説明

コールセンターシステム及びプログラム

【課題】商品(サービスを含む)の販売や苦情対応などを行うコールセンターに電話する顧客に応対するオペレータ対し、個々の顧客に応じた顧客応対情報を表示するコールセンターシステムを提供すること。
【解決手段】コールセンター10は、ユーザからの通話を受けたオペレータが物品・サービス等の販売や説明の支援を行うサーバ11を備え、サーバ11は、顧客の生年月日が予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定する判定エンジン部21と、予め作成された顧客応対情報が前記顧客の生年月日に基づく顧客の分類との対応を付けて格納されている顧客応対情報格納部22と、前記判定エンジン部21の判定結果に基づいて顧客応対情報格納部22から該当する顧客応対情報を取り出して出力する顧客応対情報提供部23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品(サービスを含む)の販売や苦情対応などを行うコールセンターに電話した顧客に対し、オペレータが顧客又は自身の個性に合わせた応対を提供できるようにしたコールセンターシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コールセンターとは、企業等において、顧客から電話によってなされた問い合わせに対して対応する専門の部署のことである。そこで顧客からの苦情や、質問等に対して、適切な部署に電話を転送したり、あるいは自分で回答したりする。
【0003】
この種のコールセンターでは、顧客からの問い合わせに対して効率的な対応をするとともに、顧客からの情報を蓄積し、今後の商品開発等に効果的に活用する等のためにコールセンターシステムが備えられている。コールセンターシステムの受付画面では、各種の入力/表示フィールドを有する複数のデータブロックからなるタブシートが表示される。
【0004】
例えば、カード会社におけるコールセンターでは、タブをクリックすることによって、そのシートが表示されるタブシートとして、例えば受付タブシートに、1)現在の電話応当のやりとりを記録して表示する「受付データブロック」、2)過去の電話応当のやりとりを表示する「応対データブロック」、3)電話相手の属人情報を表示する「お客様データブロック」といったようなデータブロックが配置されて表示される。オペレータが、コールセンターシステムに備えられたマウスやキーボード等の入力手段を操作してタブシートを選択することによって、受付タブシートが表示される。各データブロックには、必要な入力フィールドや表示フィールドが備えられている。オペレータは、顧客からの問い合わせ内容に応じて、対応する入力フィールドにその内容を入力すると、この内容が蓄積される。また、別のタブをクリックすることによって、次にどのような対応をとればよいかをオペレータに知らせるためのタブシートが表示される。
【0005】
このようなコールセンターの従来技術として、特許文献1には、顧客からコールセンターに電話で問合せがあった場合、顧客を個人レベルで特定して相応しい応対者へ電話を転送し、きめの細かい応対ができるようにした電話受付システムが記載されている。この電話受付システムは、顧客からの電話を受付けて自動音声応答により通話相手が最初の言葉として決まった音声を発するように誘導する。そして、顧客の音声から顧客を個人レベルで特定し、電話転送先を登録した転送者テーブルを参照して、通話相手に相応しい対応者に電話を転送する。
【0006】
また、特許文献2には、オペレータによって応答した後に自動で応答する処理に復帰する電話応答サーバが記載されている。この電話応答サーバは、各電話端末に入力された情報に対して自動応答を行っている際に、各電話端末にてコールセンターに配置されたオペレータによる応答が必要になった場合、コールセンターに配置されたオペレータによる応答が必要となる情報を電話応答サーバに記録するとともに、コールセンターに配置されたオペレータに、電話応答サーバに記録された情報を認識させ、オペレータによる応答を電話応答サーバを介して各電話端末に送信する。
【0007】
また、特許文献3には、コールセンターシステムの受付画面を容易にかつ汎用的にレイアウトすることによって、レイアウト変更に対して柔軟性を有するコールセンターシステムが記載されている。このコールセンターシステム受付画面には、タブシートにおいてデータブロックを配置することが可能な複数の配置エリアが作成される。
【特許文献1】特開2005−142897号公報
【特許文献2】特開2005−136814号公報
