サイノグラムを完成するための方法、装置、記憶媒体及びプログラム
【課題】スキャニング・デバイスの視野外の投影データを高精度で推定すること。
【解決手段】スキャニング・デバイスの視野外の拡張投影データを推定するための方法は、スキャニング・デバイスにより被検体をスキャンすることによって投影データを収集し(702)、スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択し(704)、選択した投影角とファン角に基づいて、被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定し(706)、サイノグラム曲線各々に対する寄与値を、測定された投影データに基づいて決定し(708)、選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを、決定した寄与値に基づいて計算する(712)。
【解決手段】スキャニング・デバイスの視野外の拡張投影データを推定するための方法は、スキャニング・デバイスにより被検体をスキャンすることによって投影データを収集し(702)、スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択し(704)、選択した投影角とファン角に基づいて、被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定し(706)、サイノグラム曲線各々に対する寄与値を、測定された投影データに基づいて決定し(708)、選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを、決定した寄与値に基づいて計算する(712)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断層画像再構成処理に関わるサイノグラムを完成する方法、装置、記憶媒体及びプログラムに関する。より詳細に述べれば、本発明は、部分的に切り捨てられた(未測定)のサイノグラムを完成するための新しい方法に係り、測定されたデータ内の補間に基づいて未測定のデータを推定することによってスキャニング・デバイスの視野を実質的に拡張する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、サイノグラムは、全投影角からのプロファイルデータをチャンネル方向と投影角方向(プロジェクション方向ともいう)との2次元に展開することによって生成される。サイノグラムの切り捨て(未測定、データ欠落ともいう)は、断層画像再構成における共通の問題である。サイノグラムの切り捨ては、被検体の一部分がスキャニング・デバイスの視野(視野FOV)の外側に存在するときに生じる。図1Aは、スキャン視野FOVsの外に延びる被検体の例を示している。図1Aに示されているとおり、人間の被検体の胴体はスキャン視野FOVs内にあるが、被検体の腕は拡張視野FOVe内にある。図1Bは、結果として得られるデータの切り捨てを示している。サイノグラムの切り捨ての影響を受ける応用には、PET/CT、放射線治療プランニング、C−アームと大きな患者のCTがある。たとえばPET/CTにおいては、一般にCTの視野FOVがPETの視野FOVより小さく、それが不正確な補正を招くことがある。
【0003】
放射線治療プランニングにおいては、患者が特定の態様で平床上に配置される必要があり、視野FOV内に患者を維持することは困難である。問題は、患者がスキャニング・デバイスの視野FOVの外に延びるときに生じる。たとえば放射線治療プランニングにおいては、腫瘍を通る各放射線に沿って減衰が計算される。伝統的な画像再構成方法が信頼性をもって視野FOVの外の画像を再構成し得ないことから、サイノグラムが計算されるときには治療プランニングがより精度の低いものとなる。
【0004】
サイノグラムの切り捨てを回避する1つの方法は、より大きな視野FOVをカバーするスキャニング・デバイスを再設計することである。しかしながらこのタイプのハードウエア解決策はコストが極端に高く、またデータ生成時間がより長くなる。別のハードウエア解決策は、検出器が拡張視野FOVeをカバーするように検出器を一方の側にシフトすることである。しかしながらこのタイプのハードウエア解決策は、既存のスキャニング・デバイスを用いた場合には不可能であり、将来のシステムにおいても望まれないと見られる。
【0005】
今日使用されている商用CTのほとんどは、投影データ(すなわちサイノグラム)内におけるデータの切り捨てに非常に敏感なフィルタ付き逆投影(FBP)アルゴリズムを使用する。切り捨ての位置においては、データ値に鋭い落ち込みが存在する。FBPで使用される傾斜コンボリューションは、切り捨てのエッジにおいてデータ値の『爆発』を招き、結果としてそれがサイノグラム内の切り捨てられたエッジの近傍に現れるアーティファクトをもたらす。その種のアーティファクトは、伝播して画像品質を大きく低下させる。
【非特許文献1】アレクサンダー・A.ザミャチン(Alexander A.Zamyatin)、マイケル・D.シルバー(Michael D.Silver)、とサトル・ナカニシ(Satoru Nakanishi)著、「エクステンション・オブ・ザ・リコンストラクション・フィールド−オブ−ビュー・ユージング・サイノグラム・デコンポジション(Extension of the reconstruction field−of−view using sinogram decomposition)」、プロシーディングス・SPIE・メディカル・画像ング、フィジクス・オブ・メディカル・画像ング6142(Proceedings SPIE Medical Imaging、 Physics of Medical Imaging 6142)への提出物、2006年4月、M.J.フリン/J.フシェー(M.J.Flynn/J.Hsieh)編集、p.717−724
【非特許文献2】アレクサンダー・A.ザミャチン(Alexander A.Zamyatin)とサトル・ナカニシ(Satoru Nakanishi)著、「エクステンション・オブ・ザ・リコンストラクション・フィールド・オブ・ビュー・アンド・トランケーション・コレクション・ユージング・サイノグラム・デコンポジション(Extension of the reconstruction field of view and truncation correction using sinogram decomposition)」、フィジクス・イン・メディスン・アンド・バイオロジー・ジャーナル(Physics in Medicine and Biology Journal)への提出物
【非特許文献3】R.キチャリャ(R.Chityalya)、K.R.ホフマン(K.R.Hoffman)、S.ルディン(S.Rudin)、とD.R.ベドナレク(D.R.Bednarek)著、本件出願と同時に提出、プロシーディングス・SPIE・メディカル・画像ング、画像・プロセッシング5747(Proceedings SPIE Medical Imaging、 Image Processing 5747)、2005年4月、p.2110−2117
【非特許文献4】エフゲニィ・クレスチャニコフ(Evgeny Krestyannikov)とウラ・ルオツァライネン(Ulla Ruotsalainen)著、「クオンティテイティブリィ・アキュレートデータ・リカバリ・フロム・アテニュエイション−コレクテッド・サイノグラム・ユージング・フィルタリング・オブ・シヌソイダル・トラジェクトリ・シグナルズ(Quantitatively Accurate Data Recovery from Attenuation−Corrected Sinogram Using Filtering of Sinusoidal Trajectory Signals)」、カンファレンス・レコード・オブ・IEEE・メディカル・画像ング・カンファレンセズ(Conf.Rec.of IEEE Medical Imaging Conferences)、ローマ、2004年
【非特許文献5】エフゲニィ・クレスチャニコフ(Evgeny Krestyannikov)、アンティ・ハポネン(Antti Happonen)、とウラ・ルオツァライネン(Ulla Ruotsaliainen)著「ノイズ・モデルズ・フォア・シヌソイダル・トラジェクトリーズ・コンポージング・サイノグラムデータ・イン・ポシトロン・エミッション・トモグラフィ(Noise Models for Sinusoidal Trajectories Composing Sinogram Data in Positron Emission Tomography)」、プロシーディングス・オブ・ザ・6th・ノルディック・シグナル・プロセッシング・シンポジウム−−NORSIG 2004(Proceedings of the 6th Noridc Signal Processing Symposium−−NORSIG 2004)、フィンランド、エスポー、2004年6月9−11日
【非特許文献6】フランシスコ・J.カラメロ(Francisco J.Caramelo)、ヌーノ・C.フェレイラ(Nuno C.Ferreira)、ルイ・ファゼンデイロ(Luis Fazendeiro)、とカタリナ・ソウト(Catarina Souto)著、「画像・リコンストラクション・バイ・サイノグラム・デコンポジション・イントゥ・シヌソディアル・カーブズ(Image Reconstruction by Sinogram Decomposition into Sinusodial Curves)」、カンファレンス・レコード・オブ・ザ・8th・インターナショナル・ミーティング・オン・フーリィ・3D・画像・リコンストラクション・イン・ラジオロジィ・アンド・ニュークレア・メディスン(Conf.Rec.of the 8th Intl.Meeting on Fully 3D Image Reconstruction in Radiology and Nuclear Medicine)、米国、ユタ州、ソルトレークシティ、2005年7月、p.55−59
【非特許文献7】B.オーネソージ(B.Ohnesorge)、T.フロール(T.Flohr)、K.シュワルツ(K.Schwartz)、J.P.ハイケン(J.P.Heiken)、とK.T.ビー(K.T.Bae)著、「エフィシェント・コレクション・フォア・CT・画像・アーティファクツ・コゥズド・バイ・オブジェクツ・エクステンディング・アウトサイド・ザ・スキャン・フィールド・オブ・ビュー(Efficient Correction for CT Image Artifacts Caused by Objects Extending Outside the Scan Field of View)」、メディカル・フィジクス(Med. Phys.)27(1)、2000年、p.39−46
【非特許文献8】J.フシェー(J.Hsieh)、E.チャオ(E.Chao)、J.チボゥルト(J.Thibault)、B.グレコウィッチ(B.Grecowicz)、A.ホースト(A.Horst)、S.マコーラッシュ(S.McOlash)、とT.J.マイヤーズ(T.J.Myers)著、「ア・ノーベル・リコンストラクション・アルゴリズム・トゥ・エクステンド・ザ・CT・スキャン・フィールド・オブ・ビュー(A Novel Reconstruction Algorithm to Extend the CT Scan Field of View)」、メディカル・フィジクス(Med. Phys.)31、2004年、p2385−2391
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、スキャニング・デバイスの視野外の投影データを高精度で推定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1局面は、スキャニング・デバイスの視野外の拡張投影データを推定するための方法において、前記スキャニング・デバイスにより被検体をスキャンすることによって投影データを収集し、前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択し、前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定し、前記サイノグラム曲線各々に対する寄与値を、前記測定された投影データに基づいて決定し、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを、前記決定した寄与値に基づいて計算する方法を提供する。
本発明の第2局面は、スキャニング・デバイスの視野外の投影データを推定するための装置であって、前記スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって、投影データを測定する手段と、前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、前記決定された寄与値に基づいて、前記選択された投影角とファン角に関する前記拡張投影データを計算する手段とを具備する装置を提供する。
本発明の第3局面は、スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって投影データを測定する手段と、前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、前記決定した寄与値に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する手段とをコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
本発明の第4局面は、被検体をスキャンすることによって投影データを測定するために構成されたスキャニング・デバイスと、前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する選択ユニットと、プロセッサとを具備し、前記プロセッサは、前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定し、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を、前記測定された投影データに基づいて決定し、前記決定した寄与値に基づいて、前記選択された投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する装置を提供する。
