コード化電子商品識別システム用マーカ
磁気機械共振式電子商品識別システム内のコード化されたマーカが、改善された磁気機械共振性能を有するアモルファス磁気合金リボンに基づく展性のある複数の磁歪性要素または細長片を含む。コード化されたマーカは、改善された磁気機械特性を十分に活用し、電子商品識別システムが、このコード化されたマーカを利用する。改善されたコード化および解読が可能なマーカ/識別システムは、従来方式よりかなり多数の商品を識別することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は強磁性アモルファス合金リボンおよび電子商品識別システムで使用されるマーカに関し、このマーカは、交番磁界中で複数の共振周波数で機械的に振動するアモルファス磁歪材料に基づく複数の長方形の細長片を含み、それによってコード化および解読の目的のためにマーカの磁気機械効果が効果的に利用される。本発明も、そのようなマーカを利用する電子識別システムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
磁性材料の磁気歪みとは、磁性材料に外部磁界を印加すると寸法変化が起こる現象である。材料が磁化されると伸びるような寸法変化であるとき、材料は「プラスの磁歪」と呼ばれる。材料が「マイナスの磁歪」であるとき、材料は磁化すると縮む。したがって、いずれの場合も、交番磁界中にあるとき磁性材料は振動する。交番磁界と共に静磁界が印加されるとき、磁性材料の機械的振動の周波数は、磁気弾性結合を介して印加された静的な磁界と共に変化する。これは、例えばS.Chikazumiによる「Physics of Magnetism」(John Wiley & Sons、New York、1964年、435ページ)で説明されるΔE効果として一般に知られている。ここで、E(H)は印加された磁界Hの関数であるヤング率を表わし、材料の振動周波数すなわち共振周波数frは、E(H)に対して次式を介した関係がある。
fr=(1/2l)[E(H)/ρ]1/2 (1)
上式で、lは材料の長さであり、ρは材料の質量密度である。前述の磁気弾性効果すなわち磁気機械効果は、米国特許第4,510,489号および米国特許第4,510,490号(以下’489特許および’490特許)で最初に教示された電子商品監視システムで利用されている。そのような監視システムは、高い検出感度、高い動作信頼性および低運転コストの組合せを提供するという点で、有利なシステムである。
【0003】
そのようなシステムにおけるマーカは、最大の磁気機械結合を確立するためのバイアス磁界と呼ばれる静的な磁界を与える磁気的により強い強磁性体(より高い保磁度を有する材料)と共に実装された強磁性体の1つまたは複数の長さが既知の細長片である。強磁性のマーカ材料は、好ましくはアモルファス合金リボンであり、これは合金の磁気機械結合の効率が非常に高いためである。機械的共振周波数frは、上の方程式(1)が示すように、基本的には合金リボンの長さおよびバイアス磁界の強度によって求められる。マーカ材料は、電子識別システムで共振周波数に合わせられた応答指令信号に出会うと大きな信号磁界で応答し、これがシステム内の受信器によって検出される。
【0004】
いくつかのアモルファス強磁性材料は、前述の磁気機械共振に基づくコード化識別システム向けの米国特許第4,510,490号で考察され、アモルファスのFe−Ni−Mo−B、Fe−Co−B−Si、Fe−B−Si−CおよびFe−B−Siの合金を含むものであった。合金のうち、市販のアモルファスのFe−Ni−Mo−Bを基材としたMETGLAS(登録商標)社の2826MBの合金が、磁気高調波の発生/検出に基づく他のシステムによって偶発的に作動されるまで、磁気機械共振マーカに広範に使用されていた。この偶発的作動は、その当時使用された磁気機械共振マーカが時々非線形のBH特性を示し、励磁磁界周波数の高調波が発生する原因となるために起こる。時としてシステムの「汚染問題」と呼ばれるこの問題を回避するために、一連の新規のマーカ材料が発明されており、それらの例が、米国特許第5,495,231号、米国特許第5,539,380号、米国特許第5,628,840号、米国特許第5,650,023号、米国特許第6,093,261号および米国特許第6,187,112号に開示されている。新規のマーカ材料は、最初の’489特許および’490特許の識別システムで利用された材料より概してよりよく機能するが、マーカ材料において、ある程度磁気機械性能がより優れたものが発見され、例えば米国特許第6,299,702号(以下’702特許)に開示されている。例えば’702特許に開示されているような所望の磁気機械特性を実現するためには、これらの新規のマーカ材料は、複雑な熱処理工程を必要とする。明らかに、そのような複雑なリボン製造の後工程を必要としない新規の磁気機械マーカ材料が必要であり、前述の「汚染問題」をもたらすことなく、高度な磁気機械性能を有するそのようなマーカ材料を提供することが本発明の目標の1つである。本発明の新規の磁気機械マーカ材料を十分に利用し、本発明は、コード化機能および解読機能を有するマーカおよびこのマーカを利用する電子識別システムを含む。磁気機械マーカを有するコード化監視システムが米国特許第4,510,490号に教示されているが、マーカ内の利用可能なスペースが限定されているために構成するマーカ細長片の数が制限され、したがってそのようなマーカを使用したコード化機能および解読機能の領域を制限する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コード化機能および解読機能を有する電子商品識別システム(以下「コード化電子商品識別システム」と呼ぶ)におけるコード化されたマーカとしての性能を犠牲にすることなく、マーカ細長片の数がかなり増加されるマーカが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、磁気機械共振に基づく電子識別システムのマーカに軟磁性材料が含まれる。
【0007】
向上した総合的な磁気機械共振特性を有するマーカ材料がアモルファス合金リボンから製作され、その結果、コード化されたマーカ内に多数のマーカ細長片が収容される。米国特許第4,142,571号に教示されるように、磁気機械共振能力を有するリボン状の軟磁性材料が回転する基体上に成型される。成型されたままのリボン幅がマーカ材料のための所定幅より広いとき、前記リボンは、前記所定幅に細長く裂かれる。こうして処理されたリボンは、バイアス静磁界を与える少なくとも1つの半強磁性細長片とともに複数の前記細長片を使用して磁気機械共振マーカを製作するために、様々な長さを有して展性がある長方形のアモルファス金属細長片に切られる。
【0008】
コード化電子商品識別システムは、本発明のコード化されたマーカを利用する。このシステムは、本発明の磁気機械マーカが変化する周波数を有する応答指令磁界を受ける商品応答指令区域を有し、応答指令磁界の励磁に対する信号の応答が、商品応答指令区域に位置している一対のアンテナコイルを有する受信器によって検出される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、あらかじめ選択された周波数で機械的に共振するように適合された磁気機械共振式電子商品識別システムのコード化されたマーカが提供され、このマーカは、アモルファス強磁性合金リボンから所定長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す展性のある複数の磁歪性細長片を備え、細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、細長片のうち少なくとも2つが、あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される。
【0010】
選択によっては、マーカ細長片の反りの曲率半径は100cm未満である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、コード化は、3より大きな長さ対幅の態様の縦横比を有する所定長さの長方形細長片のリボン軸芯に垂直な磁気異方性方向を有するアモルファス磁歪合金リボンを切り取ることにより実行される。
【0012】
選択によっては、細長片は約3mmから約15mmの細長片幅を有する。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、細長片は、約4Hz/(A/m)から約14Hz/(A/m)の共振周波数対バイアス磁界の傾斜を有する。
【0014】
選択によっては、細長片の幅が6mmであるとき、細長片は約18mmより大きな長さを有する。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、細長片は、約120,000Hz未満の磁気機械共振周波数を有する。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、アモルファス強磁性合金リボンは、約8ppmと約18ppmの間の飽和磁歪定数および約0.7テスラと約1.1テスラの間の飽和磁気誘導を有する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、アモルファス強磁性合金リボンのアモルファス強磁性合金は、Fea−Nib−Moc−Bdに基づく組成を有し、30≦a≦43、35≦b≦48、0≦c≦5、14≦d≦20、かつa+b+c+d=100であり、任意選択で3原子%以内のMoがCo、Cr、Mnおよび/またはNbと置換され、また、任意選択で1原子%以内のBがSiおよび/またはCと置換される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、アモルファス強磁性合金リボンのアモルファス強磁性合金は、Fe40.6 Ni40.1 Mo3.7 B15.1 Si0.5、Fe41.5 Ni38.9 Mo4.1 B15.5、Fe41.7 Ni39.4 Mo3.1 B15.8、Fe40.2 Ni39.0 Mo3.6 B16.6 Si0.6、Fe39.8 Ni39.2 Mo3.1 B17.6 C0.3、Fe36.9 Ni41.3 Mo4.1 B17.8、Fe35.6 Ni42.6 Mo4.0 B17.9、Fe40 Ni38 Mo4 B18またはFe38.0 Ni38.8 Mo3.9 B19.3のうち1つの組成を有する。
【0019】
選択によっては、コード化されたマーカは、異なる長さの少なくとも2つのマーカ細長片を備える。
【0020】
選択によっては、コード化されたマーカは、異なる長さの5つのマーカ細長片を備える。
【0021】
選択によっては、コード化されたマーカは、約30,000Hzと約130,000Hzの間の磁気機械共振周波数を有する。
【0022】
選択によっては、コード化されたマーカは、2つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合は約1800個以内、5つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合は約1億1500万個以内の個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する。
【0023】
選択によっては、コード化されたマーカは、1億1500万個を上回る個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、細長片は、約120,000Hz未満の磁気機械共振周波数を有する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、電子商品識別システムは、コード化されたマーカのコード化情報を解読する能力を有する。このシステムは、コード化されたマーカに向けられた交流励磁磁界を発して応答指令区域を形成する一対のコイル、コード化されたマーカからコード化情報を受け取る一対の信号検出コイル、コード化されたマーカ上にコード化された情報を解読するためのソフトウェアを有する電子コンピュータを有する電子信号処理デバイス、またはコード化されたマーカを識別する電子デバイスのうちの1つを備え、コード化されたマーカが、あらかじめ選択された周波数で機械的に共振するように適合され、コード化されたマーカが、アモルファス強磁性合金リボンから所定長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す複数の展性のある磁歪性の細長片を備え、細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、細長片のうち少なくとも2つが、あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される。
