説明

ゴミ箱

【課題】圧縮機能を備えたごみ箱を、使い勝手がよい上方からのゴミ投入を行うことができて、横長で、高さが嵩張ることがない横置きに適したものとすること。
【解決手段】前端開口16を有して内側にゴミ収容室14を画定するケーシング12と、上方開口で後方がゴミ収容室14に向けて開放されたゴミ受取部24を有し、ゴミ受取部24がケーシング12の前端開口16より前側に引き出された引き出し位置とゴミ受取部24がケーシング12内に差し込まれた差し込み位置との間をスライド可能なゴミ受取部材22とを有し、ゴミ受取部材22には、ゴミ受取部材22をスライド移動させるための傾動可能な取っ手部材50と、取っ手部材50の傾動によってゴミ受取部24に進入する方向に移動する押し込み部材46とが取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ箱に関し、特に、投入されたゴミを圧縮して収容する圧縮機能付きのゴミ箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧縮機能付きのゴミ箱として、ゴミ箱本体の上方開口部を開閉する蓋体が上下動可能に設けられ、操作レバーの手操作によって蓋体が閉状態でゴミ箱本体内を降下することにより、上方開口部よりゴミ箱本体内に投入された紙ゴミ等を圧縮するゴミ箱が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−37402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されているような圧縮機能付きのゴミ箱は、縦置きのゴミ箱であるので、広い空間、特に高さを確保できる洗面室等、家屋での使用に適しているが、自動車の室内等、高さを確保することが難しい狭い空間での使用には適していない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、圧縮機能付きのゴミ箱を、自動車の室内等、高さを確保することが難しい狭い場所に設置できるようにすること、特に、座席下方空間の有効利用と車室内でのゴミ箱の使い勝手の良さとを両立することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるゴミ箱(10)は、前端開口(16)を有して内側にゴミ収容室(14)を画定するケーシング(12)と、上方開口で後方が前記ゴミ収容室(14)に向けて開放されたゴミ受取部(24)を有し、前記ゴミ受取部(24)が前記ケーシング(12)の前端開口(16)より前側に引き出された引き出し位置と前記ゴミ受取部(24)が前記ケーシング(12)内に差し込まれた差し込み位置との間をスライド可能なゴミ受取部材(22)と、前記ゴミ受取部材(22)の前端部に傾動可能に連結され、前記ゴミ受取部材(22)をスライド移動させる取っ手部材(50)と、前記ゴミ受取部材(22)の前記ゴミ受取部(24)より前側にあって前記ゴミ受取部材(22)のスライド方向と同方向にスライド可能に設けられ、前記取っ手部材(50)の傾動により前記ゴミ受取部(24)に進入する方向に移動する押し込み部材(46)とを有する。
【0007】
この構成によれば、ゴミ受取部材(22)を引き出し位置に引き出すことにより、ゴミ受取部(24)に、上方からゴミ投入を行うことができ、取っ手部材(50)によってゴミ受取部材(22)を引き出す際に、取っ手部材(50)を傾動させるだけで、押し込み部材(46)がゴミ受取部(24)に進入する方向に移動し、次のゴミ投入に先立って既に投入されているゴミの押し込み圧縮を行うので、ゴミ箱(10)のゴミ収容量が増す。
【0008】
本発明によるゴミ箱は、好ましくは、更に、前記ケーシング(12)の前記前端開口(16)近傍に取り付けられ、前記前端開口(16)より前記ゴミ収容室(14)へのゴミの移動を許して前記ゴミ収容室(14)より前記前端開口(16)へのゴミの移動を禁止する逆止部材(36)を有し、前記ケーシング(12)の後端側に開閉可能なゴミ取出部(20)を有する。
