説明

コーディエライト繊維基材およびその形成方法

【課題】
【解決手段】
多孔質コーディエライト基材、および少なくとも一つのコーディエライト前駆体材料を含む繊維の準備、および少なくとも一つの有機バインダー材料の準備を含む、多孔質コーディエライト基材の形成方法。当該繊維および有機バインダー材料は流体と混合される。繊維、有機バインダー材料および流体の混合物は未焼成基材へ押出される。未焼成基材は焼成されて、繊維間の結合形成が可能となり、多孔質コーディエライト繊維基材を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコーディエライト基材に関し、さらに詳しくは非コーディエライト繊維材料から生産される多孔質コーディエライト基材に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質基材はさまざまなろ過および分離工程のために利用できる。例えば、触媒材料が基材に蒸着している多孔質基材は、粒子排出の低減および有毒な排気ガスを毒性の低いガスに変換するために一般的に使用される。比較的高い空隙率(すなわち、材料中の空間のパーセント)および比較的高い耐熱衝撃性(例えば低い熱膨張のため)を持つ基材は、最高の効率および効果を提供する可能性がある。さまざまな材料が粒子フィルタおよび触媒コンバータ用途で使用されてきたが、コーディエライトはかかる使用に適切であることが証明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コーディエライトは、粉末のマグネシア、アルミナおよびシリカを含む原料から一般的に形成される。セラミック粉末材料の押出は、環境制御産業用セラミック基材の効果的かつ費用効率の高い製造方法であることが証明されている。しかし、押出セラミック粉末材料の空隙率には上限がある。粉末セラミック材料から形成される押出基材の空隙率が限度を超えると、基材の強度および機能が低下する場合がある。
【0004】
このため、さまざまな用途のための強度を維持する一方、高い空隙率および透過性を持つコーディエライトが必要とされている。
【0005】
本発明は、非コーディエライト繊維材料から形成される多孔質コーディエライト基材を提供する。
【0006】
一般に、一つの態様において、本発明は、少なくとも一つのコーディエライト前駆体材料を含む繊維の準備、および少なくとも一つの有機バインダー材料の準備を含む、多孔質コーディエライト基材の形成方法を特徴とする。当該繊維および有機バインダー材料は流体と混合される。繊維、有機バインダー材料および流体の混合物は未焼成基材へ押出される。未焼成基材は焼成されて、繊維間の結合形成が可能となり、多孔質コーディエライト繊維基材を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
当該方法は以下の態様の一つ以上を特徴とする場合がある。一部の実装では、アルミナを準備し、繊維、有機バインダーおよび流体と混合することがある。同様に、シリカを準備し、繊維、バインダーおよび流体と混合してもよい。同様に、マグネシアを準備し、繊維、バインダーおよび流体と混合してもよい。アルミナはコロイドアルミナの形で提供してもよい。シリカはコロイドシリカの形で提供してもよい。マグネシアは炭酸マグネシウムの形で提供してもよい。一部の実装では、細孔形成材料を準備し、繊維、バインダーおよび流体と混合することがある。
【0008】
一部の実装では、繊維は生体溶解性ケイ酸マグネシウム繊維を含むことがある。または、繊維はマグネシア・アルミナ・ケイ酸ガラス繊維を含むことがある。同様に、繊維はアルミノケイ酸繊維を含むことがある。一部の実施例では、繊維は少なくとも一つのアルミナ繊維、シリカ繊維およびマグネシア繊維を含むことがある。多孔質コーディエライト繊維基材は40パーセントを超える空隙率を持つことがある。
【0009】
一部の実装では、未焼成基材の焼成には、未焼成基材を乾燥して流体の大部分を除去することを含むことがある。バインダー材料を燃え尽くすことができるように未焼成基材を加熱してもよい。繊維間の結合形成を可能にするために、未焼成基材を焼結してもよい。焼結は、繊維の相形成データに基づいたコーディエライト形成温度で行なう場合がある。未焼成基材は1400oC未満の温度で焼結することがある。
【0010】