【0026】
選択によっては、マーカ細長片の反りの曲率半径は約20cmと約100cmの間である。
【0027】
好ましい実施形態および添付図面の以下の詳細な説明が参照されると、本発明がより十分に理解され、さらなる利点が明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
向上した総合的な磁気機械共振特性を有するマーカ材料がアモルファス強磁性合金リボンから製作され、その結果、コード化されたマーカに多数のマーカ細長片が収容される。細長片のうち少なくとも2つは、あらかじめ選択された複数の周波数のうち異なる単一の周波数で機械的に共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される。米国特許第4,142,571号に教示されるように、磁気機械共振能力を有するリボン状の磁性材料が回転する基体上に成型される。成型されたままのリボン幅がマーカ材料のための所定幅より広いとき、リボンは、所定幅に細長く裂かれる。こうして処理されたリボンは、バイアス静磁界を与える少なくとも1つの半強磁性細長片とともに複数の細長片を使用して磁気機械共振マーカを製作するために、様々な長さを有して展性がある長方形のアモルファス金属細長片に切られる。
【0029】
本発明の一実施形態では、マーカ細長片用のリボンを形成するために利用されるアモルファス強磁性合金は、Fea−Nib−Moc−Bdに基づく組成を有し、30≦a≦43、35≦b≦48、0≦c≦5、14≦d≦20、かつa+b+c+d=100であり、任意選択で3原子%以内のMoがCo、Cr、Mnおよび/またはNbと置換され、また、任意選択で1原子%以内のBがSiおよび/またはCと置換される。
【0030】
本発明の一実施形態では、マーカ細長片用のリボンを形成するために利用されるアモルファス強磁性合金は、Fe40.6 Ni40.1 Mo3.7 B15.1 Si0.5、Fe41.5 Ni38.9 Mo4.1 B15.5、Fe41.7 Ni39.4 Mo3.1 B15.8、Fe40.2 Ni39.0 Mo3.6 B16.6 Si0.6、Fe39.8 Ni39.2 Mo3.1 B17.6 C0.3、Fe36.9 Ni41.3 Mo4.1 B17.8、Fe35.6 Ni42.6 Mo4.0 B17.9、Fe40 Ni38 Mo4 B18またはFe38.0 Ni38.8 Mo3.9 B19.3のうち1つの組成を有する。
【0031】
したがって、市販のアモルファス磁歪のMETGLAS(登録商標)社の2826MBのリボンの化学組成と類似した化学組成を有するアモルファス合金リボンが、米国特許第4,142,571号に説明された発明によって成型された。成型されたアモルファス合金は、約0.88テスラの飽和磁気誘導および約12ppmの飽和磁歪定数を有していた。リボンは、約100mmおよび約25mmの幅を有し、その厚さは約28μmであった。次いで、リボンは様々な幅を有するより狭いリボンへ裂かれた。次いで、裂かれたリボンは、約15mmから約65mmの長さを有して展性がある長方形の細長片に切られた。各細長片は、リボン成型ホイールの表面曲率を反映したわずかな曲率を有していた。裂いている間中、元の曲率が変更された。裂かれて切られた細長片の曲率は、実施例1で説明されるように求められた。図1Aは、本発明の一実施形態のマーカ細長片10の物理的外観を示し、図1Bは、米国特許第6,299,702号に開示された複雑な熱処理方法によって作製された従来型の細長片20の物理的外観を示す。図示のように、本発明の一実施形態の共振マーカ−バイアス細長片構成では、磁力線11は、図1Bに示される従来型の細長片の磁力線21より接近している。これは、本発明の一実施形態のマーカ細長片10とバイアス磁石細長片12の間の結合を、従来型の細長片20とバイアス磁石22によって実現される結合より優れたものにすることを可能にし、このことが本発明の一実施形態の共振マーカ細長片の2つの終端での磁束漏れをより少なくする。本発明の一実施形態および従来型の細長片の各共振マーカ細長片が、実施例2の特徴づけ方法を用いて磁気機械共振性能の観点から試験された。図2は、本発明の一実施形態の単一細長片マーカ830の共振周波数と従来型の細長片831の共振周波数をバイアス磁界の関数として比較している。図2は、バイアス磁界の関数としての共振周波数変化が、どちらの場合もほぼ同じであることを示す。バイアス磁界強度を変化させることによる共振周波数の変化によって非活性化が達成されるので、図2に示された共振特性は、非活性化能力を有する共振マーカの設計において重要である。非活性化中に、バイアス磁界Hbに対する共振周波数frの傾斜、すなわちdfr/dHbは、非活性化の有効性を決定し、したがって効果的な共振マーカ細長片のために重要な要因である。電子式コード化識別システムにおけるマーカの場合、識別システムにおいて高感度が望まれるとき、共振周波数対バイアス磁界の傾斜は、一般により大きなものが好まれる。
【0032】
図3に、2つの場合の共振応答比較が示され、V0は励磁磁界が切られたときの応答信号振幅であり、V1は励磁磁界を停止した1ミリ秒後の信号振幅である。明らかに、共振マーカのより優れた性能のためにより高いV1/V0比が好まれる。したがって、産業界において、どちらの信号振幅も性能指数の一部として磁気機械共振マーカに使用される。図3は、本発明の一実施形態の共振マーカ細長片の場合、V0 441はバイアス磁界Hb0=500A/mで、またV1 442はバイアス磁界Hb1=400A/mで信号振幅が最大になり、従来型の共振マーカ細長片の場合、V0 443はバイアス磁界Hb0=460A/mで、またV1 444はバイアス磁界Hb1=400A/mで信号振幅が最大になることを示す。さらに、図3は、本発明の一実施形態の共振マーカ細長片の場合、従来型マーカ細長片よりこれらの最大点でのV1/V0比が大きく、本発明の一実施形態のマーカ細長片の信号の保持が従来型のマーカ細長片に比べ優れていることを示しており、したがって本コード化電子識別システムの有効性を強調している。
【0033】
表Iは、代表的な従来型のマーカ細長片と本発明の一実施形態のマーカ細長片の例の間の、磁気機械共振器としてのマーカ細長片の性能に重要なパラメータの比較を要約している。本発明の一実施形態のマーカ細長片の性能は、従来型マーカ細長片の性能に近いかまたは優ることが注目される。表I中の本発明の一実施形態のマーカ細長片はすべて本発明の実施形態のマーカとして使用するのに容認することができる。
【0034】
表Iでは、バイアス磁界強度Hb0で測定されたV0およびバイアス磁界強度Hb1で測定されたV1の最大信号電圧ならびに図1Aで定義された細長片曲率hを有する本発明の一実施形態のマーカ細長片についてHb1で測定された共振周波数傾斜(dfr/dHb)が、無作為に選択された10個の従来型マーカ細長片の対応する特性と比較された。細長片の長さlはすべて約38mmであり、幅は約6mmであった。各マーカ細長片の曲率半径はhとlから算定された。各細長片の共振周波数は約58kHzであった。
【0035】
【表1】
【0036】
表Iは、現在広く使用されている約6mmのマーカ細長片幅についてのデータを含む。約6mmと異なる幅を有するマーカ細長片を提供することは、本発明の一態様である。様々な幅を有するマーカ細長片は、表Iで使用された同じリボンから裂かれたものであり、それらの磁気機械共振特性が求められた。結果は表IIに要約されている。共振信号電圧V0maxおよびV1maxは、幅の縮小に伴って予想通りに低下した。幅の縮小に伴う特性磁界値Hb0およびHb1の低下は、消磁効果によるものである。したがって、バイアス界磁石はそれに応じて選択されなければならない。幅の狭いマーカがより小さな商品識別領域に適するのに対し、表IIが示すように、大きなマーカ細長片からの共振信号は大きいので、幅が広いマーカは大きな商品識別領域に適する。方程式(1)が示すように、共振周波数は主に細長片の長さ次第なので、細長片の幅の変化が、使用される商品識別システムの共振周波数に影響を及ぼすことはない。
【0037】
表IIは、図1Aで定義されたように、細長片高さhおよび様々な細長片幅を有する本発明の一実施形態のマーカ細長片の磁気機械共振特性を示す。V0max、Hb0、V1maxおよびdfr/dHbの定義は、表Iのものと同じであった。細長片の長さlはすべて約38mmであった。各マーカ細長片の曲率半径はhとlから算定された。各細長片の共振周波数は約58kHzであった。
【0038】
【表2】
【0039】
本発明の別の態様は、様々な条件下で動作される様々な有効なマーカを提供することである。この目的のために、マーカ細長片が作製されるアモルファス磁気合金リボンの化学組成を変化させることにより、磁気機械共振特性が変更された。試験された合金の化学組成は表IIIに列記されており、諸合金の飽和磁気誘導および磁気歪みの値が与えられている。これらの合金の磁気機械共振特性の結果は、下の表IVに与えられる。
【0040】
表IIIは、本発明の一実施形態の磁気機械共振マーカ用の磁歪アモルファス合金の例を、それらの組成、飽和磁気誘導Bsおよび飽和磁歪定数λsとともに示す。Bsの値は実施例3で説明された直流のBH曲線測定から求められ、λsの値は、実験式λs=kBs2を使用し、S.Itoら、Applied Physics Letters、第37巻、665ページ(1980年)より、k=15.5ppm/テスラ2を用いて算定された。
【0041】
【表3】
【0042】
表IVは、図1Aで定義されたように細長片高さがhで表IIIに列記された様々な化学組成を有する本発明の一実施形態のマーカ細長片の磁気機械共振特性を示す。V0max、Hb0、V1maxおよびdfr/dHbの定義は、表Iのものと同じであった。細長片の長さlはすべて約38mmであった。各マーカ細長片の曲率半径はhとlから算定された。各細長片の共振周波数は約58kHzであった。
【0043】
【表4】
【0044】
表IIIに列記された様々な化学組成を有するアモルファス合金は、表IVに与えられたようにすべて優れた磁気機械共振特性を有し、したがって本発明の一実施形態のコード化電子識別システムに有用である。
【0045】
その上、実施例1に従って約6mmの幅に裂かれたリボンは、様々な長さの細長片に切られ、それらの磁気機械共振特性が試験された。上の表I、IIおよびIVで取り上げられた特性に加えて、磁気機械共振細長片の有効性を求めるために次式を使用して補足的なテストが行われた。
V(t)=V0exp(−t/τ) (2)
上式で、tは交流磁界励磁を停止した後の測定された時間であり、τは共振信号の減衰特性の時定数である。表I、IIおよびIV中のV1maxの値は、t=1ミリ秒のデータから求められた。結果は表Vに与えられ、表Vには様々な細長片長さの共振特性を特徴づける他のパラメータが要約されている。frが上に与えられた方程式(1)の関係にとてもよく従うことが注目される。また、細長片の長さの増加に伴ってτが増加することも注目される。遅延した信号検出が好まれるのであれば、より大きな時定数τの値が好ましい。しかし、コード化電子商品識別システムにおいて、応答指令交流磁界が掃引されるとき、表I中のV0の値はV1の値以上に重要である。
【0046】
表Vに示されるように、様々な長さlを有する本発明の一実施形態のマーカ細長片に対して磁気機械共振特性が求められた。各細長片の幅は約6mmであり、厚さは約28μmであった。共振周波数frは式(1)で定義され、時定数τは式(2)で定義される。V0max、Hb0、V1max、Hb1およびdfr/dHbの定義は、表Iのものと同じであった。マーカ高さhは図1で定義され、各細長片の曲率半径はhとlを使用して算定された。
【0047】
【表5】
【0048】
本発明の一実施形態のマーカ細長片において、磁気機械共振を引き起こすために必要とされる表IIIに列記された飽和磁気誘導および飽和磁歪定数など基本的な磁気特性に加えて、マーカ細長片内の磁化の容易な方向である磁気異方性の方向は、基本的に細長片の長さ方向に垂直でなくてはならない。これは、実際に、実施例3の測定法を用いて上の表Vからの約38mmの長い細長片上で、60Hzで得られたBH曲線を示す図4に示されたケースである。図4のBH曲線は、H=0での残留磁気誘導すなわちB(H=0)は0に近く、またH=0近傍のB/Hで定義される透磁率が線形であることを示す。図4に示されたBH曲線の形状は、磁気異方性の平均方向が細長片の長さ方向に垂直な磁気細長片のBH挙動に一般的なものである。図4に示された本発明の一実施形態のマーカ細長片の磁化挙動の結果は、細長片が交流磁界に配置されたとき細長片内に高調波が発生しないことである。したがって、「背景技術」部で言及されたシステムの「汚染問題」が最小化される。この点をさらに検査するために、図4のマーカ細長片からの高調波信号が、磁気高調波の発生/検出に基づく電子商品監視システムのマーカ細長片のものと比較された。この比較結果が下の表VIに与えられている。