本発明の第5局面は、スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって投影データを測定する手段と、前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、前記決定した寄与値に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する手段とをコンピュータに実現させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スキャニング・デバイスの視野外の投影データを高精度で推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
ここで使用される変数とパラメータを以下の通り定義する。
視野FOV 視野
x=(x1,x2) 直交座標による像点
x=(rx,βx) 極座標による像点
μ(x) 再構成されることになる減衰関数
R X線管のX線焦点の軌跡の半径
Γ 扇形アパーチュア/開口の半値
γ 可変ファン角度(FA)、−Γ≦γ≦Γ
β 投影(ソース)角
y=(R cosγ,R sinγ) 螺旋軌跡の等式
rγ γに対応する半径、rγ=arcsin(rγ/R)
g(β,γ) サイノグラムの形式の扇形ビームデータ
S(rx,βx) サイノグラム曲線(S曲線)
視野FOVs スキャン視野(測定視野)
視野FOVe 拡張視野
r0 スキャン視野FOVsの半径
rmax 拡張視野FOVeの半径
Γ0 スキャン視野FOVsのFA
Γmax 拡張視野FOVeのFA
図面においては、類似の参照番号はいくつかの図面を通じて同一もしくは対応する部品を示しており、ここで図2を参照すると、本発明の方法によって処理されるデータの生成に使用することのできるX線コンピュータ断層撮影画像ング・デバイスが示されている。しかしながら本発明は、PET(陽電子放射断層撮像法)、SPECT(単光子放射型コンピュータ断層撮影法)、ならびにPET/CTとSPECT/CTといったマルチモダリティ応用とともに使用することもできる。
【0010】
ガントリ1によって構成される投影データ測定システムは、X線束の扇形ビームを生成するX線源3と、2次元アレイタイプのX線検出器5とを収容しており、この検出器は、検出器エレメントの2次元状配列、すなわち複数のエレメントが1次元に配列され、それが複数行にスタックされた配列を有する。X線源3と2次元アレイタイプのX線検出器5は、回転リング2上に取り付けられ、寝台のスライディング・シートまたはプラットフォーム6上に横たわる被検体を挟んで対向する。2次元アレイタイプのX線検出器5は、回転リング2上にマウントされる。各検出器エレメントは、1つのチャンネルに対応する。X線源3からのX線は、X線フィルタ4を介して被検体に向けられる。被検体を通過したX線は、2次元アレイタイプのX線検出器5によって電気信号として検出される。
【0011】
X線コントローラ8は、高電圧発生器7にトリガ信号を供給する。高電圧発生器7は、トリガ信号が受信されたタイミングに基づいて高電圧をX線源3に印加する。これがX線源3からX線を放射させる。ガントリ/ベッド・コントローラ9は、ガントリ1の回転リング2の回転とベッドのスライディング・シート6のスライドを同期させてコントロールする。システム・コントローラ10は、全システムのコントロール・センタを構成し、X線コントローラ8とガントリ/ベッド・コントローラ9を、被検体から見たとき、X線源3がいわゆる螺旋スキャニングを実行するように、すなわちX線源が螺旋の経路に沿って移動するようにコントロールする。特に、スライディング・プレートが一定速度で変位する間、回転リング2が一定角速度で連続回転され、X線が連続的に、あるいは一定角度間隔で間欠的にX線源3から放射される。
【0012】
さらに他の実施形態においては、X線源3と検出器2が、スキャンされる被検体が回転する間にわたって静止しているようにできる。
2次元アレイタイプのX線検出器5の出力信号は、それぞれのチャンネルごとにデータ収集ユニット11によって増幅され、ディジタル信号に変換されて投影データが生成される。投影データは、サイノグラムの形式とすることができる。
【0013】
図1Bは、上記のデバイスによって生成される一例のサイノグラムを示している。この特定のサイノグラムは、その一部分が、正弦波曲線内の途切れまたはギャップによって示されるとおり欠落している(未測定の状態になっている)。切り捨てられたサイノグラムのスキャン視野FOVsの外側部分のデータが欠落である。
【0014】
データ収集ユニット11から出力された投影データは、再構成処理ユニット12に供給される。再構成処理ユニット12は、測定された投影データ(g、サイノグラムの形式の扇形ビームデータ)を使用して、スキャン中の被検体のスキャン視野FOVsの外側に延びている部分についての減衰関数を推定する(拡張投影データの推定)。欠落部分に対応する推定される投影データ(拡張投影データ)は、推定後の減衰関数の値を使用することによって生成される。減衰関数の再構成に使用されるアルゴリズムについては後述する。
【0015】
追加の実施形態においては、再構成処理ユニット12が、再構成後の減衰関数の値を基礎とする拡張投影データを使用して各ボクセル内におけるX線吸収を反映する逆投影データを求める。再構成処理ユニット12は、この画像ング領域内に複数のボクセルを定義し、各ボクセルについて逆投影データを見つけ出す。
【0016】
この逆投影データを使用することによってコンパイルされた3次元画像データまたは断層撮影画像データがディスプレイ・デバイス14に送られ、そこで視覚的に、3次元画像(3D画像)データまたは断層撮影画像として表示される。
【0017】
3D画像を生成する螺旋スキャンは、本発明の一実施形態に過ぎない。別の実施形態に、2次元画像(2D画像)だけを生成する円周スキャンがある。
【0018】
本発明の一実施形態においては、未測定の投影データ(減衰データ)が測定された投影データを使用して推定される。本実施形態は、サイノグラム分解を基礎とする。サイノグラム曲線と像点の間には1対1の対応が存在する。いくつかの像点xがスキャン視野FOVsの外に位置する場合には、このスキャン視野FOVsの外に位置する像点xについてのサイノグラム曲線(単にs曲線ともいう)のほとんどをサイノグラムから生成することが可能になる。
【0019】
従来の補外法とは対照的に、本発明の実施形態はサイノグラム曲線に沿う補間を使用し、未測定の投影データ(減衰データ)を推定する。サイノグラム曲線は、X線源が等角点を中心に回転するとき、いずれかの物点の投影によってトレースされる経路を表す。像点が視野FOVの外の等角点から遠く離れて置かれるとき、そのs曲線が広い範囲のファン角をカバーする。サイノグラム曲線の内側部分は常に測定され、欠落している外側部分を推定する手段を提供する。s曲線に沿うデータの連続性を使用すれば、s曲線の切り捨てられた部分が測定された部分の間において補間され、それによって滑らかなs曲線を完成することが可能になる。
【0020】
図3Aは、スキャン視野FOVsの外の点のためのs曲線が、サイノグラムから、そのサイノグラム内の測定されたデータ間における補間によってどのようにして抽出されるかを示している。測定されたデータの外の点(β,γ)について、(β,γ)を通るs曲線を、測定されたデータ内の部分的なs曲線の間を補間することによって作ることができる。破線は、測定されたデータを表し、完成された正弦曲線(実線の曲線)は補間されたデータを表す。この補間が、(β,γ)を通る各s曲線について反復されることになる。(β,γ)における投影データの生成に必要となるその先の分析について次に考察する。
【0021】
図3Bに、オリジナルの切り捨てられたサイノグラムを示し、本発明の実施形態を使用して復元されたサイノグラムを示している。このように本発明の一実施形態は、サイノグラムの部分(サイノグラムの実測部分)の中心から外側へ移動し、欠落しているサイノグラム曲線の部分を1つずつ埋めていくことを必要とする。
【0022】
切り捨てられたサイノグラムを完成することによってスキャン視野FOVsを拡張視野FOVeに拡張するこの方法は、扇形ビームCTデバイス用に導かれることになる。しかしながら当業者が認識できるとおり、本発明は円周円錐ビームと螺旋扇形ビームと螺旋円錐ビームのCTデバイスに拡張することが可能である。さらに、前述したとおり、デバイスがCTデバイスに限定される必要もない。
【0023】
被検体の投影データ(すなわちサイノグラム)は、図2に例示されているとおりスキャニング・デバイスから生成される。さらに他の実施形態においては、投影データが第1のロケーションにおいて生成され、その先の分析のために第2のロケーションに送信されるようにすることが可能である。
【0024】
本発明の一実施形態は、点ごとのベースで未測定の投影データ(減衰データ)を推定する。生成されたサイノグラムについて、所定の点(投影角とファン角によって定義される)が選択される。図3Aと図5は、未測定のデータに対応する点(β,γ)を示している。
【0025】
選択された投影角とファン角によって定義される選択された点に基づいて、その選択された点を通る複数のサイノグラム曲線が決定される。スキャン視野FOVsの外側の選択された点(β,γ)を通る複数のs曲線が図5に示されている。β軸の両側の平行な2本の破線(γ=250,−250)の間のs曲線上の部分は、s曲線の測定点(実測点)に対応する。破線の外側のs曲線上の部分は、s曲線の測定されない部分に対応する。複数のs曲線が、以下において導くサイノグラム曲線の式を使用して決定される。
【0026】
図4は、CTスキャニング・デバイスの一例の配置を示している。基本的な幾何学を使用することによって、サイノグラム曲線を定義する等式を得ることができる。サイノグラム曲線は、単一の像点xをサイノグラム・ドメイン内に投影することによって得られる。サイノグラム空間においては、各像点が正弦曲線によって表される。
【0027】
図4に示されているとおり、像点xは、その直交座標(x1,x2)もしくは極座標(rx,βx)によって与えられる。X線源(フォーカル・スポット)Sの軌跡は、(R cosγ,R sinγ)によって与えられる。
【0028】
図4に示されている配置の幾何学を使用すれば、ガンマを定義する直交座標を用いる従来の等式、距離に拘束されない等式(すなわちRから独立)、と極座標における等式を導くことができる。γもまた、サイノグラム曲線(またはS曲線)の定義に使用することが可能である。
【0029】
以下にサイノグラムの等式の導出を示す、
tanγ=PA/PS、sinγ=PA/AS
従来の等式
AS=|x−y|={(x1−Rcosβ)2+(x2−Rsinβ)2}1/2
PA=x・(cosβ,sinβ)⊥=x1sinβ−x2cosβ
γ=arcsin(x1sinβ−x2cosβ)/{(x1−Rcosβ)2+(x2−Rsinβ)2}1/2 (1)
距離に拘束されない等式
PS=OS−OP
OP=x・(cosβ,sinβ)=x1cosβ+x2sinβ
γ=arctan(x1sinβ−x2cosβ)/{R−(x1cosβ+x2sinβ)} (2)
極座標における等式
PA=OAsin(β−βx)=rxsin(β−βx)
OP=rxcos(β−βx)
→PS=R−rxcos(β−βx)
γ=arctan{rxsin(β−βx)}/{R−rxcos(β−βx)} (3)
上記の等式(1)、(2)、(3)は、サイノグラム曲線の定義に使用することができる。しかしながら、ここでは極座標形式の等式を使用する。サイノグラム曲線S(rx,βx)は、次の集合表記を使用して定義される。
【0030】
S(rx,βx)={(β,γ)|0≦β<2π,γ=arctan(rxsin(β−βx))/{R−rxcos(β−βx)}} (4)
ここで注意を要するが、各s曲線は、(rx,βx)によって定義される。したがって、これら2つのパラメータをサイノグラム曲線の全ファミリのパラメータ化に使用することができる。さらに特定の点(β,γ)を通るs曲線のファミリは、1つのパラメータだけ、すなわちrxもしくはβxだけを使用してパラメータ化することが可能である。
【0031】
図6は、X線源とスキャン中の被検体の第2の配置を示している。図6に示されているとおり、r(γ)=R sinγであり、曲線ファミリの最小半径である。したがって、パラメータrは、rγ≦r≦rmaxに挟まれ、それにおいてrmaxは、拡張視野FOVeの半径である。
【0032】
スキャンされる被検体上の多くの点(すなわち像点)は、ポイント(β,γ)の値に寄与する。図6は、これらの点のいくつかを示している。P(rγ,βc)は、最小半径rγに対応する点である。M(r,β2)とN(r,β1)は、任意半径r∈[rγ,rmax]に対応する2つの(βcに関して)対称な点である。ここで、β1=βc+θrでありβ2=βc−θrであることに注意を要する。K(rmax,βc−θmax)は、最大半径rmaxに対応する点である。対称な点、すなわちβc+θmaxに対応する点は図示されていない。
【0033】
図6からわかるとおり、次の関係を確立することができる。
βc=−π/2+β+γ
β1=βc+θr
β2=βc−θr
θr=arcos(rγ/r) (5)
上記考察において、パラメータrを独立とし、βxは、rxに従属していた。しかしながら離散的なS曲線のファミリ内においてより一様な分布を達成するためには、パラメータβxを独立にする方がよい。したがって、βxがβc−θmaxからβc+θmaxまで変化する場合にはθmax=arcos(rγ/rmax)、かつ対応するrxが、
rx=R sinγ/sin(γ+β−βx) (6)
となり、これは次のとおりに書き直すことができる。
rx=rγ/cos(βc−βx) (7)
ここで式(4)においてβxをβc−θmaxからβc+θmaxまで変化させ、式(6)もしくは(7)のうちのいずれか一方に従ってrxを選択すると、(β,γ)を含むs曲線S(rx,βx)の1パラメータのファミリを図5に示されるとおりに得ることができる。したがって、スキャン視野FOVsの外の点(β,γ)のための投影データを復元するためには、点(β,γ)を通るすべてのs曲線を使用する必要がある。
【0034】
所定の点(β,γ)は、その所定の点(β,γ)を通るs曲線からの値の重み付け加算値として復元され、次にそれを説明する。
従来から扇形ビーム変換は、直交座標における次式で与えられる。
【数1】
【0035】
これにおいてθは放射線の単位ベクトル、θ=(−cos(β+γ),sin(β,γ))である。したがって式(8)は、次のように書き直すことができる、
【数2】
【0036】
極座標においては、式(8)が次のとおりとなる、
【数3】
【0037】
ここで、dt/dβx=rx/cos(βx−βc)を示すことができる。したがって、次式が得られる。
【数4】
【0038】
これにおいてrx(βx,β,γ)は、式(6)によって与えられ、βcは、式(5)によって与えられる。
【0039】
μ(x)は、いくつかの像点に関する減衰関数を表す。式(8)に示されているとおり、それらの像点のための減衰関数が使用されて投影データg(β,γ)またはサイノグラムが構成される。しかしながらスキャン視野FOVs内のデータだけがサイノグラムの作成に利用可能であり、その結果、サイノグラムの切り捨てが招かれている。
