説明

コークス炉操業スケジュール作成装置

【課題】コークス炉の点検や修理工事のために停止する炉団をコークス炉稼働率が低下しないように反映した操業スケジュールを、工数が掛からないように容易に組み直すこと。
【解決手段】記憶部602に、A〜D炉団毎に、当該炉団に配列された窯を5窯ピッチ数分の5グループに分け、更に全炉団の窯にシーケンシャルに付けた窯番号が5グループの各々で5ピッチ毎に順次配列されるように定義づけた5組のA〜D炉団窯順データを記憶する。スケジュール作成処理部604によって、表示部608に、操業クルー選択画面を表示し、ここで操業クルーの選択操作時に、この操業クルー別に、複数の炉団毎に定義づけられた5組の窯順データを組単位(A1などの単位)で入力設定するための窯順パターン設定画面を表示し、ここで窯順データの入力設定操作に応じて当該設定内容を表示し、この設定内容の確定操作に応じて、設定内容を操業スケジュールとして確定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭を乾留(高温で蒸す)してコークスを製造する窯を多数有して成るコークス炉を操業する際に、コークス炉の稼働率が低下しないように操業スケジュールを作成するコークス炉操業スケジュール作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11にコークス炉500の全体構成を示し、その説明を行う。コークス炉500では、石炭の燃焼室及び炭化室を構成する炉が「1窯」(又は「1門」)と呼ばれ、一般的に30〜50窯程度の塊りを「炉団」と称す。このコークス炉500では、例えば55窯の炉団が符号511,512,513,514で示すように直線上に所定の間隔で4つ配備されている。これらをA炉団511、B炉団512、C炉団513、D炉団514と称す。
【0003】
これらA炉団511〜D炉団514の上に配備された平行な2本のレール部516には、2つの装炭車518,519が移動自在に載置されており、更にレール部516を上方から跨る状態に2つの石炭塔521,522が配備されている。一方の石炭塔521は、A炉団511とB炉団512との間に配備され、他方の石炭塔522は、C炉団513とD炉団514との間に配備されている。
【0004】
レール部516には、当該レール部516を貫通してA炉団511〜D炉団514毎に連通する上昇管524,525,526,527並びに放散ブリーダー529,530,531,532が配備されている。また、各炉団511〜514には、矢印Y1で示す方向にコークス炉ガスを輸送するガス管534が連通されている。そのコークス炉ガスは図示せぬ精製工程へ輸送されるようになっている。
【0005】
A炉団511〜D炉団514の当該図面に向かって後方には、複数の押出機536,537,538がレール部516と平行に配備された図示せぬレール部を介して移動自在に載置され、図面に向かって前方には、複数のガイド車540,541,542がレール部516と平行に配備されたレール部544を介して移動自在に載置されている。
更に、ガイド車540〜542の前方には、後方のレール部516と平行に配備されたレール部546を介して消火車548とバケットカー549が移動自在に載置されている。また、レール部546の左側と中央部とには当該レール部546を上方から跨って消火塔551,552が配備されている。更に、レール部546の前方中央部には乾式消火設備であるCDQ553が配備されている。
【0006】
また、当該コークス炉500には、A炉団511及びB炉団512用の煙突557と、C炉団513及びD炉団514用の煙突558とが配備されている。
このような構成のコークス炉500において、A炉団511〜D炉団514のうちA炉団511の系統を例にとってコークス製造時の各要素の処理を説明する。
まず、石炭塔521には図示せぬコンベアで搬送されてくる石炭が積み込まれる。この石炭塔521に積み込まれた石炭は、石炭塔521の下に移動した装炭車518に積載され、この装炭車518がA炉団511の上方を徐々に移動しながらA炉団511の55窯全てに石炭を充填する。
【0007】
この後、A炉団511の各窯にて石炭が十数時間、乾留される。この乾留時、A炉内の圧力が過剰に上昇しないように放散ブリーダー529で圧力上昇が抑制され、また、発生するコークス炉ガスは上昇管524を介して回収され、これらによってA炉が適正状態に保持されるようになっている。更に乾留時に発生し上昇管524部分を介して回収されるコークス炉ガスは、ガス管534を通って図示せぬ精製工程へ搬送される。また、排ガスは煙突557から放出される。
【0008】
この乾留によってコークスができると、コークスが押出機536でA炉団511の各窯から押し出される。この押し出されたコークスはガイド車540で案内されながら消火車548に積み込まれ、この積込後、消火車548がレール部546を移動して消火塔551に配置され、ここでコークスに水がかけられて冷却される。
この一連の製造処理がB炉団512、C炉団513、D炉団514においても行われるが、C炉団513及びD炉団514においては、消火車548の代わりにバケットカー549,542が用いられてコークスが冷却される。例えばバケットカー549のバケツにガイド車541で案内されたコークスが積載され、この後、そのバケツが図示せぬクレーンでCDQ553に搬送され、ここで窒素によって冷却される。即ち、A炉団511、B炉団512はコークス冷却が湿式冷却である例であり、C炉団513、D炉団514は乾式冷却を行う例で示した。
【0009】
このように、石炭を乾留してコークスを製造する処理は、各々が55窯を有するA炉団511〜D炉団514を、A及びB炉団511,512の組み合わせであるABと、C及びD炉団513,514の組合せであるCDとの2グループや、全炉団ABCDを1つとする1グループのようにグループ分けし、1つのグループを操業クルーと称す。例えばABとCDの2グループであれば、2クルーであり、この場合、それぞれABクルーとCDクルーと称す。ABCDの1グループであれば、1クルーであり、ABCDクルーと称す。なお、2クルーの場合、AとBCDとの2グループのように1:3炉団の組み合わせもある。
【0010】
このような操業クルーをもとに操業スケジュールを組み、このスケジュールに従ってコークス炉500の操業を行うようになっている。
操業スケジュールを組む場合、A〜Dの4つの炉団511〜514の全ての窯(4×55=220窯)に、A炉団511の1番目の窯からD炉団514の220番目の窯まで順にシーケンシャル番号を付け、図12に表で示すように、そのシーケンシャル番号を次に説明する所定の順序に従って、人が1窯ずつ配列することにより操業スケジュールSS1を組む。この操業スケジュールSS1は、通常スケジューリングされる基本パターンである。
【0011】
