説明

ゴルフボール用包装材料

【目的】 見る角度によって色合いが変化するなどの、特徴のある外観を有するゴルフボール用包装材料を提供する。
【構成】 ゴルフボール用包装材料の一部または全体を反射光の干渉作用により発色する顔料で着色する。上記の反射光の干渉作用により発色する顔料としては、雲母を核とし、その周囲を酸化チタンを主材とする光反射性物質で被覆したものを用いることが適している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、見る角度によって色合いが変化するアイキャッチ性の優れた外観を有するゴルフボール用包装材料に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にゴルフボールの包装は、厚紙製でゴルフボールを2個または3個収納するスリーブケースを内装材とし、このスリーブケースを複数個収納する厚紙製の身および蓋からなる組み箱または貼り箱を外装材とする包装材料によって行われている。
【0003】そして、上記スリーブケースや箱などの包装材料には、全体または部分的な色付けや、ボールの品名表示、ボールのシンボルマーク入れなどのため、印刷が施されているが、それらの印刷は一般的な顔料で着色されたインクによって行われているため、特徴のある外観を生み出すまでには至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような従来のゴルフボール用包装材料の外観上における問題点を解決し、より特徴的でアイキャッチ性の優れた外観を有するゴルフボール用包装材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ゴルフボール用包装材料の一部または全体を反射光の干渉作用により発色する顔料で着色することによって、ゴルフボール用包装材料に見る角度によって色合いが微妙に変化する外観を付与して、上記目的を達成したものである。
【0006】本発明において、ゴルフボール用包装材料を着色するために使用される反射光の干渉作用により発色する顔料は、雲母(マイカ)などの薄片状ないしは鱗片状の結晶粉末を核(母体)とし、その周囲を酸化チタンを主材とする光反射性の高い物質で均一に被覆したものを主体としている。
【0007】上記の顔料では、酸化チタン表面からの反射光と雲母からの反射光とが干渉し、真珠光沢で鮮明な色調に発色すると共に、顔料が薄片状のため干渉作用に方向性があり、見る角度によって色合いが変化する。また、酸化チタンの被覆(コーティング)厚みを0.02〜0.2μmの範囲で変えることによって、干渉波長が変わり、種々の色調の選択が可能である。
【0008】上記の顔料において、核となる雲母は、天然の白色雲母が一般的であり、その粒子径は特に制限を受けないが、粒子径が小さく、できるだけ扁平な形状の方が美しい色の真珠光沢を発揮しやすい。
【0009】雲母の周囲を被覆する光反射性物質は酸化チタンを主材とするものであるが、この酸化チタンを主材とするとは、酸化チタンのみの場合と酸化チタンに有色顔料を添加している場合の両者をいう。上記酸化チタンとしては、通常、二酸化チタン(TiO2 )が用いられ、二酸化チタンのみの被覆では白色ベースのもとでの真珠光沢と青、黄などの干渉色(反射光の干渉作用により発色する色)が得られる。
【0010】一方、二酸化チタンに有色顔料を添加するか、あるいは低次の酸化チタンを内層、二酸化チタンを外層とする2層被覆を施した場合には、有色ベースのもとでの真珠光沢と干渉色が得られる。
【0011】本発明では、これらの顔料を単独でまたは2種以上を種々の組合せで使用し、ゴルフボール用包装材料を好みの色に着色し得る。
【0012】上記のような反射光の干渉作用により発色する顔料の市販品としては、有色ベースのものでは、たとえば(株)資生堂製の商品名「インフィニットカラー」〔CR−02−L1(赤系)、VR−02(赤系)、BRP−02(赤紫)、GBG−02(青緑)、YY−02(ゴールド)、GG−02−L1(緑)、BB−02−L1(青)など、種々の色調の銘柄がある〕、米国マール社製の商品名「クロイゾネ」(ゴールド、レッド、ブルー、グリーン)などがあり、これらはいずれも本発明において好適に使用できる。
【0013】白色ベースのものでは、大日本塗料(株)製のAutoマイカベース(塗料タイプ)のパールブルー、パールイエローなど、インクや塗料中に容易に分散する、扱いやすいタイプのものがある。
【0014】上記反射光の干渉作用により発色する顔料によってゴルフボール用包装材料を着色するには、上記反射光の干渉作用により発色する顔料を着色剤として用いてインクまたは塗料を調製し、それをゴルフボール用包装材料に印刷または塗装することによって行われる。
【0015】上記反射光の干渉作用により発色する顔料を着色剤として用いてインクまたは塗料を調製するにあり、上記顔料以外にも、酸化チタン、ホワイトマイカ、硫化亜鉛などの白色系顔料、一般の有機系、無機系の顔料や染料、着色マイカ、蛍光性顔料、パール色調顔料、メタリック顔料などを用いることができる。
【0016】上記の反射光の干渉作用により発色する顔料は、インクや塗料に使用されているベース樹脂や配合剤に対して選択性を有しないので、従来からゴルフボール用包装材料の印刷、塗装などに使用されているインクや塗料の顔料に代えて、あるいはそれらの顔料と併用して使用することができる。
【0017】それらのインクまたは塗料中における上記反射光の干渉作用により発色する顔料の量としては、インクまたは塗料のベース樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、特に0.5〜20重量部の範囲が好ましい。
【0018】そして、上記反射光の干渉作用により発色する顔料を含有したインクまたは塗料の乾燥後の膜厚は、特に限定されるものではないが、3〜60μm程度が適しており、特に5〜40μmが好ましい。
【0019】本発明において、ゴルフボール用包装材料とは、通常、スリーブケース、箱などをいうが、それらのみに限られることなく、たとえば贈答用化粧箱、金属缶、プラスチック缶など、各種のゴルフボール用包装材料を含むものである。
