説明

コールセンタシステム

【課題】受話前に所望の情報をオペレータに開示することで、コールセンタで起きる諸問題の発生を事前に防ぎ、結果コールセンタでの集中対応を円滑に行うことができる手段を提供する。
【解決手段】CTIサーバ103が受呼した際に、呼の発呼者番号を抽出する。CTIサーバ103は受けた呼をコールセンタの操作端末10−1に転送すると共に、操作端末上で動作するプログラムに発呼者番号を送信する。操作端末上で動作するプログラムは、RDBサーバ102に対して発呼者番号を送信し、該発呼者番号に関連する支店情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の拠点に対する電話をコールセンタ1箇所で集中して対応する集中受電システム、特にコールセンタにおける転送元の確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の支店を持つ企業では、ボイスワープやCTI機能により、各支店に掛けられた電話を自動的にコールセンタに転送し、集中的に電話対応を行うことができる集中受電システムが導入されている。このようにすることで、人件費の安い地域で電話対応が可能となり、人件費の圧縮が可能となる利点がある。
【0003】
コールセンタにおける代表的な業務形態としてはインバウンドとアウトバウンドが上げられる。インバウンドは客先からの照会や要望などに応える業務を言い、アウトバウンドはダイレクトセールスなどを行う業務を言う。この二つは業務形態が大きく相違する。
【0004】
このようなコールセンタにおける集中業務の効率を改善する技術は以前から提案がされている。特開2009−177384号公報(特許文献1)では、顧客が行ったプッシュボタン操作の内容を受電情報として、データベースの受電状況管理テーブルに記憶しオペレータによる受話前に受電情報を開示することで業務の円滑化を図る技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−177384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、発信元の想定外の応答を行うと、発信元の不信を買う場合も考えられる。具体的には、発信元が甲支店に連絡をとりたい場合にコールセンタが応答を行うと、混乱やトラブルの原因となる場合も考えられる。
【0007】
本発明の目的は、受話前に所望の情報をオペレータに開示することで、コールセンタで起きる諸問題の発生を事前に防ぎ、結果コールセンタでの集中対応を円滑に行うことができる手段を提供することにある。
【0008】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0010】
本発明の代表的な実施の形態に関わるコールセンタシステムは、外部からの呼を受けるCTIサーバと、RDBサーバと、操作端末と接続されるWebサーバと、を含み、このCTIサーバは受けた呼に含まれる発呼者番号を抽出したのち、発呼者番号を操作端末に出力し、操作端末から発呼者番号の送信を受けたRDBサーバが発呼者番号に関わる支店情報を蓄積している支店情報テーブルから抽出し、発呼者番号の送信を行った操作端末に抽出した支店情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に関わるコールセンタシステムを用いる事で、コールセンタに呼が転送された際の情報不足に伴う顧客の違和感を軽減することが可能となる。
【0012】
また本発明に関わるコールセンタシステムを用いる事で、オペレータが受呼する際に、コールセンタへの直接の電話か、支店から転送された電話かを確認することができる。これによりオペレータが受呼前に対応の方針を決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に関する支店情報蓄積時のシステム構成図である。
【図2】同システムにおける操作端末に表示される支店情報設定画面である。
【図3】コールセンタへの転送時にシステム上どのように処理が流れるかを表す概念図である。
【図4】コールセンタへの転送時の処理のフローチャートである。
【図5】転送された呼の場合におけるステップS1010での表示画面である。
【図6】転送された呼で無かった場合におけるステップS1010での表示画面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。しかし、特に明示した場合を除き、それは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部又は全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものでなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0015】
以下、本発明について図を用いて説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明においては、まず支店情報を蓄積する必要がある。図1は、本発明に関する支店情報蓄積時のシステム構成図である。
【0017】
このシステムでは、コールセンタないしはコールセンタで利用可能な箇所に配置されているコールセンタシステム100を基幹とする。またコールセンタシステム100には操作端末10−1、10−2が接続される。
