説明

ゴルフパターヘッド

【課題】1本のパターで、L型、T型などの種々のタイプのパターが持つ特長を発揮できるようにする。
【解決手段】ヘッド本体(1)とシャフトを接続するホゼル部(4)とを別体で製作したゴルフパターヘッドにおいて、ヘッド本体の上部に位置し、ヒール(1B)からトウ(1C)方向にわたってホゼル部着脱用の取付部(2)を形成し、ホゼル部をシャフト接続部(41)とヘッド本体の所望の取付部に取付くための被取付部(43)とから構成し、前記取付部を長孔(2A)とその下方に長孔の幅より広い幅に形成されたナット載置部(2B)とから構成し、このナット載置部に長手方向にスライド可能で前記被取付部から挿入されたねじ(3)がねじ込まれるナット(5)を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフゲームに用いるゴルフパターヘッド、特にゴルファー個人の好みに合わせてカスタマイズすることのできるゴルフパターヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
カスタマイズ可能なゴルフパターヘッドとしては、フェース部材とバックボディとを備え、フェース部材は、ヒール末端と、トウ末端と、ゴルフボール打撃用にアレンジされた前面(フェース)と、背面(バックフェース)と、該ヒール末端からトウ末端との間に伸び且つ該前面と背面との間に配置されたトップレッジとを有し、フェース部材は背面に形成された窪みを包含しており、その窪みはリム面に囲まれた凹形状の底面を有し、バックボディはフェース部材の背面に取り付けられ、そのフェース部材の背面に形成された窪み内に配置される接合部を有し、そのバックボディの接合部は、フェース部材のトップレッジの下側に配置されるアッパーエッジを有し、そしてフェース部材とバックボディとの間の分割線がフェース部材のトップレッジにより隠されるように構成したものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のものは、それ以前のパターヘッドが、いずれも実質的に平面である接合面を伴って形成された2つの部品を有するものであったので、この接合面は、組み立てられたヘッドにおける2つの部品の間に目立った分割線を出現させるという不都合を生じ、このような不都合を解消するためになされたものである。特許文献1記載のヘッドでは、分割線が隠れて見えないようにすることができるとともに、フェース部材及びバックボディは、複数の異なる形態(形状、構成、配置、輪郭等)のフェース部材及びバックボディの中からそれぞれ選択されて組合せられるという点でカスタマイズ可能なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−224254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のものでは、フェース部材、バック部材のいろいろな形態のものを組合せることはできても、ホゼル部のヘッドへの取付位置を可変にしたりすることはできないものであった。
【0006】
フェース部のヒール端外側にシャフトが固定され、アイアンゴルフクラブと同じ感覚でストロークでき、ボールが良く見えてパッティングラインにスクエアにフェースを構え易いL型のパター、シャフト軸の延長線上にスィートスポットがあって、重心距離が小さいためストローク時にボールをスィートスポットに正確に当て易いとされるT型のパター、このT型とL型の中間的な形をとるパター、あるいはピン型、マレット型などの種々のタイプのパターが知られている。ひとつのパターヘッドをこれら種々のタイプに変えられるならば、プレーするゴルフ場のグリーンに合わせたり、プレイヤーの気分に合わせたりすることができ、スコアメークにつながったり、さらにゴルフを楽しむことができる。
【0007】
実際のゴルフプレーに際しては、ゴルフ場毎にグリーンの設計が異なることや、ゴルファーのプレー自体の状況変化から、常時携帯する1本のパターで、より多くの特長や機能を発揮させることが要望されるに至った。
【0008】
そこで、本発明は、1本のパターで、L型、T型などの種々のタイプのパターが持つ特長を発揮できるようにしたゴルフパターヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明は、ヘッド本体とシャフトを接続するホゼル部とを別体で製作したゴルフパターヘッドにおいて、ヘッド本体の上部に位置し、ヒールからトウ方向にわたってホゼル部着脱用の取付部を形成し、ホゼル部をシャフト接続部とヘッド本体の所望の取付部に取付くための被取付部とから構成し、前記取付部を長孔とその下方に長孔の幅より広い幅に形成されたナット載置部とから構成し、このナット載置部に長手方向にスライド可能で前記被取付部から挿入されたねじがねじ込まれるナットを設けたものである。