【0009】
この構成によれば、一旦、ゴミ収容室(14)に入れられたゴミが逆止部材(36)によって堰き止められて前端開口(16)の側へ逆流することがなく、ゴミ受取部材(22)を引き出し位置に引き出した時に、ゴミ受取部(24)が空状態であることを保証する。
【0010】
本発明によるゴミ箱は、好ましくは、更に、前記ゴミ受取部材(22)に転倒可能に取り付けられた仕切り板(28)と、前記仕切り板(28)を起立方向に付勢するばね(32)とを有し、前記仕切り板(28)は、前記ばね(32)のばね力によって起立状態となって前記ゴミ受取部(24)と前記ゴミ収容室(14)とを区画し、前記ゴミ収容室(14)の側から押された場合には転倒せず、前記ゴミ受取部(24)の側から押された場合のみ前記ばね(32)のばね力に抗して転倒し、前記ゴミ受取部(24)より前記ゴミ収容室(14)へのゴミの移動を許容する。
【0011】
この構成によれば、仕切り板(28)によってゴミ収容室(14)の側からゴミ受取部(24)へゴミの移動が禁止され、ゴミ収容室(14)からゴミ受取部(24)へゴミが逆流することがない。
【0012】
本発明によるゴミ箱は、好ましくは、更に、前記ゴミ受取部材(22)を前記差し込み位置に選択的に固定するロック機構(64、68)を有し、当該ロック機構(64、68)は、前記ゴミ受取部材(22)が前記差し込み位置に位置することによりロック状態になり、前記取っ手部材(50)の傾動によってロックを解除する。
【0013】
この構成によれば、ロック機構(64、68)によってゴミ受取部材(22)が差し込み位置に選択的に固定され、不用意にゴミ受取部材(22)が引き出し方向に移動することがない。ロック解除は、取っ手部材(50)によってゴミ受取部材(22)を引き出す際に、取っ手部材(50)を傾動させるだけで行われるので、ロック解除操作が煩わしいものにならない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるゴミ箱は、使い勝手がよい上方からのゴミ投入を行うことができて、横長で、高さが嵩張ることがない圧縮機能を備えた横置きに適したゴミ箱になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるゴミ箱の一つの実施例の閉状態を示す斜視図。
【図2】本発明によるゴミ箱の一つの実施例の開状態を示す斜視図。
【図3】本実施例によるゴミ箱の開状態の半断面斜視図。
【図4】本実施例によるゴミ箱のゴミ受取部材組立体を示す斜視図。
【図5】本実施例によるゴミ箱の分解斜視図。
【図6】本実施例によるゴミ箱の動作行程(A)〜(D)を示す断面図。
【図7】本実施例によるゴミ箱の動作行程(E)〜(G)を示す断面図。
【図8】本実施例によるゴミ箱の使用例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明によるゴミ箱の一つの実施例を、図1〜図5を参照して説明する。
【0017】
ゴミ箱10は、外殻部材として、ケーシング12を有する。ケーシング12は横長の四角筒体により構成され、内側にゴミ収容室14を画定している。ケーシング12の前端開口は開口端として前端開口部16をなしている。ケーシング12の後端開口は、ケーシング12の後端部に着脱可能に取り付けられた後部蓋体18により開閉されるゴミ取出口20になっている。後部蓋体18は、ゴミ収容室14の後壁をなしている。
【0018】
ケーシング12には、前端開口部16よりケーシング12内にゴミ受取部材22が挿入されている。ゴミ受取部材22は、底壁22Aと左右側壁22B、22Cとにより溝形断面形状をなし、上方開口で、後方がゴミ収容室14に向けて開放されたゴミ受取部24を有する。ゴミ受取部材22は、図2に示されているように、ゴミ受取部24がケーシング12の前端開口部16より前方に引き出されてケーシング12外に露呈する引き出し位置と、ゴミ受取部24がケーシング12内に差し込まれた差し込み位置との間をスライド可能になっている。
