説明

ゴムシート保管方法

【課題】未加硫のゴムシートを綺麗に剥がして取り出せるように積み重ねて保管でき、しかも、その保管や取出しの作業効率を向上できるゴムシート保管方法を提供する。
【解決手段】未加硫のゴムシートGSを保管する際、蛇行状態で連続する離型フィルムFを介して未加硫のゴムシートGSが効率的に積み重ねられる。そして、後工程で未加硫のゴムシートGSを取り出す際には、蛇行状態で連続した離型フィルムFから未加硫のゴムシートGSが効率的に、しかも綺麗に剥がして取り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムシート保管方法に関し、詳しくは、未加硫のゴムシートを積み重ねて保管するゴムシート保管方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加硫されたゴムシートは、一般に表面の粘着性が低減されるため、短尺のゴムシートであればそのまま積み重ねて保管することができ、長尺帯状のゴムシートであれば、蛇行状態に折り返して積み重ねることができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−307871号公報(段落番号0002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、未加硫のゴムシートは、一般に表面の粘着性が高いため、これを積み重ねて保管すると、その積み重ねた表面が相互に粘着してしまい、後工程でゴムシートを綺麗に剥がして取り出すことができなくなる。また、そのようなゴムシートを高い寸法精度が要求される医薬医療用ゴム製品の製造に使用すると、製品の寸法制度の低下や成形品の変形等の原因となり好ましくない。
【0005】
もっとも、未加硫のゴムシートを積み重ねて保管する際に、各ゴムシートの間に離型フィルムを介在させれば、後工程でゴムシートを綺麗に剥がして取り出すことができる。しかしながら、この場合には、ゴムシートの保管に際して各ゴムシートの間に離型フィルムを介在させる作業や、ゴムシートの取出しに際して各ゴムシートの間から離型フィルムを除去する作業に手間が掛かるうえ、除去した離型フィルムの処分等にも多大の手間が掛かり、ゴムシートの保管や取出しの作業効率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に対応してなされたものであり、医薬医療用ゴム製品に使用される未加硫のゴムシートを綺麗に剥がして取り出せるように積み重ねて保管でき、しかも、その保管や取出しの作業効率を向上できるゴムシート保管方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決する手段として、本発明に係るゴムシート保管方法は、未加硫のゴムシートを積み重ねて保管するゴムシート保管方法であって、連続した離型フィルムを上方から繰り出しつつ左右に振って蛇行させ、蛇行する離型フィルム上に順次ゴムシートを載置して積み重ねることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るゴムシート保管方法では、未加硫のゴムシートを保管する際、蛇行状態で連続する離型フィルムを介して未加硫のゴムシートが効率的に積み重ねられる。そして、後工程で未加硫のゴムシートを取り出す際には、蛇行状態で連続した離型フィルムから未加硫のゴムシートが効率的に、しかも綺麗に剥がして取り出される。
【0009】
本発明のゴムシート保管方法においては、離型フィルムを繰り出す過程で離型フィルムの両面の塵埃を除去するのが好ましい。この場合、離型フィルムに付着した塵埃が未加硫のゴムシートに付着するのが未然に防止される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るゴムシート保管方法によれば、未加硫のゴムシートを保管する際、蛇行状態で連続する離型フィルムを介して未加硫のゴムシートを効率的に積み重ねて保管することができる。そして、後工程で未加硫のゴムシートを取り出す際には、蛇行状態で連続した離型フィルムから未加硫のゴムシートを効率的に、しかも綺麗に剥がして取り出すことができる。また、離型フィルムも連続しているため未加硫のゴムシートの積み重ねや取り出し作業の際などに飛散等のおそれがないばかりか、取り出し後には巻き取りなどにより効率的に処分することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るゴムシート保管方法の一実施形態を模式的に説明する書面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明に係るゴムシート保管方法の一実施形態を説明する。一実施形態のゴムシート保管方法は、例えば図1に示すように、作業テーブルT上に載置されたパレットP上に未加硫のゴムシートGSを複数段に積み重ねて保管する方法である。
