コーナー用L型擁壁ブロック及びその施工方法
【課題】本発明は、施工時に角埋め部の形成作業を全く必要としないコーナー用L型擁壁ブロックを提供すること。
【解決手段】
本発明のコーナー用L型擁壁ブロックは、底壁部1と、該底壁部1に対して垂直に接合された立壁部2とを備え、立壁部2の側端部に補強用の補強肉盛り部3が一体に設けられている。そして立壁部2の側端部に延長立壁部21が形成され、該延長立壁部21の屈曲角度が直角、或いは鈍角であり、延長立壁部21に補強肉盛り部3が一体に設けられているものである。
【解決手段】
本発明のコーナー用L型擁壁ブロックは、底壁部1と、該底壁部1に対して垂直に接合された立壁部2とを備え、立壁部2の側端部に補強用の補強肉盛り部3が一体に設けられている。そして立壁部2の側端部に延長立壁部21が形成され、該延長立壁部21の屈曲角度が直角、或いは鈍角であり、延長立壁部21に補強肉盛り部3が一体に設けられているものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擁壁ブロックをカーブさせて施工する際に用いられるコーナー用L型擁壁ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路側部の崩れを防止したり、急な斜面の土砂崩れを防止したりする為に標準L型擁壁ブロックが多用されている。
この標準L型擁壁ブロックは底壁部に対して立壁部が垂直に接合された断面L字状のブロック体であって、土地等の有効利用を図る上で効果的な擁壁を効率よく構築することが出来る(特許文献1及び特許文献2参照)。
すなわち、この標準L型擁壁ブロックを基礎コンクリート上に配設し、配設後にコンクリートを用いてその位置を固定するだけで擁壁が出来上がることから、現場で型枠を組み立ててコンクリートを打設して擁壁を構築する場合に比べて極めて効率良い施工が可能である。
【0003】
ところで、この標準L型擁壁ブロックの立壁部は直線状の平坦な形状であるため、擁壁のコーナー部を形成する場合には、現場で切断加工を施したL型擁壁ブロックを複数個組み合わせて施工する必要がある。
【0004】
その具体的な施工方法として、図13を例に説明する。
なお、図では標準L型擁壁ブロックを用いて、擁壁のコーナー部を90°に形成する場合を示している。
先ず、図13(A)に示すように、一方の標準L型擁壁ブロックBの底壁部の右側を約45°に切断し、もう一方の標準L型擁壁ブロックの底壁部の左側を同じく約45°に切断する。
そして立壁部同士及び底壁部同士を当接させる。
【0005】
次に図13(B)に示すように、二つの標準L型擁壁ブロックB,Bを連結するために、二つの底壁部全体に渡ってコンクリートを打設し、擁壁ブロック載置部4を水平に形成し、養生させる。
【0006】
打設したコンクリートが完全に硬化したら、図13(C)に示すように、二つの立壁部の間に形成された間隙部を前後に囲むようにして枠体である角枠Kを配置する。
そしてこの角枠Kで囲まれた空間にコンクリートを流し込む。このようにして、間隙部は埋められ、二つの標準L型擁壁ブロックB,Bの立壁部の隅に立壁部とほぼ同じ高さまで角埋め部31が形成される。
【0007】
角埋め部31が養生して完全に硬化したら、図13(D)に示すように角枠Kを外して、標準L型擁壁ブロックの施工が完了する。
【0008】
ところで、一般にコーナー部(すなわち角部)には、土砂等の荷重が集中して加わり、対向した2つの立壁部を相互に離させようとする力、いわゆる離反力が発生する。
その結果,両立壁部間に空隙が生じ或いはこの部分から立壁部が破損し、土砂が流出する。
しかし上記のような角埋め部31を施工時に形成することで、このような問題が解決される。
すなわち角埋め部31がコーナー部の補強効果を発揮するのである。
【特許文献1】特開平9−125420号公報
【特許文献2】特開平10−292398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のような、角埋め部31の形成作業は、施工現場では必須であるが、角枠を使うことから作業自体が煩雑である。
その上、コンクリートが養生するための時間を必要とするため、擁壁ブロックの施工効率を著しく損ね、施工コスト増加の要因の一つともなっている。
【0010】
本発明は以上の課題を解決すべく開発されたものである。
すなわち、本発明は、施工時に角埋め部の形成作業を全く必要としないコーナー用L型擁壁ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、以上のような課題背景をもとに鋭意研究を重ねた結果、補強肉盛り部を予めコーナー用L型擁壁ブロックに形成しておくことで上記のような問題点を解決できることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0012】
すなわち本発明は、(1)、底壁部と、該底壁部に対して垂直に接合された立壁部と、を備えるコーナー用L型擁壁ブロックであって、前記立壁部の側端部に補強用の補強肉盛り部が一体に設けられていることを特徴とするコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0013】
また本発明は、(2)、前記立壁部の側端部に延長立壁部が形成され、該延長立壁部の屈曲角度が直角であり、該延長立壁部に補強肉盛り部が一体に設けられている上記(1)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0014】
また本発明は、(3)、前記立壁部の側端部に延長立壁部が形成され、該延長立壁部の屈曲角度が鈍角であり、該延長立壁部に補強肉盛り部が一体に設けられている上記(1)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0015】
また本発明は、(4)、前記延長立壁部が立壁部の側端部から曲面状に形成されている上記(2)又は(3)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0016】
また本発明は、(5)、前記延長立壁部が立壁部の側端部から角状に形成されている上記(2)又は(3)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0017】
また本発明は、(6)、前記補強肉盛り部が延長立壁部の端面と面一である上記(1)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0018】
