説明

コーティング医薬組成物

本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーおよび/またはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物に関する。該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、限定されないが、リン酸塩過剰血症、慢性腎臓病および末期腎臓病などのいくつかの治療用途を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2008年12月14日に出願された米国仮特許出願第61/006,020号の利益を主張し、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、標的イオンに結合するための薬学的に許容され得る組成物およびポリマーまたはその残留物に関し、より具体的には標的イオンに結合するためのポリカルボフィルコーティングポリマー粒子に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
リン酸塩過剰血症は、頻度高く、不十分な腎機能、例えば末期腎臓病(ESRD)、副甲状腺機能亢進症、および特定の他の医学的状態と関連する疾患を伴う。該状態は、特に長期間にわたって存在する場合、カルシウムおよびリン代謝の重篤な異常をもたらし、関節、肺および眼における異常な石灰化を示す場合がある。
【0004】
血清リン酸塩を減少させる治療取組みとしては、透析、食物リン酸塩の減少、および胃腸吸収を減少させる不溶性リン酸塩結合剤の経口投与が挙げられる。多くのかかる治療は、様々な望ましくない副作用および/または最適でないリン酸塩結合性質例えば効能および効力を有する。従って、良好なリン酸塩結合性質および良好な副作用プロファイルを有する組成物および治療が必要である。
【発明の概要】
【0005】
(発明の簡単な概要)
一局面において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーおよび/または少なくとも部分的にポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物に関する。組成物は、1種類以上のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含み得る。本発明のいくつかの態様を、以下の通りにさらに詳細に記載する。一般的に、これらの態様のそれぞれは、様々で特定の組み合わせでおよび本明細書で特に記載されていない限り他の局面および態様で使用され得る。
【0006】
本明細書に記載される本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの他に、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの他の形態が、本発明の範囲内にあり、薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、多形、包接化合物、およびポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの同位体バリアントおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0007】
また、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、光学中心、キラル中心または二重結合を有してもよく、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、これらのポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの異性体形態の全て、例えば光学的純粋形態、ラセミ化合物、ジアステレオマー、エナンチオマー、互変異性体および/またはそれらの混合物を含むものである。
【0008】
ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、ポリカルボフィルをコーティングした架橋アミンポリマー粒子の形態である。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍のインビトロ競合的リン酸塩結合能を有する。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、エピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩と実質的に同じのインビトロ非競合的リン酸塩結合能を有する。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化を有する。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、1時間で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能を有する。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、5時間で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能を有する。
【0009】
ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩をさらに含むコーティングを含んでなる。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、熱処理コーティングを含むコーティングを含んでなる。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、イオン結合コーティングを含むコーティングを含んでなる。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティングを含んでなる。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを含んでなる。
【0010】
ある態様において、本発明は、動物、例えばヒトの治療方法を提供する。該方法は、一般に、有効量の1種類以上のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーまたはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む組成物(例えば医薬組成物)を本明細書に記載される動物に投与する工程を含むものである。
【0011】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により、動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーは以下の式I:


(式中、mは0〜2の整数であり、nは整数であり、各R1および各R2は独立して水素; 置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキル;または置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキルアミノを表す)
で表される繰り返し単位を含むものであるか、またはそのコポリマーである。
【0012】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーは、以下の式II:


(式中、mは0〜2の整数であり、nは整数であり、各R1および各R2は独立して水素;置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキル;または置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキルアミノを表す;各X-は独立して薬学的に許容され得る対イオンを表す)
で表される繰り返し単位を含むものであるか、またはそのコポリマーである。
【0013】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーは以下の式III:


(式中、nは整数であり、各R1および各R2は独立して水素;置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキル;または置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキルアミノを表す)
で表される繰り返し単位を含むものであるか、またはそのコポリマーである。
【0014】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーは以下の式IV:


(式中、nは整数であり、各R1および各R2は独立して水素; 置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキル; または置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキルアミノを表す; 各X-は独立して薬学的に許容され得る対イオンを表す)
で表される繰り返し単位を含むものであるか、またはそのコポリマーである。
【0015】
ある態様において、本発明は、エピクロロヒドリンで架橋された置換または非置換ポリアリルアミンを含むポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーであるか、これから本質的になるか、またはこれを含み、該架橋アミンポリマーはポリカルボフィルでコーティングされる。
【0016】
本発明の別の局面は、1種類以上のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーおよび少なくとも1つの薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物である。本明細書に記載されるポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、いくつかの治療用途を有する。例えばポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、化合物またはイオン、例えばアニオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン、例えば有機リン酸塩および/またはリン酸塩を、胃腸管、例えば胃、小腸および/または大腸から除去することに有用である。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、リン酸塩不均衡障害および腎臓病の治療に使用される。
【0017】
さらに別の局面において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、他の溶質、例えば塩化物、重炭酸、および/またはシュウ酸含有化合物またはイオンの除去に有用である。シュウ酸化合物またはイオンを除去するポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、シュウ酸塩不均衡障害の治療に使用される。塩化物化合物またはイオンを除去するポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、例えばアシドーシスの治療に使用される。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは胆汁酸、クエン酸および関連化合物の除去に有用である。
【0018】
ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーが液体ビヒクル、例えば水および適切な賦形剤中に分散された、液体製剤の組成物の形態であってもよい。ある態様において、本発明は、標的化合物またはイオンに結合するためのポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーおよび1種類以上の適切な医薬賦形剤を含む医薬組成物を提供し、該組成物は錠剤、サシェ、スラリー、食品配合物、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁剤、シロップ、オブラート、チューイングガム、またはロゼンジの形態である。ある態様において、該組成物はスクロース、マンニトール、キシリトール、マルトデキストリン、フルクトース、ソルビトール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される医薬賦形剤を含む。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの標的アニオンは、有機リン酸塩および/またはリン酸塩である。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、錠剤中約50重量%より多い。ある態様において、錠剤は約12mm〜約28mmの直径および約1mm〜約8mmの高さを有する円筒形状であり、ポリカルボフィル架橋アミンポリマーが錠剤の全重量中0.6gmより多い〜約2.0gmで含まれる。
【0019】
本発明の組成物のいくつかにおいて、賦形剤は、甘味剤、結合剤、滑沢剤、香味剤および崩壊剤からなる群より選ばれる。これらの態様のいくつかにおいて、甘味剤は、スクロース、マンニトール、キシリトール、マルトデキストリン、フルクトース、およびソルビトールならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
一つの局面において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを用いる組成物および方法を提供し、該架橋アミンポリマーは式I〜IVのいずれかの繰り返し単位で表される。また、ある態様では、コポリマーまたはポリマー中で繰り返される複数の種々の繰り返し単位またはその残留物が含まれてもよい。かかるポリマーまたはコポリマーには、個々にもしくは繰り返し基としてのいずれかで、ポリマー骨格にまたは側基として含まれ得る1種類以上のさらなる化合物が含まれ得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、特に説明されない限り、用語「に由来する」は、化学反応による別の物質からの製造または取得、特に反応物に直接由来を意味することが理解され、例えば架橋アミンポリマーは、アミンモノマーまたはアミンポリマーと、結合剤、例えばアミンモノマーまたはアミンポリマーおよび架橋剤に由来する架橋アミンポリマーをもたらす架橋剤との反応に由来してもよい。
【0022】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により、動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーは以下の式I:


(式中、mは0〜2の整数、例えば0、1または2である;nは整数であり、各R1および各R2は独立して水素; 置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキル、例えばC1、C2、C3、C4、C5もしくはC6アルキル;置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキルアミノ、例えばC1、C2、C3、C4、C5もしくはC6アルキルアミノ;または結合、例えば架橋結合もしくは他の結合を表す)
で表される繰り返し単位を含むものであるか、またはそのコポリマーである。
【0023】
式Iのある適切な架橋アミンポリマー繰り返し単位の例としては


が挙げられる。
【0024】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により、動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーは以下の式II:


(式中、mは0〜2の整数、例えば0、1または2である;nは整数であり、各R1および各R2は独立して水素; 置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキル、例えばC1、C2、C3、C4、C5もしくはC6アルキル;置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキルアミノ、例えばC1、C2、C3、C4、C5もしくはC6アルキルアミノ;または結合、例えば架橋結合もしくは他の結合を表す;各X-は独立して薬学的に許容され得る対イオンを表す)
で表される繰り返し単位を含むものであるか、またはそのコポリマーである。
【0025】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により、動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーは以下の式III:


(式中、nは整数であり、各R1は独立して水素; 置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキル、例えばC1、C2、C3、C4、C5もしくはC6アルキル;置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキルアミノ、例えばC1、C2、C3、C4、C5もしくはC6アルキルアミノ;または結合、例えば架橋結合もしくは他の結合を表す)
で表される繰り返し単位を含むものであるか、またはそのコポリマーである。
【0026】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により、動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーは以下の式IV:


(式中、nは整数であり、各R1および各R2は独立して水素; 置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキル、例えばC1、C2、C3、C4、C5もしくはC6アルキル;置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝C1〜C6アルキルアミノ、例えばC1、C2、C3、C4、C5もしくはC6アルキルアミノ;または結合、例えば架橋結合もしくは他の結合を表す;各X-は独立して薬学的に許容され得る対イオンを表す)
で表される繰り返し単位を含むものであるか、またはそのコポリマーである。
【0027】
ある態様において、本発明は、治療の必要がある患者に、治療有効量の本発明の1種類以上のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはコポリマーまたは本発明の1種類以上のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはコポリマーを含む組成物を投与する工程を含む、リン酸塩不均衡障害、例えばリン酸塩過剰血症の治療方法である。
【0028】
ある態様において、該組成物は、1種類より多くのポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーまたはコポリマー、例えば2〜20、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10種類のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーまたはコポリマーの混合物を含む。
【0029】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により、動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物もしくはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーは、置換または非置換アリルアミンおよび置換または非置換エチレンイミンから選択されるモノマーならびに架橋剤に由来する。
【0030】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により、動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーは、置換または非置換アリルアミンから選択されるモノマーおよび架橋剤としてのエピクロロヒドリンに由来する。
【0031】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により、動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーはエピクロロヒドリンで架橋されたポリアリルアミンを含む。
【0032】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により、動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーはエピクロロヒドリンで架橋されたポリアリルアミンを含み、対イオンとしての薬学的に許容され得る対イオンで部分的または完全にプロトン化される。
【0033】
ある態様において、本発明は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物、または有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーもしくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物の投与により、動物の胃腸管から化合物またはイオン、例えばリン含有化合物またはリン含有イオン(例えばリン酸塩)を除去する方法であるか、これらから本質的になるか、またはこれらを含み、該架橋アミンポリマーは、エピクロロヒドリンで架橋されたポリアリルアミンを含み、対イオンとしての炭酸塩または塩化物で部分的または完全にプロトン化される。
【0034】
ある態様において、本発明は、血中リン酸塩レベルを低下させる必要がある患者において、血中リン酸塩レベルを少なくとも0.1mg/dl〜5mg/dl、例えば少なくとも0.2mg/dl、少なくとも0.4mg/dl、少なくとも0.8mg/dl、少なくとも1.0mg/dl、少なくとも1.5mg/dl、少なくとも2.0mg/dl、少なくとも2.5mg/dl、少なくとも3.0mg/dl、少なくとも3.5mg/dl、少なくとも4.0mg/dlあるいは少なくとも4.5mg/dl低下させる方法であり、該方法は治療有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーまたはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む組成物を患者に投与する工程を含む。ある態様において、本発明は、尿中リンを低下させる必要がある患者において、尿中リンを少なくとも0.1mg/dl〜5mg/dl、例えば少なくとも0.2mg/dl、少なくとも0.4mg/dl、少なくとも0.8mg/dl、少なくとも1.0mg/dl、少なくとも1.5mg/dl、少なくとも2.0mg/dl、少なくとも2.5mg/dl、少なくとも3.0mg/dl、少なくとも3.5mg/dl、少なくとも4.0mg/dlまたは少なくとも4.5mg/dl低下させる方法であり、該方法は治療有効量のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーまたはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む組成物を患者に投与する工程を含む。
【0035】
重合
ある態様において、コーティングの前に、該アミンポリマーはバルクの溶液(即ち正味のアミンポリマーおよび正味の架橋剤を用いる)または分散媒体中で架橋されてもよい。バルクプロセスを使用する場合、溶媒が反応物を同時に溶解し、架橋反応を阻害しないように、溶媒が選択される。適切な溶媒としては、水、低沸点アルコール(メタノール、エタノール、ブタノール)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
【0036】
他の重合方法には、1回重合反応、一連の反応を介した個々のモノマーの段階的付加、ブロックのモノマーの段階的付加、前記の組み合わせ、または任意の他の重合方法、例えば直接または逆懸濁、縮合、相転移、乳化、沈殿技術、エーロゾルにおける重合またはバルク重合/架橋方法および他の調節プロセス、例えば押し出しおよび粉砕等の使用が含まれてもよい。プロセスは、バッチ、半連続および連続プロセスとして行うことができる。分散媒体中のプロセスについて、連続相は、無極性溶媒、例えばトルエン、ベンゼン、炭化水素、ハロゲン化溶媒、超臨界二酸化炭素などから選択することができる。直接懸濁プロセスについて、水を使用することができるが、塩ブラインも、滴分離相中のアミンおよび架橋剤の「塩析」に有用である。
【0037】
ポリアリルアミンとエピクロロヒドリンとの重合の非限定的な例が、以下の通りに行われ得る。水中のポリアリルアミン塩酸塩は、塩基、例えば水酸化アンモニウム(水性アンモニア)またはNaOHを用いて部分的に中和されてもよい。中和後に、ポリアリルアミンは、スタティックミキサーまたは高せん断ミキサーを用いてエピクロロヒドリンと乳化されてもよい。得られた水中油エマルションは、一軸または二軸スクリュー混錬またはLIST反応器を用いて重合されてもよい。LIST反応器を出たポリマーは、複数回洗浄されてもよいし、適切な供給源、例えばHCl、CO2または炭酸を用いてプロトン化されてもよく、任意の適切な技術、例えば遠心力、例えばハイドロサイクロンまたは遠心分離器を用いて乾燥前に粉砕および/または分離されてもよい。ポリマーはまた、対流式オーブン、真空オーブン、または流動床を用いて乾燥されてもよいし、次に乾燥後にふるいにかけられてもよい。
【0038】
他の適切な重合方法の例は、例えば以下の特許および特許出願に見ることができ、それぞれは全体が参照によって本明細書に援用される: US 4,605,701; US 5,496,545; US 5,618,530; US 5,679,717; US 5,693,675; US 5,702,696; US WO 96/21454; WO 98/57652; EP 7372352; およびDE 4227019。
【0039】
コーティング前に、架橋アミンポリマーは式I〜IVのいずれかの少なくとも1つの単位を有する化合物を含むモノマーを含み得るコポリマーであってもよく、該モノマーは1種類以上の他のコモノマーまたはオリゴマーまたは他の重合可能な基で共重合される。
【0040】
単独でまたは組み合わせて使用され得る適切なコモノマーの非限定例としては、スチレン、置換スチレン、アルキルアクリレート、置換アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、置換アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N,N-ジアルキルアクリルアミド、N,N-ジアルキルメタクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、エチレン、ビニルアセテート、N-ビニルアミド、マレイン酸誘導体、ビニルエーテル、アリル、メタアリルモノマーおよびそれらの組み合わせが挙げられる。これらのモノマーの官能化物も使用され得る。本発明で使用され得るさらなる特定のモノマーまたはコモノマーとしては、限定されないが、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート(全異性体)、ブチルメタクリレート(全異性体)、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート(全異性体)、ブチルアクリレート(全異性体)、2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリル酸、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アクリロニトリル、スチレン、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、無水マレイン酸、アリルアミン、メタアリルアミン、アリルアルコール、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、エチレン、ビニルアセテートおよびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0041】
また、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、式I〜IVの繰り返し単位の任意の組み合わせを有するコポリマーを含んでもよい。例えば、ある態様において、該架橋アミンポリマーには、式IおよびII、式IおよびIII、式IおよびIV、式IIおよびIII、式IIおよびIV、式IIIおよびIV、式I、IIおよびIII、式I、IIおよびIV、式I、IIIおよびIV、式II、IIIおよびIVまたは式I、II、IIIおよびIVの繰り返し単位の組み合わせが含まれる。
【0042】
ある態様において、コーティング前に、本発明の架橋アミンポリマーは、溶媒に溶解せずに、ほとんど溶媒中で膨張してもよい。膨張比は、以下の試験法の項の手順によって計算されてもよく、典型的に約5〜約150、例えば5〜約100、5〜約80、5〜約60、5〜約40、または5〜約20; 例えば5〜18、5〜16または5〜15、例えば5より大きく40未満、5より大きく20未満、9より大きく20未満、11より大きく20未満、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19以上の範囲である。
【0043】
架橋剤は、典型的に、ハロゲン基、カルボニル基、エポキシ基、エステル基、酸無水基、酸ハロゲン化基、イソシアネート基、ビニル基およびクロロホルメート基から選択される少なくとも2つの官能基を有する化合物である。架橋剤は、炭素骨格またはアミンポリマー、アミンモノマーもしくはそれらの残留物の窒素に結合してもよい。
【0044】
架橋アミンポリマーの合成に適切な架橋剤の例としては、限定されないが、1種類以上の多官能性架橋剤、例えば: ジハロアルカン、ハロアルキルオキシラン、アルキルオキシランスルホネート、ジ(ハロアルキル)アミン、トリ(ハロアルキル)アミン、ジエポキシド、トリエポキシド、テトラエポキシド、ビス(ハロメチル)ベンゼン、トリ(ハロメチル)ベンゼン、テトラ(ハロメチル)ベンゼン、エピハロヒドリン、例えばエピクロロヒドリンおよびエピブロモヒドリン、ポリ(エピクロロヒドリン)、(ヨードメチル)オキシラン、ブロモ-1,2-エポキシブタン、1,2-ジブロモエタン、1,3-ジクロロプロパン、1,2-ジクロロエタン、1-ブロモ-2-クロロエタン、1,3-ジブロモプロパン、ビス(2-クロロエチル)アミン、トリ(2-クロロエチル)アミン、およびビス(2-クロロエチル)メチルアミン、1,3-ブタジエンジエポキシド、1,5-ヘキサジエンジエポキシド、メチルアクリレート等が挙げられる。架橋剤がハロゲン化アルキル化合物である場合、塩基が、反応中に形成される酸を除去するために使用されてもよい。使用される場合には、無機または有機塩基が適切であり、NaOHが好ましい。塩基対架橋剤の比は約0.5〜約2であってもよい。
【0045】
ある態様において、架橋剤は、アミン繰り返し単位の量に対して0.5mol%〜30mol%、例えば約5mol%〜約15mol%、約7mol%〜約12mol%、約8.5mol%〜約10.5mol%、約9mol%〜約10mol%、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、9.4、9.8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、27または30mol%の量で架橋反応に使用されてもよい。
【0046】