【0040】
μ(x)=μ(rx,βx)が未知のときは、以下の推定が使用される。
【数5】
【0041】
説明の中では、このようなチルダ付きの文字を、「〜μ(rx,βx)」等のように表す。この推定は、対応するサイノグラム曲線、S(rx,βx)上の値を使用して生成される。切り捨てられるs曲線の部分は、s曲線の測定されたの部分の間において(図3Bに示されているとおり)補間され、それによって滑らかなs曲線を完成することが可能になる。〜μ(rx,βx)は、いくつかの方法を通じて生成される。
【0042】
アプローチ1、最小関数を使用する。
【数6】
【0043】
これにおいて、S0(rx,βx)は、S(rx,βx)の測定されたの部分を表す。このアプローチにおいては、サイノグラム曲線S(rx,βx)に沿って最小値が見つけ出され、この値が〜μ(rx,βx)に割り当てられる。また、ノイズ・レベルより低い値は閾値外とすることが可能であり、それによって減衰のない像点を除外することが可能になる。このアプローチは、小さい部品または被検体から離れたサイノグラム点であっても正確に復元できるという利点を有する。その欠点は、境界におけるサイノグラムに整合しないことである。
【0044】
アプローチ2、S(rx,βx)に帰属する測定されたサイノグラムの境界値を使用する。境界値はr=r0に対応し、β座標は、次式によって与えられる。
【0045】
β1=π/2+βc−γ0+θr
β2=π/2+βc−γ0−θr
θr=arccos(r0/rx)
ν1=g(β1,γ0)
ν2=g(β2,γ0)
gbs(β,γ)=(β2−β)ν1/(β2−β1)+(β−β1)ν2/(β2−β1) (13)
なお、β1、β2、θrは、一時変数であり、式(5)のそれらと同一ではない。
【0046】
勾配(Slope)を用いるアプローチ2(図3参照)、
γ01=γ0−dγ
r01=R sinγ01 (14)
β11=π/2+βc−γ01+θr
β21=π/2+βc−γ01−θr
θr=arccos(r01/r) (15)
ν11=g(β11,γ01)
ν21=g(β21,γ01)
Slope1=ν1−ν11
Slope2=ν2−ν21 (16)
gbs(β,γ)=(ν1+Slope1・(γ−γ0))(β−β2)/(β1−β2)+(ν2+Slope2・(γ−γ0))(β1−β)/(β1−β2) (17)
最終的な境界推定gb(β,γ)は、(β,γ)を通るすべてのs曲線に対応するgbs(β,γ)を平均することによって生成される。アプローチ2の利点は、サイノグラムを非常に滑らかに拡張することであり、その結果、境界のエッジ上の切り捨てのアーティファクトが最小に抑えられる。アプローチ2の欠点は、切り捨てられたゾーンの深く(すなわち、γの大きな値)で不正確になることである。
【0047】
アプローチ3、アプローチ1と2の組み合わせを使用する。本発明の別の実施形態においては、切り捨てのエッジ近傍(すなわち、γの小さな値)においてアプローチ2が使用され、切り捨てのエッジから離れたところ(すなわち、γの大きな値)においてアプローチ1が使用されるように境目のぼかしが行われる。したがって、欠落した減衰値のための推定が次式によって与えられる。
【数7】
【0048】
最小値テーブル
最小値テーブル(MVT)を使用して本実施形態の効率を向上させることができる。一例の最小値テーブルを図8Aと8Bに示す。図8Aは、切り捨てられたデータから生成されたMVTを示している。図8Bは、補正後のMVTを示している。本発明の一実施形態においては、最小値テーブルが〜μmin(rx,βx)と[ν1,ν2](rx,βx)のあらかじめ計算された値を含む。さらに別の実施形態においては、最小値テーブルもしくは別のテーブルが、重み付き最小値テーブル(WMVT)〜μmin(rx,βx)、と重み付き境界値テーブル(WBVT)[ν1,ν2](rx,βx)をストアできる。
【0049】
このように、本発明の効率的な具体化においては、〜μmin(rx,βx)と[ν1,ν2](rx,βx)を計算するのではなく、各(rx,βx)のための最小値テーブル内においてそれらの値をルックアップすることが可能である。
【0050】
MVT後処理
生成されたMVTは、修正が必要である。これは、データが切り捨てられていることから、したがってMVTがひずみを受けることから必要となる。特に、切り捨ては、生成されたMVT内に、中心から離れる方向に向けられた追加のピークをもたらす。その種のピークは、補正されなかった場合に被検体の遠い方の側に不鮮明なエッジをもたらす。これらのピークの補正に採用できる方法はいくつも存在する、これは、むしろ信号処理における標準的な問題である。図8Aと8bは、それらのピークがどのようにして補正される必要があるかを例示している。
【0051】
重み付け
重み付けは、再構成される被検体が共通の元を持たない単一点から構成されていないときに必要になる。したがって、実際問題として重み付けは常に必要となる。重み付けは、2つの効果を考慮に入れる必要がある、(1)欠落値g(β,γ)がN個のサイノグラム曲線から復元され、それにおいてNは、概して多くのものに依存する、(2)サンプリング・ピッチΔβx(S曲線のファミリのサンプリング)。g(β,γ)は、サンプリング・サイズに依存するべきでない。したがって、適用される重み付けは、生成された値をサンプリング・ピッチに対して正規化することになる。
【0052】
スキャンされる被検体が、単一点とは異なって幅を有することから、生成された最小推定〜μmin(rx,βx)は、スキャン視野FOVs内に見られるとおり、被検体のもっとも薄い部分を通る積分を表す。スキャンされる被検体が一様な減衰を有すると仮定することによって、このもっとも短い測定された経路の長さLによって〜μmin(rx,βx)が正規化されれば足りることから重み付けが単純化される、〜μ(rx,βx)=〜μmin(rx,βx)/L。
【0053】
図7は、与えられた像点(β,γ)を通る測定されたの線積分のファミリを示している。実線は〜μmin(rx,βx)を表し、Lは、スキャンされる被検体を通る最短の測定された経路として示されている。
【0054】
ここで注意する必要があるが、Lは未知であり、それもまた推定される必要がある。Lは、最小値テーブル(MVT)〜μmin(rx,βx)の使用によって推定することが可能である。図9Aは、MVTからどのようにしてLが推定できるかを示している。図9Bは、Lの重み付けテーブルである。図9Cは、重み付きMVTを示している。Lは、次式のように推定することができる。
【0055】
L=rxsinΔβx/cos(βx−βc) (19)
これにおいてΔβxは、Lの角度スパンである。したがって、式(20)は次の形を取る、
【数8】
【0056】
または
【数9】
【0057】
これにおいてwΔφは、最小値の重みである。
wΔφ=sin(count・ds/2)/2・min_weight_factor
wΔφは、上式によって推定可能であり、countは、放射線上の非ゼロ点の数(もしくは、等価的にこのデータ・ピクセルを通るサイノグラム曲線の数)、min_weight_factorは、分析的な式と生データを整合させるために考慮される。実験的に、次の通りとする。
【0058】
min_weight_factor=0.0085
具体化の例
次に、本発明の一実施形態の一例の具体化について説明する。入力データはg0(β,γ)であり、それにおいては、0≦β<2π、かつ−Γ0≦γ≦Γ0である。このサイノグラムには、切り捨てが生じることになる。出力データは、完全な(すなわち、未測定データの推定によって拡張された)サイノグラム、g(β,γ)であり、それにおいては、0≦β<2π、かつ−Γmax≦γ≦Γmaxである。
【0059】
もっとも外側のループ、すなわち図6に示される拡張視野FOVeは、すべての切り捨てられた(β,γ)の値を含む。簡単のため、一方の側、Γ0<γ≦Γmaxだけについて考察する。他方の側(−Γmax≦γ<−Γ0)は類似に処理される。
【0060】
外側ループの内側において、サイノグラム点(β,γ)が固定される。この点を通るサイノグラム曲線S(rx,βx)のファミリが見つけ出される。すでに述べたとおり、βxは独立したパラメータであり、その結果、βc−θmax≦βx≦βc+θmaxとなり、かつrxがβx、β、とγの関数として見つかる。
【0061】
したがって、中間のループ(図6において半径rを伴うループ)は、βc−θmaxとβc+θmaxの間のβxの値を取り(式(5)参照)、対応するrxが、式(6)もしくは(7)を使用して見つけられる。
【0062】
ここでペア(rx,βx)もまた固定されれば、その寄与、すなわちいずれかの値〜μ(rx,βx)も見つかる。この例においては、最小値テクニックがS関数の範囲を制限することから、それが使用される。次に曲線S(rx,βx)を追いかけて〜μmin(rx,βx)を求める。これは最内側ループ(スキャン視野FOVs)であり、それにおいては、β’が0から2πまで変化し、式(3)を使用してγ’をβ’、βxとrxの関数として求める(プライム『’』は、最外側ループの(β,γ)と区別するために使用されている)。最内側ループの結果は、〜μmin(rx,βx)である。
【0063】
処理速度は、最小値がノイズ閾値より下に落ちるときに最内側ループを出る(分析的なノイズのないシミュレーションにおいては、それがゼロに等しいときに出る)ことによって向上させることができる。〜μmin(rx,βx)=0であれば、μ(rx,βx)=0であると明言することが可能であり、それ自体、有用な結果である。
【0064】
中間ループの最後に、〜μbnd(rx,βx)(境界)、〜μ(rx,βx)を計算し、いずれかの一時変数として(点(β,γ)を通る各s曲線について)すべての利用可能な値を累算する必要がある。
【0065】
最外側ループの最後に、累算している一時変数が欠落データg(β,γ)に割り当てられる。すべての一時変数はここで、あるいは必要時にゼロに戻される。
【0066】
本発明の別の具体化においては、最小値と境界値があらかじめ計算され、したがって最内側ループが回避される。より効率的なこの具体化は、次のように特徴付けされる。
【0067】
予備計算
重み付き最小値テーブル(WMVT)〜μmin(rx,βx)と境界値と勾配テーブル(WBVT)、BVTleft(rx,βx)、SITright(rx,βx)、SITleft(rx,βx)
処理データ、
外側ループ、切り捨てられた(β,γ)について。
内側ループ、S曲線S(rx,βx)について。
(これら2つのループは、前述したとおりの最外側ループと中間ループと同一であり、追加の説明は省略する)。
【0068】
図10は、本発明を具体化するための一例の方法を示している。ステップ702においては、スキャニング・デバイスを使用して投影データが生成される。ステップ704においては、スキャン視野FOVsの外の投影角とファン角が選択される。ステップ706においては、ステップ704において選択された投影角ならびにファン角に基づいて、異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線が決定される。これらの複数のサイノグラム曲線は、ステップ704において選択された点を通る。ステップ708においては、これら複数の曲線のそれぞれについての寄与値が、測定されたデータに基づいて、複数の曲線のうちの少なくとも1つに沿って測定されたデータ内の補間を行うことによって決定される。ステップ710においては、測定されたデータの最小値と境界値を含むテーブルがストアされる。ステップ712においては、選択されたデータとステップ704において選択されたファン角に対応する投影データが、複数の曲線からの寄与の重み付き合計に基づいて決定された寄与値に基づいて計算される。
【0069】
図11は、本発明の実施形態を具体化することのできるコンピュータ・システム1201を例示している。コンピュータ・システム1201は、バス1202もしくはそのほかの情報を通信するための通信メカニズム、とバス1202に結合されて情報を処理するためのプロセッサ1203を含む。またコンピュータ・システム1201は、バス1202に結合された、情報とプロセッサ1203によって実行されることになるインストラクションをストアするためのメイン・メモリ1204、たとえばランダム・アクセス・メモリ(RAM)もしくはそのほかの動的ストレージ・デバイス(たとえば、ダイナミックRAM(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)、と同期DRAM(SDRAM))等を含む。それに加えてメイン・メモリ1204は、一時変数もしくはそのほかの、プロセッサ1203によるインストラクションの実行間における中間情報をストアするために使用されることがある。コンピュータ・システム1201は、さらに、読み出し専用メモリ(ROM)1205もしくはそのほかのバス1202に結合された静的情報とプロセッサ1203用のインストラクションをストアするための静的ストレージ・デバイス(たとえば、プログラマブルROM(PROM)、消去可能なPROM(EPROM)、と電気的に消去可能なPROM(EEPROM))を含む。
【0070】
コンピュータ・システム1201はまた、バス1202に結合されたディスク・コントローラ1206を含み、それが、磁気ハードディスク1207、とリムーバブル・メディア・ドライブ1208(たとえば、フロッピー(登録商標)ディスク・ドライブ、読み出し専用コンパクト・ディスク・ドライブ、読み出し/書き込みコンパクト・ディスク・ドライブ、コンパクト・ディスク・ジュークボックス、テープ・ドライブ、とリムーバブル光磁気ドライブ)等の情報とインストラクションをストアするための1ないしは複数のストレージ・デバイスをコントロールする。これらのストレージ・デバイスは、適切なデバイス・インターフェース(たとえば、スモール・コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)、インテグレーテッド・デバイス・エレクトロニクス(IDE)、エンハンスド−IDE(E−IDE)、ダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)、またはウルトラ−DMA)を使用してコンピュータ・システム1201に追加することができる。
【0071】
コンピュータ・システム1201が、専用論理デバイス(たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC))または構成可能論理デバイス(たとえば、シンプル・プログラマブル論理デバイス(SPLD)、コンプレックス・プログラマブル論理デバイス(CPLD)、とフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA))を含むこともある。