また本発明は、(7)、前記補強肉盛り部の上端面の位置が、前記立壁部の上端面の位置よりも一定距離下がっている上記(1)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0019】
また本発明は、(8)、前記底壁部の補強肉盛り部側が切り欠かれている上記(1)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0020】
また本発明は、(9)、上記(1)〜(8)のいずれか1項記載のコーナー用L型擁壁ブロックを使ったコーナー施工方法であって、コーナー用L型擁壁ブロックの延長立壁部に標準L型擁壁ブロックの立壁部を当接させるコーナー施工方法に存する。
【0021】
なお、本発明の目的に添ったものであれば上記の発明を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明のコーナー用L型擁壁ブロックによれば、立壁部の側端部に補強用の補強肉盛り部が一体に設けられているため、立壁部自体が補強され、施工時に敢えて補強作業を行う必要がない。
したがって、擁壁の施工を行なう際の作業効率が向上し、施工コストが低減される。
本発明のコーナー用L型擁壁ブロックによれば、立壁部の側端部に延長立壁部が形成され、該延長立壁部の屈曲角度が直角或いは鈍角であることにより、コーナー用L型擁壁ブロックにおける立壁部の突き合わせ位置が角部から外れた位置になり、二つの立壁部の間に発生する離反力を極力少なくすることができる。
本発明のコーナー用L型擁壁によれば、補強肉盛り部の上端面の位置が、前記立壁部の上端面の位置よりも一定距離下がっていることにより、擁壁形成後、土砂等により補強肉盛り部の上面が覆われて露出しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0024】
(第1の実施形態)
本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックは、擁壁のコーナー部(すなわち角部)を形成する部分に用いられるものである(図1参照)。
本発明のコーナー用L型擁壁ブロックAには、予め補強用の補強肉盛り部3が設けられている。
そのため、従来の標準L型擁壁ブロックとは異なり、施工時に擁壁ブロックに補強肉盛り部を形成する作業を全く必要としない。
結果的に、擁壁ブロックの施工効率が大きく向上し、施工コストが低減される。
【0025】
次に、コーナー用L型擁壁ブロックAについて具体的に説明する。
図2(A)は本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックAを示す平面図であり、図2(B)は本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックAを示す斜視図である。
図2に示すように、本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックAは、底壁部1と、立壁部2と、該立壁部2の側端部に一体に設けられ立壁部2を補強するための補強肉盛り部3と、を備え、断面L字状のブロック体となっている。
【0026】
底壁部1は、地面に打設した基礎コンクリートの上に載置される部分であり、通常、立壁部2と垂直である。
底壁部1の横幅は、延長立壁部21を含む立壁部2の横幅より短く、いわゆる底壁部1の側端部が切り欠かれた状態となっている。
このように切り欠き部Sを形成することにより、後述する第2の施工方法において、標準L型擁壁ブロックBの立壁部2とコーナー用L型擁壁ブロックAの立壁部2とを接合させる際に、この切り欠き部Sに標準L型擁壁ブロックBの立壁部2を嵌め込んで、コーナー用L型擁壁ブロックAの底壁部1との接触を逃がすことができる。
そのため、この切り欠き部Sは少なくとも標準L型擁壁ブロックBの立壁部2の厚みよりも大きく、且つ底壁部1の強度低下し過ぎない程度の大きさに形成されている。
【0027】
立壁部2の側端部には、該立壁部の側端部から曲面状に形成され、且つ直角に屈折しながら立壁部2を延長するように形成された延長立壁部21が設けられている。
なお、後述するように、この延長立壁部21の屈曲度合い(すなわち曲げ度合い)は、製造時の型枠の変更により、任意に設定することが可能であり、屈曲度合いの異なるコーナー用L型擁壁ブロックAの製造が可能である。
施工場所の状況や、施工のレイアウト等に合わせて最適なものを選ぶことができる。
本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックAにおいては、延長立壁部21が直角で屈折しているため、直角のコーナー部を有する擁壁の施工に使われる。
【0028】
補強肉盛り部3は、コーナー用L型擁壁ブロックAの製造段階において、既に延長立壁部21と一体に形成されているので、立壁部2の突き合わせ位置が角部(隅部)から外れた位置となっている。
そのため施工状態において当接させた二つの立壁部2の離反力を極力少なくすることができる。
したがって、コーナー用L型擁壁ブロックAに加わった土砂等の荷重や衝撃等により立壁部2の突き合わせ部分が離反するようなことが防止される。
また確実に延長立壁部21自体が補強される。
更にまた、補強肉盛り部3は底壁部1とも一部一体化しているため、底壁部1に対する補強効果もある。
【0029】
補強肉盛り部3の端面は延長立壁部21の端面と面一になっており、後述するように、標準L型擁壁ブロックとコーナー用L型擁壁ブロックAとを当接させる際に案内部となり、接合作業が極めて円滑に行なわれる。
【0030】
さらに、補強肉盛り部3の上端面の位置は、立壁部2の上端面の位置よりも一定距離下がって形成されている。
補強肉盛り部3の上端面の位置を一定距離下げることにより、コーナー用L型擁壁ブロックAを埋めたときにこれが表面に露出しない。
すなわち立壁部2の上端面のラインだけが露出し見栄えがよくなる利点がある。
【0031】
(第1の施工方法)
次に、コーナー用L型擁壁ブロックAの施工方法について説明する。
このコーナー用L型擁壁ブロックAは、主として、一定高さの土盛りを行った場合の擁壁を形成するために使われ、特にコーナー部に有効である(図1参照)。
先ず、標準L型擁壁ブロックB(直線部分対応用のL型擁壁ブロック)及びコーナー用L型擁壁ブロックAが安定且つ水平な状態で載置されるように、施工予定箇所全体に基礎コンクリートを打設し(図示略)、養生させる。
