説明

コード類巻取り用止め具、コード類巻取り具、およびコード巻取り具付き電機機器

【課題】コード類の端末に取り付けられているイヤホーン部やプラグ類といったコード太さより大きい部品も含めてコード巻取り溝内に収容しつつ適正にコード類の周端部を固定することができるようにする。
【解決手段】コード類の巻芯部とこの巻芯部の端部に設けられたフランジ部とを有して巻芯部外周にコード類収容溝を形成するとともに前記フランジ部の周囲に複数のスリットを形成したコード類巻取り本体を設ける。当該コード類巻取り本体に巻付けられるコード類を挿通するリング部と、このリング部から外側に伸びる線条部と、線条部の端部に設けた止め玉部とを有してなる止め具とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コード類巻取り用止め具、コード類巻取り具、およびコード巻取り具付き電機機器に関する。
【背景技術】
【0002】
イヤホーンや電気コード、あるいはホースなどを巻取り収納するための器具は多種提案されている。これらは、通常、巻芯部の両端にフランジ部を設け、巻芯部にコード類を巻き付けてフランジ部の間の環状溝内に収容するようにしている。このようなコード類巻取り具において問題となるのはコード類の端末処理である。コード類を巻芯部に巻き付けても端末が固定されなければ巻緩みを生じてしまうからである。
【0003】
このようなコード類の端末を巻取り具に保持するために、従来提案されているものとして、特許文献1−3が知られている。特許文献1は巻取り部の端部に取り付けた側板(フランジ部)の周囲に開放溝を複数形成しておき、コード類の周端部を複数の開放溝にS字状に通すことで固定するようにしている。特許文献2はACアダプタの電源プラグと出力コネクタを収容する溝をコード類巻付け溝の一方の側板に形成し、プラグやコネクタが外部に飛び出さないように工夫した構成を開示している。また、特許文献3には、イヤホーンホルダが示され、これはラジオの側面にコード巻取り部となるパイプを設け、パイプの先端を開口させた状態で円盤カバーを取り付けた形態としている。そして、円盤カバーの外周縁に割れ目を形成しておき、パイプにイヤホーンコードを巻きつけた後、スピーカ部分となるイヤホーン部の基部のコードを割れ目に通し、外に出たイヤホーン部をパイプ先端の開口部に収容するような構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−187674号公報
【特許文献2】特開2004−22427号公報
【特許文献3】特開2005−298203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のコード類巻取り具では、コード端末に設けられているイヤホーン部や出力コネクタ・プラグなどはコード類の収容溝の外部から飛び出る形態となり、また、コード類が係止用の溝に通されるためにコード類を屈曲させる必要がある。このような止め方では屈曲部で断線を生じる可能性を否定できない。また、特許文献2のように出力コネクタやプラグなどの形態に合わせた収容凹部を形成しなければ的確に収容できない難点がある。さらに、コード類の長さが決まっていなければ綺麗な形態で巻き終わることができないという欠点がある。
【0006】
本発明は、コード類の端末に取り付けられているイヤホーン部やプラグ類といったコード太さより大きい部品も含めてコード巻取り溝内に収容しつつ適正にコード類の周端部を固定することができるようにしたコード類巻取り用止め具、コード類巻取り具、およびコード巻取り具付き電機機器を提供することを目的とする。また、コード類を屈曲させなくても周端部の固定ができるようにして、屈曲に伴う断線や劣化の問題を生じることのないコード類巻取り用止め具、コード類巻取り具、およびコード巻取り具付き電機機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るコード類巻取り用止め具は、コード類を挿通できるリング部と、このリング部から外側に伸びる線条部と、線条部の端部に設けた止め玉部とを有してなることを特徴としている。前記リング部の一部にコード類の挿入口を開閉可能に形成すればよい。また、リング部に径の絞り機能を持たせるようにすることもできる。
【0008】
また、本発明に係るコード類巻取り具は、コード類の巻芯部とこの巻芯部の端部に設けられたフランジ部とを有して巻芯部外周にコード類収容溝を形成するとともに前記フランジ部の周囲に複数のスリットを形成したコード類巻取り本体と、当該コード類巻取り本体に巻付けられるコード類を挿通するリング部と、このリング部から外側に伸びる線条部と、線条部の端部に設けた止め玉部とを有してなる止め具とからなることを特徴としている。
