説明

コーヒー抽出バッグ

【課題】 カップに入れたコーヒー抽出バッグの上方から熱湯を注ぐ際、浮遊することがなく、容易に注ぐことができ、熱湯が速やかにコーヒー粉末に浸透し、内部ガスを迅速に放出させ、カップ内にコーヒーの微粉末、残渣、油脂成分を漏出させず、おいしく且つきれいなコーヒーを抽出する。
【解決手段】 コーヒー粉末が充填されコーヒーの微粉末が僅かに漏洩する程度の通気性、通水性を有する不織布からなる内部バッグを、コーヒーの微粉末の漏洩を阻止する通気性、通水性を有する不織布からなる外部バッグ44の内部に収容する。外部バッグ44の正面側の上半部に横方向に所定間隔dを設けてなる破線状のスリット9を、上下方向に所定間隔を隔てて且つ上下方向に隣接する各スリット9が互い違いに一定量ずれた状態で複数段に亘って形成する。このスリット9が形成された面側の幅方向中央部であって、スリット9の最下段近傍に吊り糸6の一端を連接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー抽出バッグに係り、特に、コーヒーカップ、マグカップ、湯呑み茶碗、紙コップ、タンブラー等の容器(以下、「カップ」と総称する)に入れ、当該カップに熱湯を注ぎ、内部に充填されたコーヒー粉末からコーヒーを抽出するコーヒー抽出バッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コーヒーの抽出方法としては、ペーパードリップ方式のように、専用の用具を用意してペーパーフィルターにコーヒー粉末を入れてその都度、熱湯を連続的に注ぎ、抽出する方式が多用されていた。
しかしながら、その都度専用の用具を取り出して、コーヒー粉末を入れる作業や、飲料後に用具を洗浄する作業は、煩わしさを伴うものである。
このため、近年、上述のドリップ方式とは異なる簡便な抽出バッグ方式が普及してきている。この抽出バッグ方式は、コーヒーを飲料するのに専用の用具を必要としないで、予めコーヒー粉末を充填し且つ封止した長方形状の抽出バッグを、コーヒーカップ等に直接投入し、熱湯を注ぎ入れて飲料する簡易な方法である。
しかしながら、これらのコーヒー抽出バッグは、内部にコーヒー粉末が充填され封止されていることから、カップ内に抽出バッグを入れ、熱湯を注ぐ際に、抽出バッグ内のガス(例えば炭酸ガス)が発生し、抽出バッグが浮遊状態となり、バッグ内に十分熱湯が行き渡らず、満足する抽出効果が得られにくいという問題があった。
【0003】
この問題に対処すべく、抽出バッグの網目が比較的粗い不織布を用いることで、熱湯が急速に内部に浸透できるようにしたものがある。しかしながら、この方式の場合、コーヒーの微粉末および油脂が漏れ出して、見た目や味、コクを損なう、といった新たな問題が生じていた。
このような問題点に対処すべくなされたものとして、特許文献1(特開平8−299183号公報)に記載されたものがある。
即ち、この特許文献1に係るコーヒーバッグは、全体が縦に長い矩形状を呈し、その下半部が、超極細繊維を含むフィルターシートで形成され、その上半部が、炭酸ガス透過度が、該フィルターシートの2倍以上であるシートで形成され、抽出バッグの上端中央に吊り糸を取り付け、その先端にタッグを取り付けてなる、コーヒーバッグが提案されている。
このコーヒーバッグによれば、内部に蓄積した炭酸ガスの放出性に優れると共に、抽出されたコーヒー液は、風味を阻害するコーヒー粒子の残渣や油脂が含まれない、としている。
【0004】
また、特許文献2(実用新案登録第3148480号公報)には、次に述べる飲料用抽出バッグが提案されている。即ち、
長方形のバッグであって、該バッグの内層面は5μm以下の繊維径を有する超極細繊維で形成された通水性の優れたろ過シートからなる外部バッグにおいて、前記外部バッグのろ過シートは上半部と下半部に分離され、該バッグの下半部ろ過シートの内側には、シートと外部バッグ上半部のろ過シートの下端とで細巾状に接合された部となり、この通気性ろ過シートの下端部は、外部バッグのろ過シートの底部近傍とで細巾状に接合された部で、前記外部バッグの内側に、内部バッグが形成され,該内部バッグには、予め嗜好性飲料が充填された状態で封止されており、内部バッグと外部バッグの下半部との間では上部開放された袋体が形成されることとなり、且つ、これらの袋体はバッグの正面または裏面のどちらでもよく、バッグの片面あるいは両面に存在してもよい、さらに内部バッグには吊り紙片と吊り糸が取り付けられ外部には袋体が設けられている。
この特許文献2に係る抽出バッグによれば、抽出時において、直接コーヒー粉末に熱水を注ぐことなく、袋体のろ過シートからの内部バッグに、熱水を注ぐことで可及的速やかに蒸らし効果が実現され、ティーバッグでありながら、ドリップ方式に近い抽出方法を実現できる、としている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のコーヒー抽出バッグは、コーヒーを抽出する間、液面を不透過性シートの領域の上端以下に保持することにより、発生した炭酸ガスは透過度の高いシートから抜けるとしているものの、炭酸ガスの透過性が高い上部シート部分に熱湯を注ぐ際には、内部に熱湯が浸入しにくく、且つ、超極細繊維を含むフィルターシートは、カップ内の周囲の熱湯が内部に浸入しにくいため、抽出バッグが浮遊状態となり易く、カップ内での抽出バッグを静置させることが困難となり、バッグ内に十分熱湯が行き渡らず、満足する抽出操作が行いにくいという問題が残されていた。
内部に熱湯を浸入させ易くするためには、カップ内に蓄えられた熱湯の中に、炭酸ガス透過性が高い上部シートの部分を沈めることで実現可能と考えられるが、このようにすると、内部のコーヒーの微粉末が漏れ出し、見た目がきたなくなると共に、コーヒー粒子の残渣や油脂がカップ内に流出し、風味を損ねてしまうという問題が生じる。
【0006】
また、特許文献2に記載の抽出バッグは、上述したように、外部バッグの内側に嗜好性飲料が充填された内部バッグが形成され、内部バッグと外部バッグの下半部との間が開放され、袋体が形成されていることにはなっているが、この袋体は通常閉じており、仮に熱湯を注ぐ際、外部バッグを人為的に開いておいても、吊り糸が内部バッグの上端部に固定されているため吊り糸を左右どちらか一方の手の指先で摘み、他方の手でやかんや電気ポットを操作して通気性の良好な内部バッグのシートと外部バッグとの間に形成される袋体の部分に熱湯を注ぐうち、外部バッグが軟化して閉じてしまって袋体を形成しなくなってしまい、結果として、内部バッグに直接注がれる熱湯の量は、僅かとなってしまうため、抽出バッグが浮遊状態となり、内部バッグ内のガスの放出はなされるとしても、カップ内で抽出バッグを静置することが困難となり、バッグ内に十分熱湯が行き渡らず、満足する抽出操作が行い難い、という問題が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−299183号公報