次に、図3(A)に示すように、コーナー用L型擁壁ブロックAを施工設計図等に則って所定の箇所に配置する。
【0032】
コーナー用L型擁壁ブロックAの位置を固定したら、次に図3(B)に示すように標準L型擁壁ブロックBの底壁部1とほぼ同じ面積のコンクリートあるいはモルタル、又はコンクリートとモルタルの両方を打設し擁壁ブロック載置部4を水平に形成する。
この場合、通常、型枠を用いて打設する。
擁壁ブロック載置部4は補強肉盛り部3の周囲を取り囲むように形成される。
【0033】
後述するように、擁壁ブロック載置部4に標準L型擁壁ブロックBを載置した状態で、標準L型擁壁ブロックBとコーナー用L型擁壁ブロックAとを接合するので、擁壁ブロック載置部4を形成する際は、コーナー用L型擁壁ブロックAの底壁部1に形成された切り欠き部は埋められる。
ここで、擁壁ブロック載置部4の高さに関しては特に限定されるものではないが、コーナー用L型擁壁ブロックAの底壁部1と、擁壁ブロック載置部4の底壁部1との間に過剰な高さの段差が形成されないようにする。
すなわち擁壁ブロック載置部4の高さは、施工コスト、養生期間等の観点から、少なくとも標準L型擁壁ブロックBを安定して載置できる高さでよい。
【0034】
打設したコンクリートを養生させて擁壁ブロック載置部4が完全に硬化したら、そこに標準L型擁壁ブロックBを載置し、該標準L型擁壁ブロックBの立壁部側端面と、コーナー用L型擁壁ブロックAの延長立壁部21の側端面とを当接させる(図3(C)参照)。
なお、コーナー用L型擁壁ブロックAと、標準L型擁壁ブロックBとの金具を使った確実な連結方法については後述する。
【0035】
標準L型擁壁ブロックBを接合する際には、コーナー用L型擁壁ブロックAの立壁部2の上端面と、標準L型擁壁ブロックBの立壁部2の上端面とを面一にすることが好ましいので、コーナー用L型擁壁ブロックAの立壁部2よりも、擁壁ブロック載置部4の高さの分だけ低い立壁部を有する標準L型擁壁ブロックBを用いるとよい。
以上によりコーナー用L型擁壁ブロックAの施工が完了する。
【0036】
なおこの後、順次、標準L型擁壁ブロックBを延長させて接合していく際には、擁壁ブロック載置部4を形成しないで、直接、基礎コンクリートの上に擁壁ブロック載置部4の高さだけ高い立壁部を有する標準L型擁壁ブロックBを載置していくことが施工効率上、好ましい。
もっとも擁壁ブロック載置部4を延長して形成し、その上に標準L型擁壁ブロックBを載置することも当然可能である。
またコーナー用L型擁壁ブロック側に標準L型擁壁ブロックBを延長させて接合していく際には、基礎コンクリート上にコーナー用L型擁壁ブロックと立壁部2の高さの同じ標準L型擁壁ブロックBを載置していく。
【0037】
(第2の施工方法)
次に、コーナー用L型擁壁ブロックAの別の施工方法を説明する。この施工方法は、標準L型擁壁ブロックBの上にコーナー用L型擁壁ブロックAを置く方法である。
事情により第1の施工方法のようにコーナー用L型擁壁ブロックAの上に標準L型擁壁ブロックBを載置できない場合に用いられる施工方法である。
先ず、第1の施工方法のときと同様に、コーナー用L型擁壁ブロックA及び標準L型擁壁ブロックBの安定的且つ水平な載置を実現するために、擁壁ブロック施工予定箇所全体に基礎コンクリートを打設する。
【0038】
打設した基礎コンクリートを養生させて、完全に硬化させたら、次に図4(A)に示すように、標準L型擁壁ブロックBを基礎コンクリート上に配置する。
標準L型擁壁ブロックBの位置を固定したら、次に図4(B)に示すように、コーナー用L型擁壁ブロックAの底壁部1とほぼ同じ面積のコンクリートあるいはモルタル、又はコンクリートとモルタルの両方を打設し、擁壁ブロック載置部4を水平に形成する。
この場合も、前述した第1の施工方法と同じく、形成された擁壁ブロック載置部4が水平になり、そこにコーナー用L型擁壁ブロックAを安定的に載置できるようにコンクリートを打設すればよい。
【0039】
またこの擁壁ブロック載置部4の高さに関しても、前述した第1の施工方法のように考えてよい。
【0040】
打設したコンクリートを養生させて擁壁ブロック載置部4が完全に硬化したら、そこにコーナー用L型擁壁ブロックAを載置し、その延長立壁部21の側端面と標準L型擁壁ブロックBの立壁部側端面とを当接させる。(図4(C)参照)。
この場合、コーナー用L型擁壁ブロックAの立壁部2の上端面と、標準L型擁壁ブロックBの立壁部の上端面とを面一にすることが好ましいので、コーナー用L型擁壁ブロックAの立壁部2よりも、擁壁ブロック載置部4の高さの分だけ低い立壁部を有するコーナー用L型擁壁ブロックAを用いるとよい。
以上によりコーナー用L型擁壁ブロックAの施工が完了する。
【0041】
次に、擁壁ブロック同士を確実に連結する方法について説明する。コーナー用L型擁壁ブロックAと標準L型擁壁ブロックBとを当接させるが、コーナー用L型擁壁ブロックAと標準L型擁壁ブロックBとは、極力、相互にズレないように連結した方が好ましい。
そのため、各立壁部同士を、連結具等を用いて連結する。その連結手段の例を以下に示す。
【0042】
図5は、接合プレート5を用いる方法である。
先ず、図5(A)に示すようにコーナー用L型擁壁ブロックAと、標準L型擁壁ブロックBとを当接させた後、90°に折り曲げられた金属製の接合プレート5を、コーナー用L型擁壁ブロックAと標準L型擁壁ブロックBとの接合部に当接させる。
次に、図5(B)に示すように、接合プレート5に形成された貫通孔を通して、各擁壁ブロックに形成された固定孔P(インサート雌体により形成されている)に締結ボルトNをネジ込んで締め付ける。
これにより、コーナー用L型擁壁ブロックAと標準L型擁壁ブロックBとは接合プレート5を介して確実に連結される。
なおこのとき、接合プレート5には、長孔51が形成されているので、位置合わせが簡単である。
【0043】
図6は、一方の擁壁ブロックに埋め込まれたコの字型金具5Aを介して連結する方法である。
一方の標準L型擁壁ブロックBにコの字型金具5Aを埋め込んでおく。
また、このコの字型金具5Aの中央位置に相当する部分の標準L型擁壁ブロックBに空間S1を形成しておく。
そして標準L型擁壁ブロックBとコーナー用L型擁壁ブロックAとを当接させ、締結ボルトNをコの字型金具の孔5A1を通してコーナー用L型擁壁ブロックAの固定孔P(インサート雌体により形成されている)にネジ込み締め付けると、コーナー用L型擁壁ブロックAと標準L型擁壁ブロックBとは確実に連結される。
