説明

ゴム包装用フィルムおよびゴム包装体

【課題】ゴムからの剥離性が良好であり、かつゴムとの溶融混和性も良好なゴム包装用フィルムおよび該フィルムでゴムを包装してなるゴム包装体を提供する。
【解決手段】下記成分(A)および成分(B)を含有し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%として、成分(A)の含有量が80〜20重量%であり、成分(B)の含有量が20〜80重量%である押出発泡成形用樹脂組成物。
(A):エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、メルトフローレート(MFR)が0.01〜5g/10分であり、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布(Mw/Mn)が5以上であり、流動の活性化エネルギーが40kJ/mol以上であるエチレン系共重合体。
(B):高圧法低密度ポリエチレン

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム包装用フィルムおよび該フィルムでゴムを包装してなるゴム包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム等のゴムは、通常重合して塊状で得られる。塊状ゴムは、運搬や保管が容易なように、通常1つあたり約10〜35kgの直方体状に成形されるが、前記直方体状のゴム同士の密着を防止するために、該ゴムをプラスチックフィルムで包装したゴム包装体としたうえで、運搬、保管されることが多い。このようなゴム包装用フィルムとして、例えば、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)からなるフィルムが多く用いられている(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
【特許文献1】特開平5−337944号公報
【0004】
フィルムで包装されたゴム包装体は、使用時には、ゴムから前記プラスチックフィルムを剥離して使用することがあるため、ゴムからフィルムが剥がしやすいこと、すなわち、開梱性が求められる。しかしながら、ゴムを重合して塊状で得られた後、すぐに直方体状に成形してプラスチックフィルムで包装した場合には、ゴムの温度が高い状態で包装するため、フィルムとゴムとが密着しやすくなり、開梱性が不十分である場合があった。また、夏場など外気温が高い場合には、運搬や保管時にゴム包装体の温度が高くなり、開梱性が不十分となることがあった。特にエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムは、他のゴムに比べて温度の上昇に伴い、粘着性が増す傾向があるため、従来のゴム包装用フィルムを用いて包装した場合には、ゴムからの剥離が困難となり、開梱性が不十分となる傾向があった。
また、開梱性が不十分であり、フィルムがゴムに付着したまま使用せざるを得ない場合には、ゴムを溶融混練する際にフィルムも溶融してゴムと混和しやすいことが求められている。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、ゴムからの剥離性が良好であり、かつゴムとの溶融混和性も良好なゴム包装用フィルム、および該フィルムでゴムを包装してなるゴム包装体を提供することにある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明の第一は、下記成分(A)および成分(B)を含有し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%として、成分(A)の含有量が20〜80重量%であり、成分(B)の含有量が80〜20重量%である樹脂組成物からなる層を有するゴム包装用フィルムである。
(A):エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、下記要件(a1)および(a2)を充足するエチレン−α−オレフィン共重合体
(a1):流動の活性化エネルギー(Ea)が35kJ/mol以上であること。
(a2):分子量分布(Mw/Mn)が5〜25であること。
(B):高圧法低密度ポリエチレン
【0006】
また、本発明の第二は、上記フィルムによってゴムを包装してなるゴム包装体にかかるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、室温より高い温度で粘着性を示すゴムを包装する際に、ゴムからの剥離性が良好であり、かつゴムとの溶融混和性も良好なゴム包装用フィルム、および該フィルムでゴムを包装してなるゴム包装体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体であり、エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有する共重合体である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、好ましくは1−ヘキセン、1−オクテンである。また、上記の炭素原子数3〜20のα−オレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0009】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体等があげられ、好ましくはエチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体である。
【0010】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量を100重量%とするとき、通常50〜99重量%である。炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量を100重量%とするとき、通常1〜50重量%である。
【0011】
フィルム加工性と、フィルムとゴムとの溶融混和性の観点から、成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は5以上であり、好ましくは6以上であり、より好ましくは8以上である。また、該分子量分布は、剥離性を高める観点から、好ましくは25以下であり、より好ましくは20以下である。なお、該分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ測定によってポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを求め、MwをMnで除した値(Mw/Mn)である。
【0012】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有するようなエチレン−α−オレフィン共重合体であり、このようなエチレン−α−オレフィン共重合体は従来知られた通常のエチレン−α−オレフィン共重合体に比して、流動の活性化エネルギー(Ea)が高い。従来から知られている通常のエチレン−α−オレフィン共重合体のEaは、通常35kJ/molよりも低い。
【0013】
フィルム加工性と、フィルムとゴムとの溶融混和性の観点から、成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体のEaは、35kJ/mol以上であり、好ましくは50kJ/mol以上であり、より好ましくは55kJ/mol以上であり、さらに好ましくは60kJ/mol以上である。また、剥離性を高める観点から、Eaは、好ましくは100kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下である。
【0014】
流動の活性化エネルギー(Ea)は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃での溶融複素粘度(単位:Pa・sec)の角周波数(単位:rad/sec)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)からアレニウス型方程式により算出される数値であって、以下に示す方法で求められる値である。すなわち、130℃、150℃、170℃および190℃夫々の温度(T、単位:℃)におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線(溶融複素粘度の単位はPa・sec、角周波数の単位はrad/secである。)を、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、各温度(T)での溶融複素粘度−角周波数曲線毎に、190℃でのエチレン系共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際に得られる各温度(T)でのシフトファクター(aT)を求め、夫々の温度(T)と、各温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(下記(I)式)を算出する。次に、該一次式の傾きmと下記式(II)とからEaを求める。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (I)