【特許文献2】実用新案登録第3148480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、第1の目的とするところは、コーヒー粉末が充填され且つ封止されているコーヒー抽出バッグを、カップに入れて、内部バッグと、外部バッグの間の上方部から熱湯を注ぎ易く、且つ熱湯注入後に浮遊することがなく、内部バッグに充填されたコーヒー粉末に熱湯が速やかに浸透し、且つ内部バッグの内部で発生した多量のガスを迅速に放出させ得るコーヒー抽出バッグを提供することにある。
さらに、本発明の第2の目的とするところは、風味を阻害するコーヒーの残渣や微粉末、さらには油脂成分が除去され、抽出バッグ形式でありながら、ドリップ式に近いおいしさを有し、且つ見た目にもきれいな抽出コーヒーが得られるコーヒー抽出バッグを提供することにある。
本発明の第3の目的とするところは、簡素な構成であり量産性にも優れ、且つ安価なコーヒー抽出バッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載した発明は、上述した第1〜第3の目的を達成するために、
コーヒーカップ、マグカップ、湯呑み茶碗、紙コップ、タンブラー等のカップに入れ当該カップに熱湯を注ぎ内部に充填されたコーヒー粉末からコーヒーを抽出するコーヒー抽出バッグにおいて、上端のみが開口された矩形状を呈する外部バッグと、前記外部バッグの内部に収納され、前記外部バッグより縦方向に所定量長い矩形状を呈し、内部にコーヒー粉末が充填されて封止された内部バッグと、前記外部バッグの一面側の幅方向中央部上方寄りの外側部分に一端が融着、接着などの手段により固着された吊り糸と、前記吊り糸の他端に同様に固着されたタグとからなり、前記内部バッグは、前記粉末コーヒーの微粉末が僅かに外部に漏出する程度の通水性、通気性、抽出性を有する不織布をもって形成され、
前記外部バッグは、前記微粉末を通過しない程度の通水性、抽出性を有する超極細不織布をもって形成され、
使用に際し、前記吊り糸または前記タグを摘んで前記カップの中に入れると、前記吊り糸に引っ張られた前記外部バッグの上端側が開口し、前記内部バッグと前記外部バッグの間の上方部が熱湯を注ぎ易く袋状を呈するように構成したことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載した発明は、
前記外部バッグ用不織布の表面側の上下所定の位置に前記吊り糸と前記タグが取り付けられ、前記所定長分長い内部バッグ用不織布と前記外部バッグ用不織布は、重ねた状態で上下2つ折りにし、両側縁をヒートシールまたは超音波にてシールし前記コーヒー粉末が前記内部バッグに充填された状態で前記内部バッグの上端縁をシールされてなることを特徴としている。
請求項3に記載した発明は、
前記内部バッグは、通気性が300〜360cm/cm/S、目付が13〜20g/mであり、抽出性が良好なポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維の不織布からなり、前記外部バッグは、目付20〜27g/mのポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維からなる不織布からなることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載した発明は、
上述した第1〜第4の目的を達成するために、
コーヒーカップ、マグカップ、湯呑み茶碗、紙コップ、タンブラー等のカップに入れ、当該カップに熱湯を注ぎ、内部に充填されたコーヒー粉末からコーヒーを抽出するコーヒー抽出バッグにおいて、矩形状を呈し、正面側の上半部に横方向に所定間隔を設けてなる破線状の複数のスリットを、上下方向に所定間隔を隔てて且つ上下方向に隣接する各スリットが互い違いに一定量ずれた状態で複数段に亘って形成された外部バッグと、この外部バッグの内側に配設され、前記外部バッグと同じ矩形状を呈し、内部にコーヒー粉末が充填され、左右両端縁と上端近傍の部位が一定幅に超音波シールまたはヒートシールによって前記外部バッグと共にシールされて封止された内部バッグと、前記外部バッグの前記スリットが形成された面側の幅方向中央部であって、前記スリットの最下段の近傍部分に一端が融着、接着等の手段により取付られた吊り糸と、前記吊り糸の他端に同様に固着されたタグと、からなり、前記内部バッグは、前記粉末コーヒーの微粉末が僅かに外部に漏出する程度の通水性、通気性、抽出性を有する不織布をもって形成され、
前記外部バッグは、前記微粉末を漏出しない程度の通水性、抽出性を有する超極細不織布をもって形成され、
使用に際し、前記吊り糸または前記タグを摘んで前記カップの中に入れると、前記吊り糸に引っ張られた前記外部バッグの上半部に形成された多段に亘る複数のスリットが開口し、前記外部バッグと前記内部バッグとの間の上方部が網状に開口し熱湯を注ぎ易く袋状を呈するように構成したことを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載した発明は、
前記外部バッグ用の不織布の表面側の上下所定の位置に前記吊り糸と前記タグが取り付けられ、前記内部バッグ用の不織布を内側に前記外部バッグ用の不織布を外側にして二つ折りにして重ねた状態で両側縁をヒートシールまたは超音波シールし、前記コーヒーの粉末が内部バッグに充填され且つその上端縁をシールされてなることを特徴としている。
請求項6に記載した発明は、
前記内部バッグは、通気性が300〜360cm/cm/S、目付が13〜20g/mであり、抽出性が良好なポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維からなる不織布からなり、
前記外部バッグは、目付20〜27g/mのポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維からなる不織布からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、コーヒーカップ、マグカップ、湯呑み茶碗、紙コップ、タンブラー等のカップに入れ当該カップに熱湯を注ぎ内部に充填されたコーヒー粉末からコーヒーを抽出するコーヒー抽出バッグにおいて、上端のみが開口された矩形状を呈する外部バッグと、前記外部バッグの内部に収納され、前記外部バッグより縦方向に所定量長い矩形状を呈し、内部にコーヒー粉末が充填されて封止された内部バッグと、前記外部バッグの一面側の幅方向中央部上方寄りの外側部分に一端が融着、接着などの手段により固着された吊り糸と、前記吊り糸の他端に同様に固着されたタグとからなり、前記内部バッグは、前記粉末コーヒーの微粉末が僅かに外部に漏出する程度の通水性、通気性、抽出性を有する不織布をもって形成され、