【0072】
またコンピュータ・システム1201は、コンピュータ・ユーザに情報を表示するための陰極線管(CRT)等のディスプレイ1210をコントロールするためのバス1202に結合されたディスプレイ・コントローラ1209を含むこともある。このコンピュータ・システムは、キーボード1211とポインティング・デバイス1212等の、コンピュータ・ユーザとのインタラクションならびにプロセッサ1203への情報の提供のための入力デバイスを含む。ポインティング・デバイス1212は、方向情報とコマンドの選択をプロセッサ1203に伝えるため、とディスプレイ1210上のカーソルの動きをコントロールするための、たとえばマウス、トラックボール、またはポインティング・スティック等とすることができる。それに加えてプリンタが、コンピュータ・システム1201によってストアされ、かつ/または生成されたデータのリスティングのプリントを提供することができる。
【0073】
コンピュータ・システム1201は、メイン・メモリ1204等のメモリ内に含まれている1ないしは複数のインストラクションの1ないしは複数のシーケンスを実行するプロセッサ1203に応じて、本発明の処理ステップの一部もしくは全部を実行する。この種のインストラクションは、ハードディスク1207もしくはリムーバブル・メディア・ドライブ1208等の別のコンピュータ可読メディアからメイン・メモリ1204内に読み込むことができる。マルチ−プロセッサ構成内の1ないしは複数のプロセッサを、メイン・メモリ1204内に含まれているインストラクションのシーケンスの実行に使用することもできる。代替実施形態においては、ハード−ワイヤード回路をソフトウエア・インストラクションに代えて、あるいはそれとともに使用することができる。したがって実施形態は、ハードウエア回路とソフトウエアのいずれかの特定の組み合わせに限定されない。
【0074】
前述したとおりコンピュータ・システム1201は、本発明の教示に従ってプログラムされたインストラクションを保持するため、とデータ構造、テーブル、レコード、あるいはそのほかのここで述べているデータを収めるための少なくとも1つのコンピュータ可読メディアまたはメモリを含んでいる。コンピュータ可読メディアの例としては、コンパクト・ディスク、ハードディスク、フロッピーディスク、テープ、光磁気ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、もしくはそのほかの任意の磁気メディア、コンパクト・ディスク(たとえばCD−ROM)、もしくはそのほかの任意の光学メディア、鑽孔カード、紙テープ、あるいはそのほかの孔のパターンを伴う物理メディア、搬送波(後述)、またはそのほかのコンピュータが読み取ることのできる任意のメディアが挙げられる。
【0075】
本発明は、コンピュータ可読メディアの任意の1つもしくはその組み合わせの上にストアされた、コンピュータ・システム1201をコントロールするため、本発明を具体化するための1ないしは複数のデバイスをドライブするため、とコンピュータ・システム1201による人間のユーザ(たとえば、プリント製作要員)とのインタラクションを可能にするためのソフトウエアを含む。その種のソフトウエアには、限定の意図はないが、デバイス・ドライバ、オペレーティング・システム、開発ツール、とアプリケーション・ソフトウエアを含めることができる。その種のコンピュータ可読メディアは、さらに、本発明の具体化において実行される処理の全部もしくは一部(処理が分散されている場合)を行うための本発明のコンピュータ・プログラム・プロダクトを含む。
【0076】
本発明のコンピュータ・コード・デバイスは、任意の翻訳可能もしくは実行可能コード・メカニズムとすることができるが、それには、限定の意図ではなく、スクリプト、翻訳可能プログラム、ダイナミック・リンク・ライブラリ(DLL)、ジャバ(Java(登録商標))クラス、と完全な実行可能プログラムが含まれる。さらに、本発明の処理の部分を、より良好なパフォーマンス、信頼性、と/またはコストのために分散させることもできる。
【0077】
ここで用いられる『コンピュータ可読メディア』という表現は、プロセッサ1203に対する実行のためのインストラクションの提供に関係する任意のメディアをいう。コンピュータ可読メディアは、任意の形式を取ることができ、限定の意図はないが、不揮発性メディア、揮発性メディア、と伝送メディアが含まれる。不揮発性メディアには、たとえばハードディスク1207もしくはリムーバブル・メディア・ドライブ1208等の光学、磁気ディスク、と光磁気ディスクが含まれる。揮発性メディアには、メイン・メモリ1204等の動的メモリが含まれる。伝送メディアには、バス1202を構成するワイヤを含め、同軸ケーブル、銅線、と光ファイバが含まれる。伝送メディアは、無線波と赤外線データ通信の間に生成されるような音響または光の形式を取ることもある。
【0078】
種々の形式のコンピュータ可読メディアは、プロセッサ1203に対する実行のための1ないしは複数のインストラクションの1ないしは複数のシーケンスの実行に関係することがある。たとえばインストラクションが、最初にリモート・コンピュータの磁気ディスク上において運ばれることがある。このリモート・コンピュータは、本発明のすべてもしくは一部を具体化するためのインストラクションを動的メモリ内にリモートでロードし、そのインストラクションを、モデムを使用し、電話回線を介して送信することができる。コンピュータ・システム1201にローカルのモデムは、電話回線からデータを受信し、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。バス1202に結合されている赤外線受信機は、赤外線信号に含まれて搬送されるデータを受信し、そのデータをバス1202上に置く。バス1202は、そのデータをメイン・メモリ1204に運び、そこからプロセッサ1203がインストラクションを検索して実行する。メイン・メモリ1204によって受け取られたインストラクションは、オプションとして、プロセッサ1203による実行の前もしくは後のいずれかにおいてストレージ・デバイス1207または1208上にストアすることができる。
【0079】
コンピュータ・システム1201は、バス1202に結合された通信インターフェース1213も含む。この通信インターフェース1213は、たとえばローカル・エリア・ネットワーク(LAN)1215あるいはそのほかの、インターネット等の通信ネットワーク1216に接続されるネットワーク・リンク1214と結合して2方向データ通信を提供する。たとえば通信インターフェース1213は、任意のパケット切り替えLANに取り付けられるネットワーク・インターフェース・カードとすることができる。別の例としては、通信インターフェース1213を非同期ディジタル加入者回線(ADSL)カード、総合ディジタル通信網サービス(ISDN)カード、またはモデムとして対応するタイプの通信回線へのデータ通信接続を提供することができる。ワイヤレス・リンクを具体化することもできる。その種の具体化のいずれにおいても通信インターフェース1213が、種々のタイプの情報を表すディジタルデータ・ストリームを運ぶ電気的、電磁気的、あるいは光学信号を送受する。
【0080】
ネットワーク・リンク1214は、一般に1ないしは複数のネットワークを介して別のデータ・デバイスに対するデータ通信を提供する。たとえばネットワーク・リンク1214は、ローカル・ネットワーク1215(たとえばLAN)を介して、あるいは通信ネットワーク1216を介して通信サービスを提供するサービス・プロバイダによって運用される装置を介して別のコンピュータに対する接続を提供することができる。ローカル・ネットワーク1214と通信ネットワーク1216は、ディジタルデータ・ストリームを運ぶ、たとえば電気、電磁気、あるいは光信号と関連物理レイヤ(たとえば、CAT5ケーブル、同軸ケーブル、光ファイバ等)を使用する。種々のネットワークを通る信号、とネットワーク・リンク1214上ならびに、コンピュータ・システム1201へ、とそこからディジタルデータを運ぶ通信インターフェース1213を介した信号は、ベースバンド信号もしくは搬送波ベースの信号として具体化することができる。ベースバンド信号は、ディジタルデータを、ディジタルデータ・ビットのストリームを記述する無変調電気パルスとして運ぶが、それにおいて『ビット』という表現は、広く記号を意味するものと解釈されるべきであり、各記号は、少なくとも1つもしくは複数の情報ビットを運ぶ。ディジタルデータは、振幅、位相、と/または周波数シフト・キーイング信号の場合のように搬送波を変調するために使用されることもあり、それが導体メディアを介して伝播し、あるいは電磁波として伝播媒体を介して送信される。したがって、ディジタルデータは、無変調ベースバンドデータとして『有線』通信チャンネルを介して送信されるか、かつ/またはベースバンドとは異なるあらかじめ決定済みの周波数帯内において搬送波を変調することによって送信されることがあり得る。コンピュータ・システム1201は、プログラム・コードを含めたデータを、ネットワーク(1ないしは複数)1215と1216、ネットワーク・リンク1214、と通信インターフェース1213を介して送受することができる。さらにネットワーク・リンク1214は、LAN 1215を介して、携帯情報端末(PDA)ラップトップ・コンピュータ、あるいは携帯電話等のモバイル・デバイス1217に対する接続を提供することができる。
【0081】
本発明のすべての実施形態は、コンピュータ技術の当業者には明らかなとおり、本発明の教示に従ってプログラムされた従来の汎用コンピュータまたはマイクロプロセッサを使用して都合よく具体化することができる。適切なソフトウエアは、ソフトウエア技術の当業者には明らかであろうが、この開示の教示に基づき、この分野の通常の知識を有するプログラマによって容易に準備することができる。より詳細に述べればコンピュータ・ハウジングは、CPU、メモリ、とそのほかのオプションの専用論理デバイス(たとえばASIC)または構成可能な論理デバイス(たとえば、GALと再プログラム可能FPGA)を包含するマザーボードを収容することができる。またコンピュータは、複数の入力デバイス(たとえば、キーボードとマウス)、とモニタをコントロールするためのディスプレイ・カードも含む。それに加えてコンピュータは、適切なデバイス・バス(たとえば、SCSIバス、エンハンスドIDEバス、またはウルトラDMAバス)を使用して接続されたフロッピーディスク・ドライブ、そのほかのリムーバブル・メディア・デバイス(たとえば、コンパクト・ディスク、テープ、とリムーバブル光磁気メディア)、とハードディスクもしくはそのほかの固定高密度メディア・デバイスも含むことができる。さらにコンピュータは、同一のデバイス・バスもしくは別のデバイス・バスに接続することのできるコンパクト・ディスク・リーダ、コンパクト・ディスク・リーダ/ライタ・ユニット、またはコンパクト・ディスク・ジュークボックスも含むことができる。
【0082】
本発明は、上記の、もしくはそのほかのコンピュータ可読メディアの任意の1つもしくはその組み合わせにストアされた、コンピュータのハードウエアをコントロールするため、とコンピュータによる人間のユーザとのインタラクションを可能にするためのソフトウエアを含む。その種のソフトウエアには、限定の意図はないが、デバイス・ドライバ、オペレーティング・システム、と開発ツール等のユーザ・アプリケーションを含めることができる。本発明のコンピュータ・プログラム・プロダクトは、コンピュータによる実行時に当該コンピュータに本発明の方法を実行させるコンピュータ・プログラム・インストラクションをストアする任意のコンピュータ可読メディア(たとえば、コンピュータ・コード・デバイス)を含む。本発明のコンピュータ・コード・デバイスは、任意の翻訳可能もしくは実行可能コード・メカニズムとすることができるが、それには、限定の意図ではなく、スクリプト、インタプリタ、ダイナミック・リンク・ライブラリ、ジャバ(Java)クラス、と完全な実行可能プログラムが含まれる。さらに、本発明の処理の部分を、より良好なパフォーマンス、信頼性、と/またはコストのために(たとえば、(1)複数CPU間、または(2)少なくとも1つのCPUと少なくとも1つの構成可能な論理デバイスの間において)分散させることもできる。たとえば、第1のコンピュータ上において輪郭または画像が選択され、リモート診断のために第2のコンピュータに送信されるといったことが考えられる。
【0083】
また本発明は、当業者には容易に明らかとなろうが、特定用途向け集積回路を用意することによって、あるいは従来のコンポーネント回路の適切なネットワークの相互接続によって具体化することもできる。
【0084】
さらに本発明への画像データのソースは、X線装置またはCT装置等の任意の適切な画像取り込みデバイスとすることができる。取り込まれたデータは、ディジタル形式になっていなければディジタル化することができる。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1A】スキャン視野FOVsの外に延びる被検体の例を示した説明図である。
【図1B】図1Aから結果としてもたらされるデータの切り捨てを示した説明図である。
【図2】スキャニング・デバイスの一例を示したブロック図である。
【図3A】補間されるデータを伴う一例のサイノグラム曲線を示した説明図である。
【図3B】切り捨てられたサイノグラムと完成されたサイノグラムの間の比較の一例を示した説明図である。
【図4】スキャンされる被検体に対するX線源の配置の第1の例を示した説明図である。
【図5】未測定データの点に対応するサイノグラム空間内の点を通るサイノグラム曲線のファミリを示した説明図である。
【図6】スキャンされる被検体に対するX線源の配置の第2の例を示した説明図である。
【図7】与えられた像点を通る測定された線積分のファミリを示した説明図である。
【図8A】切り捨てられたデータからの最小値テーブルを示した説明図である。
【図8B】補正後の最小値テーブルを示した説明図である。
【図9】(A)は、最短測定経路の長さを示す最小値テーブルを示した説明図である。(B)は、L重み付けテーブルを示した説明図である。(C)は、重み付き最小値テーブルを示した説明図である。
【図10】本発明の実施形態を実施するための一例の方法を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態を具体化することのできるコンピュータ・システムのブロック図である。
【符号の説明】
【0087】