一般に、別の態様では、本発明は、流体、少なくとも一つの有機バインダー材料および少なくとも一つのコーディエライト前駆体材料を含む繊維を含有する押出組成を持つ押出基材を含む多孔質コーディエライト繊維を特徴とする。押出基材を焼結して繊維間の領域を連結し、コーディエライト組成を含む焼成基材を形成する。
以下の特徴の一つ以上が含まれる場合がある。一部の実施例では、アルミナを押出組成物に混合することがある。同様に、シリカを押出組成物に混合してもよい。同様に、一部の実施例では、マグネシアを押出組成物に混合することがある。一部の実施例では、細孔形成材料を押出組成物に混合することがある。
【0011】
一部の実施例では、有機バインダー材料および流体は、押出基材が焼結加熱される際、実質的に燃え尽くされる。他の実施例では、細孔形成材料および流体は、押出基材が焼結加熱される際、実質的に燃え尽くされることがある。押出基材は、繊維の相形成データに基づいたコーディエライト形成温度で焼結される場合がある。
【0012】
一部の実施例では、少なくとも一つの固体状態結合、ガラス・セラミック結合、および結晶結合が繊維の間に形成されることがある。他の実施例では、ガラス結合が繊維の間に形成される場合がある。
【0013】
一般に、別の態様では、本発明は、生体溶解性シリカ・マグネシア繊維またはマグネシア・アルミナ・ケイ酸ガラス繊維の一つ、少なくとも一つの有機バインダー材料および流体を含む非コーディエライト押出基材から成る多孔質コーディエライト基材を特徴とする。非コーディエライト押出基材は焼結されて、繊維の間に結合を形成し、コーディエライト組成を含む基材を形成する。
【0014】
一部の実施例では、非コーディエライト押出基材は細孔形成材料も含むことがある。流体は脱イオン水でもよい。
【0015】
一部の実施例では、細孔形成材料および流体は、非コーディエライト押出基材が焼結加熱される際、実質的に燃え尽くされることがある。他の実施例では、有機バインダー材料および流体は、非コーディエライト押出基材が焼結加熱される際、実質的に燃え尽くされることがある。非コーディエライト押出基材は、生体溶解性シリカ・マグネシア繊維またはマグネシア・アルミナ・ケイ酸ガラス繊維を含む押出基材のコーディエライト形成温度で焼結される場合がある。
【0016】
一部の実施例では、少なくとも一つの固体状態結合、ガラス・セラミック結合、および結晶結合が繊維の間に形成されることがある。他の実施例では、ガラス結合が繊維の間に形成される場合がある。
【0017】
一つ以上の実装の詳細を添付の図面および以下の記述で説明する。本発明の他の特徴および利点は、以下の説明、図面および請求項から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図 1は多孔質コーディエライト基材形成の模範的方法のフローチャートである。
【図2】図 2は未焼成基材焼結の模範的方法のフローチャートである。
【図3】図 3はハニカム横断面を持つ模範的基材の説明図である。
【図4】図 4は多孔質コーディエライト基材の走査型電子顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで図1、2および3を参照するが、 本書に記述の模範的方法100により、コーディエライト前駆体材料から模範的多孔質コーディエライト繊維基材300を形成できる。方法100は、少なくとも一つの繊維状コーディエライト前駆体材料の使用を含むことがある。コーディエライトは分子式2(MgO)・2(Al2O3)・5(SiO2)を持つセラミック材料である。従って、コーディエライトを形成するために、コーディエライト前駆体材料は、マグネシア(MgO)、アルミナ(Al2O3)およびシリカ(SiO2)の少なくとも一つを含むことがある。コーディエライト前駆体材料の少なくとも一つまたは任意の組み合わせが繊維形状中にある場合がある。繊維は単一組成、または混合組成であることが可能で、すべてのコーディエライト前駆体材料は繊維形状であってもよい。コーディエライトを生成するためにさまざまな原料を使用することができるが、最終製品中のコーディエライト含有量は、コーディエライト前駆体材料によって提供されるマグネシア、アルミナおよびシリカの純度に関係することがある。コーディエライト前駆体材料の純度、および他の材料の相対的含有量は、製品の望ましい組成によって異なる場合がある。
【0020】