Ea = |0.008314×m| (II)
T :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、各曲線ごとに、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。また、130℃、150℃、170℃および190℃の4点の値から(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
【0015】
溶融複素粘度−角周波数曲線の測定は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800など。)を用い、通常、ジオメトリー:パラレルプレート、プレート直径:25mm、プレート間隔:1.5〜2mm、ストレイン:5%、角周波数:0.1〜100rad/秒の条件で行われる。なお、測定は窒素雰囲気下で行われ、また、測定試料には予め酸化防止剤を適量(例えば1000ppm。)を配合することが好ましい。
【0016】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、通常、900〜950kg/m3である。該密度は、剥離性を高める観点から、好ましくは910kg/m3以上であり、より好ましくは920kg/m3以上であり、溶融混和性、およびフィルムの柔軟性を高める観点から、好ましくは940kg/m3以下であり、より好ましくは930kg/m3以下である。なお、該密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った試料を用いて、JIS K7112−1980に規定された水中置換法に従って測定される。
【0017】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、通常、0.1〜50g/10分であり、剥離性を高める観点から5g/10分以下であることが好ましい。なお、該MFRは、JIS K7210−1995に規定された方法により、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定される。
【0018】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、メタロセン系錯体と活性化助触媒成分(以下、助触媒成分(I)と称する。)とを接触処理してなるメタロセン系オレフィン重合触媒を用いて、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法が好ましい。より好ましくは、メタロセン系錯体と助触媒成分(I)が微粒子状担体に担持されてなる固体助触媒成分とを用いて、共重合する方法があげられる。助触媒成分(I)としては、例えば、ホウ素化合物、亜鉛化合物、有機アルミニウムオキシ化合物などをあげることができる。
【0019】
助触媒成分(I)のホウ素化合物としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等があげられる。
【0020】
助触媒成分(I)の亜鉛化合物としては、ジエチル亜鉛とフッ素化フェノールと水とを接触処理してなる接触処理物等があげられる。
【0021】
助触媒成分(I)の有機アルミニウムオキシ化合物は、従来、有機アルミニウムオキシ化合物として取り扱われてきた有機アルミニウム化合物を少量含んだものではなく、有機アルミニウム化合物を実質的に含有しない、いわゆる乾燥有機アルミニウムオキシ化合物であり、例えば、乾燥メチルアルミノサン、乾燥メチルイソブチルアルミノサンなどをあげることができる。
該乾燥有機アルミニウムオキシ化合物の調製方法としては、例えば、特開2003−128718に記載の方法等、市販の有機アルミニウムオキシ化合物を減圧乾燥する方法や、減圧により得られる固体を炭化水素溶媒で洗浄する方法などをあげることができる。
【0022】
助触媒成分(I)としては、ホウ素化合物または亜鉛化合物が好ましい。
【0023】
微粒子状担体としては、多孔性の物質が好ましく、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等の無機酸化物;スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイト等の粘土や粘土鉱物;ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの有機ポリマーなどが使用される。該微粒子状担体の50%体積平均粒子径は、通常、10〜500μmであり、該50%体積平均粒子径は、光散乱式レーザー回折法などで測定される。また、該微粒子状担体の細孔容量は、通常0.3〜10ml/gであり、該微粒子状担体の比表面積は、通常、10〜1000m2/gである。該細孔容量と該比表面積は、ガス吸着法により測定され、細孔容量はガス脱着量をBJH法で、比表面積はガス吸着量をBET法で解析することにより求められる。
【0024】
また、上述のメタロセン系錯体としては、下記一般式[1]で表される遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物二量体が好ましい。
2a21b [1]
(式中、M2は周期律表第3〜11族もしくはランタノイド系列の遷移金属原子である。L2はシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基であり、複数のL2は互いに直接連結されているか、または、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する残基を介して連結されていてもよい。X1はハロゲン原子、炭化水素基(但し、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を除く)、または炭化水素オキシ基である。aは0<a≦8を満足する数を、bは0<b≦8を満足する数を表す。)
【0025】
一般式[1]において、M2は周期律表(IUPAC1989年)第3〜11族もしくはランタノイド系列の遷移金属原子である。その具体例としては、スカンジウム原子、イットリウム原子、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオビウム原子、タンタル原子、クロム原子、鉄原子、ルテニウム原子、コバルト原子、ロジウム原子、ニッケル原子、パラジウム原子、サマリウム原子、イッテルビウム原子等が挙げられる。一般式[1]におけるM2として好ましくは、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、コバルト原子またはニッケル原子であり、特に好ましくはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、最も好ましくはジルコニウム原子である。
【0026】
一般式[1]において、L2はシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基であり、複数のL2は同じであっても異なっていてもよい。また複数のL2は互いに直接連結されているか、または、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する架橋基を介して連結されていてもよい。
【0027】
2におけるシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基としてはη5−(置換)シクロペンタジエニル基、η5−(置換)インデニル基、η5−(置換)フルオレニル基などが挙げられる。具体的に例示すれば、η5−シクロペンタジエニル基、η5−メチルシクロペンタジエニル基、η5−エチルシクロペンタジエニル基、η5−n−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−tert−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、η5−1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、η5−1−メチル−2−エチルシクロペンタジエニル基、η5−1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル基、η5−1−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル基、η5−1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル基、η5−1−メチル−2−イソプロピルシクロペンタジエニル基、η5−1−メチル−3−イソプロピルシクロペンタジエニル基、η5−1−メチル−2−n−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、η5−1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基、η5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル基、η5−インデニル基、η5−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、η5−2−メチルインデニル基、η5−3−メチルインデニル基、η5−4−メチルインデニル基、η5−5−メチルインデニル基、η5−6−メチルインデニル基、η5−7−メチルインデニル基、η5−2−tert−ブチルインデニル基、η5−3−tert−ブチルインデニル基、η5−4−tert−ブチルインデニル基、η5−5−tert−ブチルインデニル基、η5−6−tert−ブチルインデニル基、η5−7−tert−ブチルインデニル基、η5−2,3−ジメチルインデニル基、η5−4,7−ジメチルインデニル基、η5−2,4,7−トリメチルインデニル基、η5−2−メチル−4−イソプロピルインデニル基、η5−4,5−ベンズインデニル基、η5−2−メチル−4,5−ベンズインデニル基、η5−4−フェニルインデニル基、η5−2−メチル−5−フェニルインデニル基、η5−2−メチル−4−フェニルインデニル基、η5−2−メチル−4−ナフチルインデニル基、η5−フルオレニル基、η5−2,7−ジメチルフルオレニル基、η5−2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、およびこれらの置換体等が挙げられる。なお、本明細書においては、遷移金属化合物の名称については「η5−」を省略することがある。
【0028】
シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基同士は、それぞれ、直接連結されていてもよく、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する架橋基を介して連結されていてもよい。かかる架橋基としては、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基;ジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基などの置換アルキレン基;またはシリレン基、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、テトラメチルジシリレン基などの置換シリレン基;窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子などのヘテロ原子などが挙げられる。
【0029】
一般式[1]におけるX1は、ハロゲン原子、炭化水素基(但し、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を除く)、または炭化水素オキシ基である。ハロゲン原子の具体例としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。ここでいう炭化水素基としてはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を含まない。ここでいう炭化水素基としてはアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基等が挙げられ、炭化水素オキシ基としては、アルコキシ基、アラルキルオキシ基やアリールオキシ基等が挙げられる。
【0030】
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられ、これらのアルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換されたのアルキル基としては、例えばフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パーブロモプロピル基などが挙げられる。またこれらのアルキル基はいずれも、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0031】
アラルキル基としては、例えばベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが挙げられ、これらのアラルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0032】
アリール基としては、例えばフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、これらのアリール基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0033】
アルケニル基としては、例えばアリル基、メタリル基、クロチル基、1,3−ジフェニル−2−プロペニル基などが挙げられる。
【0034】
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、n−イコソキシ基などが挙げられ、これらのアルコキシ基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0035】
アラルキルオキシ基としては、例えばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2、3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられ、これらのアラルキルオキシ基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0036】
アリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2、3−ジメチルフェノキシ基、2、4−ジメチルフェノキシ基、2、5−ジメチルフェノキシ基、2、6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−5−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−メチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などが挙げられ、これらのアリールオキシ基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基またはベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0037】
一般式[1]におけるaは0<a≦8を満足する数を、bは0<b≦8を満足する数を表し、M2の価数に応じて適宜選択される。M2がチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である場合、aは2であることが好ましく、bも2であることが好ましい。
【0038】
メタロセン系錯体の具体例としては、
ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−イソプロピルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−イソプロピルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(インデニル)チタンジクロライド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、ビス(フルオレニル)チタンジクロライド、ビス(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、