【0049】
表VIに示されるように、本発明の一実施形態のマーカ細長片とCoを基材とするMETGLAS(登録商標)社の2714A合金(磁気高調波の発生/検出システムに基づく電子商品監視システムで広く使用されている)に基づくマーカ細長片との間で磁気高調波信号の比較が行われた。細長片サイズはどちらの場合も同じであり、長さ約38mmかつ幅約6mmであった。基本励磁周波数は2.4kHzであり、実施例4の高調波信号検出法を使用することにより25次の高調波信号が比較された。
【0050】
【表6】
【0051】
表VIが示すように、本発明の一実施形態のマーカからの無視できるほど小さい高調波信号は、磁気高調波の発生/検出に基づく電子商品監視システムを作動させることがない。
【0052】
本発明の一実施形態の、長さの異なる2つのマーカ細長片が、表I、II、IVおよびVで特徴づけられた複数の細長片から無作為に選択されて互いの表面に取り付けられ、図5Aの細長片110および細長片111によって示されるようにマーカが1つ作製された。長さの異なる2つのマーカ細長片は、非磁性外側ケーシング100と101の間の空洞領域に収容される。バイアス磁石120は、ケーシング101の外側面に取り付けられる。比較のために、2つの従来型のマーカ細長片向けのマーカ構成が図5Bの細長片210および細長片211によって示され、2つの細長片用に利用可能な平面状の領域は図5Aの2つの細長片用のものと同一である。図5Bの数字200、201および220は、それぞれ図5Aの要素100、101および120に対応する。
【0053】
表Vからの約20mmの細長片および約57mmの細長片を含むマーカについて、図5Aに対応する本発明の一実施形態の2つの細長片のマーカの磁気機械共振挙動が図6Aに示され、約20mmおよび約57mmの長さの2つの細長片を使用し、’490特許に従って準備された図5Bに対応する従来型の2つの細長片のマーカの磁気機械共振挙動が図6Bに示される。本発明の一実施形態の2つのマーカ細長片からの総合的な信号振幅が、2つの従来型のマーカ細長片からの総合的な信号振幅よりかなり高いことが図6A〜図6Bから明らかである。図5Aに示された本発明の一実施形態のマーカの場合については、本発明の一実施形態の長いサイズの細長片からの信号振幅V0(図6Aに示される)が、図5Bの長いサイズの従来型マーカ細長片のそれに対応する値V0(図6Bに示される)より約280%大きい。短いサイズの細長片については、本発明の一実施形態の細長片は、それに対応する従来型のマーカ細長片の信号振幅V1(図6Bに示される)より370%大きい信号振幅V1(図6A示される)を発生する。図6Aに示された低い方の共振周波数fr=38,610Hz近傍の拡大された共振振幅プロファイルが図7に示されており、これは、振幅が最大振幅の1/2になるポイントでの周波数の幅として定義される磁気機械共振の幅を示し、約420Hzである。fr=109,070Hz近傍の高い方の共振周波数領域については、信号振幅は、図8に示されるように約660Hzの周波数幅を有する。以下で共振線幅と呼ばれるこの周波数幅は、わずかに長さの異なる2つのマーカ細長片用に2つの隣接した共振周波数間の最小の共振周波数分離を求めるために使用される。
【0054】
図9−1は、上の表I、IIおよびIVから無作為に選択された長さの異なる3つのマーカ細長片311、312および313を含む本発明の一実施形態のマーカを示す。2つの外側ケーシング300と301の間のくぼみスペース302は、本発明の実施形態のマーカ細長片311、312および313を収容するためのものであり、数字330は、ケーシング301の外側面に取り付けられるバイアス磁石を示す。約25mm、約38mmおよび約52mmの長さおよび約6mmの幅を有する3枚の細長片を有するマーカの磁気機械共振特性が、図10に示される。図6Aおよび図7では約40,000Hzの低い方の共振周波数領域近傍に約400Hzの共振線幅があり、また図6Aおよび図8に示されるように約110,000Hzの高い方の共振周波数領域近傍に約700Hzの共振線幅があって、観測された機械的共振が鋭く、本発明の一実施形態のマーカの、長さの異なるマーカ細長片間の磁気機械干渉が微々たるものであることを示し、その結果として3つを上回るマーカ細長片を積み重ねることが可能になることが注目される。図9−2において、長さの異なる3つのマーカ細長片が、それら自体の間で細長片の幅方向の中心近くの線に沿って触れるので、細長片対細長片の磁気機械干渉が無いことは明らかである。同様に、約30mm、約38mm、約42mm、約47mmおよび約52mmの異なる長さを有し、幅が約6mmである5つの細長片が表I、II、IVおよびVの細長片から選択されてマーカが製作された。この5つの細長片のマーカの共振特性が図11に示される。異なる長さのマーカ細長片を利用する本発明の一実施形態のマーカについての共振特性の概要が、表VIIに与えられる。
【0055】
表VIIに示されるように、共振信号V0maxおよびV1maxは、それぞれ本発明のコード化されたマーカからの共振周波数frに位置する。
【0056】
【表7】
【0057】
表VIIでは、マーカ細長片幅は約6mmであり、厚さは約28μmである。
【0058】
表VIIで与えられた共振信号V0maxおよびV1maxは、本発明の実施形態による電子商品識別システムで検出されるのに十分に有効なものである。表Vのデータは、共振周波数frと細長片の長さの間の、次式によって与えられる関係に繋がる。
fr=2.1906×106/l(Hz)
上式で、lは細長片の長さ(mm)である。方程式(1)と一致しているこの関係式を用いて、リボンを所定の長さに切り取る際の寸法公差によってもたらされる共振周波数のばらつきは、以下のように求められる。frとlの上記の関係は、Δfr/Δl=−2.906×106/2l2となり、Δfrは細長片長さのばらつきΔlにおける共振周波数の変化である。市販のリボンカッターで達成可能なマーカ細長片の切断寸法公差は、表Vで与えられた公称すなわち目標とされた細長片の長さと実際の長さを比較することにより求められる。例えば、表Vで18.01mmの長さを有する細長片は、目標の細長片長さ18mmを有していたものであり、結果として0.01mmの切断公差ということになる。このようにして得られた切断機寸法公差を用いて、細長片長さのばらつきによる周波数のばらつきΔfrが算定され、これは、短い細長片の場合の約3Hzから長い細長片の場合の約400Hzに及んだ。図7に示されたように長い細長片の場合の共振線幅が約400Hzであり、図8に示されたように短い細長片の場合の共振線幅が約700Hzであるので、本発明の実施形態による電子商品識別システムでは、認識可能な最小の周波数分離は、約800Hzと求められる。したがって、誤りのない識別を確実なものにするために、最小の認識可能な共振周波数分離の2倍を上回る2kHzの共振周波数分離が選択され、選択された領域の識別可能な商品の数を決定した。表Vで列記されたマーカ細長片で対象として含まれる共振周波数は約34,000Hzから約120,000Hzにおよび、約86,000Hzの共振周波数範囲をまかなう。上で求められたように、誤りのない識別のために2kHzの共振周波数分離を使用すると、マーカが1つだけ細長片を有するとき電子的に識別可能な商品の数は43になるが、本発明によるコード化電子商品識別システムにおいて、本発明の一実施形態の異なる長さが利用されるとき、マーカが2つ、3つ、4つおよび5つのマーカ細長片を有すると、上記商品の数は、所与の領域で、それぞれ約1800、74000、296万および1億1550万に増加する。識別可能な商品すなわちコード化された商品の数は、より多くのマーカ細長片を加えることおよび/またはマーカ内のバイアス磁界のレベルを変化させることのいずれかによってさらに増加される。
【0059】
前述のコード化されたマーカ501は、図12に示されるように、本発明の実施形態による電子商品識別システムに効果的に利用される。本発明の一実施形態のコード化されたマーカ501を付けた識別されるべき商品502は、一対の応答指令コイル511が側面に位置している図12の応答指令区域510内に配置される。コイル511は、信号発生器513および交流増幅器514から成る電子デバイス512によって供給された周波数が変化する交流磁界を発するが、これは識別されるべき商品502に向き、そのオン・オフ動作用の電子回路ボックス515によって制御される。商品502が区域510に配置されたとき、電子回路ボックス515は、応答指令交流磁界の最低周波数から最高周波数までの周波数掃引をオンにするが、その掃引範囲は、マーカの所定周波数の範囲次第である。そのような周波数掃引では、本発明の一実施形態のコード化されたマーカ501からの共振信号は、一対の信号受信コイル516で検出され、その結果、図11に例示されたような共振信号プロファイルをもたらす。このように信号検出器517によって得られた信号プロファイルは、本発明の一実施形態のコード化されたマーカ501中にコード化された共振周波数シーケンスを識別するようにプログラムされたコンピュータ518に格納される。この識別が完了したとき、コンピュータ518は、システムをリセットするために、識別器519および電子回路ボックス515に識別の結果を報告する信号を送る。所望であれば、本発明の実施形態によるコード化されたマーカは、商品502が応答指令区域510を出た後で、マーカ内のバイアス磁石を消磁することにより非活性化されてよい。
【0060】
上記で与えられたコード化された電子商品識別システムは、変化する周波数を用いて交流励磁磁界を掃引することにより、商品を識別するために使用される。ある場合には、遅延のある識別が望まれ、これは図3、図5(a)、図10および図11に示されたようにV1を追尾することにより達成され得る。これは、V1を掃引周波数の関数として処理するように図12のコンピュータ517をプログラミングすることにより電子的に達成される。
【実施例1】
【0061】
裂かれたリボンが、従来型の金属リボンカッターを用いて、展性がある長方形の細長片に切られた。各細長片の曲率は、図1Aで定義されたように、細長片の長さlにわたって湾曲面の高さhを測定することにより光学的に求められた。
【実施例2】
【0062】
磁気機械性能は、一対のコイルが静的バイアス磁界を供給し、バッキングコイルによって補償された信号検出コイルに発生する電圧が電圧計およびオシロスコープによって測定される装置内で求められた。したがって、測定された電圧は検出コイルに依存するものであり、相対的な信号振幅を示す。励磁交流磁界は、市販の関数発生器および交流増幅器によって供給された。電圧計からの信号電圧が表にされ、収集されたデータを解析し処理するために市販のコンピュータソフトウェアが使用された。
【実施例3】
【0063】
印加された磁界Hの関数として磁気誘導Bを測定するために、市販の直流のBH曲線測定器が利用された。交流BH曲線の測定については、実施例4のものに類似の励磁コイル−検出コイル組立体が使用され、検出コイルからの出力信号は電子積分器に入力された。次いで、供試体の磁気誘導Bの値を与えるために、積分された信号が較正された。結果として得られたBが、印加された磁界Hに対してプロットされ、交流BH曲線がもたらされた。交流と直流のどちらの場合も、印加された磁界および測定の方向はマーカ細長片の長さ方向に沿うものであった。
【実施例4】
【0064】
実施例1に従って準備されたマーカ細長片が、所定の基本周波数で励磁交流磁界に配置され、その高調波応答が細長片を含むコイルによって検出された。励磁コイルおよび信号検出コイルは、直径約50mmのボビンに巻きつけられた。励磁コイルおよび信号検出コイルの巻線数は、それぞれ約180および約250であった。基本周波数は2.4kHzに選択され、励磁コイルにおけるその電圧は約80mVであった。信号検出コイルから25次の高調波電圧が測定された。
【0065】
したがって、本発明の一実施形態では、マーカ細長片の反りの曲率半径は、約100cm未満または約20cmと約100cmの間でよい。
【0066】
選択によっては、コード化は、3より大きな長さ対幅の縦横比を有する所定長さの長方形細長片のリボン軸芯に垂直な磁気異方性方向を有するアモルファス磁歪合金リボンを切り取ることにより実行される。
