説明

ゴム組成物およびその用途

【課題】ガスバリア性、機械強度、耐熱老化性に優れ、良好な加工性を有するゴム組成物を提供する。
【解決手段】共重合体ゴム(A)と前記ブチルゴム(B)との重量比(A)/(B)が、10/90〜90/10、(A)が、特定のメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)からなり、(a)が、以下を満たすゴム組成物。(イ)エチレン/α−オレフィンのモル比が、50/50〜80/20、(ロ)ヨウ素価が、0.5〜30g/100g、(ハ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が、0.3〜7.0dL/g、(ニ)(a)を溶解した測定サンプルを、GPC−offline−FTIRを用い、得られたスペクトルの強度比(A721cm-1/A4320cm-1)をエチレン分布パラメーターPとしたとき、P値の最大値Pmaxと最小値Pminとの関係が、Pmax/Pmin≦1.4である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物およびその用途に関する。詳しくは、ガスバリア性および機械強度に優れるゴム組成物に関する。より詳しくは、ブチルゴム(B)とエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(a)からなる共重合体ゴム(A)とを含むゴム組成物からなり、ガスバリア性、機械強度、耐熱老化性に優れ、かつ、良好な加工性を有するゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ブチルゴムは、気体透過率が低いためガスバリア性に優れ(非特許文献1)、チューブ、ガスケット等のシール部品に広く応用されている。しかしながら、ブチルゴムは、通常イソブテンとイソプレンとの共重合体であり、機械強度や耐熱老化性、加工性に問題がある。
【0003】
一方、エチレン・プロピレン・非共役ポリエンランダム重合体よりなる共重合体ゴムは、耐熱性、耐熱老化性、機械強度、加工性に優れ、様々な分野で応用されている。しかしながら、該共重合体ゴムは、気体透過率が高くガスバリア性に劣る。
【0004】
そのため、両者の優れた特性を共に有するゴム組成物の開発が望まれていた。
特許文献1では、ブチルゴムとエチレン・プロピレン・非共役ポリエンランダム重合体ゴムとのブレンド物が開示されている。しかしながら、架橋方法が過酸化物架橋によるものであり、ブチルゴムの劣化を招くため、それらのブレンドによるゴム組成物は、機械強度、特に、ゴム組成物の特性である伸びが不十分であった。
【特許文献1】特開2005−206703号公報
【非特許文献1】プラスチック大辞典、プラスチック大辞典編集委員会編、(株)工業調査会、1994年10月20日刊行、110頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、ガスバリア性および機械強度、加工性に優れるゴム組成物を提供することにある。より詳しくは、ブチルゴム(B)と共重合体ゴム(A)とを含み、ガスバリア性、機械強度、耐熱老化性に優れ、ゴム組成物として良好な加工性を有するゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、特定の共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)を含むゴム組成物が、ガスバリア性、機械強度、耐熱老化性に優れ、ゴム組成物として良好な加工性を有するゴム組成物であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、たとえば、以下の事項で特定される。
共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)を含むゴム組成物であって、前記共重合体ゴム(A)と前記ブチルゴム(B)との重量比(A)/(B)が、10/90〜90/10であって、かつ、前記共重合体ゴム(A)が、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと、少なくとも一種の非共役ポリエンから、下記式(1)で示される構造のメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)からなり、かつ、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)が、以下の(イ)〜(二)を満たす共重合体であることを特徴とするゴム組成物。
(イ)エチレン/炭素数3〜20のα−オレフィンのモル比が、50/50〜80/20(ロ)ヨウ素価が、0.5〜30g/100g
(ハ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が、0.3〜7.0dL/g
(ニ)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)をシクロヘキサンに溶解することにより得た測定サンプルを、GPC−offline−FTIRを用いて溶離液をシクロヘキサンとし、流量1.0mL/min、温度60℃で測定を行い、得られたIRスペクトルの721±20cm-1の範囲の最大ピーク(A721cm-1)と4320±20cm-1の範囲の最大ピーク(A4320cm-1)とのピーク強度比(A721cm-1/A4320cm-1)をエチレン分布パラメーターPとしたとき、このP値の最大値Pmaxと最小値Pminとの関係が、Pmax/Pmin≦1.4である
