説明

コージェネレーションシステムの保護方法

【課題】熱交換器へ供給される給水量が低下又は断水したとき、熱交換器内の温度や圧力が異常に上昇して熱交換器を損傷することが無く、エネルギー効率を高めることができ、システムが大型化することが無いコージェネレーションシステムの保護方法を提供する。
【解決手段】コージェネレーションシステムの保護方法は、燃料電池等の発電発熱器によって電気及び高温の排気ガスを発生し、電気は電気回路を介して負荷又は電力系統に供給し、排気ガスは熱交換器に供給しこの熱交換器の水路に給水して温水に変化させて給湯するコージェネレーションシステムの保護方法において、熱交換器への給水量が低下又は断水したときは排気ガスに空気または窒素ガスを混入して温度を低下させることによって熱交換器が異常高温高圧になるのを防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コージェネレーションシステムに設けられた熱交換器が異常高温高圧になるのを防止するためのコージェネレーションシステムの保護方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池、ガスタービン、ガスエンジン等の発電発熱器によって電気を発生し、そのときに生じる排気ガスを給湯に利用することによって、エネルギーを有効利用し、環境への負荷を減少させるコージェネレーションシステムが提案されている。(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)
【0003】
図6は、従来技術のコージェネレーションシステムの保護方法の構成を示す図であって、発電発熱器として燃料電池を使用している。同図において、燃料供給ユニット1へ、コンプレッサ又はブロアを備えた運転用空気供給源2が運転用空気を昇圧し、コンプレッサ又はブロアを備えたガス供給源3が都市ガスを昇圧し、ポンプを備えた純水供給源4が純水を供給する。
【0004】
燃料供給ユニット1は、供給された運転用空気を、燃料用空気バルブ11を開閉して、燃料用空気流量調整器12にて流量を調整して燃料電池5に供給する。また、燃料電池冷却用空気バルブ13を開閉して、燃料電池冷却用流量調整器14にて流量を調整して燃料電池5に供給して、燃料電池5の内のセルを冷却する。また、供給された都市ガスを、ガスバルブ15を開閉して、ガス流量調整器にて流量を調整して、燃料電池5に供給する。また、供給された純水を、純水バルブ17を開閉して、純水流量計18を通過させて燃料電池5に供給する。
【0005】
燃料電池5は、固体電解質形燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池等の高温型燃料電池であって、供給された都市ガスと純水とから水素を生成し、この水素と燃料用空気の酸素とを化学反応させて、電気と高温の排気ガスとを発生させる。
【0006】
燃料電池5から供給された排気ガスは、排気配管6によって熱交換器7へ供給される。この排気配管6には、排気ガス切換えバルブ8が設けられている。排気ガス切換えバルブ8は、通常、燃料電池5が供給する排気ガスを熱交換器7へ供給する流路につながれている。そして、後述する断水検出センサ9からの断水検出信号S1を入力したとき、燃料電池5が供給する排気ガスを外部へ排気するために、バイパス配管10へ流路を切換える。排気配管6、排気ガス切換えバルブ8及びバイパス配管10には、空気への放熱を減少させるために、断熱材が巻かれている。
【0007】
冷水供給源20は冷水を熱交換器7に供給する。断水検出センサ9は、冷水供給源20が供給する冷水の給水量が低下又は断水したことを検出して、排気ガス切換えバルブ8へ断水検出信号S1を出力する。熱交換器7は、供給された冷水を、燃料電池5が供給する排気ガスによって温水に変換して、貯湯槽21へ供給し、排気ガスを外部へ噴出する。貯湯槽21へ供給された温水は、給湯等に利用される。
【0008】
以下、動作を説明する。
図6において、運転用空気供給源2、ガス供給源3及び純水供給源4から供給された空気、都市ガス及び純水は、燃料供給ユニット1で流量が調整されて、燃料電池5へ供給される。燃料電池5は、供給された都市ガスと純水とから水素を生成し、この水素と燃料用空気の酸素とを化学反応させて、電気と高温の排気ガスとを発生させる。燃料電池冷却用空気は、燃料電池5内のセルを冷却する。燃料電池5が発生する電気は、図示を省略した負荷又は電力系統に供給する。
【0009】