前記外部バッグは、前記微粉末を通過しない程度の通水性、抽出性を有する超極細不織布をもって形成され、
使用に際し、前記吊り糸または前記タグを摘んで前記カップの中に入れると、前記吊り糸に引っ張られた前記外部バッグの上端側が開口し、前記内部バッグと前記外部バッグの間の上方部が熱湯を注ぎ易く袋状を呈するように構成したことにより、
第1に、コーヒー粉末が充填され且つ封止されているコーヒー抽出バッグを、カップに入れて、内部バッグと外部バッグの間の上方部から熱湯を注ぎ易いと共に、内部バッグに充填されたコーヒー粉末に熱湯が速やかに浸透し、且つ内部バッグの内部で発生した多量のガスを迅速に放出させ得るコーヒー抽出バッグを提供することができ、
第2に、風味を阻害するコーヒーの残渣や微粉末、さらには油脂成分が除去され、抽出バッグ形式でありながら、ドリップ式に近いおいしさを有し、且つ見た目にもきれいな抽出コーヒーが得られるコーヒー抽出バッグを提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1のコーヒー抽出バッグにおいて、
前記外部バッグ用不織布の表面側の上下所定の位置に前記吊り糸と前記タグが取り付けられ、前記所定長分長い内部バッグ用不織布と前記外部バッグ用不織布は、重ねた状態で上下2つ折りにし、両側縁をヒートシールまたは超音波にてシールし前記コーヒー粉末が前記内部バッグに充填された状態で前記内部バッグの上端縁をシールされてなることにより、
上記請求項1の発明の効果に加えて、簡素な構成であり、量産性にも優れ、且つ安価なコーヒー抽出バッグを提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2のコーヒー抽出バッグにおいて、
前記内部バッグは、通気性が300〜360cm/cm/S、目付が13〜20g/mであり、抽出性が良好なポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維の不織布からなり、前記外部バッグは、目付20〜27g/mのポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維からなる不織布からなることにより、
内部バッグと外部バッグの間の上方から熱湯を注ぎ易く、その熱湯が内部バッグに充填されたコーヒー粉末に速やかに浸透しさらに内部バッグの内部で発生した多量のガスを迅速に放出させ得るコーヒー抽出バッグを提供することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、コーヒーカップ、マグカップ、湯呑み茶碗、紙コップ、タンブラー等のカップに入れ、当該カップに熱湯を注ぎ、内部に充填されたコーヒー粉末からコーヒーを抽出するコーヒー抽出バッグにおいて、矩形状を呈し、正面側の上半部に横方向に所定間隔を設けてなる破線状の複数のスリットを、上下方向に所定間隔を隔てて且つ上下方向に隣接する各スリットが互い違いに一定量ずれた状態で複数段に亘って形成された外部バッグと、この外部バッグの内側に配設され、前記外部バッグと同じ矩形状を呈し、内部にコーヒー粉末が充填され、左右両端縁と上端近傍の部位が一定幅に超音波シールまたはヒートシールによって前記外部バッグと共にシールされて封止された内部バッグと、前記外部バッグの前記スリットが形成された面側の幅方向中央部であって、前記スリットの最下段の近傍部分に一端が融着、接着等の手段により取付られた吊り糸と、前記吊り糸の他端に同様に固着されたタグと、からなり、前記内部バッグは、前記粉末コーヒーの微粉末が僅かに外部に漏出する程度の通水性、通気性、抽出性を有する不織布をもって形成され、
前記外部バッグは、前記微粉末を漏出しない程度の通水性、抽出性を有する超極細不織布をもって形成され、
使用に際し、前記吊り糸または前記タグを摘んで前記カップの中に入れると、前記吊り糸に引っ張られた前記外部バッグの上半部に形成された多段に亘る複数のスリットが開口し、前記外部バッグと前記内部バッグとの間の上方部が網状に開口し熱湯を注ぎ易く袋状を呈するように構成したことにより、
第1に、コーヒー粉末が充填され且つ封止されているコーヒー抽出バッグを、カップに入れて、内部バッグと外部バッグの間を軽く開放させることができ、その開放部の上方部から熱湯を安定して注ぎ易いと共に、内部バッグに充填されたコーヒー粉末に熱湯が速やかに浸透し、且つ内部バッグの内部で発生した多量のガスを迅速に放出させ得るコーヒー抽出バッグを提供することができ、
第2に、風味を阻害するコーヒーの残渣や微粉末、さらには油脂成分が除去され、抽出バッグ形式でありながら、ドリップ式に近いおいしさを有し、且つ見た目にもきれいな抽出コーヒーが得られるコーヒー抽出バッグを提供することができ、
第3に、簡素な構成であり量産性にも優れ、且つ安価なコーヒー抽出バッグを提供することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4のコーヒー抽出バッグにおいて、
前記外部バッグ用の不織布の表面側の上下所定の位置に前記吊り糸と前記タグが取り付けられ、前記内部バッグ用の不織布を内側に前記外部バッグ用の不織布を外側にして二つ折りにして重ねた状態で両側縁をヒートシールまたは超音波シールし、前記コーヒーの粉末が内部バッグに充填され且つその上端縁をシールされてなることにより、
上記請求項4の発明の効果に加えて、簡素な構成であり、量産性にも優れ、且つ安価なコーヒー抽出バッグを提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項4または5のコーヒー抽出バッグにおいて、
前記内部バッグは、通気性が300〜360cm/cm/S、目付が13〜20g/mであり、抽出性が良好なポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維からなる不織布からなり、
前記外部バッグは、目付20〜27g/mのポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維からなる不織布からなることにより、