【0067】
また、選択によっては、細長片は約3mmから約15mmの細長片幅を有する。
【0068】
本発明の一実施形態では、細長片は、約4Hz/(A/m)から約14Hz/(A/m)の共振周波数対バイアス磁界の傾斜を有する。
【0069】
選択によっては、細長片の幅が6mmであるとき、細長片は約18mmより大きな長さを有する。
【0070】
また、選択によっては、細長片は、約120,000Hz未満の磁気機械共振周波数を有する。
【0071】
本発明の一実施形態では、アモルファス強磁性合金リボンは、約8ppmと約18ppmの間の飽和磁歪定数および約0.7テスラと約1.1テスラの間の飽和磁気誘導を有する。
【0072】
本発明の一実施形態では、コード化されたマーカは、異なる長さの少なくとも2つのマーカ細長片を備える。選択によっては、コード化されたマーカは、異なる長さの5つのマーカ細長片を備える。
【0073】
本発明の一実施形態では、コード化されたマーカは、約30,000Hzと約130,000Hzの間の磁気機械共振周波数を有する。
【0074】
本発明の一実施形態では、コード化されたマーカは、2つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合約1800個以内、および5つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合約1億1500万個以内の個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する。
【0075】
本発明の一実施形態では、コード化されたマーカは、1億1500万個を上回る個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する。
【0076】
したがって、本発明の一実施形態では、あらかじめ選択された周波数で機械的に共振するように適合された磁気機械共振の電子商品識別システムのコード化されたマーカが、アモルファス強磁性合金リボンから所定長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す展性のある複数の磁歪性の細長片を備え、細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、細長片のうち少なくとも2つが、あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される。
【0077】
さらに、選択された本発明の実施形態では、電子商品識別システムは、コード化されたマーカのコード化情報を解読する能力を有する。コード化されたマーカは、あらかじめ選択された周波数で機械的に共振するように適合され、また、アモルファス強磁性合金リボンから所定長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す複数の展性のある磁歪性の細長片をコード化されたマーカが備え、細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、細長片のうち少なくとも2つが、あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される。電子商品識別システムは、コード化されたマーカに向けられた交流励磁磁界を発して応答指令区域を形成する一対のコイル、コード化されたマーカからコード化情報を受け取る一対の信号検出コイル、コード化されたマーカ上にコード化された情報を解読するためのソフトウェアを有する電子コンピュータを有する電子信号処理デバイス、またはコード化されたマーカを識別する電子機器のうちの1つを備える。したがって、この電子商品識別システムは、コード化されたマーカの識別を提供するばかりでなく、取り付けられたコード化マーカを有する商品を識別することもできる。
【0078】
いくつかの本発明の実施形態が示され説明されてきたが、本発明の原理および趣旨から逸脱することなくこれらの実施形態において変更を加えることが可能であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲およびそれらの等価物で定義されることが、当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1A】本発明の一実施形態によってアモルファス合金リボンから切り取られ、バイアス磁石を有する細長片の側面図である。
【図1B】バイアス磁石を有する従来型の細長片の図である。
【図2】本発明の一実施形態による単一の細長片マーカの磁気機械共振特性および従来型の単一の細長片マーカの磁気機械共振特性を示し、共振周波数をバイアス磁界の関数として示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による単一の細長片マーカの共振信号および従来型の単一の細長片マーカの共振信号を示し、共振信号の振幅をバイアス磁界の関数として示す図である。
【図4】長さ約38mm、幅約6mmおよび厚さ約28μmを有する本発明の一実施形態のマーカ細長片上で、60Hzで得られたBH曲線を示す図である。
【図5A】本発明の実施形態による磁気機械共振マーカの一実施形態の物理的プロファイルの比較を示す図である。
【図5B】どちらの場合も長さの異なる2つのマーカ細長片を利用する従来型マーカの比較を示す図である。
【図6A】本発明の一実施形態の、長さの異なる2つの細長片を有するマーカの磁気機械共振特性を示す図である。
【図6B】従来型の、長さの異なる2つの細長片を有するマーカの磁気機械共振特性を示す図である。
【図7】図6Aの低い方の共振周波数領域近傍の共振信号プロファイルを示す図である。
【図8】図6Aの高い方の共振周波数領域近傍の共振信号プロファイルを示す図である。
【図9−1】異なる長さの3枚の細長片が収容された本発明の一実施形態のマーカを示す図である。
【図9−2】異なる長さの3枚の細長片が収容された本発明の一実施形態のマーカを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態の、長さの異なる3つの細長片を有するマーカの磁気機械共振特性を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態の、長さの異なる5つの細長片を有するマーカの磁気機械共振特性を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態によるコード化電子商品識別システムを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は強磁性アモルファス合金リボンおよび電子商品識別システムで使用されるマーカに関し、このマーカは、交番磁界中で複数の共振周波数で機械的に振動するアモルファス磁歪材料に基づく複数の長方形の細長片を含み、それによってコード化および解読の目的のためにマーカの磁気機械効果が効果的に利用される。本発明も、そのようなマーカを利用する電子識別システムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
磁性材料の磁気歪みとは、磁性材料に外部磁界を印加すると寸法変化が起こる現象である。材料が磁化されると伸びるような寸法変化であるとき、材料は「プラスの磁歪」と呼ばれる。材料が「マイナスの磁歪」であるとき、材料は磁化すると縮む。したがって、いずれの場合も、交番磁界中にあるとき磁性材料は振動する。交番磁界と共に静磁界が印加されるとき、磁性材料の機械的振動の周波数は、磁気弾性結合を介して印加された静的な磁界と共に変化する。これは、例えばS.Chikazumiによる「Physics of Magnetism」(John Wiley & Sons、New York、1964年、435ページ)で説明されるΔE効果として一般に知られている。ここで、E(H)は印加された磁界Hの関数であるヤング率を表わし、材料の振動周波数すなわち共振周波数frは、E(H)に対して次式を介した関係がある。
fr=(1/2l)[E(H)/ρ]1/2 (1)
上式で、lは材料の長さであり、ρは材料の質量密度である。前述の磁気弾性効果すなわち磁気機械効果は、米国特許第4,510,489号および米国特許第4,510,490号(以下’489特許および’490特許)で最初に教示された電子商品監視システムで利用されている。そのような監視システムは、高い検出感度、高い動作信頼性および低運転コストの組合せを提供するという点で、有利なシステムである。
【0003】
そのようなシステムにおけるマーカは、最大の磁気機械結合を確立するためのバイアス磁界と呼ばれる静的な磁界を与える磁気的により強い強磁性体(より高い保磁度を有する材料)と共に実装された強磁性体の1つまたは複数の長さが既知の細長片である。強磁性のマーカ材料は、好ましくはアモルファス合金リボンであり、これは合金の磁気機械結合の効率が非常に高いためである。機械的共振周波数frは、上の方程式(1)が示すように、基本的には合金リボンの長さおよびバイアス磁界の強度によって求められる。マーカ材料は、電子識別システムで共振周波数に合わせられた応答指令信号に出会うと大きな信号磁界で応答し、これがシステム内の受信器によって検出される。
【0004】
いくつかのアモルファス強磁性材料は、前述の磁気機械共振に基づくコード化識別システム向けの米国特許第4,510,490号で考察され、アモルファスのFe−Ni−Mo−B、Fe−Co−B−Si、Fe−B−Si−CおよびFe−B−Siの合金を含むものであった。合金のうち、市販のアモルファスのFe−Ni−Mo−Bを基材としたMETGLAS(登録商標)社の2826MBの合金が、磁気高調波の発生/検出に基づく他のシステムによって偶発的に作動されるまで、磁気機械共振マーカに広範に使用されていた。この偶発的作動は、その当時使用された磁気機械共振マーカが時々非線形のBH特性を示し、励磁磁界周波数の高調波が発生する原因となるために起こる。時としてシステムの「汚染問題」と呼ばれるこの問題を回避するために、一連の新規のマーカ材料が発明されており、それらの例が、米国特許第5,495,231号、米国特許第5,539,380号、米国特許第5,628,840号、米国特許第5,650,023号、米国特許第6,093,261号および米国特許第6,187,112号に開示されている。新規のマーカ材料は、最初の’489特許および’490特許の識別システムで利用された材料より概してよりよく機能するが、マーカ材料において、ある程度磁気機械性能がより優れたものが発見され、例えば米国特許第6,299,702号(以下’702特許)に開示されている。例えば’702特許に開示されているような所望の磁気機械特性を実現するためには、これらの新規のマーカ材料は、複雑な熱処理工程を必要とする。明らかに、そのような複雑なリボン製造の後工程を必要としない新規の磁気機械マーカ材料が必要であり、前述の「汚染問題」をもたらすことなく、高度な磁気機械性能を有するそのようなマーカ材料を提供することが本発明の目標の1つである。本発明の新規の磁気機械マーカ材料を十分に利用し、本発明は、コード化機能および解読機能を有するマーカおよびこのマーカを利用する電子識別システムを含む。磁気機械マーカを有するコード化監視システムが米国特許第4,510,490号に教示されているが、マーカ内の利用可能なスペースが限定されているために構成するマーカ細長片の数が制限され、したがってそのようなマーカを使用したコード化機能および解読機能の領域を制限する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コード化機能および解読機能を有する電子商品識別システム(以下「コード化電子商品識別システム」と呼ぶ)におけるコード化されたマーカとしての性能を犠牲にすることなく、マーカ細長片の数がかなり増加されるマーカが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、磁気機械共振に基づく電子識別システムのマーカに軟磁性材料が含まれる。
【0007】
向上した総合的な磁気機械共振特性を有するマーカ材料がアモルファス合金リボンから製作され、その結果、コード化されたマーカ内に多数のマーカ細長片が収容される。米国特許第4,142,571号に教示されるように、磁気機械共振能力を有するリボン状の軟磁性材料が回転する基体上に成型される。成型されたままのリボン幅がマーカ材料のための所定幅より広いとき、前記リボンは、前記所定幅に細長く裂かれる。こうして処理されたリボンは、バイアス静磁界を与える少なくとも1つの半強磁性細長片とともに複数の前記細長片を使用して磁気機械共振マーカを製作するために、様々な長さを有して展性がある長方形のアモルファス金属細長片に切られる。
