説明

ゴルフシャツ

【課題】 従来のゴルフシャツは、スイング時に身体を左右に大きくひねったり腕を振り上げた際に、後身頃に斜め方向にひきつれが生じたり、左右の肩甲骨に対応する部分につっぱり感が生じる。
【解決手段】 後身頃1と脇部2bは、肩甲骨近傍10からシャツ後面下端中央部11にかけて延設された高伸縮性素材からなる伸縮パーツ5aを介して縫合する。袖上パーツ3と後身頃1、及び、袖上パーツ3と前身頃4は、肩甲骨近傍10から肩の付け根部12を通って胸部脇下近傍13にかけて延設された伸縮パーツ5bを介して夫々縫合する。さらに、袖上パーツ3と袖下部2aは、肩甲骨近傍10又は胸部脇下近傍13から袖口の上下方向中央部14a,14bにかけて夫々延設された伸縮パーツ5c,5dを介して縫合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフのスイング時に、身体を左右に大きくひねったり腕を振り上げる姿勢をとっても、生地の伸縮性不足によるひきつれなどが生じないゴルフシャツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば図4に示すようなゴルフシャツ100は、後身頃101と前身頃102の両側部のラインはほぼ平行とされ、左右のアームホールに夫々袖部103が縫着されていた。
【0003】
後身頃101、前身頃102、袖部103は、綿などの天然繊維や、ポリエステル、アクリル、レーヨンなどの合成繊維、あるいはこれらを適宜混紡した繊維が使用され、例えば天竺編み、鹿の子編みなどの編み組織で編成されていた。
【0004】
また、従来、ポリオレフィン弾性繊維を芯に、短繊維を鞘に配した芯鞘型複合紡績糸を含み、編地のコース方向の定荷重伸長率が50%以上、回復率が50%以上、アイロン収縮率が3%以下の伸縮性編地を使用し、身体の曲線にソフトフィットするゴルフシャツも提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
ところで、ゴルファーがボールを打球する際には、図5(a),(b)に示すように、先ずクラブを握った両腕を身体の前側で下げてアドレスを行った後、バックスイングを行い、図5(c),(d)に示すトップの位置までクラブを振り上げる。その後、上半身を回転させてダウンスイングを行い、図6(a),(b)の位置でボールをインパクトし、さらにフォロースルーから図6(c),(d)に示すようなフィニッシュの動作が行われる。
【0006】
このように、ゴルフにおいては、アドレス、バックスイングからフィニッシュに至るまでの極めて短い時間内に、身体を左右に大きくひねる動作や、腕を上方に大きく振り上げる動作が行われる。
【0007】
ところが、従来のゴルフシャツ100は、一定の伸縮性が得られる繊維や編み組織を使用している場合であっても、例えば図7に示すように身体を大きくひねってバックスイングしたトップの状態では、後身頃101の伸縮性が不十分となるため、例えば後身頃101の左肩部104から右腰部105にかけて斜め方向にひきつれが生じ、着用者につっぱり感や窮屈さを感じさせるという問題があった。なお、106は、後身頃101のひきつれの結果、肩、背中からウエストにかけて生じた多数の皺を示している。
【0008】
また、本発明者らがアドレス、トップ、フィニッシュの各姿勢におけるゴルファーの皮膚の表面積の変化量を分析したところ、例えばフィニッシュの姿勢では、図8(a)のFRPボディ200に示すように、肩甲骨の位置の左右の動きに対応して領域201,202の面積が広くなり、後身頃101の肩甲骨に対応する部分にひきつれが生じること、さらに、図8(b)に示すように、脇下の領域203の面積も増大し、袖部103の縫着部や脇下の部分につっぱり感が生じることが判明した。
【0009】