【0009】
更に、本発明に係るコード巻取り具付き電機機器は、電気機器のコードを巻付け可能なコード類収容溝の側壁部の外周縁に形成された複数のスリットする巻取り本体と、当該コード類巻取り本体に巻付けられる前記コードを挿通するリング部と、このリング部から外側に伸びる線条部と、線条部の端部に設けた止め玉部とを有してなる止め具とを有してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コード類の終端部に止め具を取付け、コード類を巻取り具本体に巻付けた後、その終端部に取り付けた止め具の止め玉部を持って巻取り具のフランジ部に形成したスリットの線条部を引っ掛けることにより、コード類を屈曲させること無くコード類の端末を止め置くことができる。その際、コード類の先端に設けてあるイヤホーン部やプラグ部分などはコード類の収容溝内に収まるため、外部に飛び出さず美観が良くなるとともに、携帯する際の邪魔となることもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係るコード類巻取り具の斜視図と正面図である。
【図2】本実施形態に係るコード類巻取り用止め具の2種の形態を拡大して示す平面図と斜視図である。
【図3】本実施形態に係るコード類巻取り用止め具をイヤホーンコードに取り付けた状態の説明図である。
【図4】本実施形態に係るコード類巻取り用止め具を電気延長コードに取り付けた状態の側面図である。
【図5】本実施形態に係るコード巻取り具付き電機機器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係るコード類巻取り用止め具、コード類巻取り具、およびコード巻取り具付き電機機器の具体的実施形態を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図1−図3は本実施形態に係るコード類巻取り具、コード類巻取り用止め具、並びにコード類巻取り用止め具をイヤホーンコードに取り付けた状態を示している。
【0013】
まず、コード類巻取り用止め具10は、図2(1)に示すように、コード類を挿通できるリング部12と、このリング部12から外側に伸びる線条部14と、線条部14の端部に設けた止め玉部16とを有している。リング部12は高湿樹脂などからなる円形リングであり、その一部にコード挿入口18を形成している。コード挿入口18はリングの一部を切断し、切断端部を若干内側に湾曲させてコード類を内部に導入しやすいように形成している。コードの外縁部に挿入口18を押し付けることで挿入口18を形成している一対の湾曲部20が押し開かれ、リング内部にコードを挿通させた状態にすることで挿入口18がその弾力性により元に戻るように設定すればよい。そして、湾曲部20が存在しているため、コードが一旦挿入された後は、湾局部20の先端がコードに引っ掛かって抜け止め機能が発揮される。
【0014】
また、リング部12の外周部には外方に延在する線条部14が設けられている。線条部14は基部をリング部12と一体に結合し、先端には後述するようにスリットに線条部14を掛止した場合にスリットを抜け出ないような大きさの止め玉部16が形成される。このようなリング部12、線条部14、止め玉部16を有する止め具10は、樹脂により一体成形すればよい。
【0015】
このような止め具10をイヤホーンコード22に取り付けた状態を図3に示している。この図から理解できるように、リング部12はイヤホーンコード22より大きく、コード先端のイヤホーン部24よりは小さくしてイヤホーン部24が抜け出ないサイズに設定されている。したがって、止め玉部16を手で持って引っ張っても一旦イヤホーンコード22に取り付けた後は外れないようになっている。もちろんコード挿入口18を手で開いて取り外すことはできる。
【0016】
図2(2)には止め具の変形例(止め具10A)を示している。リング部は金属ワイヤを円形に渦巻状に巻き付けた多重リング12Aとして形成されている。そして、この多重リング12Aには線条体としてワイヤチェーン16Aを接続し、ワイヤチェーン16Aの先端に止め玉部16Aを連結したものである。コード22の挿入口は多重リング12Aのワイヤ先端をリングから引き離すようにして隙間を形成し、コード22をその隙間に通して多重リング12Aを回転させることで内部に挿通することができる。したがって、コード挿入口はワイヤ先端部分とリング部分の間となる。このような変形例に係る止め具10Aによっても図3に示した形態を採ることができる。
【0017】