【0039】
ビス[2−(ビス−3,5−トリフルオロメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−tert−ブチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−メチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(3,5−ジメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(ペンタフルオロフェニル)インデニル]チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(インデニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(フルオレニル)チタンジクロライド、インデニル(フルオレニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(インデニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(フルオレニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、
【0040】
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,5−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3,5−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,4−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、
【0041】
ジメチルシリレンビス(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−tert−ブチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5−ベンズインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、
【0042】
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、
【0043】
シクロペンタジエニルチタントリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド、シクロペンタジエニル(ジメチルアミド)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(フェノキシ)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジメチルフェニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジメチルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−tert−ブチルフェニル)チタンジクロライド、インデニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、フルオレニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、
【0044】
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0045】
ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0046】
ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0047】
ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0048】
ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0049】
ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0050】
ジメチルシリレン(インデニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0051】
ジメチルシリレン(フルオレニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0052】
(tert−ブチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(メチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(ベンジルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(フェニルフォスファイド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)インデニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラヒドロインデニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)フルオレニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)インデニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラヒドロインデニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)フルオレニルジメチルシランチタンジクロライド、
【0053】
(ジメチルアミノメチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(ジメチルアミノエチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(ジメチルアミノプロピル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(N−ピロリジニルエチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロライド、(B−ジメチルアミノボラベンゼン)シクロペンタジエニルチタンジクロライド、シクロペンタジエニル(9−メシチルボラアントラセニル)チタンジクロライド、などや、これらの化合物のチタンをジルコニウムまたはハフニウムに変更した化合物、(2−フェノキシ)を(3−フェニル−2−フェノキシ)、(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)、または(3−tert−ブチルジメチルシリル−2−フェノキシ)に変更した化合物、ジメチルシリレンをメチレン、エチレン、ジメチルメチレン(イソプロピリデン)、ジフェニルメチレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、またはジメトキシシリレンに変更した化合物、ジクロライドをジフルオライド、ジブロマイド、ジアイオダイド、ジメチル、ジエチル、ジイソプロピル、ジフェニル、ジベンジル、ジメトキシド、ジエトキシド、ジ(n−プロポキシド)、ジ(イソプロポキシド)、ジフェノキシド、またはジ(ペンタフルオロフェノキシド)に変更した化合物、トリクロライドをトリフルオライド、トリブロマイド、トリアイオダイド、トリメチル、トリエチル、トリイソプロピル、トリフェニル、トリベンジル、トリメトキシド、トリエトキシド、トリ(n−プロポキシド)、トリ(イソプロポキシド)、トリフェノキシド、またはトリ(ペンタフルオロフェノキシド)に変更した化合物などを例示することができる。
【0054】
また一般式[1]で表される遷移金属化合物のμ−オキソタイプの遷移金属化合物の具体例としては、μ−オキソビス[イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]などが挙げられる。また、これらの化合物のクロライドをフルオライド、ブロマイド、アイオダイド、メチル、エチル、イソプロピル、フェニル、ベンジル、メトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、イソプロポキシド、フェノキシド、またはペンタフルオロフェノキシドに変更した化合物などを例示することができる。