【特許文献3】特開2005−70819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来のコールセンターシステムにあっては、オペレータの応対はどの顧客に対しても共通である。言い換えれば、オペレータは各顧客に同様な商品説明等を行っている。しかしながら、キャッチコピーやキャッチフレーズ等の宣伝の文句が、顧客の購買意欲に影響を与える度合いは各顧客の個性によって大きく異なる。したがって、商品説明がその顧客の個性にあっていれば顧客の購買意欲を高める度合いを大きくすることができる。逆にそうでない場合には顧客の関心を得られない。
【0009】
また、オペレータも個々にキャラクタが異なるにもかかわらず、それぞれのオペレータに適した顧客応対の指針となる顧客応対情報を提供するシステムがなかった。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、商品(サービスを含む)の販売や苦情対応などを行うコールセンターに電話した顧客に対し、オペレータが個々の顧客又は自身の個性に応じた応対を提供することができるコールセンターシステム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1).本発明のコールセンターシステムは、顧客からの電話を受け付けて、受け付けた電話に対してオペレータが応答するコールセンターシステムであって、顧客の生年月日を含む顧客情報を蓄積する顧客管理データベースと、該顧客管理データベースから顧客の生年月日を入力してその顧客が予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定する判定エンジン部と、予め作成された顧客応対情報が生年月日に基づく顧客の分類との対応を付けて格納されている顧客応対情報格納部と、前記判定エンジン部の判定結果に基づいて前記顧客応対情報格納部から該当する顧客応対情報を取り出して出力する顧客応対情報提供部と、該顧客応対情報提供部から出力される顧客応対情報を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0012】
(2).また、オペレータの生年月日を含むオペレータに関する情報を蓄積するオペレータデータベースを更に備え、前記判定エンジン部は、該オペレータデータベースからオペレータの生年月日を入力してそのオペレータが予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定し、オペレータの属する分類と顧客の属する分類とからそのオペレータとその顧客との相性を判定し、前記顧客応対情報格納部は、予め作成された顧客応対情報が前記判定エンジン部によって判定される前記相性との対応を付けて格納されていることで、その顧客とそのオペレータとの相性に基づいて顧客応対情報を表示することができる。
【0013】
(3).また、前記判定エンジン部は、更に電話を受け付ける時に基づく相性を判定することで、その顧客とそのオペレータとの相性を(それが時間帯である場合も含めて)その時に基づいて顧客応対情報を表示することができる。
【0014】
(4).また、本発明のコールセンターシステムは、顧客からの電話を受け付けて、受け付けた電話に対してオペレータが応答するコールセンターシステムであって、オペレータの生年月日を含むオペレータに関する情報を蓄積するオペレータデータベースと、該オペレータデータベースからオペレータの生年月日を入力してそのオペレータが予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定する判定エンジン部と、予め作成された顧客応対情報が生年月日に基づくオペレータの分類との対応を付けて格納されている顧客応対情報格納部と、前記判定エンジン部の判定結果に基づいて前記顧客応対情報格納部から該当する顧客応対情報を取り出して出力する顧客応対情報提供部と、該顧客応対情報提供部から出力される顧客応対情報を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0015】
(5).また、前記判定エンジン部は、更に電話を受け付ける時に基づく分類を判定することで、そのオペレータのキャラクタとその時に基づいて顧客応対情報を表示することができる。
【0016】
(6).また、本発明は、コンピュータを、顧客からの電話を受け付けて、受け付けた電話に対してオペレータが応答するコールセンターシステムであって、顧客の生年月日を含む顧客情報を蓄積する顧客管理データベースと、該顧客管理データベースから顧客の生年月日を入力してその顧客が予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定する判定エンジン部と、予め作成された顧客応対情報が生年月日に基づく顧客の分類との対応を付けて格納されている顧客応対情報格納部と、前記判定エンジン部の判定結果に基づいて前記顧客応対情報格納部から該当する顧客応対情報を取り出して出力する顧客応対情報提供部と、該顧客応対情報提供部から出力される顧客応対情報を表示する表示部とを備えるコールセンターシステムとして機能させるためのプログラムである。