ある態様において、架橋およびコーティング前に、アミンポリマーおよびコポリマーの重量平均分子量は、典型的に少なくとも約1000であってもよい。例えば、該分子量は約1000〜約1,000,000、例えば約2000〜約750,000、約3000〜約500,000、約5000〜約250,000、約10000〜約100,000、例えば15,000〜80,000、20,000〜75,000、25,000〜60,000、30,000〜50,000、または40,000〜45,000であってもよい。
【0047】
ある態様の架橋アミンポリマーは、重合開始剤を使用して形成されてもよい。一般に、カチオン性開始剤およびラジカル開始剤を含む任意の開始剤が使用されてもよい。使用されてもよい適切な開始剤のいくつかの例としては、遊離ラジカルペルオキシおよびアゾ型化合物、例えばアゾジイソブチロニトリル、アゾジイソバレロニトリル、ジメチルアゾジイソ酪酸塩、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(N,N'-ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス(N,N'-ジメチレンイソブチルアミジン)、1,1'-アゾビス(1-シクロへキサンカルボ-ニトリル)、4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2'-アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、VAZO67、シアノペンタン酸、ペルオキシピバル酸塩、ドデシルベンゼンペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ-t-ブチルヒドロペルオキシド、t-ブチル過酢酸塩、アセチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、ジメチルビス(ブチルペルオキシ)ヘキサンが挙げられる。
【0048】
ある態様において、コーティング前に、架橋アミンポリマー中の任意の窒素原子は、任意に4級化(quaternize)され、対応する正電荷3級窒素基、例えばアンモニウムまたは置換アンモニウム基などを生じてもよい。架橋アミンポリマー中の任意の1つ以上の窒素原子は4級化されてもよく、かかる4級化は存在する場合に末端アミン窒素原子を含むことに限定されないし、または末端アミン窒素原子を含むことを要する。ある態様において、この4級化は、さらなる網目形成をもたらしてもよく、架橋、結合またはアミン反応基の窒素への付加の結果であってもよい。アンモニウム基は、薬学的に許容され得る対イオンと結合してもよい。
【0049】
ある態様において、コーティング前に、架橋アミンポリマーは、部分的にまたは完全に4級化されてもよく、例えば有機イオン、無機イオン、またはそれらの組み合わせであってもよい薬学的に許容され得る対イオンでプロトン化されてもよい。ある適切な無機イオンの例としては、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物またはヨウ化物)、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、水酸化物、硝酸塩、過硫酸塩および亜硫酸塩が挙げられる。ある適切な有機イオンの例としては、酢酸塩、アスコルビン酸、安息香酸塩、クエン酸塩、二水素クエン酸塩、水素クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、タウロコール酸塩、グリココール酸塩、およびコール酸塩が挙げられる。好ましい対イオンとしては、塩化物および炭酸塩が挙げられる。
【0050】
ある態様において、コーティング前に、架橋アミンポリマーは、プロトン化窒素原子の量が1%〜100%、例えば10%〜75%、20%〜60%、25%〜55%、30%〜50%、35%〜45%または約40%となるようにプロトン化されてもよい。
【0051】
一態様において、コーティング前に、薬学的に許容され得る架橋アミンポリマーはプロトン化形態であり、炭酸アニオンを含む。一態様において、コーティング前に、薬学的に許容され得る架橋アミンポリマーはプロトン化形態であり、炭酸塩および重炭酸塩の対イオンの混合物を含む。
【0052】
コーティング
架橋アミンポリマーはポリカルボフィルでコーティングされてもよい。ある態様において、架橋アミンポリマーの粒子は、ポリカルボフィルでイオンコーティングされてもよい。ある態様において、イオンコーティングは、溶媒、例えば水の存在下でカチオン性架橋アミンポリマー粒子とポリカルボフィルとの混合により達成される。得られたコーティング粒子は次に濾過され乾燥されてもよい。ある態様において、乾燥イオンコーティングされた粒子は、オーブンにこれらを入れてまたは任意の他の熱処理法を使用して熱処理されてもよい。ある態様において、かかる熱処理は、真空オーブン中で80〜120℃、例えば85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、または115℃で行われてもよく、5時間以上、例えば10時間以上、12時間以上、14時間以上、16時間以上、18時間以上、20時間以上、24時間以上続けてもよい。
【0053】
他の態様において、架橋アミンポリマーの粒子は、カップリング剤を使用してこれらをポリカルボフィルに化学的にカップリングさせてコーティングしてもよい。ある態様において、カップリング剤はN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩を含んでいてもよい。化学カップリングは、ポリカルボフィルと化学カップリング剤とを混合し、次にこの混合物を水中の架橋アミンポリマーの懸濁液に添加して達成されてもよい。得られたコーティング粒子は次に濾過され乾燥されてもよい。ある態様において、乾燥化学結合されたポリカルボフィルコーティング粒子は、オーブンにこれらを入れてまたは任意の他の熱処理法を使用して熱処理されてもよい。ある態様において、かかる熱処理は、真空オーブン中で80〜120℃、例えば85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、または115℃で行われてもよく、5時間以上、例えば10時間以上、12時間以上、14時間以上、16時間以上、18時間以上、20時間以上、24時間以上続けてもよい。
【0054】
ある態様において、コーティングは、その場で生じてもよい。かかる態様において、架橋アミンポリマーの粒子は、任意の適切な混合装置を用いてポリカルボフィルと混合され、次にコーティングがその場で形成されるように供与量形態に形成されてもよい。
【0055】
任意の他の適切なコーティング法が、架橋アミンポリマー粒子をポリカルボフィルでコーティングするために使用されてもよい。コーティングに使用されるポリカルボフィルは、任意の適切な等級のポリカルボフィル、例えばUSP等級のポリカルボフィルまたはUSPモノグラフによって作製されたポリカルボフィルであってもよい。コーティングに使用されるポリカルボフィルは、アクリル酸ポリマー、例えばジビニルグリコールで架橋されるホモポリマーであってもよい。ある態様において、ポリカルボフィルは、高分子量のアクリル酸ポリマー、例えばジビニルグリコールで架橋されるホモポリマーを含んでもよい。ある態様において、ポリカルボフィルは、塩の形態、例えばかかるジビニルグリコール架橋アクリル酸ポリマーのカルシウム塩であり得る。ある態様において、ポリカルボフィルは、粗く粉砕または細かく粉砕されてもよい。
【0056】
ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、pH1で前記コーティングの60%以下、例えば50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下または10%以下が失われるようなコーティング安定性を有する。ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、pH4で前記コーティングの40%以下、例えば30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または7.5%以下が失われるようなコーティング安定性を有する。ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、pH6で前記コーティングの40%以下、例えば30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または7.5%以下が失われるようなコーティング安定性を有する。ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、pH8で前記コーティングの40%以下、例えば30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または7.5%以下が失われるようなコーティング安定性を有する。
【0057】
ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、対イオンの存在下で70%以下、例えば60%以下、50%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または1%以下が失われるようなコーティング安定性を有する。
【0058】
ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、化合物またはイオンに結合する能力を特徴とする。好ましくは本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、アニオンに結合し、より好ましくはこれらは適切な有機リン酸塩、リン酸塩および/またはシュウ酸塩に結合し、最も好ましくはこれらは有機リン酸塩またはリン酸塩に結合する。例示として、アニオン結合ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーおよび特に有機リン酸塩またはリン酸塩結合ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを説明する; しかし、この説明は、当業者に明白な適切な改変と共に、他のイオン、化合物および溶質に等しく適用されることが理解される。ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、イオンと結合する場合、一般に必ずしも非共有様式ではないが、ポリマーが溶液または体からのイオンの除去に影響を及ぼすほど十分な時間使用されるインビトロ条件またはインビボ条件下で、イオンの少なくとも一部が結合したままである十分な結合強度でイオン、例えばアニオンと結合し得る。標的イオンは、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーが結合するイオンであり得、通常、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーへの結合がポリマーの治療効果を生じると考えられるイオンのことをいい、アニオンまたはカチオンであり得る。本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、1つより多くの標的イオンを有し得る。
【0059】
ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍、例えば3〜9倍、4〜8倍、5〜7倍、2〜5倍、3〜5倍、3〜4倍または3〜6倍のインビトロ競合的リン酸塩結合能を有する。インビトロ競合的リン酸塩結合能は、以下の試験法の項に記載される技術によって測定され得る。
【0060】
ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩と実質的に同じのインビトロ非競合的リン酸塩結合能を有する。ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子のインビトロ非競合的リン酸塩結合能は、約0.2、0.4、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0、10.0、12mmol/gより大きい、または14mmol/gより大きい。ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーのインビトロ非競合的リン酸塩結合能は、約0.4mmol/gより大きい、約2.5mmol/gより大きい、約3mmol/gより大きい、約4.5mmol/gより大きい、または約6mmol/gより大きい。ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーのインビトロ非競合的リン酸塩結合能は、約0.2mmol/g〜約14mmol/g、例えば約0.4mmol/g〜約10mmol/g、約2.5mmol/g〜約8mmol/gまたは約3mmol/g〜約6mmol/gであり得る。インビトロ非競合的リン酸塩結合能は、以下の試験法の項に記載される技術によって測定され得る。
【0061】
ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、1時間で0.5mmol/g〜10mmol/g、例えば1時間で0.75mmol/g〜9mmol/g、1.0mmol/g〜8.5mmol/g、1.25mmol/g〜8.0mmol/g、1.5mmol/g〜7.5mmol/g、1.75mmol/g〜7.0mmol/g、2.0mmol/g〜6.5mmol/g、2.5mmol/g〜6.0mmol/g、2.75mmol/g〜5.5mmol/g、3mmol/g〜5.0mmol/gのインビトロ競合的リン酸塩結合能および/または5時間で0.5mmol/g〜10mmol/g、例えば5時間で0.75mmol/g〜9mmol/g、1.0mmol/g〜8.5mmol/g、1.25mmol/g〜8.0mmol/g、1.5mmol/g〜7.5mmol/g、1.75mmol/g〜7.0mmol/g、2.0mmol/g〜6.5mmol/g、2.5mmol/g〜6.0mmol/g、2.75mmol/g〜5.5mmol/g、3mmol/g〜5.0mmol/gのインビトロ競合的リン酸塩結合能を有する。インビトロ競合的リン酸塩結合能は、以下の試験法の項に記載される技術によって測定され得る。