【0019】
ゴミ受取部材22の底壁22Aには枢軸26によって仕切り板28が回動可能に取り付けられている。仕切り板28には、ゴミ受取部材22の底壁22Aに当接することにより、図3で見て反時計廻り方向の回動を規制するストッパ突起30が設けられている。仕切り板28は、ストッパ突起30がゴミ受取部材22の底壁22Aに当接することにより、それ以上の図3で見て反時計廻り方向の回動を規制された状態で起立(略直立)し、ゴミ受取部24とゴミ収容室14とを区画する。仕切り板28は、この起立状態より図3で見て時計廻り方向へ回動することにより、ゴミ収容室14の側へ倒れ、ゴミ受取部材22の底壁22Aと面一になるまで転倒可能である(図6(B)参照)。
【0020】
仕切り板28とゴミ受取部材22との間には捩りコイルばね32が取り付けられている。捩りコイルばね32は、仕切り板28を、図3で見て反時計廻り方向、換言すると、起立方向に付勢している。
【0021】
仕切り板28は、ゴミ収容室14の側から押された場合には、ストッパ突起30がゴミ受取部材22の底壁22Aに当接することにより転倒せず、起立状態を維持する。これに対し、ゴミ受取部24の側から押された場合には、捩りコイルばね32のばね力に抗して転倒し、ゴミ受取部24よりゴミ収容室14へのゴミの移動を許容する。このようにして、仕切り板28は、ゴミ収容室14の側からゴミ受取部24へゴミの移動を禁止し、ゴミ収容室14からゴミ受取部24へゴミが逆流しないようにする。
【0022】
ケーシング12の天井壁12Aの前端開口16近傍には軸状突起34によって堰き止め板36が回動可能に取り付けられている。堰き止め板36には、ケーシング12の天井壁12Aに当接することにより、図3で見て時計廻り方向の回動を規制するストッパ突起38が設けられている。堰き止め板36は、ストッパ突起38がケーシング12の天井壁12Aに当接することにより、それ以上の図3で見て時計廻り方向の回動を規制された状態で、自重によって垂直に垂下して前端開口16の側、換言するとゴミ収容室14よりゴミ受取部24へのゴミの逆流を防止する。堰き止め板36は、この垂下状態より図3で見て反時計廻り方向へ回動することにより、ゴミ収容室14の側へ跳ね上ることができる。
【0023】
このように、堰き止め板36は、前端開口16の側よりゴミ収容室14へのゴミの移動を許してゴミ収容室14より前端開口16へのゴミの移動を禁止する逆止部材として作用する。
【0024】
仕切り板28と堰き止め板36の位置関係は、ゴミ受取部材22が差し込み位置にある状態では、堰き止め板36より仕切り板28が後側にある(図6(A)参照)。ゴミ受取部材22が差し込み位置より引き出し位置へ移動することにより、仕切り板28は転倒しながら垂下状態の堰き止め板36の下方をすり抜けて堰き止め板36より前側に位置し(図6(D)参照)、ゴミ受取部材22が引き出し位置より差し込み位置へ移動する際には、仕切り板28が堰き止め板36を跳ね上げながら堰き止め板36を乗り越して堰き止め板36より後側に位置する(図7(F)参照)。
【0025】
ケーシング12の天井壁12Aには、跳ね上げられた堰き止め板36を受け入れる開口40が形成されている。開口40は、ケーシング12をゴミ箱取付対象物より吊り下げ支持するためのマウント部42を備えてケーシング12に固定された上部蓋体44によって閉じられている。マウント部42は、バヨネット式のものであり、ゴミ箱取付対象物には、マウント部42とバヨネット係合するリング部材43が取り付けられる。
【0026】
ゴミ受取部材22には、箱状の押し込み部材46が設けられている。押し込み部材46は、ゴミ受取部24より前側にあってゴミ受取部材22のスライド方向と同方向にスライド可能で、先端壁部(後端面)46Aがゴミ受取部24より前方に位置してゴミ受取部24の前部画定する定常位置と、先端壁部46Aがゴミ受取部24に進入する進入位置との間に往復動可能になっている。押し込み部材46は、ゴミ受取部材22が差し込み位置にある状態において、定常位置より進入位置へ移動することにより、堰き止め板36を上方に跳ね上げる(図6(B)参照)。