なお、締結ボルトNのネジ込みは、上述の空間S1内に指を入れることで操作が容易に行われる。
【0044】
以上、本発明をその一実施形態を例に説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、延長立壁部の形状は擁壁ブロックの施工内容に応じてその製造段階で適宜変更することが可能である。
【0045】
例えば、図7に示すように、延長立壁部3の形状を角状に且つ直角に屈曲したような形状にすることができる。
延長立壁部3の形状をこのようにすることで、擁壁のコーナー部を鋭く見せることができる。
【0046】
図8は、擁壁の直角のコーナー部の施工状態を示しており、上述の第1の施工方法に相当する。
【0047】
また、図9に示すように、延長立壁部21が立壁部2の側端部から曲面状に形成されおり、且つ該延長立壁部21の屈曲角度を鈍角とすることができる。
【0048】
図10は、擁壁のなだらかな鈍角のコーナー部の施工状態を示しており、上述の第1の施工方法に相当する。
【0049】
また、図11に示すように、延長立壁部21が立壁部2の側端部から角状に形成されおり、且つ該延長立壁部21の屈曲角度を鈍角とすることができる。
【0050】
図12は、擁壁の鈍角のコーナー部の施工状態を示しており、上述の第1の施工方法に相当する。
また、図示しないが、延長立壁部の屈曲角度を鋭角にすることも当然可能である。
また、図示しないが、L型擁壁の底壁部を図示しているような先端に向けてテーパーをつけた形状だけでなく、底壁部を等厚とすることも出来る。
そして底壁部が等厚のL型擁壁の上にコンクリート或いはモルタル、又はコンクリートとモルタルの両方を打設した場合、擁壁ブロック載置部4を形成するためのコンクリートあるいはモルタル、又はコンクリートとモルタルの両方の使用量を大幅に減らすことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックの使用状態の一例を示す説明図である。
【図2】図2は、本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックを示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図3】図3は、コーナー用L型擁壁ブロックの施工方法の一例を示す説明図である。
【図4】図4は、コーナー用L型擁壁ブロックの施工方法の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、コーナー用L型擁壁ブロックと、標準L型擁壁ブロックと、を連結する方法の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、コーナー用L型擁壁ブロックと、標準L型擁壁ブロックと、を連結する方法の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、コーナー用L型擁壁ブロックの別の実施形態を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図8】図8は、図7に示したコーナー用L型擁壁ブロックの施工状態を示す説明図である。
【図9】図9は、コーナー用L型擁壁ブロックの別の実施形態を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図10】図10は、図9に示したコーナー用L型擁壁ブロックの施工状態を示す説明図である。
【図11】図11は、コーナー用L型擁壁ブロックの別の実施形態を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図12】図12は、図11に示したコーナー用L型擁壁ブロックの施工状態を示す説明図である。
【図13】図13は、従来の標準L型擁壁ブロックの施工工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・底壁部
2・・・立壁部
21・・・延長立壁部
3・・・補強肉盛り部
31・・・角埋め部
4・・・擁壁ブロック載置部
5・・・接合プレート
51・・・長孔
5A・・・コの字型金具
5A1・・・コの字型金具の孔
A・・・コーナー用L型擁壁ブロック
B・・・標準L型擁壁ブロック
N・・・締結ボルト
P・・・固定孔
S・・・切り欠き部
S1・・・空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、擁壁ブロックをカーブさせて施工する際に用いられるコーナー用L型擁壁ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路側部の崩れを防止したり、急な斜面の土砂崩れを防止したりする為に標準L型擁壁ブロックが多用されている。
この標準L型擁壁ブロックは底壁部に対して立壁部が垂直に接合された断面L字状のブロック体であって、土地等の有効利用を図る上で効果的な擁壁を効率よく構築することが出来る(特許文献1及び特許文献2参照)。
すなわち、この標準L型擁壁ブロックを基礎コンクリート上に配設し、配設後にコンクリートを用いてその位置を固定するだけで擁壁が出来上がることから、現場で型枠を組み立ててコンクリートを打設して擁壁を構築する場合に比べて極めて効率良い施工が可能である。
【0003】
ところで、この標準L型擁壁ブロックの立壁部は直線状の平坦な形状であるため、擁壁のコーナー部を形成する場合には、現場で切断加工を施したL型擁壁ブロックを複数個組み合わせて施工する必要がある。
【0004】
その具体的な施工方法として、図13を例に説明する。
なお、図では標準L型擁壁ブロックを用いて、擁壁のコーナー部を90°に形成する場合を示している。
先ず、図13(A)に示すように、一方の標準L型擁壁ブロックBの底壁部の右側を約45°に切断し、もう一方の標準L型擁壁ブロックの底壁部の左側を同じく約45°に切断する。
そして立壁部同士及び底壁部同士を当接させる。
【0005】
次に図13(B)に示すように、二つの標準L型擁壁ブロックB,Bを連結するために、二つの底壁部全体に渡ってコンクリートを打設し、擁壁ブロック載置部4を水平に形成し、養生させる。
【0006】
打設したコンクリートが完全に硬化したら、図13(C)に示すように、二つの立壁部の間に形成された間隙部を前後に囲むようにして枠体である角枠Kを配置する。