多孔質コーディエライト基材の形成方法100は、少なくとも一つのコーディエライト前駆体材料を含む繊維を準備する110ことから成る場合がある。例えば、アルミナ繊維、シリカ繊維、マグネシア繊維、マグネシア・アルミナ・ケイ酸繊維、ケイ酸マグネシウム繊維、アルミノケイ酸(ムライト相のアルミノケイ酸を含む)繊維またはその任意の組み合わせを使用してもよい。少なくとも一つのコーディエライト前駆体材料を含む繊維は、比較的高い空隙率を達成できる可能性がある。粒子のアスペクト比が約1である粉末と比較して、繊維とは一般に、1より大きなアスペクト比を持つ材料として定義される。アスペクト比は繊維の長さを繊維の直径で割った比である。当該繊維は、直径が2.0 〜 9.0ミクロンのスケールで、アスペクト比の分布が約3から約1000の間であることがあるが、直径が1〜30ミクロンの間でアスペクト比が1〜100,000の間の繊維を使用することができる。他の実施例では、繊維のアスペクト比は約3〜約500の範囲であることがある。繊維を切断して押出に望ましいアスペクト比にしてもよい。
【0021】
繊維は、例えば、結晶、部分的結晶または非晶質中の酸化セラミック繊維またはガラス繊維であることがある。少なくとも一つのコーディエライト前駆体材料を含む繊維には、例えば、生体溶解性ケイ酸マグネシウム繊維またはマグネシア・アルミナ・ケイ酸ガラス繊維(例えばS-ガラス)を含む場合がある。ほとんどの耐火セラミック繊維は一般に発癌性物質と考えられヨーロッパでは厳しく規制されている一方、マグネシウムベースの生体溶解性繊維は発癌性があるとは考えられていないため、マグネシウムベースの生体溶解性繊維の使用は有益な場合がある。従って、マグネシウムベースの生体溶解性繊維は、基材の世界的生産のために入手および取り扱いがより容易である可能性がある。マグネシウムベースの生体溶解性繊維と同様に、マグネシア・アルミナ・ケイ酸ガラス繊維は発がん性物質として規制されていない場合があるため、繊維ベース基材の生産用材料は世界的生産のために容易に入手できる。ISOFRAXはニューヨーク州ナイアガラフォールズのUnifrax Corporationから入手できるマグネシウムベースの生体溶解性繊維であるが、ケイ酸マグネシウムを含むその他の繊維も使用できる。
【0022】
少なくとも一つの有機バインダー材料も提供される場合がある。120有機バインダーは一般に高分子材料で、例えば、セラミック粒子の懸濁液に添加されたとき、粒子の分散または凝集を通してなど、懸濁液のレオロジー調整を助けることがある。ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性有機バインダーは、押出用途に有利に働くことがあるが、他のバインダーまたは複数のバインダーを使用してもよい。例えば、押出には流動性が高すぎる懸濁液にバインダーを添加して濃厚化、または懸濁液の見かけの粘度を増加させてもよい。プラスチックセラミック材料は比較的高いせん断強度を持ち、押出を促進する場合がある。押出用途では、バインダーは可塑性の提供および材料の押出を助ける流動特性の付与を補助することがある。さらに、バインダーは押出基材の焼成前または未焼成強度の向上を助けるために使用される場合がある。有機バインダー材料の添加を記述してきたが、懸濁液のレオロジー制御を補助するために他の添加物を使用してもよい。
【0023】
繊維および少なくとも一つの有機バインダー材料を流体と混合することができる。130 繊維、有機バインダーおよび流体の混合130により、流体中に繊維を懸濁できることがある。繊維を懸濁させたら、必要に応じて押出のために懸濁液のレオロジーをさらに調整してもよい。例えば高せん断混合機を用いるなど、繊維、有機バインダー、および流体を混合して130、繊維の分散を向上し、例えば押出など、特定の処理用途のために望ましい可塑性を生むための補助をすることができる。懸濁液は約60容量パーセント未満の繊維を含むことがあり、その結果、空隙率が約40%より大きな基材を生じる。懸濁液の流体として脱イオン水を使用することができるが、イオン溶液などの流体を使用してもよい。
【0024】
例えば、追加のコーディエライト前駆体材料を提供したり、混合物のレオロジーを調整したり、最終構造に他の材料を含められるようにしたり、最終構造のコーディエライト含有量を変更したりするために、追加の原料を含めてもよい。繊維はコーディエライトの形成に必要な化学量論量のマグネシア、アルミナ、およびシリカを含む場合があるが、選択した繊維が不十分な場合、追加の原料を添加して望ましい化学量論を達成してもよい。