【0008】
【化1】

【0009】
なお、前記式(1)で表される化合物(メタロセン触媒とも称す)は、[N-(1,1-ジ
メチルエチル)-1,1-ジメチル-1-[(1,2,3,3a,8a-η)-1,5,6,7-テトラヒドロ-2-メチ
ル-S-インダセン-1-yl]シランアミネート(2-)-κN][(1,2,3,4-η)-1,3-ペンタジ
エン]-チタニウム(Titanium, [N- (1,1- dimethylethyl) -1,1- dimethyl-1- [1,2,3,3a,8a-.eta] -1,5,6,7- tetrahydoro- 2-methyl-s-indacen- 1-yl] silanaminato (2-)-.kappa.N) [(1,2,3,4-,eta)- 1,3-pentadiene]-, stereoisomer)である。また、このメタロセン触媒の合成方法は、国際公開WO98/49212に記載されている。
【0010】
上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)は、塩素含量が5ppm以下であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、カーボンブラックを含むことが好ましい。
【0011】
本発明のゴム組成物は、上記ゴム組成物を、架橋剤を用いて架橋させてなることも好ましい。
本発明のゴム成型品は、上記ゴム組成物を用いて形成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の自動車部品は、上記ゴム組成物を用いて形成されたことを特徴とする。
本発明のタイヤ部品は、上記ゴム組成物を用いて形成されたことを特徴とする。
本発明のタイヤチューブは、上記ゴム組成物を用いて形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のゴム組成物は、ブチルゴム(B)と共重合体ゴム(A)とを含み、ガスバリア性、機械強度、耐熱老化性に優れ、そして、ゴム組成物として良好な加工性を有する。このようなゴム組成物は、各種成形品、特に、自動車部品、タイヤ用部品、タイヤチューブ等の用途に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[共重合体ゴム(A)]
本発明のゴム組成物で用いられる共重合体ゴム(A)は、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと、少なくとも一種の非共役ポリエンから、上記式(1)で示される構造のメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)からなる。このエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)は、後述する(イ)〜(二)を満たす共重合体である。
【0015】
(炭素数3〜20のα−オレフィン)
共重合体ゴム(A)の原料である炭素数3〜20のα−オレフィンの具体例としては、側鎖の無い直鎖の構造を有する、炭素数3のプロピレン、炭素数4の1−ブテンからはじまり、炭素数9の1−ノネンや炭素数10の1−デセンを経て、炭素数19の1−ノナデセン、炭素数20の1−エイコセン、並びに側鎖を有する4−メチル−1−ペンテン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどがあげられる。これらのα−オレフィンは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中では、炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが好ましい。
【0016】
(非共役ポリエン)
共重合体ゴム(A)の原料である非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;
シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の環状非共役ジエン;
2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエンが挙げられる。
【0017】
これらの非共役ポリエンは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、1,4−ヘキサジエンなどの環状非共役ジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、または5−エチリデン−2−ノルボルネンと5−ビニルー2−ノルボルネンとの併用が好ましく、特に好ましくは、5−エチリデン−2−ノルボルネン、又は5−エチリデン−2−ノルボルネンと5−ビニルー2−ノルボルネンとの併用である。
【0018】
(エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)の特性)
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)は、下記(イ)〜(ニ)の特性を全て満たしている。
【0019】
(イ)エチレン/炭素数3〜20のα−オレフィンのモル比
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)において、エチレン/炭素数3〜20のα−オレフィンのモル比は、50/50〜80/20である。好ましくは50/50〜70/30、さらに好ましくは55/45〜65/35である。エチレンのモル比が、50未満では、架橋ゴム強度著しく低下し、またエチレンのモル比が80を超えると、樹脂に近くなるため耐寒性が悪化し、好ましくない。
【0020】
(ロ)ヨウ素価[g/100g]
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のヨウ素価は、0
.5〜30g/100gである。好ましくは0.8〜27g/100g、さらに好ましくは1〜25g/100g、特に好ましくは1〜23g/100gである。
【0021】
該ヨウ素価が0.5g/100g未満では架橋速度が遅くなり、30g/100gを超えると長鎖分岐が多く、加工性悪化を招くため、好ましくない。
(ハ)極限粘度[η:dL/g]
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体において、135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]は、0.3〜7.0dL/gである。好ましくは0.5〜2.8dL/g、さらに好ましくは0.7〜2.8dL/g、特に好ましくは1.0〜2.8dL/gである。
【0022】
該極限粘度が0.3dL/g未満では、粘度が低すぎて加工性悪化や強度不足となり、7.0dL/gを超えると粘度が高くなりすぎて加工性悪化を招くため、好ましくない。
(二)エチレン分布パラメーターP
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)は、該共重合体(a)をシクロヘキサンに溶解することにより得た、測定サンプルを、GPC−offline−FTIRを用いて溶離液をシクロヘキサンとし、流量1.0mL/min、温度60℃で測定を行い、得られたIRスペクトルの721±20cm-1の範囲の最大ピーク(A721cm-1)と4320±20cm-1の範囲の最大ピーク(A4320cm-1)とのピーク強度比(A721cm-1/A4320cm-1)をエチレン分布パラメーターPとしたとき、このエチレン分布パラメーターPの最大値Pmaxと最小値Pminとの関係が、Pmax/Pmin≦1.4である。
【0023】
前記パラメーターPは、測定したフラクションにおけるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)中のエチレン由来の構成単位の含有量を示す指標であり、Pが大きいほどエチレン由来の構成単位の含有量が多いことを示す。なお、前記721±20cm-1の範囲の最大ピーク(A721cm-1)はエチレン由来の構成単位のC−H横揺れ振動に由来するピークを示し、4320±20cm-1の範囲の最大ピーク(A4320cm-1)はオレフィン骨格に共通するC−H変角振動に由来するピークを示すと本発明者らは推定した。
【0024】
なお、パラメーターPは後述する実施例に記載の測定法により測定することができる。
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)において、上記測定により得られたエチレン分布パラメーターPの最大値Pmaxと最小値Pmin(Pmin≦Pmax)との関係は、Pmax/Pmin≦1.4であり、好ましくは1.0〜1.4である。上記式(1)で表されるメタロセン触媒を使用すると、P値を
(≦1.4)にコントロールすることが出来る。すなわち、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)は、上記式(1)で表されるメタロセン触媒で重合されることにより、上述の関係を満たすことができる。
【0025】
また、エチレン分布パラメーターPの最大値Pmaxと最小値Pminとの関係が、上記関係を満たすと、得られるゴム組成物の加工性、機械強度が良好となる。
また、本発明で用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)のゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリイソブチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常は10,000〜1,000,000であり、好ましくは10,000〜200,000である。また、分子量分布(Mw/Mn)は通常は2.0〜10.0であり、好ましくは2.0〜5.0である。上記範囲ではブチルゴム(B)との相溶性が優れるため好ましい。
【0026】
共重合体(a)の重合方法としては、上記式(1)で示される構造のメタロセン触媒を
用いて重合を行う以外には特に限定はないが、通常は上記式(1)で表されるメタロセン触媒を主触媒とし、共触媒としてトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート〔(C653CB(C654 〕および有機アルミニウム化合物を
用い、ヘキサン等の脂肪族炭化水素を溶媒とし、攪拌機つき反応器による連続法またはバッチ法で行われる。
【0027】
有機アルミニウム化合物としては、トリイソブチルアルミニウム(以下、TIBAとも称す)が好ましい。
反応温度は、通常は−20〜200℃、好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲であり、圧力は、0を超えて〜8MPa(ゲージ圧)、好ましくは0を超えて〜5MPa(ゲージ圧)の範囲である。上記範囲内では触媒の活性に優れ、好適に共重合体(a)を製造することができる。
【0028】
また、上記反応に用いる原料の量比はエチレン1molあたり、α−オレフィンが0.2〜1.0mol、非共役ポリエンが0.01〜0.10mol、好ましくはα−オレフィンが0.5〜1.0mol、非共役ポリエンが0.01〜0.08molである。
【0029】
また、上記式(1)で表されるメタロセン触媒の使用量は、0.05〜0.1mmol/hであり、共触媒の使用量は0.1〜0.5mmol/hであり、有機アルミニウム化合物の使用量は1.0〜3.0mmol/hである。
【0030】
また、反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは10分間〜3時間である。さらに、共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0031】
上記重合条件で重合することにより得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)を用いることにより、本発明のゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体(a)からなる共重合体ゴム(A)と、ブチルゴム(B)との相溶性に優れ、ゲル状物が抑制される。また、このゴム組成物より形成される成型体は、外観や物性等に優れる。
【0032】
[ブチルゴム(B)]
本発明では、市販されているブチルゴムが特に制限なく使用できるが、ハロゲンを含まないブチルゴムが特に好ましい。具体的に、ハロゲンを含まないブチルゴムとしては、イソプレンが数%のイソブチレンとの共重合体ゴムであり、不飽和度が0.8〜2.2モル%、ム−ニ−粘度ML1+8(125℃)が45〜55、更に好ましくは48〜54である。
【0033】
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)とを含む。
共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)との重量比(A)/(B)は、10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20、特に好ましくは30/70〜70/30である。配合量が上記範囲にある場合、ガスバリア性、および強度特性に優れているほか、ブチルゴム(B)が本来有する特性が低下しない。共重合体ゴム(A)の配合量が、上限を超える場合、ガスバリア性を満足せず、下限未満の場合、機械的強度、伸びが不足するため好ましくない。
【0034】
また、本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)中の塩素含有量は、10ppm以下であり、好ましくは5ppm以下である。塩素含有量
が、5ppm以下であることは、成形品の劣化や物性低下を抑制する上で好ましい。
【0035】
また、本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)は、水分が0.1wt%以下であることが好ましい。水分が0.1wt%以下であることは、水分の揮発による成形品の発泡による歩留まり悪化や加工性の低下を抑制する上で好ましい。
【0036】
また、本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)中のゲル量は、該共重合体(a)中に0.05wt%以下、好ましくは0.02wt%以下である。該共重合体(a)中のゲル量が、0.1wt%を超えると、本発明のゴム組成物より得られた成型品の外観や物性に影響を及ぼすので好ましくない。
【0037】
(その他の成分)
本発明のゴム組成物、またはゴム製品を製造する際に、意図するゴム製品の用途、それに基づく性能に応じて、一般にゴム製品の製造で用いられる各種類の公知の配合剤、他のゴム又はプラスチックを本発明の目的を損なわない範囲で適宜選定し、適切な配合量を配合することができる。
【0038】
具体的には、アルコキシシラン化合物、ゴム補強剤、軟化剤、架橋剤、加硫促進剤、加硫助剤、無機充填剤、活性剤、発泡助剤、架橋助剤、反応抑制剤、着色剤、分散剤、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防カビ剤、素練促進剤、粘着付与剤、分散染料や酸性染料を代表例とする各種染料、無機・有機顔料、界面活性剤、塗料、およびホワイトカーボンなどの配合剤、などを挙げることができる。
【0039】
本発明における無機充填剤としては、具体的には、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック、微粉ケイ酸、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。このようなカーボンブラックの比表面積は5〜200m2/gであることが好ましく、また無機充填剤の比表
面積は1〜100m2/gであることが好ましい。
【0040】
カーボンブラックの使用量は、前記共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)からなるゴム組成物100重量部に対して、0.1〜100重量部であることが好ましい。カーボンブラック以外の無機充填剤の使用量は、前記共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)からなるゴム組成物100重量部に対して、0〜100重量部であることが好ましい。したがって、本発明における無機充填剤成分の合計量は、前記共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)からなるゴム組成物100重量部に対して、通常0.1〜200重量部、好ましくは1〜150重量部である。
【0041】
本発明における共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)からなるゴム組成物を架橋させる際の架橋剤として、硫黄系化合物を用いることが好ましい。硫黄系化合物としては、通常使用されている従来公知の硫黄化合物が全て用いられる。具体的には、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄があり、それらをポリマーや無機充填剤などに予め分散させた硫黄マスターバッチコンパウンドなどによって配合できる。
【0042】
具体的な化合物には、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどが用いられ、中でも硫黄が好ましく用いられる。硫黄化合物は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0043】
硫黄化合物は、前記共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)からなるゴム組成物100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部である。
【0044】
本発明における共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)からなるゴム組成物を硫黄加硫する際に、必要に応じて、加硫促進剤を配合することが好ましい。その使用において、加硫促進剤の種類や使用法には、特に制限がなく、公知種類や方法が全て適用できる。
【0045】
加硫促進剤の具体的な例としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン、オルソトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジン・フタレート等のグアニジン系化合物;アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン反応物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物等のアルデヒド−アミン又はアルデヒド−アンモニア系化合物;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア、ジオルソトリルチオウレア等のチオウレア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸塩;その他、亜鉛華(酸化亜鉛)などの化合物が挙げられる。
【0046】
加硫促進剤は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。また、その量は、前記共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)からなるゴム組成物100重量部に対して、0〜20重量部、好ましくは、0〜15重量部で用いられる。
【0047】
軟化剤としては、通常ゴムに用いられる公知の軟化剤を用いることができる。
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質などが挙げられる。なかでも石油系軟化剤、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
【0048】
軟化剤は、単独で又は2種以上の組み合わせで用いられる。その量は、前記共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)からなるゴム組成物100重量部に対して、0〜100重量部、好ましくは2〜80重量部の割合で用いることができる。
【0049】
本発明において、必要に応じて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの汎用樹脂を用いることができる。また、本発明において、必要に応じて、シリコーンゴム、エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム(EPR)、天然ゴム、スチレン−ブタジ
エンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴムなどのゴムをブレンドして用いることができる。
【0050】
また、上記共重合体(a)とは異なるが類似するゴム(EPT)を用いることもできる。また、共重合体(a)に、上記(イ)〜(ニ)のいずれか1つ以上が異なるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を2種以上混合して用いることもできる。特に、このような共重合体(a)と異なる共重合体を混合する場合、低極限粘度を有する共重合体と、高極限粘度を有する共重合体との混合などが挙げられる。
【0051】
[ゴム組成物の製法]
本発明のゴム組成物は、必須成分である、前記共重合体ゴム(A)およびブチルゴム(B)を用いて、公知の一般的なゴム配合物の調製方法によって、調製することができる。具体的には、以下の通りである。
【0052】
本発明の組成物から加硫ゴムを得るには、通常一般のゴムを加硫するときと同様に、後述する方法で未加硫のゴム組成物を一度調製し、次いで、この配合ゴムを意図する形状に成形した後、加硫する。
【0053】
未加硫の配合ゴムは、例えば、以下の方法により調製される。即ち、バンバリーミキサーなどのミキサー類を用いて、前述のゴム成分、並びにその他の無機充填剤や軟化剤などを80〜190℃の温度で2〜20分間混練して、次いで、オープンロールなどのロール類を用いて、架橋剤、加硫促進剤などを混合し、ロール温度40〜60℃で3〜30分間混練した後、混練物を押出し、リボン状又はシート状の配合ゴムを調製する。
【0054】
このように調製された配合ゴムは、押出成形機、カレンダーロール又はプレスにより意図する形状に成形され、成形と同時に又は成形物を加硫槽内に導入し、通常100〜270℃の温度で通常1〜150分間加熱し、加硫ゴムとする。このような加硫を行う際に、金型を用いてもよいし、用いなくてもよい。
【0055】
金型を用いない場合には、成形、加硫の工程は、通常、連続的に実施される。
本発明のゴム組成物から得られる加硫ゴムは、ガスバリア性、機械強度、耐熱老化性に優れるため、特に、自動車部品、タイヤ用部品、タイヤチューブなどに好適に用いることができる。
【0056】
[実施例]
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の組成、構造、性質は以下のようにして測定した。結果を表1に示す。
【0057】
(共重合体中のエチレン、プロピレン、非共役ポリエンから導かれる単位の含量:[wt%])
日本電子製 ECX400P型核磁気共鳴装置を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:ODCB-
4、積算回数:512回にて、1Hのスペクトルを測定した。
【0058】
(ヨウ素価:[g/100g])
JIS K0070に準じて、測定した。
(極限粘度[η:dL/g])
離合社製 全自動極限粘度計を用いて、温度:135℃、測定溶媒:デカリンにて測定した。
【0059】
(ムーニー粘度(ML1+4(100℃))
JIS K6300(1994)に準じて、測定した。
(エチレン分布パラメーターP)
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体0.02gを溶離液であるシクロヘキサン10mlに溶解後、0.45μmのフィルターでろ過し、GPC−offline−FTIR測定を行った。
【0060】
測定は溶離液としてシクロヘキサンを用い、流量1.0ml/min、温度60℃で行い、装置としてゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters社製)を用い、カラムに東ソー(株)製 Gel GMHHR−H(2本)を用い、検出器には東ソー(株)製 示差屈折計RI−8020を用い、FTIR装置にはLab Connection Inc.製 LC−Transform Series300を用いた。
【0061】
分子量計算はポリイソブチレン換算で行い、カラム出口の配管に検出器とFTIR測定装置を流量がほぼ等量になるよう並列に接続した。測定によって得られたFTIR測定の結果得られたチャートにおける721±20cm-1の最大ピーク強度をA721cm-1、4320±20cm-1における最大ピーク強度をA4320cm-1とするとエチレン分布パラメーターPは
P=A721cm-1/A4320cm-1
と表される。
【0062】
ただし721±20cm-1の最大ピーク強度は、782±20cm-1の極小点と690±20cm-1の極小点とを結んだベースラインからの強度とし、同様に4320±20cm-1の最大ピーク強度は4480±20cm-1の極小点と3500±20cm-1の極小点とを結んだベースラインからの強度とした。
【0063】
(水分量:[wt%])
平沼産業(株)製 平沼自動加熱気化水分測定システム(AQS-720)を用いて、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体2gを200℃、15minの条件にて測
定した。
【0064】
(塩素含量:[ppm])
Philips X-Ray Spectrometer PW-2400を用いて、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体3g中の塩素含量を塩素検量線により測定した。
【0065】
(ゲル量:[wt%])
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体16gを150℃、n-デカン800mLに4時間溶解させた後、デカリン溶液を目開き106μmのメッシュでろ過し、仕込み重量に対するメッシュ上に残った残渣の重量割合で評価した。
【0066】
実施例および比較例におけるゴム組成物および加硫シートについての評価試験方法は、以下のとおりである。
(引張試験)
JIS K6251に従って、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、加硫シートの破断時の強度TB([MPa])、伸びEB([%])を測定した。
【0067】
(抗張積:[MPa・%])
加硫ゴム組成物の物性を評価する一般的な指標の一つであるJIS K6251に従って、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験により、加硫シートの破
断時の強度TB、伸びEBを掛け合わすことにより、抗張積を求めた。
【0068】
(加工性)
ゴム組成物を用いて、6インチロール(前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm、ロール間隙2mm)を使用して、ロールへの巻きつけ性を評価した。評価レベルは、以下のとおりである。合格は、△以上とした。
【0069】
○ :ロールへの巻き付け性、剥離性、カット性は良好である。
△ :ロールへの巻き付け性が良好であり、シートカットもなんとかできる。
× :ロールへの巻き付け性は良好であるが、収縮が大きいため、シートカットが難しく、混練が均一でない。
【0070】
××:ロールへの巻き付け性は良好であるが、収縮が非常に大きく、シートカットが難しく、ロール混練ができる状態ではなかった。
(気体透過性[cm3・mm/(m3・24時間・atm)]
ASTM D 1434に準拠して、加硫シートの測定を行った。なお、東洋精機(株)製 差圧
法ガス透過試験機を用いて、試験ガス(透過気体)に100%酸素を用いて、温度23℃、湿
度0%にて測定した。
【0071】
(硬度)
JIS K6253に準拠し、加硫シートのスプリング硬さHA(A硬度)を求めた。
実施例および比較例で用いたエチレン・ プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボル
ネン共重合体ゴムの製造方法を以下に示す。
【0072】
[製造例1](共重合体X)
充分に窒素置換した2000mLの重合装置に、900mLの乾燥ヘキサン、5−エチリデン−2−ノルボルネン6mLとトリイソブチルアルミニウム(0.2mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を80℃に昇温し、プロピレンで0.3MPaに加圧した。次いで、エチレンで0.8MPaに加圧した。続いて、国際公開WO98/49212に記載されている合成方法に準じて得た、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.01mmol、[N-(1,1-ジメチルエチル)-1,1-ジメチル-1-[(1,2,3,3a,8a-η)-1,5,6,7-テトラヒドロ-2-メチル-S-インダセン-1-yl]シランアミ
ネート(2-)-κN][(1,2,3,4-η)-1,3-ペンタジエン]-チタニウム(触媒A;メタロセン触
媒)を0.001mmolを重合器内に添加し、内温80℃、エチレン圧0.8MPaを保ちながら10分間重合し、20mLのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥した。得られたエチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体は、後述の実施例で使用するに当たり必要量を確保するために、前記操作を繰り返し実施した。
【0073】
[製造例2](共重合体Y)
充分に窒素置換した1500mLの重合装置に、675mLの乾燥ヘキサン、5−エチリデン−2−ノルボルネン4.5mLとトリイソブチルアルミニウム(0.15mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を80℃に昇温し、プロピレンで0.3MPaに加圧した。次いで、エチレンで0.8MPaに加圧した。続いて、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート−トルエン溶液(触媒B)を0.00375mmol、ジフェニルメチレンシクロペンタジエニルフルオレニルジルコニウムジクロライド−トルエン溶液を0.000375mmolを重合器内に添加し、内温80℃、エチレン圧0.8MPaを保ちながら10分間重合し、20mLのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下
130℃、12時間乾燥した。得られたエチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体は、後述の実施例で使用するに当たり必要量を確保するために、前記操作を繰り返し実施した。
【0074】
【表1】

【0075】
[実施例1]
表2に示すように、製造例1で得られた共重合体ゴム(共重合体X)30重量部とブチ
ルゴム[JSR(株)製、Butyl268]70重量部を容量1.7リットルのバンバリーミキサー[神戸製鋼所(株)製、ミクストロン]で30秒間素練りし、ついで、ステアリン酸1重量部、酸化亜鉛[ハクスイテック(株)製、酸化亜鉛2種]5重量部、カーボンブラック[旭カーボン(株)製、旭#55]60重量部、およびパラフィン系オイル[出光興産(株)製、PW−32]20重量部を表2に示す所定量(単位;共重合体Xとブチルゴ
ムとの合計量を100重量部とした重量部)入れ、2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行い、さらに1分間混練を行い、約140℃で排出し、ゴム組成物を得た。この混練は該ミキサー容積に対して充填率70%で行った。
【0076】
得られた上記ゴム組成物を6インチロール(前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、硫黄1.5重量部、加硫促進剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド[三新化学(株)製、サンセラーTT]1重量部、2-メルカプトベンゾチアゾール[三新化学(株)
製、サンセラーM]0.5重量部を表2に示す所定量(単位;共重合体ゴム(共重合体1
)とブチルゴム(B)との合計量を100重量部とした重量部)加えて4分間混練した後、シート状に分出しして160℃で20分間プレスし、厚み2mmの加硫シートを調製した。このゴム組成物および加硫シートについて上記評価試験を実施した。結果を表2に示す。
【0077】
[実施例2]
共重合体ゴムXの重量を50重量部、ブチルゴムの重量を50重量部へ変更した以外は
、実施例1と同様に調製した。得られたゴム組成物および加硫シートについて上記評価試験を実施した。結果を表2に示す。
【0078】
[実施例3]
共重合体ゴムXの重量を70重量部、ブチルゴムの重量を30重量部へ変更した以外は
、実施例1と同様に調製した。得られたゴム組成物および加硫シートについて上記評価試験を実施した。結果を表2に示す。
【0079】
[比較例1]
共重合体ゴムXの重量を100重量部、ブチルゴムを使用しない以外は、実施例1と同
様に調製した。得られたゴム組成物および加硫シートについて上記評価試験を実施した。結果を表2に示す。
【0080】
[比較例2]
共重合体ゴムXを使用しない、ブチルゴムの重量を100重量部へ変更した以外は、実
施例1と同様に調製した。得られたゴム組成物および加硫シートについて上記評価試験を実施した。結果を表2に示す。
【0081】
[比較例3]
共重合体ゴムとして吉林化学製 2070(組成および物性は、表1を参照)を30重
量部とした以外は、実施例1と同様に調製した。得られたゴム組成物および加硫シートについて上記評価試験を実施した。結果を表2に示す。
【0082】
[比較例4]
共重合体ゴムとしてKUMHO社製 KEP-435(組成および物性は、表1を参照)を30重量
部とした以外は、実施例1と同様に調製した。得られたゴム組成物および加硫シートについて上記評価試験を実施した。結果を表2に示す。
【0083】
[比較例5]
共重合体ゴムとして製造例2に示した共重合体ゴムYを30重量部とした以外は、実施
例1と同様に調製した。得られたゴム組成物および加硫シートについて上記評価試験を実施した。結果を表2に示す。
【0084】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)からなる共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)とを含み、ガスバリア性、機械強度や耐熱
老化性に優れ、そして、ゴム組成物としての加工性に優れる。このようなゴム組成物は、各種成形品、特に、自動車部品、タイヤ用部品、タイヤチューブ等の用途に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合体ゴム(A)とブチルゴム(B)を含むゴム組成物であって、
前記共重合体ゴム(A)と前記ブチルゴム(B)との重量比(A)/(B)が、10/90〜90/10であって、かつ、
前記共重合体ゴム(A)が、
エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと、少なくとも一種の非共役ポリエンから、下記式(1)で示される構造のメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)からなり、かつ、
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)が、以下の(イ)〜(二)を満たす共重合体である
ことを特徴とするゴム組成物。
(イ)エチレン/炭素数3〜20のα−オレフィンのモル比が、50/50〜80/20(ロ)ヨウ素価が、0.5〜30g/100g
(ハ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が、0.3〜7.0dL/g
(ニ)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)をシクロヘキサンに溶解することにより得た測定サンプルを、GPC−offline−FTIRを用いて溶離液をシクロヘキサンとし、流量1.0mL/min、温度60℃で測定を行い、得られたIRスペクトルの721±20cm-1の範囲の最大ピーク(A721cm-1)と4320±20cm-1の範囲の最大ピーク(A4320cm-1)とのピーク強度比(A721cm-1/A4320cm-1)をエチレン分布パラメーターPとしたとき、
このP値の最大値Pmaxと最小値Pminとの関係が、Pmax/Pmin≦1.4である
【化1】

【請求項2】
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(a)中の塩素含量が、5ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
カーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物を、架橋剤を用いて架橋させてなるゴム組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて形成されたゴム成形品。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて形成された自動車用部品。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて形成されたタイヤ用部品。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて形成されたタイヤチューブ。

【公開番号】特開2009−138076(P2009−138076A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314888(P2007−314888)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】