【0013】
ここで、一実施形態のゴムシート保管方法では、フィルムガイド装置1を使用することにより、ロール状に巻かれて連続している離型フィルムFをパレットPの上方から繰り出しつつパレットP上で左右に振って蛇行させ、蛇行する離型フィルムF上に未加硫のゴムシートGSを順次載置する。
【0014】
未加硫のゴムシートGSは、前工程で所定の原料を混練してシート状に形成されたものであり、後工程で加硫処理された後、例えばゴム栓の原料として使用される。
【0015】
離型フィルムFは、例えばポリエチレンフィルムやその両面に離型剤としてシリコンがコーティングされたものであり、ゴムシートGSの前後幅(縦寸法)より若干大きい幅を有する。
【0016】
ここで、フィルムガイド装置1は、フィードローラ1A、第1ガイドローラ1B、第2ガイドローラ1C、第1ごみ取りローラ1D、第2ごみ取りローラ1E、往復ガイドバー1F、揺動ポール1Gなどを備えて構成されている。
【0017】
フィードローラ1Aは、例えばパレットPの右斜め上方に設置されており、ロール状に巻かれた離型フィルムFを装着して回転自在に支持している。また、第1ガイドローラ1Bは、例えばフィードローラ1Aの左斜め下に配設されており、フィードローラ1Aから繰り出される離型フィルムFの内面に転がり接触している。そして、第2ガイドローラ1Cは、第1ガイドローラ1Bの右方に配置されており、第1ガイドローラ1Bに巻回されて引き出された離型フィルムFの外面に転がり接触している。
【0018】
第1ごみ取りローラ1Dは、第1ガイドローラ1Bと第2ガイドローラ1Cとの間において第1ガイドローラ1Bの近傍に配設されている。この第1ごみ取りローラ1Dは、外周の弱粘着剤層が離型フィルムFの外面に転がり接触することで、離型フィルムFの外面に付着している塵埃を除去する。
【0019】
第2ごみ取りローラ1Eは、第1ガイドローラ1Bと第2ガイドローラ1Cとの間において第2ガイドローラ1Cの近傍に配設されている。この第2ごみ取りローラ1Eは、外周の弱粘着剤層が離型フィルムFの内面に転がり接触することで、離型フィルムFの内面に付着している塵埃を除去する。
【0020】
往復ガイドバー1F,1Fは、第2ガイドローラ1Cに巻回された離型フィルムFをパレットPの上方に引き出して左右に振るためのものであり、パレットPの上方で左右に揺動可能な揺動ポール1Gの上端部に固定されている。この往復ガイドバー1F,1Fは、離型フィルムFの幅寸法を超える長さを有し、離型フィルムFを挿通する所定の間隔を左右に開けた平行状態で、前後方向に略水平に延びている。
【0021】
揺動ポール1Gは、下端部から前後方向(図1の紙面に垂直な方向)手前に延びる枢軸部1Hを有し、その円形の外周がベースブロック1Jの円形の支持孔に嵌合することで、揺動ポール1Gの上端部が左右に揺動可能となっている。
【0022】
そして、ベースブロック1Jの支持孔から突出した枢軸部1Hの端部には、揺動ポール1Gを左右に揺動させて左右の揺動端に保持するための左右一対のストッパ兼用ペダル1K,1Kが固定されている。
【0023】
一実施形態のゴムシート保管方法では、未加硫のゴムシートGSを保管する場合、例えば図1に示す作業テーブルT上にパレットPを載置し、このパレットP上に未加硫のゴムシートGSを複数段に積み重ねる。
【0024】
まず、1段目のゴムシートGSをパレットP上に載置する際には、左側のストッパ兼用ペダル1Kを踏み込んで揺動ポール1Gの上端部と共に往復ガイドバー1F,1Fを左側に揺動させる。そして、往復ガイドバー1F,1Fにより離型フィルムFを第2ガイドローラ1Cから左側に引き出してパレットP上に予め敷き込んでおく。その後、この離型フィルムFを介してパレットP上に1段目のゴムシートGSを載置する。
【0025】
1段目のゴムシートGS上に2段目のゴムシートGSを積み重ねる際には、右側のストッパ兼用ペダル1Kを踏み込んで揺動ポール1Gの上端部と共に往復ガイドバー1F,1Fを右側に揺動させる。そして、往復ガイドバー1F,1Fにより離型フィルムFを右側に蛇行させて1段目のゴムシートGS上に敷き込む。その後、右側に蛇行した離型フィルムFを介して1段目のゴムシートGS上に2段目のゴムシートGSを積み重ねる。
【0026】
2段目のゴムシートGS上に3段目のゴムシートGSを積み重ねる際には、左側のストッパ兼用ペダル1Kを踏み込んで揺動ポール1Gの上端部と共に往復ガイドバー1F,1Fを左側に揺動させる。そして、往復ガイドバー1F,1Fにより離型フィルムFを第2ガイドローラ1Cから左側に引き出し、これを左側に蛇行させて2段目のゴムシートGS上に敷き込む。その後、左側に蛇行した離型フィルムFを介して2段目のゴムシートGS上に3段目のゴムシートGSを積み重ねる。