そしてこの角枠Kで囲まれた空間にコンクリートを流し込む。このようにして、間隙部は埋められ、二つの標準L型擁壁ブロックB,Bの立壁部の隅に立壁部とほぼ同じ高さまで角埋め部31が形成される。
【0007】
角埋め部31が養生して完全に硬化したら、図13(D)に示すように角枠Kを外して、標準L型擁壁ブロックの施工が完了する。
【0008】
ところで、一般にコーナー部(すなわち角部)には、土砂等の荷重が集中して加わり、対向した2つの立壁部を相互に離させようとする力、いわゆる離反力が発生する。
その結果,両立壁部間に空隙が生じ或いはこの部分から立壁部が破損し、土砂が流出する。
しかし上記のような角埋め部31を施工時に形成することで、このような問題が解決される。
すなわち角埋め部31がコーナー部の補強効果を発揮するのである。
【特許文献1】特開平9−125420号公報
【特許文献2】特開平10−292398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のような、角埋め部31の形成作業は、施工現場では必須であるが、角枠を使うことから作業自体が煩雑である。
その上、コンクリートが養生するための時間を必要とするため、擁壁ブロックの施工効率を著しく損ね、施工コスト増加の要因の一つともなっている。
【0010】
本発明は以上の課題を解決すべく開発されたものである。
すなわち、本発明は、施工時に角埋め部の形成作業を全く必要としないコーナー用L型擁壁ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、以上のような課題背景をもとに鋭意研究を重ねた結果、補強肉盛り部を予めコーナー用L型擁壁ブロックに形成しておくことで上記のような問題点を解決できることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0012】
すなわち本発明は、(1)、底壁部と、該底壁部に対して垂直に接合された立壁部と、を備えるコーナー用L型擁壁ブロックであって、前記立壁部の側端部に補強用の補強肉盛り部が一体に設けられていることを特徴とするコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0013】
また本発明は、(2)、前記立壁部の側端部に延長立壁部が形成され、該延長立壁部の屈曲角度が直角であり、該延長立壁部に補強肉盛り部が一体に設けられている上記(1)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0014】
また本発明は、(3)、前記立壁部の側端部に延長立壁部が形成され、該延長立壁部の屈曲角度が鈍角であり、該延長立壁部に補強肉盛り部が一体に設けられている上記(1)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0015】
また本発明は、(4)、前記延長立壁部が立壁部の側端部から曲面状に形成されている上記(2)又は(3)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0016】
また本発明は、(5)、前記延長立壁部が立壁部の側端部から角状に形成されている上記(2)又は(3)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0017】
また本発明は、(6)、前記補強肉盛り部が延長立壁部の端面と面一である上記(1)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0018】
また本発明は、(7)、前記補強肉盛り部の上端面の位置が、前記立壁部の上端面の位置よりも一定距離下がっている上記(1)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0019】
また本発明は、(8)、前記底壁部の補強肉盛り部側が切り欠かれている上記(1)記載のコーナー用L型擁壁ブロックに存する。
【0020】
また本発明は、(9)、上記(1)〜(8)のいずれか1項記載のコーナー用L型擁壁ブロックを使ったコーナー施工方法であって、コーナー用L型擁壁ブロックの延長立壁部に標準L型擁壁ブロックの立壁部を当接させるコーナー施工方法に存する。
【0021】
なお、本発明の目的に添ったものであれば上記の発明を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明のコーナー用L型擁壁ブロックによれば、立壁部の側端部に補強用の補強肉盛り部が一体に設けられているため、立壁部自体が補強され、施工時に敢えて補強作業を行う必要がない。
したがって、擁壁の施工を行なう際の作業効率が向上し、施工コストが低減される。
本発明のコーナー用L型擁壁ブロックによれば、立壁部の側端部に延長立壁部が形成され、該延長立壁部の屈曲角度が直角或いは鈍角であることにより、コーナー用L型擁壁ブロックにおける立壁部の突き合わせ位置が角部から外れた位置になり、二つの立壁部の間に発生する離反力を極力少なくすることができる。
本発明のコーナー用L型擁壁によれば、補強肉盛り部の上端面の位置が、前記立壁部の上端面の位置よりも一定距離下がっていることにより、擁壁形成後、土砂等により補強肉盛り部の上面が覆われて露出しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0024】
(第1の実施形態)
本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックは、擁壁のコーナー部(すなわち角部)を形成する部分に用いられるものである(図1参照)。
本発明のコーナー用L型擁壁ブロックAには、予め補強用の補強肉盛り部3が設けられている。
そのため、従来の標準L型擁壁ブロックとは異なり、施工時に擁壁ブロックに補強肉盛り部を形成する作業を全く必要としない。
結果的に、擁壁ブロックの施工効率が大きく向上し、施工コストが低減される。
【0025】
次に、コーナー用L型擁壁ブロックAについて具体的に説明する。
図2(A)は本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックAを示す平面図であり、図2(B)は本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックAを示す斜視図である。