【0025】
例えば、シリカ5モルにつきマグネシア2モルの割合でマグネシアとシリカでできている繊維を選択した場合、コーディエライト形成に必要なアルミナを提供するために追加の材料が必要なことがある。同様に、シリカ2モルにつきマグネシア2モル、アルミナ1モルの割合でマグネシア、アルミナおよびシリカでできている繊維を選択した場合、コーディエライト形成のために追加のアルミナとシリカが必要なことがある。同様に、シリカ5モルにつきアルミナ2モルの割合であるみなとシリカでできている繊維を選択した場合、コーディエライト形成に必要なマグネシアを提供するために追加の材料が必要なことがある。かかる例では、アルミナ、マグネシアおよび/またはシリカを繊維、バインダーおよび流体と混合して140、150、160、コーディエライト形成のための化学量論懸濁組成を準備することがある。追加のアルミナ、マグネシアおよびシリカはコロイドアルミナ、マグネシアまたは炭化マグシウムなどのマグネシア前駆体、およびコロイドシリカの形態で準備することがあるが、アルミナ、マグネシアおよびシリカの他の原料源を使用してもよい。
【0026】
同様に、繊維、バインダーおよび流体と細孔形成材料を混合する170ことがある。細孔形成剤は、最終焼成基材の空隙率の増加を助ける場合がある。細孔形成剤は、球状、細長い形、繊維状、または不規則な形であってもよい。細孔形成剤は、数多くの方法で空隙の形成を助けることがある。例えば、細孔形成剤は繊維の配列および配向を支援する場合がある。細孔形成剤は重複パターンになるように繊維を配置するのを支援し、焼成中に繊維間の適正な結合を促進することがある。さらに、基材の焼成中、細孔形成剤は実質的に燃え尽きることがある。焼成時に細孔形成剤が燃え尽きると、細孔形成剤が占めていた空間が開放され、空隙率を増加させる場合がある。グラファイト、または炭素の粉末を細孔形成剤として使用できるが、他の細孔形成材料も使用できる。
【0027】
繊維、有機バインダー、流体および混合物に含まれるその他の材料の混合物を押出して180、未焼成基材を形成することができる(すなわち、未焼成押出物)。押出機は、例えば、ピストン押出機、単軸押出機、またはオージェ押出機、2軸押出機であってもよい。触媒コンバータおよび微粒子フィルタ用途では、繊維、バインダー、流体およびその他の原料の混合物は、「ハニカム」断面を生成するために配置された金型を通して押出される180場合がある。ハニカム構造310は一般的に、基材300の長さに沿うセル320によって特徴付けられることがある。ハニカム310断面を持つ基材300はしばしば平方インチ当たりのセル320数によって記述される。
【0028】
押出される場合がある未焼成基材180は焼成され190、繊維間の連結および結合形成が可能となり、最終的に多孔質コーディエライト繊維基材を形成することがある。焼成190は幾つかの過程を含む場合がある。例えば蒸発を通してなど、流体の大部分を除去するために未焼成基材を乾燥200してもよい。例えばガス圧上昇または収縮差によるなどの欠陥を抑えるために、乾燥200過程を制御してもよい。乾燥200は、開放空気中において、対流、伝導または放射乾燥機などの制御された方法で、またはキルン中で行なう場合がある。
【0029】
未焼成基材が過熱される210と、有機バインダーおよび細孔形成剤は燃焼し始めることがある。有機バインダーのほとんどは、500oCより低い温度で燃え尽きる。温度の上昇により、ポリマー内の炭化水素が劣化、気化し、重量減少につながることがある。有機バインダーの燃焼により、繊維間の接触が可能となり、開放細孔網を形成することがある。微粒子炭素などの細孔形成剤は、一般に約1000oCで酸化して燃え尽き、さらに空隙率を増加させる場合がある。
【0030】
繊維間の結合形成を可能にするために、乾燥未焼成基材を焼結220してもよい。焼結220には、強度のある集合体を形成するための繊維間結合の形成により特徴付けられる、基材の連結を一般に伴うことがある。焼結220中に幾つかのタイプの結合が形成されることがあり、形成される結合のタイプは、例えば開始材料および焼結220の時間および温度などの複数の要因に依存する場合がある。一部の例では、繊維間にガラス結合が形成されることがある。ガラス結合は一般に、繊維の交差部でのガラス状または非晶質相の形成によって特徴付けられる。別の例では、固体状態結合、ガラス・セラミック結合および結晶結合が繊維間の領域の連結によって形成される場合がある。固体状態、ガラス・セラミック、および結晶結合は、粒成長および重複繊維間の物質移動により特徴付けられる。ガラス結合は一般に、固体状態および結晶結合よりも低い温度で生じる。