この操業スケジュールSS1に示すように、当業界では一般的に、A〜D炉団の各窯を稼動させる場合、操業クルー毎に5窯ピッチで行う。この5窯ピッチは、隣接窯との熱干渉が無く、更に、レール上を移動するガイド車540〜542の移動距離が長くならず効率よく移動できることを満たすように定めたものである。この5窯ピッチ毎に原料炭の装入と、コークスの押し出しを行うようになっている。
【0012】
更に、操業クルー毎に5窯ピッチで窯を稼動させながら、これを操業クルー窯順No(ナンバー).の順に行う。操業クルー窯順No.とは、操業クルー毎に窯を稼動する際の窯ピッチの数を1から末番まで順に番号として定めたものである。ここでは、5窯ピッチなので1〜5を操業クルー窯順No.1〜No.5としており、更に、それらNo.1〜No.5が連続しないように、No.1,No3,No.5,No2,No.4のように配列してある。
【0013】
また、図12の操業クルーの欄に記載するように、操業クルーが、例えばABCDクルーの1クルーである場合、A〜D炉団の操業クルー窯順No.は、まず、操業クルー窯順No.1では、A炉団511の1番目の窯(シーケンシャル番号=1)から5窯ピッチ毎に順次配列した「1,6,11,16,…,51」の番号列となり、この次は、B炉団512の1番目の窯(シーケンシャル番号=56)から5窯ピッチ毎に順次配列した「56,61,66,71,…,106」となり、この次は、C炉団513の1番目の窯(シーケンシャル番号=111)から5窯ピッチ毎に順次配列した「116,121,126,…,161」となり、この次は、D炉団514の1番目の窯(シーケンシャル番号=166)から5窯ピッチ毎に順次配列した「166,171,176,181,…,216」となる。
【0014】
次に、操業クルー窯順No.3は、A炉団511の3番目の窯(シーケンシャル番号=3)から5窯ピッチ毎に順次配列した「3,8,13,18,…,53」の番号列となり、この次は、B炉団512の3番目の窯(シーケンシャル番号=58)から5窯ピッチ毎に順次配列した「58,63,68,73,…,108」となり、この次は、C炉団513の3番目の窯(シーケンシャル番号=113)から5窯ピッチ毎に順次配列した「113,118,123,128,…,163」となり、この次は、D炉団514の3番目の窯(シーケンシャル番号=168)から5窯ピッチ毎に順次配列した「168,173,178,183,…,218」となる。
【0015】
次に、操業クルー窯順No.5は、A炉団511の5番目の窯(シーケンシャル番号=5)から5窯ピッチ毎に順次配列した「5,10,15,20,…,55」の番号列となり、この次は、B炉団512の5番目の窯(シーケンシャル番号=60)から5窯ピッチ毎に順次配列した「60,65,70,75,…,110」となり、この次は、C炉団513の5番目の窯(シーケンシャル番号=115)から5窯ピッチ毎に順次配列した「115,120,125,130,…,165」となり、この次は、D炉団514の5番目の窯(シーケンシャル番号=170)から5窯ピッチ毎に順次配列した「170,175,180,185,…,220」となる。
【0016】
次に、操業クルー窯順No.2は、A炉団511の2番目の窯(シーケンシャル番号=2)から5窯ピッチ毎に順次配列した「2,7,12,17,…,52」の番号列となり、この次は、B炉団512の2番目の窯(シーケンシャル番号=57)から5窯ピッチ毎に順次配列した「57,62,67,72,…,107」となり、この次は、C炉団513の2番目の窯(シーケンシャル番号=112)から5窯ピッチ毎に順次配列した「112,117,122,127,…,162」となり、この次は、D炉団514の2番目の窯(シーケンシャル番号=167)から5窯ピッチ毎に順次配列した「167,172,177,182,…,217」となる。
【0017】
次に、操業クルー窯順No.4は、A炉団511の4番目の窯(シーケンシャル番号=4)から5窯ピッチ毎に順次配列した「4,9,14,19,…,54」の番号列となり、この次は、B炉団512の4番目の窯(シーケンシャル番号=59)から5窯ピッチ毎に順次配列した「59,64,69,74,…,109」となり、この次は、C炉団513の4番目の窯(シーケンシャル番号=114)から5窯ピッチ毎に順次配列した「114,119,124,129,…,164」となり、この次は、D炉団514の4番目の窯(シーケンシャル番号=169)から5窯ピッチ毎に順次配列した「169,174,179,184,…,219」となる。
【0018】
ここで、操業クルーがABCDクルーの1クルーである場合、コークス炉500の操業は、操業スケジュールSS1に従って次のように行われる。
まず、操業クルー窯順No.1において、A炉団511の窯が「1,6,11,16,…,51」の順に稼動され、次に、B炉団512の窯が「56,61,66,71,…,106」の順に稼動され、次に、C炉団513の窯が「116,121,126,…,161」の順に稼動され、次に、D炉団514の窯が「171,176,181,…,216」の順に稼動される。
【0019】
次に、操業クルー窯順No.3において、A炉団511の窯が「3,8,13,18,…,53」の順に稼動され、次に、B炉団512の窯が「58,63,68,73,…,108」の順に稼動され、次に、C炉団513の窯が「113,118,123,128,…,163」の順に稼動され、次に、D炉団514の窯が「168,173,178,183,…,218」の順に稼動される。
【0020】
次に、操業クルー窯順No.5において、A炉団511の窯が「5,10,15,20,…,55」の順に稼動され、次に、B炉団512の窯が「60,65,70,75,…,110」の順に稼動され、次に、C炉団513の窯が「115,120,125,130,…,165」の順に稼動され、次に、D炉団514の窯が「170,175,180,185,…,220」の順に稼動される。
【0021】
次に、操業クルー窯順No.2において、A炉団511の窯が「2,7,12,17,…,52」の順に稼動され、次に、B炉団512の窯が「57,62,67,72,…,107」の順に稼動され、次に、C炉団513の窯が「112,117,122,127,…,162」の順に稼動され、次に、D炉団514の窯が「167,172,177,182,…,217」の順に稼動される。
【0022】
次に、操業クルー窯順No.4において、A炉団511の窯が「4,9,14,19,…,54」の順に稼動され、次に、B炉団512の窯が「59,64,69,74,…,109」の順に稼動され、次に、C炉団513の窯が「114,119,124,129,…,164」の順に稼動され、次に、D炉団514の窯が「169,174,179,184,…,219」の順に稼動される。
【0023】