【0017】
(7).また、本発明は、コンピュータを、顧客からの電話を受け付けて、受け付けた電話に対してオペレータが応答するコールセンターシステムであって、オペレータの生年月日を含むオペレータ情報を蓄積するオペレータデータベースと、該オペレータデータベースからオペレータの生年月日を入力してそのオペレータが予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定する判定エンジン部と、予め作成された顧客応対情報が生年月日に基づくオペレータの分類との対応を付けて格納されている顧客応対情報格納部と、前記判定エンジン部の判定結果に基づいて前記顧客応対情報格納部から該当する顧客応対情報を取り出して出力する顧客応対情報提供部と、該顧客応対情報提供部から出力される顧客応対情報を表示する表示部とを備えるコールセンターシステムとして機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の本発明によれば、商品(サービスを含む)の販売や苦情対応などを行うコールセンターに電話する顧客に応対するオペレータに対して、個々の顧客に応じた顧客応対情報を表示することができる。オペレータは、受付画面上に顧客のキャラクタ、行動パターンと、それによる応対のアドバイス等が表示されることにより、その顧客に応対する指針が与えられることになり、顧客に自信を持って接することができる。延いては積極的に会話をリードして、トラブルを減らすこともできる。オペレータの心理としては、電話先の顔の見えない顧客との応対に際し何も指針が与えられないのではなく、何らかのアドバイスが与えられることにより、そのアドバイスが言わば呼び水となって、より適切な応答を引き出すことが期待できる。また、キャラクタに象徴される顧客との応答は、生き生きとした会話となることも期待できる。その結果、特定の商品等に関する応答ではあっても単にその商品に基づくだけの説明ではなく、個々の顧客の個性に合わせて顧客の購買意欲を高める説明等を各顧客に行うことができる。
【0019】
請求項4記載の本発明によれば、商品(サービスを含む)の販売や苦情対応などを行うコールセンターに電話する顧客に応対するオペレータに対して、個々のオペレータに応じた顧客応対情報を表示することができる。オペレータは、受付画面上に自身のキャラクタ、行動パターンと、それによる応対のアドバイス等が表示されることにより、顧客に応対する指針が与えられることになり、顧客に自信を持って接することができる。延いては積極的に会話をリードして、トラブルを減らすこともできる。オペレータの心理としては、顧客との応対に際し何も指針が与えられないのではなく、何らかのアドバイスが与えられることにより、そのアドバイスが言わば呼び水となって、より適切な応答を引き出すことが期待できる。また、顧客との応答は、生き生きとした会話となることも期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、本発明は実施の形態によりその技術的範囲が限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態によるコールセンターシステムの構成を示すブロック図である。本実施の形態のコールセンターシステムは、電話による顧客からの質問・照会に応えるコールセンターに適用した例である。
【0022】
図1において、コールセンターシステムは、顧客がコールセンター10にアクセスするために使用する固定電話1又は携帯電話2と、固定電話1又は携帯電話2とコールセンターを接続する公衆電話網3と、コールセンター10とから構成される。携帯電話2は、基地局2Aを経由して公衆電話網3に接続される。
【0023】
コールセンター10は、ユーザからの通話を受けたオペレータが物品・サービス等の販売や説明の支援を行うサーバ11と、公衆電話網3を介してユーザの固定電話1又は携帯電話2に接続する通信機能部12と、データを入力するキーボード及びポインティングデバイス等の入力部13と、データを表示するLCD装置等からなる表示部14と、ハードディスクドライブ(HDD)、DVD等の外部記憶装置15とを備えて構成される。
【0024】
サーバ11は、実際には汎用コンピュータを用いてソフトウェア(マッチングシステムアプリケーション)で実現される。
【0025】
外部記憶装置15は、顧客に関する情報を蓄積する顧客管理データベース16と、各オペレータに関する情報を蓄積するオペレータデータベース17とを備える。顧客管理データベース16は、顧客の生年月日を含む個人情報を収集・管理するとともに、サーバ11から出力された応答データをその顧客と対応づけて随時蓄積する。オペレータデータベース17は、オペレータの生年月日を含む個人情報を収集・管理する。
【0026】