【0027】
ゴミ受取部材22の前部には、枢軸48によって取っ手部材50が傾動可能に取り付けられている。枢軸48は、取っ手部材50の中間部に形成された長孔52を遊嵌状態で貫通してゴミ受取部材22のブラケット54に形成された円孔56に圧入されている。これにより、取っ手部材50は、ゴミ受取部材22を手動でスライド移動させるための操作子であって、長孔52の長手方向範囲で、後方へ滑り込むようにして所定の傾斜角範囲で傾動することができる。取っ手部材50は後方へ折曲した先端部51を枢軸58によって押し込み部材46の背部に枢動可能に連結されている。
【0028】
取っ手部材50と押し込み部材46との間には捩りコイルばね60が取り付けられている。捩りコイルばね60は、取っ手部材50を図3で見て時計廻り方向に付勢している。
このばね付勢によって取っ手部材50は、起立し、起立状態より捩りコイルばね60のばね力に抗して図3で見て反時計廻り方向の回動によって傾動することにより、押し込み部材46を定常位置より進入位置へ移動させる。
【0029】
ゴミ受取部材22の前端部には前蓋部材61が取り付けられている。
【0030】
ゴミ受取部材22の底壁22Aには上下貫通孔62が形成されている。上下貫通孔62にはロックピン64が上下動可能に挿入されている。ロックピン64は、圧縮コイルばね66のばね力によって下方に付勢され、ゴミ受取部材22が差し込み位置に位置することにより、ケーシング12の底壁12Bに形成された係合孔68に嵌合し、ゴミ受取部材12を差し込み位置に固定する(図6(A)参照)。この状態をロック状態と云う。
【0031】
ロックピン64は、ゴミ受取部材22が引き出し位置にある時にはケーシング12外でゴミ受取部材22の底壁22Aより下方に突出する(図7(E)参照)。ゴミ受取部材22が引き出し位置より差し込み位置へ戻される際には、ロックピン64がケーシング12との当接により押し上げられてケーシング12内の元の位置に戻るよう、ロックピン64の先端面は傾斜面64Aになっている。
【0032】
ロックピン64は押し込み部材46に形成されたカム部70に係合している。このカム係合により、ロックピン64は、押し込み部材46の定常位置より進入位置への移動に伴い圧縮コイルばね66のばね力に抗して持ち上げられて係合孔68より抜け出す。これによりロックが解除され、ゴミ受取部材22が差し込み位置より引き出し位置へ移動できる状態になる。なお、押し込み部材46が定常位置にある状態では、ロックピン64は、カム部70との係合より離脱し(図6(A)参照)、圧縮コイルばね66のばね力によって押し下げられている。
【0033】
つぎに、図6、図7を参照して本実施例によるゴミ箱10の動作について説明する。
【0034】
図6(A)に示されているように、ゴミ受取部材22が差し込み位置にある初期状態(閉状態)では、ロックピン64が圧縮コイルばね66のばね力によって係合孔68に嵌合してゴミ受取部材22を差し込み位置に固定するロック状態にあり、取っ手部材50は捩りコイルばね60のばね力によって起立状態にある。これに伴い押し込み部材46は定常位置にある。
【0035】
この初期状態において、ゴミ箱10にゴミを投入する際には、取っ手部材50を手で握って、取っ手部材50を捩りコイルばね60のばね力に抗して手前に(反時計廻り方向)に傾動させる。取っ手部材50の傾動により、図6(B)に示されているように、押し込み部材46が定常位置より進入位置へ移動する。この押し込み部材46の移動により、既に、ゴミ箱10内に投入されてゴミ受取部24内にあるゴミT1がゴミ収容室14の後方側に押される。これに伴い仕切り板28が捩りコイルばね32のばね力に抗してゴミ収容室14の側へ倒れ、ゴミ受取部24内にあったゴミT1は、ゴミ受取部24の奥側にあるゴミT2と共に、押し込み部材46とゴミ収容室14の後壁をなす後部蓋体18とに挟まれて圧縮されつつ転倒している仕切り板28を乗り越えてゴミ収容室14に押し込まれる。この圧縮によってゴミの嵩が低減し、ゴミ箱10のゴミ収容可能量が増大する。