【0055】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、特に好適には、下記の助触媒成分(I)が担持されてなる助触媒担体(イ)と、アルキレン基やシリレン基等の架橋基で2つのシクロペンタジエニル型アニオン骨格が結合した構造を持つ配位子を有するメタロセン系錯体(ロ)と、有機アルミニウム化合物(ハ)とを接触させてなる重合触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法をあげることができる。
【0056】
[助触媒担体(イ)]
成分(a)ジエチル亜鉛、成分(b)フッ素化フェノール、成分(c)水、成分(d)無機微粒子状担体および成分(e)トリメチルジシラザン(((CH33Si)2NH)を接触させて得られる担体。
【0057】
成分(b)として好ましくは、3,4,5−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、3,4,5−トリス(ペンタフルオロフェニル)フェノール、3,5−ジフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノール、または4,5,6,7,8−ペンタフルオロ−2−ナフトールである。
【0058】
成分(b)としてより好ましくは、3,4,5−トリフルオロフェノール、4,5,6,7,8−ペンタフルオロ−2−ナフトールであり、さらに好ましくは3,4,5−トリフルオロフェノールである。
【0059】
成分(d)の無機微粒子状担体としては、好ましくはシリカゲルである。
【0060】
成分(a)ジエチル亜鉛、成分(b)フッ素化フェノール、成分(c)水の各成分の使用量は、各成分の使用量のモル比率を成分(a)ジエチル亜鉛:成分(b)フッ素化フェノール:成分(c)水=1:y:zとすると、yおよびzが下記式を満足することが好ましい。
|2−y−2z|≦1 (2)
z≧−2.5y+2.48 (3)
y<1 (4)
(上記式(2)〜(4)において、yおよびzは0よりも大きな数を表す。)
成分(a)の使用量に対する成分(b)の使用量のモル比率yおよび成分(a)の使用量に対する成分(c)の使用量のモル比率zは、上記式(2)、(3)および(4)を満たす限り特に制限されない。zの値が式(3)の右辺の値よりも小さい場合、得られるエチレン−α−オレフィン共重合体の流動活性化エネルギー(Ea)が低くなることがあり、yの値が式(4)の右辺の値よりも大きい場合、エチレン−α−オレフィン共重合体の流動活性化エネルギー(Ea)が低くなる場合がある。具体的に、yは通常0.55〜0.99の値をとるが、より好ましくは0.55〜0.95であり、さらに好ましくは0.6〜0.9であり、最も好ましくは0.7〜0.8である。
【0061】
また、成分(a)ジエチル亜鉛に対して使用する成分(d)無機微粒子状担体の量としては、成分(a)ジエチル亜鉛と成分(d)無機微粒子状担体との接触により得られる粒子に含まれる成分(a)ジエチル亜鉛に由来する亜鉛原子が、得られる粒子1gに含まれる亜鉛原子のモル数にして、0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。成分(d)無機微粒子状担体に対して使用する成分(e)トリメチルジシラザンの量としては、成分(d)無機微粒子状担体1gにつき成分(e)トリメチルジシラザン0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
【0062】
アルキレン基やシリレン基等の架橋基で2つのシクロペンタジエニル型アニオン骨格が結合した構造を持つ配位子を有するメタロセン系錯体(ロ)の金属原子としては、周期律表第IV属原子が好ましく、ジルコニウム、ハフニウムがより好ましい。また、配位子としては、インデニル基、メチルインデニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基が好ましく、架橋基としては、エチレン基、ジメチルメチレン基、ジメチルシリレン基が好ましい。更には、金属原子が有する残りの置換基としては、ジフェノキシ基やジアルコキシ基が好ましい。メタロセン系錯体(ロ)として好ましくは、エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドをあげることができる。
【0063】
有機アルミニウム化合物(ハ)としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムなどがあげられ、好ましくはトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムである。
【0064】
メタロセン系錯体(ロ)の使用量は、助触媒担体(イ)1gに対し、好ましくは5×10-6〜5×10-4molである。また有機アルミニウム化合物(ハ)の使用量として、好ましくは、メタロセン系錯体(ロ)の金属原子モル数に対する有機アルミニウム化合物(ハ)のアルミニウム原子のモル数の比(Al/M)で表して、1〜2000である。
【0065】
上記の助触媒担体(イ)とメタロセン系錯体(ロ)と有機アルミニウム化合物(ハ)とを接触させてなる重合触媒においては、必要に応じて、助触媒担体(イ)とメタロセン系錯体(ロ)と有機アルミニウム化合物(ハ)とに、電子供与性化合物(ニ)を接触させてなる重合触媒としてもよい。該電子供与性化合物(ニ)として、好ましくはトリエチルアミン、トリノルマルオクチルアミンをあげることができる。
【0066】
得られるエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布を大きくする観点からは、電子供与性化合物(ニ)を使用することが好ましく、電子供与性化合物(ニ)の使用量としては、有機アルミニウム化合物(ハ)のアルミニウム原子のモル数に対して、0.1mol%以上であることがより好ましく、1mol%以上であることが更に好ましい。なお、該使用量は、重合活性を高める観点から、好ましくは10mol%以下であり、より好ましくは5mol%以下である。
【0067】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、微粒子状担体に助触媒成分(I)が担持されてなる固体助触媒成分を用いて、少量のオレフィンを重合(以下、予備重合と称する。)して得られた予備重合固体触媒成分、例えば、固体助触媒成分とメタロセン系錯体と有機アルミニウム化合物とを用いて少量のオレフィンを重合して得られた予備重合固体触媒成分を、触媒成分または触媒として用いて、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法が好ましい。
【0068】
有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムなどがあげられ、好ましくはトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムである。
【0069】
予備重合固体触媒成分の製造方法としては、成形加工性を高める観点から、下記工程(1)、(2)および(3)を有する処理工程により、助触媒担体とメタロセン系錯体と有機アルミニウム化合物とを接触処理する方法が好ましい。
工程(1):メタロセン系錯体を含有する飽和脂肪族炭化水素化合物溶媒を40℃以上で熱処理する工程。
工程(2):工程(1)で熱処理してなる熱処理物と助触媒担体とを接触処理する工程。
工程(3):工程(2)で接触処理してなる接触処理物と有機アルミニウム化合物とを接触処理する工程。
【0070】
工程(1)は、メタロセン系錯体を含有する飽和脂肪族炭化水素化合物溶媒を40℃以上で熱処理する工程である。メタロセン系錯体を含有する飽和脂肪族炭化水素化合物溶媒は、飽和脂肪族炭化水素化合物溶媒中にメタロセン系錯体を投入する方法等により調製される。メタロセン系錯体は、通常、粉体、あるいは、飽和脂肪族炭化水素化合物液のスラリーとして、投入される。
【0071】
メタロセン系錯体を含有する飽和脂肪族炭化水素化合物溶媒の調製に用いられる飽和脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等があげられる。これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用いられる。飽和脂肪族炭化水素化合物としては、常圧における沸点が100℃以下のものが好ましく、常圧における沸点が90℃以下のものがより好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンが更に好ましい。