1…ガントリ、2…回転リング、3…X線源、4…X線フィルタ、5…2次元アレイタイプのX線検出器、6…プラットフォーム、スライディング・シート、7…高電圧発生器、8…X線コントローラ、9…ガントリ/ベッド・コントローラ、10…システム・コントローラ、11…データ収集ユニット、12…再構成処理ユニット、14…ディスプレイ・デバイス、1201…コンピュータ・システム、1202…バス、1203…プロセッサ、1204…メイン・メモリ、1205…読み出し専用メモリ(ROM)、1206…ディスク・コントローラ、1207…磁気ハードディスク、1208…リムーバブル・メディア・ドライブ、1209…ディスプレイ・コントローラ、1210…ディスプレイ、1211…キーボード、1212…ポインティング・デバイス、1213…通信インターフェース、1214…ネットワーク・リンク、1215…ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、1216…通信ネットワーク、1217…モバイル・デバイス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、断層画像再構成処理に関わるサイノグラムを完成する方法、装置、記憶媒体及びプログラムに関する。より詳細に述べれば、本発明は、部分的に切り捨てられた(未測定)のサイノグラムを完成するための新しい方法に係り、測定されたデータ内の補間に基づいて未測定のデータを推定することによってスキャニング・デバイスの視野を実質的に拡張する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、サイノグラムは、全投影角からのプロファイルデータをチャンネル方向と投影角方向(プロジェクション方向ともいう)との2次元に展開することによって生成される。サイノグラムの切り捨て(未測定、データ欠落ともいう)は、断層画像再構成における共通の問題である。サイノグラムの切り捨ては、被検体の一部分がスキャニング・デバイスの視野(視野FOV)の外側に存在するときに生じる。図1Aは、スキャン視野FOVsの外に延びる被検体の例を示している。図1Aに示されているとおり、人間の被検体の胴体はスキャン視野FOVs内にあるが、被検体の腕は拡張視野FOVe内にある。図1Bは、結果として得られるデータの切り捨てを示している。サイノグラムの切り捨ての影響を受ける応用には、PET/CT、放射線治療プランニング、C−アームと大きな患者のCTがある。たとえばPET/CTにおいては、一般にCTの視野FOVがPETの視野FOVより小さく、それが不正確な補正を招くことがある。
【0003】
放射線治療プランニングにおいては、患者が特定の態様で平床上に配置される必要があり、視野FOV内に患者を維持することは困難である。問題は、患者がスキャニング・デバイスの視野FOVの外に延びるときに生じる。たとえば放射線治療プランニングにおいては、腫瘍を通る各放射線に沿って減衰が計算される。伝統的な画像再構成方法が信頼性をもって視野FOVの外の画像を再構成し得ないことから、サイノグラムが計算されるときには治療プランニングがより精度の低いものとなる。
【0004】
サイノグラムの切り捨てを回避する1つの方法は、より大きな視野FOVをカバーするスキャニング・デバイスを再設計することである。しかしながらこのタイプのハードウエア解決策はコストが極端に高く、またデータ生成時間がより長くなる。別のハードウエア解決策は、検出器が拡張視野FOVeをカバーするように検出器を一方の側にシフトすることである。しかしながらこのタイプのハードウエア解決策は、既存のスキャニング・デバイスを用いた場合には不可能であり、将来のシステムにおいても望まれないと見られる。
【0005】
今日使用されている商用CTのほとんどは、投影データ(すなわちサイノグラム)内におけるデータの切り捨てに非常に敏感なフィルタ付き逆投影(FBP)アルゴリズムを使用する。切り捨ての位置においては、データ値に鋭い落ち込みが存在する。FBPで使用される傾斜コンボリューションは、切り捨てのエッジにおいてデータ値の『爆発』を招き、結果としてそれがサイノグラム内の切り捨てられたエッジの近傍に現れるアーティファクトをもたらす。その種のアーティファクトは、伝播して画像品質を大きく低下させる。
【非特許文献1】アレクサンダー・A.ザミャチン(Alexander A.Zamyatin)、マイケル・D.シルバー(Michael D.Silver)、とサトル・ナカニシ(Satoru Nakanishi)著、「エクステンション・オブ・ザ・リコンストラクション・フィールド−オブ−ビュー・ユージング・サイノグラム・デコンポジション(Extension of the reconstruction field−of−view using sinogram decomposition)」、プロシーディングス・SPIE・メディカル・画像ング、フィジクス・オブ・メディカル・画像ング6142(Proceedings SPIE Medical Imaging、 Physics of Medical Imaging 6142)への提出物、2006年4月、M.J.フリン/J.フシェー(M.J.Flynn/J.Hsieh)編集、p.717−724
【非特許文献2】アレクサンダー・A.ザミャチン(Alexander A.Zamyatin)とサトル・ナカニシ(Satoru Nakanishi)著、「エクステンション・オブ・ザ・リコンストラクション・フィールド・オブ・ビュー・アンド・トランケーション・コレクション・ユージング・サイノグラム・デコンポジション(Extension of the reconstruction field of view and truncation correction using sinogram decomposition)」、フィジクス・イン・メディスン・アンド・バイオロジー・ジャーナル(Physics in Medicine and Biology Journal)への提出物
【非特許文献3】R.キチャリャ(R.Chityalya)、K.R.ホフマン(K.R.Hoffman)、S.ルディン(S.Rudin)、とD.R.ベドナレク(D.R.Bednarek)著、本件出願と同時に提出、プロシーディングス・SPIE・メディカル・画像ング、画像・プロセッシング5747(Proceedings SPIE Medical Imaging、 Image Processing 5747)、2005年4月、p.2110−2117
【非特許文献4】エフゲニィ・クレスチャニコフ(Evgeny Krestyannikov)とウラ・ルオツァライネン(Ulla Ruotsalainen)著、「クオンティテイティブリィ・アキュレートデータ・リカバリ・フロム・アテニュエイション−コレクテッド・サイノグラム・ユージング・フィルタリング・オブ・シヌソイダル・トラジェクトリ・シグナルズ(Quantitatively Accurate Data Recovery from Attenuation−Corrected Sinogram Using Filtering of Sinusoidal Trajectory Signals)」、カンファレンス・レコード・オブ・IEEE・メディカル・画像ング・カンファレンセズ(Conf.Rec.of IEEE Medical Imaging Conferences)、ローマ、2004年
【非特許文献5】エフゲニィ・クレスチャニコフ(Evgeny Krestyannikov)、アンティ・ハポネン(Antti Happonen)、とウラ・ルオツァライネン(Ulla Ruotsaliainen)著「ノイズ・モデルズ・フォア・シヌソイダル・トラジェクトリーズ・コンポージング・サイノグラムデータ・イン・ポシトロン・エミッション・トモグラフィ(Noise Models for Sinusoidal Trajectories Composing Sinogram Data in Positron Emission Tomography)」、プロシーディングス・オブ・ザ・6th・ノルディック・シグナル・プロセッシング・シンポジウム−−NORSIG 2004(Proceedings of the 6th Noridc Signal Processing Symposium−−NORSIG 2004)、フィンランド、エスポー、2004年6月9−11日
【非特許文献6】フランシスコ・J.カラメロ(Francisco J.Caramelo)、ヌーノ・C.フェレイラ(Nuno C.Ferreira)、ルイ・ファゼンデイロ(Luis Fazendeiro)、とカタリナ・ソウト(Catarina Souto)著、「画像・リコンストラクション・バイ・サイノグラム・デコンポジション・イントゥ・シヌソディアル・カーブズ(Image Reconstruction by Sinogram Decomposition into Sinusodial Curves)」、カンファレンス・レコード・オブ・ザ・8th・インターナショナル・ミーティング・オン・フーリィ・3D・画像・リコンストラクション・イン・ラジオロジィ・アンド・ニュークレア・メディスン(Conf.Rec.of the 8th Intl.Meeting on Fully 3D Image Reconstruction in Radiology and Nuclear Medicine)、米国、ユタ州、ソルトレークシティ、2005年7月、p.55−59
【非特許文献7】B.オーネソージ(B.Ohnesorge)、T.フロール(T.Flohr)、K.シュワルツ(K.Schwartz)、J.P.ハイケン(J.P.Heiken)、とK.T.ビー(K.T.Bae)著、「エフィシェント・コレクション・フォア・CT・画像・アーティファクツ・コゥズド・バイ・オブジェクツ・エクステンディング・アウトサイド・ザ・スキャン・フィールド・オブ・ビュー(Efficient Correction for CT Image Artifacts Caused by Objects Extending Outside the Scan Field of View)」、メディカル・フィジクス(Med. Phys.)27(1)、2000年、p.39−46
【非特許文献8】J.フシェー(J.Hsieh)、E.チャオ(E.Chao)、J.チボゥルト(J.Thibault)、B.グレコウィッチ(B.Grecowicz)、A.ホースト(A.Horst)、S.マコーラッシュ(S.McOlash)、とT.J.マイヤーズ(T.J.Myers)著、「ア・ノーベル・リコンストラクション・アルゴリズム・トゥ・エクステンド・ザ・CT・スキャン・フィールド・オブ・ビュー(A Novel Reconstruction Algorithm to Extend the CT Scan Field of View)」、メディカル・フィジクス(Med. Phys.)31、2004年、p2385−2391
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、スキャニング・デバイスの視野外の投影データを高精度で推定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1局面は、スキャニング・デバイスの視野外の拡張投影データを推定するための方法において、前記スキャニング・デバイスにより被検体をスキャンすることによって投影データを収集し、前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択し、前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定し、前記サイノグラム曲線各々に対する寄与値を、前記測定された投影データに基づいて決定し、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを、前記決定した寄与値に基づいて計算する方法を提供する。
本発明の第2局面は、スキャニング・デバイスの視野外の投影データを推定するための装置であって、前記スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって、投影データを測定する手段と、前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、前記決定された寄与値に基づいて、前記選択された投影角とファン角に関する前記拡張投影データを計算する手段とを具備する装置を提供する。
本発明の第3局面は、スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって投影データを測定する手段と、前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、前記決定した寄与値に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する手段とをコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
本発明の第4局面は、被検体をスキャンすることによって投影データを測定するために構成されたスキャニング・デバイスと、前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する選択ユニットと、プロセッサとを具備し、前記プロセッサは、前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定し、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を、前記測定された投影データに基づいて決定し、前記決定した寄与値に基づいて、前記選択された投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する装置を提供する。
本発明の第5局面は、スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって投影データを測定する手段と、前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、前記決定した寄与値に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する手段とをコンピュータに実現させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スキャニング・デバイスの視野外の投影データを高精度で推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
ここで使用される変数とパラメータを以下の通り定義する。
視野FOV 視野
x=(x1,x2) 直交座標による像点
x=(rx,βx) 極座標による像点
μ(x) 再構成されることになる減衰関数
R X線管のX線焦点の軌跡の半径
Γ 扇形アパーチュア/開口の半値
γ 可変ファン角度(FA)、−Γ≦γ≦Γ
β 投影(ソース)角
y=(R cosγ,R sinγ) 螺旋軌跡の等式
rγ γに対応する半径、rγ=arcsin(rγ/R)
