説明

ゴム組成物およびその用途

【課題】摺動性に優れる加硫ゴム成形体が得られるゴム組成物を提供する。
【解決手段】本発明のゴム組成物は、[I]エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100重量部と、[II]合成樹脂(B)1〜80重量部とを含有してなり、合成樹脂(B)は、(i)DSCで測定された融点が120℃以上であり、(ii)極限粘度[η]が5.0dL/g以上であり、(iii)平均粒子径が1〜20μmであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴム組成物、特にエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と高分子量ポリオレフィン系粒子が配合された、良好な外観を有し、摺動性に優れた成形体を形成し得るゴム組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、主鎖に不飽和結合を持たないため、共役ジエン系のゴムと比較して耐候性、耐熱性、耐オゾン性に優れる。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む共重合体組成物、該組成物の架橋体は上記性質を利用し、自動車工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建材用品、ゴム引布等のゴム製品等に広く用いられている。
中でも動的環境で使用されるシール部品では、耐摩耗性に優れたゴム製品が求められることから、粒径の小さいカーボンブラックを配合し、補強性を高めることが、広く知られている。また、摩耗係数低減効果のある添加剤を配合し、耐摩耗性を向上することも広く行われ、特に、シリコーンオイルやシリコーンポリマーのほか、有機系・無機系の各種滑材が使用されている。シリコーンオイルは、配合することによって接触体との滑り性を大きく向上させることが出来るが、表面にブリードアウトし易く、接触体が数回ないし数十回上下すると表面のシリコーン分は接触体表面に移行して取られ、その結果動摩擦係数が上昇し、接触体の摺動不良の問題を引き起こす恐れがある。ほかの滑材に関しても、ブリードアウトし易く、摺動不良や外観不良が問題となる。
特許文献1によると、シリコーンオイルのブリードアウト抑制のため、シリコーンパウダーを混在させる方法が紹介されているが、シリコーンオイルのブリードアウトを完全に無くすことは困難である。
したがって、ブリードアウトに伴う外観不良が問題とならない、摺動性に優れた加硫ゴム成形体を提供することができるゴム組成物が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-109702
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のような状況から、本発明は良好な外観を有し、摺動性に優れる加硫ゴム成形体を提供することができるゴム組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記の課題を解決するため鋭意検討の結果、特定のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と高分子量ポリオレフィン系粒子を配合すれば目的が達成されることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明のゴム組成物は前記の課題を解決したものであり、
[I]エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100重量部と、
[II]合成樹脂(B)1〜80重量部を含有してなり
合成樹脂(B)は、
(i)DSCで測定された融点が120℃以上であり、
(ii)極限粘度[η]が5.0dL/g以上であり、
(iii)平均粒子径が1〜20μmである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るゴム組成物により、良好な外観を有し、摺動性に優れる加硫ゴム成形体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係るゴム組成物およびゴム成形体について具体的に説明する。
〔エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)〕
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、エチレンから導かれる単位、炭素数3以上、好ましくは3〜20のα−オレフィンから導かれる単位および非共役ポリエンから導かれる単位を含む共重合体ゴムである。
【0008】
α−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチルデセン−1、11−メチルドデセン−1および12−エチルテトラデセン−1などが挙げられる。なかでも、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセンおよび1−オクテンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。
これらα−オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
【0009】
また、非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエンおよび4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−イソブテニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエンおよびノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。なかでも、5−エチリデン−2−ノルボルネンおよび5−ビニル−2−ノルボルネンが好ましい。
これらの非共役ポリエンは、単独で、または2種類以上組み合わせて用いられる。
【0010】
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、エチレン(A)に由来する構造単位と、α−オレフィン(B)に由来する構造単位とのモル比[(A)/(B)]は、50/50〜95/5が好ましく、非共役ポリエン(C)に由来する構造単位が共重合体ゴム中に1.0wt%〜20.0wt%、好ましくは3.0wt%〜15wt%、より好ましくは4.0wt%〜14wt%の量で含まれる。
【0011】
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、通常、135℃、デカリン中で測定される極限粘度〔η〕が通常、0.5〜5.0dL/g、好ましくは0.5〜4.0dL/gである。
【0012】
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの具体例としては、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体などを例示することができる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの重合方法としては、特に制限はないが、例えば[N−(1,1−ジメチルエチル)−1,1−ジメチル−1−[(1,2,3,3A,8A−η)−1,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−S−インダセン−1−yl]シランアミネート(2−)−κN][(1,2,3,4−η)−1,3−ペンタジエン]−チタニウム等のメタロセン触媒を主触媒とし、共触媒として(C)3CB(Cおよび有機アルミニウム化合物を用い、ヘキサン等の脂肪族炭化水素を溶媒とし、攪拌機つき反応器による連続法またはバッチ法で重合することができる。
【0013】
有機アルミニウム化合物としては、トリイソブチルアルミニウム(以下、TIBAとも記す。)が好ましい。
【0014】
反応温度は、通常は−20〜200℃、好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲であり、圧力は、0を超えて〜8MPa(ゲージ圧)、好ましくは0を超えて〜5MPa(ゲージ圧)の範囲である。上記範囲内では触媒の活性に優れ好適にエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを製造することができる。
【0015】
また、上記反応に用いる原料の量比はエチレン1molあたり、通常はα−オレフィンが0.2〜1.0mol、非共役ポリエンが0.02〜0.10mol、好ましくはα−オレフィンが0.4〜0.8mol、非共役ポリエンが0.04〜0.08molである。
【0016】
また、原料の供給量によっても異なるが、例えばエチレン4.6kg/hで供給する際には主触媒の使用量は、0.03mmol/h〜0.11mmol/hであり、共触媒の使用量は0.10mmol/h〜0.46mmol/hであり、有機アルミニウム化合物の使用量は0.6mmol/h〜3.0mmol/hである。
【0017】
また、反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは10分間〜3時間である。さらに、共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0018】
〔合成樹脂(B)〕
本発明で用いられる合成樹脂(B)としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1 、ポリ−4−フェニルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1
等のポリオレフィン;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のポリエーテル;ナイロン−12、ナイロン−7等のポリアミドなどが挙げられる。これらのうち、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく用いられる。
【0019】
本発明で用いられる合成樹脂は、DSC(示差走査熱量計)で測定された融点が20℃以上、好ましくは125℃以上である。上限は、350℃程度である。融点が120℃未満の合成樹脂は、バンバリーミキサーなどの実用混練機を用いて混合させた際に溶融し、冷却された後に配合ゴムが加工できなくなる虞がある。また、融点が120℃未満の合成樹脂を用いて得られた加硫ゴム成形体は、高温下での特性、たとえば圧縮永久歪が大きくなる等の熱的特性が悪化する場合がある。
本発明で用いられる合成樹脂は、極限粘度[η]が5.0dL/g以上、好ましくは5.0〜50dL/g、さらに好ましくは5.0〜30dL/g、特に好ましくは10〜30dL/gである。
【0020】
このような超高分子量の合成樹脂を使用することにより、加硫時に合成樹脂が配合ゴムの流れ方向に偏平したりフローすることなく均一な表面状態を得ることができる。
また、本発明で用いられる合成樹脂は、SEMで測定した平均粒子径が1〜20μm、好ましくは1〜15μm、特に好ましくは5〜15μmである。
【0021】
このような平均粒子径を有する合成樹脂を用いることによって、加硫ゴム成形体表面の凹凸が微細になり良好な外観および優れた摺動状態を得ることができる。
本発明で用いられる合成樹脂は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部あたり、通常は1〜80重量部、好ましくは1〜60重量部、より好ましくは1〜50重量部、特に好ましくは1〜25重量部含まれる。この範囲内で合成樹脂を用いると該組成物より得られた成型体の硬度と摺動性のバランスに優れるため好ましい。
【0022】
〔カーボンブラック〕
本発明のゴム組成物には、上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体〔A〕、合成樹脂〔B〕に加え、カーボンブラックを添加してよい。本発明のゴム組成物に含まれるカーボンブラックとしては、SRF(Semi Reinforcing Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、FEF(Fast Extruding Furance)、MAF(Medium Abrasion Furance)、HAF(High Abrasion Furance)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furance)、SAF(Super Abrasion Furnace)、FT(Fine Thermal)、MT(Medium Thermal)等のカーボンブラックを用いることができる。市販されているカーボンブラックとしては、「旭#50」、「旭#55」、「旭#60」、「旭#60H」、「旭#70」、「旭#80」、「旭#90」、「旭#15」、(商品名;旭カーボン株式会社製)、「シーストSO」、「シースト116」、「シースト3」、「シースト6」、「シースト7HM」」、「シースト9」(商品名;東海カーボン株式会社製)などを挙げることができる。このようなカーボンブラックの平均粒径は、20〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは20〜40μm、特に好ましくは25〜35μmである。この範囲の粒径のカーボンブラックを使用することは補強性および加工性の点から好ましい。
【0023】
カーボンブラックはエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部あたり、通常は5〜100重量部、好ましくは20〜100重量部、より好ましくは60〜100重量部含まれる。この範囲内でカーボンブラックを用いると該組成物より得られた成型体の硬度と加工性のバランスに優れるため好ましい。
〔その他の補強材〕
本発明のゴム組成物の含まれる成分の一つである補強材は、通常、合成ゴムの補強材として使用されている補強材である限り、特に限定はされない。かかる補強材としては、上記カーボンブラックに加え、シリカ、活性化炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、微粉タルク、微粉ケイ酸、タルク、クレーなどや、これらの無機物の表面をシランカップリング剤等で処理したものを用いることができる。
【0024】
〔架橋剤〕
本発明のゴム組成物には、上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]、合成樹脂[B]加え、架橋剤を添加してよい。架橋の際に使用される架橋剤としては、イオウ、イオウ化合物などの加硫剤や、有機過酸化物が挙げられる。
【0025】
(イオウ、イオウ化合物)
イオウとしては、具体的には、粉末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウなどが挙げられる。
【0026】
イオウ化合物としては、具体的には、塩化イオウ、二塩化イオウ、高分子多硫化物などが挙げられる。また、加硫温度で活性イオウを放出して加硫するイオウ化合物、たとえばモルフォリンジスルフィド、アルキルフェノ−ルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなども使用することができる。中でもイオウが好ましく用いられる。これらイオウ、イオウ化合物は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0027】
イオウ、イオウ化合物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部の割合で用いられるが、要求される物性に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。また、加硫剤としてイオウ、イオウ化合物を使用するときは、加硫促進剤を併用することが好ましい。
【0028】
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、具体的には、N−シクロヘキシル−2− ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2− ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2− ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2’,4’−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(4’− モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;アセトアルデヒド− アニリン反応物、ブチルアルデヒド− アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド− アンモニア系化合物;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;亜鉛華(酸化亜鉛)等の化合物を挙げることができる。
【0029】
これらの加硫促進剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の割合で用いられるが、要求される物性に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0030】
(有機過酸化物)
架橋剤の一つである有機過酸化物としては、通常ゴムの過酸化物加硫に使用されるものであればよい。具体的には、ジクミルパーオキサイド、ジ−t− ブチルパーオキサイド、ジ−t− ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルヒドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシン)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5− ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−モノ(t−ブチルパーオキシ)− ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。中でも、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。これらの有機過酸化物は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0031】
有機過酸化物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]100gに対して、通常0.0003〜0.05mol、好ましくは0.001〜0.03molの割合で使用されるが、要求される物性に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0032】
架橋剤として有機過酸化物を使用するときは、架橋助剤を併用することが好ましい。架橋助剤としては、具体的には、イオウ;p− キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレート等のメタクリレート系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合物;その他マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。このような架橋助剤は、使用する有機過酸化物1molに対して、0.5〜2mol、好ましくは、およそ等モルの量で用いられる。
【0033】
〔その他の成分〕
本発明に係るゴム組成物には、意図する加硫物の用途、性能に応じて、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]、合成樹脂[B]の他に、一般にゴム製品の製造で用いられる各種公知の配合剤、たとえば、軟化剤、加硫助剤、老化防止剤、加工助剤、アルコキシシラン化合物、架橋剤、架橋助剤、活性剤、反応抑制剤、着色剤、分散剤、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防カビ剤、素練促進剤、粘着付与剤、分散染料や酸性染料を代表例とする各種染料、無機・有機顔料、界面活性剤、および塗料などの配合剤、また必要に応じて、発泡剤、発泡助剤などの発泡のための化合物、脱泡剤を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選定し、適切な配合量を配合することができる。
【0034】
(軟化剤)
軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質などを挙げることができる。中でも石油系軟化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
【0035】
これらの軟化剤の配合量は、ゴム成形体の用途により適宜選択できるが、通常、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]100重量部に対して、150重量部以下、好ましくは最大130重量部以下である。
【0036】
(老化防止剤)
老化防止剤を使用すれば、さらに材料寿命を長くすることが可能である。このことは、通常のゴムの場合と同様である。
【0037】
本発明で用いられる老化防止剤としては、具体的には、フェニルナフチルアミン、4,4’−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等の芳香族第二アミン系安定剤;2,6−ジ−t− ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス− [メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系安定剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系安定剤;2−メルカプトベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系安定剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系安定剤などが挙げられる。これらの老化防止剤は、単独あるいは2種以上が併用して用いられる。
【0038】
このような老化防止剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0039】
(加工助剤)
加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される化合物を使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸塩、リシノール酸エステル、ステアリン酸エステル、パルチミン酸エステル、ラウリン酸エステル等の高級脂肪酸エステル類などが挙げられる。
【0040】
このような加工助剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0041】
(発泡剤および発泡助剤)
後述する本発明に係るゴム成形体は、必要に応じて、通常ゴムに使用される発泡剤および発泡助剤を本発明に係るゴム組成物に配合し、成形、発泡、加硫を行うことで得ることもできる。
【0042】
発泡剤としては、具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’− ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。
【0043】
これらの発泡剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。必要に応じて、発泡剤と併用される発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの作用をする。このような発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸などの有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。
【0044】
これらの発泡助剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0045】
(脱泡剤)
配合ゴムを加硫する場合、内包する水分により気泡ができたり、発泡度が異なったりすることがある。これらを防止するために、脱泡剤として酸化カルシウムを添加してもよい。
【0046】
脱泡剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]100重量部に対して、通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0047】
〔ゴム組成物の製造方法〕
本発明に係るゴム組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]、合成樹脂[B]と、たとえば、補強材、軟化剤、架橋剤などの一般にゴム製品の製造で用いられる各種公知の配合剤から一般的なゴム配合物の製造方法によって調製することができる。
【0048】
ゴム組成物の製造方法としては、たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]、合成樹脂[B]、必要に応じて、補強材、軟化剤(油展用)、加工助剤、加硫促進剤などを、80〜170℃の温度で2〜20分間混練する。次いで、得られたブレンド物に、軟化剤、加硫剤(たとえば、イオウ)、加硫促進剤、必要に応じて、発泡剤、架橋剤等の添加剤をオープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、必要に応じて加硫促進剤、架橋助剤、発泡助剤、脱法剤を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
【0049】
したがって、本発明に係るゴム組成物(未加硫の配合ゴム)は、たとえば次のような方法で調製される。バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー類により、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]、合成樹脂[B]、必要に応じて、補強材、軟化剤、加工助剤、加硫促進剤などの添加剤を110〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して加硫剤、必要に応じて加硫促進剤または加硫助剤、発泡剤を120℃未満の温度下で追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
【0050】
また、インターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム[A]、充填剤、軟化剤などとともに合成樹脂[B]、加硫剤、加硫促進剤、発泡剤などを同時に混練することもできる。
【0051】
〔ゴム成形体およびその製造方法〕
(ゴム成形体)
本発明のゴム成形体は、本発明のゴム組成物を加硫してなり、優れた摺動性を持つ。そのため、自動車部品、家電関連部品、土木・建材関連部品、雑貨ならびに日用品をはじめ種々の用途に用いることができる。このような用途としては、具体的には、自動車用、航空機用ウェザーストリップ(例えばドアウェザーストリップ、トランクウェザーストリップ、ラゲージウェザーストリップ、ルーフサイドレールウェザーストリップ、スライドドアウェザーストリップ、ベンチレータウェザーストリップ、スライディングループパネルウェザーストリップ、フロントウインドウェザーストリップ、リヤウインドウェザーストリップ、クォーターウインドウェザーストリップ、ロックピラーウェザーストリップ、ドアガラスアウナーウェザーストリップ、ドアガラスインナーウェザーストリップ)、ダムウインドシールド、グラスランチャネル、ドアミラー用ブラケット、シールヘッドランプ、シールカウルトップ; 自動車用ホース(例えばブレーキホース、ラジエターホース、ヒーターホース、エアークリーナーホース; 送水用ホース)、ガス用ホース、建材シール部品(例えばガスケット、エアータイト、目地材)、戸当たり部、家電シール部品、自動車用カップ・シール材(例えばマスタシリンダーピストンカップ、ホイールシリンダーピストンカップ等)、産業機械用シール材、シート、伝動ベルトまたは搬送用ベルト、被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、半導電ゴム部品、OA機器用ロール、工業用ロール、家庭用ゴム製品またはシューズが挙げられる。
【0052】
また、本発明のゴム成形体は、物性上の特性を損なわない範囲であれば、発泡成形体であってもよい。
【0053】
発泡成形体として、具体的には、ドアスポンジ用スポンジ、オープニングトリム用スポンジ、フードシール用スポンジ、トランクシール用スポンジ等のウェザーストリップ用スポンジ材、断熱スポンジ、ダムラバー等高発泡スポンジ材などが挙げられる。
【0054】
(ゴム成形体の製造方法)
本発明に係るゴム組成物からゴム成形体を製造するには、通常一般のゴムを加硫するときと同様に、未加硫の配合ゴムを上述したような方法で一度調製し、次に、この配合ゴムを意図する形状に成形した後に加硫を行えばよい。
【0055】
上記のようにして調製された未加硫のゴム組成物は、種々の成形法により、成形、加硫することができるが、圧縮成形、射出成形、注入成形などの型成形により、成形、加硫する場合に最もその特性を発揮することができる。
【0056】
すなわち、圧縮成形の場合、予め秤量した未加硫の配合ゴムを型に入れ、型を閉じた後120〜270℃の温度で、30秒〜120分加熱することにより、目的とする加硫ゴム成形体が得られる。
【0057】
射出成形の場合、リボン状あるいはペレット状の配合ゴムをスクリューにより予め設定した量だけポットに供給する。引き続き予備加熱された配合ゴムをプランジャーにより金型内に1〜20秒で送り込む。配合ゴムを射出した後120〜270℃の温度で、30秒〜120分加熱することにより、目的とするゴム成形体が得られる。
【0058】
注入成形の場合、予め秤量した配合ゴムをポットに入れピストンにより金型内に1〜20秒で注入する。配合ゴムを注入した後120〜270℃の温度で、30秒〜120分加熱することにより、目的とする加硫ゴム成形体が得られる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0060】
[測定方法]
(融点測定)
示差走査熱量計RDC220(Seiko Instruments社製)を用い、測定用アルミパンに試料約10mgを詰めて、50℃/分で200℃まで昇温し、200℃で10分間保持した後、10℃/分で−100℃まで降温し、次いで10℃/分で200℃まで昇温した吸熱曲線より求めた。
【0061】
(極限粘度[η]の測定)
135℃、デカリン中で測定した。
【0062】
(平均粒子径(SEM測定))
SEM観察用の試料台にカーボンペーストを塗布し、その上にポリオレフィン微粒子を載せて乾燥させた後、蒸着装置(E−1030 日立製作所製)にてPt蒸着を行い、SEM (JEM−6300F 日本電子製)にて2,000倍像の写真を撮影した。次いで、写真に写った粒子64個の長径をノギスを用いて計測して、その算術平均値を平均粒子径とした。
【0063】
なお、実施例および比較例においては、下記を使用した。
合成樹脂(1):ポリエチレン〔商品名:ミペロンXM−221U(商標)三井化学(株)製、融点:136℃、極限粘度[η]:14.5dL/g、平均粒子径:25μm〕
合成樹脂(2):下記の要領で調製した。
【0064】
[固体状遷移金属触媒成分(a)の調製]
無水塩化マグネシウム4.76g、2−エチルヘキシルアルコール23.2mLおよびデカン25mLを120℃で2時間加熱して均一溶液とし、さらに安息香酸エチル0.9mLを添加した。この均一溶液を−20℃に冷却した後、四塩化チタン200mL中に1時間かけて攪拌滴下した。滴下終了後、この混合物を1時間半かけて90℃に昇温し、安息香酸エチル1.8mLを添加し、さらに90℃で2時間攪拌下に保持した後、固体成分を濾過によって採取した。次いで、この固体成分を四塩化チタン200mLに再び潤滑させ、90℃で2時間加熱した後、濾過により固体成分を採取した。遊離したチタン化合物が洗液中に検出されなくなるまで精製ヘキサンで充分洗浄し、固体状遷移金属触媒成分(A)を得た。
該固体状遷移金属触媒成分(A)は原子換算で、チタン3.5質量%、塩素62.0質量%、マグセシウム17.0質量%および安息香酸エチル14.3質量%を含んでいた。また、該固体状遷移金属触媒成分(A)は、平均粒子径が1.0μmで、粒度分布が幾何標準偏差1.2の顆粒状触媒であった。
【0065】
[本重合]
内容積2Lのオートクレーブに、精製デカン1.0L、トリイソブチルアルミニウム1.0mmol装入した。その後、60℃まで昇温してからエチレンの供給を始め、65℃で全圧2.5kg/cm2Gを維持するようにエチレンを6時間にわたり供給した。重合終了後、降温、脱圧し、重合体130gを得た(固体状遷移金属触媒成分(A)1g当たりの重合体生成量1,896g)。
得られた重合体の極限粘度[η]は12.0 dL/gであった。また重合体の平均粒子径は10.0μmで、粒度分布は粒子径が0〜40μmの範囲にある粉末が97.6質量%であった。得られた重合体中のチタン原子は16ppm、アルミニウム原子は180ppmであった。融点は136℃であった。
【0066】
以下、実施例、比較例で得られたゴム組成物および加硫物の各物性の測定方法を示す。
〔引張試験〕
加硫成形体をJIS K6251に従い、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、破断時強度(TB)および破断伸び(EB)を測定した。
【0067】
〔硬さ試験〕
加硫成形体の平らな部分を重ねて12mmとし、JIS K6253に従い硬度(JIS−A)を測定した。
〔グロス測定試験〕
加硫ゴムの表面光沢度は、グロスメーター〔グロスチェッカーIG−310、入射角60℃、受光角60℃:(株)堀場製作所〕を、加硫ゴムシートの表面に当てて測定した。
【0068】
〔動摩擦測定試験〕
加硫ゴムの動摩擦係数は、表面性測定機[TRIBOGEAR TYPE:14FW:新東化学株式会社] を用いて以下の試験法により測定した。
動摩擦係数指数は、それぞれのサンプルの測定によって得られた動摩擦係数をμ、後述の〔比較例1〕によってサンプルの測定によって得られた動摩擦係数をμ〔比較例1〕とすると動摩擦係数指数は、
動摩擦係数指数=μ/μ〔比較例1〕×100と表される。
・圧子:幅方向、厚み方向それぞれを半円状に研磨したガラス板(高さ:45mm、幅:20mm、厚さ:3mm)
・荷重:500g
・引張速度:100mm/min
【0069】
〔比較例1〕
エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体[商品名:三井EPT 4045M、三井化学(株)製]100重量部と、亜鉛華5重量部と、ステアリン酸1重量部と、HAFカーボンブラック[商品名: 旭#70、旭カーボン(株)製]80重量部とを1.7リットル容量のバンバリーミキサーで5分間混練した。
さらに、この配合物を表面温度が50℃ の6インチロールに巻き付けた後、この配合物186重量部に対し、ジクミルパーオキサイド[商品名:カヤクミルDCP、化薬アクゾ(株)製]5.4重量部を加えて8分間混練し、得られた配合物を放冷した。
この配合物からプレス成形機を用いて180℃で10分間加硫を行なって厚み2mmのゴムシートを調製した。
上記のようにして得られた加硫物について、引張試験、硬さ試験および動摩擦抵抗測定試験を上記方法により行なった。その結果を表1に示す。
【0070】
〔比較例2〕
比較例1において、過酸化物を加える際に合成樹脂(1)[極限粘度[η]:14.5dL/g、平均粒子径:25μm]10重量部をロールで加えた以外は、比較例1と同様に行なった。得られた加硫物について、引張試験、硬さ試験、グロス測定試験および動摩擦抵抗測定試験を上記方法により行なった。その結果を表1に示す。
【0071】
〔比較例3〕
比較例1において、過酸化物を加える際に合成樹脂(1)[極限粘度[η]:14.5dL/g、平均粒子径:25μm]30重量部をロールで加えた以外は、比較例1と同様に行なった。得られた加硫物について、引張試験、硬さ試験、グロス測定試験および動摩擦抵抗測定試験を上記方法により行なった。その結果を表1に示す。
比較例1に対し、グロスの顕著な低下が認められた。また、摺動性改良も認められなかった。
【0072】
〔実施例1〕
比較例1において、過酸化物を加える際に合成樹脂(2)[極限粘度[η]:12.0dL/g、平均粒子径:10μm]5重量部をロールで加えた以外は、比較例1と同様に行なった。得られた加硫物について、引張試験、硬さ試験、グロス測定試験および動摩擦抵抗測定試験を上記方法により行なった。その結果を表1に示す。
【0073】
〔実施例2〕
比較例1において、過酸化物を加える際に合成樹脂(2)[極限粘度[η]:12.0dL/g、平均粒子径:10μm]7.5重量部をロールで加えた以外は、比較例1と同様に行なった。得られた加硫物について、引張試験、硬さ試験、グロス測定試験および動摩擦抵抗測定試験を上記方法により行なった。その結果を表1に示す。
【0074】
〔実施例3〕
比較例1において、過酸化物を加える際に合成樹脂(2)[極限粘度[η]:12.0dL/g、平均粒子径:10μm]10重量部をロールで加えた以外は、比較例1と同様に行なった。得られた加硫物について、引張試験、硬さ試験、グロス測定試験および動摩擦抵抗測定試験を上記方法により行なった。その結果を表に示す。
〔比較例4〕
比較例1において、HAFカーボンブラック[商品名:旭#70、旭カーボン(株)製]80重量部の代わりにFEFカーボンブラック[商品名:旭#60H、旭カーボン(株)製]60重量部を用い、ジクミルパーオキサイド[商品名:カヤクミルDCP、化薬アクゾ(株)製]の配合部数を6.8重量部に変更した以外は、比較例1と同様に行なった。得られた加硫物について、引張試験、硬さ試験、グロス測定試験および動摩擦抵抗測定試験を上記方法により行なった。その結果を表1に示す。
〔比較例5〕
比較例4において、過酸化物を加える際に合成樹脂(1)[極限粘度[η]:14.5dL/g、平均粒子径:25μm]10重量部をロールで加えた以外は、比較例1と同様に行なった。得られた加硫物について、引張試験、硬さ試験、グロス測定試験および動摩擦抵抗測定試験を上記方法により行なった。その結果を表1に示す。
〔実施例4〕
比較例4において、過酸化物を加える際に合成樹脂(2)[極限粘度[η]:12.0dL/g、平均粒子径:10μm]10重量部をロールで加えた以外は、比較例1と同様に行なった。得られた加硫物について、引張試験、硬さ試験、グロス測定試験および動摩擦抵抗測定試験を上記方法により行なった。その結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のゴム成形体は、良好な外観を有し、摺動性に優れている。そのため、良好な外観および摺動性が求められる、自動車用、航空機用ウェザーストリップ、自動車用ホース、建材シール部品、自動車用カップ・シール、産業機械用シール材、シート、伝動ベルトまたは搬送用ベルト、被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品および半導電ゴム部品、OA機器用ロールまたは工業用ロール、家庭用ゴム製品、シューズ、ウェザーストリップ用スポンジ、高発泡スポンジをはじめ種々の用途に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[I]エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100重量部と、
[II]合成樹脂(B)1〜80重量部を含有してなり
合成樹脂(B)は、
(i)DSCで測定された融点が120℃以上であり、
(ii)極限粘度[η]が5.0dL/g以上であり、
(iii)平均粒子径が1〜20μmである
ゴム組成物。
【請求項2】
補強材を含有していることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
カーボンブラックを含有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
架橋剤を含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
請求項4に記載のゴム組成物を架橋してなることを特徴とするゴム成形体。

【公開番号】特開2012−31342(P2012−31342A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173974(P2010−173974)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】