サーバ11は、顧客及びオペレータの生年月日が予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定する判定エンジン部21と、予め作成された顧客応対情報が格納されている顧客応対情報格納部22と、前記判定エンジン部21の判定結果に基づいて顧客応対情報格納部22から該当する顧客応対情報を取り出して出力する顧客応対情報提供部23とを備えて構成される。
【0027】
判定エンジン部21は、生年月日に基づいて顧客のキャラクタ(性格、嗜好、行動等)を判定する。判定エンジン部21は、生年月日に基づいて占いを実行するプログラム等も備える。判定エンジン部21は、生年月日が予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定することによって、顧客のキャラクタを判定する。分類の数は例えば12である。分類数を例えば60として、キャラクタをさらに細かく分類するようにしてもよい。例えば、動物占い(登録商標)を利用した判定エンジン部21では、顧客の生年月日に基づいて12種類の動物キャラクタの中から1つの動物キャラクタが出力される。これにより、オペレータがその顧客に応対する際に注意すべき事項を表示することができる。
【0028】
また、判定エンジン部21は、オペレータの生年月日に基づいて顧客の場合と同様にキャラクタを判定する。これにより、そのオペレータが一般的に顧客に応対する際に注意すべき事項を表示することができる。
【0029】
さらに、判定エンジン部21は、判定したオペレータのキャラクタと顧客のキャラクタとに基づいて、その相性を判定する。これにより、そのオペレータがその顧客に応対する際に注意すべき事項を表示することができる。
【0030】
さらにまた、判定エンジン部21は、上記のオペレータのキャラクタと顧客のキャラクタに加えて、その日、更にはその時間帯に応じた、事柄(これは生活のリズムであったり、テンションであったりするもの)を判定する。これにより、そのオペレータがその顧客にその時間帯に応対する際に注意すべき事項を表示することができる。これら3者(オペレータ、顧客、時間帯)からの1〜3者の選択組合せは任意であることはいうまでもない。すなわち、これら3者に基づいて判定することもできれば、その内の2者に基づいて判定することもできれば、その内の1者に基づいて判定するようにしてもよい。これにより例えば、そのオペレータにとってその時間帯に注意すべき事項、その顧客にその時間帯に応対する際に注意すべき事項、なども任意に表示することができる。ただし、時間帯のみに基づいて判定するものは本発明の対象ではない。
【0031】
顧客応対情報格納部22には、顧客に応対する際に注意すべき事項の具体的な内容が予め作成されて格納されている。その注意すべき事項は、顧客のキャラクタ、オペレータのキャラクタ及び応対の時間帯に応じた事柄に基づいて決められて作成されている。これら3者(オペレータ、顧客、時間帯)からの1〜3者の選択組合せが任意であることは判定エンジン部21の説明で述べたとおりである。ここで、オペレータが対応する注意事項には、顧客のキャラクタに合せて文言や言い回し、強調する内容等が決められている。すなわち、顧客の個性に合わせた応対を行うことで、顧客と対面で応対しているかのごとく、顧客の性格特性、行動パターンが表示され、それによる応対のアドバイスが表示されることにより、ピンポイントな応対ができるようにしている。その形式は、文章、絵、写真、動画又はこれらの組合せなどであってよい。絵であれば、明るい笑顔であったり、神妙な面持ちの顔などが使える。
【0032】
顧客応対情報提供部23は、判定エンジン部21によって判定されたキャラクタ等に対応する注意事項を顧客応対情報格納部22から取り出して、オペレータに提供する。これにより、オペレータは同一の商品に対する商品説明であっても、顧客毎に異なる注意事項で応対を行うことができる。
【0033】
図2は、本実施の形態におけるコールセンターシステムの電話応対処理を示すフローチャートである。図中、Sはフローの各ステップを示す。
【0034】
まず、ステップS1で顧客は固定電話1又は携帯電話2により公衆電話網3を介してコールセンター10に連絡する。ステップS2で着信した電話が営業日や営業時間内等に適合しているか否かを判別し、着信した電話が営業時間内等でなければ、ステップS8でその旨のメッセージを自動応答して本フローを終了する。着信した電話が営業時間内等であれば、ステップS3で着信した顧客からの電話を空いているオペレータに割当てる。すべてのオペレータが応答中で割り当てができない場合は、顧客に待機をお願いする旨のメッセージを流し、各オペレータには顧客からの電話が保留中であることをランプ表示、画面表示又は確認音等により報知する。
【0035】