内部バッグは通気性が良好であり、熱湯の速やかな浸透が行われ、コーヒーの微粉末が外部バッグの内面へと漏出するが超極細繊維の不織布からなる外部バッグの内部にとどまり、外部バッグからはコーヒー粒子の残渣や油脂が含まれない昊味のコーヒーが抽出される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグの正面側から見た外観構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグの外観構成を示す正面図である。
【図3】図1、図2に示すコーヒー抽出バッグの右側面図である。
【図4】図1、図2に示すコーヒー抽出バッグの平面図である。
【図5】図1、図2に示すコーヒー抽出バッグの背面図である。
【図6】図1、図2に示すコーヒー抽出バッグの底面図である。
【図7】図2のA−A線矢視方向拡大断面図である。
【図8】図1に示すコーヒー抽出バッグが、吊り糸に引っ張られ外部バッグの上端側が開口した状態を示す斜視図である。
【図9】図1に示すコーヒー抽出バッグをカップに入れ、吊り糸を引っ張って内部バッグに対し、外部バッグの上端が開口し、袋状を呈するように変形した状態を示す斜視図である。
【図10】図1〜図7に示すコーヒー抽出バッグを製造する途中段階の工程を示すもので、展開状態における内部バッグ用不織布と外部バッグ用不織布とを若干離間させて配置した状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグの外観構成を示す背面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグの外観構成を示す背面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグの外観構成を示す正面図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグの背面図である。
【図15】第4の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグをカップに入れ、吊り糸を引っ張り、外部バッグの上方部分を網状に開口させて、内部バッグと外部バッグとの間に袋状部を形成させた状態を示す斜視図である。
【図16】図13のA−A線矢視方向拡大断面図である。
【図17】図13〜図16に示すコーヒー抽出バッグを製造する途中の段階の工程を示すもので、展開状態における内部バッグ用不織布と外部バッグ用不織布とを若干離間させて配置した状態(分解状態)を示す斜視図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグの外観構成を示す正面図である。
【図19】図18に示すコーヒー抽出バッグの背面図である。
【図20】図18に示すコーヒー抽出バッグをカップに入れ、吊り糸を引っ張り、外部バッグの上方部分を網状に開口させて、内部バッグと外部バッグとの間に袋状部を形成させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に基づき、図面を参照して本発明のコーヒー抽出バッグを詳細に説明する。
図1〜図9は、本発明の第1の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグの構成を説明するための図であり、このうち、図1は、コーヒー抽出バッグの外観を正面斜め上方から見た斜視図であり、図2は、コーヒー抽出バッグの正面図であり、図3は、図2の右側面図であり、図4は、図2の平面図であり、図5は、図2の背面図であり、図6は、図2の底面図であり、図7は、図2のA−A線矢視方向の断面構成を示すA−A線矢視方向拡大断面図であり、図8は、図1に示すコーヒー抽出バッグが、吊り糸に引っ張られて外部バッグの上端側が開口した状態を示す斜視図であり、図9は、図1に示すコーヒー抽出バッグをカップに入れ、吊り糸を引っ張って内部バッグに対し外部バッグの上端が開口し、袋状を呈するように変形した状態を示す斜視図である。
図1〜図9において、1は、本発明の第1の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグであり、図9に示すコーヒーカップ2に入れ、当該カップ2に熱湯を注ぎ、図7に示すように内部に充填されたコーヒー粉末3からコーヒーを抽出するコーヒー抽出バッグである。
【0019】
尚、カップ2については、必ずしも図9に示すようなコーヒーカップ2に限らず、マグカップ、湯呑み茶碗、紙コップ、タンブラー等のような容器も用いることができるので、本明細書においては、上述して挙げられた飲料用容器として「カップ」と総称することとする。
本発明の第1の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグ1は、正面側の上端のみが開口され、縦方向に長い矩形状を呈する外部バッグ4と、その外部バッグ4の内部に配設され、外部バッグ4よりも縦方向に所定長H(図2に示す)だけ長い矩形状を呈し、内部にコーヒー粉末3(図7に示す)が充填されて封止された内部バッグ5と、外部バッグ4の一面側(図2においては、正面側)の幅方向(図上において左右方向)中央部上方寄りの外側部分に一端が融着、接着などの接続手段で連接(固着)された吊り糸6と、この吊り糸6の他端に、融着、接着等の接続手段により連結(固着)された矩形状を呈するタグ7とから構成されている。
内部バッグ5は、粉末コーヒーの微粉末、残渣、油脂分等が僅かに外部(内部バッグ5の外側と外部バッグ4の内側との間)に漏出する程度の通気性(具体的には300〜360cm/cm/Sまたは430〜840cm/cm/G)、通水性、抽出性を有する、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなり、目付としては、13〜20g/cmの不織布をもって形成される。
【0020】
一方、外部バッグ4は、粉末コーヒーの残渣は勿論のこと、微粉末や油脂分を濾過し(捕捉し)、外部に漏出するのを阻止する程度の通水生、通気性、抽出性を有し、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリエステルからなり、目付としては、20〜27g/cmの超極細繊維よりなる不織布繊維をもって形成されるが、コーヒーの味、香り、色やフレーバ等のコーヒーの持ち味を引き出す機能を有する。
外部バッグ4を形成する不織布は、繊度が0.1デニール以下、より好ましくは、0.01〜0.05デニールである。