上述したコード類巻取り用止め具10(変形例の止め具10Aの場合も同様である。)をイヤホーンコード22に取り付けてコード巻取り本体26に巻きつけるようにしている。コード巻取り本体26は、図1(2)に示しているように、円形ドラム状の巻芯部28と、その両端に設けられたフランジ部30からなり、一対のフランジ部30の間にコード収容溝32が形成される。また、フランジ部30の一方側の外周縁には間隔をおいて、複数のスリット34がその半径方向に向いて形成されている。スリット34は前述した止め具10の線条部14を挿通でき、リング部12や止め玉部16が通らないような切込みである。このようなコード巻取り本体26は樹脂成形によって形成すればよい。
【0018】
このようなコード巻取り本体26に止め具10を取り付けたイヤホーンコード22を巻きつけた状態を図1(1)に示している。図示のように、イヤホーンコード22の端末部分に止め具10を装着した状態でコード22を巻きつけ、イヤホーン部24を巻きつけた状態で、止め具10の止め玉部16を持ち、フランジ部30のスリット34に線条部14を引っ掛けることにより、イヤホーン部24をコード収容溝32に収容した状態でコード端末の保持固定できる。これによって、コード22を屈曲させること無く、またイヤホーン部24を外部に露出させることがない。したがってイヤホーン部24が邪魔になることなく、携帯が可能となる。なお、イヤホーンジャック部分にも同じように止め具10を取り付けるようにしてもよい。
【0019】
図4は電気延長コード36に適用した場合である。一方のプラグ38、ソケット40の基部の電気コード42に止め具10を装着し、電気コードの巻取りに合わせた巻取り本体に巻き取って前述したと同様の方法で巻き取ればよい。
【0020】
図5はラジオのような電気機器44に適用した例である。機器側面に巻芯部46、フランジ部48を取付け、フランジ部48の外周縁に複数のスリット50を形成し、電気機器44に接続されているイヤホーンコード52に止め具10を取り付ければ、同様にイヤホーン部54を収容溝56に収容した状態で端末処理できる。
【符号の説明】
【0021】
10、10A………コード類巻取り用止め具、12………リング部、12A………多重リング、14………線条部、14A………ワイヤチェーン、16、16A………止め玉部、18………コード挿入口、20………湾曲部、22………イヤホーンコード、24………イヤホーン部、26………コード巻取り本体、28………巻芯部、30………フランジ部、32………コード収容溝、34………スリット、36………電気延長コード、38………プラグ、40………ソケット、42………電気コード、44………電気機器、46………巻芯部、48………フランジ部、50………スリット、52………イヤホーンコード、54………イヤホーン部、56………収容溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード類を挿通できるリング部と、このリング部から外側に伸びる線条部と、線条部の端部に設けた止め玉部とを有してなることを特徴とするコード類巻取り用止め具。
【請求項2】
前記リング部の一部にコード類の挿入口を開閉可能に形成したことを特徴とする請求項1に記載のコード類巻取り用止め具。
【請求項3】
リング部に径の絞り機能を持たせたことを特徴とする請求項1に記載のコード類巻取り用止め具。
【請求項4】
コード類の巻芯部とこの巻芯部の端部に設けられたフランジ部とを有して巻芯部外周にコード類収容溝を形成するとともに前記フランジ部の周囲に複数のスリットを形成したコード類巻取り本体と、当該コード類巻取り本体に巻付けられるコード類を挿通するリング部と、このリング部から外側に伸びる線条部と、線条部の端部に設けた止め玉部とを有してなる止め具とからなることを特徴前記リング部の一部にコード類の挿入口を開閉可能に形成したことを特徴とするコード類巻取り具。
【請求項5】
電気機器のコードを巻付け可能なコード類収容溝の側壁部の外周縁に形成された複数のスリットする巻取り本体と、当該コード類巻取り本体に巻付けられる前記コードを挿通するリング部と、このリング部から外側に伸びる線条部と、線条部の端部に設けた止め玉部とを有してなる止め具とを有してなることを特徴コード巻取り具付き電機機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−195546(P2010−195546A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43770(P2009−43770)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(509057028)株式会社いしかわ (2)
【Fターム(参考)】