説明

コード情報読取装置およびコード情報読取システム

【課題】 外部機器との接続状態(接続および非接続)を容易に知ることができるコード情報読取装置を提供する。
【解決手段】 最初に、コード情報読取装置とアクセスポイントとの無線接続を試みる。接続に成功した場合には、コード情報読取装置は、アクセスポイントから当該アクセスポイントのMAC(Media Access Control)アドレス、信号強度およびチャネルを取得する。続いて、ホストコンピュータのIPアドレスを指定する。使用者は、ホストコンピュータのIPアドレスを指定した後、エンターキーを押下することにより決定する。次に、使用者はエンターキーを押下することにより、ホストコンピュータに対してPING(Packet INternet Groper)を行う。その後、情報表示部2の表示領域2bにPINGの実施結果が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コード情報を読み取るコード情報読取装置およびコード情報読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、バーコードからバーコード情報を読み取るためにバーコード読取装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記バーコード読取装置では、バーコードに光を照射し、その反射光を受光することにより、バーコードの幅情報を時間情報に変換した後、この時間情報を数値化し、2値化データとしてメモリに格納し、メモリに格納された2値化データを復号(デコード)してバーコード情報を読み取る。
【0004】
近年、コードに付与される情報量を増加させるために、情報密度がバーコードよりも高い2次元コードが使用されるようになっている。
【0005】
上記の2次元コードでは、情報密度を高くすることができるので、小さな領域に多量の情報を印字することや、数千バイトもの大きな情報量を扱うことも可能となる。以下、2次元コードまたは2次元バーコードの一般的な読み取り方法について説明する。
【0006】
図9は、マトリックス2次元コードの一例を示す図である。図9に示す2次元コードは、3つの切り出しシンボルSYおよびデータ領域DRにより構成される。切り出しシンボルSYは、データ領域DRの位置および方向を判別するために用いられる。データ領域DRには複数のキャラクタCHが含まれ、各キャラクタCHは例えば8個のセルSLからなる。各キャラクタCHは、例えば数字、英文字、記号等を表わしている。
【0007】
図10は、スタック型2次元コードの一例を示す図である。図10に示すように、2次元バーコードは、通常のバーコードのトランケーション(高さ)を小さくして多段に構成したものである。
【0008】
このような2次元コードまたは2次元バーコードからコード情報を読み取るための光学情報読取装置では、2次元コードまたは2次元バーコードに光を照射し、その反射光を受光して2値化データに変換した後、2値化データにおいて一定の2値化データ数からなるセルごとに白黒("0"または"1")を判定する。
【0009】
具体的には、図11に示すように、2値化データにおけるセルSLは複数の2値化データからなる。図11の例では、1つのセルSLが8×8の2値化データからなる。セルの白黒を判定する方法としては、通常、そのセル内の白データの数と黒データの数の多数決を採る方法が用いられている。セル内の白データの数が黒データの数よりも多い場合に、そのセルは白であると判定し、セル内の黒データの数が白データの数よりも多い場合に、そのセルは黒であると判定する。すなわち、セル内の白データおよび黒データの面積を比較することによりそのセルの白黒を判定している。
【0010】
このように、一定の2値化データ数からなるセルごとに白黒が判定され、この判定結果に基づいてコードデータが生成される。そして、生成されたコードデータが復号されコード情報が読み取られる。読み取られたコード情報は、無線により複数のバーコード読取装置を統括的に管理するホストコンピュータに送信される。
【0011】
ここで、通常、バーコード読取装置は工場等の広範囲な敷地内で使用される。そのため、バーコード読取装置とホストコンピュータとの距離が大きく離れている場合には、良好な通信を行うことが困難である。そこで、1または複数のアクセスポイントを設け、バーコード読取装置は当該アクセスポイントを介してホストコンピュータと通信を行う。
【0012】
なお、アクセスポイントとホストコンピュータとは有線LAN(ローカルエリアネットワーク)により接続されている。また、バーコード読取装置とアクセスポイントとホストコンピュータとの間における無線および有線による通信は、いずれもTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコルによって行われる。バーコード読取装置、アクセスポイントおよびホストコンピュータにはそれぞれIPアドレスが設定されている。
【特許文献1】特開2002−366883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来のバーコード読取装置においては、以下のような課題がある。
【0014】