以降同様に、操業クルー窯順No.1に戻ってNo.1,No3,No.5,No2,No.4の順に巡回してABCDクルーの各窯が稼動される。
また、図12の操業クルーの欄に記載するように、操業クルーが、ABクルーとCDクルーの2クルーである場合、コークス炉500の操業は、操業スケジュールSS1に従って次のように行われる。
【0024】
まず、操業クルー窯順No.1において、ABクルーとCDクルー毎に、各炉団が並列に稼動される。つまり、ABクルーにおいて、A炉団511の窯が「1,6,11,16,…,51」の順に稼動され、これと同時に、CDクルーにおいて、C炉団513の窯が「116,121,126,…,161」の順に稼動される。従って、ABクルーにおいては、A炉団511の次に、B炉団512の窯が「56,61,66,71,…,106」の順に稼動され、CDクルーにおいては、C炉団513の次に、D炉団514の窯が「171,176,181,…,216」の順に稼動される。
【0025】
これと同様に、次の操業クルー窯順No3,No.5,No2,No.4においても各操業クルーのA・B炉団と、C・D炉団とが並列に稼動される。
即ち、操業クルー窯順No.3において、ABクルーのA炉団511の窯が「3,8,13,18,…,53」の順に稼動され、これと並列にCDクルーのC炉団513の窯が「113,118,123,128,…,163」の順に稼動される。次に、ABクルーのB炉団512の窯が「58,63,68,73,…,108」の順に稼動され、これと並列にD炉団514の窯が「168,173,178,183,…,218」の順に稼動される。
【0026】
次に、操業クルー窯順No.5において、ABクルーのA炉団511の窯が「5,10,15,20,…,55」の順に稼動され、これと並列にCDクルーのC炉団513の窯が「115,120,125,130,…,165」の順に稼動される。次に、ABクルーのB炉団512の窯が「60,65,70,75,…,110」の順に稼動され、これと並列にD炉団514の窯が「170,175,180,185,…,220」の順に稼動される。
【0027】
次に、操業クルー窯順No.2において、ABクルーのA炉団511の窯が「2,7,12,17,…,52」の順に稼動され、これと並列にCDクルーのC炉団513の窯が「112,117,122,127,…,162」の順に稼動される。次に、ABクルーのB炉団512の窯が「57,62,67,72,…,107」の順に稼動され、これと並列にCDクルーのD炉団514の窯が「167,172,177,182,…,217」の順に稼動される。
【0028】
次に、操業クルー窯順No.4において、ABクルーのA炉団511の窯が「4,9,14,19,…,54」の順に稼動され、これと並列にCDクルーのC炉団513の窯が「114,119,124,129,…,164」の順に稼動される。次に、ABクルーのB炉団512の窯が「59,64,69,74,…,109」の順に稼動され、これと並列にCDクルーのD炉団514の窯が「169,174,179,184,…,219」の順に稼動される。
【0029】
以降同様に、操業クルー窯順No.1に戻ってNo.1,No3,No.5,No2,No.4の順に巡回してABクルーとCDクルーとの各窯が並列に稼動される。
このように、コークス炉500は、連続操業が原則であるため、長年使用すると、コークス炉本体(炉団)及び移動設備、付帯設備等の老朽が進み、定期的な点検や修理が必須となる。
【0030】
定期的な修理工事の内容としては、代表的なものとして、コークス炉内煉瓦の溶射・積み替え、金物類の取り替え、移動機の修理、機械品・電気品の取り替え、走行レール補修、給電装置補修、コークス炉集塵機の補修、水処理設備の補修、ベルトコンベアーの補修などがある。特に、建築後、数十年経過しているコークス炉操業を継続するためには数多い部位の修理工事が必要である。これを怠ると突発故障が頻発し、予期せぬ減産になり損失が増大することになるので、修理工事は必須となっている。
【0031】
また、修理工事には、該当する炉団を長時間停止さなければならないが、炉団を長時間停止させることは、当該操業クルーのコークス生産量を低下させることになる。一般的に修理時間は、コークス炉の燃焼ガス温度調整・操業調整をしながら当該停止クルーの停止時間帯(例えば6時間×2日間/1ヶ月)を決めている。この6時間×2日間/1ヶ月がコークス炉500の当該操業クルーの生産停止時間となる。更に、比較的規模の大きな修理を行うためには、6時間×3〜5日間の停止が必要である。このように、炉団を長時間停止する場合、コークス炉稼働率が低くなるので、当該操業クルーのコークス生産量を低下させることになる。
【0032】
そこで、コークス炉500の修理工事を行う都度、コークス炉稼働率が低下しないように、その修理工事に見合った操業スケジュールSS1を組み直すようになっている。
この種の操業スケジュールを作成してコークス炉を操業する技術として、例えば特許文献1に記載の内容がある。
これは、計画的なコークスの減産を回避し得るよう、すべての操業エリアにおいて、長時間の非作業時間帯を確保できることを目的として、両隣に燃焼室が配備された多数の炭化室からなるコークス炉について、炭化室からのコークスの窯出し作業とこれに続く原料炭の装入作業とからなる単位炉作業を行う際、1つの操業クルーが単位炉作業を受け持つコークス炉の部分を複数の操業エリアに区分し、1つの操業エリアに属する複数の炭化室の単位炉作業を連続して行った後、別の操業エリアに属する複数の炭化室の単位炉作業を連続して行うことを、前記各操業エリアについて順次繰返すことにより、各操業エリアにおける単位炉作業を行っていない非操業時間を連続して確保するようになっている。
【特許文献1】特開2000−290664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
ところで、上述したように、コークス炉500の修理工事を行う都度、コークス炉稼働率が低下しないように、その修理工事を行うに見合った操業スケジュールSS1を組み直す場合、その都度、担当者が試行錯誤して全220窯の1窯ずつ番号を入力して組み直さなければならないので、容易に組み直すことができず工数が掛かるという問題がある。