ゴルフはメンタル面も大きく影響するスポーツであるため、例えばアドレス、バックスイングからトップまでの間に、ゴルフシャツの伸縮性不足のために腕の回転が充分でないと感じると、イメージどおりのスイングができずにミスショットを引き起こしたり、飛距離が伸びないことがある。
【0010】
また、トップからフィニッシュの間においても、ゴルフシャツの伸縮性不足のために圧迫感や窮屈感があると、スイングのスムーズな動きを阻害する要因となる。また、ゴルフシャツのひきつれが常に気になると、集中力が散漫になるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−211253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする問題点は、従来のゴルフシャツは、スイング時に身体を左右に大きくひねったり腕を大きく振り上げた際に、例えば、後身頃に斜め方向にひきつれが生じたり、肩甲骨の左右の動きにより皮膚表面が拡大することによってひきつれが生じたり、脇下の部分につっぱり感が生じていた点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のゴルフシャツは、
シャツ下端側が細幅とされた後身頃と、脇部と袖下部から構成される側面パーツと、腕の外側から肩の付け根を覆う袖上パーツと、前身頃とを備えたゴルフシャツであって、
前記後身頃と前記脇部は、肩甲骨近傍からシャツ後面下端中央部にかけて延設された高伸縮性素材からなる伸縮パーツを介して縫合すると共に、
前記袖上パーツと前記後身頃、及び、前記袖上パーツと前記前身頃は、肩甲骨近傍から肩の付け根部を通って胸部脇下近傍にかけて延設された前記伸縮パーツを介して夫々縫合し、さらに、前記袖上パーツと前記袖下部は、肩甲骨近傍又は胸部脇下近傍から袖口の上下方向中央部にかけて夫々延設された前記伸縮パーツを介して縫合したことを最も主要な特徴点としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、後身頃の肩甲骨に対応する部分を中心に、シャツ後面下端中央部、肩の付け根部、袖口の上下方向中央部の3方向に延びるように伸縮パーツを設けたので、肩甲骨に対応する部分の伸縮性が向上し、周囲に向けて良く伸びるようになる。
【0015】
よって、本発明のゴルフシャツを着用した場合は、アドレスの姿勢や、身体を左右に大きくひねるトップやフィニッシュの姿勢をとっても、後身頃の特に肩甲骨に対応する部位に生じるひきつれが軽減され、生地のひきつれによるつっぱり感や窮屈さを解消することができる。
【0016】
また、本発明では、後身頃はシャツ下端側が細幅とされた形状とし、袖上パーツは腕の外側から肩の付け根を覆う形状とし、側面パーツは脇部を備えた形状とすると共に、袖上パーツ/後身頃間と、後身頃/脇部間に、夫々伸縮パーツを設けたので、袖上パーツと後身頃の間の伸縮性と、後身頃と脇部の間の伸縮性が共に向上し、斜め方向に良く伸びるようになる。
【0017】
よって、本発明のゴルフシャツを着用した場合は、スイング中に身体を左右に大きく捻って腕を振り上げても、後身頃の肩部から要部にかけて生じ易い斜め方向のひきつれは軽減され、生地のひきつれによる圧迫感などを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係るゴルフシャツを背中側から見た説明図である。
【図2】実施例のゴルフシャツを正面側から見た図である。
【図3】実施例のゴルフシャツの効果を説明する図であり、(a)は背中側、(b)は正面側の説明図である。
【図4】従来のゴルフシャツの一例を説明する図であり、(a)は背中側から見た状態、(b)は正面側から見た状態を示す図である。