【0072】
メタロセン系錯体を含有する飽和脂肪族炭化水素化合物溶媒の熱処理は、メタロセン系錯体を含有する飽和脂肪族炭化水素化合物溶媒の温度を、40℃以上の温度に調整すればよい。また、熱処理中は、溶媒を静置してもよく、溶媒を撹拌してもよい。該温度は、成形加工性を高める観点から、好ましくは45℃以上であり、より好ましくは50℃以上である。また、触媒活性を高める観点から、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは80℃以下である。熱処理の時間は、通常、0.5〜12時間である。該時間は、成形加工性を高める観点から、好ましくは1時間以上であり、より好ましくは2時間以上である。また、触媒性能の安定性から、好ましくは6時間以下であり、より好ましくは4時間以下である。
【0073】
工程(2)は、上記工程(1)で熱処理してなる熱処理物(すなわち、メタロセン系錯体を含有する飽和脂肪族炭化水素化合物溶媒)と、助触媒担体とを接触処理する工程である。接触処理では、熱処理物と助触媒担体とが接触すればよく、通常、熱処理物に助触媒担体を投入する方法、飽和脂肪族炭化水素化合物中に、熱処理物と助触媒担体とを投入する方法が用いられる。また、助触媒担体は、通常、粉体、あるいは、飽和脂肪族炭化水素化合物溶媒のスラリーとして、投入される。
【0074】
工程(2)での接触処理の温度は、好ましくは70℃以下であり、より好ましくは60℃以下であり、また好ましくは10℃以上であり、より好ましくは20℃以上である。接触処理の時間は、通常、0.1時間〜2時間である。
【0075】
工程(3)は、上記工程(2)で接触処理してなる接触処理物(すなわち、工程(1)で熱処理してなる熱処理物と助触媒担体との接触処理物)と有機アルミニウム化合物とを接触処理する工程である。接触処理では、工程(2)で接触処理してなる接触処理物と有機アルミニウム化合物とが接触すればよく、通常、工程(2)で接触処理してなる接触処理物に有機アルミニウム化合物を投入する方法、飽和脂肪族炭化水素化合物中に、工程(2)で接触処理してなる接触処理物と有機アルミニウム化合物とを投入する方法が用いられる。
【0076】
工程(3)での接触処理の温度は、好ましくは70℃以下であり、より好ましくは60℃以下である。また、予備重合の活性の発現を効率的に行う観点から、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは20℃以上である。また、接触処理の時間は、通常、0.01時間〜0.5時間である。
【0077】
工程(3)の接触処理は、オレフィンの存在下で行うことが好ましい。該オレフィンとしては、通常、予備重合での原料となるオレフィンが用いられる。オレフィンの量としては、助触媒担体1gあたり、0.05〜1gであることが好ましい。
【0078】
上記の工程(1)〜(3)は、飽和脂肪族炭化水素化合物と助触媒担体とメタロセン系錯体と有機アルミニウム化合物とを、予備重合反応器に、別々に投入することにより、全工程を予備重合反応器内で行ってもよく、工程(2)および(3)を予備重合反応器内で行ってもよく、また、工程(3)を予備重合反応器内で行ってもよい。
【0079】
予備重合は、上記工程(1)、(2)および(3)を有する処理工程により、助触媒担体とメタロセン系錯体と有機アルミニウム化合物とを接触処理されてなる接触処理物の存在下、オレフィンを予備重合(少量のオレフィンを重合)するものである。該予備重合は、通常、スラリー重合法で行われ、該予備重合は、回分式、半回分式、連続式のいずれの方式を用いてもよい。更には、該予備重合は、水素等の連鎖移動剤を添加して行ってもよい。
【0080】
予備重合をスラリー重合法で行う場合、溶媒としては、通常、飽和脂肪族炭化水素化合物が用いられ、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等があげられる。これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用いられる。飽和脂肪族炭化水素化合物としては、常圧における沸点が100℃以下のものが好ましく、常圧における沸点が90℃以下のものがより好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンが更に好ましい。
【0081】
予備重合をスラリー重合法で行う場合、スラリー濃度としては、溶媒1リットル当たりの助触媒担体の量が、通常0.1〜600gであり、好ましくは0.5〜300gである。予備重合温度は、通常−20〜100℃であり、好ましくは0〜80℃である。予備重合中、重合温度は適宜変更してもよいが、予備重合を開始する温度は、45℃以下とすることが好ましく、40℃以下とすることが好ましい。また、予備重合中の気相部でのオレフィン類の分圧は、通常0.001〜2MPaであり、好ましくは0.01〜1MPaである。予備重合時間は、通常2分間〜15時間である。
【0082】
予備重合に用いられるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどをあげることができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いることができ、好ましくは、エチレンのみ、あるいはエチレンとα−オレフィンとを併用して、更に好ましくは、エチレンのみ、あるいは1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとエチレンとを併用して用いられる。
【0083】
予備重合触媒成分中の予備重合された重合体の含有量は、助触媒担体1g当たり、通常0.01〜1000gであり、好ましくは0.05〜500gであり、より好ましくは0.1〜200gである。
【0084】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、気相重合法が好ましく、連続気相重合法がより好ましい。該重合法に用いられる気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に撹拌翼が設置されていてもよい。
【0085】
予備重合された予備重合固体触媒成分をエチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の形成を伴う連続重合反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。
【0086】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン共重合体の気相重合の重合温度としては、通常、エチレン−α−オレフィン共重合体が溶融する温度未満であり、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。さらに好ましくは90℃よりも低温の具体的には70℃〜87℃の範囲である。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加してもよい。そして、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。なお、予備重合固体触媒成分を用いる場合、適宜、有機アルミニウム化合物等の助触媒成分を用いてもよい。
【0087】
成分(B)の高圧法低密度ポリエチレンの密度は、通常、910〜935kg/m3である。該密度は、剥離性を高める観点から、好ましくは910kg/m3以上であり、より好ましくは920kg/m3以上であり、フィルム柔軟性の観点から、好ましくは935kg/m3以下であり、より好ましくは930kg/m3以下である。なお、該密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った試料を用いて、JIS K7112−1980に規定された水中置換法に従って測定される。
【0088】
成分(B)の高圧法低密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、通常、0.1〜50g/10分であり、剥離性を高める観点から5g/10分以下であることが好ましい。なお、該MFRは、JIS K7210−1995に規定された方法により、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定される。
【0089】