上記特許文献1においては、非操業時間を連続して確保できるので、この間に点検や修理工事等を行うことが可能である。しかし、緊急の点検や修理工事が発生した場合は、この点検や修理工事を行うに見合った操業スケジュールを担当者が組み直さなければならないので、上記同様、容易に組み直すことができず工数が掛かるという問題がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、コークス炉の点検や修理工事のために停止する炉団をコークス炉稼働率が低下しないように反映した操業スケジュールを、工数が掛からないように容易に組み直すことができるコークス炉操業スケジュール作成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0034】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によるコークス炉操業スケジュール作成装置は、石炭を乾留してコークスを製造する窯を所定数配列した炉団を複数備え、この複数の炉団が1又は2の操業クルーに分けられ、この操業クルー単位で炉団の各窯がnピッチ順に稼動されるコークス炉を操業する際に、コークス炉の稼働率が低下しないように操業スケジュールを作成するコークス炉操業スケジュール作成装置において、前記複数の炉団毎に、当該炉団に配列された前記窯を前記nピッチ数分のnグループに分け、更に全炉団の窯にシーケンシャルに付けた窯番号が、前記nグループの各々でnピッチ毎に順次配列されるように定義づけたn組の窯順データを記憶する記憶手段と、文字画像を表示する表示手段と、前記表示手段に、前記操業クルーの選択画面を表示し、この画面で操業クルーが選択操作された際に、この選択された操業クルー別に、前記複数の炉団毎に定義づけられたn組の窯順データを組単位で入力設定するための窯順パターン設定画面を表示し、この画面での窯順データの入力設定操作に応じて当該設定内容を表示し、この表示された設定内容を確定する操作に応じて、その設定内容を前記操業スケジュールとして確定する処理を行う処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0035】
この構成によれば、コークス炉の稼働率が低下しないように操業スケジュールを作成する場合、利用者は、画面上で操業クルーを選択し、複数の炉団毎に定義づけられたn組の窯順データを組単位で入力設定し、この設定内容を確定する操作を行えばよい。従って、従来のように、利用者が試行錯誤して全炉団の窯の1窯ずつ番号を入力して操業スケジュールを組といった処理が不要となる。例えば、A〜Dの4つの炉団毎に55窯配列されている場合、全窯は4炉団×55窯=220窯であるが、この全220窯の1窯ずつ番号を入力してスケジュールを組むのはかなりの工数が掛かる。本発明では、A〜D炉団毎に、5窯ピッチ毎に窯番号が、例えば「1,6,11,…,51」のように11数値づつ配列された5組の窯順データA1〜A5,B1〜B5,C1〜C5,D1〜D5を記憶しておき、これらを組単位(例えばA1)で入力設定可能である。つまり、A1には11数値の窯番号が組み込まれているので、従来に比べ、1/11の入力設定回数で済み、更に各窯番号の確認も1窯毎に行わなくても済むので、スケジュール作成工数を大幅に削減することができる。
【0036】
また、本発明の請求項2によるコークス炉操業スケジュール作成装置は、請求項1において、前記処理手段は、前記複数の炉団のうち任意の炉団を停止するための停止選択画面を表示し、この画面で操業クルーが停止選択操作された際に、この選択された炉団の窯順データが他の炉団の窯順データで補われるように自動で設定したのち当該設定内容を表示し、この表示された設定内容を確定する操作に応じて、その設定内容を前記操業スケジュールとして確定する処理を行うことを特徴とする。
【0037】
この構成によれば、A〜D炉団の点検や修理工事などで炉団を停止する場合、利用者は停止対象の炉団を停止選択操作するのみで、その停止選択された炉団の窯順データが他の炉団の窯順データで補われるように自動で設定されるので、従来のように、停止炉団を除く他の炉団で全220窯分を1窯ずつ番号入力してスケジュールを組むといった作業がなくなる。従って、本発明では炉団停止時にスケジュールを組む際に大幅に工数を削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように本発明によれば、コークス炉の点検や修理工事のために停止する炉団をコークス炉稼働率が低下しないように反映した操業スケジュールを、工数が掛からないように容易に組み直すことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るコークス炉操業スケジュール作成装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すコークス炉操業スケジュール作成装置600は、前述で説明したコークス炉500の操業スケジュールを作成するためにコンピュータによる実現した装置であり、炉団毎窯順データdtを記憶する記憶部602と、スケジュール作成処理部604と、ディスプレイに操作画面606が表示される表示部608とを備えて構成されている。
【0040】
なお、コークス炉操業スケジュール作成装置600は、コンピュータ装置なのでキーボード610並びにマウス611も備え、これらの入力命令をスケジュール作成処理部604へ入力可能となっている。
炉団毎窯順データdtは、A〜D炉団毎に窯を、図2に示すように、5窯ピッチ数分のグループに分け、即ちA炉団511をA1〜A5の5グループの窯順データ、B炉団512をB1〜B5の5グループの窯順データ、C炉団513をC1〜C5の5グループの窯順データ、D炉団514をD1〜D5の5グループの窯順データに分け、更に、これらグループ内の窯番号が5窯ピッチで順次配列されるように定義づけたデータである。
【0041】
A炉団窯順データA1は、A炉団511の1番目の窯(前述したシーケンシャル番号=1)から5窯ピッチ毎に順次配列した「1,6,11,16,…,51」の番号列から成る。A炉団窯順データA2は、A炉団511の2番目の窯(前述したシーケンシャル番号=2)から5窯ピッチ毎に順次配列した「2,7,12,17,…,52」の番号列から成る。A炉団窯順データA3は、A炉団511の3番目の窯(前述したシーケンシャル番号=3)から5窯ピッチ毎に順次配列した「3,8,13,18,…,53」の番号列から成る。A炉団窯順データA4は、A炉団511の4番目の窯(前述したシーケンシャル番号=4)から5窯ピッチ毎に順次配列した「4,9,14,19,…,54」の番号列から成る。A炉団窯順データA5は、A炉団511の5番目の窯(前述したシーケンシャル番号=5)から5窯ピッチ毎に順次配列した「5,10,15,20,…,55」の番号列から成る。
【0042】
B炉団窯順データB1は、B炉団512の1番目の窯(シーケンシャル番号=56)から5窯ピッチ毎に順次配列した「56,61,66,71,…,106」の番号列から成る。B炉団窯順データB2は、B炉団512の2番目の窯(シーケンシャル番号=57)から5窯ピッチ毎に順次配列した「57,62,67,72,…,107」の番号列から成る。B炉団窯順データB3は、B炉団512の3番目の窯(シーケンシャル番号=58)から5窯ピッチ毎に順次配列した「58,63,68,73,…,108」の番号列から成る。B炉団窯順データB4は、B炉団512の4番目の窯(シーケンシャル番号=59)から5窯ピッチ毎に順次配列した「59,64,69,74,…,109」の番号列から成る。B炉団窯順データB5は、B炉団512の5番目の窯(シーケンシャル番号=60)から5窯ピッチ毎に順次配列した「60,65,70,75,…,110」の番号列から成る。