第1の課題として、バーコード読取装置がホストコンピュータと通信することができない場合に、バーコード読取装置とアクセスポイントとの間に障害があるのか、またはアクセスポイントとホストコンピュータとの間に障害があるのかについて、接続状態を確認するための一般的なピング(PING:Packet INternet Groper)を使用しても調査するのが困難であった。
【0015】
また、第2の課題として、複数のアクセスポイントが設置された敷地内において、どの場所でバーコード読取装置を使用すれば、どのアクセスポイントと接続されるのかということ、すなわち、アクセスポイントが他のアクセスポイントに切り替えられるバーコード読取装置の使用場所について知ることができなかった。その結果、複数のバーコード読取装置が用いられている場合には、当該複数のバーコード読取装置による特定のアクセスポイントへの通信負荷が過度となる場合があった。
【0016】
本発明の目的は、外部機器との接続状態(接続および非接続)を容易に知ることができるコード情報読取装置を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、外部機器との接続状態を容易に知ることができ、外部機器への通信負荷を低減することが可能なコード情報読取システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の発明に係るコード情報読取装置は、読取対象となるコードからコード情報を読み取るとともに、外部機器と互いに通信を行うコード情報読取装置であって、コードからの反射光を受光してデータに変換する変換手段と、変換手段により得られたデータを復号し、コード情報を読み取る復号手段と、外部機器との間で通信を行い、復号手段により読み取られたコード情報を外部機器に送信する通信手段と、通信手段と外部機器との通信動作により外部機器と通信手段との接続状態を調査する調査手段と、調査手段の調査結果を接続情報として表示する表示手段とを備えたものである。
【0019】
本発明に係るコード情報読取装置においては、コードからの反射光が変換手段に受光され、当該変換手段により反射光はデータに変換される。変換手段により得られたデータは複号手段により復号され、コード情報が読み取られる。復号手段により読み取られたコード情報は通信手段により外部機器に送信される。
【0020】
また、通信手段と外部機器との通信動作に基づいて外部機器と通信手段との接続状態が調査手段により調査される。調査手段の調査結果は、接続情報として表示手段により表示される。このような構成により、使用者は、通信手段が外部機器に接続されているか否かの接続状態を容易に認識することができる。
【0021】
通信手段は、外部機器と通信手段とが接続された場合に、外部機器の固有情報を取得し、表示手段は、通信手段により取得された固有情報を接続情報として表示してもよい。
【0022】
この場合、通信手段により取得された外部機器の固有情報が表示手段により表示されることにより、使用者は携帯するコード情報読取装置と接続された外部機器を特定することができる。
【0023】
固有情報は、固有アドレスおよび信号強度を含んでもよい。この場合、使用者は外部機器の固有アドレスを確認することにより、携帯するコード情報読取装置と接続された外部機器を容易に認識することができ、外部機器からの信号強度を確認することにより、通信手段と外部機器とが良好に通信を行えるか否かについて判断することができる。
【0024】
第2の発明に係るコード情報読取システムは、コンピュータと、コンピュータと通信を行う中継器と、読取対象となるコードからコード情報を読み取るとともに、中継器と通信を行うコード情報読取装置とを備え、コード情報読取装置は、コードからの反射光を受光してデータに変換する変換手段と、変換手段により得られたデータを復号し、コード情報を読み取る復号手段と、中継器との間で通信を行い、復号手段により読み取られたコード情報を中継器を介してコンピュータに送信する通信手段と、通信手段と中継器との通信動作により通信手段と中継器との接続状態および通信手段とコンピュータとの接続状態を調査する調査手段と、調査手段の調査結果に基づいて通信手段と中継器との接続状態を第1の接続情報として表示するとともに、通信手段とコンピュータとの接続状態を第2の接続情報として表示する表示手段とを含むものである。
【0025】
本発明に係るコード情報読取システムにおいては、コードからの反射光がコード情報読取装置の変換手段に受光され、当該変換手段により反射光はデータに変換される。変換手段により得られたデータは復号手段により復号され、コード情報が読み取られる。復号手段により読み取られたコード情報は通信手段により中継器を介してコンピュータに送信される。
【0026】
また、通信手段と中継器との通信動作に基づいて通信手段と中継器との接続状態および通信手段とコンピュータとの接続状態が調査手段により調査される。そして、調査手段の調査結果に基づいて通信手段と中継器との接続状態が第1の接続情報として表示手段により表示されるとともに、通信手段とコンピュータとの接続状態が第2の接続情報として表示される。
【0027】
このような構成により、コード情報読取装置の通信手段がコンピュータと通信することができない場合に、使用者は表示手段により表示される第1および第2の接続情報を確認することによって、通信手段と中継器との間の通信に障害があるのか、または中継器とコンピュータとの間の通信に障害があるのかについて容易に認識することができる。