ステップS4では、顧客からの電話に応答するオペレータは顧客からの電話を聞き、入力部13により顧客の電話番号や会員番号などの識別番号を入力する。コールセンター10の受付画面では、各種の入力フィールドが備えられた複数のデータブロックからなるタブシートが表示されており、オペレータは、顧客からの問い合わせ内容に応じて、適切なタブシートを表示させ、対応するデータブロックの入力フィールドにその内容を入力すると、この内容が蓄積される。本実施の形態では、コールセンター10はカード会社におけるコールセンターであり、顧客の生年月日はあらかじめ蓄積されている。したがって、オペレータは顧客からの電話を聞き、入力部13により顧客の電話番号や会員番号などをタブシート上に入力すると、この顧客の生年月日を含む個人情報が受付画面に表示される。
【0036】
次いで、ステップS5でサーバ11は生年月日に基づいて顧客のキャラクタ等を判定する判定エンジン部21を起動する。すなわち、サーバ11は、顧客の生年月日、オペレータの生年月日及びその時の時刻を判定エンジン部21に供給し、判定エンジン部21は、これらの情報に基づいて、そのオペレータが、その顧客に、その時間帯に、応対する際に注意すべき事項の元になるキャラクタ等の事柄を判定して出力する。顧客応対情報提供部23は、判定エンジン部21によって判定された事柄に対応する、応対する際に注意すべき事項を顧客応対情報格納部22から取り出して表示部14に出力する。
【0037】
ステップS6では、オペレータの表示画面に、応対する際に注意すべき事項を表示する。次いで、ステップS7でオペレータの応答が終了したか否かを判別し、電話対応の終了等によりオペレータが応答終了操作を行うと本フローを終える。
【0038】
上記フローを実行することにより、オペレータの表示画面には以下のような応対支援画面が表示される。
(1)顧客の特性、行動パターンを表示
まず、顧客のキャラクタに基づいて応対する際に注意すべき事項を表示することが本発明の大きな特徴である。これにより、顧客と対面で応対しているかのごとく瞬時に、顧客の性格特性、行動パターンが表示され、それによる応対のアドバイスが表示されることにより、ピンポイントな応対ができる。TV電話でもないのにあたかも顧客の顔色を見ながら応対しているシーンが可能である。
例) 少しせっかちな方です。応対はてきぱき片付けましょう。
厳しい方ですので、言葉使いは丁寧にはっきりと。
でも心は優しい方ですから怖気づかないで。
【0039】
(2)顧客のその日のテンションを表示
つぎに、本発明は顧客のキャラクタ及びその時の時刻(又は時間帯)に基づいて応対する際に注意すべき事項を表示することができる。これにより、顧客のその日のテンションを表示し、応対の仕方をアドバイスできる。
例) 今日はこの方は少しテンションが低いので、あまり高いテンションで応対しないことです。ゆっくりと静かな口調でお話しましょう。
相手を包み込むような話し方をしてあげてください。
【0040】
(3)顧客の好みの商品のランキングリストを表示
これら、(1)、(2)の応用として、その顧客の好みのランキングリストを表示し、顧客がくすぐられるお勧めワンポイントコメントを表示して、これらの表示を見て顧客に声をかけるようにすることができる。さらに、それらの表示を顧客のその日のテンションと連動させることで、余計なことを言わないよう顧客とのトラブルを防ぐことができる。
【0041】
(4)オペレータの性格特性、テンションを表示
本発明の別の特徴として、オペレータのキャラクタに基づいて、更にその時の時刻(又は時間帯)に基づいて応対する際に注意すべき事項を表示することができる。これにより、オペレータの性格特性及びその日のテンションに基づく注意事項も合わせて表示する。
【0042】
オペレータの性格特性、テンションを表示し、その日の注意事項等をアドバイスしてあげることで、応答ミスを少なくすることができる。
例) 顧客の話は最後まできっちり聞きましょう。
今日は少し笑顔を作りながらお話しましょう。
注文の数量は2度確認しましょう。
【0043】
(5)応対の好印象のアドバイスを表示
この(4)の応用として、オペレータの長所を表示してあげ、自信をつけさせ顧客との応答をスムーズに運び好印象を与えることで、リピーターを増やすことができる。
例) 明るい声はお客様が元気になりますよ。
はきはきとした話し方は好印象です。
あなたの笑顔がお客様から見えるようです。
【0044】
このように、カード会社のオペレーションセンターに導入する例では、まず、電話を受けると、オペレータがその顧客の電話番号を聞いて、システムに入力することでその顧客が特定されて、生年月日から性格及びその日その時のテンションが表示される。このとき、注意事項も表示される。さらに、そのオペレータの生年月日から今日のそのオペレータの一般的な注意事項も合わせて表示され、顧客から電話があったときには、そのオペレータがその顧客にその日その時に応対する場合の注意事項が表示される。
【0045】