【図5】ゴルフスイングの一連の動作中、(a),(b)はアドレス、(c),(d)はトップの姿勢を説明する図である。(a),(c)はゴルファーの正面の位置から、(b),(d)は打球の進行方向の反対側から見た図である。
【図6】ゴルフスイングの一連の動作中、(a),(b)はインパクト、(c),(d)はフィニッシュの姿勢を説明する図である。(a),(c)はゴルファーの正面の位置から、(b),(d)は打球の進行方向の反対側から見た図である。
【図7】従来のゴルフシャツを着用してゴルフクラブを握りバックスイングしたトップの状態において、後身頃に生じる斜め方向のひきつれを説明する図である。
【図8】フィニッシュにおいて、(a)左右の肩甲骨に対応する領域の皮膚の表面積が大きくなること、(b)脇下に対応する領域の皮膚の表面積が大きくなることを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のゴルフシャツは、スイング中に身体を左右に大きく捻って腕を振り上げた場合でも、ひきつれや窮屈感が生じないシャツを提供するという目的を達成するために、
シャツ下端側が細幅とされた後身頃と、脇部と袖下部から構成される側面パーツと、腕の外側から肩の付け根を覆う袖上パーツと、前身頃とを備えたゴルフシャツであって、
前記後身頃と前記脇部は、肩甲骨近傍からシャツ後面下端中央部にかけて延設された高伸縮性素材からなる伸縮パーツを介して縫合すると共に、
前記袖上パーツと前記後身頃、及び、前記袖上パーツと前記前身頃は、肩甲骨近傍から肩の付け根部を通って胸部脇下近傍にかけて延設された前記伸縮パーツを介して夫々縫合し、さらに、前記袖上パーツと前記袖下部は、肩甲骨近傍又は胸部脇下近傍から袖口の上下方向中央部にかけて夫々延設された前記伸縮パーツを介して縫合した構成を採用した(第1の実施形態)。
【0020】
本発明のゴルフシャツは、従来、スイングの際にひきつれが生じていた部位の挙動追従性を高めたので、アドレス、トップ、フィニッシュの姿勢においてもゴルファーの挙動に十分に追従する。よって、ゴルファーに与えていた圧迫感や窮屈感が軽減されるので、ゴルファーはスムーズにアドレス及びスイングを行うことができる。
【0021】
本発明において、後身頃、側面パーツ、袖上パーツ、前身頃の間に介在させる伸縮パーツは、例えば、ポリウレタン混のニットやポリウレタン混の織物などからなる高伸縮性素材を使用することができる。伸縮パーツは、素材の種類や編み方または織り方について特に限定されるものではないが、後身頃、側面パーツ、袖上パーツ、前身頃などのシャツ本体に使用される例えば綿、ポリエステル、アクリル等の素材よりも伸縮性に富む素材を使用する。
【0022】
上記本発明のゴルフシャツは、
前記側面パーツの脇下部に、前記伸縮パーツをさらに設けた構成とする方が、より望ましい(第2の実施形態)。
【0023】
第2の実施形態では、側面パーツの脇下の位置に伸縮性に優れた伸縮パーツをさらに設けたので、例えばトップやフィニッシュの姿勢時に腕を大きく振り上げた場合でも、脇下の部分のつっぱり感は生じなくなる。
【0024】
また、上記本発明のゴルフシャツは、
前記前身頃は、シャツの上下方向中央部付近が括れた形状とされ、
前記前身頃と前記脇部は、胸部脇下近傍からシャツ前面下端部にかけて、くの字状又は逆くの字状に延設された前記伸縮パーツを介して縫合した構成とする方が、さらに望ましい(第3の実施形態)。
【0025】
第3の実施形態では、前身頃はシャツの上下方向中央部付近が括れた形状とし、袖上パーツは腕の外側から肩の付け根を覆う形状とし、側面パーツは脇部を備えた形状とすると共に、袖上パーツ/前身頃間と、前身頃/脇部間に、夫々伸縮パーツを設けたので、袖上パーツと前身頃の間の伸縮性と、前身頃と脇部の間の伸縮性が共に向上し、斜め方向に良く伸びるようになる。よって、前身頃においても斜め方向のひきつれは軽減され、生地のひきつれによる圧迫感を解消する効果がより好適となる。