【0028】
また、コード情報読取装置の通信手段が中継器に接続されたときに、この接続状態が第1の接続情報として表示手段により表示されるため、複数の中継器を用いている場合でも、使用者は通信手段が複数の中継器のうちどの中継器に接続されているかについて知ることが可能となる。
【0029】
それにより、使用者はコード情報読取装置を携帯しながら移動することにより、接続される中継器が他の中継器に切り替わる場所を特定することができる。したがって、中継器の設置場所を適宜変更することによって、特定の中継器への通信負荷が過度となることを防止することができる。
【0030】
通信手段は、通信手段と中継器とが接続された場合に、中継器の固有情報を取得し、表示手段は、取得された固有情報を第1の接続情報として表示してもよい。
【0031】
この場合、通信手段により取得された中継器の固有情報が表示手段により表示されることにより、使用者は携帯するコード情報読取装置と接続された中継器を容易に特定することができる。
【0032】
固有情報は、固有アドレスおよび信号強度を含んでもよい。この場合、使用者は中継器の固有アドレスを確認することにより、携帯するコード情報読取装置と接続された中継器をさらに容易に認識することができ、中継器からの信号強度を確認することにより、通信手段と中継器とが良好に通信を行えるか否かについて判断することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るコード情報読取装置によれば、外部機器との接続状態(接続および非接続)を容易に知ることができる。
【0034】
また、本発明に係るコード情報読取システムによれば、外部機器との接続状態を容易に知ることができ、外部機器への通信負荷を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本実施の形態に係るコード情報読取装置およびコード情報読取システムについて図面を参照しながら説明する。
【0036】
(コード情報読取装置を用いた無線システム)
図1は、本実施の形態に係るコード情報読取装置を用いた無線システムを示す説明図である。図1の説明では、無線システムが工場内に構築されている場合を一例として述べる。
【0037】
本実施の形態に係るコード情報読取装置は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)の規格である例えばIEEE802.11bに準拠した無線機器である。なお、コード情報読取装置は、IEEE802.11aまたはIEEE802.11g等に準拠した無線機器であってもよいし、独自の無線方式を有する無線機器であってもよい。
【0038】
図1に示すように、工場内で複数のコード情報読取装置100が用いられる。このコード情報読取装置は、1次元のバーコードまたは2次元コードからコード情報を読み取るために用いられる。以下、1次元のバーコードおよび2次元コードを総称してコードと呼ぶ。
【0039】
各コード情報読取装置100は、通常時は置き台100a上に載置されている。それにより、各コード情報読取装置100の充電池(図示せず)が充電される。このように、各置き台100aは、充電機能および後述する電力供給機能を有するとともに、後述のホストコンピュータとの間で通信を行う赤外線通信機能も有している。詳細については後述する。
【0040】
工場内には、各コード情報読取装置100および各コード情報読取装置100から送信される情報等を統括的に管理するホストコンピュータ300が設けられている。ホストコンピュータ300はインターネットINTに接続されている。
【0041】
各コード情報読取装置100は、無線通信により上記ホストコンピュータ300との間でデータの送受信を行うことができる。
【0042】
ここで、上記無線システムが構築される工場内の敷地は広範囲であることが通常である。そのため、コード情報読取装置100は、ホストコンピュータ300と大きく離れた場所ではホストコンピュータ300との間で無線通信を行うことが困難である。
【0043】
そこで、ホストコンピュータ300と大きく離れた場所でも、コード情報読取装置100が無線通信を行うことができるように、1または複数のアクセスポイント200を設ける。良好な無線通信を行う上で、アクセスポイント200とコード情報読取装置100との距離は約100m以下であることが好ましい。
【0044】
1または複数のアクセスポイント200は、ホストコンピュータ300に有線LANによりそれぞれ接続されている。有線LANを構築する場合には、LANケーブル400およびハブ(図示せず)を用いる。
【0045】
このような構成により、各コード情報読取装置100は、アクセスポイント200を介して、すなわち、アクセスポイント200との間で無線通信を行うことによりホストコンピュータ300との間で間接的な通信を行うことが可能となる。
【0046】
上記のようなコード情報読取装置100を用いた無線システムにおいて、コード情報読取装置100によるコードの読み取り結果は、アクセスポイント200を介してホストコンピュータ300に転送される。
【0047】