【0008】
コード化電子商品識別システムは、本発明のコード化されたマーカを利用する。このシステムは、本発明の磁気機械マーカが変化する周波数を有する応答指令磁界を受ける商品応答指令区域を有し、応答指令磁界の励磁に対する信号の応答が、商品応答指令区域に位置している一対のアンテナコイルを有する受信器によって検出される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、あらかじめ選択された周波数で機械的に共振するように適合された磁気機械共振式電子商品識別システムのコード化されたマーカが提供され、このマーカは、アモルファス強磁性合金リボンから所定長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す展性のある複数の磁歪性細長片を備え、細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、細長片のうち少なくとも2つが、あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される。
【0010】
選択によっては、マーカ細長片の反りの曲率半径は100cm未満である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、コード化は、3より大きな長さ対幅の態様の縦横比を有する所定長さの長方形細長片のリボン軸芯に垂直な磁気異方性方向を有するアモルファス磁歪合金リボンを切り取ることにより実行される。
【0012】
選択によっては、細長片は約3mmから約15mmの細長片幅を有する。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、細長片は、約4Hz/(A/m)から約14Hz/(A/m)の共振周波数対バイアス磁界の傾斜を有する。
【0014】
選択によっては、細長片の幅が6mmであるとき、細長片は約18mmより大きな長さを有する。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、細長片は、約120,000Hz未満の磁気機械共振周波数を有する。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、アモルファス強磁性合金リボンは、約8ppmと約18ppmの間の飽和磁歪定数および約0.7テスラと約1.1テスラの間の飽和磁気誘導を有する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、アモルファス強磁性合金リボンのアモルファス強磁性合金は、Fea−Nib−Moc−Bdに基づく組成を有し、30≦a≦43、35≦b≦48、0≦c≦5、14≦d≦20、かつa+b+c+d=100であり、任意選択で3原子%以内のMoがCo、Cr、Mnおよび/またはNbと置換され、また、任意選択で1原子%以内のBがSiおよび/またはCと置換される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、アモルファス強磁性合金リボンのアモルファス強磁性合金は、Fe40.6 Ni40.1 Mo3.7 B15.1 Si0.5、Fe41.5 Ni38.9 Mo4.1 B15.5、Fe41.7 Ni39.4 Mo3.1 B15.8、Fe40.2 Ni39.0 Mo3.6 B16.6 Si0.6、Fe39.8 Ni39.2 Mo3.1 B17.6 C0.3、Fe36.9 Ni41.3 Mo4.1 B17.8、Fe35.6 Ni42.6 Mo4.0 B17.9、Fe40 Ni38 Mo4 B18またはFe38.0 Ni38.8 Mo3.9 B19.3のうち1つの組成を有する。
【0019】
選択によっては、コード化されたマーカは、異なる長さの少なくとも2つのマーカ細長片を備える。
【0020】
選択によっては、コード化されたマーカは、異なる長さの5つのマーカ細長片を備える。
【0021】
選択によっては、コード化されたマーカは、約30,000Hzと約130,000Hzの間の磁気機械共振周波数を有する。
【0022】
選択によっては、コード化されたマーカは、2つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合は約1800個以内、5つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合は約1億1500万個以内の個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する。
【0023】
選択によっては、コード化されたマーカは、1億1500万個を上回る個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、細長片は、約120,000Hz未満の磁気機械共振周波数を有する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、電子商品識別システムは、コード化されたマーカのコード化情報を解読する能力を有する。このシステムは、コード化されたマーカに向けられた交流励磁磁界を発して応答指令区域を形成する一対のコイル、コード化されたマーカからコード化情報を受け取る一対の信号検出コイル、コード化されたマーカ上にコード化された情報を解読するためのソフトウェアを有する電子コンピュータを有する電子信号処理デバイス、またはコード化されたマーカを識別する電子デバイスのうちの1つを備え、コード化されたマーカが、あらかじめ選択された周波数で機械的に共振するように適合され、コード化されたマーカが、アモルファス強磁性合金リボンから所定長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す複数の展性のある磁歪性の細長片を備え、細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、細長片のうち少なくとも2つが、あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される。
【0026】
選択によっては、マーカ細長片の反りの曲率半径は約20cmと約100cmの間である。
【0027】
好ましい実施形態および添付図面の以下の詳細な説明が参照されると、本発明がより十分に理解され、さらなる利点が明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
向上した総合的な磁気機械共振特性を有するマーカ材料がアモルファス強磁性合金リボンから製作され、その結果、コード化されたマーカに多数のマーカ細長片が収容される。細長片のうち少なくとも2つは、あらかじめ選択された複数の周波数のうち異なる単一の周波数で機械的に共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される。米国特許第4,142,571号に教示されるように、磁気機械共振能力を有するリボン状の磁性材料が回転する基体上に成型される。成型されたままのリボン幅がマーカ材料のための所定幅より広いとき、リボンは、所定幅に細長く裂かれる。こうして処理されたリボンは、バイアス静磁界を与える少なくとも1つの半強磁性細長片とともに複数の細長片を使用して磁気機械共振マーカを製作するために、様々な長さを有して展性がある長方形のアモルファス金属細長片に切られる。
【0029】
本発明の一実施形態では、マーカ細長片用のリボンを形成するために利用されるアモルファス強磁性合金は、Fea−Nib−Moc−Bdに基づく組成を有し、30≦a≦43、35≦b≦48、0≦c≦5、14≦d≦20、かつa+b+c+d=100であり、任意選択で3原子%以内のMoがCo、Cr、Mnおよび/またはNbと置換され、また、任意選択で1原子%以内のBがSiおよび/またはCと置換される。
【0030】
本発明の一実施形態では、マーカ細長片用のリボンを形成するために利用されるアモルファス強磁性合金は、Fe40.6 Ni40.1 Mo3.7 B15.1 Si0.5、Fe41.5 Ni38.9 Mo4.1 B15.5、Fe41.7 Ni39.4 Mo3.1 B15.8、Fe40.2 Ni39.0 Mo3.6 B16.6 Si0.6、Fe39.8 Ni39.2 Mo3.1 B17.6 C0.3、Fe36.9 Ni41.3 Mo4.1 B17.8、Fe35.6 Ni42.6 Mo4.0 B17.9、Fe40 Ni38 Mo4 B18またはFe38.0 Ni38.8 Mo3.9 B19.3のうち1つの組成を有する。
【0031】
したがって、市販のアモルファス磁歪のMETGLAS(登録商標)社の2826MBのリボンの化学組成と類似した化学組成を有するアモルファス合金リボンが、米国特許第4,142,571号に説明された発明によって成型された。成型されたアモルファス合金は、約0.88テスラの飽和磁気誘導および約12ppmの飽和磁歪定数を有していた。リボンは、約100mmおよび約25mmの幅を有し、その厚さは約28μmであった。次いで、リボンは様々な幅を有するより狭いリボンへ裂かれた。次いで、裂かれたリボンは、約15mmから約65mmの長さを有して展性がある長方形の細長片に切られた。各細長片は、リボン成型ホイールの表面曲率を反映したわずかな曲率を有していた。裂いている間中、元の曲率が変更された。裂かれて切られた細長片の曲率は、実施例1で説明されるように求められた。図1Aは、本発明の一実施形態のマーカ細長片10の物理的外観を示し、図1Bは、米国特許第6,299,702号に開示された複雑な熱処理方法によって作製された従来型の細長片20の物理的外観を示す。図示のように、本発明の一実施形態の共振マーカ−バイアス細長片構成では、磁力線11は、図1Bに示される従来型の細長片の磁力線21より接近している。これは、本発明の一実施形態のマーカ細長片10とバイアス磁石細長片12の間の結合を、従来型の細長片20とバイアス磁石22によって実現される結合より優れたものにすることを可能にし、このことが本発明の一実施形態の共振マーカ細長片の2つの終端での磁束漏れをより少なくする。本発明の一実施形態および従来型の細長片の各共振マーカ細長片が、実施例2の特徴づけ方法を用いて磁気機械共振性能の観点から試験された。図2は、本発明の一実施形態の単一細長片マーカ830の共振周波数と従来型の細長片831の共振周波数をバイアス磁界の関数として比較している。図2は、バイアス磁界の関数としての共振周波数変化が、どちらの場合もほぼ同じであることを示す。バイアス磁界強度を変化させることによる共振周波数の変化によって非活性化が達成されるので、図2に示された共振特性は、非活性化能力を有する共振マーカの設計において重要である。非活性化中に、バイアス磁界Hbに対する共振周波数frの傾斜、すなわちdfr/dHbは、非活性化の有効性を決定し、したがって効果的な共振マーカ細長片のために重要な要因である。電子式コード化識別システムにおけるマーカの場合、識別システムにおいて高感度が望まれるとき、共振周波数対バイアス磁界の傾斜は、一般により大きなものが好まれる。
【0032】
図3に、2つの場合の共振応答比較が示され、V0は励磁磁界が切られたときの応答信号振幅であり、V1は励磁磁界を停止した1ミリ秒後の信号振幅である。明らかに、共振マーカのより優れた性能のためにより高いV1/V0比が好まれる。したがって、産業界において、どちらの信号振幅も性能指数の一部として磁気機械共振マーカに使用される。図3は、本発明の一実施形態の共振マーカ細長片の場合、V0 441はバイアス磁界Hb0=500A/mで、またV1 442はバイアス磁界Hb1=400A/mで信号振幅が最大になり、従来型の共振マーカ細長片の場合、V0 443はバイアス磁界Hb0=460A/mで、またV1 444はバイアス磁界Hb1=400A/mで信号振幅が最大になることを示す。さらに、図3は、本発明の一実施形態の共振マーカ細長片の場合、従来型マーカ細長片よりこれらの最大点でのV1/V0比が大きく、本発明の一実施形態のマーカ細長片の信号の保持が従来型のマーカ細長片に比べ優れていることを示しており、したがって本コード化電子識別システムの有効性を強調している。
【0033】
表Iは、代表的な従来型のマーカ細長片と本発明の一実施形態のマーカ細長片の例の間の、磁気機械共振器としてのマーカ細長片の性能に重要なパラメータの比較を要約している。本発明の一実施形態のマーカ細長片の性能は、従来型マーカ細長片の性能に近いかまたは優ることが注目される。表I中の本発明の一実施形態のマーカ細長片はすべて本発明の実施形態のマーカとして使用するのに容認することができる。