g(β,γ) サイノグラムの形式の扇形ビームデータ
S(rx,βx) サイノグラム曲線(S曲線)
視野FOVs スキャン視野(測定視野)
視野FOVe 拡張視野
r0 スキャン視野FOVsの半径
rmax 拡張視野FOVeの半径
Γ0 スキャン視野FOVsのFA
Γmax 拡張視野FOVeのFA
図面においては、類似の参照番号はいくつかの図面を通じて同一もしくは対応する部品を示しており、ここで図2を参照すると、本発明の方法によって処理されるデータの生成に使用することのできるX線コンピュータ断層撮影画像ング・デバイスが示されている。しかしながら本発明は、PET(陽電子放射断層撮像法)、SPECT(単光子放射型コンピュータ断層撮影法)、ならびにPET/CTとSPECT/CTといったマルチモダリティ応用とともに使用することもできる。
【0010】
ガントリ1によって構成される投影データ測定システムは、X線束の扇形ビームを生成するX線源3と、2次元アレイタイプのX線検出器5とを収容しており、この検出器は、検出器エレメントの2次元状配列、すなわち複数のエレメントが1次元に配列され、それが複数行にスタックされた配列を有する。X線源3と2次元アレイタイプのX線検出器5は、回転リング2上に取り付けられ、寝台のスライディング・シートまたはプラットフォーム6上に横たわる被検体を挟んで対向する。2次元アレイタイプのX線検出器5は、回転リング2上にマウントされる。各検出器エレメントは、1つのチャンネルに対応する。X線源3からのX線は、X線フィルタ4を介して被検体に向けられる。被検体を通過したX線は、2次元アレイタイプのX線検出器5によって電気信号として検出される。
【0011】
X線コントローラ8は、高電圧発生器7にトリガ信号を供給する。高電圧発生器7は、トリガ信号が受信されたタイミングに基づいて高電圧をX線源3に印加する。これがX線源3からX線を放射させる。ガントリ/ベッド・コントローラ9は、ガントリ1の回転リング2の回転とベッドのスライディング・シート6のスライドを同期させてコントロールする。システム・コントローラ10は、全システムのコントロール・センタを構成し、X線コントローラ8とガントリ/ベッド・コントローラ9を、被検体から見たとき、X線源3がいわゆる螺旋スキャニングを実行するように、すなわちX線源が螺旋の経路に沿って移動するようにコントロールする。特に、スライディング・プレートが一定速度で変位する間、回転リング2が一定角速度で連続回転され、X線が連続的に、あるいは一定角度間隔で間欠的にX線源3から放射される。
【0012】
さらに他の実施形態においては、X線源3と検出器2が、スキャンされる被検体が回転する間にわたって静止しているようにできる。
2次元アレイタイプのX線検出器5の出力信号は、それぞれのチャンネルごとにデータ収集ユニット11によって増幅され、ディジタル信号に変換されて投影データが生成される。投影データは、サイノグラムの形式とすることができる。
【0013】
図1Bは、上記のデバイスによって生成される一例のサイノグラムを示している。この特定のサイノグラムは、その一部分が、正弦波曲線内の途切れまたはギャップによって示されるとおり欠落している(未測定の状態になっている)。切り捨てられたサイノグラムのスキャン視野FOVsの外側部分のデータが欠落である。
【0014】
データ収集ユニット11から出力された投影データは、再構成処理ユニット12に供給される。再構成処理ユニット12は、測定された投影データ(g、サイノグラムの形式の扇形ビームデータ)を使用して、スキャン中の被検体のスキャン視野FOVsの外側に延びている部分についての減衰関数を推定する(拡張投影データの推定)。欠落部分に対応する推定される投影データ(拡張投影データ)は、推定後の減衰関数の値を使用することによって生成される。減衰関数の再構成に使用されるアルゴリズムについては後述する。
【0015】
追加の実施形態においては、再構成処理ユニット12が、再構成後の減衰関数の値を基礎とする拡張投影データを使用して各ボクセル内におけるX線吸収を反映する逆投影データを求める。再構成処理ユニット12は、この画像ング領域内に複数のボクセルを定義し、各ボクセルについて逆投影データを見つけ出す。
【0016】
この逆投影データを使用することによってコンパイルされた3次元画像データまたは断層撮影画像データがディスプレイ・デバイス14に送られ、そこで視覚的に、3次元画像(3D画像)データまたは断層撮影画像として表示される。
【0017】
3D画像を生成する螺旋スキャンは、本発明の一実施形態に過ぎない。別の実施形態に、2次元画像(2D画像)だけを生成する円周スキャンがある。
【0018】
本発明の一実施形態においては、未測定の投影データ(減衰データ)が測定された投影データを使用して推定される。本実施形態は、サイノグラム分解を基礎とする。サイノグラム曲線と像点の間には1対1の対応が存在する。いくつかの像点xがスキャン視野FOVsの外に位置する場合には、このスキャン視野FOVsの外に位置する像点xについてのサイノグラム曲線(単にs曲線ともいう)のほとんどをサイノグラムから生成することが可能になる。
【0019】
従来の補外法とは対照的に、本発明の実施形態はサイノグラム曲線に沿う補間を使用し、未測定の投影データ(減衰データ)を推定する。サイノグラム曲線は、X線源が等角点を中心に回転するとき、いずれかの物点の投影によってトレースされる経路を表す。像点が視野FOVの外の等角点から遠く離れて置かれるとき、そのs曲線が広い範囲のファン角をカバーする。サイノグラム曲線の内側部分は常に測定され、欠落している外側部分を推定する手段を提供する。s曲線に沿うデータの連続性を使用すれば、s曲線の切り捨てられた部分が測定された部分の間において補間され、それによって滑らかなs曲線を完成することが可能になる。
【0020】
図3Aは、スキャン視野FOVsの外の点のためのs曲線が、サイノグラムから、そのサイノグラム内の測定されたデータ間における補間によってどのようにして抽出されるかを示している。測定されたデータの外の点(β,γ)について、(β,γ)を通るs曲線を、測定されたデータ内の部分的なs曲線の間を補間することによって作ることができる。破線は、測定されたデータを表し、完成された正弦曲線(実線の曲線)は補間されたデータを表す。この補間が、(β,γ)を通る各s曲線について反復されることになる。(β,γ)における投影データの生成に必要となるその先の分析について次に考察する。
【0021】
図3Bに、オリジナルの切り捨てられたサイノグラムを示し、本発明の実施形態を使用して復元されたサイノグラムを示している。このように本発明の一実施形態は、サイノグラムの部分(サイノグラムの実測部分)の中心から外側へ移動し、欠落しているサイノグラム曲線の部分を1つずつ埋めていくことを必要とする。
【0022】
切り捨てられたサイノグラムを完成することによってスキャン視野FOVsを拡張視野FOVeに拡張するこの方法は、扇形ビームCTデバイス用に導かれることになる。しかしながら当業者が認識できるとおり、本発明は円周円錐ビームと螺旋扇形ビームと螺旋円錐ビームのCTデバイスに拡張することが可能である。さらに、前述したとおり、デバイスがCTデバイスに限定される必要もない。
【0023】
被検体の投影データ(すなわちサイノグラム)は、図2に例示されているとおりスキャニング・デバイスから生成される。さらに他の実施形態においては、投影データが第1のロケーションにおいて生成され、その先の分析のために第2のロケーションに送信されるようにすることが可能である。
【0024】
本発明の一実施形態は、点ごとのベースで未測定の投影データ(減衰データ)を推定する。生成されたサイノグラムについて、所定の点(投影角とファン角によって定義される)が選択される。図3Aと図5は、未測定のデータに対応する点(β,γ)を示している。
【0025】
選択された投影角とファン角によって定義される選択された点に基づいて、その選択された点を通る複数のサイノグラム曲線が決定される。スキャン視野FOVsの外側の選択された点(β,γ)を通る複数のs曲線が図5に示されている。β軸の両側の平行な2本の破線(γ=250,−250)の間のs曲線上の部分は、s曲線の測定点(実測点)に対応する。破線の外側のs曲線上の部分は、s曲線の測定されない部分に対応する。複数のs曲線が、以下において導くサイノグラム曲線の式を使用して決定される。
【0026】
図4は、CTスキャニング・デバイスの一例の配置を示している。基本的な幾何学を使用することによって、サイノグラム曲線を定義する等式を得ることができる。サイノグラム曲線は、単一の像点xをサイノグラム・ドメイン内に投影することによって得られる。サイノグラム空間においては、各像点が正弦曲線によって表される。
【0027】
図4に示されているとおり、像点xは、その直交座標(x1,x2)もしくは極座標(rx,βx)によって与えられる。X線源(フォーカル・スポット)Sの軌跡は、(R cosγ,R sinγ)によって与えられる。
【0028】
図4に示されている配置の幾何学を使用すれば、ガンマを定義する直交座標を用いる従来の等式、距離に拘束されない等式(すなわちRから独立)、と極座標における等式を導くことができる。γもまた、サイノグラム曲線(またはS曲線)の定義に使用することが可能である。
【0029】
以下にサイノグラムの等式の導出を示す、
tanγ=PA/PS、sinγ=PA/AS
従来の等式
AS=|x−y|={(x1−Rcosβ)2+(x2−Rsinβ)2}1/2
PA=x・(cosβ,sinβ)⊥=x1sinβ−x2cosβ
γ=arcsin(x1sinβ−x2cosβ)/{(x1−Rcosβ)2+(x2−Rsinβ)2}1/2 (1)
距離に拘束されない等式
PS=OS−OP
OP=x・(cosβ,sinβ)=x1cosβ+x2sinβ
γ=arctan(x1sinβ−x2cosβ)/{R−(x1cosβ+x2sinβ)} (2)
極座標における等式
PA=OAsin(β−βx)=rxsin(β−βx)
OP=rxcos(β−βx)
→PS=R−rxcos(β−βx)
γ=arctan{rxsin(β−βx)}/{R−rxcos(β−βx)} (3)
上記の等式(1)、(2)、(3)は、サイノグラム曲線の定義に使用することができる。しかしながら、ここでは極座標形式の等式を使用する。サイノグラム曲線S(rx,βx)は、次の集合表記を使用して定義される。
【0030】
S(rx,βx)={(β,γ)|0≦β<2π,γ=arctan(rxsin(β−βx))/{R−rxcos(β−βx)}} (4)
ここで注意を要するが、各s曲線は、(rx,βx)によって定義される。したがって、これら2つのパラメータをサイノグラム曲線の全ファミリのパラメータ化に使用することができる。さらに特定の点(β,γ)を通るs曲線のファミリは、1つのパラメータだけ、すなわちrxもしくはβxだけを使用してパラメータ化することが可能である。
【0031】
図6は、X線源とスキャン中の被検体の第2の配置を示している。図6に示されているとおり、r(γ)=R sinγであり、曲線ファミリの最小半径である。したがって、パラメータrは、rγ≦r≦rmaxに挟まれ、それにおいてrmaxは、拡張視野FOVeの半径である。
【0032】
スキャンされる被検体上の多くの点(すなわち像点)は、ポイント(β,γ)の値に寄与する。図6は、これらの点のいくつかを示している。P(rγ,βc)は、最小半径rγに対応する点である。M(r,β2)とN(r,β1)は、任意半径r∈[rγ,rmax]に対応する2つの(βcに関して)対称な点である。ここで、β1=βc+θrでありβ2=βc−θrであることに注意を要する。K(rmax,βc−θmax)は、最大半径rmaxに対応する点である。対称な点、すなわちβc+θmaxに対応する点は図示されていない。
【0033】
図6からわかるとおり、次の関係を確立することができる。
βc=−π/2+β+γ
β1=βc+θr
β2=βc−θr
θr=arcos(rγ/r) (5)
上記考察において、パラメータrを独立とし、βxは、rxに従属していた。しかしながら離散的なS曲線のファミリ内においてより一様な分布を達成するためには、パラメータβxを独立にする方がよい。したがって、βxがβc−θmaxからβc+θmaxまで変化する場合にはθmax=arcos(rγ/rmax)、かつ対応するrxが、
rx=R sinγ/sin(γ+β−βx) (6)
となり、これは次のとおりに書き直すことができる。
rx=rγ/cos(βc−βx) (7)
ここで式(4)においてβxをβc−θmaxからβc+θmaxまで変化させ、式(6)もしくは(7)のうちのいずれか一方に従ってrxを選択すると、(β,γ)を含むs曲線S(rx,βx)の1パラメータのファミリを図5に示されるとおりに得ることができる。したがって、スキャン視野FOVsの外の点(β,γ)のための投影データを復元するためには、点(β,γ)を通るすべてのs曲線を使用する必要がある。
【0034】
所定の点(β,γ)は、その所定の点(β,γ)を通るs曲線からの値の重み付け加算値として復元され、次にそれを説明する。
従来から扇形ビーム変換は、直交座標における次式で与えられる。
【数1】
【0035】
これにおいてθは放射線の単位ベクトル、θ=(−cos(β+γ),sin(β,γ))である。したがって式(8)は、次のように書き直すことができる、
【数2】
【0036】
極座標においては、式(8)が次のとおりとなる、
【数3】
【0037】
ここで、dt/dβx=rx/cos(βx−βc)を示すことができる。したがって、次式が得られる。
【数4】
【0038】
これにおいてrx(βx,β,γ)は、式(6)によって与えられ、βcは、式(5)によって与えられる。
【0039】
μ(x)は、いくつかの像点に関する減衰関数を表す。式(8)に示されているとおり、それらの像点のための減衰関数が使用されて投影データg(β,γ)またはサイノグラムが構成される。しかしながらスキャン視野FOVs内のデータだけがサイノグラムの作成に利用可能であり、その結果、サイノグラムの切り捨てが招かれている。
【0040】
μ(x)=μ(rx,βx)が未知のときは、以下の推定が使用される。
【数5】
【0041】
説明の中では、このようなチルダ付きの文字を、「〜μ(rx,βx)」等のように表す。この推定は、対応するサイノグラム曲線、S(rx,βx)上の値を使用して生成される。切り捨てられるs曲線の部分は、s曲線の測定されたの部分の間において(図3Bに示されているとおり)補間され、それによって滑らかなs曲線を完成することが可能になる。〜μ(rx,βx)は、いくつかの方法を通じて生成される。
【0042】
アプローチ1、最小関数を使用する。
【数6】
【0043】