【0031】
焼結220はさまざまな温度で行なうことがあるが、基材はコーディエライト結晶の現場形成のために十分な温度で焼成してもよい。粉末ベースのコーディエライトは、焼結中に存在する原料の混合物組成次第で、一般に1400〜1470oCの間で形成される。この温度範囲では、わずかな温度上昇によりシステム中の液体量は急速に変化する。本開示によると、焼結の際、基材中に存在する混合物の組成および他の原料によって、コーディエライトは1000〜1470°Cの間の焼結温度で形成されることがある。コーディエライト形成の最適条件を確保するために、未焼成基材のマグネシア、アルミナおよびシリカの量に基づいて焼成を制御してもよい。焼成中、基材中のマグネシア、アルミナおよびシリカは組み合わされて結晶化し、コーディエライトを形成し、高度に多孔質の繊維状コーディエライト基材300を生じることがある。
図 4は、コーディエライト基材300の多孔質構造の走査型電子顕微鏡字像を示す。
【0032】
コーディエライト繊維410は、酸化セラミック繊維またはガラス繊維などのコーディエライト前駆体材料と追加の原料との変換により形成される場合がある。図4に示されるように、相互接続した細孔または繊維の間の空間のため、繊維状構造は高度に多孔質である場合がある。基材の強度は、繊維状部材および/または隣接および重複繊維間に形成される結合によりもたらされる。繊維の配置、細孔の寸法、細孔の分布、核形成、凝固、捕捉場所の分布、ならびに基材300の細孔特性は、押出工程のパラメータを変化させることで制御できる。
【0033】
例えば、混合物のレオロジー、繊維の直径およびアスペクト比の分布、バインダーおよび他の原料の特性、押出金型の設計、および押出しの圧力や速度は、結果的に生じる基材の構造の望ましい特性を得るために変化させることができる。
例えば、コーディエライトは、繊維状コーディエライト前駆体材料を含む、以下の任意の組成の材料を使用して形成してもよい。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示されるように、一例では17.56重量パーセントのアルミノケイ酸繊維、12.60重量パーセントのケイ酸マグネシウム繊維、7.56重量パーセントの水和ケイ酸マグネシウム(タルク)、6.11重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、24.81重量パーセントの炭素、および31.37重量パーセントの脱イオン水を繊維状コーディエライト基材生産のための原料として使用してもよい。
【0036】
【表2】

【0037】
表2に示されるように、別の例では24.11重量パーセントのアルミノケイ酸繊維、6.38重量パーセントのケイ酸マグネシウム繊維、5.67重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、23.05重量パーセントの炭素、7.09重量パーセントの炭酸マグネシウムおよび33.69重量パーセントの脱イオン水を繊維状コーディエライト基材生産のための原料として使用してもよい。
【0038】
【表3】

【0039】
表3に示されるように、別の例では24.90重量パーセントのケイ酸マグネシウム繊維、6.13重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、24.90重量パーセントの炭素、13.41重量パーセントのアルミナおよび30.65重量パーセントの脱イオン水を繊維状コーディエライト基材生産のための原料として使用してもよい。
【0040】
【表4】

【0041】
表4に示されるように、別の例では28.38重量パーセントのケイ酸マグネシウム繊維、1.31重量パーセントのケイ酸アルミニウムマグネシウム、6.99重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、13.10重量パーセントの炭素、15.28重量パーセントのアルミナおよび34.93重量パーセントの脱イオン水を繊維状コーディエライト基材生産のための原料として使用してもよい。
【0042】
【表5】

【0043】