【0034】
表Iでは、バイアス磁界強度Hb0で測定されたV0およびバイアス磁界強度Hb1で測定されたV1の最大信号電圧ならびに図1Aで定義された細長片曲率hを有する本発明の一実施形態のマーカ細長片についてHb1で測定された共振周波数傾斜(dfr/dHb)が、無作為に選択された10個の従来型マーカ細長片の対応する特性と比較された。細長片の長さlはすべて約38mmであり、幅は約6mmであった。各マーカ細長片の曲率半径はhとlから算定された。各細長片の共振周波数は約58kHzであった。
【0035】
【表1】
【0036】
表Iは、現在広く使用されている約6mmのマーカ細長片幅についてのデータを含む。約6mmと異なる幅を有するマーカ細長片を提供することは、本発明の一態様である。様々な幅を有するマーカ細長片は、表Iで使用された同じリボンから裂かれたものであり、それらの磁気機械共振特性が求められた。結果は表IIに要約されている。共振信号電圧V0maxおよびV1maxは、幅の縮小に伴って予想通りに低下した。幅の縮小に伴う特性磁界値Hb0およびHb1の低下は、消磁効果によるものである。したがって、バイアス界磁石はそれに応じて選択されなければならない。幅の狭いマーカがより小さな商品識別領域に適するのに対し、表IIが示すように、大きなマーカ細長片からの共振信号は大きいので、幅が広いマーカは大きな商品識別領域に適する。方程式(1)が示すように、共振周波数は主に細長片の長さ次第なので、細長片の幅の変化が、使用される商品識別システムの共振周波数に影響を及ぼすことはない。
【0037】
表IIは、図1Aで定義されたように、細長片高さhおよび様々な細長片幅を有する本発明の一実施形態のマーカ細長片の磁気機械共振特性を示す。V0max、Hb0、V1maxおよびdfr/dHbの定義は、表Iのものと同じであった。細長片の長さlはすべて約38mmであった。各マーカ細長片の曲率半径はhとlから算定された。各細長片の共振周波数は約58kHzであった。
【0038】
【表2】
【0039】
本発明の別の態様は、様々な条件下で動作される様々な有効なマーカを提供することである。この目的のために、マーカ細長片が作製されるアモルファス磁気合金リボンの化学組成を変化させることにより、磁気機械共振特性が変更された。試験された合金の化学組成は表IIIに列記されており、諸合金の飽和磁気誘導および磁気歪みの値が与えられている。これらの合金の磁気機械共振特性の結果は、下の表IVに与えられる。
【0040】
表IIIは、本発明の一実施形態の磁気機械共振マーカ用の磁歪アモルファス合金の例を、それらの組成、飽和磁気誘導Bsおよび飽和磁歪定数λsとともに示す。Bsの値は実施例3で説明された直流のBH曲線測定から求められ、λsの値は、実験式λs=kBs2を使用し、S.Itoら、Applied Physics Letters、第37巻、665ページ(1980年)より、k=15.5ppm/テスラ2を用いて算定された。
【0041】
【表3】
【0042】
表IVは、図1Aで定義されたように細長片高さがhで表IIIに列記された様々な化学組成を有する本発明の一実施形態のマーカ細長片の磁気機械共振特性を示す。V0max、Hb0、V1maxおよびdfr/dHbの定義は、表Iのものと同じであった。細長片の長さlはすべて約38mmであった。各マーカ細長片の曲率半径はhとlから算定された。各細長片の共振周波数は約58kHzであった。
【0043】
【表4】
【0044】
表IIIに列記された様々な化学組成を有するアモルファス合金は、表IVに与えられたようにすべて優れた磁気機械共振特性を有し、したがって本発明の一実施形態のコード化電子識別システムに有用である。
【0045】
その上、実施例1に従って約6mmの幅に裂かれたリボンは、様々な長さの細長片に切られ、それらの磁気機械共振特性が試験された。上の表I、IIおよびIVで取り上げられた特性に加えて、磁気機械共振細長片の有効性を求めるために次式を使用して補足的なテストが行われた。
V(t)=V0exp(−t/τ) (2)
上式で、tは交流磁界励磁を停止した後の測定された時間であり、τは共振信号の減衰特性の時定数である。表I、IIおよびIV中のV1maxの値は、t=1ミリ秒のデータから求められた。結果は表Vに与えられ、表Vには様々な細長片長さの共振特性を特徴づける他のパラメータが要約されている。frが上に与えられた方程式(1)の関係にとてもよく従うことが注目される。また、細長片の長さの増加に伴ってτが増加することも注目される。遅延した信号検出が好まれるのであれば、より大きな時定数τの値が好ましい。しかし、コード化電子商品識別システムにおいて、応答指令交流磁界が掃引されるとき、表I中のV0の値はV1の値以上に重要である。
【0046】
表Vに示されるように、様々な長さlを有する本発明の一実施形態のマーカ細長片に対して磁気機械共振特性が求められた。各細長片の幅は約6mmであり、厚さは約28μmであった。共振周波数frは式(1)で定義され、時定数τは式(2)で定義される。V0max、Hb0、V1max、Hb1およびdfr/dHbの定義は、表Iのものと同じであった。マーカ高さhは図1で定義され、各細長片の曲率半径はhとlを使用して算定された。
【0047】
【表5】
【0048】
本発明の一実施形態のマーカ細長片において、磁気機械共振を引き起こすために必要とされる表IIIに列記された飽和磁気誘導および飽和磁歪定数など基本的な磁気特性に加えて、マーカ細長片内の磁化の容易な方向である磁気異方性の方向は、基本的に細長片の長さ方向に垂直でなくてはならない。これは、実際に、実施例3の測定法を用いて上の表Vからの約38mmの長い細長片上で、60Hzで得られたBH曲線を示す図4に示されたケースである。図4のBH曲線は、H=0での残留磁気誘導すなわちB(H=0)は0に近く、またH=0近傍のB/Hで定義される透磁率が線形であることを示す。図4に示されたBH曲線の形状は、磁気異方性の平均方向が細長片の長さ方向に垂直な磁気細長片のBH挙動に一般的なものである。図4に示された本発明の一実施形態のマーカ細長片の磁化挙動の結果は、細長片が交流磁界に配置されたとき細長片内に高調波が発生しないことである。したがって、「背景技術」部で言及されたシステムの「汚染問題」が最小化される。この点をさらに検査するために、図4のマーカ細長片からの高調波信号が、磁気高調波の発生/検出に基づく電子商品監視システムのマーカ細長片のものと比較された。この比較結果が下の表VIに与えられている。
【0049】
表VIに示されるように、本発明の一実施形態のマーカ細長片とCoを基材とするMETGLAS(登録商標)社の2714A合金(磁気高調波の発生/検出システムに基づく電子商品監視システムで広く使用されている)に基づくマーカ細長片との間で磁気高調波信号の比較が行われた。細長片サイズはどちらの場合も同じであり、長さ約38mmかつ幅約6mmであった。基本励磁周波数は2.4kHzであり、実施例4の高調波信号検出法を使用することにより25次の高調波信号が比較された。
【0050】
【表6】
【0051】
表VIが示すように、本発明の一実施形態のマーカからの無視できるほど小さい高調波信号は、磁気高調波の発生/検出に基づく電子商品監視システムを作動させることがない。
【0052】
本発明の一実施形態の、長さの異なる2つのマーカ細長片が、表I、II、IVおよびVで特徴づけられた複数の細長片から無作為に選択されて互いの表面に取り付けられ、図5Aの細長片110および細長片111によって示されるようにマーカが1つ作製された。長さの異なる2つのマーカ細長片は、非磁性外側ケーシング100と101の間の空洞領域に収容される。バイアス磁石120は、ケーシング101の外側面に取り付けられる。比較のために、2つの従来型のマーカ細長片向けのマーカ構成が図5Bの細長片210および細長片211によって示され、2つの細長片用に利用可能な平面状の領域は図5Aの2つの細長片用のものと同一である。図5Bの数字200、201および220は、それぞれ図5Aの要素100、101および120に対応する。
【0053】
表Vからの約20mmの細長片および約57mmの細長片を含むマーカについて、図5Aに対応する本発明の一実施形態の2つの細長片のマーカの磁気機械共振挙動が図6Aに示され、約20mmおよび約57mmの長さの2つの細長片を使用し、’490特許に従って準備された図5Bに対応する従来型の2つの細長片のマーカの磁気機械共振挙動が図6Bに示される。本発明の一実施形態の2つのマーカ細長片からの総合的な信号振幅が、2つの従来型のマーカ細長片からの総合的な信号振幅よりかなり高いことが図6A〜図6Bから明らかである。図5Aに示された本発明の一実施形態のマーカの場合については、本発明の一実施形態の長いサイズの細長片からの信号振幅V0(図6Aに示される)が、図5Bの長いサイズの従来型マーカ細長片のそれに対応する値V0(図6Bに示される)より約280%大きい。短いサイズの細長片については、本発明の一実施形態の細長片は、それに対応する従来型のマーカ細長片の信号振幅V1(図6Bに示される)より370%大きい信号振幅V1(図6A示される)を発生する。図6Aに示された低い方の共振周波数fr=38,610Hz近傍の拡大された共振振幅プロファイルが図7に示されており、これは、振幅が最大振幅の1/2になるポイントでの周波数の幅として定義される磁気機械共振の幅を示し、約420Hzである。fr=109,070Hz近傍の高い方の共振周波数領域については、信号振幅は、図8に示されるように約660Hzの周波数幅を有する。以下で共振線幅と呼ばれるこの周波数幅は、わずかに長さの異なる2つのマーカ細長片用に2つの隣接した共振周波数間の最小の共振周波数分離を求めるために使用される。
【0054】
図9−1は、上の表I、IIおよびIVから無作為に選択された長さの異なる3つのマーカ細長片311、312および313を含む本発明の一実施形態のマーカを示す。2つの外側ケーシング300と301の間のくぼみスペース302は、本発明の実施形態のマーカ細長片311、312および313を収容するためのものであり、数字330は、ケーシング301の外側面に取り付けられるバイアス磁石を示す。約25mm、約38mmおよび約52mmの長さおよび約6mmの幅を有する3枚の細長片を有するマーカの磁気機械共振特性が、図10に示される。図6Aおよび図7では約40,000Hzの低い方の共振周波数領域近傍に約400Hzの共振線幅があり、また図6Aおよび図8に示されるように約110,000Hzの高い方の共振周波数領域近傍に約700Hzの共振線幅があって、観測された機械的共振が鋭く、本発明の一実施形態のマーカの、長さの異なるマーカ細長片間の磁気機械干渉が微々たるものであることを示し、その結果として3つを上回るマーカ細長片を積み重ねることが可能になることが注目される。図9−2において、長さの異なる3つのマーカ細長片が、それら自体の間で細長片の幅方向の中心近くの線に沿って触れるので、細長片対細長片の磁気機械干渉が無いことは明らかである。同様に、約30mm、約38mm、約42mm、約47mmおよび約52mmの異なる長さを有し、幅が約6mmである5つの細長片が表I、II、IVおよびVの細長片から選択されてマーカが製作された。この5つの細長片のマーカの共振特性が図11に示される。異なる長さのマーカ細長片を利用する本発明の一実施形態のマーカについての共振特性の概要が、表VIIに与えられる。
【0055】
表VIIに示されるように、共振信号V0maxおよびV1maxは、それぞれ本発明のコード化されたマーカからの共振周波数frに位置する。
【0056】
【表7】
【0057】
表VIIでは、マーカ細長片幅は約6mmであり、厚さは約28μmである。
【0058】
表VIIで与えられた共振信号V0maxおよびV1maxは、本発明の実施形態による電子商品識別システムで検出されるのに十分に有効なものである。表Vのデータは、共振周波数frと細長片の長さの間の、次式によって与えられる関係に繋がる。
fr=2.1906×106/l(Hz)