燃料電池5は、排気ガスを排気ガス切換えバルブ8を通過して熱交換器7へ供給する。熱交換器7は、冷水供給源20が供給する冷水を燃料電池5が供給する排気ガスで、例えば、90度程度の温水に変換し、貯湯槽21へ供給する。貯湯槽21へ供給された温水は、給湯等に利用される。また、熱交換器7は、冷水を温水に変換することによって温度が低下した排気ガスを外部へ噴出する。
【0010】
上述したように、冷水供給源20が熱交換器7へ冷水を供給しているが、この給水量が、低下又は断水する場合がある。それは、例えば、冷水供給源20に入水する冷水が断水する場合や、冷水供給源20が故障したり、冷水供給源20のメンテナンスのために、冷水が低下又は停止する場合、又は、温水を長期間使用しないときに、冷水の供給を停止したりする場合である。これらの場合には、熱交換器7の水路に水が滞留し、この滞留した水が燃料電池5から供給される排気ガスで加熱されて水蒸気となって膨張する。そして、熱交換器7内の配管内の圧力が、異常に上昇して熱交換器7を損傷することがある。また、熱交換器7に供給される排気ガスは、その温度を冷水から温水に変換させることによって低下させて、排気している。しかし、冷水が熱交換器に供給されないために、温度を低下させることができないので、熱交換器7を損傷することがある。
【0011】
この場合、燃料電池5を停止させて熱交換器7への排気ガスを停止して、熱交換器7の温度を低下させても良い。しかし、高温型燃料電池は、起動するために長時間掛かる。そのために、燃料電池5を動作させた状態で、周辺機器の修理やメンテナンスを行うことが要求されている。そこで、従来、冷水供給源20が熱交換器7へ供給する給水量が低下又は断水したときは、断水検出センサ9が断水検出信号S1を排気ガス切換えバルブ8へ出力して、排気ガス切換えバルブ8が排気ガスの流路を熱交換器7への流路からバイパス配管10への流路に切換えて、排気ガスを外部へ噴出させている。この結果、熱交換器7の温度が異常に上昇して損傷することを防止することができる。しかし、後述する課題を有する。
【特許文献1】特開平5−93593号公報
【特許文献2】特開2002−295867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、燃料電池5からの排気配管6には、排気ガス切換えバルブ8が設けられている。この排気ガス切換えバルブ8は、燃料電池5から多量の排気ガスが熱交換器7へ供給されるので、大型のバルブが使用されている。また、この排気ガス切換えバルブ8には、空気への放熱を減少させるために、断熱材が巻かれている。しかし、完全に熱を遮断することができないために、燃料電池5の通常運転時に、排気ガスの熱が排気ガス切換えバルブ8やバイパス配管10から逃げることになる。そのために、熱交換器7に十分な熱が供給されず、エネルギー効率を低下させていた。また、排気ガス切換えバルブ8は大型であり、さらに断熱材を巻くために、システムが大型化する問題があった。
【0013】
本発明は、熱交換器へ供給される給水量が低下又は断水したとき、熱交換器の温度及び圧力が異常に上昇して損傷することが無く、エネルギー効率を高めることができ、システムが大型化することが無いコージェネレーションシステムの保護方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、第1の発明は、図1に示すコージェネレーションシステムの保護方法であって、燃料電池、ガスタービン、ガスエンジン等の発電発熱器によって電気及び高温の排気ガスを発生し、前記電気は電気回路を介して負荷又は電力系統に供給し、前記排気ガスは熱交換器に供給しこの熱交換器の水路に給水して温水に変化させて給湯するコージェネレーションシステムの保護方法において、
前記熱交換器への給水量が低下又は断水したときは前記排気ガスに空気または窒素ガスを混入して温度を低下させることによって前記熱交換器が異常高温高圧になるのを防止する、ことを特徴とするコージェネレーションシステムの保護方法である。
【0015】
第2の発明は、図3に示すコージェネレーションシステムの保護方法であって、燃料電池、ガスタービン、ガスエンジン等の発電発熱器によって電気及び高温の排気ガスを発生し、前記電気は電気回路を介して負荷又は電力系統に供給し、前記排気ガスは熱交換器に供給しこの熱交換器の水路に給水して温水に変化させて給湯するコージェネレーションシステムの保護方法において、