【0027】
以降、同様の手順を繰り返すことにより、パレットP上に未加硫のゴムシートGSを複数段に積み重ね、最上段のゴムシートGS上に離型フィルムFを被せた後、離型フィルムFを切断する。そして、作業テーブルTからパレットPを適所に移動させることにより、未加硫のゴムシートGSをパレットP上に複数段に積み重ねて保管する。
【0028】
ここで、未加硫のゴムシートGSの保管作業に際しては、蛇行状態で連続する離型フィルムFを介して未加硫のゴムシートGSが効率的に積み重ねられる。そして、この離型フィルムFの両面に付着していた塵埃は、第1ガイドローラ1Bから第2ガイドローラ1Cへ引き出される過程において、第1ごみ取りローラ1Dおよび第2ごみ取りローラ1Eにより除去されるため、離型フィルムFに付着していた塵埃が未加硫のゴムシートGSに付着する事態が未然に防止される。また、必要に応じて、例えばパレットP等に帯電除去装置(図示 省略)を設けることにより、積み重ね時や保管時の静電気による塵埃の付着が抑制される。
【0029】
パレットP上に複数段に積み重ねて保管された未加硫のゴムシートGSを後工程で取り出す際には、最上段のゴムシートGS上に被せた離型フィルムFを引き剥がした上で、この離型フィルムFに蛇行状態で連続する下段の離型フィルムFから最上段のゴムシートGSを引き剥がす。これにより、最上段のゴムシートGSは、その下段のゴムシートGSに粘着することなく綺麗に引き剥がして取り出される。
【0030】
以降、同様の手順を繰り返すことにより、パレットP上に複数段に積み重ねて保管された未加硫のゴムシートGSが順次綺麗に引き剥がして取り出される。そして、この未加硫のゴムシートGSの取り出し作業においては、離型フィルムFが蛇行状態で連続しているため、離型フィルムFを回収用ロールで巻き取ること等も容易であり、このようなゴムシートGSの取り出し・離型フィルムFの回収手法により、離型フィルムFの飛散やそれによる製造環境汚染のおそれもなく効率的かつ清浄に離型フィルムFの除去および回収作業が行われる。このように、本発明は、製品の清浄度が高いレベルで要求される医薬医療用ゴム製品の製造に特に適している。
【0031】
すなわち、一実施形態のゴムシート保管方法によれば、未加硫のゴムシートGSを保管する際、蛇行状態で連続する離型フィルムFを介して未加硫のゴムシートGSを効率的に積み重ねて保管することができる。そして、後工程で未加硫のゴムシートGSを取り出す際には、蛇行状態で連続した離型フィルムFから未加硫のゴムシートGSを効率的に、しかも綺麗に剥がして取り出すことができ、連続した離型フィルムも効率的かつ清浄に回収することができる。
【0032】
本発明に係るゴムシート保管方法は、前述した一実施形態に限定されるものではない。例えば、図1に示すフィードローラ1AからパレットPの上方に繰り出される離型フィルムFのパスラインは、図1に示す例に限らず、適宜変更することができる。
【0033】
また、パレットPの上方に繰り出された離型フィルムFを左右に振って蛇行させるための往復ガイドバー1F,1Fは、揺動ポール1Gに限らず、適宜の往復運動機構により左右に往復移動するように構成することができる。
【符号の説明】
【0034】
1:ガイド装置
1A:フィードローラ
1B:第1ガイドローラ
1C:第2ガイドローラ
1D:第1ごみ取りローラ
1E:第2ごみ取りローラ
1F:往復ガイドバー
1G:揺動ポール
1H:枢軸部
1J:ベースブロック
1K:ストッパ兼用ペダル
F:離型フィルム
GS:ゴムシート
P:パレット
T:作業テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫のゴムシートを積み重ねて保管するゴムシート保管方法であって、連続した離型フィルムを上方から繰り出しつつ左右に振って蛇行させ、蛇行する離型フィルム上に順次ゴムシートを載置して積み重ねることを特徴とするゴムシート保管方法。
【請求項2】
前記離型フィルムを繰り出す過程で離型フィルムの両面の塵埃を除去することを特徴とする請求項1に記載のゴムシート保管方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−184455(P2010−184455A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30752(P2009−30752)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000149000)株式会社大協精工 (31)
【Fターム(参考)】