上式で、lは細長片の長さ(mm)である。方程式(1)と一致しているこの関係式を用いて、リボンを所定の長さに切り取る際の寸法公差によってもたらされる共振周波数のばらつきは、以下のように求められる。frとlの上記の関係は、Δfr/Δl=−2.906×106/2l2となり、Δfrは細長片長さのばらつきΔlにおける共振周波数の変化である。市販のリボンカッターで達成可能なマーカ細長片の切断寸法公差は、表Vで与えられた公称すなわち目標とされた細長片の長さと実際の長さを比較することにより求められる。例えば、表Vで18.01mmの長さを有する細長片は、目標の細長片長さ18mmを有していたものであり、結果として0.01mmの切断公差ということになる。このようにして得られた切断機寸法公差を用いて、細長片長さのばらつきによる周波数のばらつきΔfrが算定され、これは、短い細長片の場合の約3Hzから長い細長片の場合の約400Hzに及んだ。図7に示されたように長い細長片の場合の共振線幅が約400Hzであり、図8に示されたように短い細長片の場合の共振線幅が約700Hzであるので、本発明の実施形態による電子商品識別システムでは、認識可能な最小の周波数分離は、約800Hzと求められる。したがって、誤りのない識別を確実なものにするために、最小の認識可能な共振周波数分離の2倍を上回る2kHzの共振周波数分離が選択され、選択された領域の識別可能な商品の数を決定した。表Vで列記されたマーカ細長片で対象として含まれる共振周波数は約34,000Hzから約120,000Hzにおよび、約86,000Hzの共振周波数範囲をまかなう。上で求められたように、誤りのない識別のために2kHzの共振周波数分離を使用すると、マーカが1つだけ細長片を有するとき電子的に識別可能な商品の数は43になるが、本発明によるコード化電子商品識別システムにおいて、本発明の一実施形態の異なる長さが利用されるとき、マーカが2つ、3つ、4つおよび5つのマーカ細長片を有すると、上記商品の数は、所与の領域で、それぞれ約1800、74000、296万および1億1550万に増加する。識別可能な商品すなわちコード化された商品の数は、より多くのマーカ細長片を加えることおよび/またはマーカ内のバイアス磁界のレベルを変化させることのいずれかによってさらに増加される。
【0059】
前述のコード化されたマーカ501は、図12に示されるように、本発明の実施形態による電子商品識別システムに効果的に利用される。本発明の一実施形態のコード化されたマーカ501を付けた識別されるべき商品502は、一対の応答指令コイル511が側面に位置している図12の応答指令区域510内に配置される。コイル511は、信号発生器513および交流増幅器514から成る電子デバイス512によって供給された周波数が変化する交流磁界を発するが、これは識別されるべき商品502に向き、そのオン・オフ動作用の電子回路ボックス515によって制御される。商品502が区域510に配置されたとき、電子回路ボックス515は、応答指令交流磁界の最低周波数から最高周波数までの周波数掃引をオンにするが、その掃引範囲は、マーカの所定周波数の範囲次第である。そのような周波数掃引では、本発明の一実施形態のコード化されたマーカ501からの共振信号は、一対の信号受信コイル516で検出され、その結果、図11に例示されたような共振信号プロファイルをもたらす。このように信号検出器517によって得られた信号プロファイルは、本発明の一実施形態のコード化されたマーカ501中にコード化された共振周波数シーケンスを識別するようにプログラムされたコンピュータ518に格納される。この識別が完了したとき、コンピュータ518は、システムをリセットするために、識別器519および電子回路ボックス515に識別の結果を報告する信号を送る。所望であれば、本発明の実施形態によるコード化されたマーカは、商品502が応答指令区域510を出た後で、マーカ内のバイアス磁石を消磁することにより非活性化されてよい。
【0060】
上記で与えられたコード化された電子商品識別システムは、変化する周波数を用いて交流励磁磁界を掃引することにより、商品を識別するために使用される。ある場合には、遅延のある識別が望まれ、これは図3、図5(a)、図10および図11に示されたようにV1を追尾することにより達成され得る。これは、V1を掃引周波数の関数として処理するように図12のコンピュータ517をプログラミングすることにより電子的に達成される。
【実施例1】
【0061】
裂かれたリボンが、従来型の金属リボンカッターを用いて、展性がある長方形の細長片に切られた。各細長片の曲率は、図1Aで定義されたように、細長片の長さlにわたって湾曲面の高さhを測定することにより光学的に求められた。
【実施例2】
【0062】
磁気機械性能は、一対のコイルが静的バイアス磁界を供給し、バッキングコイルによって補償された信号検出コイルに発生する電圧が電圧計およびオシロスコープによって測定される装置内で求められた。したがって、測定された電圧は検出コイルに依存するものであり、相対的な信号振幅を示す。励磁交流磁界は、市販の関数発生器および交流増幅器によって供給された。電圧計からの信号電圧が表にされ、収集されたデータを解析し処理するために市販のコンピュータソフトウェアが使用された。
【実施例3】
【0063】
印加された磁界Hの関数として磁気誘導Bを測定するために、市販の直流のBH曲線測定器が利用された。交流BH曲線の測定については、実施例4のものに類似の励磁コイル−検出コイル組立体が使用され、検出コイルからの出力信号は電子積分器に入力された。次いで、供試体の磁気誘導Bの値を与えるために、積分された信号が較正された。結果として得られたBが、印加された磁界Hに対してプロットされ、交流BH曲線がもたらされた。交流と直流のどちらの場合も、印加された磁界および測定の方向はマーカ細長片の長さ方向に沿うものであった。
【実施例4】
【0064】
実施例1に従って準備されたマーカ細長片が、所定の基本周波数で励磁交流磁界に配置され、その高調波応答が細長片を含むコイルによって検出された。励磁コイルおよび信号検出コイルは、直径約50mmのボビンに巻きつけられた。励磁コイルおよび信号検出コイルの巻線数は、それぞれ約180および約250であった。基本周波数は2.4kHzに選択され、励磁コイルにおけるその電圧は約80mVであった。信号検出コイルから25次の高調波電圧が測定された。
【0065】
したがって、本発明の一実施形態では、マーカ細長片の反りの曲率半径は、約100cm未満または約20cmと約100cmの間でよい。
【0066】
選択によっては、コード化は、3より大きな長さ対幅の縦横比を有する所定長さの長方形細長片のリボン軸芯に垂直な磁気異方性方向を有するアモルファス磁歪合金リボンを切り取ることにより実行される。
【0067】
また、選択によっては、細長片は約3mmから約15mmの細長片幅を有する。
【0068】
本発明の一実施形態では、細長片は、約4Hz/(A/m)から約14Hz/(A/m)の共振周波数対バイアス磁界の傾斜を有する。
【0069】
選択によっては、細長片の幅が6mmであるとき、細長片は約18mmより大きな長さを有する。
【0070】
また、選択によっては、細長片は、約120,000Hz未満の磁気機械共振周波数を有する。
【0071】
本発明の一実施形態では、アモルファス強磁性合金リボンは、約8ppmと約18ppmの間の飽和磁歪定数および約0.7テスラと約1.1テスラの間の飽和磁気誘導を有する。
【0072】
本発明の一実施形態では、コード化されたマーカは、異なる長さの少なくとも2つのマーカ細長片を備える。選択によっては、コード化されたマーカは、異なる長さの5つのマーカ細長片を備える。
【0073】
本発明の一実施形態では、コード化されたマーカは、約30,000Hzと約130,000Hzの間の磁気機械共振周波数を有する。
【0074】
本発明の一実施形態では、コード化されたマーカは、2つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合約1800個以内、および5つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合約1億1500万個以内の個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する。
【0075】
本発明の一実施形態では、コード化されたマーカは、1億1500万個を上回る個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する。
【0076】
したがって、本発明の一実施形態では、あらかじめ選択された周波数で機械的に共振するように適合された磁気機械共振の電子商品識別システムのコード化されたマーカが、アモルファス強磁性合金リボンから所定長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す展性のある複数の磁歪性の細長片を備え、細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、細長片のうち少なくとも2つが、あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される。
【0077】
さらに、選択された本発明の実施形態では、電子商品識別システムは、コード化されたマーカのコード化情報を解読する能力を有する。コード化されたマーカは、あらかじめ選択された周波数で機械的に共振するように適合され、また、アモルファス強磁性合金リボンから所定長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す複数の展性のある磁歪性の細長片をコード化されたマーカが備え、細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、細長片のうち少なくとも2つが、あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される。電子商品識別システムは、コード化されたマーカに向けられた交流励磁磁界を発して応答指令区域を形成する一対のコイル、コード化されたマーカからコード化情報を受け取る一対の信号検出コイル、コード化されたマーカ上にコード化された情報を解読するためのソフトウェアを有する電子コンピュータを有する電子信号処理デバイス、またはコード化されたマーカを識別する電子機器のうちの1つを備える。したがって、この電子商品識別システムは、コード化されたマーカの識別を提供するばかりでなく、取り付けられたコード化マーカを有する商品を識別することもできる。
【0078】
いくつかの本発明の実施形態が示され説明されてきたが、本発明の原理および趣旨から逸脱することなくこれらの実施形態において変更を加えることが可能であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲およびそれらの等価物で定義されることが、当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1A】本発明の一実施形態によってアモルファス合金リボンから切り取られ、バイアス磁石を有する細長片の側面図である。
【図1B】バイアス磁石を有する従来型の細長片の図である。
【図2】本発明の一実施形態による単一の細長片マーカの磁気機械共振特性および従来型の単一の細長片マーカの磁気機械共振特性を示し、共振周波数をバイアス磁界の関数として示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による単一の細長片マーカの共振信号および従来型の単一の細長片マーカの共振信号を示し、共振信号の振幅をバイアス磁界の関数として示す図である。
【図4】長さ約38mm、幅約6mmおよび厚さ約28μmを有する本発明の一実施形態のマーカ細長片上で、60Hzで得られたBH曲線を示す図である。
【図5A】本発明の実施形態による磁気機械共振マーカの一実施形態の物理的プロファイルの比較を示す図である。
【図5B】どちらの場合も長さの異なる2つのマーカ細長片を利用する従来型マーカの比較を示す図である。
【図6A】本発明の一実施形態の、長さの異なる2つの細長片を有するマーカの磁気機械共振特性を示す図である。
【図6B】従来型の、長さの異なる2つの細長片を有するマーカの磁気機械共振特性を示す図である。
【図7】図6Aの低い方の共振周波数領域近傍の共振信号プロファイルを示す図である。
【図8】図6Aの高い方の共振周波数領域近傍の共振信号プロファイルを示す図である。
【図9−1】異なる長さの3枚の細長片が収容された本発明の一実施形態のマーカを示す図である。