このような外部バッグ4用の不織布と内部バッグ5用の不織布を使用したコーヒー抽出バッグ1の製造工程につき説明する。
図10に示すように、長尺の外部バッグ用帯状不織布14と、同じく長尺の内部バッグ用帯状不織布15を、上記した性能をもつ不織布をもって製造し、必要な幅、即ち図10における上下方向高さとしては、内部バッグ用帯状不織布15にあっては、図2に示すコーヒー抽出バッグ1の下端から上端までの寸法の2倍の幅(高さ)とし、外部バッグ用帯状不織布14にあっては、内部バッグ用帯状不織布15の長さより、図2に示すコーヒー抽出バッグ1の上端から外部バッグ開口端4aまでの所定長Hだけ差し引いた寸法の幅(高さ)とする。
【0021】
これら、帯状不織布14および15の長さ(図10の横方向の長さ)は、所定のロール状に巻回した場合の適宜な長さに裁断する。
このような製造工程を、帯状不織布形成工程と称する。
次いで、外部バッグ用帯状不織布14の一面側(図2にあっては、正面側)の上端近傍であって、第1〜第4の外部バッグ区画14a〜14dの各区間の左右中央部に、吊り糸6の一端をヒートシールまたは超音波シールにて融着するか、適宜の接着剤をもって固着連結すると共に、各吊り糸6の他端に同様の手段で、連結された矩形状のタグ7を、適宜の接着剤(または粘着剤)をもって外部バッグ区画14の下端に取り付ける。
この製造工程を、吊り糸とタグの外部バッグへの取付工程と称する。
尚、吊り糸6とタグ7とを連結し、当該タグ7の一面(内面側)に接着力の弱い粘着剤を塗布し、その粘着剤の塗布面を各外部バッグ区画14a〜14dの下部寄りに、剥離可能な粘着剤を塗布しておくものとする。このような製造工程を、吊り糸とタグの接続工程と称する。
このように形成された外部バッグ用帯状不織布14と内部バッグ用帯状不織布15とは、下端面と端縁(図10にあっては、左端縁)を合致させるようにして、重ね合わせ、それぞれの仮想の折り線16および17を境に両帯状不織布14および15の下半部を矢印で示す方向に2つに折り曲げて互いに重ね合わせる。
この製造工程を、折り曲げ重ね工程という。
【0022】
重ね合わされた外部バッグ用帯状不織布14と、内部バッグ用帯状不織布15は、展張された状態で、コーヒー充填機(図示せず)に到達すると、それぞれの左右両端縁を一定のシール幅tにて、ヒートシールまたは超音波シール(以下、これらを総称して「ヒートシール」と称する)を施し、正面側には、シール部Sa、Sbを形成し、背面側には、シール部Sc、Sdを形成する。この製造工程を、両側縁部シール工程と称する。
引き続き、コーヒー充填機により、内部バッグ5の内部に、コーヒーの粉末を一定量充填する。これをコーヒー粉末充填工程と称する。内部バッグ用帯状不織布15と背面側の外部バッグ用不織布14の上端縁から一定の間隔を隔てて、ヒートシールを施し、シール部SeおよびSfを形成し、完全に封止する。この工程を、上端縁シール工程と称する。
以後、同様にして第2の外部バッグ区画14b、…14d…および内部バッグ区画15b…15d…においてもヒートシールおよびコーヒー充填を繰り返すことによって、能率よく迅速に、コーヒー抽出バッグを、安価に製造し得るコーヒー抽出バッグの製造方法を提供することができる。この隣接する内部バッグ区間の間をカットする工程を、切り離し工程と称する。
このようにして、8つの工程を経て製造された本発明の第1の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグ1の使用方法について説明する。
【0023】
コーヒーを入れるに際し、外部バッグ4の正面上部に融着または接着された吊り糸6(またはタグ7)を摘んでコーヒー抽出バッグ全体をカップにいれると、内部バッグ5に対し、外部バッグ4の上端寄りの幅方向の中心部に融着(または接着)された吊り糸6の一端で、外部バッグ4が横方向に引っ張られることにより、外部バッグ4と内部バッグ5との間が大きく広げられ袋状に開口されるので、電気ポット、ヤカン、魔法瓶等を用いて容易に熱湯を注ぐことができる。
このように当該内部バッグ5と外部バッグ4との間に形成された袋状部分から通水生のよい内部バッグを通過して、その内部に充填されたコーヒーの粉末に熱湯が速やかに浸透されるので、しばらく蒸らしを行い、その後、好みに応じて吊り糸6(またはタグ7)を摘んで、コーヒー抽出バッグ1を上下に揺らし、適度にコーヒーが抽出したところで、タグを摘んでコーヒー抽出バッグ1をカップ2から取り出すことで、カップ2内にドリップ方式に近い抽出コーヒーを手軽に得ることができる。
このように、本発明の第1の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグ1は、カップ2に入れて、外部バッグ4の正面側の中央上端近傍に連結された吊り糸6(またはタグ7)を摘んで上方に引っ張ると、吊り糸6に引っ張られた外部バッグ4の上端開口部4aが開口し、内部バッグ5と外部バッグ4の間の上方部から熱湯を注ぎ易く、袋状を呈するように変形する。
【0024】
一旦、熱湯が注がれた外部バッグ4の開口部4の近傍が濡れるため、外部バッグ4は、吊り糸6の引張力に従って、一層大きく開口するようになり、一層熱湯が注ぎ易くなる。
これに対し、上述した特許文献2に係る抽出バッグは、外部バッグには、本発明の如き、吊り糸が連結されていないため、外部バッグが熱湯に濡れると、開口部が閉じてしまい、熱湯を開口部に継続して注ぐことができない、という致命的な難点が潜んでいる。
第2に、本発明の第1の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグは、上述したように、内部バッグ5と外部バッグ4の上方における開口が、確実に行われ且つ継続することから内部バッグ5の中で発生した多量のガスは開口した透過度の高い内部バッグ5の上方から迅速に放出されるため、熱湯が冷えない間にコーヒーを十分に抽出することができ、さらには、内部バッグ5から漏出したコーヒーの微粉末、残渣、油脂分等は、超極細不織布からなる外部バッグ4により外部(カップ内)に漏出することを阻止されるからドリップ式に近いおいしい風味を有し、且つ見た目にもきれいな抽出コーヒーが得られる。
また、本発明に係る第1の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグの製造においては、図10について説明したように、外部バッグ用帯状不織布14に、予め、吊り糸6およびタグ7を、所定の区画(14a〜14d…)毎に、ヒートシールまたは接着等により連結(添着)してなるので、コーヒー抽出バッグ1へのコーヒー充填、シールが完了してから連結する場合に比べて、生産性に優れ、その製造原価を大幅に節約することができる。