以上のように、本実施の形態に係るコールセンター10によって、オペレータにとって顧客と対面で応対しているかのごとく瞬時に、顧客の性格特性、行動パターン等が表示され、それによる応対のアドバイスが表示されることにより、ピンポイントな応対ができる。このような顧客の顔が見えるコールセンターが実現できることで、顧客を喜ばせることを通して、顧客との距離感の短縮、商品のミスマッチの解消、延いては過当競争からの脱却による売り上げの増加が期待できる。
【0046】
また、本実施の形態では、オペレータに依存して、オペレータの性格特性、テンションを表示し、その日の注意事項等をアドバイスしてあげることで、応答ミスを少なくすることができる。
【0047】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。顧客応対情報は、説明文の単なる文章データだけでも良いが、それ以外のものでもよいし、更にそれらの組合せであってもよい。例えば、説明文の色、説明文の文字フォント、説明文の文字の大きさ、説明文の背景、商品の見せ方(強調したい部分のアップを見せるのか、全体像を見せるのか、輝かせて見せるのか、リアルに見せるのか等)、商品説明データを送付する時情報(電話を受けた後に折り返し商品説明データを送付する場合にそれを夕方に送付するのか、早朝に送付するのか、電話の直後に送付するのか、しばらく時間を空けてから送付するのか等の情報)、キャラクタを象徴する画像(例えば動物占いの動物の画像にすることで直感的に顧客のキャラクタを把握することができる)、等々が生年月日に基づく顧客の分類との対応を付けて格納されているデータであってもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、カード会社の場合のコールセンターを例に採り説明したが、顧客又はオペレータの生年月日が特定できるものであれば、通販、宅配便受付、リース製品の保守サービス部門、コンピュータソフトの保守サービス部門など、どのようなコールセンターにも適用できる。また、エンジン部はどのような方法であってもよく、同様な効果を得ることができる。
【0049】
本発明のコールセンターシステムは、コンピュータを本コールセンターシステムとして機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されていてもよい。
【0050】
このプログラムを記録した記録媒体は、図1に示されるサーバ11の記憶部そのものであってもよいし、また、外部記憶装置としてCD−ROMドライブ等のプログラム読取装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なCD−ROM等であってもよい。
【0051】
また、上記記録媒体は、磁気テープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、ハードディスク、MO/MD/DVD等、又は半導体メモリであってもよい。
【0052】
また、本発明のコールセンターシステムは、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述したようなパソコンを用いたクライアント/サーバに適用することもできるが、これには限定されず、すべての装置に適用可能である。
【0053】
また、本実施の形態に係るコールセンターシステムが、パソコン等の情報処理装置や商用サーバの通信機能として組み込まれたものでもよい。
【0054】
さらに、上記サーバを構成する各回路部等の種類、データベース、データベースに蓄積されるデータの種類などは前述した実施の形態に限られない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、商品(サービスを含む)の販売や苦情対応などを行うコールセンターに電話した顧客に対し、オペレータが顧客又は自身の個性に合わせた応答を行う電話応答システムの関連技術として利用できる。また、電話応答制御プログラムとしてコールセンターのサーバなどの装置に組み込むことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態におけるコールセンターシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態におけるコールセンターシステムの電話応対処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 固定電話
2 携帯電話
2A 基地局
3 公衆電話網
10 コールセンター
11 サーバ
12 通信機能部
13 入力部
14 表示部
15 外部記憶装置
16 顧客管理データベース
17 オペレータデータベース
21 判定エンジン部
22 顧客応対情報格納部
23 顧客応対情報提供部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客からの電話を受け付けて、受け付けた電話に対してオペレータが応答するコールセンターシステムであって、