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を用いて具体的に説明する。図1〜図2は本実施例のゴルフシャツSの説明図であり、図1は背中側から見た状態を、図2は正面側から見た状態を示している。
【0027】
ゴルフシャツSは、シャツ下端側が細幅とされた後身頃1と、脇部2bと袖下部2aから構成される側面パーツ2と、腕の外側から肩の付け根を覆う袖上パーツ3と、前身頃4とを備えている。
【0028】
後身頃1は、図1に示すように、襟6付近の上端から左右の肩甲骨近傍10にかけて徐々に胴回り方向の幅が増加し、矢印Aで示す左右の肩甲骨の位置において胴回り方向の幅が最大とされている。また、左右の肩甲骨近傍10からシャツ下端にかけては徐々に胴回り方向の幅が減少し、シャツ下端における幅が最小とされている。
【0029】
つまり、本実施例の後身頃1は、矢印Aで示す左右の肩甲骨の位置における幅よりも矢印Bで示すシャツ下端側が細幅とされたもので、後身頃1の側縁部はシャツ下端側へ向けて先細りした形状とされている。
【0030】
前身頃4は、図2に示すように、襟6付近の上端から矢印Cで示す胸部脇下近傍13にかけては徐々に胴回り方向の幅が増加し、胸部脇下近傍13から矢印Dで示すシャツの上下方向中央部付近にかけては徐々に胴回り方向の幅が減少する。そして、シャツの上下方向中央部付近から矢印Eで示すシャツ下端にかけては徐々に胴回り方向の幅が増加し、シャツ下端における幅が最大とされている。
【0031】
つまり、本実施例の前身頃4は、矢印Dで示すシャツの上下方向中央部付近が括れた形状とされたもので、矢印C〜矢印Eの間の前身頃4の側縁部は「くの字状」又は「逆くの字状」とされている。なお、7は、襟6に設けたファスナーを示している。
【0032】
ゴルフシャツSの袖部は、図1及び図2に示すように、袖が襟ぐり付近まで切れ目なく続いているラグラン袖のようになっており、かつ、袖上パーツ3と袖下部2aの2つのパーツで構成されている。袖上パーツ3は、腕の外側の部分から肩の付け根部までを覆うパーツである。
【0033】
本実施例では、図1及び図2に示すように、袖部の下側を形成する袖下部2aと身体の側面を覆う脇部2bは、連続した1枚の側面パーツ2で構成している。
【0034】
上記のような形状とされた後身頃1と側面パーツ2、袖上パーツ3を縫製する際にその間隙部に挿入縫合する伸縮パーツ5a,5b,5cや、前身頃4と側面パーツ2、袖上パーツ3を縫製する際にその間隙部に挿入縫合する伸縮パーツ5b,5d、5fは、何れも伸縮性良好なポリウレタン混のニットからなるパーツである。
【0035】
つまり、本実施例のゴルフシャツSは、
左右の肩甲骨の位置における幅よりもシャツ下端側が細幅とされた後身頃1と、脇部2bと袖下部2aが連続した1枚のパーツとされた側面パーツ2と、腕の外側から肩の付け根部12付近までを覆う袖上パーツ3と、前身頃4とを備え、
前記後身頃1と前記脇部2bは、肩甲骨近傍10からシャツ後面下端中央部11にかけて延設され、他のパーツよりも高伸縮性の素材からなる伸縮パーツ5aを介して縫合すると共に、
前記袖上パーツ3と前記後身頃1、及び、前記袖上パーツ3と前記前身頃4は、肩甲骨近傍10から肩の付け根部12を通って胸部脇下近傍13にかけて延設された伸縮パーツ5bを介して夫々縫合し、さらに、前記袖上パーツ3と前記袖下部2aは、肩甲骨近傍10又は胸部脇下近傍13から袖口の上下方向中央部14a,14bにかけて夫々延設された伸縮パーツ5c,5dを介して縫合したゴルフシャツである。
【0036】
よって、本実施例のゴルフシャツSでは、伸縮パーツ5a〜5dを設けたことにより、スイング時の身体のひねりや肩甲骨に対応する部分の膨らみに対し、極めて良好な追随性を示すことができる。