そして、ホストコンピュータ300は、当該ホストコンピュータ300が有するマスターファイルと上記読み取り結果とを比較し、当該比較結果に基づいた所定のコマンドをアクセスポイント200を介してコード情報読取装置100に与える。
【0048】
ここで、規格がIEEE802.11bである場合の無線LANのチャネル数は14チャネルである。すなわち、利用周波数帯である2.400GHz〜2.497GHzの周波数帯において5MHz間隔に14チャネルが割り当てられている。
【0049】
各コード情報読取装置100は、良好に無線通信を行うことができるアクセスポイント200を自動で選択し、当該アクセスポイント200に接続する。すなわち、コード情報読取装置100は、信号強度(電波)が最も強いアクセスポイント200のチャネルを自動で設定する。なお、隣接する複数のアクセスポイント200を用いた場合、電波干渉が生じるため、隣接するアクセスポイント200のチャネルは、可能な限り利用周波数を離して設定することが好ましい。
【0050】
無線システムにおいて、コード情報読取装置100とアクセスポイント200とホストコンピュータ300との間における無線および有線による通信は、いずれもTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコルによって行われる。また、コード情報読取装置100、アクセスポイント200およびホストコンピュータ300にはそれぞれIPアドレスが設定される。
【0051】
なお、無線LANでは、電波の届く範囲内であればどこからでもアクセスすることができる。そのため、部外者からアクセスポイント200およびホストコンピュータ300にアクセスされるおそれがある。これを防止するために、本実施の形態では、SSID(Service Set Identify)と呼ばれるID番号を、全てのアクセスポイント200およびコード情報読取装置100に登録する。このように、通信することが可能な機器を制限することにより、部外者からの不法なアクセスを確実に防止することができる。
【0052】
(コード情報読取装置の外観)
図2は、本実施の形態に係るコード情報読取装置100および置き台100aを示す斜視図である。
【0053】
図2(a)に示すように、コード情報読取装置100は本体部1を有する。この本体部1は、前面に設けられた情報表示部2、表示灯3および入力部4を備える。情報表示部2は例えばLCD(液晶表示ディスプレイ)からなり、表示灯3は例えばLED(発光ダイオード)からなる。
【0054】
上記入力部4は、メニューキー5、コードの撮像を開始するためのトリガーキー6、十字キー7、キャンセルキー8、エンターキー9、テンキー10、複数のファンクションキー11、電源キー12、および本体部1の側面に設けられたサイドトリガーキー13を含む。なお、上記テンキー10は、「0」〜「9」の番号等を示す複数のキーを含む。また、トリガーキー6の機能およびサイドトリガーキー13の機能は同じであり、使用者の便宜によりこれらのキーを使い分けることができる。
【0055】
図2(b)は、コード情報読取装置100を背面側から見た斜視図である。
【0056】
図2(b)に示すように、コード情報読取装置100の背面の上方には、コード読取窓14が設けられている。本体部1の内部には後述する光源およびレーザダイオードが設けられている。この光源から発せられる光およびレーザダイオードから発せられるレーザ光は、上記コード読取窓14を通じてコード上に照射される。
【0057】
また、コード情報読取装置100の背面の下方には、一対の充電用端子15が設けられており、コード情報読取装置100の下端面の中央部には光通信窓(赤外線透過フィルタ)16が設けられている。
【0058】
図2(c)は置き台100aの斜視図である。図2(c)に示すように、置き台100aは一対の充電用端子102を有する。
【0059】
置き台100aにコード情報読取装置100が載置された場合に、コード情報読取装置100の一対の充電用端子15が置き台100aの一対の充電用端子102に電気的に接触することにより、コード情報読取装置100の充電池を充電することができる。なお、置き台100aには、図示しないACアダプタが接続されている。
【0060】
また、置き台100aには、当該置き台100aにコード情報読取装置100が載置されたときに、コード情報読取装置100の光通信窓16が対向する位置に置き台光通信窓101が設けられている。
【0061】
このような構成において、コード情報読取装置100を置き台100a上に載置することにより、コード情報読取装置100はホストコンピュータ300と赤外線通信(IrDA通信)を行うことができる。それにより、コード情報読取装置100は、データをホストコンピュータ300に送信することができ、また、ホストコンピュータ300からの作業指示および品名リスト等の情報および所定のコマンドを受信することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、上記のように、コード情報読取装置100は当該コード情報読取装置100を置き台100aに載置することで、ホストコンピュータ300と赤外線通信を行うことができるが、ホストコンピュータ300との通信方法はこれに限定されるものではない。
【0063】