表5に示されるように、さらに別の例では26.45重量パーセントのアルミノケイ酸繊維、3.31重量パーセントのケイ酸マグネシウム繊維、5.21重量パーセントの水和ケイ酸マグネシウム(タルク)、6.61重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、26.86重量パーセントの炭素、および31.57重量パーセントの脱イオン水を繊維状コーディエライト基材生産のための原料として使用してもよい。
【0044】
【表6】

【0045】
表6を参照するが、さらに別の例では14.34重量パーセントのアルミノケイ酸繊維、15.96重量パーセントの水和ケイ酸マグネシウム、6.04重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、24.53重量パーセントの炭素、5.28重量パーセントのアルミナおよび33.85重量パーセントの脱イオン水を繊維状コーディエライト基材生産のための原料として使用してもよい。
【0046】
【表7】

【0047】
表7に示されるように、別の例では、17.67重量パーセントのアルミノケイ酸繊維、16.17重量パーセントのケイ酸マグネシウム繊維、6.02重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、24.44重量パーセントの炭素、3.76重量パーセントの炭酸マグネシウムおよび31.95重量パーセントの脱イオン水を繊維状コーディエライト基材生産のための原料として使用してもよい。
【0048】
上記の表1〜7に示されるように、アルミノケイ酸繊維、ケイ酸マグネシウム繊維およびケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの異なる繊維の組み合わせ、およびアルミナ、炭酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、炭素などのその他の原料を使用して、焼成後に繊維状コーディエライト基材を得てもよい。各表では、材料の化学名に、その材料の市販名または一般名をカッコ内に併記している。当然のことながら、かかる材料は模範的なものでその他の原料を使用して望ましい組成を提供してもよい。
【0049】
当然のことながら、前述の記述は説明目的であり、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定するものではない。その他の実施例は以下の特許請求の範囲内である。例えば、グラファイト粉末およびカーボンブラックが細孔形成剤として記述されているが、その他の細孔形成剤は本発明の範囲内であり使用してもよい。
【0050】
コロイドアルミナとコロイドシリカが添加アルミナとシリカの原料として記述されているが、その他の原料を使用してもよい。同様に、生体溶解性ケイ酸マグネシウムおよびマグネシア・アルミナ・ケイ酸がケイ酸マグネシウムの繊維源として記述されているが、コーディエライト前駆体材料を含むその他の繊維は本発明の範囲内であり使用してよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのコーディエライト前駆体材料を含む繊維と、
少なくとも一つの有機バインダー材料と、
繊維と少なくとも一つのバインダー材料を流体と混合し、
混合された繊維、少なくとも一つの有機バインダー材料および流体を未焼成基材として押出し、
未焼成基材を焼成して、繊維間の結合形成が可能にし、多孔質コーディエライト繊維基材を形成する方法。
【請求項2】
アルミナを繊維、少なくとも一つの有機バインダー材料および流体と混合する請求項1の方法。
【請求項3】
シリカを繊維、少なくとも一つの有機バインダー材料および流体と混合する請求項1の方法。
【請求項4】
マグネシアを繊維、少なくとも一つの有機バインダー材料および流体と混合するから成る請求項1の方法。
【請求項5】
繊維が生体溶解性ケイ酸マグネシア繊維からなる請求項1の方法。
【請求項6】
繊維がアルミノケイ酸繊維からなる請求項1の方法。
【請求項7】
繊維がマグネシア・アルミナ・ケイ酸ガラス繊維からなる請求項1の方法。
【請求項8】
繊維がアルミナ繊維、シリカ繊維およびマグネシア繊維の少なくとも一つからなる請求項1の方法。
【請求項9】
アルミナがコロイドアルミナからなる請求項2の方法。
【請求項10】
シリカがコロイドシリカからなる請求項3の方法。
【請求項11】