本発明のゴム包装用フィルムは、前記成分(A)および成分(B)を含有する樹脂組成物からなる層を有する。該樹脂組成物における成分(A)、成分(B)の含有量としては、成分(A)と成分(B)との合計量を100重量%として、成分(A)の含有量が20〜80重量%であり、成分(B)の含有量が80〜20重量%である。剥離性と適度な粘着性のバランスを考え、好ましくは、成分(A)の含有量が30〜70重量%であり、成分(B)の含有量が30〜70重量%である。
【0090】
本発明のゴム包装用フィルムは、ゴム被覆層として、上記の成分(A)と成分(B)を含有する樹脂組成物からなる層を有するフィルムである。すなわち、本発明のゴム包装用フィルムが単層フィルムである場合は、上記の成分(A)と成分(B)を含有する樹脂組成物からなる層からなるフィルムとなり、多層フィルムである場合は、成分(A)と成分(B)を含有する樹脂組成物からなる層が少なくとも一方の表層であるフィルムであって、該層をゴム被覆層としたフィルムとなる。
【0091】
本発明のゴム包装用フィルムが多層フィルムである場合、成分(A)と成分(B)を含有する樹脂組成物からなる層以外の層としては特に限定されるものではないが、例えば成分(A)のみ、または成分(B)のみからなる層や、成分(A)、(B)以外のポリエチレン樹脂からなる層、ポリプロピレンからなる層が挙げられる。また、ゴムの変色を防ぐ観点から、遮光性材料を含む樹脂組成物からなる遮光層を有する多層フィルムであってもよい。遮光性材料としては、カーボンブラック、アルミニウム粉末、酸化チタン等の粉末が例示される。溶融混和性の観点からは、本発明のゴム包装用フィルムは単層であることが好ましい。
【0092】
本発明のゴム包装用フィルムには、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、滑剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、補強剤、充填剤、軟化剤、ポリエチレンやポリブテン等の樹脂を添加してもよい。
【0093】
上記の滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸等の脂肪酸;オレイルアミド、エルシルアミド、リシノールアミド、ベヘンアミド等の脂肪酸アミド;高級脂肪酸のグリセリンエステル;ソルビタンエステル、n−ブチルステアレート等の脂肪酸エステル等を使用することができる。
【0094】
上記のアンチブロッキング剤としては、乾式シリカ、湿式シリカ等の合成シリカ;珪藻土等の天然シリカ;シリコン樹脂;ポリメチルメタアクリレート(PMMA)等を使用することができる。
【0095】
本発明のゴム包装用フィルムの厚みは、通常20〜100μmであり、好ましくは30〜80μmであり、より好ましくは40〜60μmである。また、フィルムの幅は、通常50〜100cmである。
【0096】
成分(A)および成分(B)を含む樹脂は、成分(A)と成分(B)と必要に応じて配合される成分(上記添加剤や他の樹脂など)とを、公知の方法で溶融混練することにより、例えば、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサーなどで混合した後、更に単軸押出機や多軸押出機などで溶融混練する、またはニーダーやバンバリーミキサーなどで溶融混練することにより得られる。
【0097】
本発明のゴム包装用フィルムは、公知のフィルム成形方法、例えば、インフレーションフィルム成形法、Tダイキャストフィルム成形法等の押出成形法により製造される。押出成形温度は、用いる押出成形法の種類にもよるが、通常、110〜250℃である。
【0098】
本発明のゴム包装用フィルムは、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムに好適に用いられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムは、他のゴムに比べて温度の上昇により粘着性が増す傾向がある。本発明のゴム包装用フィルムは、このようなエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムを包装し、高温状態を経ても、剥離性に優れる。
包装されるゴムは、通常、直方体の形状であり、大きさは、一般に、縦の長さが300〜400mm、横の長さが500〜1000mm、高さが100〜250mmである。なお、ゴムの包装は、公知の方法で行われる。
【0099】
本発明のゴム包装用フィルムは、室温より高い温度の状態にあると粘着性を示すゴムを包装する場合、包装したゴムからフィルムを剥がす際に、剥離に要する力が小さく、フィルムが破れ難く、剥離性が良好である。またフィルムがうまく剥離せずゴムに付着して残ったとしても、ゴムとの溶融混和性に優れるため、ゴム中に夾雑物として残存することがない。
【実施例】
【0100】
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。
実施例および比較例の物性は、次の方法に従って測定した。
【0101】
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K 7210−1995に規定された方法に従い、荷重21.18N、温度190℃の条件で測定した。
【0102】
(2)密度(単位:Kg/m3
JIS K 7112−1995のうち、A法に規定された方法に従って、測定した。なお、試料には、JIS K 6760−1995に記載のアニーリングを行った。
【0103】
(3)分子量分布(Mw/Mn、単位:−)
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(9)により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
測定条件
(1)装置:Waters社製 150CV ALC/GPC
(2)分離カラム:昭和電工社製Shodex GPC AT−806MS
(3)温度 :140℃
(4)溶媒 :o−ジクロロベンゼン
(5)溶出溶媒流速:1.0ml/分
(6)試料濃度:1mg/ml
(7)測定注入量:400μl
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン(東ソー社製;分子量=6000000〜500)
(9)検出器:示差屈折
【0104】
(4)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、活性化エネルギー(Ea)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.5〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素下
【0105】
(5)融点(Tm、単位:℃)
熱プレスにより作成した厚さ約0.5mmのシートから、約10mgの試片を切り出したものを測定用サンプルとし、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC−7)を用いて測定した。測定では、測定用サンプルを、150℃で5分間保持した後、1℃/分で40℃まで降温し、次に40℃で5分間保持した後、10℃/分の速度で150℃まで昇温した。40℃から150℃まで10℃/分の速度で昇温した際に得られる融解曲線の融解ピークから融点を求めた。
【0106】
(6)剥離性
150×150×80 mmの直方体状のエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムに、幅12cm、長さ25cmのフィルムを上面、底面にそれぞれ貼り付けた。該包装ゴムに100kgの荷重を加え、60℃のオーブンに入れ3日間状態調整した。この状態は、通常6〜7段積みで保管される最下段のゴム包装体の状態を擬似的に再現している。状態調整後、ゴムの上面に貼り付けたフィルムを200mm/分の剥離速度でゴムから剥離し、剥離に要した応力(剥離強度)を求めた。該剥離強度が低い方が剥離性に優れる。更に、剥離時のゴム表面について、フィルムの破れ残りの有無を目視で以下の通り判定した。
○:ゴム表面にフィルムの破れ残りが認められない。
×:ゴム表面にフィルムの破れ残りが認められる。
【0107】
(7)溶融混和性
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム100重量部と、フィルム2重量部とを、内容積100ccのラボプラストミルにより、初期温度60℃で、2分間混練した。得られた混練物について、フィルムの不溶部の有無を目視で以下の通り判定した。