【0025】
尚、本発明は、上述し且つ図示した実施の形態に限定されるものではなく、種々に変形して実施することができる。
即ち、第1の実施の形態においては、外部バッグ4の正面側のみ上端を開口させたものであるが、背面側においても図11に示すように、外部バッグ24を上端から所定の長さH2だけ下げたところを上端縁としてもよい。即ち、外部バッグ24の正面側と背面側とは、同じ構成としたものであるが、背面側には、吊り糸6の他端部に直接連結せず、タグ7に連結する点は、第1の実施の形態と同様に構成する。
また、第1の実施の形態のコーヒー抽出バッグ1においては、上方端部に摘み片8を設けた構成としたが、この摘み片8を省略し、図12に示すコーヒー抽出バッグ30のように、その上端縁にシール部Sfを形成してもよい。
摘み片8は、包装パック等からコーヒー抽出バッグ1を取り出す際に、便宜ではあるが、この摘み片8を省略してコストを低減させることができる。
また、第1の実施の形態においては、外部バッグ4の正面側上端のみが開口するように、外部バッグ開口部4aを設ける構成としたが、これに代えて、図13に示すような構成とすることもできる。
【0026】
即ち、図13に示すコーヒー抽出バッグ40のように、縦方向に長い矩形状を呈し、外部バッグ44の正面側上半部の上方寄りに、横方向に所定間隔dを設けてなる破線状のスリット9を、上下方向に所定間隔を隔てて且つ上下方向に隣接する各スリットの形成位置が互い違いに一定量ずれた状態で複数段に亘って形成することもできる。
一方、内部バッグ45(図16参照)は、外部バッグ44の内側に配設され、外部バッグ44と同寸法の同じ矩形状を呈し、内部にコーヒー粉末3(図16参照)が充填された後、左右両端縁と、摘み片48の領域の下部(上端近傍)の部位が内部バッグ45と外部バッグ44とが重ねられた状態で共に一定幅に超音波シールまたはヒートシールによってシールされ、それぞれシール部Sa、Sb、Sc、Sd、SeおよびSfが形成されている。
また、外部バッグ44のスリット9、9…が形成された正面側の幅方向中央部であって、スリット9、9…の最下段の近傍部分に吊り糸6の一端が融着、接着等の接続手段により接続(固着)されている。
この吊り糸6の他端には、同様の接続手段によって、タグ7が接続されている。
前記内部バッグ45は、第1の実施の形態のコーヒー抽出バッグ1と同様に、コーヒー粉末3の微粉末が僅かに外部に漏出する程度の通気性(例えば、300〜360cm/cm/Sまたは、430〜840cm/cm/G)、通水性、抽出性を有する、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等からなり、目付としては、13〜20g/cmの不織布をもって形成される。
【0027】
一方、外部バッグ44は、粉末コーヒーの残渣は勿論のこと、微粉末や油脂分を濾過し(捕捉し)、外部に漏出するのを阻止する程度の通水生、通気性、抽出性を有し、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリエステルからなり、目付としては、20〜27g/cmの超極細繊維よりなる不織布繊維をもって形成されるが、コーヒーの味、香り、色やフレーバ等のコーヒーの持ち味を引き出す機能を有する。
外部バッグ44を形成する不織布は、繊度が0.1デニール以下、より好ましくは、0.01〜0.05デニールである。
このような外部バッグ44用の不織布と内部バッグ45用の不織布を使用した第4の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグ40の製造工程につき説明する。
図17に示すように、長尺の外部バッグ用帯状不織布64と、同じく長尺の内部バッグ用帯状不織布65を、上記した性能をもつ不織布をもって製造し、必要な幅、即ち図17における高さとしては、外部バッグ用帯状不織布64と内部バッグ用帯状不織布65は、図13に示すコーヒー抽出バッグ40の下端から上端までの寸法の2倍の幅(高さ)とする。
これら、帯状不織布64および65の長さ(図17の横方向の長さ)は、所定のロール状に巻回した場合の適宜な長さに裁断する。
このような製造工程を、帯状不織布形成工程と称する。
【0028】
次に、外部バッグ用帯状不織布64の上半部の上方寄りに上述した条件のスリット9を形成する。
即ち、スリット9の長さに相当する切刃部分と、所定間隔dに相当する凹状の逃げ溝部分とを円周方向に形成した円形カッタ(図示せず)を、スリットの段数分並列に連結したものを用いることで、複数のスリット9を同時に形成することができる。また、カッタの並列段数を半数にし、且つ並列のピッチを2倍に設定し、カット作業を2回に分けて行うことも可能である。また、複数のスリットを形成する別途の方法として、レーザビームを用いることもできる。この工程を、スリット形成工程と称する。
次いで、外部バッグ用帯状不織布64の一面側(図13にあっては、正面側)の上端寄りであって、第1〜第4の外部バッグ区画64a〜64bの各区間の左右中央部であって、スリット9、9……の最下段の近傍部分に、吊り糸6の一端をヒートシールまたは超音波シールにて融着するか、適宜の接着剤をもって固着連結すると共に、各吊り糸6の他端に同様の手段で、連結された矩形状のタグ7を適宜の粘着剤をもって外部バッグ区画64aの下端部寄りに取り付ける。
この製造工程を、吊り糸とタグの外部バッグへの取付工程と称する。
【0029】
尚、吊り糸6とタグ7とを連結し、当該タグ7の一面(内面側)に接着力の弱い粘着剤を塗布し、その粘着剤の塗布面を各外部バッグ区画64a〜64dの下部寄りに、剥離可能な粘着剤を塗布しておくものとする。このような製造工程を、吊り糸とタグの接続工程と称する。
このように形成された外部バッグ用帯状不織布64と内部バッグ用帯状不織布65とは、下端面と端縁(図17にあっては、左端縁)を合致させるようにして、重ね合わせ、それぞれの仮想の折り線66および67を境に両帯状不織布64および65の下半部を矢印で示す方向に2つに折り曲げて互いに重ね合わせる。
この製造工程を、折り曲げ重ね工程という。
重ね合わされた外部バッグ用帯状不織布64と、内部バッグ用帯状不織布15は、展張された状態で、コーヒー充填機(図示せず)に到達すると、それぞれの左右両端縁を一定のシール幅tにて、ヒートシールまたは超音波シール(以下、これらを総称して「ヒートシール」と称する)を施し、正面側には、シール部Sa、Sbを形成し、背面側には、シール部Sc、Sdを共に形成する。この製造工程を、両側縁部シール工程と称する。