【0043】
C炉団窯順データC1は、C炉団513の1番目の窯(シーケンシャル番号=111)から5窯ピッチ毎に順次配列した「116,121,126,…,161」の番号列から成る。C炉団窯順データC2は、C炉団513の2番目の窯(シーケンシャル番号=112)から5窯ピッチ毎に順次配列した「112,117,122,127,…,162」の番号列から成る。C炉団窯順データC3は、C炉団513の3番目の窯(シーケンシャル番号=113)から5窯ピッチ毎に順次配列した「113,118,123,128,…,163」の番号列から成る。C炉団窯順データC4は、C炉団513の4番目の窯(シーケンシャル番号=114)から5窯ピッチ毎に順次配列した「114,119,124,129,…,164」の番号列から成る。C炉団窯順データC5は、C炉団513の5番目の窯(シーケンシャル番号=115)から5窯ピッチ毎に順次配列した「115,120,125,130,…,165」の番号列から成る。
【0044】
D炉団窯順データD1は、D炉団514の1番目の窯(シーケンシャル番号=166)から5窯ピッチ毎に順次配列した「166,171,176,181,…,216」の番号列から成る。D炉団窯順データD2は、D炉団514の2番目の窯(シーケンシャル番号=167)から5窯ピッチ毎に順次配列した「167,172,177,182,…,217」の番号列から成る。D炉団窯順データD3は、D炉団514の3番目の窯(シーケンシャル番号=168)から5窯ピッチ毎に順次配列した「168,173,178,183,…,218」の番号列から成る。D炉団窯順データD4は、D炉団514の4番目の窯(シーケンシャル番号=169)から5窯ピッチ毎に順次配列した「169,174,179,184,…,219」の番号列から成る。D炉団窯順データD5は、D炉団514の5番目の窯(シーケンシャル番号=170)から5窯ピッチ毎に順次配列した「170,175,180,185,…,220」の番号列から成る。
【0045】
次に、スケジュール作成処理部604は、表示部608にスケジュール作成用の操作画面606を表示し、この操作画面606での操作内容に応じたスケジュール作成のための処理を次に説明するように行う。
操作画面606として、最初に図3の(a)に示す操業クルー選択画面606−0及び(b)に示す炉団停止選択画面606−1が表示される。
操業クルー選択画面606−0は、操業クルーを選択する画面であり、操業クルーをAB炉団(第1クルー)とCD炉団(第2クルー)との2クルーに設定するための2クルーAB/CD釦701と、A炉団(第1クルー)とBCD炉団(第2クルー)との2クルーに設定するための2クルーA/BCD釦702と、ABCD炉団の1クルーに設定するための1クルーABCD釦703とが表示される。
【0046】
炉団停止選択画面606−1は、炉団の点検や修理工事などで炉団を停止する際に停止設定を行うと共に、停止から操業状態に設定する際に操業設定を行う画面であり、A〜D炉団毎に、該当の炉団を操業する設定を行う操業釦731,732,733,734と、該当の炉団を停止する設定を行う停止釦735,736,737,738とが表示される。
【0047】
操業クルー選択画面606−0において、2クルーAB/CD釦701がマウス611でクリックされて選択されると、スケジュール作成処理部604は、表示部608に図4に示す2クルーAB/CD窯順パターン設定画面606−2を表示する処理を行い、2クルーA/BCD釦702が選択されると、図5に示す2クルーA/BCD窯順パターン設定画面606−3を表示する処理を行い、1クルーABCD釦703が選択されると、図6に示す1クルー窯順パターン設定画面606−4を表示する処理を行う。
【0048】
利用者は、それら表示された設定画面606−2〜606−4にて、コークス炉500を稼動するための所定の窯順パターンを設定することになる。これは通常、前述で図12を参照して説明したように、操業クルー窯順No.並びに操業クルーにおけるA〜D炉団毎の稼動順窯番号で示される窯稼動順に従って設定される。
即ち、図4に示す2クルーAB/CD窯順パターン設定画面606−2においては、AB#1〜#10の設定欄(XX)を該当の選択釦で選択しながら、この選択欄に入力するA炉団窯順データA1〜A5及びB炉団窯順データB1〜B5を、これらに対応する設定PB釦A1〜A5及びB1〜B5で入力し、決定釦705で決定する。また、各選択釦の下の削除釦は、この入力決定された窯順データを誤り時等に削除するためのものである。全削除釦706は、AB#1〜#10の設定欄に設定されたデータを全て削除するためのものである。
【0049】
CD#1〜#10の設定欄(XX)においても同様に該当の選択釦で選択しながら、この選択欄に入力するC炉団窯順データC1〜C5及びD炉団窯順データD1〜D5を、これらに対応する設定PB釦C1〜C5及びD1〜D5で入力し、決定釦707で決定する。全削除釦708は、CD#1〜#10の設定欄に設定されたデータを全て削除するためのものである。
図5に示す2クルーA/BCD窯順パターン設定画面606−3においては、A#1〜#5の設定欄(XX)を該当の選択釦で選択しながら、この選択欄に入力するA炉団窯順データA1〜A5を、これらに対応する設定PB釦A1〜A5で入力し、決定釦709で決定する。全削除釦710は、A#1〜#5の設定欄に設定されたデータを全て削除するためのものである。
【0050】
BCD#1〜#15の設定欄(XX)においても同様に該当の選択釦で選択しながら、この選択欄に入力するB炉団窯順データB1〜B5,C炉団窯順データC1〜C5及びD炉団窯順データD1〜D5を、これらに対応する設定PB釦B1〜B5,C1〜C5及びD1〜D5で入力し、決定釦711で決定する。全削除釦712は、BCD#1〜#15の設定欄に設定されたデータを全て削除するためのものである。
【0051】
図6に示す1クルー窯順パターン設定画面606−4においては、ABCD#1〜#20の設定欄(XX)を該当の選択釦で選択しながら、この選択欄に入力するA〜D炉団窯順データA1〜A5,B1〜B5,C1〜C5,D1〜D5を、これらに対応する設定PB釦A1〜A5,B1〜B5,C1〜C5,D1〜D5で入力し、決定釦713で決定する。全削除釦714は、ABCD#1〜#20の設定欄に設定されたデータを全て削除するためのものである。
【0052】
このように窯順データが設定されると、これに応じてスケジュール作成処理部604は、図7に示すように、操業スケジュール作成画面606−5を表示部608に表示する処理を行う。操業スケジュール作成画面606−5には、操業クルー選択状態715と、炉団停止選択状態716と、窯順パターン設定状態717と、現状設定状態718とが表示される。この表示は、本例では図示しないが色分け等によって判り易く表示する。