【0062】
ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー粒子は、1〜5時間で50%未満、例えば45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満または5%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化を有する。インビトロ競合的リン酸塩結合能は、以下の試験法の項に記載される技術によって測定され得る。
【0063】
ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、前記ポリマーの1時間のインビトロ競合的リン酸塩結合能より、20%より大きく、例えば30%より大きい、35%より大きい、40%より大きい、45%より大きい、50%より大きい、60%より大きい、70%より大きいまたは80%より大きい5時間でのインビトロ競合的リン酸塩結合能を有する。インビトロ競合的リン酸塩結合能は、以下の試験法の項に記載される技術によって測定され得る。
【0064】
ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、生理学的に有意な期間中、0.5mmol/g〜10mmol/g、例えば0.75mmol/g〜9mmol/g、1.0mmol/g〜8.5mmol/g、1.25mmol/g〜8.0mmol/g、1.5mmol/g〜7.5mmol/g、1.75mmol/g〜7.0mmol/g、2.0mmol/g〜6.5mmol/g、2.5mmol/g〜6.0mmol/g、2.75mmol/g〜5.5mmol/g、3mmol/g〜5.0mmol/gのインビトロ競合的リン酸塩結合能を有する。生理学的に有意な期間は、ヒトで標的イオンの有意な取り込みが生じる時間の長さであってもよい。例えば、リン酸塩について、生理学的に有意な期間は、0〜5時間、例えば0.5〜5時間、1〜5時間、1〜4.5時間、1.5〜4時間、2〜3.5時間または1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5もしくは5時間より長い時間であってもよい。インビトロ競合的リン酸塩結合能は、以下の試験法の項に記載される技術によって測定され得る。
【0065】
ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、セベラマー塩酸塩の5時間でのインビトロ非競合的リン酸塩結合能の20%以内、例えば15%、12.5%、10%またはさらに5%以内の5時間でのインビトロ非競合的リン酸塩結合能を有する。インビトロ非競合的リン酸塩結合能は以下の試験法の項に記載される技術によって測定され得る。
【0066】
ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、前記ポリマーの5時間でのインビトロ非競合的リン酸塩結合能の20%より大きい、例えば30%より大きい、35 %より大きい、40%より大きい、45%より大きい、50%より大きい、60%より大きい、70%より大きいまたは80%より大きい1時間でのインビトロ競合的リン酸塩結合能を有する。インビトロ非競合的リン酸塩結合能およびインビトロ競合的リン酸塩結合能は、以下の試験法の項に記載される技術によって測定され得る。
【0067】
ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、前記ポリマーの5時間でのインビトロ非競合的リン酸塩結合能の20%より大きい、例えば30%より大きい、35%より大きい、40%より大きい、45%より大きい、50%より大きい、60%より大きい、70%より大きいまたは80%より大きい5時間でのインビトロ競合的リン酸塩結合能を有する。インビトロ競合的リン酸塩結合能およびインビトロ競合的リン酸塩結合能は、以下の試験法の項に記載される技術によって測定され得る。
【0068】
ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、0.2mmol/g〜14mmol/g、例えば0.3mmol/g〜13mmol/g、0.4mmol/g〜12.5mmol/g、0.5mmol/g〜10mmol/g、0.75mmol/g〜8mmol/g、1.0mmol/g〜6mmol/g、1.25mmol/g〜5mmol/g、1.5mmol/g〜4.5mmol/g、2.0mmol/g〜4.0mmol/gまたは2.5mmol/g〜3.5mmol/gのインビボリン酸塩結合能を有する。インビボリン酸塩結合能は、任意の動物、例えば任意の哺乳動物、例えばヒトまたはラットで測定され得る。試験法は、ラットでのインビボリン酸塩結合能を測定する方法を詳細に記載するが、ヒトにおける測定に適切なものとして適切に改変され得る。
【0069】
ある態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、0.5mmol/g〜5.0mmol/g、例えば1.0mmol/g〜5mmol/g、1.5mmol/g〜4.5mmol/g、2.0mmol/g〜4.0mmol/g、2.25mmol/g〜4.0mmol/g、2.5mmol/g〜4.0mmol/g、例えば1.00、1.25、1.5、1.75、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、3.75、4、4.25、4.5mmol/gより大きいまたは4.75mmol/gより大きいインビトロ胆汁酸結合能を有する。インビトロ胆汁酸結合能は、試験法に詳細に記載される方法によって測定され得る。
【0070】
ある態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、式Iの繰り返し単位を含み、式中mは0または1であり、nは整数であり、R1およびR2はHまたは結合であり、該ポリマーは9.8mol%または10mol%のエピクロロヒドリン架橋剤で架橋され、該架橋アミンポリマーは塩基または塩酸塩または炭酸塩およびポリカルボフィルでイオンコーティングされた粒子の形態であり、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍のインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間での50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間での0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間での0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、および/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0071】
他の態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、式Iの繰り返し単位を含み、式中、mは0または1であり、nは整数であり、R1およびR2はHまたは結合であり、該ポリマーは9.8mol%または10mol%のエピクロロヒドリン架橋剤で架橋され、該架橋アミンポリマーは塩基または塩酸塩または炭酸塩およびカップリング剤としてEDCを使用するポリカルボフィルで化学的にコーティングされた粒子の形態であり、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍のインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間での0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間での0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、および/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0072】
いくつかの態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、式I(式中、mは0または1であり、nは整数であり、R1およびR2はHまたは結合である)による反復単位を含み、該ポリマーは、9.8mol%または10mol%のエピクロロヒドリン架橋剤で架橋されており、該架橋アミンポリマーは、塩基または塩酸塩もしくは炭酸塩、およびポリカルボフィルでイオン的にコーティングもしくは化学的にコーティングされた粒子の形態であり、該コーティングは熱処理されており、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍であるインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティングおよび/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0073】
いくつかの態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、式I(式中、mは0または1であり、nは整数であり、R1およびR2はHまたは結合である)による反復単位を含み、該ポリマーは、15mol%または20mol%のエピクロロヒドリン架橋剤で架橋されており、該架橋アミンポリマーは、塩基または塩酸塩もしくは炭酸塩およびポリカルボフィルでイオン的にコーティングされた粒子の形態であり、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍であるインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティングおよび/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0074】
他の態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、式I(式中、mは0または1であり、nは整数であり、R1およびR2はHまたは結合である)による反復単位を含み、該ポリマーは、15mol%または20mol%のエピクロロヒドリン架橋剤で架橋されており、該架橋アミンポリマーは、塩基または塩酸塩もしくは炭酸塩およびカップリング剤としてEDCを用いてポリカルボフィルで化学的にコーティングされた粒子の形態であり、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍であるインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティングおよび/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0075】
いくつかの態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、式I(式中、mは0または1であり、nは整数であり、R1およびR2はHまたは結合である)による反復単位を含み、該ポリマーは、15mol%または20mol%のエピクロロヒドリン架橋剤で架橋されており、該架橋アミンポリマーは、塩基または塩酸塩もしくは炭酸塩、およびポリカルボフィルでイオン的にコーティングもしくは化学的にコーティングされた粒子の形態であり、該コーティングは熱処理されており、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍であるインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティングおよび/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0076】
いくつかの態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、エピクロロヒドリンで架橋され、次いでポリカルボフィルコーティングされたポリアリルアミンを含む。いくつかの態様において、架橋アミンポリマーは、9.8mol%または10mol%エピクロロヒドリンで架橋されたポリアリルアミンを含み、該ポリマーは、塩基または塩酸塩もしくは炭酸塩およびポリカルボフィルでイオン的にコーティングされた粒子の形態であり、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍であるインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティングおよび/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0077】
いくつかの態様において、架橋アミンポリマーは、9.8mol%または10mol%エピクロロヒドリンで架橋されたポリアリルアミンを含み、該ポリマーは、塩基または塩酸塩もしくは炭酸塩およびカップリング剤としてEDCを用いてポリカルボフィルで化学的にコーティングされた粒子の形態であり、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍であるインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティングおよび/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0078】
いくつかの態様において、架橋アミンポリマーは、9.8mol%または10mol%エピクロロヒドリンで架橋されたポリアリルアミンを含み、該ポリマーは、塩基または塩酸塩もしくは炭酸塩、およびポリカルボフィルでイオン的にコーティングまたは化学的にコーティングされた粒子の形態であり、該コーティングは熱処理され、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍であるインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティングおよび/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0079】
いくつかの態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、以下の式:


