の課題に鑑みて、本発明の目的は、作業者の手作業による負担をなくすばかりでなく、設備コスト及びエネルギーコストもなくすことのできるコンベヤ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンベヤ装置は、自由転動する複数のローラーを有するローラーコンベヤと、前記ローラーコンベヤを該ローラーコンベヤの重心よりも搬送方向後端側で回動可能に軸支する回動軸と、自重により回動する前記ローラーコンベヤを一定角度の傾きで止めて規制する規制部材と、前記ローラーコンベヤの前記回動軸よりも前記後端側から垂下する垂下部材と、を備え、フォークリフトが前記垂下部材の一部を踏むことにより、前記ローラーコンベヤが回動して水平に維持されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るコンベヤ装置は、前記コンベヤ装置において、前記ローラーコンベヤが回動して水平に維持される時に、前記ローラーコンベヤよりも上方へ、前記回動軸よりも搬送方向先端側で突出させられるストッパーを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコンベヤ装置によれば、搬送物をフォークリフトから降ろす際には、フォークリフトが垂下部材の一部を踏むことによりローラーコンベヤを水平に維持することができる一方で、フォークリフトがローラーコンベヤから離れるとローラーコンベヤが傾斜して搬送物を次工程へ送ることができる。このため、作業者の手作業による負担をなくすばかりでなく、アクチュエータを一切使用しない構成にして設備コスト及びエネルギーコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図4において、符号10は、本発明のコンベヤ装置を示す。コンベヤ装置10は、自由転動する複数のローラー12を有するローラーコンベヤ14と、ローラーコンベヤ14をローラーコンベヤ14の重心Gよりも搬送方向後端B側で回動可能に軸支する回動軸16と、自重により回動するローラーコンベヤ14を一定角度θの傾きで止めて規制する規制部材18と、ローラーコンベヤ14の回動軸16よりも前記後端B側から垂下する垂下部材20と、を備えている。このコンベヤ装置10は、図3に示すように、フォークリフト22の車輪30が垂下部材20の一部を踏むことにより、ローラーコンベヤ14が回動軸16のまわりに回動して水平に維持される。また、コンベヤ装置10は、図3に示すように、ローラーコンベヤ14が回動して水平に維持される時に、ローラーコンベヤ14よりも上方へ、回動軸16よりも搬送方向先端F側で突出させられるストッパー24を備えている。
【0010】
ローラーコンベヤ14は、後端B側の回動軸16によって軸支されているため、外力が付加されない場合には、自重によって先端F側が下へ回動することとなる。なお、この回動軸16は、フロアー26に固定された柱28の上端付近に備えられている。規制部材18は、フロアー26に固定され、自重によって先端F側が下へ回動するローラーコンベヤ14を角度θで止めて規制するように構成されている。垂下部材20は、フォークリフト22の車輪30によって踏みやすいように、先端にペダル32が回動可能に取り付けられている。
【0011】
ストッパー24は、規制部材18にピン結合されたリンク34にピン結合されている。リンク34は、ローラーコンベヤ14に連結されたバネ36によって上方向への付勢力が付加され、これによりストッパー24は上方向への付勢力が付加されている。一方、ローラーコンベヤ14に固定されたドグ38がリンク34を上から押圧しており、これにより、図1の状態においては、バネ36の付勢力によるストッパー24の上方への移動はローラーコンベヤ14の自重によって規制され、ストッパー24はローラーコンベヤ14内に収納されることとなる。
【0012】
このようなコンベヤ装置10を利用してフォークリフト22上の搬送物40を次工程へ移動させる作用について、以下に説明する。
【0013】
まず、図2に示すように、搬送物40にフォーク23を挿入して搬送物40を保持するフォークリフト22が、搬送物40を次工程へ搬送するために、コンベヤ装置10へ向ってX方向に接近する。この時、ローラーコンベヤ14は、上述のように、ローラーコンベヤ14自体の自重によって水平方向に対して角度θだけ傾いている。また、ストッパー24はローラーコンベヤ14内に収納されている。
【0014】
次に、更にフォークリフト22がコンベヤ装置10へ向ってX方向に接近すると、図3に示すように、フォークリフト22の車輪30が垂下部材20のペダル32を踏むこととなる。車輪30がペダル32を踏むと、フォークリフト22及び搬送物40の自重によって垂下部材20が押し下げられ、ローラーコンベヤ14の先端F側が上方へ回動してドグ38が上昇する。ドグ38が上昇することにより、リンク34がバネ36の付勢力によって上方へ回動し、ストッパー24がローラーコンベヤ14よりも上方へ突出する。ストッパー24が突出した状態で、フォーク23を搬送物40から抜いて搬送物40をローラーコンベヤ14上に載置する。ストッパー24が突出しているため、搬送物40がローラーコンベヤ14から転落することがない。