図2に示すように、本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックAは、底壁部1と、立壁部2と、該立壁部2の側端部に一体に設けられ立壁部2を補強するための補強肉盛り部3と、を備え、断面L字状のブロック体となっている。
【0026】
底壁部1は、地面に打設した基礎コンクリートの上に載置される部分であり、通常、立壁部2と垂直である。
底壁部1の横幅は、延長立壁部21を含む立壁部2の横幅より短く、いわゆる底壁部1の側端部が切り欠かれた状態となっている。
このように切り欠き部Sを形成することにより、後述する第2の施工方法において、標準L型擁壁ブロックBの立壁部2とコーナー用L型擁壁ブロックAの立壁部2とを接合させる際に、この切り欠き部Sに標準L型擁壁ブロックBの立壁部2を嵌め込んで、コーナー用L型擁壁ブロックAの底壁部1との接触を逃がすことができる。
そのため、この切り欠き部Sは少なくとも標準L型擁壁ブロックBの立壁部2の厚みよりも大きく、且つ底壁部1の強度低下し過ぎない程度の大きさに形成されている。
【0027】
立壁部2の側端部には、該立壁部の側端部から曲面状に形成され、且つ直角に屈折しながら立壁部2を延長するように形成された延長立壁部21が設けられている。
なお、後述するように、この延長立壁部21の屈曲度合い(すなわち曲げ度合い)は、製造時の型枠の変更により、任意に設定することが可能であり、屈曲度合いの異なるコーナー用L型擁壁ブロックAの製造が可能である。
施工場所の状況や、施工のレイアウト等に合わせて最適なものを選ぶことができる。
本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックAにおいては、延長立壁部21が直角で屈折しているため、直角のコーナー部を有する擁壁の施工に使われる。
【0028】
補強肉盛り部3は、コーナー用L型擁壁ブロックAの製造段階において、既に延長立壁部21と一体に形成されているので、立壁部2の突き合わせ位置が角部(隅部)から外れた位置となっている。
そのため施工状態において当接させた二つの立壁部2の離反力を極力少なくすることができる。
したがって、コーナー用L型擁壁ブロックAに加わった土砂等の荷重や衝撃等により立壁部2の突き合わせ部分が離反するようなことが防止される。
また確実に延長立壁部21自体が補強される。
更にまた、補強肉盛り部3は底壁部1とも一部一体化しているため、底壁部1に対する補強効果もある。
【0029】
補強肉盛り部3の端面は延長立壁部21の端面と面一になっており、後述するように、標準L型擁壁ブロックとコーナー用L型擁壁ブロックAとを当接させる際に案内部となり、接合作業が極めて円滑に行なわれる。
【0030】
さらに、補強肉盛り部3の上端面の位置は、立壁部2の上端面の位置よりも一定距離下がって形成されている。
補強肉盛り部3の上端面の位置を一定距離下げることにより、コーナー用L型擁壁ブロックAを埋めたときにこれが表面に露出しない。
すなわち立壁部2の上端面のラインだけが露出し見栄えがよくなる利点がある。
【0031】
(第1の施工方法)
次に、コーナー用L型擁壁ブロックAの施工方法について説明する。
このコーナー用L型擁壁ブロックAは、主として、一定高さの土盛りを行った場合の擁壁を形成するために使われ、特にコーナー部に有効である(図1参照)。
先ず、標準L型擁壁ブロックB(直線部分対応用のL型擁壁ブロック)及びコーナー用L型擁壁ブロックAが安定且つ水平な状態で載置されるように、施工予定箇所全体に基礎コンクリートを打設し(図示略)、養生させる。
次に、図3(A)に示すように、コーナー用L型擁壁ブロックAを施工設計図等に則って所定の箇所に配置する。
【0032】
コーナー用L型擁壁ブロックAの位置を固定したら、次に図3(B)に示すように標準L型擁壁ブロックBの底壁部1とほぼ同じ面積のコンクリートあるいはモルタル、又はコンクリートとモルタルの両方を打設し擁壁ブロック載置部4を水平に形成する。
この場合、通常、型枠を用いて打設する。
擁壁ブロック載置部4は補強肉盛り部3の周囲を取り囲むように形成される。
【0033】
後述するように、擁壁ブロック載置部4に標準L型擁壁ブロックBを載置した状態で、標準L型擁壁ブロックBとコーナー用L型擁壁ブロックAとを接合するので、擁壁ブロック載置部4を形成する際は、コーナー用L型擁壁ブロックAの底壁部1に形成された切り欠き部は埋められる。
ここで、擁壁ブロック載置部4の高さに関しては特に限定されるものではないが、コーナー用L型擁壁ブロックAの底壁部1と、擁壁ブロック載置部4の底壁部1との間に過剰な高さの段差が形成されないようにする。
すなわち擁壁ブロック載置部4の高さは、施工コスト、養生期間等の観点から、少なくとも標準L型擁壁ブロックBを安定して載置できる高さでよい。
【0034】
打設したコンクリートを養生させて擁壁ブロック載置部4が完全に硬化したら、そこに標準L型擁壁ブロックBを載置し、該標準L型擁壁ブロックBの立壁部側端面と、コーナー用L型擁壁ブロックAの延長立壁部21の側端面とを当接させる(図3(C)参照)。
なお、コーナー用L型擁壁ブロックAと、標準L型擁壁ブロックBとの金具を使った確実な連結方法については後述する。
【0035】
標準L型擁壁ブロックBを接合する際には、コーナー用L型擁壁ブロックAの立壁部2の上端面と、標準L型擁壁ブロックBの立壁部2の上端面とを面一にすることが好ましいので、コーナー用L型擁壁ブロックAの立壁部2よりも、擁壁ブロック載置部4の高さの分だけ低い立壁部を有する標準L型擁壁ブロックBを用いるとよい。
以上によりコーナー用L型擁壁ブロックAの施工が完了する。
【0036】
なおこの後、順次、標準L型擁壁ブロックBを延長させて接合していく際には、擁壁ブロック載置部4を形成しないで、直接、基礎コンクリートの上に擁壁ブロック載置部4の高さだけ高い立壁部を有する標準L型擁壁ブロックBを載置していくことが施工効率上、好ましい。
もっとも擁壁ブロック載置部4を延長して形成し、その上に標準L型擁壁ブロックBを載置することも当然可能である。
またコーナー用L型擁壁ブロック側に標準L型擁壁ブロックBを延長させて接合していく際には、基礎コンクリート上にコーナー用L型擁壁ブロックと立壁部2の高さの同じ標準L型擁壁ブロックBを載置していく。
【0037】
(第2の施工方法)
次に、コーナー用L型擁壁ブロックAの別の施工方法を説明する。この施工方法は、標準L型擁壁ブロックBの上にコーナー用L型擁壁ブロックAを置く方法である。