による反復単位を含み、9.8mol%または10mol%エピクロロヒドリンで架橋され、該架橋アミンポリマーは、塩基または塩酸塩もしくは炭酸塩およびポリカルボフィルでイオン的にコーティングされた粒子の形態であり、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍であるインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティングおよび/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0080】
いくつかの態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、以下の式:


による反復単位を含み、9.8mol%または10mol%エピクロロヒドリンで架橋され、該架橋アミンポリマーは、塩基または塩酸塩もしくは炭酸塩およびカップリング剤としてEDCを用いてポリカルボフィルで化学的にコーティングされた粒子の形態であり、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍であるインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティングおよび/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0081】
いくつかの態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、以下の式:


による反復単位を含み、9.8mol%または10mol%エピクロロヒドリンで架橋され、該架橋アミンポリマーは、塩基または塩酸塩もしくは炭酸塩、およびポリカルボフィルでイオン的にコーティングまたは化学的にコーティングされた粒子の形態であり、該コーティングは熱処理されており、該ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍であるインビトロ競合的リン酸塩結合能、1〜5時間で50%未満のインビトロ競合的リン酸塩結合能の変化、1時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、5時間目で0.5mmol/gより大きいインビトロ競合的リン酸塩結合能、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティング、pH4で前記コーティングの30%未満が失われるようなコーティング安定性を有するコーティングおよび/または対イオンの存在下で前記コーティングの70%以下が失われるコーティング安定性を有するコーティングを有する。
【0082】
用語「リン酸不均衡障害」は、本明細書で使用される場合、体内に存在するリンのレベルが異常な状態をいう。リン酸不均衡障害の一例としてはリン酸過剰血症が挙げられる。用語「リン酸過剰血症」は、本明細書で使用される場合、元素リンが上昇したレベルで体内に存在する状態をいう。典型的に、患者は、血中リン酸レベルが例えば、血液1デシリットルあたり約4.0または4.5ミリグラムより上、例えば約5.5mg/dlより上などの約5.0mg/dlより上、例えば6.0mg/dlより上である、および/または例えば、重度の障害がある糸球体濾過率が正常の約20%未満などである場合、たいていリン酸過剰血症と診断される。本発明はまた、末期腎疾患のリン酸過剰血症に苦しみ、かつ透析治療(例えば、血液透析または腹膜透析)を受けている患者を治療するために使用され得る。
【0083】
本発明の方法、ポリマー、組成物およびキットにより治療され得る他の疾患としては、低カルシウム血症、副甲状腺亢進症、カルシトリオールの腎合成の低下、低カルシウム血症によるテタニー、腎機能不全、ならびに関節、肺、腎臓、結膜(conjuctiva)、および心筋組織内へのカルシウム沈着などの軟組織内への異所性カルシウム沈着が挙げられる。また、本発明は、慢性腎臓疾患(CKD)、末期腎疾患 (ESRD)および透析患者を治療するために使用され得、上記のいずれかの予防的治療を含む。
【0084】
本明細書に記載のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーおよび組成物は、他の治療、例えば、食事でのリン摂取の制御、透析、無機金属塩および/または他のポリマー樹脂を使用しているものに対する補助剤として使用され得る。
【0085】
本発明の組成物はまた、胃腸管からの塩化物、重炭酸塩、シュウ酸塩および胆汁酸の除去に有用である。シュウ酸化合物またはイオンを除去するポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーによって、腎臓結石形成のリスクが増大するシュウ酸症または高シュウ酸尿症などのシュウ酸平衡異常障害の治療における用途が見出される。塩化物化合物またはイオンを除去するポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーによって、例えば、アシドーシス、胸焼け(heartburn)、酸逆流疾患、胸焼け(sour stomach)または胃炎の治療における用途が見出される。いくつかの態様において、本発明の組成物は、脂肪酸、ビリルビン、および関連化合物の除去に有用である。また、いくつかの態様により、タンパク質、核酸、ビタミンまたは細胞屑などの高分子量分子が結合および除去され得る。
【0086】
本発明は、動物の治療のための方法、医薬組成物、およびキットを提供する。用語「動物」または「動物被験者」または「患者」は、本明細書で使用される場合、ヒトならびに (例えば、イヌもしくはネコ、あるいはブタ、ヤギ、ウシもしくはウマなどの家畜動物の治療などの獣医学的治療における)他の哺乳動物またはニワトリなどの他の家畜などを包含する。本発明の一態様は、本明細書に記載のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの少なくとも1種類の有効量を投与することにより、動物の胃、小腸または大腸などの胃腸管から有機リン酸塩またはリン酸塩などのリン(phosphorous)含有化合物を除去する方法である。
【0087】
本明細書で使用される用語「治療すること」およびその文法的相当語句は、治療的利益および/または予防的利益が達成されることを含む。治療的利益とは、治療される根元の障害の根絶、改善、または予防を意味する。例えば、リン酸過剰血症患者において、治療的利益としては、根元のリン酸過剰血症の根絶または改善が挙げられる。また、治療的利益は、患者がなお根元の障害に罹患しているかもしれないにもかかわらず、患者に改善が観察されるように根元の障害と関連している生理学的症状の1つ以上の根絶、改善、または予防によって達成される。例えば、腎機能不全および/またはリン酸過剰血症に苦しむ患者への本明細書に記載のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの投与により、患者の血清リン酸レベルが減少している場合だけでなく、異所性カルシウム沈着および腎性骨形成異常症などの腎不全および/またはリン酸過剰血症に伴う他の障害に関して患者に改善が観察される場合にも治療的利益が提供される。予防的利益のため、例えば、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、リン酸過剰血症とは診断され得なかったがリン酸過剰血症を発症するリスクのある患者またはリン酸過剰血症の生理学的症状の1つ以上が報告されている患者に投与され得る。
【0088】
該組成物はまた、例えば、リン酸の血清レベルを正常またはほぼ正常レベル、例えば健常患者の正常レベルの10%以内のレベルに変化させることにより、上昇したリン酸レベルを有する被験者の血清リン酸を制御するために使用され得る。
【0089】
本発明の他の態様は、少なくとも1種類のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーまたはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの薬学的に許容され得る塩、および1種類以上の薬学的に許容され得る賦形剤、希釈剤、または担体ならびに任意にさらなる治療剤を含む医薬組成物に関する。該組成物は、製剤化する前に凍結乾燥または真空下もしくは炉内で乾燥され得る。
【0090】
賦形剤または担体は、製剤の他の成分と適合性であり、レシピエントに有害でないという意味において「許容され得る」。製剤は、単位投薬形態で簡便に提示され得、任意の適当な方法によって調製され得る。該方法は、典型的に架橋アミンポリマーを賦形剤または担体と均一に充分に合わせることなどによって該薬剤を賦形剤または担体と合わせる工程、および次いで、必要に応じて、生成物をその単位投薬に分ける工程を含む。
【0091】
本発明の医薬組成物は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーが有効量、すなわち、治療的および/または予防的利益が達成されるのに有効な量で存在する組成物を含む。特定の適用に有効な実際の量は、患者(例えば、年齢、体重など)、治療される状態;および投与経路に依存する。
【0092】
動物におけるポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの投薬量は、治療される疾患、投与経路、および治療される動物の身体的特徴に依存する。治療的および/または予防的使用のいずれかのためのかかる投薬量レベルは、いくつかの態様において、約1グラム/日〜約30グラム/日、例えば約2グラム/日〜約20グラム/日または約3グラム/日〜約7グラム/日であり得る。本明細書に記載のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの用量は、約50グラム未満/日、約40グラム未満/日、約30グラム未満/日、約20グラム未満/日、および約10グラム未満/日であり得る。
【0093】
典型的に、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、食事の前もしくは食事の後または食事とともに投与され得る。本明細書で使用されるように、食事の「前」または「後」は、典型的に、それぞれ、食事の開始または終了の2時間以内、好ましくは1時間以内、より好ましくは30分以内、最も好ましくは10分以内である。
【0094】
一般に、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは食事とともに投与されることが好ましい。ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、1日1回、1日2回、または1日3回投与され得る。好ましくはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、1日1回、最大量の食事とともに投与される。
【0095】
好ましくは、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、治療的および/または予防的利益のために使用され得、単独または医薬組成物の形態で投与され得る。医薬組成物は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、1種類以上の薬学的に許容され得る担体、希釈剤または賦形剤、および任意にさらなる治療剤を含む。例えば、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、治療される状態に応じて他の活性医薬剤と同時投与され得る。同時投与され得る医薬剤の例としては、限定されないが:
【0096】
他のリン酸捕捉剤(sequestrant)、例えば、薬学的に許容され得るランタン、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄および亜鉛化合物、例えば、酢酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物、クエン酸塩、アルギン酸塩、およびそのケト酸;
【0097】
カルシウム化合物、例えば、カルシウムの炭酸塩、酢酸塩(PhosLo(登録商標) 酢酸カルシウム錠剤)、クエン酸塩、アルギン酸塩、およびケト酸;
【0098】
アルミニウム系リン酸捕捉剤、例えば、Amphojel(登録商標)水酸化アルミニウムゲル;および
【0099】
ランタニド化合物、例えば、炭酸ランタン(Fosrenol(登録商標))
が挙げられる。
【0100】
同時投与に適当な他のリン酸捕捉剤としては、薬学的に許容され得るマグネシウム化合物が挙げられる。薬学的に許容され得るマグネシウム化合物の種々の例が、2005年11月8日に出願された米国特許仮出願第60/734,593号に記載されており、その全教示は参照により本明細書に援用される。適当な具体例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム(例えば、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウムおよびヨウ化マグネシウム)、マグネシウムアルコキシド(例えば、マグネシウムエトキシドおよびマグネシウムイソプロポキシド)、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびスチレンスルホン酸などの有機酸のマグネシウム塩、およびその組合せが挙げられる。
【0101】
同時投与に適当な他のリン酸捕捉剤としては、2005年12月29日に出願されたPCT出願第PCT/US2005/047582号に記載された薬学的に許容され得る亜鉛化合物の種々の例が挙げられ、その全教示が参照により本明細書に援用される。薬学的に許容され得る亜鉛化合物の適当な具体例としては、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、ギ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、ヨウ化亜鉛-デンプン、乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、酸化亜鉛、カラミン(少量の酸化第二鉄を含む酸化亜鉛)、p-フェノールスルホン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、吉草酸亜鉛およびエチレンビス(ジチオカルバミン酸)亜鉛が挙げられる。別の例としては、ポリ(アクリル酸亜鉛)が挙げられる。