前記熱交換器への給水量が低下又は断水したときは前記熱交換器の水路から水を排水すると共に、前記熱交換器の水路に空気または窒素ガスを噴入して前記熱交換器の温度を低下させることによって前記熱交換器が異常高温高圧になるのを防止する、ことを特徴とするコージェネレーションシステムの保護方法である。
【0016】
第3の発明は、図4に示すコージェネレーションシステムの保護方法であって、前記熱交換器への給水量が低下又は断水したときは前記熱交換器の水路から水を排水する、ことを特徴とする第1の発明に記載のコージェネレーションシステムの保護方法である。
【0017】
第4の発明は、図5に示すコージェネレーションシステムの保護方法であって、前記熱交換器への給水量が低下又は断水したときは前記熱交換器の水路から水を排水すると共に、前記熱交換器の水路に空気または窒素ガスを噴入して前記熱交換器の温度を低下させる、ことを特徴とする第1の発明に記載のコージェネレーションシステムの保護方法である。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明のコージェネレーションシステムの保護方法は、燃料電池等の発電発熱器によって電気及び高温の排気ガスを発生し、電気は電気回路を介して負荷又は電力系統に供給し、排気ガスは熱交換器に供給しこの熱交換器の水路に給水して温水に変化させて給湯するコージェネレーションシステムの保護方法において、熱交換器への給水量が低下又は断水したときは排気ガスに空気または窒素ガスを混入して温度を低下させることによって熱交換器が異常高温高圧になるのを防止している。
【0019】
この結果、冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が、低下又は断水したとき、冷却用空気によって熱交換器7へ供給される排気ガスの温度を低下させることができるので、熱交換器7は温度が異常に上昇して損傷することが無い。また、従来技術のような排気ガス切換えバルブ8やバイパス配管10を設けていないので、正常時に排気ガスの熱がこれらの機器に逃げることが無く、熱交換器7に十分な熱が供給され、エネルギー効率を高めることができる。また、従来技術のような大型の排気ガス切換えバルブ8を設ける必要が無いので、システムが大型化することが無い。
【0020】
第2の発明のコージェネレーションシステムの保護方法は、燃料電池等の発電発熱器によって電気及び高温の排気ガスを発生し、電気は電気回路を介して負荷又は電力系統に供給し、排気ガスは熱交換器に供給し、この熱交換器の水路に給水して温水に変化させて給湯するコージェネレーションシステムの保護方法において、熱交換器への給水量が低下又は断水したときは熱交換器の水路から水を排水すると共に、熱交換器の水路に空気または窒素ガスを噴入して熱交換器の温度を低下させることによって熱交換器が異常高温高圧になるのを防止している。
【0021】
この結果、冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が低下又は断水したとき、排水切替えバルブ29から温水を排水するために、熱交換器7の水路28に温水が滞留して、排気ガスで加熱されて水蒸気となり、膨張して圧力が上昇することによる熱交換器の破損のおそれが無い。さらに、冷却用空気供給源22から噴出される空気又は窒素ガスが、吸気切替えバルブ27から熱交換器7の水路28へ噴入されて、この水路28を冷却するので、熱交換器7の温度が上昇することを防止し、熱交換器7の損傷を防止することができる。
【0022】
第3の発明のコージェネレーションシステムの保護方法は、第1の発明に加えて、熱交換器への給水量が低下又は断水したときは、熱交換器の水路から水を排水している。
【0023】
この結果、実施の形態1のコージェネレーションシステムの保護方法が奏する効果に加えて、冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が低下又は断水したとき、熱交換器の水路の水を排水切替えバルブ29から排水するために、熱交換器7の水路28に温水が滞留して、排気ガスで加熱されて水蒸気となり、膨張して圧力が上昇することによる熱交換器の破損のおそれが無い。従って、熱交換器7の損傷を防止することができる。
【0024】
第4の発明のコージェネレーションシステムの保護方法は、第1の発明に加えて、熱交換器への給水量が低下又は断水したときは、熱交換器の水路から水を排水すると共に、熱交換器の水路に空気または窒素ガスを噴入して熱交換器の温度を低下させている。