【図9−2】異なる長さの3枚の細長片が収容された本発明の一実施形態のマーカを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態の、長さの異なる3つの細長片を有するマーカの磁気機械共振特性を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態の、長さの異なる5つの細長片を有するマーカの磁気機械共振特性を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態によるコード化電子商品識別システムを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファス強磁性合金リボンから所定の長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す展性のある複数の磁歪性細長片を備え、前記細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、前記細長片のうち少なくとも2つが、あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される、前記あらかじめ選択された諸周波数で機械的に共振するように適合された磁気機械共振式電子商品識別システムのコード化されたマーカ。
【請求項2】
前記マーカ細長片の反りの曲率半径が約100cm未満である請求項1に記載のコード化されたマーカ。
【請求項3】
コード化が、3より大きな長さ対幅の縦横比を有する所定長さの長方形細長片のリボン軸芯に垂直な磁気異方性方向を有するアモルファス磁歪合金リボンを切り取ることにより実行される請求項1に記載のコード化されたマーカ。
【請求項4】
前記細長片が約3mmから約15mmの細長片幅を有する請求項3に記載のコード化されたマーカ。
【請求項5】
前記細長片が約4Hz/(A/m)から約14Hz/(A/m)の共振周波数対バイアス磁界の傾斜を有する請求項4に記載のコード化されたマーカ。
【請求項6】
細長片幅が6mmであるとき、前記細長片が約18mmより大きな長さを有する請求項4に記載のコード化されたマーカ。
【請求項7】
前記細長片が約120,000Hz未満の磁気機械共振周波数を有する請求項6に記載のコード化されたマーカ。
【請求項8】
前記アモルファス強磁性合金リボンが、約8ppmと約18ppmの間の飽和磁歪定数および約0.7テスラと約1.1テスラの間の飽和磁気誘導を有する請求項1に記載のコード化されたマーカ。
【請求項9】
前記アモルファス強磁性合金リボンのアモルファス強磁性合金が、Fea−Nib−Moc−Bdに基づく組成を有し、30≦a≦43、35≦b≦48、0≦c≦5、14≦d≦20、かつa+b+c+d=100であり、任意選択で3原子%以内のMoがCo、Cr、Mnおよび/またはNbと置換され、また、任意選択で1原子%以内のBがSiおよび/またはCと置換される請求項8に記載のコード化されたマーカ。
【請求項10】
前記アモルファス強磁性合金リボンのアモルファス強磁性合金が、Fe40.6 Ni40.1 Mo3.7 B15.1 Si0.5、Fe41.5 Ni38.9 Mo4.1 B15.5、Fe41.7 Ni39.4 Mo3.1 B15.8、Fe40.2 Ni39.0 Mo3.6 B16.6 Si0.6、Fe39.8 Ni39.2 Mo3.1 B17.6 C0.3、Fe36.9 Ni41.3 Mo4.1 B17.8、Fe35.6 Ni42.6 Mo4.0 B17.9、Fe40 Ni38 Mo4 B18、またはFe38.0 Ni38.8 Mo3.9 B19.3のうちの1つの組成を有する請求項8に記載のコード化されたマーカ。
【請求項11】
前記コード化されたマーカが、異なる長さの少なくとも2つのマーカ細長片を備える請求項1に記載のコード化されたマーカ。
【請求項12】
前記コード化されたマーカが、異なる長さの少なくとも5つのマーカ細長片を備える請求項11に記載のコード化されたマーカ。
【請求項13】
前記コード化されたマーカが、約30,000Hzと約130,000Hzの間の磁気機械共振周波数を有する請求項12に記載のコード化されたマーカ。
【請求項14】
前記コード化されたマーカが、2つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合約1800個以内、および5つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合約1億1500万個以内の個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する請求項13に記載のコード化されたマーカ。
【請求項15】
前記コード化されたマーカが、1億1500万個を上回る個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する請求項13に記載のコード化されたマーカ。
【請求項16】
コード化されたマーカに向けられた周波数が変化する交流励磁磁界を発して応答指令区域を形成させる一対のコイルか、
前記コード化されたマーカからコード化情報を受け取る一対の信号検出コイルか、
前記コード化されたマーカ上にコード化された情報を解読するためのソフトウェアを有する電子コンピュータを有する電子信号処理デバイスか、または
前記コード化されたマーカを識別する電子機器のうちの1つを備え、
前記コード化されたマーカが、あらかじめ選択された周波数で機械的に共振するように適合され、前記コード化されたマーカが、アモルファス強磁性合金リボンから所定の長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す複数の展性のある磁歪性の細長片を備え、前記細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、前記細長片のうち少なくとも2つが、前記あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される、前記コード化されたマーカのコード化情報を解読する能力を有する電子商品識別システム。
【請求項17】
前記マーカ細長片の反りの曲率半径が約20cmと約100cmの間である請求項1に記載のコード化されたマーカ。
【請求項1】
アモルファス強磁性合金リボンから所定の長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す展性のある複数の磁歪性細長片を備え、前記細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、前記細長片のうち少なくとも2つが、あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される、前記あらかじめ選択された諸周波数で機械的に共振するように適合された磁気機械共振式電子商品識別システムのコード化されたマーカ。
【請求項2】
前記マーカ細長片の反りの曲率半径が約100cm未満である請求項1に記載のコード化されたマーカ。
【請求項3】
コード化が、3より大きな長さ対幅の縦横比を有する所定長さの長方形細長片のリボン軸芯に垂直な磁気異方性方向を有するアモルファス磁歪合金リボンを切り取ることにより実行される請求項1に記載のコード化されたマーカ。
【請求項4】
前記細長片が約3mmから約15mmの細長片幅を有する請求項3に記載のコード化されたマーカ。
【請求項5】
前記細長片が約4Hz/(A/m)から約14Hz/(A/m)の共振周波数対バイアス磁界の傾斜を有する請求項4に記載のコード化されたマーカ。
【請求項6】
細長片幅が6mmであるとき、前記細長片が約18mmより大きな長さを有する請求項4に記載のコード化されたマーカ。
【請求項7】
前記細長片が約120,000Hz未満の磁気機械共振周波数を有する請求項6に記載のコード化されたマーカ。
【請求項8】
前記アモルファス強磁性合金リボンが、約8ppmと約18ppmの間の飽和磁歪定数および約0.7テスラと約1.1テスラの間の飽和磁気誘導を有する請求項1に記載のコード化されたマーカ。
【請求項9】
前記アモルファス強磁性合金リボンのアモルファス強磁性合金が、Fea−Nib−Moc−Bdに基づく組成を有し、30≦a≦43、35≦b≦48、0≦c≦5、14≦d≦20、かつa+b+c+d=100であり、任意選択で3原子%以内のMoがCo、Cr、Mnおよび/またはNbと置換され、また、任意選択で1原子%以内のBがSiおよび/またはCと置換される請求項8に記載のコード化されたマーカ。
【請求項10】
前記アモルファス強磁性合金リボンのアモルファス強磁性合金が、Fe40.6 Ni40.1 Mo3.7 B15.1 Si0.5、Fe41.5 Ni38.9 Mo4.1 B15.5、Fe41.7 Ni39.4 Mo3.1 B15.8、Fe40.2 Ni39.0 Mo3.6 B16.6 Si0.6、Fe39.8 Ni39.2 Mo3.1 B17.6 C0.3、Fe36.9 Ni41.3 Mo4.1 B17.8、Fe35.6 Ni42.6 Mo4.0 B17.9、Fe40 Ni38 Mo4 B18、またはFe38.0 Ni38.8 Mo3.9 B19.3のうちの1つの組成を有する請求項8に記載のコード化されたマーカ。
【請求項11】
前記コード化されたマーカが、異なる長さの少なくとも2つのマーカ細長片を備える請求項1に記載のコード化されたマーカ。
【請求項12】
前記コード化されたマーカが、異なる長さの少なくとも5つのマーカ細長片を備える請求項11に記載のコード化されたマーカ。
【請求項13】
前記コード化されたマーカが、約30,000Hzと約130,000Hzの間の磁気機械共振周波数を有する請求項12に記載のコード化されたマーカ。
【請求項14】
前記コード化されたマーカが、2つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合約1800個以内、および5つのマーカ細長片を有するコード化されたマーカの場合約1億1500万個以内の個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する請求項13に記載のコード化されたマーカ。
【請求項15】
前記コード化されたマーカが、1億1500万個を上回る個別に識別可能な商品を含む電子識別領域を有する請求項13に記載のコード化されたマーカ。
【請求項16】
コード化されたマーカに向けられた周波数が変化する交流励磁磁界を発して応答指令区域を形成させる一対のコイルか、
前記コード化されたマーカからコード化情報を受け取る一対の信号検出コイルか、
前記コード化されたマーカ上にコード化された情報を解読するためのソフトウェアを有する電子コンピュータを有する電子信号処理デバイスか、または
前記コード化されたマーカを識別する電子機器のうちの1つを備え、
前記コード化されたマーカが、あらかじめ選択された周波数で機械的に共振するように適合され、前記コード化されたマーカが、アモルファス強磁性合金リボンから所定の長さに切られ、リボンの長さ方向に沿って反りを有し、かつ静的バイアス磁界を伴う交番励磁磁界の下で磁気機械共振を示す複数の展性のある磁歪性の細長片を備え、前記細長片が、リボンの軸芯に垂直な磁気異方性方向を有し、前記細長片のうち少なくとも2つが、前記あらかじめ選択された諸周波数のうち異なる単一の周波数で共振するように磁気的にバイアスをかけられるのに適合される、前記コード化されたマーカのコード化情報を解読する能力を有する電子商品識別システム。
【請求項17】
前記マーカ細長片の反りの曲率半径が約20cmと約100cmの間である請求項1に記載のコード化されたマーカ。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9−1】
【図9−2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9−1】
【図9−2】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−535104(P2008−535104A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504410(P2008−504410)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/011839
【国際公開番号】WO2006/107739
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(503393227)メトグラス・インコーポレーテッド (45)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/011839
【国際公開番号】WO2006/107739
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(503393227)メトグラス・インコーポレーテッド (45)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]