【0020】上記ゴルフボール用包装材料は、通常、コート紙(アイボリー両面コート紙、特殊板紙片面コート紙など)、コートボール紙などの紙、特に厚紙を基材とするものであるが、それに限られることなく、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなどのプラスチック、スチール、アルミなどの金属など、他の材質のものであってもよい。
【0021】そして、たとえば上記紙製のゴルフボール用包装材料を着色する場合には、通常、上記反射光の干渉作用により発色する顔料を含有させたインクをスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷などにより印刷することによって行われる。
【0022】
【実施例】つぎに、実施例をあげて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0023】図1に示す蓋と身からなる箱を下記に示すように作製した。
【0024】ここで、先に図1について説明しておくと、図1は上記箱を蓋と身に分離して概略的に示す斜視図であり、図中、1は箱であって、この箱1は蓋2と身3からなる組み箱であり、ゴルフボールを1ダース収納するためのものである。ただし、この箱1は、ゴルフボールをそのまま収納するのではなく、図2に示すスリーブケース(このスリーブケースはゴルフボールを3個収納できる)を4個収納するのに適した大きさに作られている。
【0025】この箱の作製にあたっては、まず、反射光の干渉作用により発色する顔料として、前出の(株)資生堂製の「インフィニットカラーYY−02」(商品名)(ゴールド)を用い、この「インフィニットカラーYY−02」を含有させた金色インクを調製し、アイボリー両面コート紙(380g/m2 )の箱の蓋および身の外側全面に相当する部分に上記金色インクをスクリーン印刷により印刷した。
【0026】印刷用インク中における「インフィニットカラーYY−02」の量はベース樹脂100重量部に対して10重量部であり、乾燥時のインクの膜厚は約10〜20μm程度である。
【0027】つぎに、上記印刷面の所望位置に文字、マークなど(たとえば、図1に示す場合は、「MAXFLI」の文字)を通常の顔料を使用した黒色のインクで印刷した後、ポリプロピレンフィルムを貼り付けて表面保護層を設け、折れ目に罫線を入れると共に所定の形状に打ち抜き、それをそれぞれ蓋および身に組み立て、図1に示す状態にした。
【0028】つぎに、図2に示すスリーブケースを作製した。
【0029】ここで、図2について説明すると、図2の(a)はスリーブケースの概略斜視図であり、(b)はその展開図である。この図2中、10はスリーブケースであり、11は窓枠、12は蓋フラップ、13はサイドフラップ、14は糊代である。そして、上記スリーブケースはゴルフボールを3個収納することができる。
【0030】上記スリーブケースの作製にあたっては、まず、アイボリー両面コート紙(310g/m2 )のスリーブケースの外側全面に相当する部分に前記「インフィニットカラーYY−02」を含有させた金色インクを前記箱の場合と同様にスクリーン印刷により印刷した。
【0031】ついで、上記印刷面に文字、マークなどを印刷した後、窓枠付きの所定形状に打ち抜き、全面に厚さ2μmのポリプロピレンフィルムを貼り付け、糊代部分に接着剤を塗布し、その糊代部分を利用して貼り合せ、図2の(a)に示すような形状に組み立てた。
【0032】つぎに、反射光の干渉作用により発色する顔料として、上記「インフィニットカラー−YY−02」に代えて前出の(株)資生堂製の「インフィニットカラーCR−02−L1」(赤)、「インフィニットカラーGG−02−L1」(緑)および「インフィニットカラーBB−02−L1」(青)を用い、それぞれに対応する色調のインクを「インフィニットカラーYY−02」の場合と同様に調製し、アイボリー両面コート紙に印刷し、前記と同サイズの箱およびスリーブケースを作製した。
【0033】いずれの顔料による場合も、得られた箱やスリーブケースは、従来にない鮮明な深みのある真珠光沢色調で、見る角度によって色合いが微妙に変化する外観を有していた。
【0034】
【発明の効果】本発明のゴルフボール用包装材料は、反射光の干渉作用により発色する顔料で着色しているので、外観の色合いが見る角度によって変化する。
【0035】上記反射光の干渉作用により発色する顔料として、雲母を核とし、その周囲を酸化チタンを主材とする光反射性物質で被覆したものを用いることにより、ゴルフボール用包装材料の外観を鮮明で深みのある真珠光沢性の色調にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴルフボール用包装材料の外装材の一例としての箱を蓋と身に分離した状態で示す概略斜視図である。
【図2】本発明のゴルフボール用包装材料の内装材の一例としてのスリーブケースを示す図であり、(a)はその概略斜視図で、(b)はその展開図である。
【符号の説明】
1: 箱
2: 蓋
3: 身
10: スリーブケース
11: 窓枠
12: 蓋フラップ
13: サイドフラップ
14: 糊代

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一部または全体が、反射光の干渉作用により発色する顔料で着色され、見る角度によって色合いが変化する外観を有することを特徴とするゴルフボール用包装材料。
【請求項2】 反射光の干渉作用により発色する顔料が、雲母を核とし、その周囲を酸化チタンを主材とする光反射性物質で被覆した複合粒子からなり、真珠光沢性の色調を有するものである請求項1記載のゴルフボール用包装材料。
【請求項3】 基材が厚紙製で、内装材がゴルフボールを数個単位で収納するスリーブケースで構成され、外装材が身および蓋からなる箱で構成される請求項1記載のゴルフボール用包装材料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平6−183454
【公開日】平成6年(1994)7月5日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−355047
【出願日】平成4年(1992)12月16日
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)