顧客の生年月日を含む顧客情報を蓄積する顧客管理データベースと、
該顧客管理データベースから顧客の生年月日を入力してその顧客が予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定する判定エンジン部と、
予め作成された顧客応対情報が生年月日に基づく顧客の分類との対応を付けて格納されている顧客応対情報格納部と、
前記判定エンジン部の判定結果に基づいて前記顧客応対情報格納部から該当する顧客応対情報を取り出して出力する顧客応対情報提供部と、
該顧客応対情報提供部から出力される顧客応対情報を表示する表示部と
を備えることを特徴とするコールセンターシステム。
【請求項2】
オペレータの生年月日を含むオペレータに関する情報を蓄積するオペレータデータベースを更に備え、
前記判定エンジン部は、該オペレータデータベースからオペレータの生年月日を入力してそのオペレータが予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定し、オペレータの属する分類と顧客の属する分類とからそのオペレータとその顧客との相性を判定し、
前記顧客応対情報格納部は、予め作成された顧客応対情報が前記判定エンジン部によって判定される前記相性との対応を付けて格納されている
ことを特徴とする請求項1記載のコールセンターシステム。
【請求項3】
前記判定エンジン部は、更に電話を受け付ける時に基づく相性を判定することを特徴とする請求項2記載のコールセンターシステム。
【請求項4】
顧客からの電話を受け付けて、受け付けた電話に対してオペレータが応答するコールセンターシステムであって、
オペレータの生年月日を含むオペレータに関する情報を蓄積するオペレータデータベースと、
該オペレータデータベースからオペレータの生年月日を入力してそのオペレータが予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定する判定エンジン部と、
予め作成された顧客応対情報が生年月日に基づくオペレータの分類との対応を付けて格納されている顧客応対情報格納部と、
前記判定エンジン部の判定結果に基づいて前記顧客応対情報格納部から該当する顧客応対情報を取り出して出力する顧客応対情報提供部と、
該顧客応対情報提供部から出力される顧客応対情報を表示する表示部と
を備えることを特徴とするコールセンターシステム。
【請求項5】
前記判定エンジン部は、更に電話を受け付ける時に基づく分類を判定することを特徴とする請求項1又は4記載のコールセンターシステム。
【請求項6】
コンピュータを、
顧客からの電話を受け付けて、受け付けた電話に対してオペレータが応答するコールセンターシステムであって、顧客の生年月日を含む顧客情報を蓄積する顧客管理データベースと、該顧客管理データベースから顧客の生年月日を入力してその顧客が予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定する判定エンジン部と、予め作成された顧客応対情報が生年月日に基づく顧客の分類との対応を付けて格納されている顧客応対情報格納部と、前記判定エンジン部の判定結果に基づいて前記顧客応対情報格納部から該当する顧客応対情報を取り出して出力する顧客応対情報提供部と、該顧客応対情報提供部から出力される顧客応対情報を表示する表示部とを備えるコールセンターシステム
として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
顧客からの電話を受け付けて、受け付けた電話に対してオペレータが応答するコールセンターシステムであって、オペレータの生年月日を含むオペレータ情報を蓄積するオペレータデータベースと、該オペレータデータベースからオペレータの生年月日を入力してそのオペレータが予め設定された複数の分類の中のどの分類に属するかを判定する判定エンジン部と、予め作成された顧客応対情報が生年月日に基づくオペレータの分類との対応を付けて格納されている顧客応対情報格納部と、前記判定エンジン部の判定結果に基づいて前記顧客応対情報格納部から該当する顧客応対情報を取り出して出力する顧客応対情報提供部と、該顧客応対情報提供部から出力される顧客応対情報を表示する表示部とを備えるコールセンターシステム
として機能させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−60225(P2007−60225A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242403(P2005−242403)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(300022984)株式会社ノラコム (2)
【Fターム(参考)】