引き続き、コーヒー充填機により、内部バッグ45の内部に、コーヒーの粉末3を一定量充填する。これをコーヒー粉末充填工程と称する。
【0030】
内部バッグ用帯状不織布65と背面側の外部バッグ用不織布16の上端縁から一定の間隔を隔てて、ヒートシールを施し、シール部SeおよびSfを形成し、完全に封止する。この工程を、上端縁シール工程と称する。
以後、同様にして第2の外部バッグ区画64b、…64d…および内部バッグ区画65b…65d…においてもヒートシールおよびコーヒー充填を繰り返すことによって、能率よく迅速に、コーヒー抽出バッグを、安価に製造し得るコーヒー抽出バッグの製造方法を提供することができる。この隣接する内部バッグ区間の間をカットする工程を、切り離し工程と称する。
このようにして、9つの工程を経て製造された本発明の第4の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグ40の使用方法について説明する。
コーヒーを入れるに際し、外部バッグ44の正面上部に形成されたスリット9の最下段近傍部位に融着または接着された吊り糸6(またはタグ7)を摘んでコーヒー抽出バッグ40全体をカップにいれると、内部バッグ45に対し、外部バッグ44の上端寄りの幅方向の中心部に融着(または接着)された吊り糸6の一端で、外部バッグ44が横方向に引っ張られることにより、外部バッグ44と内部バッグ45との間が大きく広げられ網状に開口されるので、電気ポット、ヤカン、魔法瓶等を用いて当該大きく開口した網状開口49の上方から容易に熱湯を注ぐことができる。
【0031】
このように当該内部バッグ45と外部バッグ44との間に形成された網状開口49から通水性のよい内部バッグ45を通過して、その内部に充填されたコーヒーの粉末3に熱湯が速やかに浸透されるので、しばらく蒸らしを行い、その後、好みに応じて吊り糸6(またはタグ7)を摘んで、コーヒー抽出バッグ40を上下に揺らし、適度にコーヒーが抽出したところで、タグ7を摘んでコーヒー抽出バッグ40をカップ2から取り出すことで、カップ2内にドリップ方式に近い抽出コーヒーを手軽に得ることができる。
このように、本発明の第4の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグ40は、カップ2に入れて、外部バッグ44の正面側の最下段のスリット9近傍に連結された吊り糸6(またはタグ7)を摘んで上方に引っ張ると、吊り糸6に引っ張られた外部バッグ44の多数のスリット9が網状に開口し、内部バッグ45と外部バッグ44の間に形成された網(ネット)状開口49の上方部から熱湯を注ぎ易く、袋状を呈するように変形する。
一旦、熱湯が注がれた外部バッグ44の網状開口全体が濡れるため、外部バッグ44は、吊り糸6の引張力に従って、一層大きく開口するようになり、一層熱湯を注ぎ易くなる。
【0032】
これに対し、上述した特許文献2に係る抽出バッグは、吊り糸は、内部バッグの上端中央部には取り付けてあるが、外部バッグには、本発明の如き、吊り糸が連結されていないため、外部バッグが熱湯に濡れると、開口部が閉じてしまい、熱湯を開口部に継続して注ぐことができない、という致命的な難点が潜んでいる。
第2に、本発明の第2の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグは、上述したように、内部バッグ45と外部バッグ44の上方における網状開口が、確実に行われ且つ継続することから内部バッグ45の中で発生した多量のガスは開口した透過度の高い内部バッグ45の上方から迅速に放出されるため、熱湯が冷えない間にコーヒーを十分に抽出することができ、さらには、内部バッグ45から漏出したコーヒーの微粉末、残渣、油脂分等は、超極細不織布からなる外部バッグ44により外部(カップ内)に漏出すること確実に阻止するからドリップ式に近いおいしい風味を有し、且つ見た目にもきれいな抽出コーヒーが得られる。
また、本発明に係る第4の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグの製造においては、図17について説明したように、外部バッグ用帯状不織布64に、予め、吊り糸6およびタグ7を、所定の区画(64a〜64d…)毎に、ヒートシールまたは接着等により連結(添着)してなるので、コーヒー抽出バッグ40へのコーヒー充填、シールが完了してから連結する場合に比べて、生産性に優れ、その製造原価を大幅に節約することができる。
【0033】
尚、本発明は、上述し且つ図示した第1〜第4の実施の形態に限定されるものではなく、種々に変形して実施することができる。
例えば、第4の実施の形態のコーヒー抽出バッグ40においては、上方端部に摘み片48を設けた構成としたが、この摘み片48を省略し、図15〜図20に示す第5の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグ50のように、その上端縁にシール部Sfを形成してもよい。
即ち、第5の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグ50は、図13〜図17に示す第4の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグ40とは異なり、図18〜図20に示すように、図13に示す摘み片48の部分をカットした形のものであり、従って、全高が摘み片48に相当する分だけ、小さくなっているだけで、他の構成部分は、共通している。
従って、カップ2に第5の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグ50を入れ、吊り糸6(またはタグ7)を引くことで、上方部が網状開口49が形成されるため、例えば、電気ポットで容易に網状開口49から容易に熱湯を注ぐことができる。
尚、この第5の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグ50の製造方法は、上述した第4の実施の形態に係るコーヒー抽出バッグの製造方法と同様に実施可能である。
摘み片48は、包装パック等からコーヒー抽出バッグの1つを取り出すときに、指先で摘むのに便宜であるが、摘み片48をなくすことで生産コストは、若干低下する、という点で、有利である。
【符号の説明】
【0034】
1 コーヒー抽出バッグ
2 コーヒーカップ
3 コーヒー粉末
4 外部バッグ
4a 外部バッグ開口端
5 内部バッグ
6 吊り糸
7 タグ
8 摘み片
9 スリット
14 外部バッグ用帯状不織布
14a 第1の外部バッグ区画