【0102】
任意の上記のリン酸捕捉剤に言及する場合、その混合物、多形および溶媒和物が包含されることを理解されたい。
【0103】
いくつかの態様において、上記のリン酸捕捉剤の混合物は、薬学的に許容され得る第二鉄塩または第一鉄塩と組み合わせて使用され得る。
【0104】
他の態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーと組み合わせて使用されるリン酸捕捉剤は薬学的に許容され得るマグネシウム化合物ではない。また他の態様において、薬学的に許容され得るポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーと組み合わせて使用されるリン酸捕捉剤は薬学的に許容され得る亜鉛化合物ではない。
【0105】
本発明はまた、リン酸輸送インヒビターまたはアルカリホスファターゼインヒビターと組み合わされるポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの併用療法に関する方法および医薬組成物を含む。代替的に、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの混合物は、リン酸輸送インヒビターまたはアルカリホスファターゼインヒビターと一緒に使用され得る。
【0106】
かかるリン酸輸送インヒビターの適当な例は、同時係属中の米国特許出願公開公報第2004/0019113号および同第2004/0019020号ならびにWO 2004/085448に見られ得、その各々の全教示は参照により本明細書に援用される。
【0107】
多くの種類の有機分子および無機分子はアルカリホスファターゼ(ALP)に対するインヒビターであり(例えば、米国特許第5,948,630号参照、その全教示が参照により本明細書に援用される)、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーとともに同時投与され得る。かかるアルカリホスファターゼインヒビターの例としては、オルトリン酸塩、ヒ酸塩、L-フェニルアラニン、L-ホモアルギニン、テトラミソール、レバミソール、L-p-ブロモテトラミソール、5,6-ジヒドロ-6-(2-ナフチル)イミダゾ-[2,1-b]チアゾール(ナフチル)およびその誘導体が挙げられる。好ましいインヒビターとしては、限定されないが、レバミソール、ブロモテトラミソール、および5,6-ジヒドロ-6-(2-ナフチル)イミダゾ-[2,1-b]チアゾールならびにその誘導体が挙げられる。
【0108】
この同時投与は、同じ投薬形態での2種類の薬剤の同時投与、別々の投薬形態での同時投与、および別々の投与を含み得る。例えば、リン酸過剰血症の治療のためには、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、リン酸過剰血症から生じる低カルシウム血症を治療するために使用されるカルシウム塩と同時投与され得る。
【0109】
本発明の医薬組成物は、錠剤、サシェ、スラリー、食品配合物、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、オブラート、チューインガムまたはロゼンジとして製剤化され得る。
【0110】
好ましくは、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーまたはポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む医薬組成物は経口投与される。適当な方法、ビヒクル、賦形剤および担体の例示は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第19版に記載されたものであり、その内容は参照により本明細書に援用される。
【0111】
本発明に従う使用のための医薬組成物は、活性ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを製薬的に使用され得る調製物に加工することを容易にする賦形剤および助剤を含む1種類以上の生理学的に許容され得る担体を用いて従来の様式で製剤化され得る。適正な製剤は、選択される投与経路に依存する。ポリカルボフィルコーティング架橋アミンの医薬組成物を調製するための適当な技術は当該技術分野で周知である。
【0112】
本発明のいくつかの局面において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー(1種類または複数種類)は、通常賦形剤によって発揮される機械的特性および熱特性を提供するので、製剤に必要とされるかかる賦形剤の量が減少する。いくつかの態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーまたは組成物は、組成物中の約30wt%超、例えば約40wt%超、約50wt%超、好ましくは約60wt%超、約70wt%超、より好ましくは約80wt%超、約85wt%超、約90wt%超、約95wt%超または約99wt%超を構成し、残部は適当な賦形剤(1種類または複数種類)で構成される。
【0113】
いくつかの態様において、錠剤の圧縮性は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの水和(水分含量)の程度に大きく依存する。好ましくは、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、約5重量%以上の水分含量を有し、より好ましくは、水分含量は約5%〜約9重量%であり、最も好ましくは約7重量%である。ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーが水和されている態様において、水和水は、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーの成分とみなされることを理解されたい。
【0114】
錠剤は、さらに、硬化剤、滑剤および潤滑剤などの当該技術分野で周知の1種類以上の賦形剤を含み得る。適当な賦形剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、スクロース、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸亜鉛およびステアリルフマル酸ナトリウムが挙げられる。
【0115】
本発明の態様の錠剤コアは、(1)ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを所望の水分レベルに水和または乾燥する工程; (2) ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを任意の賦形剤と混合する工程; および(3) 従来の打錠技術を用いて混合物を圧縮する工程を含む方法によって調製され得る。
【0116】
いくつかの態様において、本発明は、安定で嚥下可能なコーティング錠剤、特に、上記のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを含む錠剤などの親水性コアを含む錠剤に関する。一態様において、コーティング組成物は、セルロース誘導体および可塑剤を含む。セルロース誘導体は、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。セルロース誘導体は水溶液として存在してもよい。適当なヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液としては、低粘度HPMCおよび/または高粘度HPMCを含有するものが挙げられる。さらなる適当なセルロース誘導体としては、フィルムコーティング製剤に有用なセルロースエーテルが挙げられる。可塑剤は、例えば、ジアセチル化モノグリセリドなどのアセチル化モノグリセリドであり得る。コーティング組成物は、さらに、所望の色の錠剤コーティングが提供されるように選択される顔料を含み得る。例えば、白色コーティングをもたらすためには、二酸化チタンなどの白色顔料が選択され得る。
【0117】
一態様において、本発明のコーティング錠剤は、上記の本発明の錠剤コアを、溶媒、該溶媒に溶解または懸濁された少なくとも1種類のコーティング薬剤および、任意に1種類以上の可塑剤を含むコーティング溶液と接触させる工程を含む方法によって調製され得る。好ましくは、溶媒は、水もしくは水性バッファー、または混合水性/有機系溶媒などの水性溶媒である。好ましいコーティング薬剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体を含む。典型的に、錠剤コアの重量が約4%〜約6%の範囲の量で増加し、錠剤コア上に適当なコーティングの堆積を示してコーティング錠剤が形成されるまで錠剤コアをコーティング溶液と接触させる。
【0118】
本発明のいくつかの組成物に有用な他の医薬用賦形剤としては、微晶質セルロース、カルボポール、プロビドンおよびキサンタンガムなどの結合剤; マンニトール、キシリトール、マルトデキストリン、フルクトース、またはソルビトールなどの香味剤;植物系脂肪酸などの潤滑剤;ならびに、任意に、クロスカルメロースナトリウム、ゲランガム、セルロースの低置換ヒドロキシプロピルエーテル、デンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤が挙げられる。かかる添加剤および他の適当な成分は当該技術分野で周知である;例えば、Gennaro A R (編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版参照。
【0119】
いくつかの態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、チュアブル錠剤の形態の医薬組成物として提供される。活性成分に加えて、以下の型の賦形剤が一般に使用される: 必要なおいしさを提供するための甘味剤+充分な錠剤硬度を提供するのに前者が不充分な場合は結合剤;ダイ壁における摩擦効果を最小限にするため、および錠剤射出を容易にするための潤滑剤;ならびに、いくつかの製剤では、咀嚼を容易にするために少量の崩壊剤が添加される。いくつかの態様において、本発明は、本明細書に記載のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、充填剤、および潤滑剤を含む、チュアブル錠剤として製剤化された医薬組成物を提供する。いくつかの態様において、本発明は、本明細書に記載のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマー、充填剤および潤滑剤を含み、該充填剤がスクロース、マンニトール、キシリトール、マルトデキストリン、フルクトース、およびソルビトールからなる群より選択され、該潤滑剤がステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウム脂肪酸塩である、チュアブル錠剤として製剤化された医薬組成物を提供する。
【0120】
一態様において、ポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、ポリマーおよび賦形剤が充分に混合された固溶体を形成するため、マンニトール、ソルボース、スクラロース、サッカリンまたはサッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテームまたはスクロースなどの高Tg/高融点低分子量賦形剤を用いて予備製剤化される。押出、噴霧乾燥、低温乾燥、凍結乾燥、または湿式造粒などの混合方法が有用である。混合レベルの表示は示差走査熱量測定または動的機械的解析などの公知の物理的方法によって示される。
【0121】
いくつかの態様において、本発明のポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーは、液体製剤の形態の医薬組成物として提供される。いくつかの態様において、医薬組成物は、適当な液体賦形剤中に分散されたポリマーを含む。適当な液体賦形剤は当該技術分野で公知である;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences参照。
【0122】
本明細書で挙げたすべての刊行物および特許出願は、参照により、あたかも、各個々の刊行物または特許出願が具体的に個々に示されて参照により本明細書に援用されているかのように同程度に本明細書に援用される。
【0123】
添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書に示した本開示に対して多くの変更および修正が行なわれ得ることは当業者に自明であろう。
【実施例】
【0124】
(実施例)
実施例1:化合物Iの調製:
3gの9.8mol%エピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩を200mlの脱イオン水中に分散し、1時間攪拌した。90mgのポリカルボフィルをこの分散液に添加し、混合物を15分間攪拌した。溶液から固体を濾過し、300mlの脱イオン水で洗浄し、48時間真空乾燥し、所望の生成物を得た。
【0125】
実施例2:化合物IIの調製:
ポリカルボフィル-コーティングエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩を実施例1に従って調製し、次いで90℃の真空炉内に配置した。3サイクルの窒素ガスおよび真空を用いて炉で空気をパージした。熱処理を14時間継続した。
【0126】
実施例3:化合物IIIの調製:
3gの9.8mol%エピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩を200mlの脱イオン水中に分散し、1時間攪拌した。別の容器内で、90mgのポリカルボフィルを50mlの脱イオン水に溶解した。0.09585gのN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)をポリカルボフィル溶液に添加し、溶液を20分間攪拌した。ポリカルボフィル溶液をポリアリルアミン分散液と合わせ、15分間攪拌した。固体を濾過し、300mlの脱イオン水で洗浄し、凍結乾燥機内で48時間乾燥した。
【0127】
化合物I、IIおよびIIIのそれぞれのコーティング安定性、インビトロ非競合的リン酸塩結合能およびインビトロ競合的リン酸塩結合能を、試験方法の手順に従って評価した。結果を以下に示す。
【0128】