【0037】
また、本実施例では、側面パーツ2の脇下部15に、伸縮性良好なポリウレタン混のニットからなる伸縮パーツ5eをさらに設けている。よって、脇下の部分の伸縮性が良好となるので、トップやフィニッシュの姿勢において腕を大きく振り上げた場合でも、脇下の部分につっぱり感は生じない。
【0038】
また、本実施例では、前身頃4はシャツの上下方向中央部付近が括れた形状とすると共に、前記前身頃4と前記脇部2bは、胸部脇下近傍13からシャツ前面下端部16にかけて、くの字状又は逆くの字状に延設された伸縮パーツ5fを介して縫合した構成としている。よって、伸縮パーツ5fをさらに設けたことにより、袖上パーツ3と前身頃4の間だけでなく、前身頃4と脇部2bの間についても伸縮性が良好となる。
【0039】
伸縮パーツ5a〜5fの幅は、あまり細すぎる場合にはシャツのひきつれ等を防止する効果が小さくなってしまうが、伸縮パーツ5a〜5f以外のパーツの伸縮性とのバランスやデザイン性も考慮の上、適宜決定すれば良い。本実施例では、伸縮パーツ5a〜5fの幅は約3〜5cm程度としている。
【0040】
なお、前身頃4側に設ける伸縮パーツ5b,5d,5fよりも後身頃1側に設ける伸縮パーツ5a,5b,5cの幅を若干太くすれば、後身頃1側のひきつれを重点的に改善できる。
【0041】
また、後身頃1においても特に肩甲骨に対応した部分の伸縮性が求められるので、伸縮パーツ5a,5b,5cが集まって三叉路状となっている肩甲骨近傍10付近の伸縮パーツ5a,5b,5cの幅は最も太くすることが好ましい。
【0042】
図3は、本実施例のゴルフシャツSの効果を説明する図であり、(a)は背中側、(b)は正面側の説明図である。
【0043】
本実施例では、後身頃1の肩甲骨近傍10を中心に、シャツ後面下端中央部11、肩の付け根部12、袖口の上下方向中央部14a,14bの3方向に伸縮パーツ5a,5b,5cが延びているので、肩甲骨近傍10の生地が符号Fの矢印に示すとおり3方向に伸縮し易くなって、この部分に従来のゴルフシャツのようなひきつれが生じない。また、肩甲骨近傍10の位置における矢印G1,G2に示す胴回り方向の伸縮性も良くなる。よって、アドレスの姿勢や身体を左右に大きくひねるトップやフィニッシュの姿勢をとっても、後身頃1の肩甲骨に対応する部分のつっぱり感や窮屈さを解消することができる。
【0044】
また、本実施例のゴルフシャツSは、袖上パーツ3と後身頃1の間と、後身頃1と脇部2bの間に、伸縮パーツ5b,5aを夫々設けたので、袖上パーツ3/後身頃1間と、後身頃1/脇部2b間の伸縮性が共に向上し、矢印H1からH2、H3からH4の方向の伸縮性が良好となる。よって、スイング時に身体を左右に大きく捻って腕を振り上げても、後身頃1において従来のゴルフシャツのような斜め方向のひきつれは生じない。
【0045】
くわえて、本実施例のゴルフシャツSは、袖上パーツ3と前身頃4の間と、前身頃4と脇部2bの間に、伸縮パーツ5b,5fを夫々設けたので、袖上パーツ3/前身頃4間の伸縮性と、前身頃4/脇部2b間の伸縮性も共に向上し、矢印H5からH6、H7からH8の方向の伸縮性も良好となる。よって、前身頃4においても斜め方向のひきつれは生じない。
【0046】
さらに、本実施例では、側面パーツ2の脇下部15にも伸縮パーツ5eを設けたので、矢印Jの方向の伸縮性も良好となる。よって、トップやフィニッシュの姿勢において腕を大きく振り上げた場合でも、脇下部15につっぱり感は生じない。
【0047】