これにおいて、S0(rx,βx)は、S(rx,βx)の測定されたの部分を表す。このアプローチにおいては、サイノグラム曲線S(rx,βx)に沿って最小値が見つけ出され、この値が〜μ(rx,βx)に割り当てられる。また、ノイズ・レベルより低い値は閾値外とすることが可能であり、それによって減衰のない像点を除外することが可能になる。このアプローチは、小さい部品または被検体から離れたサイノグラム点であっても正確に復元できるという利点を有する。その欠点は、境界におけるサイノグラムに整合しないことである。
【0044】
アプローチ2、S(rx,βx)に帰属する測定されたサイノグラムの境界値を使用する。境界値はr=r0に対応し、β座標は、次式によって与えられる。
【0045】
β1=π/2+βc−γ0+θr
β2=π/2+βc−γ0−θr
θr=arccos(r0/rx)
ν1=g(β1,γ0)
ν2=g(β2,γ0)
gbs(β,γ)=(β2−β)ν1/(β2−β1)+(β−β1)ν2/(β2−β1) (13)
なお、β1、β2、θrは、一時変数であり、式(5)のそれらと同一ではない。
【0046】
勾配(Slope)を用いるアプローチ2(図3参照)、
γ01=γ0−dγ
r01=R sinγ01 (14)
β11=π/2+βc−γ01+θr
β21=π/2+βc−γ01−θr
θr=arccos(r01/r) (15)
ν11=g(β11,γ01)
ν21=g(β21,γ01)
Slope1=ν1−ν11
Slope2=ν2−ν21 (16)
gbs(β,γ)=(ν1+Slope1・(γ−γ0))(β−β2)/(β1−β2)+(ν2+Slope2・(γ−γ0))(β1−β)/(β1−β2) (17)
最終的な境界推定gb(β,γ)は、(β,γ)を通るすべてのs曲線に対応するgbs(β,γ)を平均することによって生成される。アプローチ2の利点は、サイノグラムを非常に滑らかに拡張することであり、その結果、境界のエッジ上の切り捨てのアーティファクトが最小に抑えられる。アプローチ2の欠点は、切り捨てられたゾーンの深く(すなわち、γの大きな値)で不正確になることである。
【0047】
アプローチ3、アプローチ1と2の組み合わせを使用する。本発明の別の実施形態においては、切り捨てのエッジ近傍(すなわち、γの小さな値)においてアプローチ2が使用され、切り捨てのエッジから離れたところ(すなわち、γの大きな値)においてアプローチ1が使用されるように境目のぼかしが行われる。したがって、欠落した減衰値のための推定が次式によって与えられる。
【数7】
【0048】
最小値テーブル
最小値テーブル(MVT)を使用して本実施形態の効率を向上させることができる。一例の最小値テーブルを図8Aと8Bに示す。図8Aは、切り捨てられたデータから生成されたMVTを示している。図8Bは、補正後のMVTを示している。本発明の一実施形態においては、最小値テーブルが〜μmin(rx,βx)と[ν1,ν2](rx,βx)のあらかじめ計算された値を含む。さらに別の実施形態においては、最小値テーブルもしくは別のテーブルが、重み付き最小値テーブル(WMVT)〜μmin(rx,βx)、と重み付き境界値テーブル(WBVT)[ν1,ν2](rx,βx)をストアできる。
【0049】
このように、本発明の効率的な具体化においては、〜μmin(rx,βx)と[ν1,ν2](rx,βx)を計算するのではなく、各(rx,βx)のための最小値テーブル内においてそれらの値をルックアップすることが可能である。
【0050】
MVT後処理
生成されたMVTは、修正が必要である。これは、データが切り捨てられていることから、したがってMVTがひずみを受けることから必要となる。特に、切り捨ては、生成されたMVT内に、中心から離れる方向に向けられた追加のピークをもたらす。その種のピークは、補正されなかった場合に被検体の遠い方の側に不鮮明なエッジをもたらす。これらのピークの補正に採用できる方法はいくつも存在する、これは、むしろ信号処理における標準的な問題である。図8Aと8bは、それらのピークがどのようにして補正される必要があるかを例示している。
【0051】
重み付け
重み付けは、再構成される被検体が共通の元を持たない単一点から構成されていないときに必要になる。したがって、実際問題として重み付けは常に必要となる。重み付けは、2つの効果を考慮に入れる必要がある、(1)欠落値g(β,γ)がN個のサイノグラム曲線から復元され、それにおいてNは、概して多くのものに依存する、(2)サンプリング・ピッチΔβx(S曲線のファミリのサンプリング)。g(β,γ)は、サンプリング・サイズに依存するべきでない。したがって、適用される重み付けは、生成された値をサンプリング・ピッチに対して正規化することになる。
【0052】
スキャンされる被検体が、単一点とは異なって幅を有することから、生成された最小推定〜μmin(rx,βx)は、スキャン視野FOVs内に見られるとおり、被検体のもっとも薄い部分を通る積分を表す。スキャンされる被検体が一様な減衰を有すると仮定することによって、このもっとも短い測定された経路の長さLによって〜μmin(rx,βx)が正規化されれば足りることから重み付けが単純化される、〜μ(rx,βx)=〜μmin(rx,βx)/L。
【0053】
図7は、与えられた像点(β,γ)を通る測定されたの線積分のファミリを示している。実線は〜μmin(rx,βx)を表し、Lは、スキャンされる被検体を通る最短の測定された経路として示されている。
【0054】
ここで注意する必要があるが、Lは未知であり、それもまた推定される必要がある。Lは、最小値テーブル(MVT)〜μmin(rx,βx)の使用によって推定することが可能である。図9Aは、MVTからどのようにしてLが推定できるかを示している。図9Bは、Lの重み付けテーブルである。図9Cは、重み付きMVTを示している。Lは、次式のように推定することができる。
【0055】
L=rxsinΔβx/cos(βx−βc) (19)
これにおいてΔβxは、Lの角度スパンである。したがって、式(20)は次の形を取る、
【数8】
【0056】
または
【数9】
【0057】
これにおいてwΔφは、最小値の重みである。
wΔφ=sin(count・ds/2)/2・min_weight_factor
wΔφは、上式によって推定可能であり、countは、放射線上の非ゼロ点の数(もしくは、等価的にこのデータ・ピクセルを通るサイノグラム曲線の数)、min_weight_factorは、分析的な式と生データを整合させるために考慮される。実験的に、次の通りとする。
【0058】
min_weight_factor=0.0085
具体化の例
次に、本発明の一実施形態の一例の具体化について説明する。入力データはg0(β,γ)であり、それにおいては、0≦β<2π、かつ−Γ0≦γ≦Γ0である。このサイノグラムには、切り捨てが生じることになる。出力データは、完全な(すなわち、未測定データの推定によって拡張された)サイノグラム、g(β,γ)であり、それにおいては、0≦β<2π、かつ−Γmax≦γ≦Γmaxである。
【0059】
もっとも外側のループ、すなわち図6に示される拡張視野FOVeは、すべての切り捨てられた(β,γ)の値を含む。簡単のため、一方の側、Γ0<γ≦Γmaxだけについて考察する。他方の側(−Γmax≦γ<−Γ0)は類似に処理される。
【0060】
外側ループの内側において、サイノグラム点(β,γ)が固定される。この点を通るサイノグラム曲線S(rx,βx)のファミリが見つけ出される。すでに述べたとおり、βxは独立したパラメータであり、その結果、βc−θmax≦βx≦βc+θmaxとなり、かつrxがβx、β、とγの関数として見つかる。
【0061】
したがって、中間のループ(図6において半径rを伴うループ)は、βc−θmaxとβc+θmaxの間のβxの値を取り(式(5)参照)、対応するrxが、式(6)もしくは(7)を使用して見つけられる。
【0062】
ここでペア(rx,βx)もまた固定されれば、その寄与、すなわちいずれかの値〜μ(rx,βx)も見つかる。この例においては、最小値テクニックがS関数の範囲を制限することから、それが使用される。次に曲線S(rx,βx)を追いかけて〜μmin(rx,βx)を求める。これは最内側ループ(スキャン視野FOVs)であり、それにおいては、β’が0から2πまで変化し、式(3)を使用してγ’をβ’、βxとrxの関数として求める(プライム『’』は、最外側ループの(β,γ)と区別するために使用されている)。最内側ループの結果は、〜μmin(rx,βx)である。
【0063】
処理速度は、最小値がノイズ閾値より下に落ちるときに最内側ループを出る(分析的なノイズのないシミュレーションにおいては、それがゼロに等しいときに出る)ことによって向上させることができる。〜μmin(rx,βx)=0であれば、μ(rx,βx)=0であると明言することが可能であり、それ自体、有用な結果である。
【0064】
中間ループの最後に、〜μbnd(rx,βx)(境界)、〜μ(rx,βx)を計算し、いずれかの一時変数として(点(β,γ)を通る各s曲線について)すべての利用可能な値を累算する必要がある。
【0065】
最外側ループの最後に、累算している一時変数が欠落データg(β,γ)に割り当てられる。すべての一時変数はここで、あるいは必要時にゼロに戻される。
【0066】
本発明の別の具体化においては、最小値と境界値があらかじめ計算され、したがって最内側ループが回避される。より効率的なこの具体化は、次のように特徴付けされる。
【0067】
予備計算
重み付き最小値テーブル(WMVT)〜μmin(rx,βx)と境界値と勾配テーブル(WBVT)、BVTleft(rx,βx)、SITright(rx,βx)、SITleft(rx,βx)
処理データ、
外側ループ、切り捨てられた(β,γ)について。
内側ループ、S曲線S(rx,βx)について。
(これら2つのループは、前述したとおりの最外側ループと中間ループと同一であり、追加の説明は省略する)。
【0068】
図10は、本発明を具体化するための一例の方法を示している。ステップ702においては、スキャニング・デバイスを使用して投影データが生成される。ステップ704においては、スキャン視野FOVsの外の投影角とファン角が選択される。ステップ706においては、ステップ704において選択された投影角ならびにファン角に基づいて、異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線が決定される。これらの複数のサイノグラム曲線は、ステップ704において選択された点を通る。ステップ708においては、これら複数の曲線のそれぞれについての寄与値が、測定されたデータに基づいて、複数の曲線のうちの少なくとも1つに沿って測定されたデータ内の補間を行うことによって決定される。ステップ710においては、測定されたデータの最小値と境界値を含むテーブルがストアされる。ステップ712においては、選択されたデータとステップ704において選択されたファン角に対応する投影データが、複数の曲線からの寄与の重み付き合計に基づいて決定された寄与値に基づいて計算される。
【0069】
図11は、本発明の実施形態を具体化することのできるコンピュータ・システム1201を例示している。コンピュータ・システム1201は、バス1202もしくはそのほかの情報を通信するための通信メカニズム、とバス1202に結合されて情報を処理するためのプロセッサ1203を含む。またコンピュータ・システム1201は、バス1202に結合された、情報とプロセッサ1203によって実行されることになるインストラクションをストアするためのメイン・メモリ1204、たとえばランダム・アクセス・メモリ(RAM)もしくはそのほかの動的ストレージ・デバイス(たとえば、ダイナミックRAM(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)、と同期DRAM(SDRAM))等を含む。それに加えてメイン・メモリ1204は、一時変数もしくはそのほかの、プロセッサ1203によるインストラクションの実行間における中間情報をストアするために使用されることがある。コンピュータ・システム1201は、さらに、読み出し専用メモリ(ROM)1205もしくはそのほかのバス1202に結合された静的情報とプロセッサ1203用のインストラクションをストアするための静的ストレージ・デバイス(たとえば、プログラマブルROM(PROM)、消去可能なPROM(EPROM)、と電気的に消去可能なPROM(EEPROM))を含む。
【0070】
コンピュータ・システム1201はまた、バス1202に結合されたディスク・コントローラ1206を含み、それが、磁気ハードディスク1207、とリムーバブル・メディア・ドライブ1208(たとえば、フロッピー(登録商標)ディスク・ドライブ、読み出し専用コンパクト・ディスク・ドライブ、読み出し/書き込みコンパクト・ディスク・ドライブ、コンパクト・ディスク・ジュークボックス、テープ・ドライブ、とリムーバブル光磁気ドライブ)等の情報とインストラクションをストアするための1ないしは複数のストレージ・デバイスをコントロールする。これらのストレージ・デバイスは、適切なデバイス・インターフェース(たとえば、スモール・コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)、インテグレーテッド・デバイス・エレクトロニクス(IDE)、エンハンスド−IDE(E−IDE)、ダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)、またはウルトラ−DMA)を使用してコンピュータ・システム1201に追加することができる。
【0071】
コンピュータ・システム1201が、専用論理デバイス(たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC))または構成可能論理デバイス(たとえば、シンプル・プログラマブル論理デバイス(SPLD)、コンプレックス・プログラマブル論理デバイス(CPLD)、とフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA))を含むこともある。
【0072】
またコンピュータ・システム1201は、コンピュータ・ユーザに情報を表示するための陰極線管(CRT)等のディスプレイ1210をコントロールするためのバス1202に結合されたディスプレイ・コントローラ1209を含むこともある。このコンピュータ・システムは、キーボード1211とポインティング・デバイス1212等の、コンピュータ・ユーザとのインタラクションならびにプロセッサ1203への情報の提供のための入力デバイスを含む。ポインティング・デバイス1212は、方向情報とコマンドの選択をプロセッサ1203に伝えるため、とディスプレイ1210上のカーソルの動きをコントロールするための、たとえばマウス、トラックボール、またはポインティング・スティック等とすることができる。それに加えてプリンタが、コンピュータ・システム1201によってストアされ、かつ/または生成されたデータのリスティングのプリントを提供することができる。