【0025】
この結果、実施の形態1のコージェネレーションシステムの保護方法が奏する効果に加えて、冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が低下又は断水したとき、熱交換器の水路の水を排水切替えバルブ29から排水するために、熱交換器7の水路28内に温水が滞留して、排気ガスで加熱されて水蒸気となり、膨張して圧力が上昇することによる熱交換器の破損のおそれが無い。さらに、冷却用空気供給源22から噴出される空気又は窒素ガスが、吸気切替えバルブ27から熱交換器7の水路28へ噴入されて、この水路28を冷却するので、熱交換器7の温度が上昇することを防止し、熱交換器7の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[実施の形態1]
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態1のコージェネレーションシステムの保護方法の構成を示す図である。同図において、コンプレッサ又はブロアを備えた冷却用空気供給源22は、冷却用空気を噴出する。この冷却用空気供給源22から排気配管6まで細管23で連結し、この細管23の排気配管6から離れた位置に、冷却用空気バルブ24と必要に応じて冷却用空気流量調整器26を設けている。また、排気配管6の放熱を減少させるために、燃料電池5と熱交換器7とを近づけて設けて、排気配管6及び細管23には、断熱材が巻かれている。
【0027】
断水検出センサ9は、冷水供給源20が供給する給水量が低下又は断水したことを検出して、冷却用空気供給源22及び冷却用空気バルブ24へ断水検出信号S1を出力する。冷却用空気バルブ24は、断水検出信号S1を入力して、バルブを開にする。冷却用空気供給源22は、この断水検出信号S1を入力して、空気を細管23に噴出する。その他の機能は、図6に示した従来技術の同機能に同符号を付して、説明を省略する。
【0028】
以下、動作を説明する。冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が、低下又は断水したとき、断水検出センサ9がこれを検出して、冷却用空気供給源22及び冷却用空気バルブ24へ断水検出信号S1を出力する。冷却用空気バルブ24は、断水検出信号S1を入力して、バルブを開にする。冷却用空気供給源22はこの断水検出信号S1を入力して、空気を噴出する。その結果、冷却用空気供給源22から噴出される空気が、細管23を通じて排気配管6へ混入される。その他の機能の動作は、図6に示した従来技術の同符号を付した機能の動作と同じであるので説明を省略する。
【0029】
この結果、冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が、低下又は断水したとき、冷却用空気によって熱交換器7へ供給される排気ガスの温度を低下させることができるので、熱交換器7は温度が異常に上昇して損傷したり、内部の水が蒸気化することにより圧力が異常に上昇して損傷することが無い。また、従来技術のような排気ガス切換えバルブ8やバイパス配管10を設けていないので、排気ガスの熱がこれらの機器に逃げることが無く、熱交換器7に十分な熱が供給され、エネルギー効率を高めることができる。また、従来技術のような大型の排気ガス切換えバルブ8を設ける必要が無いので、システムが大型化することが無い。
【0030】
なお、冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が、低下又は断水したときから、冷却用空気供給源22が供給する冷却用空気の流量を、冷却用空気流量調整器26を用いて漸次増加させるように制御しても良い。この場合、熱交換器7の急冷を避けることができ、より確実に熱交換器7を保護することができる。
【0031】
[実施の形態1の変形例]
図2は、本発明の実施の形態1のコージェネレーションシステムの保護方法の変形例の構成を示す図である。冷却用空気を運転用空気供給源2から供給する場合を示す。同図において、図1に示した冷却用空気バルブ24と冷却用空気流量調整器26を、燃料供給ユニット25内に設けている。冷却用空気バルブ24は、断水検出センサ9からの断水検出信号S1を入力して、バルブを開にする。その他の機能は、図1に示した実施の形態1の同機能に同符号を付して、説明を省略する。
【0032】