以上説明したように、本発明のゴルフシャツは、後身頃、側面パーツ、袖上パーツ、前身頃の間に高伸縮性の素材からなる伸縮パーツを縫合したので、スイング時に身体を左右に大きく捻って腕を振り上げても、斜め方向のひきつれや、肩甲骨に対応する部分のひきつれなどは生じず、ゴルファーのスイングの動きに追従することができる。したがって、本発明のゴルフシャツを着用した場合は、スイングのスムーズな動きを阻害することがなく、ゴルファーはプレーに集中できる。
【0048】
本発明は、前記の実施例に限るものではなく、各請求項に記載の技術的思想の範囲内において、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0049】
例えば、前記の実施例では、半袖のゴルフシャツに適用する場合の例を開示したが、本発明は長袖のゴルフシャツにも適用できる。また、シャツのタイプは、例えばブルゾン、ポロシャツ、モックネックシャツ等でも良く、実施例のものに限定されない。
【0050】
また、前記の実施例では、側面パーツ2を構成する袖下部2aと脇部2bは連続した生地で構成する場合の例を開示したが、袖下部2aと脇部2bの間に縫合部が存在しても良い。但し、袖下部2aと脇部2bの間に縫合部が存在しない方が、脇下付近の伸縮性が良好となるので、本実施例の側面パーツ2のように構成する方がより望ましい。
【0051】
また、前記の実施例では、伸縮パーツ5aの部分は直線状とする例を開示したが、伸縮パーツ5aは必ずしも直線状である必要はなく、S字状等の曲線によって形成されていても良い。
【0052】
また、前記の実施例では、左右の伸縮パーツ5aがシャツ後面下端中央部11において分離している例を開示したが、伸縮パーツ5aはシャツ後面下端中央部11において合体したV字状としても良い。
【符号の説明】
【0053】
S ゴルフシャツ
1 後身頃
2 側面パーツ
2a 袖下部
2b 脇部
3 袖上パーツ
4 前身頃
5a,5b,5c,5d,5e,5f 伸縮パーツ
10 肩甲骨近傍
11 シャツ後面下端中央部
12 肩の付け根部
13 胸部脇下近傍
14 袖口の上下方向中央部
15 脇下部
16 シャツ前面下端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャツ下端側が細幅とされた後身頃と、脇部と袖下部から構成される側面パーツと、腕の外側から肩の付け根を覆う袖上パーツと、前身頃とを備えたゴルフシャツであって、
前記後身頃と前記脇部は、肩甲骨近傍からシャツ後面下端中央部にかけて延設された高伸縮性素材からなる伸縮パーツを介して縫合すると共に、
前記袖上パーツと前記後身頃、及び、前記袖上パーツと前記前身頃は、肩甲骨近傍から肩の付け根部を通って胸部脇下近傍にかけて延設された前記伸縮パーツを介して夫々縫合し、さらに、前記袖上パーツと前記袖下部は、肩甲骨近傍又は胸部脇下近傍から袖口の上下方向中央部にかけて夫々延設された前記伸縮パーツを介して縫合したことを特徴とするゴルフシャツ。
【請求項2】
前記側面パーツの脇下部に、前記伸縮パーツをさらに設けたことを特徴とする請求項1に記載のゴルフシャツ。
【請求項3】
前記前身頃は、シャツの上下方向中央部付近が括れた形状とされ、
前記前身頃と前記脇部は、胸部脇下近傍からシャツ前面下端部にかけて、くの字状又は逆くの字状に延設された前記伸縮パーツを介して縫合したことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフシャツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−7252(P2012−7252A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141682(P2010−141682)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(501270287)エヌアイ帝人商事株式会社 (10)
【Fターム(参考)】