事情により第1の施工方法のようにコーナー用L型擁壁ブロックAの上に標準L型擁壁ブロックBを載置できない場合に用いられる施工方法である。
先ず、第1の施工方法のときと同様に、コーナー用L型擁壁ブロックA及び標準L型擁壁ブロックBの安定的且つ水平な載置を実現するために、擁壁ブロック施工予定箇所全体に基礎コンクリートを打設する。
【0038】
打設した基礎コンクリートを養生させて、完全に硬化させたら、次に図4(A)に示すように、標準L型擁壁ブロックBを基礎コンクリート上に配置する。
標準L型擁壁ブロックBの位置を固定したら、次に図4(B)に示すように、コーナー用L型擁壁ブロックAの底壁部1とほぼ同じ面積のコンクリートあるいはモルタル、又はコンクリートとモルタルの両方を打設し、擁壁ブロック載置部4を水平に形成する。
この場合も、前述した第1の施工方法と同じく、形成された擁壁ブロック載置部4が水平になり、そこにコーナー用L型擁壁ブロックAを安定的に載置できるようにコンクリートを打設すればよい。
【0039】
またこの擁壁ブロック載置部4の高さに関しても、前述した第1の施工方法のように考えてよい。
【0040】
打設したコンクリートを養生させて擁壁ブロック載置部4が完全に硬化したら、そこにコーナー用L型擁壁ブロックAを載置し、その延長立壁部21の側端面と標準L型擁壁ブロックBの立壁部側端面とを当接させる。(図4(C)参照)。
この場合、コーナー用L型擁壁ブロックAの立壁部2の上端面と、標準L型擁壁ブロックBの立壁部の上端面とを面一にすることが好ましいので、コーナー用L型擁壁ブロックAの立壁部2よりも、擁壁ブロック載置部4の高さの分だけ低い立壁部を有するコーナー用L型擁壁ブロックAを用いるとよい。
以上によりコーナー用L型擁壁ブロックAの施工が完了する。
【0041】
次に、擁壁ブロック同士を確実に連結する方法について説明する。コーナー用L型擁壁ブロックAと標準L型擁壁ブロックBとを当接させるが、コーナー用L型擁壁ブロックAと標準L型擁壁ブロックBとは、極力、相互にズレないように連結した方が好ましい。
そのため、各立壁部同士を、連結具等を用いて連結する。その連結手段の例を以下に示す。
【0042】
図5は、接合プレート5を用いる方法である。
先ず、図5(A)に示すようにコーナー用L型擁壁ブロックAと、標準L型擁壁ブロックBとを当接させた後、90°に折り曲げられた金属製の接合プレート5を、コーナー用L型擁壁ブロックAと標準L型擁壁ブロックBとの接合部に当接させる。
次に、図5(B)に示すように、接合プレート5に形成された貫通孔を通して、各擁壁ブロックに形成された固定孔P(インサート雌体により形成されている)に締結ボルトNをネジ込んで締め付ける。
これにより、コーナー用L型擁壁ブロックAと標準L型擁壁ブロックBとは接合プレート5を介して確実に連結される。
なおこのとき、接合プレート5には、長孔51が形成されているので、位置合わせが簡単である。
【0043】
図6は、一方の擁壁ブロックに埋め込まれたコの字型金具5Aを介して連結する方法である。
一方の標準L型擁壁ブロックBにコの字型金具5Aを埋め込んでおく。
また、このコの字型金具5Aの中央位置に相当する部分の標準L型擁壁ブロックBに空間S1を形成しておく。
そして標準L型擁壁ブロックBとコーナー用L型擁壁ブロックAとを当接させ、締結ボルトNをコの字型金具の孔5A1を通してコーナー用L型擁壁ブロックAの固定孔P(インサート雌体により形成されている)にネジ込み締め付けると、コーナー用L型擁壁ブロックAと標準L型擁壁ブロックBとは確実に連結される。
なお、締結ボルトNのネジ込みは、上述の空間S1内に指を入れることで操作が容易に行われる。
【0044】
以上、本発明をその一実施形態を例に説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、延長立壁部の形状は擁壁ブロックの施工内容に応じてその製造段階で適宜変更することが可能である。
【0045】
例えば、図7に示すように、延長立壁部3の形状を角状に且つ直角に屈曲したような形状にすることができる。
延長立壁部3の形状をこのようにすることで、擁壁のコーナー部を鋭く見せることができる。
【0046】
図8は、擁壁の直角のコーナー部の施工状態を示しており、上述の第1の施工方法に相当する。
【0047】
また、図9に示すように、延長立壁部21が立壁部2の側端部から曲面状に形成されおり、且つ該延長立壁部21の屈曲角度を鈍角とすることができる。
【0048】
図10は、擁壁のなだらかな鈍角のコーナー部の施工状態を示しており、上述の第1の施工方法に相当する。
【0049】
また、図11に示すように、延長立壁部21が立壁部2の側端部から角状に形成されおり、且つ該延長立壁部21の屈曲角度を鈍角とすることができる。
【0050】
図12は、擁壁の鈍角のコーナー部の施工状態を示しており、上述の第1の施工方法に相当する。
また、図示しないが、延長立壁部の屈曲角度を鋭角にすることも当然可能である。
また、図示しないが、L型擁壁の底壁部を図示しているような先端に向けてテーパーをつけた形状だけでなく、底壁部を等厚とすることも出来る。
そして底壁部が等厚のL型擁壁の上にコンクリート或いはモルタル、又はコンクリートとモルタルの両方を打設した場合、擁壁ブロック載置部4を形成するためのコンクリートあるいはモルタル、又はコンクリートとモルタルの両方の使用量を大幅に減らすことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックの使用状態の一例を示す説明図である。
【図2】図2は、本実施形態のコーナー用L型擁壁ブロックを示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図3】図3は、コーナー用L型擁壁ブロックの施工方法の一例を示す説明図である。
【図4】図4は、コーナー用L型擁壁ブロックの施工方法の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、コーナー用L型擁壁ブロックと、標準L型擁壁ブロックと、を連結する方法の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、コーナー用L型擁壁ブロックと、標準L型擁壁ブロックと、を連結する方法の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、コーナー用L型擁壁ブロックの別の実施形態を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図8】図8は、図7に示したコーナー用L型擁壁ブロックの施工状態を示す説明図である。