【0018】
コールセンタシステム100は、Webサーバ101、RDBサーバ102、CTIサーバ103を含んで構成される。
【0019】
Webサーバ101は、各操作端末の求めに応じてRDBサーバ102経由でデータを更新し、RDBサーバ102のデータを各端末で表示可能な形態に変換して出力するサーバである。Webサーバ101でHTMLなどの汎用的な言語を取り扱えると、操作端末10−1、10−2について、市販されているパーソナルコンピュータなどが使える。ただし、Webサーバ101が専用の言語のみ理解できるような構成であっても問題は無い。
【0020】
RDB(Relational Data Base)サーバ102は、コールセンタシステムに含まれる図示しないデータベースシステムを取り扱うデータベースサーバである。
【0021】
CTI(Computer Telephony Integration)サーバ103は、自動音声応答システムや、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)ソフト、顧客データベースなどを連携させることで電話処理とコンピュータを連携・統合するサーバシステムである。
【0022】
操作端末10−1、10−2は、支店情報設定画面を介してコールセンタシステムに支店情報を蓄積するための端末である。操作端末10―1は直接コールセンタシステムに接続された形態をとる。一方、甲支店に存在する操作端末10―2は、インターネット1を介して、コールセンタシステム100と接続する形態をとる。
【0023】
図2は、同システムにおける操作端末に表示される支店情報設定画面である。この図では、操作端末10―1の表示画面10―1a、操作端末10―2の表示画面10−2aに表示される支店情報設定画面を表す。画面上には各種項目が存在する。以下、項目の説明を行う。
【0024】
支店コードA1は、支店毎に一意的に割り当てられたコード番号を表す項目である。表示に際しては、図面に表すように支店コードと併せて、支店名も表示してよい。
【0025】
部署コードA2は、部署毎に一意的に割り当てられたコード番号を表す項目である。なお、異なる支店で同一の部署コードが重複しても良い。支店コードで一意性は確保されているためである。ただし、同一の支店で部署コードが重複してはならない。
【0026】
照合用電話番号A3は、入力の正当性を担保するための部門単位の内線電話番号である。この数値が異なるようであれば誤入力としてコールセンタシステム100からエラーメッセージが送信される。
【0027】
代表番号A4は、対外的な支店の代表電話番号またはコールセンタに集約される電話番号である。一般的なコールセンタに集約される電話はこの番号にかかるものになる。
【0028】
住所A5は、該支店の所在地を表す住所である。
【0029】
ここまでの情報は同一の支店であれば基本的には固定となる支店及び部門に帰属した値である。従って、支店情報設定画面を起動させた際には、初期値が表示されるようにしても良い。
【0030】
次に、案件毎に変化する項目を説明する。
【0031】
情報表示期間A6は、該情報を表示する期間を表す入力項目である。「期間」であることから、始期及び終期が存在する。これらを入力する項目として、始期情報A6a、終期情報A6bが存在する。
【0032】
情報A7は、コールセンタに電話が転送された際に、操作端末10−1の画面に表示される情報である。
【0033】
保存ボタンA8は、上記入力項目に入力した後に、コールセンタシステム100に情報を送ることを決定するボタンである。
【0034】
最後に、コールセンタシステム100に継続する情報を表示する画面について説明する。
【0035】
表示中情報一覧A9は、コールセンタシステム100のRDBサーバ102に有効に継続している情報を表す項目である。これを表示するためには支店情報設定画面を起動する際に、コールセンタシステム100に通信を行う必要がある。この通信を避ける場合には、表示中情報一覧A9を項目から除外することも考えられる。
【0036】
次に、支店情報設定画面で入力された各種データを、RDBサーバ102でどのように取り扱うかを説明する。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
表1は、RDBサーバ102に蓄積される転送元情報テーブルの一例である。表2は、RDBサーバ102に蓄積される支店基本情報テーブルの一例である。また表3は、RDBサーバ102に蓄積される支店情報テーブルの一例である。
【0041】
表1の転送元情報テーブルは、図2A1からA3の支店に帰属し、かつRDBサーバ102で用いられる項目が格納される。また、表2の支店基本情報テーブルには、支店に帰属するがRDBサーバ102が直接取り扱うことの無い代表番号(図2A4)や住所(図2A5)といった項目が格納される。
【0042】
表3の支店情報テーブルには、個々の案件に依存する項目(図2A6、A7)が格納される。なお、特定の表(テーブル)の項目が他の表を参考にする際にキーが必要となるが、この用途には支店コード及び部署コードを用いる。
【0043】
なお、表3の1行目の部署コードA2のように、本表の部署コードA2はNULLを定義することができる。これは、転送された呼に関連する部署コードがどんなものであっても、RDBサーバ102による抽出の対象となることを意味する。
【0044】