【0036】
取っ手部材50の傾動によって押し込み部材46が定常位置より進入位置へ移動することにより、カム部70によってロックピン64が、圧縮コイルばね66のばね力に抗して持ち上げられ、係合孔68より抜け出し、ロックが解除される。これにより、ロック解除が煩わしい操作を必要とすることなく、操作性よく行われる。
【0037】
この状態のまま取っ手部材50を手前に引くことにより、図6(C)に示されているように、ゴミ受取部材22がハウジング12より前方に引き出され、ロックピン64が係合孔68より前方に離れた位置に位置する。その後、取っ手部材50を手前に引きつつ取っ手部材50の傾動を解除すると、図6(D)に示されているように、捩りコイルばね60のばね力によって取っ手部材50が元の起立位置へ戻り移動する。これに伴い押し込み部材46が定常位置へ戻り移動し、ロックピン64がカム部70との係合より離れて圧縮コイルばね66のばね力によって下方に付勢される。
【0038】
このゴミ受取部材22の引き出し位置への移動の際には、堰き止め板36は垂下状態にあって仕切り板28が堰き止め板36の下方をくぐるので、ゴミ収容室14にたくさんのゴミがあっても、ゴミは、堰き止め板36によって堰き止められ、ゴミ受取部24の側へ逆流することがない。
【0039】
このゴミ受取部材22が引き出し位置まで引き出されると、図7(E)に示されているように、ゴミ受取部24は、ケーシング12の前端開口より前側にあって、後退位置にある押し込み部材46の先端壁46Aと起立した仕切り板28とによって前後を区切られた上方開口のゴミ受け取り容器状をなす。これにより、既に投入されているゴミT1、T2が外側より見えることかない。このように、ゴミ受取部材22が引き出し位置に引き出された状態で、ゴミT3をゴミ受取部24の上方からゴミ受取部24内に投入する。
【0040】
ゴミ投入後に、取っ手部材50を起立状態のまま、取っ手部材50によってゴミ受取部材22を引き出し位置より差し込み位置へ移動させる。この移動により、図7(F)、(G)に示されているように、ゴミ受取部24がケーシング12内へ移動すると共に、仕切り板28が堰き止め板36を跳ね上げながら堰き止め板36を乗り越して堰き止め板36より後側に位置し、ロックピン64が傾斜面64Aに案内されて上昇し、図6(A)に示されているように、ゴミ受取部材22が差し込み位置に戻ると、ロックピン64が係合孔68内に落ち込み、ゴミ受取部材22が再び差し込み位置に固定される。
【0041】
ゴミ収容室14内のゴミの廃棄は、後部蓋体18を取り外してゴミ収容室14内のゴミをゴミ取出口20より取り出すことにより行うことができる。
【0042】
上述したように、本実施例では、ゴミ受取部材22を引き出し位置に引き出すことにより、ゴミ受取部24に、上方からゴミ投入を行うことができ、取っ手部材50によってゴミ受取部材22を引き出す際に、取っ手部材50を傾動させるだけで、押し込み部材46がゴミ受取部24に進入する方向に移動し、次のゴミ投入に先立って既に投入されているゴミの押し込み圧縮を行うので、紙のような嵩張るゴミであっても、ゴミ箱10のゴミ収容量が増す。これにより、ゴミ収容室14内のゴミ廃棄の頻度を軽減できる。
【0043】
これにより、使い勝手がよい上方からのゴミ投入を行うことができて、横長で、高さが嵩張ることがない圧縮機能を備えた横置きに適したゴミ箱10が得られる。
【0044】
また、本実施例では、堰き止め板36が設けられていることにより、一旦、ゴミ収容室14に入れられたゴミが前端開口16の側へ逆流することが阻止され、ゴミ受取部材22を引き出し位置に引き出した時に、ゴミ受取部24が空状態であることが保証される。
【0045】
更に、本実施例では、仕切り板28が設けられていることにより、ゴミ収容室14の側からゴミ受取部24へゴミがが逆流することもない。
【0046】
なお、ゴミ受取部材22は、ケーシング12より抜き出すことができるので、ゴミ箱10の分解掃除、洗浄を容易に行うことができる。