例えば、置き台100が通信機能を備えず充電機能および電力供給機能のみを備えている場合には、後述するように、コード情報読取装置100はRF通信部60(後の図3に記載)によりホストコンピュータ300との間で無線通信を行うことができる。
【0064】
(コード情報読取装置の内部構成)
図3は、本実施の形態に係るコード情報読取装置100および置き台100aの構成を示すブロック図である。
【0065】
図3に示すように、コード情報読取装置100は、入力部4、一対の充電用端子15、レーザダイオード50、光源51、光学系52、2次元撮像部53、記憶部54、2次元データデコーダ55、表示部56、出力部57、CPU(中央演算処理装置)58、RF通信部60、IrDA部61、受発光素子62および電源回路63を含む。
【0066】
また、置き台100aは、一対の充電用端子102、受発光素子103、インターフェース部104、コネクタ105、電源回路106および電源ポート107を含む。
【0067】
以下、コード情報読取装置100内に設けられた上記各構成部について説明する。
【0068】
光源51、光学系52および2次元撮像部53は、例えばCCD(電荷結合素子)カメラ、CMOS(相補型金属酸化物半導体)センサまたはイメージスキャナにより構成される。なお、CMOSセンサを用いた場合には消費電力を低減することができる。
【0069】
また、記憶部54はメモリからなり、出力部57はブザーおよびバイブレータ等の通信インタフェースからなる。なお、表示部56は上述の情報表示部2および表示灯3を含む。
【0070】
レーザダイオード50は、撮像対象となるコードCを撮像する前に、複数のレーザ光から構成される枠(エーミング)をコードC上に照射する。このエーミング照射により、使用者はコードCの位置を容易に認識することができる。
【0071】
光源51はコードCに光を照射する。光学系52はコードCからの反射光を受光し、2次元撮像部53に与える。なお、光源51を用いて撮像するときは、レーザダイオード50によるエーミング照射を中止する。これは、エーミングが光源51による照射光のムラとなって、撮像の画像品質の低下を発生させることを防止するためである。
【0072】
2次元撮像部53は、光学系52から与えられた光を電気信号に変換し、2次元2値化データとして記憶部54に与える。記憶部54は、2次元撮像部53から与えられた2次元2値化データを記憶する。なお、本実施の形態では、光学系52から与えられた光を2値化しているが、これに限定されず、多値化してもよい。
【0073】
2次元データデコーダ55は、記憶部54に記憶された2次元2値化データをデコードしてコード情報を読み取り、その読み取り結果をCPU58に与える。CPU58は、与えられた上記読み取り結果を表示部56および出力部57に出力する。
【0074】
表示部56の情報表示部2は、CPU58から与えられたコード情報、ならびにコード情報読取装置100とアクセスポイント200との接続状態およびコード情報読取装置100とホストコンピュータ300との接続状態を表示する。詳細については後述する。
【0075】
出力部57は、CPU58から与えられたコード情報をプログラマブルコントローラ等の外部機器に出力することができる。CPU58は、ホストコンピュータ300からRF通信部60を介して与えられるコマンドに基づいてコード情報読取装置100内の各部を制御する。
【0076】
RF通信部60は、ホストコンピュータ300から与えられる種々のコマンドを受信してCPU58に与えるとともに、2次元データデコーダ55によるコード情報の読み取り結果をホストコンピュータ300に送信する。
【0077】
コード情報読取装置100では、上述のように、RF通信部60を用いることによりホストコンピュータ300との間で無線通信を行うことができるが、IrDA部61により赤外線通信を行うこともできる。IrDA部61はCPU58に制御される。
【0078】
赤外線通信が行われる場合には、コード情報読取装置100は置き台100a上に載置される。この場合、受発光素子62はIrDA部61に接続され、コード情報読取装置100の光通信窓16に対向し、受発光素子103は置き台100aの置き台光通信窓101に対向する。
【0079】
コード情報読取装置100内の電源回路63は、一対の充電用端子15に接続され、コード情報読取装置100内の各構成部に電力を供給する。
【0080】
以下、置き台100a内に設けられた上記各構成部について説明する。一対の充電用端子102は、置き台100a内の電源回路106に接続されている。電源回路106は、商用電源に接続されたACアダプタのジャック(図示せず)を受け入れる電源ポート107に接続されている。
【0081】
置き台100a内の受発光素子103は、インターフェース部104に接続されている。インターフェース部104はコネクタ105に接続されている。このコネクタ105は、通信ケーブル(通信規格は、例えばRS232C)を介してホストコンピュータ300に接続される。
【0082】
(接続状態を確認する処理)
次に、コード情報読取装置100とアクセスポイント200と接続状態、およびコード情報読取装置100とホストコンピュータ300との接続状態の確認方法について説明する。
【0083】
