説明

コーヒーや茶用濾過袋

【課題】 より簡単に製造することができ、香料成分の品質を維持したまま、多種多様の所望の香りを加味したコーヒーや茶を簡単に作ることができるコーヒーや茶用濾過袋を提供する。
【解決手段】 濾紙を素材とし、袋状に形成された袋本体2のうち、この袋本体2に収容されるコーヒーや茶が接触する部分もしくはその外側に、温水によって香料5が溶出する香料層3が形成され、もしくは、温水によって溶けるカプセル14に香料5が閉じこめられたマクロカプセル13が付着されている。このため、袋本体2にコーヒーや茶を入れて、この上に温水を注ぐと、この温水によってコーヒーや茶からその成分が溶出するとともに、香料5が溶出するので、香料5が溶け込んだコーヒーや茶を簡単に作ることができる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、コーヒーや茶用濾過袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
コーヒーや茶の需要者が増大するに伴い、嗜好も多様化が進み、コーヒーや茶に、多種多様の香りを加味して楽しむ傾向が強まっている。
そこで、実願平6−15413号公報記載のコーヒー、紅茶類の成分抽出用濾過紙袋(以下、成分抽出用濾過紙袋という)が開示されている。
この成分抽出用濾過紙袋は、袋体の外周面を内側に向かって断面略U字形に窪ませて香料塗着襠を形成し、香料塗着襠の内面に香料を塗着したものである。このため、この成分抽出用濾過紙袋にコーヒーや茶等を入れて、熱湯を注ぐと、香料成分が袋内の原料成分と共に熱湯中に抽出拡散して所望の香りが楽しめ、また、香料は襠内に塗着されているため袋内の原料に混じって悪影響を及ぼすことがなく、また、外気にふれる度合いが著しく減少するので香料成分の品質は維持され、さらに、香料の塗着加工は外周面を窪ませる香料塗着襠の成分加工と同時に加工用の円盤外周部に香料を供給するなどして襠内に簡単に香料を塗着することができるので供給する香料の種類を替えるのみで香りの異なるものが生産できるので多種少量生産にも充分に対応できる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかるに、従来の成分抽出用濾過紙袋は、その袋体の外周面を内側に向かって断面略U字形に窪ませる必要があり、製造するのに手間がかかるという問題がある。
しかも、前記U字形に窪ませた内面に、香料を塗着させる必要があり、この塗着作業には、手間がかかるという問題がある。
【0004】
本考案はかかる事情に鑑み、より簡単に製造することができ、香料成分の品質を維持したまま、多種多様の所望の香りを加味したコーヒーや茶を簡単に作ることができるコーヒーや茶用濾過袋を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1のコーヒーや茶用濾過袋は、濾紙を素材とし、袋状に形成された袋本体と、該袋本体のうち、該袋本体に収容されるコーヒーや茶が接触する部分もしくはその外側に形成された、温水によって香料が溶出する香料層とからなることを特徴とする。
請求項2のコーヒーや茶用濾過袋は、濾紙を素材とし、袋状に形成された袋本体と、該袋本体のうち、該袋本体に収容されるコーヒーや茶が接触する部分もしくはその外側に付着された、温水によって溶けるカプセルに香料が閉じこめられたマイクロカプセルとからなることを特徴とする。
請求項3のコーヒーや茶用濾過袋は、請求項1または2記載の考案において、前記香料が、複数種類の香りの香料からなることを特徴とする。
【0006】
【考案の実施の形態】
つぎに、本考案の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1の平面図である。図2は第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1の展開図である。図1および図2に示すように、第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1は、袋状に形成された袋本体2のうち、この袋本体2に収容されるコーヒーや茶が接触する部分の外側に、香料層3が形成されたものである。
【0007】
前記袋本体2は、その素材が濾紙である。
なお、袋本体2は、漂白された濾紙、無漂白の濾紙のいずれも使用することができる。
【0008】
前記香料層3は、袋本体2に図示しない香料液3Aを塗布して乾燥したものである。この香料液3Aは、粉末状のバニラ等の図示しない香料5を水に溶かしたり、食用エチルアルコール等の溶剤に分散させたものである。
なお、香料5は、粉末状のものだけでなく、フレーバーなどの液状のものであってもよい。また、香料5は、水溶性のものだけでなく、油溶性のものでもよく、その場合、水ではなくオイルに溶かせばよい。
【0009】