【0129】

【0130】

【0131】
試験方法
結合%およびコーティング安定性
ポリカルボフィルコーティングポリアリルアミンを実施例に記載した手順に従って調製した。445nmの波長でUV分光光度計を使用し、各調製物について濾過工程からの濾液を解析することによって結合%を測定した。濾液の吸光度を評価し、ベール-ランベルト法に従って濾液中のポリカルボフィルの濃度を測定し、結合%を以下の等式:


(式中、mPCPi=溶液に添加されたポリカルボフィルの質量; および
mPCPf=濾液中のポリカルボフィルの質量)
に従って測定した。
【0132】
次いで、コーティングポリアリルアミンを5つの等しい分割量(A〜E)に分け、以下のコーティング安定性試験に供した。
【0133】
分割量A: 分割量(aliquot)Aを25mlの脱イオン水と攪拌しながら合わせ、濃HClを用いてpHを1.0に調整し、溶液を2時間攪拌し、濾過した。0.1Nリン酸バッファーを用いて濾液を7.0にpH調整し、UV分光光度計を使用し、445nmの波長で濾液の吸光度を測定し、濾液中のポリカルボフィルの濃度を、結合%について上記のようにして測定した。使用する0.1Nリン酸バッファーは、以下のようにして調製した。5.836gのリン酸ナトリウム二塩基性七水和物(Na2HPO4)・7H2Oおよび15.466gのリン酸ナトリウム一塩基性水和物(NaH2PO4)・H2Oを500mlの脱イオン水に添加し、1Lの容量測定フラスコ内に入れた。すべての固体が溶解するまで溶液を磁気攪拌機で攪拌し、脱イオン水によって1Lに希釈した。次いで、pHによるコーティング減少%は、以下の等式:


(式中、mPCPC=(mPCPi−mPCPf); および
mpH1=分割量Aの濾液中のポリカルボフィルの質量)
に従って測定した。
【0134】
分割量B: 分割量Bを25mlの脱イオン水と攪拌しながら合わせ、濃HClを用いてpHを4.0に調整し、溶液を2時間攪拌し、濾過した。分割量Aに関して上記のようにして調製した0.1Nリン酸バッファーを用いて濾液を7.0にpH調整し、UV分光光度計を使用し、445nmの波長で濾液の吸光度を測定し、濾液中のポリカルボフィルの濃度を、結合%について上記のようにして測定した。pHによるコーティング減少%を以下の等式:


(式中、mPCPC=(mPCPi−mPCPf); および
mpH4=分割量Bの濾液中のポリカルボフィルの質量)
に従って測定した。
【0135】
分割量C: 分割量Cを25mlの脱イオン水と攪拌しながら合わせ、0.1N NaOHを用いてpHを6.0に調整し、溶液を2時間攪拌し、濾過した。分割量Aに関して上記のようにして調製した0.1Nリン酸バッファーを用いて濾液を7.0にpH調整し、UV分光光度計を使用し、445nmの波長で濾液の吸光度を測定し、濾液中のポリカルボフィルの濃度を、結合%について上記のようにして測定した。pHによるコーティング減少%を以下の等式:


(式中、mPCPC=(mPCPi−mPCPf); および
mpH6=分割量Cの濾液中のポリカルボフィルの質量)
に従って測定した。
【0136】
分割量D: 分割量Dを25mlの脱イオン水と攪拌しながら合わせ、0.1N NaOHを用いてpHを8.0に調整し、溶液を2時間攪拌し、濾過した。分割量Aに関して上記のようにして調製した0.1Nリン酸バッファーを用いて濾液を7.0にpH調整し、UV分光光度計を使用し、445nmの波長で濾液の吸光度を測定し、濾液中のポリカルボフィルの濃度を、結合%について上記のようにして測定した。pHによるコーティング減少%を以下の等式:


(式中、mPCPC=(mPCPi−mPCPf); および
mpH8=分割量Dの濾液中のポリカルボフィルの質量)
に従って測定した。
【0137】
分割量E: 分割量Eを100mlの脱イオン水および80.82mgのポリ(ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩)と攪拌しながら合わせ、溶液を15分間攪拌し、濾過した。分割量Aに関して上記のようにして調製した0.1Nリン酸バッファーを用いて濾液を7.0にpH調整し、UV分光光度計を使用し、445nmの波長で濾液の吸光度を測定し、濾液中のポリカルボフィルの濃度を、結合%について上記のようにして測定した。対イオンによるコーティング減少%を以下の等式:


(式中、mPCPC=(mPCPi−mPCPf); および
mpH8=分割量Eの濾液中のポリカルボフィルの質量)
に従って測定した。
【0138】
非競合的リン酸塩結合能
バッファーの調製:
0.680gのKH2PO4、10.663gの(N,N-ビス-2-ヒドロキシエチル)-2-アミノメタンスルホン酸(BES)および2.338gのNaClを500mlの容量測定フラスコに量り入れた。300mlの脱イオン水を添加し、固体を溶解した。バッファーの総容量が500mlになるまで、さらに脱イオン水を添加した。1N NaOHを用いてpHを7.0に調整した。
【0139】
試料の調製:
25mgの各コーティングポリマーのTGAによる乾燥時の減少(%LOD)を、窒素でパージし、白金皿を使用したThermogravimetric Analyzer、TA Instruments、Model TGA Q 500において測定した。以下の加熱条件を使用した。
加熱速度: 10℃/分
最終温度: 85℃
保持時間: 60分
【0140】
%LODを65分間にわたる重量減少%として測定し、その結果を用いて以下の式:
重量=33.35mg/(1-(LOD/100))
により標的試料の重量を計算した。
【0141】
結合手順:
コーティングポリマーあたりの計算された目的試料の重量を、2つの50mlのプラスチック試料瓶のそれぞれに量り入れた。10mMリン酸バッファー溶液の25mlの分割量を各試料瓶に移した。ボルテックスによって溶液を充分に混合し、次いで、回転式振とう器内で、37℃および250RPMで60分間振とうした。振とう中、ポリマー粒子が試料瓶の壁または蓋に付着しないことを確保した。60分後、振とう器を停止し、ポリマーを沈降させた。各溶液から正確に2.0mlの分割量を採取した。分割量を使い捨てシリンジおよび25mmシリンジフィルターを用いて小さいバイアル内に濾過し、次いで、9部のDI水に対して1部の溶液の比で希釈した。試料瓶をさらに4時間(合わせて合計5時間)振とうし、試料採取手順を繰返した。10mMリン酸バッファー溶液を以下のように希釈することにより、4つのリン酸標準を調製した。
【0142】

【0143】
伝導率検出を有するDionex ICS3000装置を用いたイオンクロマトグラフィーによって標準および試料を解析した。0.75mM標準を、6回試料注入後毎にこの標準を再注入することによりシステムの適正を確認するための確認用標準として使用した。以下の装置条件を使用した。
カラム: Dionex、AS11-HC、4×250mm
ガードカラム: AG11-HC、4×50mm
移動相=40mM KOH (溶離液発生器使用)
伝導率検出器の電流を149mAに設定
カラム温度: 35℃
流速: 1.5mL/分
注入容量: 25μl
ラン時間: 6分
リン酸塩の保持時間: 約4分
【0144】
10倍希釈液を考慮に入れて標準曲線を作成し、各試験溶液の未結合リン酸(mM)を計算した。以下の等式:
結合PO4(mmol/g)=[(10 − 未結合PO4)×Vol.×1000]/MassP
(式中、Vol.=試験溶液の容量(L)
MassP=ポリマーのLOD調整質量(mg))
を用いて結合リン酸を測定した。二重に解析した結果を平均した。
【0145】
競合的リン酸塩結合能
バッファーの調製:
0.680gのKH2PO4、10.663gの(N,N-ビス-2-ヒドロキシエチル)-2-アミノメタンスルホン酸(BES)および2.338gのNaClを500mlの容量測定フラスコに量り入れた。300mlの脱イオン水を添加し、固体を溶解した。バッファーの総容量が500mlになるまで、さらに脱イオン水を添加した。バッファーの総容量が500mlになるまで、さらに脱イオン水を添加した。この溶液の10mL分割量を採取し、標準の調製における使用のために保存した。3.537gのグリコケノデオキシコール酸、ナトリウム塩(GCDC)および2.285gのオレイン酸(OA)、ナトリウム塩を、残りの490mlのバッファー溶液に添加し、1N HClによりpHをpH7.0に調整した。溶液を充分混合した(OAは溶解しなかったが、懸濁液が形成されたことに注意。分割量を採取する前に溶液が充分に混合され、懸濁され、OAができるだけ均一に混合されることを確保した)。
【0146】
試料の調製:
25mgの各ポリマーの熱重量分析による乾燥時の減少(%LOD)を、窒素でパージし、白金皿を使用したThermogravimetric Analyzer、TA Instruments、Model TGA Q 500において測定した。以下の加熱条件を使用した。
加熱速度: 10℃/分
最終温度: 85℃
保持時間: 60分
【0147】
%LODを65分間にわたる重量減少%として測定し、その結果を用いて以下の式:
重量=33.35mg/(1-(LOD/100))
により標的試料の重量を計算した。
【0148】
結合手順:
ポリマーあたりの計算された目的試料の重量を、2つの50mlのプラスチック試料瓶のそれぞれに量り入れた。酸を含む10mMリン酸バッファー溶液の25mlの分割量を各試料瓶に移した。ボルテックスによって溶液を充分に混合し、次いで、回転式振とう器内で、37℃および250RPMで各試料採取時点まで振とうした。振とう中、ポリマー粒子が試料瓶の壁または蓋に付着しないことを確保した。各時点で、振とう器を停止し、ポリマーを沈降させた。各溶液から正確に2.0mlの分割量を採取した。分割量を使い捨てシリンジおよび25mmシリンジフィルターを用いて小さいバイアル内に濾過し、次いで、9部のDI水に対して1部の溶液の比で希釈した。試料瓶を振とうし、各時点で試料採取手順を繰返した。酸を含む10mMリン酸バッファー溶液を以下のように希釈することにより、4つのリン酸標準を調製した。
【0149】