【0053】
図7の表示例では、操業クルー選択状態715として2クルーAB/CDが選択され、炉団停止選択状態716として、炉団停止選択は無くA〜D炉団の全てが操業されるように設定されている。窯順パターン設定状態717としては、2クルーAB/CDの#1〜#20欄に、上記の2クルーAB/CD窯順パターン設定画面606−2で設定された各炉団窯順データA,B,C,Dが、#1(B5),#2(A2),#3(A4),…#19(D3),#20(C2)のように表示される。
【0054】
また、2クルーA/BCDの#1〜#20欄に、上記の2クルーA/BCD窯順パターン設定画面606−3で設定された各炉団窯順データA,B,C,Dが、#1(A1),#2(A3),#3(A5),…#19(B2),#20(B4)が表示される。更に、1クルーABCD#1〜#20欄に、上記の1クルー窯順パターン設定画面606−4で設定された各炉団窯順データA,B,C,Dが、#1(B2),#2(C5),#3(D3),…#19(D4),#20(B4)が表示される。
【0055】
これらの場合、2クルーAB/CDの設定では、#1〜#10欄に表示された第1クルーのAB炉団と、#11〜#20欄に表示された第2クルーのCD炉団とが、並列に、先頭から末尾まで順次巡回して稼動することになる。2クルーA/BCDの設定では、#1〜#5欄に表示された第1クルーのA炉団と、#6〜#20欄に表示された第2クルーのBCD炉団とが、並列に、先頭から末尾まで順次巡回して稼動することになる。1クルーABCDの設定では、#1〜#20欄に表示された第1クルーのABCD炉団が、先頭から末尾まで順次巡回して稼動することになる。
【0056】
また、窯順パターン設定状態717には、2クルーAB/CDの#1(B5)〜#10(A5)の表示欄の下に、それらB5〜A5の組の第1クルーの各窯の稼動状態を表示する第1クルースタート窯表示部721が表示され、#11(D5)〜#20(B4)の表示欄の下に、それらD5〜B4の組の第2クルーの各窯の稼動状態を表示する第2クルースタート窯表示部722が表示される。
【0057】
また、2クルーA/BCDの#1(A1)〜#5(A4)の表示欄の下に、それらA1〜A4の組の第1クルーの各窯の稼動状態を表示する第1クルースタート窯表示部723が表示され、#6(D1)〜#20(B4)の表示欄の下に、それらD1〜B4の組の第2クルーの各窯の稼動状態を表示する第2クルースタート窯表示部724が表示される。
また、1クルーABCDの#1(B2)〜#20(B4)の表示欄の下に、その1クルーの各窯の稼動状態を表示するスタート窯表示部725が表示される。
【0058】
現状設定状態718には、現在設定されている窯順パターンの操業クルーと、炉団の操業又は停止の状態と、現設定の操業クルーの窯順パターンが表示される。
更に、この操業スケジュール作成画面606−5には、上記のコークス炉操業のための各種設定後に、当該設定に基づくコークス炉操業スケジュールの作成を確定するスケジュール作成釦726が表示される。
また、炉団の点検や修理工事などで該当の炉団を停止する場合、図3(b)に示す炉団停止選択画面606−1の停止釦735〜738で設定するようになされている。
【0059】
この場合、スケジュール作成処理部604は、何れかの停止釦735〜738の押下に応じて次のように処理を行う。例えば、図7に示すように、2クルーAB/CDが選択されている場合に、炉団停止選択画面606−1においてA炉の停止釦735が押下されたとする。この場合、スケジュール作成処理部604は、図8の操業スケジュール作成画面606−5の炉団停止選択状態716に示すようにA炉を停止状態に表示し、これに対応する現状設定状態718の炉団停止選択欄のA炉を停止状態に表示する処理を行う。更に、窯順パターン設定状態717の2クルーAB/CDの#1〜#10欄に示すように、A炉団窯順データA1〜A5を削除し、これに対応する現状設定状態718の#1〜#10欄に示すようにA炉団窯順データA1〜A5を削除する処理を行う。
【0060】
この例の場合、第1クルーでは、#1(B5),#2(空白),#3(空白),#4(B2),#5(B4),#6(空白),#7(空白),#8(B1),#9(B3),#10(空白)となるが、空白部分はスキップし、先頭の#1から末尾の#10までB5,B2,B4,B1,B3の順に巡回して稼動することになる。
このような構成のコークス炉操業スケジュール作成装置600によるコークス炉500の操業スケジュールの作成処理を、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0061】
但し、スケジュール作成処理部604の表示部608には操作画面606として、図3に示す操業クルー選択画面606−0及び炉団停止選択画面606−1が表示されているとする。
ステップS1において、利用者は、操業クルー選択画面606−0にて、操業クルーを選択する操作を行う。例えば、2クルーAB/CD釦701がクリックされ、これに応じたスケジュール作成処理部604の処理によって、AB炉団を第1クルー、CD炉団を第2クルーとする操業クルーが選択されたとする。
【0062】
次に、ステップS2において、その選択に応じたスケジュール作成処理部604の処理によって、表示部608に、図4に示す2クルーAB/CD窯順パターン設定画面606−2が表示される。
ここで、ステップS3において、その2クルーAB/CD窯順パターン設定画面606−2にて利用者が、所定の窯順パターンに従って、A〜D炉団窯順データA1〜A5,B1〜B5,C1〜C5,D1〜D5を入力する。この入力は次のような利用者の操作に応じたスケジュール作成処理部604の処理によって実行される。
【0063】
まず、ABの#1の選択釦をクリックして選択可能状態とし、次に、この選択欄に入力するB炉団窯順データB5を、これに対応する設定PB釦B5をクリックして入力し、決定釦705をクリックして決定する。この決定入力されたB炉団窯順データB5が誤りであった場合は、その#1にB5が表示されている下の削除釦をクリックしてB5を削除する。ここでは、B5が適正であってB5が入力決定されたとする。
【0064】
以降同様に、#2にA2,#3にA4,#4にB2,#5にB4,#6にA1,#7にA3,#8にB1,#9にB3,#10にA5が入力されて決定されたとする。
更に、同画面606−2のCD#1〜#10においても同様に、#1にD5,#2にC4,#3にD2,#4にC1,#5にD4,#6にC3,#7にD1,#8にC5,#9にD3,#10にC2が入力されて決定されたとする。