【0010】
また、本発明は、前記ナットを角形のナットとし、ナット載置部で回転せず、長孔から抜け出ない大きさに形成したものである。
【0011】
さらに、本発明は、前記長孔は、フェースに平行な直線上に形成され、ホゼル部の被取付部の底部にこの長孔に嵌まり込んでスライドする凸部を設けたものである。
【0012】
さらにまた、本発明は、フェース部を有するヘッド本体をアルミニウム合金で形成し、ホゼル部をステンレスで形成したものである。なおまた、本発明は、前記ヘッド本体の背後にバックボディを取付けたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ヘッド本体とシャフトを接続するホゼル部とを別体で製作したゴルフパターヘッドにおいて、ヘッド本体の上部に位置し、ヒールからトウ方向にわたってホゼル部着脱用の取付部を形成し、ホゼル部をシャフト接続部とヘッド本体の所望の取付部に取付くための被取付部とから構成し、前記取付部を長孔とその下方に長孔の幅より広い幅に形成されたナット載置部とから構成し、このナット載置部に長手方向にスライド可能で前記被取付部から挿入されたねじがねじ込まれるナットを設けたので、ホゼル部のヘッド本体への取付位置を変えられ、L型、T型などの種々のタイプのパターを、1本のパターから作れる。したがって、プレーするゴルフコースのグリーンの特徴と、プレイヤーの技術に最も適したタイプのパターを1本のパターから得ることができる。
【0014】
また、前記ヘッド本体の長孔の長手方向のいずれか所望の位置にホゼル部を無段階に取付けることができ、ゴルファーの感性を満足させることができる。かつ、ホゼル部とヘッド本体との着脱構造がネジとナットという簡単なものであり、かつ確実な取付けができる。さらに、前記ヘッド本体の長孔は、フェースに平行な直線上に形成され、ホゼル部の被取付部の底部にこの長孔に嵌まり込む凸部を設けたものでは、ホゼル部の位置決めを正確に行うことができる。
【0015】
また、フェースを有するヘッド本体をアルミニウム合金で形成し、ホゼル部をステンレスで形成したものでは、重心位置を所定の高さとし、ボールの赤道をフェース面上の重心高さ位置で正確に打つことができる。
【0016】
前記ヘッド本体の背後にバックボディを取付けることにより、ピンタイプやマレットタイプなどの種々のヘッド形状のものを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】フェースを備えたヘッド本体にホゼル部を取付ける状態の斜視図。
【図2】取付部分の断面図。
【図3】ナットの平面図。
【図4】ホゼル部の底面側から見た斜視図。
【図5】バックボディを取付けた斜視図。
【図6】ホゼル部の変形例を示す斜視図。
【図7】ホゼル部の他の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の好適な実施形態を図面を参照にして説明する。
【0019】
図1は、フェース1Aがヒール1Bからトウ1Cの間に形成されたヘッド本体1の上部に形成された取付部2の所望の位置にホゼル部4を取付けようとする状態を示し、ホゼル部4をねじ3でヘッド本体1に取付けようとするものである。前記ホゼル部4は、図示しないシャフトが挿入固着されるホゼル孔から成るシャフト接続部41が形成された筒部40と、この筒部40の底部に形成された取付板42にあけられた2つの孔から成る被取付部43とから成る。前記ヘッド本体1は、ホゼル部4に比べて比重の小さい、例えばアルミニウム合金で形成し、図示する実施形態では、細長い板状に形成してあるが、バックフェース1D側をもっと張り出して上部の幅(フェース1Aとバックフェース1Dとの間の長さ)を大きくしたものであってもよい。前記ねじ3としては、鋼にクロムメッキを施したものを使用した。
【0020】
前記ホゼル部4は、ヘッド本体1を形成する材料よりも比重の大きな、例えばステンレスや銅合金などで形成し、ホゼル部4をヘッド本体1に取付けてパターヘッドを構成したとき、ヘッドの重心位置が所定の高さになるようにすることが望ましい。なお、ホゼル部4をアルミ合金で形成することもできる。パターヘッドにおいて、一般的に、ロフト角が3°〜5°を有しているため、低重心よりも比較的高重心であった方が、打ち出し角を低く抑え、バックスピン量を減らすことができる。そのため、重心の高いパターヘッドを使用した場合、安定したボールの転がりを得ることが出来る。
【0021】