さらになお、香料5は、バニラだけでなく、チョコレート、アーモンド、ココナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、ペパーミント、シナモン、メロン、レモン、ブルーベリー、ストロベリー、アップル、オレンジ、チェリー、バナナ、ブラックベリー、ラズベリー、ピーチ、ウィスキー、ブランデー、ラム等、所望の香りの香料を採択しうる。
【0010】
つぎに、第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1の製造工程を説明する。
第1に、濾紙を、図2に示すごとき形状、すなわち頂角の先端部分を切り落とした2つの扇を互いに、その辺の部分で接合した左右対称の形状にカットして、平面状の袋本体2とする。第2に、この平面状の袋本体2を袋状に形成させるには、前記形状にカットされた袋本体2を、一点鎖線で示す仮想の対称線に沿って半分に折り畳む。第3に、折り畳まれた袋本体2の底縁部および側縁部を熱エンボス加工して、袋状に形成するのである。符号4は、熱エンボス加工される予定の底縁部および側縁部を示している。
【0011】
そして、袋状の袋本体2のうち、この袋本体2に収容されるコーヒーや茶が接触する部分の外側に香料液3Aを塗布して乾燥させれば、香料層3が形成されるので、第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1を簡単に製造することができるという効果を奏する。
なお、図では、香料層3を袋本体2の外側の表裏両面に形成させているが、外側表面もしくは外側裏面のいずれか一方だけに形成してもよい。また、香料層3を、袋本体2の外側だけでなく、袋本体2の内側に形成させてもよい。もちろん、香料層3を袋本体2の外側と内側の両方に形成させてもよい。
さらになお、袋本体2に香料液3Aを塗布する工程は、最後に行う必要はなく、袋本体2を袋状に折り畳む前の平面状の袋本体2に香料液3Aを塗布して乾燥させ、香料層3を形成させた後に、袋本体2を袋状に形成させてもよい。
【0012】
さらになお、袋本体2に香料層3を形成させる手段は、袋本体2に香料液3Aを塗布するだけでなく、スプレーによって吹き付け乾燥してもよく、また、さらにその後に水を吹き付け乾燥させてパウダーをさらに強く固定させてもよい。その他に印刷したり、含浸したりしてもよい。さらに、前記香料5を別の紙や合成樹脂製袋、不織布等で包装し、この香料5を袋本体2に接触させて香料層3を形成してもよい。
【0013】
つぎに、第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1の作用・効果を説明する。
第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1の袋本体2を拡げて、所望のコーヒーや茶を収容する。そして、第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1に収容されたコーヒーや茶の上に温水を注ぐ。すると、温水によって、コーヒーや茶からその成分が溶出するとともに、温水によって、香料層3からバニラ等の香料5が溶出する。このため、香料層3の香料5が溶け込んだコーヒーや茶を簡単に作ることができるという効果を奏する。
【0014】
上記のごとく、第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1によれば、より簡単に製造することができ、多種多様の香りの付いたコーヒーや茶を簡単に作ることができるという効果を奏する。
【0015】
つぎに、第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1の他の例を説明する。
第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1において、その袋本体2に形成された香料層3の上に、この香料層3の香料5とは異なる香りの香料5の香料液3Aを塗布して、新たな香料層3を形成させ、2重の香料層3としてもよい。
この場合、異なる香りの香料5、5がコーヒーや茶に溶け込むので、所望の異なる香りが混じりあったコーヒーや茶を簡単に作ることができるという効果を奏する。
なお、前記異なる香料5、5の組み合わせは、(チョコレート、ミント)、(バナナ、ナッツ)、(ストロベリー、ピーチ)など所望の種々の香りの組み合わせを採択しうる。
【0016】
つぎに、第2実施形態のコーヒーや茶用濾過袋11を説明する。
図3は第2実施形態のコーヒーや茶用濾過袋11の平面図である。同図で示すように、第2実施形態のコーヒーや茶用濾過袋11は、第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1と同様に、袋状に形成された袋本体2のうち、この袋本体2に収容されるコーヒーや茶が接触する部分の外側に、第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1と異なり、マイクロカプセル13を付着させたものである。