以下、動作を説明する。通常運転時に冷却用空気バルブ24を閉とした状態で、運転用空気供給源2から燃料用空気と燃料電池冷却用空気を供給する。そして、冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が低下又は断水したとき、断水検出センサ9からの断水検出信号S1を冷却用空気バルブ24が入力して、このバルブが開となる。その結果、運転用空気供給源2から冷却用空気バルブ24を通過して細管23を通じて排気配管6へ混入する。従って、1台の大容量の運転用空気供給源2によって、冷却用空気を排気配管6へ混入することができるので、コンパクトな構成で熱交換器7へ供給し、排気ガスの温度を低下させることができ、熱交換器7の温度が異常に上昇して損傷することが無い。
【0033】
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2のコージェネレーションシステムの保護方法の構成を示す図である。同図において、排水切換えバルブ29は、断水検出センサ9と熱交換器7との間の配管に設けられており、通常、冷水供給源20から熱交換器7へ冷水を供給する流路に連結されている。そして、断水検出センサ9からの断水検出信号S1を入力したとき、熱交換器7の水路28と排水側を連結するように排水切換えバルブ29を切換える。吸気切換えバルブ27は、熱交換器7と貯湯槽21との間の配管に設けられ、冷却用空気供給源22と接続されており、通常、熱交換器7から貯湯槽21へ温水を供給する流路に連結されている。そして、断水検出センサ9からの断水検出信号S1を入力したとき、熱交換器7の水路28と冷却用空気供給源22を連結するように吸気切換えバルブ27を切換える。また、断水検出センサ9は、冷水供給源20から供給される給水量が低下又は断水したことを検出して、冷却用空気供給源22、吸気切換えバルブ27及び排水切換えバルブ29へ断水検出信号S1を出力する。その他の機能は、図1に示した実施の形態1の同機能に同符号を付して、説明を省略する。
【0034】
以下、動作を説明する。冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が低下又は断水したとき、断水検出センサ9が、これを検出して、冷却用空気供給源22、吸気切換えバルブ27及び排水切換えバルブ29へ断水検出信号S1を出力する。排水切換えバルブ29は断水検出信号S1を入力して、熱交換器7の水路28と排水側を連結するように切換える。吸気切換えバルブ27も、断水検出信号S1を入力して、熱交換器7の水路28と冷却用空気供給源22を連結するように切換える。また、冷却用空気供給源22は、この断水検出信号S1を入力して、空気を噴出する。この結果、熱交換器7の水路28の温水が排水切換えバルブ29から排水され、冷却用空気供給源22から噴出される空気が、吸気切換えバルブ27から熱交換器7の水路28へ噴入される。その他の動作は、図1に示した実施の形態1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0035】
この結果、冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が低下又は断水したとき、排水切換えバルブ29から水を排水するために、熱交換器7の水路28に温水が滞留して、排気ガスで加熱されて水蒸気となり、膨張して圧力が上昇することが無い。さらに、冷却用空気供給源22から噴出される空気が、吸気切換えバルブ27から熱交換器7の水路28へ噴入されて、この水路28を冷却するので、熱交換器7の温度が上昇したり、内部の水が蒸気化することにより圧力が異常に上昇して熱交換器7が損傷するのを防止することができる。
【0036】
[実施の形態3]
図4は、本発明の実施の形態3のコージェネレーションシステムの保護方法の構成を示す図である。同図において、図1に示した実施の形態1の機能に加えて、排水切換えバルブ29が、熱交換器7と断水検出センサ9との間の配管に設けられていて、断水検出センサ9が出力する断水検出信号S1を入力して、排水切換えバルブ29が熱交換器7の水路28と排水側を連結するように切換わり、熱交換器7の水路28の温水を排水する。また、断水検出センサ9は、冷水供給源20から供給される給水量が低下又は断水したことを検出して、冷却用空気供給源22、冷却用空気バルブ24及び排水切換えバルブ29へ断水検出信号S1を出力する。その他の機能は、図1に示した実施の形態1の同機能に同符号を付して、説明を省略する。
【0037】