○:混練物中にフィルムの不溶部が認められない。
×:混練物中にフィルムの不溶部が認められる。
××:混練物中にフィルムの不溶部が多く認められる。
【0108】
[実施例1]
(1)助触媒担体の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;50%体積平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.9kgとトルエン1.4kgとの混合溶液を反応器の温度を5℃に保ちながら30分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に95℃に昇温し、95℃で3時間撹拌し、ろ過した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエン7.1kgを加えスラリーとし、一晩静置した。
【0109】
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50重量%)3.46kgとヘキサン2.05kgとを投入し、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、3,4,5−トリフルオロフェノール1.55kgとトルエン2.88kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で1時間撹拌した。その後、5℃に冷却し、H2O0.221kgを反応器の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で2時間撹拌し、更に80℃に昇温し、80℃で2時間撹拌した。撹拌後、室温にて、残量16Lまで上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、次に、95℃に昇温し、4時間撹拌した。撹拌後、室温にて、上澄み液を抜き出し、固体生成物を得た。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄を行った。その後、乾燥することにより、固体成分(以下、助触媒担体(a)と称する。)を得た。
【0110】
(2)予備重合触媒成分の調製
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、ブタン80リットルを投入した後、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド144mmolを投入し、オートクレーブを50℃まで昇温して撹拌を2時間行った。次に上記助触媒担体(a)0.5kgを投入し、オートクレーブを31℃まで降温して系内が安定した後、エチレンを0.1kg、水素を0.1リットル(常温常圧体積)仕込み、続いてトリイソブチルアルミニウム207mmolを投入して重合を開始した。エチレンと水素をそれぞれ0.6kg/Hrと0.5リットル(常温常圧体積)で連続供給しながら30分経過した後、50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素をそれぞれ3.6kg/Hrと10.9リットル(常温常圧体積)/Hrで連続供給することによって合計6時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素などをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、助触媒担体(a)1g当り37gのポリエチレンを含有する予備重合触媒成分を得た。該ポリエチレンの[η]は1.51dl/gであった。
【0111】
(3)エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体の製造
上記の予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの共重合を実施した。重合条件は、温度84℃、全圧2MPa、エチレンに対する水素のモル比は1.04%、エチレンに対する1−ブテンのモル比は2.16%、エチレンに対する1−ヘキセンのモル比は0.73%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。さらに、流動床の総パウダー重量を80kgに維持し、平均重合時間4hrとなるように、上記予備重合触媒成分と、トリイソブチルアルミニウムとを一定の割合で連続的に供給した。重合により、22.9kg/hrの重合効率でエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体(以下、PE−1と称する。)のパウダーを得た。
【0112】
(4)エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体パウダーの造粒
上記で得たPE−1のパウダーを、押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)により、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することにより、PE−1のペレットを得た。PE−1のペレットの評価結果を表1に示す。
【0113】
(5)フィルム加工
上記で得たPE−1のペレットを50重量%と、市販の高圧法低密度ポリエチレン(住友化学株式会社製 スミカセン F218−0[MFR=1g/10分、密度=919kg/m3、分子量分布=6.8、流動の活性化エネルギー=69.0kJ/mol、融点=107.5℃]:以下、LD−1とする。LD−1の基本物性を表1に示した。)のペレットを50重量%とを配合、混合したものを、プラコー(株)製50mmφインフレ加工機により150℃でフィルム加工し、厚み50μmの単層フィルムを得た。得られたフィルムの物性評価結果を表2に示す。
【0114】
[実施例2]
インフレーションフィルム加工において、PE−1のペレットを30重量%、LD−1ペレットを70重量%とした以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0115】
[比較例1]
インフレーションフィルム加工において、PE−1のペレットを100重量%、LD−1のペレットを0重量%とした以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0116】
比較例2
インフレーションフィルム加工において、PE−1のペレットを0重量%、LD−1のペレットを100重量%とした以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0117】
比較例3
インフレーションフィルム加工において、市販のメタロセン系線状低密度ポリエチレン(住友化学株式会社製 スミカセンE FV205[MFR=2g/10分、密度=921kg/m3、分子量分布=2.0、流動の活性化エネルギー=30.0kJ/mol、融点=107.5℃]:以下、LL−1とする。LL−1の基本物性を表1に示した。)のペレットを50重量%と、LD−1のペレットを50重量%とした以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0118】
【表1】

【0119】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)および成分(B)を含有し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%として、成分(A)の含有量が20〜80重量%であり、成分(B)の含有量が80〜20重量%である樹脂組成物からなる層を有するゴム包装用フィルム。
(A):エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、下記要件(a1)および(a2)を充足するエチレン−α−オレフィン共重合体
(a1):流動の活性化エネルギー(Ea)が35kJ/mol以上であること。
(a2):分子量分布(Mw/Mn)が5〜25であること。
(B):高圧法低密度ポリエチレン
【請求項2】
請求項1に記載されたゴム包装用フィルムによってゴムを包装してなるゴム包装体。

【公開番号】特開2009−138176(P2009−138176A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151374(P2008−151374)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】