ステップS4において、その入力決定により窯順データが設定されると、これに応じたスケジュール作成処理部604の処理によって、表示部608に、図7に示す操業スケジュール作成画面606−5が表示される。
【0065】
つまり、操業クルー選択状態715として2クルーAB/CDが選択された状態が表示され、炉団停止選択状態716として、炉団停止選択が無く、A〜D炉団の全てが操業設定されている状態が表示される。窯順パターン設定状態717としては、2クルーAB/CDの#1〜#20欄に、上記の2クルーAB/CD窯順パターン設定画面606−2でのA〜D炉団窯順データの設定状態、即ち、ABクルー設定に応じて、#1にB5、#2にA2,#3にA4,#4にB2,#5にB4,#6にA1,#7にA3,#8にB1,#9にB3,#10にA5が表示され、CDクルー設定に応じて、#11にD5,#12にC4,#13にD2,#14にC1,#15にD4,#16にC3,#17にD1,#18にC5,#19にD3,#20にC2が表示される。
【0066】
なお、この下方の2クルーA/BCD並びに1クルーABCDの各A〜D炉団窯順データの設定状態は、以前に設定されたものであるとする。
更に、現状設定状態718に、現在設定されている操業クルーとして2クルーAB/CDが点灯表示され、A〜D炉団の操業又は停止の状態として全炉団が操業として表示され、現設定の操業クルーの窯順パターンとして、2クルーAB/CDクルーのA〜D炉団窯順データが、#1(B5),#2(A2),#3(A4),#4(B2),#5(B4),#6(A1),#7(A3),#8(B1),#9(B3),#10(A5が表示され、CDクルー設定(応じて、#11(D5),#12(C4),#13(D2),#14(C1),#15(D4),#16(C3),#17(D1),#18(C5),#19(D3),#20(C2)のように表示される。
【0067】
ステップS5において、利用者は、その操業スケジュール作成画面606−5に表示された設定内容(設定スケジュール)が良い(OK)か否かを確認する。良くなければ上記ステップS1に戻って設定スケジュールの内容を変更する。
良ければステップS6において、操業スケジュール作成画面606−5のスケジュール作成釦726をクリックする。このクリックに応じたスケジュール作成処理部604の処理に応じて、その設定スケジュールが操業スケジュールとして確定され、これによって、操業スケジュールが完成する。
【0068】
次に、A〜D炉団の点検や修理工事などで炉団を停止する場合の操業スケジュールの作成処理を、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
但し、現在、コークス炉500の操業に上記ステップS1〜S6の処理で完成した操業スケジュールが適用されているとする。また、停止対象はA炉団511とする。
まず、ステップS11において、利用者によって点検や修理工事などで炉団を停止する際に、キーボード610又はマウス611にて図3に示す操業クルー選択画面606−0及び炉団停止選択画面606−1を表示するための操作が行われると、この操作に応じたスケジュール作成処理部604の処理によって、表示部608に、それら選択画面606−0及び606−1が表示される。
【0069】
ステップS12において、利用者は、炉団停止選択画面606−1で、停止対象のA炉団511の停止釦735をクリック選択する。
ステップS13において、その選択に応じたスケジュール作成処理部604の処理によって、停止対象のA炉団と、このA炉団停止選択前の操業スケジュールにA炉団停止をコークス炉稼働率が低下しないように反映したA〜D炉団窯順データとが、図8に示す操業スケジュール作成画面606−5に表示される。即ち、炉団停止選択状態716に示すように、A炉が停止状態に表示され、これに対応する現状設定状態718の炉団停止選択欄のA炉が停止状態に表示される。更に、窯順パターン設定状態717の2クルーAB/CDの#1〜#10欄に示すように、A炉団窯順データA1〜A5が削除されて空白とされ、これに対応する現状設定状態718の#1〜#10欄に示すようにA炉団窯順データA1〜A5が削除されて空白とされる。
【0070】
ステップS14において、利用者は、その操業スケジュール作成画面606−5に表示された設定内容(設定スケジュール)が良い(OK)か否かを確認する。良くなければ上記ステップS11に戻って設定スケジュールの内容を変更する。
良ければステップS15において、操業スケジュール作成画面606−5のスケジュール作成釦726をクリックする。このクリックに応じたスケジュール作成処理部604の処理に応じて、その設定スケジュールが操業スケジュールとして確定され、これによって、操業スケジュールが完成する。
【0071】
このように、本実施の形態のコークス炉操業スケジュール作成装置600によれば、記憶部602に、A〜D炉団毎に、当該炉団に配列された窯を5窯ピッチ数分の5グループに分け、更に全炉団の窯にシーケンシャルに付けた窯番号が、5グループの各々で5ピッチ毎に順次配列されるように定義づけた5組のA〜D炉団窯順データA1〜A5,B1〜B5,C1〜C5,D1〜D5を記憶する。
【0072】
また、スケジュール作成処理部604の処理によって、表示部608に、操業クルー選択画面606−0を表示し、この画面606−0で操業クルーが選択操作された際に、この選択された操業クルー別に、複数の炉団毎に定義づけられた5組の窯順データを組単位(A1やB2などの単位)で入力設定するための窯順パターン設定画面606−2〜606−4を表示し、この画面606−2〜606−4での窯順データの入力設定操作に応じて当該設定内容を操業スケジュール作成画面606−5に表示し、この表示された設定内容を確定する操作に応じて、その設定内容を操業スケジュールとして確定する処理を行うようにした。
【0073】
これによって、コークス炉500の稼働率が低下しないように操業スケジュールを作成する場合、利用者は、画面上で操業クルーを選択し、複数の炉団毎に定義づけられた5組の窯順データを組単位で入力設定し、この設定内容を確定する操作を行えばよい。従って、従来のように、利用者が試行錯誤して全炉団の窯の1窯ずつ番号を入力して操業スケジュールを組といった処理が不要となる。
コークス炉500では、A〜Dの4つの炉団毎に55窯配列されているので、全窯は4炉団×55窯=220窯であるが、この全220窯の1窯ずつ番号を入力してスケジュールを組むのはかなりの工数が掛かる。
【0074】
しかし、本実施の形態では、A〜D炉団毎に、5窯ピッチ毎に窯番号が、例えば「1,6,11,…,51」のように11数値づつ配列された5組の窯順データA1〜A5,B1〜B5,C1〜C5,D1〜D5を記憶しておき、これらを組単位(例えばA1)で入力設定可能である。つまり、A1には11数値の窯番号が組み込まれているので、従来に比べ、1/11の入力設定回数で済み、更に各窯番号の確認も1窯毎に行わなくても済むので、スケジュール作成工数を大幅に削減することができる。