【0150】
伝導率検出を有するDionex ICS3000装置を用いたイオンクロマトグラフィーによって標準および試料を解析した。0.75mM標準を、6回試料注入後毎にこの標準を再注入することによりシステムの適正を確認するための確認用標準として使用した。以下の装置条件を使用した。
カラム: Dionex、AS11-HC、4×250mm、P/N 052960
ガードカラム: AG11-HC、4×50mm、P/N 052962
移動相=40mM KOH (溶離液発生器使用)
伝導率検出器の電流を149mAに設定
カラム温度: 35℃
流速: 1.5mL/分
注入容量: 25μl
ラン時間: 6分
リン酸塩の保持時間: 約4分
【0151】
10倍希釈液を考慮に入れて標準曲線を作成し、各試験溶液の未結合リン酸(mM)を計算した。以下の等式:
結合PO4(mmol/g)=[(10 − 未結合PO4)×Vol.×1000]/MassP
(式中、Vol.=試験溶液の容量(L)
MassP=ポリマーのLOD調整質量(mg))
を用いて結合リン酸を測定した。
【0152】
二重に解析した結果を平均した。
【0153】
架橋アミンポリマー尿中リン減少(インビトロ-ラット)
雄Sprague Dawley(SD)家ラットが実験に使用され得る。ラットを個々にワイヤーボトムケージ内に配置し、Purina 5002飼料を与え、実験使用前に少なくとも5日間馴化させる。
【0154】
ベースラインリン排出を確立するため、ラットを代謝ケージ内に48時間配置する。その尿を収集し、そのリン含有量をHitachi解析装置で解析し、リン排出をmg/日で測定する。範囲外の値を有するラットはいずれも除外すべきである。残りのラットを群に分配する。
【0155】
標準飼料としてPurina 5002が使用され得る。試験する架橋アミンポリマーをPurina 5002と混合し、最終架橋アミンポリマー濃度を飼料中の0.25重量%とする。0.5重量%のセルロースを陰性対照として使用する。0.5重量%のセベラマーを陽性対照として使用する。各ラットに対して200gの飼料を調製する。
【0156】
各ラットの体重を測定し、標準飼料下に置く。4日後、標準飼料を治療飼料 (または対照群では対照飼料)と交換する。第5日および第6日目、24時間目(+/-30分)のラットの尿試料を収集し、解析する。再度、試験ラットの体重を測定し、体重の減少または増加があれば計算する。また、残留している飼料があれば重量を量り、1日あたりに消費された飼料の量を計算する。ベースラインおよびセルロース陰性対照に対するリン排出の変化を計算する。尿中のリンの減少割合は、以下の等式:
尿中のリンの減少%=[(陰性対照の尿中のリン(mg/日) − 実験の尿中のリン(mg/日))/陰性対照の尿中のリン(mg/日)]×100
によって測定され得る。
【0157】
製造過程膨潤比(ml/g)
ポリマーの製造過程膨潤比(SR)は、以下の等式:
SR=(湿潤ゲルの重量(g) − 乾燥ポリマーの重量(g))/乾燥ポリマーの重量(g)
を用いて測定され得る。
【0158】
胆汁酸結合能
イオンクロマトグラフィーによってポリマー試料の競合的リン酸塩結合を解析した後、HPLCを使用し、以下の手順に従って同じ試料の胆汁酸結合能が解析され得る。
【0159】
バッファーの調製:
0.177gのGCDCを25mlの容量測定フラスコ内に計量し、100mMモルホリノエタンスルホン酸ストック溶液を用いて印まで希釈し、15mM GCDCストック溶液が形成され得る。容量測定フラスコ内で以下のようにしてGCDCストック溶液を希釈することにより、以下の濃度を有する4つの標準が調製され得る。
【0160】

【0161】
ブランクは、MESバッファーストックを10分の1に希釈することにより調製され得る。HPLC測定のため、以下のパラメータが使用され得る。
カラム: Platinum EPS-C18、33×7mm、3ミクロン、ロケット形式
MP: A = 15mM アンモニウム酢酸塩、pH5.30 (容量比8/2の酢酸/アセトニトリル溶液でpH調整)
MP B = アセトニトリル
流速: 2ml/分
カラム温度: 30℃
注入容量: 10μl
UV検出: 210nm
【0162】
以下の勾配を使用する:
【0163】


ラン停止 = 4.0分 およびポストラン = 2.5分
【0164】
以下の注入形式: ブランク2回、標準2回、ブランク、次いで試験試料1回が使用され、各々、9回の試料注入後毎に系適性試験のために1.0mM標準が注入され得る。系は、元の標準と適性標準間の差が5%未満である場合、適当である。
【0165】
標準曲線が作成され得、各試験溶液について未結合GCDC (mM)が計算され得る。次いで、結合GCDCが以下の等式:
結合GCDC (mmol/g) = [(15 - 未結合GCDC)×Vol.×1000]/MassP
(式中、Vol.=試験溶液の容量(L)および
MassP=ポリマーのLOD調整質量(mg))
を用いて測定され得る。
【0166】
本発明の好ましい態様を本明細書において示し、記載したが、当業者には、かかる態様は例示のためだけに提供されることが明白である。当業者には、本発明から逸脱することなく数多くの変形、変更および置換が行なわれる。本発明の実施において本明細書に記載の発明の態様の種々の代替例が使用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を規定すること、およびこの特許請求の範囲の範囲に含まれる方法および構造ならびにその均等物は特許請求の範囲に包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリカルボフィルを含むコーティングでコーティングされたポリアリルアミンまたはその塩の架橋粒子を含む、コーティングポリマー粒子;および
b)薬学的に許容され得る賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記粒子が、エピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン炭酸塩を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記コーティングが、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩をさらに含む、請求項1〜2いずれかに記載の組成物。
【請求項4】
前記コーティングが、熱処理コーティングを含む、請求項1〜3いずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記コーティングが、イオン結合コーティングを含む、請求項1〜2または4いずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記粒子が、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍のインビトロ競合的リン酸塩結合能を有する、請求項1〜5いずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記粒子が、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩と実質的に同じのインビトロ非競合的リン酸塩結合能を有する、請求項1〜6いずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記コーティングが、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有する、請求項1〜7いずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記コーティングが、pH1で前記コーティングの20%未満が失われるようなコーティング安定性を有する、請求項1〜8いずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記コーティングが、pH1で前記コーティングの15%未満が失われるようなコーティング安定性を有する、請求項1〜9いずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記コーティングが、対イオンの存在下で前記コーティングの60%以下が失われるコーティング安定性を有する、請求項1〜10いずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記コーティングが、対イオンの存在下で前記コーティングの10%以下が失われるコーティング安定性を有する、請求項1〜11いずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記コーティングが、対イオンの存在下で前記コーティングの1%以下が失われるコーティング安定性を有する、請求項1〜12いずれかに記載の組成物。
【請求項14】
治療の必要がある患者に、治療有効量の、ポリカルボフィルを含むコーティングでコーティングされたポリアリルアミンまたはその塩の架橋粒子を含む少なくとも1つのポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを投与する工程を含む、リン酸塩過剰血症の治療方法。
【請求項15】
治療の必要がある患者に、治療有効量の、ポリカルボフィルを含むコーティングでコーティングされたポリアリルアミンまたはその塩の架橋粒子を含む少なくとも1つのポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを投与する工程を含む、慢性腎臓病の治療方法。
【請求項16】
治療の必要がある患者に、治療有効量の、ポリカルボフィルを含むコーティングでコーティングされたポリアリルアミンまたはその塩の架橋粒子を含む少なくとも1つのポリカルボフィルコーティング架橋アミンポリマーを投与する工程を含む、末期腎臓病の治療方法。
【請求項17】
前記粒子が、エピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン炭酸塩を含む、請求項14〜16いずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記コーティングが、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩をさらに含む、請求項14〜17いずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記コーティングが、熱処理コーティングを含む、請求項14〜18いずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記コーティングが、イオン結合コーティングを含む、請求項14〜17または19いずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記粒子が、コーティングされていないエピクロロヒドリン架橋ポリアリルアミン塩酸塩のインビトロ競合的リン酸塩結合能の2〜10倍のインビトロ競合的リン酸塩結合能を有する、請求項14〜20いずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記コーティングが、pH1で前記コーティングの50%未満が失われるようなコーティング安定性を有する、請求項14〜21いずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記コーティングが、pH1で前記コーティングの20%未満が失われるようなコーティング安定性を有する、請求項14〜22いずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記コーティングが、pH1で前記コーティングの15%未満が失われるようなコーティング安定性を有する、請求項14〜23いずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記コーティングが、対イオンの存在下で前記コーティングの60%以下が失われるコーティング安定性を有する、請求項14〜24いずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記コーティングが、対イオンの存在下で前記コーティングの10%以下が失われるコーティング安定性を有する、請求項14〜25いずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記コーティングが、対イオンの存在下で前記コーティングの1%以下が失われるコーティング安定性を有する、請求項14〜26いずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2011−506449(P2011−506449A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537976(P2010−537976)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/013675
【国際公開番号】WO2009/078958
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(591042816)ジェンザイム コーポレーション (20)
【Fターム(参考)】