このようにRDBサーバ102に支店情報設定画面で入力されたデータが格納される。
【0045】
最後に、コールセンタへの転送時の処理について説明する。
【0046】
図3は、コールセンタへの転送時にシステム上どのように処理が流れるかを表す概念図である。図4は、コールセンタへの転送時の処理のフローチャートである。
【0047】
まず、電話回線を経由して、支店から転送された呼をCTIサーバ103が受呼する(ステップS1001)。プッシュボタン回線の場合、呼を受けると発呼端末の番号(発呼者番号)が分かる。よって、CTIサーバ103は受けた呼の発呼者番号を抽出する(ステップS1002)。
【0048】
CTIサーバ103は、表1の照合用電話番号と発呼者番号を対比して、コールセンタに転送された呼か否かを判定する(ステップS1003)。この表1との対比の際にはRDBサーバ102へアクセスすることとなる。
【0049】
ここで転送された呼で無かった場合は、後述するステップS1004、S1005を行った後、すぐに表示処理(ステップS1010)に移行する。
【0050】
転送された呼であることが確認できた場合、CTIサーバ103はステップS1001で受けた呼を1または2以上のオペレータに引き継ぐ(ステップS1004)。また、引き継ぐ対象のオペレータの待ち受け画面を処理するプログラムに、ステップS1003で導出した発呼者番号をコールセンタの操作端末10−1などに送信する(ステップS1005)。なお、この際、CTIサーバ103と操作端末10−1をネットワークなどで直接接続することを図1では想定している。しかし、これには限られず、Webサーバ101を経由して送信するなどでも良い。
【0051】
なお、この時点ではCTIサーバ103は呼を転送しているが、いずれかの操作端末の操作者(オペレータ)は転送された呼を受けていない。
【0052】
待ち受け画面を処理するプログラムはステップS1005で受け取った発呼者番号をWebサーバ101経由でRDBサーバ102に送信する(ステップS1006)。
【0053】
RDBサーバ102はステップS1006で受領した発呼者番号を元に、表1の転送元情報テーブルから支店コードA1及び部署コードA2を抽出する(ステップS1007)。次にRDBサーバ102は、抽出した支店コードA1及び部署コードA2を元に、表3の支店情報テーブルを参照する。支店情報テーブルに記録された支店コードA1、部署コードA2とステップS1006で受領した支店コードA1及び部署コードA2とが一致する情報を抽出する(ステップS1008)。
【0054】
RDBサーバ102は抽出した情報を要求元の操作端末に返送する(ステップS1009)。この返送した情報を要求元の操作端末上の待ち受け画面を処理するプログラムが表示することで、受呼前にオペレータに必要な情報を提供することが可能となる(ステップS1010)。
【0055】
なお、ステップS1003の分岐によって、このステップS1010の表示形態は相違する。
【0056】
図5は、転送された呼の場合におけるステップS1010での表示画面である。一方、図6は転送された呼で無かった場合におけるステップS1010での表示画面である。
【0057】
図5のように転送された呼の場合は、該転送元の支店に関する情報が表示される。すなわち、図2のA1からA5、A9である。この表示内容をオペレータが把握することで、コールセンタで起きる諸問題の発生を事前に防ぐ。
【0058】
一方、コールセンタ宛の呼の場合、RDBサーバ102側の処理は行われない。従って、待ち受け画面を処理するプログラムが抽出する情報を表示する。
【0059】
以上のような処理を行うことで、受呼前にオペレータに必要な支店に関わる情報を提供した上で、オペレータが転送された電話を処理することが可能となる。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明はコールセンタで運用されるコールセンタシステムでの実装を想定する。ただし、アウトバウンドに関わる処理とインバウンド関わる処理とが混在する必要は無く、コールセンタが、アウトバウンド、インバウンドいずれか一方での処理しか想定していなくても問題は無い。
【符号の説明】
【0062】
10―1、10−2…操作端末、
100…コールセンタシステム、
101…Webサーバ、
102…RDBサーバ、
103…CTIサーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの呼を受けるCTIサーバと、RDBサーバと、操作端末と接続されるWebサーバと、を含むコールセンタシステムであって、
前記CTIサーバは受けた呼に含まれる発呼者番号を抽出したのち、前記発呼者番号を前記操作端末に出力し、
前記操作端末から前記発呼者番号の送信を受けた前記RDBサーバが蓄積している支店情報テーブルから前記発呼者番号に関わる支店情報を抽出し、前記発呼者番号の送信を行った前記操作端末に抽出した前記支店情報を出力することを特徴とするコールセンタシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−19379(P2012−19379A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155574(P2010−155574)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】