【0017】
そこで、マイクロカプセル13を説明する。
マイクロカプセル13は、デキストリンやゼラチン等のカプセル14に、前記香料5が封入されたものである。カプセル14は、温水により溶ける性質を有している。このため、マイクロカプセル13に温水をかけると、カプセル14が溶けて香料5が温水に溶出するのである。
【0018】
袋本体2にマイクロカプセル13を付着させるには、このマイクロカプセル13を食用エチルアルコール等の溶剤に分散させた香料液を袋本体2に塗布すればよい。しかる後、溶剤のアルコール成分が蒸発し、マイクロカプセル13は袋本体2に付着するのである。
なお、袋本体2にマイクロカプセル13を付着させる手段は、袋本体2に香料液を塗布させるだけでなく、スプレーによって吹き付けてもよく、印刷したり、含浸させてもよい。
さらに、マイクロカプセル13を別の紙や合成樹脂製袋、不織布等で包装し、このマイクロカプセル13を袋本体2に接触させてマイクロカプセル13を付着させてもよい。
【0019】
つぎに、第2実施形態のコーヒーや茶用濾過袋11の作用・効果を説明する。
第2実施形態のコーヒーや茶用濾過袋11の袋本体2を拡げて、所望のコーヒーや茶を入れる。そして、コーヒーや茶の上に温水を注ぐ。すると、温水によって、マイクロカプセル13のカプセル14が溶けるので、コーヒーや茶からその成分が溶出するとともに、カプセル14からバニラ等の香料5が溶出する。このため、マイクロカプセル13の香料5が溶け込んだコーヒーや茶を簡単に作ることができるという効果を奏する。
【0020】
上記のごとく、第2実施形態のコーヒーや茶用濾過袋11によれば、より簡単に製造することができ、多種多様の香りの付いたコーヒーや茶を簡単に作ることができるという効果を奏する。しかも、香料5がカプセル14に閉じ込められているので、香料成分の品質が維持されたままである。この結果、アルミ箔等を素材とする密封度の高い包装材を必要としない。
【0021】
つぎに、第2実施形態のコーヒーや茶用濾過袋11の他の例を説明する。
第2実施形態のコーヒーや茶用濾過袋11において、その袋本体2に付着したマイクロカプセル13の上に、このマイクロカプセル13の香料5とは異なる香りの香料5が閉じこめられた新たなマイクロカプセル13を付着させてもよい。
この場合、異なる香りの香料5、5がコーヒーや茶に溶け込むので、所望の異なる香りが混じりあったコーヒーや茶を簡単に作ることができるという効果を奏する。
なお、前記異なる香料5、5の組み合わせは、(チョコレート、ミント)、(バナナ、ナッツ)、(ストロベリー、ピーチ)など所望の種々の香りの組み合わせを採択しうる。
【0022】
【考案の効果】
請求項1のコーヒーや茶用濾過袋によれば、より簡単に製造することができ、多種多様の香りの付いたコーヒーや茶を簡単に作ることができる。
請求項2のコーヒーや茶用濾過袋によれば、より簡単に製造することができ、多種多様の香りの付いたコーヒーや茶を簡単に作ることができる。しかも、香料がカプセルに閉じ込められているので、香料成分の品質が維持されたままである。この結果、アルミ箔等を素材とする密封度の高い包装材を必要としない。
請求項3のコーヒーや茶用濾過袋によれば、所望の香りが混じり合ったコーヒーや茶を簡単に作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1の平面図である。
【図2】第1実施形態のコーヒーや茶用濾過袋1の展開図である。
【図3】第2実施形態のコーヒーや茶用濾過袋11の平面図である。
【符号の説明】
1 コーヒーや茶用濾過袋
2 袋本体
3 香料層
3A 香料液
5 香料
11 コーヒーや茶用濾過袋
13 マイクロカプセル
14 カプセル

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】濾紙を素材とし、袋状に形成された袋本体と、該袋本体のうち、該袋本体に収容されるコーヒーや茶が接触する部分もしくはその外側に形成された、温水によって香料が溶出する香料層とからなることを特徴とするコーヒーや茶用濾過袋。
【請求項2】濾紙を素材とし、袋状に形成された袋本体と、該袋本体のうち、該袋本体に収容されるコーヒーや茶が接触する部分もしくはその外側に付着された、温水によって溶けるカプセルに香料が閉じこめられたマイクロカプセルとからなることを特徴とするコーヒーや茶用濾過袋。
【請求項3】前記香料が、複数種類の香りの香料からなることを特徴とする請求項1または2記載のコーヒーや茶用濾過袋。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate