説明

ゴルフクラブ

【課題】長いシャフトを短く見せる。
【解決手段】グリップ側からヘッド側に向かってシャフトの色の明るさを暗から明に複数段階で変化させたシャフトを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトを工夫したゴルフクラブ、特に長いシャフトを装着するのに適したゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴルフクラブのシャフトの表面塗装に関する発明としては、特許文献1に記載のようなものが知られている。カーボンシャフト(CFRP)では、デザイン性やゴルファー心理などの観点から、グラデーション塗装されることがあり、特許文献1のものでは、シャフト長手方向の第一領域に第一色の塗料を噴射し、シャフト長手方向の第二領域に第二色の塗料を噴射し、上記第一領域と上記第二領域との重複部分に、上記第一色から上記第二色へと徐々に変化するグラデーション部を設けている。そして、この従来技術では、シャフト長手方向の位置及び移動速度が互いに独立して制御されうる第一スプレーガン及び第二スプレーガンを用い、上記第一スプレーガンが上記第一色の塗料を噴射し、上記第二スプレーガンが上記第二色の塗料を噴射するとともに、これらの第一スプレーガン及び第二スプレーガンの制御により上記第一色の塗料と上記第二色の塗料とがウエット・オン・ウエットで塗り重ねられて上記グラデーション部が形成される工程を含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−111176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものは、主として塗装技術について開示されているのみであり、どのような色やグラデーション部がゴルファーの心理にどのような影響を与えるのかについては求明されていない。
【0005】
そこで、本発明は、ドライバーやフェアーウェイウッドなどのように長いシャフト、例えばドライバーでは45インチ以上のシャフトであっても、アドレス時にゴルファーの心理として短く見えて芯に当たるという確信を高めるような着色の仕方を工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述のようなシャフトを提供するため、本発明は、グリップ側からヘッド側に向かってシャフトの色の明るさを暗から明に複数段階で変化させたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、グリップ側からヘッド側に向かってシャフトの色の明るさを暗から明に複数段階で変化させたので、暗色側でグリップし、最も明るい色のヘッド側を見ると実際のクラブ長さよりも短く見える。その結果、ゴルファーが芯でボールを打つ確率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ゴルフクラブの全体図。
【図2】グリップしたときの正面図。
【図3】シャフトの手元側の詳細図。
【図4】他の実施形態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。
【実施例1】
【0010】
本発明のゴルフクラブは、図1に示すように、シャフト1の先端にヘッドが装着され、基端にグリップ3が装着されている。この図示する例ではドライバーを示し、シャフト長さを45〜46インチとし、ヘッド体積を450cc〜460ccとしてある。グリップ3が装着された部分を除くシャフト1を長さ方向に複数の色分け部分に分け、この図示するものでは3分割し(必ずしも等分である必要はない)、グリップ3側が最も暗い色(この例では濃紺)の第1塗装部1Aとし、中間部分を濃い目のグレーに着色した第2塗装部1Bとし、ヘッド2側を明るいシルバーに着色した第3塗装部1Cとした。また、グリップ3の先端側も第1塗装部1Aと同色の暗色部3Aとした。
【0011】
上述したようなゴルフクラブをゴルファーがグリップしたとき(図2参照)、ゴルファーの視界には、グリップ3の暗色部3Aとシャフト1の全体の着色が目に入り、アドレス時には、単色の同一明度の色、例えば、濃紺でシャフト1の全体を着色したものに比べて、心理的にクラブ長さを短く感じる。シャフト1の先端側が明るいシルバーであるので、明度が高い色ほど膨張色の効果で近くに見え、その結果シャフト1が短く感じる。
【0012】
図3に示す実施例では、前記第1塗装部(濃紺)1A、第2塗装部(濃いグレー)1B、第3塗装部(明るいシルバー)1Cとしたが、濃紺とグレーの塗装を施した上にさらに濃い紺色で所定の長さ間隔でリング状模様30を施し、これらリング状模様30の間に軸方向に沿って円周上に並んだ縞模様31を施してある。これら縞模様31の間に第1、第2塗装部1A、1Bの地色が見えるようにしたものである。
【0013】
色が人の心理にどのように作用するかについては、いろいろの研究がなされている。光の七色は、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫であり、赤から紫に近づくにしたがって、「心がゆったりする」、「リラックス」するといわれ、反対に赤に近づくほど、「心が元気になる」、「闘志が湧いてくる」といわれている。本発明の実施例において、手元側を濃紺にすることで、ゴルファーの心を落ち着かせ、リラックスさせてナイスショットの確率を高める効果を期待することもできる。また、重さを感じる人の心理は、白色で実際の重さとほぼ等しく、ダークグレーでは実際の重さ100に対し155、赤では176、黒では187にもなるといわれている。したがって、シャフトの先端側を明るいシルバーに着色することは、白に近く、シャフトを軽く感じさせ、クラブを楽に振りきれるイメージが湧く。
【0014】
図3に示すようなリング状模様30を一定間隔で多数形成することも、シャフトの長さを短く感じさせる作用がある。これらリング状模様30の間に形成された縞模様31の隙間から見える第1、第2塗装部1A、1Bによってもシャフトの長さを実際よりも短く感じさせる。
【0015】
図4は、他の実施形態を示し、図3とは異なり、濃紺の第1塗装部1Aに白っぽい水色のまだら部32を所定間隙をあけてシャフト円周状にわたって形成し、シャフト先端側に行くにしたがって、まだら部32の面積を小さくしてある。これらのまだら部32は、少なくともゴルファーのアドレス時に見えるシャフト1の面(正面)に形成されればよい。また、まだら部32はグラデーション塗装される。この実施形態でも、第2塗装部1Bを濃いグレー、第3塗装部1Cを明るいシルバーに着色した。
【0016】
図3に示す実施例のシャフトを装着したゴルフクラブを24名のゴルファー中62%のゴルファーがシャフトが実際よりも短く感じ、図4に示す実施例では、41名のゴルファー中54%のゴルファーが短く感じた。
【0017】
図3に示す実施例と、濃紺一色に塗装されたシャフト付きクラブとを試打した結果を以下に示す。両クラブのシャフト長さは同一長さである。
【0018】
【表1】

【0019】
表1中の「HS」はヘッドスピードを示し、単位はm/sであり、「初速」はボールのインパクト直後の速度(m/s)、ミート率はボール初速をヘッドスピードで割った値であり、「上打出角」はボールの上下の打出角(度)、右打出角はボールの右方向への打出角(度)であり、「−」は右利きのゴルファーの場合に左への打出角(フック)となり、「+」は右への打出角(スライス)となる。「Bスピン」はバックスピン(rpm)、「Sスピン」はサイドスピン(rpm)、「キャリー」は飛距離でボールが地面に着地するまでの距離を示し、「ブレ」は左右の落下位置であり、「−1.5」は単位が「度」で、真っ直ぐな飛球線よりも1.5°左に打ち出されたことを示す。「トータル」はキャリーとランとの合計飛距離である(ヤード表示)。
【0020】
本願発明ではシャフトが短く感じることで、ミート率も向上し、ボールの捕まりも良くなり、飛距離も伸びた。
【符号の説明】
【0021】
1 シャフト
1A 第1塗装部
1B 第2塗装部
1C 第3塗装部
2 ヘッド
3 グリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ側からヘッド側に向かってシャフトの色の明るさを暗から明に複数段階で変化させたシャフトを備えたゴルフクラブ。
【請求項2】
グリップ側を濃紺に着色し、先端側に向かって暗いグレーから明るいグレーに着色したシャフトであることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブ。
【請求項3】
シャフトに装着されるグリップの先端側をシャフトのグリップ側の色と同色としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−30750(P2011−30750A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179601(P2009−179601)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(592014104)ブリヂストンスポーツ株式会社 (652)
【Fターム(参考)】