【0015】
その後、フォークリフト22がコンベヤ装置10から−X方向に離隔すると、図4に示すように、車輪30がペダル32から離隔し、搬送物40及びローラーコンベヤ14の自重によってローラーコンベヤ14の先端F側が下方へ回動して再び角度θだけ傾くこととなる。これにより、搬送物40は傾いたローラーコンベヤ14上を自重によってX方向へ移動し、次工程のコンベヤ50上へ送られる。この時、図1及び図2の状態と同様に、ドグ38がリンク34を押圧することにより、ストッパー24はローラーコンベヤ14に収納されており、ローラーコンベヤ14上を移動する搬送物40がストッパー24に干渉することはない。
【0016】
このようなコンベヤ装置10によれば、搬送物40をフォークリフト22から降ろす際には、車輪30によってペダル32を踏んでローラーコンベヤ14を水平に維持するとともにストッパー24をローラーコンベヤ14よりも上方へ突出させることができる。一方で、フォークリフト22がローラーコンベヤ14から離れるとローラーコンベヤ14が傾斜するとともにストッパー24が解除され、搬送物40を次工程へ送ることができる。このため、アクチュエータを一切使用しない構成によって搬送物40を次工程へ送ることができる。また、アクチュエータ及びセンサを使用しない構成であるため、コストを低減できるとともに故障要因も少なくなる。
【0017】
以上、本発明に係るコンベヤ装置の態様を説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正又は変形を加えた態様で実施し得るものであり、これらの態様はいずれも本発明の技術的範囲に属するものである。例えば、本発明のコンベヤ装置の実施に使用するフォークリフトは、無人式であっても有人式であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明に係るコンベヤ装置は、作業者の手作業による負担をなくすばかりでなく、アクチュエータを一切使用しない構成にして設備コスト及びエネルギーコストを低減できる。このため、搬送物を次工程へ移動させるためのコンベヤ装置として有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のコンベヤ装置を示す側面図である。
【図2】図1のコンベヤ装置の使用状態を示す図であり、搬送物を保持するフォークリフトが接近する状態を示す側面図である。
【図3】図1のコンベヤ装置の使用状態を示す図であり、フォークリフトから搬送物を降ろす状態を示す側面図である。
【図4】図1のコンベヤ装置の使用状態を示す図であり、搬送物を降ろしたフォークリフトが離隔する状態を示す側面図である。
【図5】従来のコンベヤ装置の使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0020】
10;コンベヤ装置
12;ローラー
14;ローラーコンベヤ
16;回動軸
18;規制部材
20;垂下部材
22;フォークリフト
24;ストッパー
26;フロアー
28;柱
30;車輪
32;ペダル
34;リンク
36;バネ
38;ドグ
40;搬送物
B;搬送方向後端
F;搬送方向先端
G;重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由転動する複数のローラーを有するローラーコンベヤと、
前記ローラーコンベヤを該ローラーコンベヤの重心よりも搬送方向後端側で回動可能に軸支する回動軸と、
自重により回動する前記ローラーコンベヤを一定角度の傾きで止めて規制する規制部材と、
前記ローラーコンベヤの前記回動軸よりも前記後端側から垂下する垂下部材と、を備え、
フォークリフトが前記垂下部材の一部を踏むことにより、前記ローラーコンベヤが回動して水平に維持されるコンベヤ装置。
【請求項2】
前記ローラーコンベヤが回動して水平に維持される時に、前記ローラーコンベヤよりも上方へ、前記回動軸よりも搬送方向先端側で突出させられるストッパーを備えたコンベヤ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−132518(P2009−132518A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311033(P2007−311033)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【特許番号】特許第4265812号(P4265812)
【特許公報発行日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】