以下、動作を説明する。冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が低下又は断水したとき、断水検出センサ9が、これを検出して、冷却用空気供給源22、冷却用空気バルブ24及び排水切換えバルブ29へ断水検出信号S1を出力する。冷却用空気バルブ24は、断水検出信号S1を入力して、バルブを開にする。冷却用空気供給源22は、断水検出信号S1を入力して、空気を噴出する。その結果、冷却用空気供給源22から噴出される空気が、細管23を通じて排気配管6へ混入される。また、排水切換えバルブ29は、断水検出信号S1を入力して、熱交換器7の水路28と排水側を連結するように切換わり、熱交換器7の水路28の温水を排水する。その他の動作は、図1に示した実施の形態1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0038】
この結果、実施の形態1のコージェネレーションシステムの保護方法が奏する効果に加えて、冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が低下又は断水したとき、排水切換えバルブ29から温水を排水するために、熱交換器7の水路28に水が滞留して、排気ガスで加熱されて水蒸気となり、膨張して圧力が上昇することが無い。従って、熱交換器7の損傷を防止することができる。
【0039】
[実施の形態4]
図5は、本発明の実施の形態4のコージェネレーションシステムの保護方法の構成を示す図である。同図において、図1に示した実施の形態1の機能に加えて、排水切換えバルブ29は、熱交換器7と断水検出センサ9との間の配管に設けられていて、断水検出センサ9が出力する断水検出信号S1を入力して、排水切換えバルブ29が熱交換器7の水路28と排水側を連結するように切換わり、熱交換器7の水路28内の温水を排水する。吸気切換えバルブ27は、熱交換器7と貯湯槽21との間の配管に設けられていて、冷却用空気供給源22と接続されている。また、断水検出センサ9が出力する断水検出信号S1を入力して、熱交換器7の水路28と冷却用空気供給源22を連結するように切換わり、冷却用空気が熱交換器7の水路28へ噴入される。また、断水検出センサ9は、冷水供給源20から供給される給水量が低下又は断水したことを検出して、冷却用空気供給源22、冷却用空気バルブ24、吸気切換えバルブ27及び排水切換えバルブ29へ断水検出信号S1を出力する。その他の機能は、図1に示した実施の形態1の同機能に同符号を付して、説明を省略する。
【0040】
以下、動作を説明する。冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が低下又は断水したとき、断水検出センサ9が、これを検出して、冷却用空気供給源22、冷却用空気バルブ24、吸気切換えバルブ27及び排水切換えバルブ29へ断水検出信号S1を出力する。冷却用空気バルブ24は、断水検出信号S1を入力して、バルブを開にする。排水切換えバルブ29は断水検出信号S1を入力して、熱交換器7の水路28と排水側を連結するように切換える。吸気切換えバルブ27は、断水検出信号S1を入力して、熱交換器7の水路28と冷却用空気供給源22を連結するように切換える。また、冷却用空気供給源22は、断水検出信号S1を入力して、空気を噴出する。この結果、冷却用空気供給源22から噴出される空気が、細管23を通じて排気配管6へ混入される。また、熱交換器7の水路28の水が排水切換えバルブ29から排水され、冷却用空気供給源22から噴出される空気が、吸気切換えバルブ27から熱交換器7の水路28へ噴入される。その他の動作は、図1に示した実施の形態1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0041】
この結果、実施の形態1のコージェネレーションシステムの保護方法が奏する効果に加えて、冷水供給源20から熱交換器7へ供給される給水量が低下又は断水したとき、排水切換えバルブ29から水を排水するために、熱交換器7の水路28内に温水が滞留して、排気ガスで加熱されて水蒸気となり、膨張して圧力が上昇することが無い。さらに、冷却用空気供給源22から噴出される空気が、吸気切換えバルブ27から熱交換器7の水路28へ噴入されて、この水路28を冷却するので、熱交換器7の温度が上昇することを防止し、熱交換器7の損傷を防止することができる。
【0042】