これらの接続状態を確認するために、一般的なピング(PING:Packet INternet Groper)を用いる。ピングはコード情報読取装置100のエンターキー9を押下することにより行うことができる。
【0084】
ピングとは、インターネットおよびイントラネット等におけるTCP/IPプロトコルのネットワークシステムを診断するプログラムである。すなわち、当該プログラムにおいては、接続されているか否かについて調査したいコンピュータのIPアドレスを指定し、例えば32バイト程度のデータを当該コンピュータに送信する。そして、当該コンピュータから返信があるか否か、返信がある場合には、返信が届くまでの時間はどの程度かかっているのかについて調査する。
【0085】
図4は、コード情報読取装置100を用いてピング(以下、PINGと称する)を行う場合の情報表示部2の表示内容を示す模式図である。
【0086】
まず、コード情報読取装置100とアクセスポイント200との無線接続を試みる。接続に成功した場合には、コード情報読取装置100は、アクセスポイント200から当該アクセスポイント200のMAC(Media Access Control)アドレス、信号強度およびチャネルを取得する。
【0087】
上記MACアドレスは、イーサネット(登録商標)規格に従うLANにおいて用いられ、アクセスポイント200が有するイーサネット(登録商標)ボード(図示せず)に付いている12桁の固有の物理アドレスである。なお、MACアドレスはハードウェアアドレスとも呼ばれている。
【0088】
続いて、ホストコンピュータ300のIPアドレスを指定する。この場合、図4(a)に示すように、情報表示部2の表示領域2aにホストコンピュータ300のIPアドレスが表示される。使用者は、ホストコンピュータ300のIPアドレスを指定した後、エンターキー9を押下することにより決定(確定)する。
【0089】
次に、使用者はエンターキー9を押下することにより、ホストコンピュータ300に対してPINGを例えば4回行う。その後、図4(b)に示すように、情報表示部2の表示領域2bにPINGの実施結果が表示される。なお、使用者はトリガーキー6を押下することにより後述する図5(b)、図6(b)、図7(b)および図8(b)の表示を見ることができ、キャンセルキー8を押下することにより前画面に戻ることができる。
【0090】
図4(b)の例の場合、1回目のPINGでホストコンピュータ300との接続にかかった時間は210msであり、2回目のPINGでホストコンピュータ300との接続にかかった時間は120msであり、3回目のPINGでホストコンピュータ300との接続にかかった時間は110msである。
【0091】
上記の説明では、コード情報読取装置100がアクセスポイント200との接続およびホストコンピュータ300との接続に成功した場合を述べたが、以下、その他の例について図5〜図8を参照しながら説明する。
【0092】
図5(a)は、コード情報読取装置100がアクセスポイント200に接続できない場合を示す説明図であり、図5(b)は、図5(a)の場合における情報表示部2の表示例を示す模式図である。
【0093】
図5(a)に示すように、コード情報読取装置100がアクセスポイント200に接続できない場合には、図5(b)の表示が情報表示部2において行われる。
【0094】
本例では、情報表示部2の表示領域2cには当該コード情報読取装置100のIPアドレスが表示され、表示領域2dにはアクセスポイント200に接続できないことを示す「×」が表示される。また、表示領域2eにはSSID名、アクセスポイント200のチャネルおよびPING回数が表示される。
【0095】
なお、図5(b)の例では、コード情報読取装置100がアクセスポイント200に接続できないため、表示領域2eにおいてアクセスポイント200のチャネルは表示されていない。また、PING回数は例えば「0/4」のように表示され、当該「0/4」は、4回のPINGを行ったが、ホストコンピュータ300からの応答が全くないこと、またはアクセスポイント200に接続できないために、ホストコンピュータ300に対してPINGを行うことができないことを示している。
【0096】
図6(a)は、コード情報読取装置100がアクセスポイント200に接続できた一方、PINGの結果、ホストコンピュータ300からの応答がない場合を示す説明図であり、図6(b)は、図6(a)の場合における情報表示部2の表示例を示す模式図である。
【0097】
図6(a)に示すように、最初に、コード情報読取装置100はアクセスポイント200との接続を試みる。そして、接続に成功した場合、コード情報読取装置100はアクセスポイント200から当該アクセスポイント200のMACアドレス、信号強度およびチャネルを取得する。
【0098】
ここで、例えばアクセスポイント200から取得した上記信号強度が弱い場合、図6(b)に示すように、情報表示部2の表示領域2dにはアクセスポイント200からの信号強度が弱いことを示す「△」が表示されるとともに、アクセスポイント200のMACアドレス(本例では、123456789012)が表示される。
【0099】
続いて、本例では、コード情報読取装置100を用いてホストコンピュータ300に対してPINGを行う。そして、ホストコンピュータ300からの応答がない場合、上述したように、情報表示部2の表示領域2eにはPING回数として「0/4」が表示される。