マグネシアが炭酸マグネシウムからなる請求項4の方法。
【請求項12】
細孔形成材料を繊維、少なくとも一つの有機バインダー材料および流体と混合することから成る請求項1の方法。
【請求項13】
多孔質コーディエライト繊維基材が40パーセントより大きな空隙率を持つ請求項1の方法。
【請求項14】
未焼成基材を乾燥して流体の大部分を除去し、
未焼成基材を過熱して有機バインダーを燃え尽きさせ、
未焼成基材を焼結して繊維間の結合形成を可能にするが、焼結は、繊維の相形成データに基づいたコーディエライト形成温度で行なわれる請求項1の方法。
【請求項15】
未焼成基材が1400oCより低い温度で焼結される請求項14の方法。
【請求項16】
流体、少なくとも一つの有機バインダー材料および少なくとも一つのコーディエライト前駆体材料を含む繊維の押出組成物からなる押出基材で、当該押出基材を焼結し、繊維間の領域を連結してコーディエライト組成物を含む焼成基材を形成するから成る多孔質コーディエライト繊維基材。
【請求項17】
アルミナが押出組成物に混合される請求項16の多孔質コーディエライト繊維基材。
【請求項18】
シリカが押出組成物に混合される請求項16の多孔質コーディエライト繊維基材。
【請求項19】
マグネシアが押出組成物に混合される請求項16の多孔質コーディエライト繊維基材。
【請求項20】
細孔形成材料が押出組成物に混合される請求項16の多孔質コーディエライト繊維基材。
【請求項21】
押出基材が焼結で過熱される際、少なくとも一つの有機バインダー材料および流体が実質的に燃え尽くされる請求項16の多孔質コーディエライト繊維基材。
【請求項22】
押出基材が焼結で過熱される際、細孔形成材料および流体が実質的に燃え尽くされる請求項20の多孔質コーディエライト繊維基材。
【請求項23】
少なくとも一つの固体状態結合、ガラス・セラミック結合、および結晶結合が繊維間に形成される請求項16の多孔質コーディエライト繊維基材。
【請求項24】
ガラス結合が繊維間に形成される請求項16の多孔質コーディエライト繊維基材。
【請求項25】
押出基材が繊維の相形成データに基づいたコーディエライト形成温度で焼結される請求項16の多孔質コーディエライト繊維基材。
【請求項26】
生体溶解性シリカ・マグネシア繊維またはマグネシア・アルミナ・ケイ酸ガラス繊維の一つ、少なくとも一つの有機バインダー材料および流体を含む非コーディエライト押出基材で、当該非コーディエライト押出基材は焼結されて繊維間の結合形成を可能にし、コーディエライト組成物を含む基材を形成するから成る多孔質コーディエライト基材。
【請求項27】
非コーディエライト押出基材がさらに細孔形成材料を含む請求項26の多孔質コーディエライト基材。
【請求項28】
流体が脱イオン水である請求項26の多孔質コーディエライト基材。
【請求項29】
非コーディエライト押出基材が焼結で過熱される際、細孔形成材料および流体が実質的に燃え尽くされる請求項27の多孔質コーディエライト基材。
【請求項30】
非コーディエライト押出基材が焼結で過熱される際、少なくとも一つの有機バインダー材料および流体が実質的に燃え尽くされる請求項26の多孔質コーディエライト繊維基材。
【請求項31】
少なくとも一つの固体状態結合、ガラス・セラミック結合、および結晶結合が繊維間に形成される請求項26の多孔質コーディエライト基材。
【請求項32】
ガラス結合が繊維間に形成される請求項26の多孔質コーディエライト基材。
【請求項33】
非コーディエライト押出基材が、生体溶解性シリカ・マグネシア繊維またはマグネシア・アルミナ・ケイ酸ガラス繊維を含む基材のコーディエライト形成温度で焼結される、請求項26の多孔質コーディエライト基材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−527897(P2010−527897A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509436(P2010−509436)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/063495
【国際公開番号】WO2008/147684
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(507280435)ジーイーオー2 テクノロジーズ,インク. (12)
【Fターム(参考)】