なお、通常、燃料電池の起動及び停止のときに、窒素ガスを燃料電池に供給している。そこで、この窒素ガスボンベを上述した冷却用空気供給源22の代わりに使用して、窒素ガスを排気配管6へ混入し、熱交換器7へ供給される排気ガスの温度を低下させても良い。
【0043】
本発明のコージェネレーションシステムの保護方法は、発電発熱器として燃料電池を使用する場合について説明したが、ガスタービンやガスエンジン等の発電発熱器を使用するコージェネレーションシステムの保護方法にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態1のコージェネレーションシステムの保護方法の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1のコージェネレーションシステムの保護方法の変形例の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2のコージェネレーションシステムの保護方法の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態3のコージェネレーションシステムの保護方法の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態4のコージェネレーションシステムの保護方法の構成を示す図である。
【図6】従来技術のコージェネレーションシステムの保護方法の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 燃料供給ユニット
2 運転用空気供給源
3 ガス供給源
4 純水供給源
5 燃料電池
6 排気配管
7 熱交換器
8 排気ガス切換えバルブ
9 断水検出センサ
10 バイパス配管
11 燃料用空気バルブ
12 燃料用空気流量調整器
13 燃料電池冷却用空気バルブ
14 燃料電池冷却用流量調整器
15 ガスバルブ
16 ガス流量調整器
17 純水バルブ
18 純水流量計
20 冷水供給源
21 貯湯槽
22 冷却用空気供給源
23 細管
24 冷却用空気バルブ
25 燃料供給ユニット
26 冷却用空気流量調整器
27 吸気切換えバルブ
28 水路
29 排水切換えバルブ
S1 断水検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池、ガスタービン、ガスエンジン等の発電発熱器によって電気及び高温の排気ガスを発生し、前記電気は電気回路を介して負荷又は電力系統に供給し、前記排気ガスは熱交換器に供給しこの熱交換器の水路に給水して温水に変化させて給湯するコージェネレーションシステムの保護方法において、
前記熱交換器への給水量が低下又は断水したときは前記排気ガスに空気または窒素ガスを混入して温度を低下させることによって前記熱交換器が異常高温になるのを防止する、ことを特徴とするコージェネレーションシステムの保護方法。
【請求項2】
燃料電池、ガスタービン、ガスエンジン等の発電発熱器によって電気及び高温の排気ガスを発生し、前記電気は電気回路を介して負荷又は電力系統に供給し、前記排気ガスは熱交換器に供給し、この熱交換器の水路に給水して温水に変化させて給湯するコージェネレーションシステムの保護方法において、
前記熱交換器への給水量が低下又は断水したときは前記熱交換器の水路から水を排水すると共に、前記熱交換器の水路に空気または窒素ガスを噴入して前記熱交換器の温度を低下させることによって前記熱交換器が異常高温高圧になるのを防止する、ことを特徴とするコージェネレーションシステムの保護方法。
【請求項3】
前記熱交換器への給水量が低下又は断水したときは前記熱交換器の水路から水を排水する、ことを特徴とする請求項1記載のコージェネレーションシステムの保護方法。
【請求項4】
前記熱交換器への給水量が低下又は断水したときは前記熱交換器の水路から水を排水すると共に、前記熱交換器の水路に空気または窒素ガスを噴入して前記熱交換器の温度を低下させる、ことを特徴とする請求項1記載のコージェネレーションシステムの保護方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−127301(P2007−127301A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318207(P2005−318207)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)