【0100】
図7(a)は、コード情報読取装置100がアクセスポイント200に接続でき、かつ、PINGの結果、ホストコンピュータ300からの応答がある場合を示す説明図であり、図7(b)は、図7(a)の場合における情報表示部2の表示例を示す模式図である。
【0101】
図7(a)に示すように、最初に、コード情報読取装置100はアクセスポイント200との接続を試みる。そして、接続に成功した場合、コード情報読取装置100はアクセスポイント200から当該アクセスポイント200のMACアドレス、信号強度およびチャネルを取得する。
【0102】
ここで、例えばアクセスポイント200から取得した上記信号強度が強い場合、図7(b)に示すように、情報表示部2の表示領域2dにはアクセスポイント200からの信号強度が強い(良好である)ことを示す「○」が表示される。
【0103】
次に、本例においても、コード情報読取装置100を用いてホストコンピュータ300に対してPINGを行う。そして、ホストコンピュータ300からの応答がある場合、情報表示部2の表示領域2eには、4回のPINGを行った結果、4回ともホストコンピュータ300から応答があることを示す「4/4」が表示される。
【0104】
図8(a)は、セキュリティ認証に失敗し、コード情報読取装置100がアクセスポイント200に接続できない場合を示す説明図であり、図8(b)は、図8(a)の場合における情報表示部2の表示例を示す模式図である。
【0105】
ここで、上記セキュリティ認証について説明する。本実施の形態では、上述したように、不正アクセスを防止するために、全てのアクセスポイント200およびコード情報読取装置100にSSIDを設定する。SSIDの設定の際には、付随的に暗証番号も設定する。SSIDまたは暗証番号を間違って設定した場合、セキュリティ認証に失敗することとなる。
【0106】
この場合、図8(b)に示すように、情報表示部2の表示領域2dには「認」が表示されるとともに、表示領域2eのSSID表示の左側にセキュリティ認証に失敗したことを示す「×」が表示される。なお、表示領域2eのSSID表示の右側には、当該SSIDのグループ名が表示される。
【0107】
(本実施の形態における効果)
本実施の形態においては、コード情報読取装置100がアクセスポイント200との接続に成功した場合には、コード情報読取装置100の情報表示部2の表示領域2dにアクセスポイント200のMACアドレスが表示される。それにより、使用者はコード情報読取装置100がアクセスポイント200に接続されたことを容易に認識することができる。
【0108】
これにより、コード情報読取装置100がホストコンピュータ300と通信することができない場合に、使用者は、コード情報読取装置100とアクセスポイント200との間に障害があるのか、またはアクセスポイント200とホストコンピュータ300との間に障害があるのかについて容易に認識することができる。
【0109】
また、本実施の形態においては、コード情報読取装置100がアクセスポイント200に接続された場合、当該アクセスポイント200のMACアドレスがコード情報読取装置100の情報表示部2に表示されるため、無線LANにおいて複数のアクセスポイント200を用いている場合でも、使用者はコード情報読取装置100が複数のアクセスポイント200のうちどのアクセスポイント200に接続されているかについて容易に知ることが可能となる。
【0110】
それにより、使用者はコード情報読取装置100を携帯しながら移動することにより、接続されるアクセスポイント200が他のアクセスポイント200に切り替わる場所を特定することができる。したがって、アクセスポイント200の設置場所を適宜変更することによって、特定のアクセスポイント200への通信負荷が過度となることを防止することができる。
【0111】
(その他の実施形態)
光源51、光学系52および2次元撮像部53は、2次元コードを読み取るCCDカメラ、CMOSセンサまたはイメージスキャナにより構成されることとしたが、1次元コードを読み取るCCDカメラ等により構成してもよい。
【0112】
また、本発明に係るコード情報読取装置100は、誘導電磁界または電波によって、非接触で半導体メモリのデータを読み出し、書き込みのために近距離通信を行うRFID(Radio Frequency IDentification)(日本工業規格(JIS)による定義)によるシステムにおいても、適用することができる。
【0113】
(請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係)
本実施の形態においては、アクセスポイント200およびホストコンピュータ300が外部機器に相当し、2次元撮像部53が変換手段に相当し、2次元データデコーダ55が復号手段に相当し、エンターキー9が調査手段に相当し、RF通信部60が通信手段に相当し、情報表示部2が表示手段に相当し、MACアドレスが固有情報、固有アドレスおよび第1の接続情報に相当し、ホストコンピュータ300がコンピュータに相当し、アクセスポイント200が中継器に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明に係るコード情報読取装置は、各種コード情報の読み取り等を行う場合に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本実施の形態に係るコード情報読取装置を用いた無線システムを示す説明図である。