前記ホゼル部4の被取付部43は、ホゼル部4のヘッド本体1への取付後にホゼル部4が回動するのを防止するために2つの孔から構成したが、ヘッド本体1の取付部2に着脱可能に取付く手段であれば2つの孔である必要はない。また、後述するが、ホゼル部4の形状は、図示するものに限定されるものではなく、筒部40の下にヘッド本体1から所定の高さ立ち上るためのアームを設けたり、このアームを所定の形状に折り曲げたりした種々の形態のものを用意し、これらから選択してヘッド本体1に取付けることができるものである(後述する図6、7参照)。
【0022】
図2は、ねじの取付部分の断面を示し、ねじ3は被取付部(孔)43。を通って長孔2Aを通過し、ナット5にねじ込まれる。長孔2Aには、図4に示すホゼル部4の被取付部42の底部に形成された凸部44が嵌まり込んで、ホゼル部4のヘッド本体1への取付位置の位置決めを図り、ホゼル部4の回動を防止している。前記ナット5は、図3に示すように六角ナットを使用し(多角形であればよい)、最大径Lが、長孔2Aの下方の長孔2Aの幅よりも広い幅の孔であるナット載置部2Bの幅よりも大きくしてあるため、ナット5はナット載置部2Bの個所で回転しない。ナット5の平行する二辺間の長さLは、ナット載置部2Bの幅よりも1〜3mm程度小さく、ナット載置部2Bの長手方向にスライド可能になっている。ナット5の中心孔には雌ねじ部5Aを形成してあり、ねじ3の雄ねじがねじ込まれる。ねじ3がナット5にねじ込まれる状態では、ナット5が回転しようとするが、ナット載置部2Bの両側壁が回動を阻止するので、ねじ3がナット5に正しくねじ込まれ、このナット載置部2Bの高さはナット5の厚さよりも若干大きいので、ねじ3がナット5を上昇させて、ナット5の上面が長孔2Aとナット載置部2Bの上面が形成するフランジ部分に当接し、ホゼル部4にヘッド本体1にしっかりと取付けることになる。
【0023】
図5は、ヘッド本体1のバックフェース1Dにバックボディ6を取付け、マレット型のパターヘッドを構成した例を示す。バックボディ6はプラスチック材料で形成することが好ましい。このバックボディ6の内部にウェイト部材(図示せず)を設け、パターヘッドの重心位置を調整することができる。
【0024】
図6及び図7は、ホゼル部4の上部分の変形例を示し、アーム45がまっすぐなものと折曲部分を有するものとを示す。なお、筒部40にホゼル孔を形成したが、ホゼル孔の替りに突起を形成し、この突起をシャフトに挿入固定することもできる。
【符号の説明】
【0025】
1 ヘッド本体
1A フェース
1B ヒール
1C トウ
1D バックフェース
2 取付部
2A 長孔
2B ナット載置部
3 ねじ
4 ホゼル部
5 ナット
40 筒部
41 シャフト接続部
42 取付板
43 被取付部
44 凸部
45 アーム
6 バックボディ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド本体とシャフトを接続するホゼル部とを別体で製作したゴルフパターヘッドにおいて、
ヘッド本体の上部に位置し、ヒールからトウ方向にわたってホゼル部着脱用の取付部を形成し、
ホゼル部をシャフト接続部とヘッド本体の所望の取付部に取付くための被取付部とから構成し、
前記取付部を長孔とその下方に長孔の幅より広い幅に形成されたナット載置部とから構成し、
このナット載置部に長手方向にスライド可能で前記被取付部から挿入されたねじがねじ込まれるナットを設けたことを特徴とするゴルフパターヘッド。
【請求項2】
前記ナットを角形に形成したことを特徴とする請求項1に記載のゴルフパターヘッド。
【請求項3】
前記長孔は、フェースに平行な直線上に形成され、ホゼル部の被取付部の底部にこの長孔に嵌まり込んでスライドする凸部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフパターヘッド。
【請求項4】
前記フェース部を有するヘッド本体をアルミニウム合金で形成し、ホゼル部をステンレスで形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のゴルフパターヘッド。
【請求項5】
前記ヘッド本体の背後にバックボディを取付けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のゴルフパターヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−279421(P2010−279421A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133083(P2009−133083)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(592014104)ブリヂストンスポーツ株式会社 (652)
【Fターム(参考)】