【0075】
また、スケジュール作成処理部604が、複数の炉団のうち任意の炉団を停止するための炉団停止選択画面606−1を表示し、この画面606−1で操業クルーが停止選択操作された際に、この選択された炉団の窯順データが他の炉団の窯順データで補われるように自動で設定したのち当該設定内容を操業スケジュール作成画面606−5に表示し、この表示された設定内容を確定する操作に応じて、その設定内容を操業スケジュールとして確定する処理を行うようにした。
【0076】
これによって、A〜D炉団の点検や修理工事などで炉団を停止する場合、利用者は停止対象の炉団を停止選択操作するのみで、その停止選択された炉団の窯順データが他の炉団の窯順データで補われるように自動で設定されるので、従来のように、停止炉団を除く他の炉団で全220窯分を1窯ずつ番号入力してスケジュールを組むといった作業がなくなる。従って、本発明では炉団停止時にスケジュールを組む際に大幅に工数を削減することが可能となる。
つまり、コークス炉の点検や修理工事のために停止する炉団をコークス炉稼働率が低下しないように反映した操業スケジュールを、工数が掛からないように容易に組み直すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態に係るコークス炉操業スケジュール作成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】炉団毎窯順データの内容をA〜D炉団毎に示す図である。
【図3】(a)操業クルー選択画面、(b)炉団停止選択画面を示す図である。
【図4】2クルーAB/CD窯順パターン設定画面を示す図である。
【図5】2クルーA/BCD窯順パターン設定画面を示す図である。
【図6】1クルーA/BCD窯順パターン設定画面を示す図である。
【図7】全炉団操業設定時の操業スケジュール作成画面を示す図である。
【図8】A炉団を停止及びC〜D炉団操業設定時の操業スケジュール作成画面を示す図である。
【図9】本実施の形態のコークス炉操業スケジュール作成装置によるコークス炉の操業スケジュールの作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】A〜D炉団の点検や修理工事などで炉団を停止する場合の操業スケジュールの作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】コークス炉の全体構成を示す図である。
【図12】従来の操業スケジュールの表を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
10 コークス炉
11 A炉団
12 B炉団
13 C炉団
14 D炉団
16,44,46 レール部
18,19 装炭車
21,22 石炭塔
24,25,26,27 上昇管
29,30,31,32 放散ブリーダー
34 ガス管
36,37,38 押出機
40,41,42 ガイド車
44 レール部
48 消火車
49 バケットカー
51,52 消火塔
53 CDQ
57,58 煙突
600 コークス炉操業スケジュール作成装置
602 記憶部
604 スケジュール作成処理部
606 操作画面
608 表示部
610 キーボード
611 マウス
dt 炉団毎窯順データ
A1〜A5 A炉団窯順データ
B1〜B5 B炉団窯順データ
C1〜C5 C炉団窯順データ
D1〜D5 D炉団窯順データ
606−0 操業クルー選択画面
606−1 炉団停止選択画面
606−2 2クルーAB/CD窯順パターン設定画面
606−3 2クルーA/BCD窯順パターン設定画面
606−4 1クルーA/BCD窯順パターン設定画面
606−5 操業スケジュール作成画面
701 2クルーAB/CD釦
702 2クルーA/BCD釦
703 1クルーABCD釦
705,707,709,711,713 決定釦
706,708,710,712,714 全削除釦
715 操業クルー選択状態
716 炉団停止選択状態
717 窯順パターン設定状態
718 現状設定状態
721,723 第1クルースタート窯表示部
722,724 第2クルースタート窯表示部
725 スタート窯表示部
726 スケジュール作成釦
731,732,733,734 操業釦
735,736,737,738 停止釦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭を乾留してコークスを製造する窯を所定数配列した炉団を複数備え、この複数の炉団が1又は2の操業クルーに分けられ、この操業クルー単位で炉団の各窯がnピッチ順に稼動されるコークス炉を操業する際に、コークス炉の稼働率が低下しないように操業スケジュールを作成するコークス炉操業スケジュール作成装置において、
前記複数の炉団毎に、当該炉団に配列された前記窯を前記nピッチ数分のnグループに分け、更に全炉団の窯にシーケンシャルに付けた窯番号が、前記nグループの各々でnピッチ毎に順次配列されるように定義づけたn組の窯順データを記憶する記憶手段と、
文字画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に、前記操業クルーの選択画面を表示し、この画面で操業クルーが選択操作された際に、この選択された操業クルー別に、前記複数の炉団毎に定義づけられたn組の窯順データを組単位で入力設定するための窯順パターン設定画面を表示し、この画面での窯順データの入力設定操作に応じて当該設定内容を表示し、この表示された設定内容を確定する操作に応じて、その設定内容を前記操業スケジュールとして確定する処理を行う処理手段と
を備えたことを特徴とするコークス炉操業スケジュール作成装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記複数の炉団のうち任意の炉団を停止するための停止選択画面を表示し、この画面で操業クルーが停止選択操作された際に、この選択された炉団の窯順データが他の炉団の窯順データで補われるように自動で設定したのち当該設定内容を表示し、この表示された設定内容を確定する操作に応じて、その設定内容を前記操業スケジュールとして確定する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のコークス炉操業スケジュール作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−297442(P2008−297442A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145253(P2007−145253)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】