【0047】
上述の実施例では、ロックピン64は、取っ手部材50の傾動に伴う押し込み部材46の移動によってロック解除方向に移動するが、このロック解除方向の移動は、ロックピン64と取っ手部材50とを連動関係で連結することにより、取っ手部材50の傾動によって直接的に行われるようにすることもできる。
【0048】
図8は、本実施例のゴミ箱10を自動車の前部座席100の下方空間に設置した使用例を示している。図8(A)はゴミ受取部材差し込み状態(閉状態)を、図8(B)はロック解除状態を、図(C)はゴミ受取部材引き出し状態を各々示している。この場合、ゴミ箱取付対象物は、前部座席100のシートフレーム(図示省略)になり、リング部材43(図1参照)は、シートフレームの下底面に固定される。
【0049】
この使用例では、取っ手部材50が前部座席100の後部にあって、後部座席に着座している乗員がゴミ箱10を利便性よく使うことができる。
【0050】
ゴミ箱10は、横長で、高さが嵩張ることがない横置きタイプであるので、高さがあまりない前部座席100の下方空間に設置でき、乗員空間を狭くすることなく、デッドスペースであった前部座席100の下方空間を有効利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 ゴミ箱
12 ケーシング
14 ゴミ収容室
16 前端開口部
18 後部蓋体
20 ゴミ取出口
22 ゴミ受取部材
24 ゴミ受取部
28 仕切り板
36 堰き止め板
42 マウント部
46 押し込み部材
50 取っ手部材
64 ロックピン
68 係合孔
70 カム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端開口を有して内側にゴミ収容室を画定するケーシングと、
上方開口で後方が前記ゴミ収容室に向けて開放されたゴミ受取部を有し、前記ゴミ受取部が前記ケーシングの前端開口より前側に引き出された引き出し位置と前記ゴミ受取部が前記ケーシング内に差し込まれた差し込み位置との間をスライド可能なゴミ受取部材と、
前記ゴミ受取部材の前端部に傾動可能に連結され、前記ゴミ受取部材をスライド移動させる取っ手部材と、
前記ゴミ受取部材の前記ゴミ受取部より前側にあって前記ゴミ受取部材のスライド方向と同方向にスライド可能に設けられ、前記取っ手部材の傾動により前記ゴミ受取部に進入する方向に移動する押し込み部材と、
を有するゴミ箱。
【請求項2】
前記ケーシングの前記前端開口近傍に取り付けられ、前記前端開口より前記ゴミ収容室へのゴミの移動を許して前記ゴミ収容室より前記前端開口へのゴミの移動を禁止する逆止部材を有し、ケーシング12の後端側に開閉可能なゴミ取出部を有する請求項1に記載のゴミ箱。
【請求項3】
前記ゴミ受取部材に転倒可能に取り付けられた仕切り板と、前記仕切り板を起立方向に付勢するばねとを有し、
前記仕切り板は、前記ばねのばね力によって起立状態となって前記ゴミ受取部と前記ゴミ収容室とを区画し、前記ゴミ収容室の側から押された場合には転倒せず、前記ゴミ受取部の側から押された場合のみ前記ばねのばね力に抗して転倒し、前記ゴミ受取部より前記ゴミ収容室へのゴミの移動を許容する請求項1または2に記載のゴミ箱。
【請求項4】
前記ゴミ受取部材を前記差し込み位置に選択的に固定するロック機構を有し、当該ロック機構は、前記ゴミ受取部材が前記差し込み位置に位置することによりロック状態になり、前記取っ手部材の傾動によってロックを解除する請求項1から3の何れか一項に記載のゴミ箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−251839(P2011−251839A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128509(P2010−128509)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】