14b 第2の外部バッグ区画
14c 第3の外部バッグ区画
14d 第4の外部バッグ区画
15 内部バッグ用帯状不織布
15a 第1の内部バッグ区画
15b 第2の内部バッグ区画
15c 第3の内部バッグ区画
15d 第4の内部バッグ区画
16,17 折曲げ仮想線
18,19 切り離し線
20 コーヒー抽出バッグ
24 外部バッグ
24a 外部バッグの開口端
25 内部バッグ
28 摘み片
30 コーヒー抽出バッグ
40 コーヒー抽出バッグ
44 外部バッグ
45 内部バッグ
48 摘み片
49 網状開口
50 コーヒー抽出バッグ
64 外部バッグ用帯状不織布
64a 第1の外部バッグ区画
64b 第2の外部バッグ区画
64c 第3の外部バッグ区画
64d 第4の外部バッグ区画
65 内部バッグ用帯状不織布
65a 第1の内部バッグ区画
65b 第2の内部バッグ区画
65c 第3の内部バッグ区画
65d 第4の内部バッグ区画
66 折曲げ仮想線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーカップ、マグカップ、湯呑み茶碗、紙コップ、タンブラー等のカップに入れ当該カップに熱湯を注ぎ内部に充填されたコーヒー粉末からコーヒーを抽出するコーヒー抽出バッグにおいて、上端のみが開口された矩形状を呈する外部バッグと、前記外部バッグの内部に収納され、前記外部バッグより縦方向に所定量長い矩形状を呈し、内部にコーヒー粉末が充填されて封止された内部バッグと、前記外部バッグの一面側の幅方向中央部上方寄りの外側部分に一端が融着、接着などの手段により固着された吊り糸と、前記吊り糸の他端に同様に固着されたタグとからなり、前記内部バッグは、前記粉末コーヒーの微粉末が僅かに外部に漏出する程度の通水性、通気性、抽出性を有する不織布をもって形成され、
前記外部バッグは、前記微粉末を通過しない程度の通水性、抽出性を有する超極細不織布をもって形成され、
使用に際し、前記吊り糸または前記タグを摘んで前記カップの中に入れると、前記吊り糸に引っ張られた前記外部バッグの上端側が開口し、前記内部バッグと前記外部バッグの間の上方部が熱湯を注ぎ易く袋状を呈するように構成したことを特徴とするコーヒー抽出バッグ。
【請求項2】
前記外部バッグ用不織布の表面側の上下所定の位置に前記吊り糸と前記タグが取り付けられ、前記所定長分長い内部バッグ用不織布と前記外部バッグ用不織布は、重ねた状態で上下2つ折りにし、両側縁をヒートシールまたは超音波にてシールし前記コーヒー粉末が前記内部バッグに充填された状態で前記内部バッグの上端縁をシールされてなることを特徴とする請求項1に記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項3】
前記内部バッグは、通気性が300〜360cm/cm/S、目付が13〜20g/mであり、抽出性が良好なポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維の不織布からなり、前記外部バッグは、目付20〜27g/mのポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維からなる不織布からなることを特徴とする請求項1または2に記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項4】
コーヒーカップ、マグカップ、湯呑み茶碗、紙コップ、タンブラー等のカップに入れ、当該カップに熱湯を注ぎ、内部に充填されたコーヒー粉末からコーヒーを抽出するコーヒー抽出バッグにおいて、矩形状を呈し、正面側の上半部に横方向に所定間隔を設けてなる破線状の複数のスリットを、上下方向に所定間隔を隔てて且つ上下方向に隣接する各スリットが互い違いに一定量ずれた状態で複数段に亘って形成された外部バッグと、この外部バッグの内側に配設され、前記外部バッグと同じ矩形状を呈し、内部にコーヒー粉末が充填され、左右両端縁と上端近傍の部位が一定幅に超音波シールまたはヒートシールによって前記外部バッグと共にシールされて封止された内部バッグと、前記外部バッグの前記スリットが形成された面側の幅方向中央部であって、前記スリットの最下段の近傍部分に一端が融着、接着等の手段により取付られた吊り糸と、前記吊り糸の他端に同様に固着されたタグと、からなり、前記内部バッグは、前記粉末コーヒーの微粉末が僅かに外部に漏出する程度の通水性、通気性、抽出性を有する不織布をもって形成され、
前記外部バッグは、前記微粉末を漏出しない程度の通水性、抽出性を有する超極細不織布をもって形成され、
使用に際し、前記吊り糸または前記タグを摘んで前記カップの中に入れると、前記吊り糸に引っ張られた前記外部バッグの上半部に形成された多段に亘る複数のスリットが開口し、前記外部バッグと前記内部バッグとの間の上方部が網状に開口し熱湯を注ぎ易く袋状を呈するように構成したことを特徴とするコーヒー抽出バッグ。
【請求項5】
前記外部バッグ用の不織布の表面側の上下所定の位置に前記吊り糸と前記タグが取り付けられ、前記内部バッグ用の不織布を内側に前記外部バッグ用の不織布を外側にして二つ折りにして重ねた状態で両側縁をヒートシールまたは超音波シールし、前記コーヒーの粉末が内部バッグに充填され且つその上端縁をシールされてなることを特徴とする請求項4に記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項6】
前記内部バッグは、通気性が300〜360cm/cm/S、目付が13〜20g/mであり、抽出性が良好なポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維からなる不織布からなり、
前記外部バッグは、目付20〜27g/mのポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維からなる不織布からなることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のコーヒー抽出バッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−40153(P2012−40153A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183521(P2010−183521)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(599074257)オアシス珈琲有限会社 (1)
【出願人】(510184885)
【Fターム(参考)】