【図9】図9は、コーナー用L型擁壁ブロックの別の実施形態を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図10】図10は、図9に示したコーナー用L型擁壁ブロックの施工状態を示す説明図である。
【図11】図11は、コーナー用L型擁壁ブロックの別の実施形態を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図12】図12は、図11に示したコーナー用L型擁壁ブロックの施工状態を示す説明図である。
【図13】図13は、従来の標準L型擁壁ブロックの施工工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・底壁部
2・・・立壁部
21・・・延長立壁部
3・・・補強肉盛り部
31・・・角埋め部
4・・・擁壁ブロック載置部
5・・・接合プレート
51・・・長孔
5A・・・コの字型金具
5A1・・・コの字型金具の孔
A・・・コーナー用L型擁壁ブロック
B・・・標準L型擁壁ブロック
N・・・締結ボルト
P・・・固定孔
S・・・切り欠き部
S1・・・空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部と、該底壁部に対して垂直に接合された立壁部と、を備えるコーナー用L型擁壁ブロックであって、前記立壁部の側端部に補強用の補強肉盛り部が一体に設けられていることを特徴とするコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項2】
前記立壁部の側端部に延長立壁部が形成され、該延長立壁部の屈曲角度が直角であり、該延長立壁部に補強肉盛り部が一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項3】
前記立壁部の側端部に延長立壁部が形成され、該延長立壁部の屈曲角度が鈍角であり、該延長立壁部に補強肉盛り部が一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項4】
前記延長立壁部が立壁部の側端部から曲面状に形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項5】
前記延長立壁部が立壁部の側端部から角状に形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項6】
前記補強肉盛り部が延長立壁部の端面と面一であることを特徴とする請求項1記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項7】
前記補強肉盛り部の上端面の位置が、前記立壁部の上端面の位置よりも一定距離下がっていることを特徴とする請求項1記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項8】
前記底壁部の補強肉盛り部側が切り欠かれていることを特徴とする請求項1記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載のコーナー用L型擁壁ブロックを使ったコーナー施工方法であって、コーナー用L型擁壁ブロックの延長立壁部に標準L型擁壁ブロックの立壁部を当接させることを特徴とするコーナー施工方法。
【請求項1】
底壁部と、該底壁部に対して垂直に接合された立壁部と、を備えるコーナー用L型擁壁ブロックであって、前記立壁部の側端部に補強用の補強肉盛り部が一体に設けられていることを特徴とするコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項2】
前記立壁部の側端部に延長立壁部が形成され、該延長立壁部の屈曲角度が直角であり、該延長立壁部に補強肉盛り部が一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項3】
前記立壁部の側端部に延長立壁部が形成され、該延長立壁部の屈曲角度が鈍角であり、該延長立壁部に補強肉盛り部が一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項4】
前記延長立壁部が立壁部の側端部から曲面状に形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項5】
前記延長立壁部が立壁部の側端部から角状に形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項6】
前記補強肉盛り部が延長立壁部の端面と面一であることを特徴とする請求項1記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項7】
前記補強肉盛り部の上端面の位置が、前記立壁部の上端面の位置よりも一定距離下がっていることを特徴とする請求項1記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項8】
前記底壁部の補強肉盛り部側が切り欠かれていることを特徴とする請求項1記載のコーナー用L型擁壁ブロック。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載のコーナー用L型擁壁ブロックを使ったコーナー施工方法であって、コーナー用L型擁壁ブロックの延長立壁部に標準L型擁壁ブロックの立壁部を当接させることを特徴とするコーナー施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−275440(P2009−275440A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128853(P2008−128853)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000176512)三谷セキサン株式会社 (91)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000176512)三谷セキサン株式会社 (91)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]