【図2】本実施の形態に係るコード情報読取装置および置き台を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るコード情報読取装置および置き台の構成を示すブロック図である。
【図4】コード情報読取装置を用いてPINGを行う場合の情報表示部の表示内容を示す模式図である。
【図5】(a)はコード情報読取装置がアクセスポイントに接続できない場合を示す説明図であり、(b)は(a)の場合における情報表示部の表示例を示す模式図である。
【図6】(a)はコード情報読取装置がアクセスポイントに接続できた一方、PINGの結果、ホストコンピュータからの応答がない場合を示す説明図であり、(b)は(a)の場合における情報表示部の表示例を示す模式図である。
【図7】(a)はコード情報読取装置がアクセスポイントに接続でき、かつ、PINGの結果、ホストコンピュータからの応答がある場合を示す説明図であり、(b)は(a)の場合における情報表示部の表示例を示す模式図である。
【図8】(a)はセキュリティ認証に失敗し、コード情報読取装置がアクセスポイントに接続できない場合を示す説明図であり、(b)は(a)の場合における情報表示部の表示例を示す模式図である。
【図9】マトリックス2次元コードの一例を示す図である。
【図10】スタック型2次元コードの一例を示す図である。
【図11】セルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0116】
1 本体部
2 情報表示部
2a〜2e 表示領域
3 表示灯
4 入力部
5 メニューキー
6 トリガーキー
9 エンターキー
10 テンキー
13 サイドトリガーキー
14 コード読取窓
50 レーザダイオード
51 光源
52 光学系
53 2次元撮像部
54 記憶部
55 2次元データデコーダ
56 表示部
57 出力部
58 CPU
60 RF通信部
100 コード情報読取装置
100a 置き台
200 アクセスポイント
300 ホストコンピュータ
400 LANケーブル
C コード
INT インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象となるコードからコード情報を読み取るとともに、外部機器と互いに通信を行うコード情報読取装置であって、
コードからの反射光を受光してデータに変換する変換手段と、
前記変換手段により得られたデータを復号し、コード情報を読み取る復号手段と、
前記外部機器との間で通信を行い、前記復号手段により読み取られたコード情報を前記外部機器に送信する通信手段と、
前記通信手段と前記外部機器との通信動作に基づいて前記外部機器と前記通信手段との接続状態を調査する調査手段と、
前記調査手段の調査結果を接続情報として表示する表示手段とを備えたことを特徴とするコード情報読取装置。
【請求項2】
前記通信手段は、前記外部機器と前記通信手段とが接続された場合に、前記外部機器の固有情報を取得し、
前記表示手段は、前記通信手段により取得された前記固有情報を接続情報として表示することを特徴とする請求項1記載のコード情報読取装置。
【請求項3】
前記固有情報は、固有アドレスおよび信号強度を含むことを特徴とする請求項2記載のコード情報読取装置。
【請求項4】
コンピュータと、
前記コンピュータと通信を行う中継器と、
読取対象となるコードからコード情報を読み取るとともに、前記中継器と通信を行うコード情報読取装置とを備え、
前記コード情報読取装置は、
コードからの反射光を受光してデータに変換する変換手段と、
前記変換手段により得られたデータを復号し、コード情報を読み取る復号手段と、
前記中継器との間で通信を行い、前記復号手段により読み取られたコード情報を前記中継器を介して前記コンピュータに送信する通信手段と、
前記通信手段と前記中継器との通信動作に基づいて前記通信手段と前記中継器との接続状態および前記通信手段と前記コンピュータとの接続状態を調査する調査手段と、
前記調査手段の調査結果に基づいて前記通信手段と前記中継器との接続状態を第1の接続情報として表示するとともに、前記通信手段と前記コンピュータとの接続状態を第2の接続情報として表示する表示手段とを含むことを特徴とするコード情報読取システム。
【請求項5】
前記通信手段は、前記通信手段と前記中継器とが接続された場合に、前記中継器の固有情報を取得し、
前記表示手段は、取得された前記固有情報を前記第1の接続情報として表示することを特徴とする請求項4記載のコード情報読取システム。
【請求項6】
前記固有情報は、固有アドレスおよび信号強度を含むことを特徴とする請求項5記載のコード情報読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−48045(P2007−48045A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232010(P2005−232010)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】