【0073】
コンピュータ・システム1201は、メイン・メモリ1204等のメモリ内に含まれている1ないしは複数のインストラクションの1ないしは複数のシーケンスを実行するプロセッサ1203に応じて、本発明の処理ステップの一部もしくは全部を実行する。この種のインストラクションは、ハードディスク1207もしくはリムーバブル・メディア・ドライブ1208等の別のコンピュータ可読メディアからメイン・メモリ1204内に読み込むことができる。マルチ−プロセッサ構成内の1ないしは複数のプロセッサを、メイン・メモリ1204内に含まれているインストラクションのシーケンスの実行に使用することもできる。代替実施形態においては、ハード−ワイヤード回路をソフトウエア・インストラクションに代えて、あるいはそれとともに使用することができる。したがって実施形態は、ハードウエア回路とソフトウエアのいずれかの特定の組み合わせに限定されない。
【0074】
前述したとおりコンピュータ・システム1201は、本発明の教示に従ってプログラムされたインストラクションを保持するため、とデータ構造、テーブル、レコード、あるいはそのほかのここで述べているデータを収めるための少なくとも1つのコンピュータ可読メディアまたはメモリを含んでいる。コンピュータ可読メディアの例としては、コンパクト・ディスク、ハードディスク、フロッピーディスク、テープ、光磁気ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、もしくはそのほかの任意の磁気メディア、コンパクト・ディスク(たとえばCD−ROM)、もしくはそのほかの任意の光学メディア、鑽孔カード、紙テープ、あるいはそのほかの孔のパターンを伴う物理メディア、搬送波(後述)、またはそのほかのコンピュータが読み取ることのできる任意のメディアが挙げられる。
【0075】
本発明は、コンピュータ可読メディアの任意の1つもしくはその組み合わせの上にストアされた、コンピュータ・システム1201をコントロールするため、本発明を具体化するための1ないしは複数のデバイスをドライブするため、とコンピュータ・システム1201による人間のユーザ(たとえば、プリント製作要員)とのインタラクションを可能にするためのソフトウエアを含む。その種のソフトウエアには、限定の意図はないが、デバイス・ドライバ、オペレーティング・システム、開発ツール、とアプリケーション・ソフトウエアを含めることができる。その種のコンピュータ可読メディアは、さらに、本発明の具体化において実行される処理の全部もしくは一部(処理が分散されている場合)を行うための本発明のコンピュータ・プログラム・プロダクトを含む。
【0076】
本発明のコンピュータ・コード・デバイスは、任意の翻訳可能もしくは実行可能コード・メカニズムとすることができるが、それには、限定の意図ではなく、スクリプト、翻訳可能プログラム、ダイナミック・リンク・ライブラリ(DLL)、ジャバ(Java(登録商標))クラス、と完全な実行可能プログラムが含まれる。さらに、本発明の処理の部分を、より良好なパフォーマンス、信頼性、と/またはコストのために分散させることもできる。
【0077】
ここで用いられる『コンピュータ可読メディア』という表現は、プロセッサ1203に対する実行のためのインストラクションの提供に関係する任意のメディアをいう。コンピュータ可読メディアは、任意の形式を取ることができ、限定の意図はないが、不揮発性メディア、揮発性メディア、と伝送メディアが含まれる。不揮発性メディアには、たとえばハードディスク1207もしくはリムーバブル・メディア・ドライブ1208等の光学、磁気ディスク、と光磁気ディスクが含まれる。揮発性メディアには、メイン・メモリ1204等の動的メモリが含まれる。伝送メディアには、バス1202を構成するワイヤを含め、同軸ケーブル、銅線、と光ファイバが含まれる。伝送メディアは、無線波と赤外線データ通信の間に生成されるような音響または光の形式を取ることもある。
【0078】
種々の形式のコンピュータ可読メディアは、プロセッサ1203に対する実行のための1ないしは複数のインストラクションの1ないしは複数のシーケンスの実行に関係することがある。たとえばインストラクションが、最初にリモート・コンピュータの磁気ディスク上において運ばれることがある。このリモート・コンピュータは、本発明のすべてもしくは一部を具体化するためのインストラクションを動的メモリ内にリモートでロードし、そのインストラクションを、モデムを使用し、電話回線を介して送信することができる。コンピュータ・システム1201にローカルのモデムは、電話回線からデータを受信し、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。バス1202に結合されている赤外線受信機は、赤外線信号に含まれて搬送されるデータを受信し、そのデータをバス1202上に置く。バス1202は、そのデータをメイン・メモリ1204に運び、そこからプロセッサ1203がインストラクションを検索して実行する。メイン・メモリ1204によって受け取られたインストラクションは、オプションとして、プロセッサ1203による実行の前もしくは後のいずれかにおいてストレージ・デバイス1207または1208上にストアすることができる。
【0079】
コンピュータ・システム1201は、バス1202に結合された通信インターフェース1213も含む。この通信インターフェース1213は、たとえばローカル・エリア・ネットワーク(LAN)1215あるいはそのほかの、インターネット等の通信ネットワーク1216に接続されるネットワーク・リンク1214と結合して2方向データ通信を提供する。たとえば通信インターフェース1213は、任意のパケット切り替えLANに取り付けられるネットワーク・インターフェース・カードとすることができる。別の例としては、通信インターフェース1213を非同期ディジタル加入者回線(ADSL)カード、総合ディジタル通信網サービス(ISDN)カード、またはモデムとして対応するタイプの通信回線へのデータ通信接続を提供することができる。ワイヤレス・リンクを具体化することもできる。その種の具体化のいずれにおいても通信インターフェース1213が、種々のタイプの情報を表すディジタルデータ・ストリームを運ぶ電気的、電磁気的、あるいは光学信号を送受する。
【0080】
ネットワーク・リンク1214は、一般に1ないしは複数のネットワークを介して別のデータ・デバイスに対するデータ通信を提供する。たとえばネットワーク・リンク1214は、ローカル・ネットワーク1215(たとえばLAN)を介して、あるいは通信ネットワーク1216を介して通信サービスを提供するサービス・プロバイダによって運用される装置を介して別のコンピュータに対する接続を提供することができる。ローカル・ネットワーク1214と通信ネットワーク1216は、ディジタルデータ・ストリームを運ぶ、たとえば電気、電磁気、あるいは光信号と関連物理レイヤ(たとえば、CAT5ケーブル、同軸ケーブル、光ファイバ等)を使用する。種々のネットワークを通る信号、とネットワーク・リンク1214上ならびに、コンピュータ・システム1201へ、とそこからディジタルデータを運ぶ通信インターフェース1213を介した信号は、ベースバンド信号もしくは搬送波ベースの信号として具体化することができる。ベースバンド信号は、ディジタルデータを、ディジタルデータ・ビットのストリームを記述する無変調電気パルスとして運ぶが、それにおいて『ビット』という表現は、広く記号を意味するものと解釈されるべきであり、各記号は、少なくとも1つもしくは複数の情報ビットを運ぶ。ディジタルデータは、振幅、位相、と/または周波数シフト・キーイング信号の場合のように搬送波を変調するために使用されることもあり、それが導体メディアを介して伝播し、あるいは電磁波として伝播媒体を介して送信される。したがって、ディジタルデータは、無変調ベースバンドデータとして『有線』通信チャンネルを介して送信されるか、かつ/またはベースバンドとは異なるあらかじめ決定済みの周波数帯内において搬送波を変調することによって送信されることがあり得る。コンピュータ・システム1201は、プログラム・コードを含めたデータを、ネットワーク(1ないしは複数)1215と1216、ネットワーク・リンク1214、と通信インターフェース1213を介して送受することができる。さらにネットワーク・リンク1214は、LAN 1215を介して、携帯情報端末(PDA)ラップトップ・コンピュータ、あるいは携帯電話等のモバイル・デバイス1217に対する接続を提供することができる。
【0081】
本発明のすべての実施形態は、コンピュータ技術の当業者には明らかなとおり、本発明の教示に従ってプログラムされた従来の汎用コンピュータまたはマイクロプロセッサを使用して都合よく具体化することができる。適切なソフトウエアは、ソフトウエア技術の当業者には明らかであろうが、この開示の教示に基づき、この分野の通常の知識を有するプログラマによって容易に準備することができる。より詳細に述べればコンピュータ・ハウジングは、CPU、メモリ、とそのほかのオプションの専用論理デバイス(たとえばASIC)または構成可能な論理デバイス(たとえば、GALと再プログラム可能FPGA)を包含するマザーボードを収容することができる。またコンピュータは、複数の入力デバイス(たとえば、キーボードとマウス)、とモニタをコントロールするためのディスプレイ・カードも含む。それに加えてコンピュータは、適切なデバイス・バス(たとえば、SCSIバス、エンハンスドIDEバス、またはウルトラDMAバス)を使用して接続されたフロッピーディスク・ドライブ、そのほかのリムーバブル・メディア・デバイス(たとえば、コンパクト・ディスク、テープ、とリムーバブル光磁気メディア)、とハードディスクもしくはそのほかの固定高密度メディア・デバイスも含むことができる。さらにコンピュータは、同一のデバイス・バスもしくは別のデバイス・バスに接続することのできるコンパクト・ディスク・リーダ、コンパクト・ディスク・リーダ/ライタ・ユニット、またはコンパクト・ディスク・ジュークボックスも含むことができる。
【0082】
本発明は、上記の、もしくはそのほかのコンピュータ可読メディアの任意の1つもしくはその組み合わせにストアされた、コンピュータのハードウエアをコントロールするため、とコンピュータによる人間のユーザとのインタラクションを可能にするためのソフトウエアを含む。その種のソフトウエアには、限定の意図はないが、デバイス・ドライバ、オペレーティング・システム、と開発ツール等のユーザ・アプリケーションを含めることができる。本発明のコンピュータ・プログラム・プロダクトは、コンピュータによる実行時に当該コンピュータに本発明の方法を実行させるコンピュータ・プログラム・インストラクションをストアする任意のコンピュータ可読メディア(たとえば、コンピュータ・コード・デバイス)を含む。本発明のコンピュータ・コード・デバイスは、任意の翻訳可能もしくは実行可能コード・メカニズムとすることができるが、それには、限定の意図ではなく、スクリプト、インタプリタ、ダイナミック・リンク・ライブラリ、ジャバ(Java)クラス、と完全な実行可能プログラムが含まれる。さらに、本発明の処理の部分を、より良好なパフォーマンス、信頼性、と/またはコストのために(たとえば、(1)複数CPU間、または(2)少なくとも1つのCPUと少なくとも1つの構成可能な論理デバイスの間において)分散させることもできる。たとえば、第1のコンピュータ上において輪郭または画像が選択され、リモート診断のために第2のコンピュータに送信されるといったことが考えられる。
【0083】
また本発明は、当業者には容易に明らかとなろうが、特定用途向け集積回路を用意することによって、あるいは従来のコンポーネント回路の適切なネットワークの相互接続によって具体化することもできる。
【0084】
さらに本発明への画像データのソースは、X線装置またはCT装置等の任意の適切な画像取り込みデバイスとすることができる。取り込まれたデータは、ディジタル形式になっていなければディジタル化することができる。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1A】スキャン視野FOVsの外に延びる被検体の例を示した説明図である。
【図1B】図1Aから結果としてもたらされるデータの切り捨てを示した説明図である。
【図2】スキャニング・デバイスの一例を示したブロック図である。
【図3A】補間されるデータを伴う一例のサイノグラム曲線を示した説明図である。
【図3B】切り捨てられたサイノグラムと完成されたサイノグラムの間の比較の一例を示した説明図である。
【図4】スキャンされる被検体に対するX線源の配置の第1の例を示した説明図である。
【図5】未測定データの点に対応するサイノグラム空間内の点を通るサイノグラム曲線のファミリを示した説明図である。
【図6】スキャンされる被検体に対するX線源の配置の第2の例を示した説明図である。
【図7】与えられた像点を通る測定された線積分のファミリを示した説明図である。
【図8A】切り捨てられたデータからの最小値テーブルを示した説明図である。
【図8B】補正後の最小値テーブルを示した説明図である。
【図9】(A)は、最短測定経路の長さを示す最小値テーブルを示した説明図である。(B)は、L重み付けテーブルを示した説明図である。(C)は、重み付き最小値テーブルを示した説明図である。
【図10】本発明の実施形態を実施するための一例の方法を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態を具体化することのできるコンピュータ・システムのブロック図である。
【符号の説明】
【0087】
1…ガントリ、2…回転リング、3…X線源、4…X線フィルタ、5…2次元アレイタイプのX線検出器、6…プラットフォーム、スライディング・シート、7…高電圧発生器、8…X線コントローラ、9…ガントリ/ベッド・コントローラ、10…システム・コントローラ、11…データ収集ユニット、12…再構成処理ユニット、14…ディスプレイ・デバイス、1201…コンピュータ・システム、1202…バス、1203…プロセッサ、1204…メイン・メモリ、1205…読み出し専用メモリ(ROM)、1206…ディスク・コントローラ、1207…磁気ハードディスク、1208…リムーバブル・メディア・ドライブ、1209…ディスプレイ・コントローラ、1210…ディスプレイ、1211…キーボード、1212…ポインティング・デバイス、1213…通信インターフェース、1214…ネットワーク・リンク、1215…ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、1216…通信ネットワーク、1217…モバイル・デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャニング・デバイスの視野外の拡張投影データを推定するための方法において、
前記スキャニング・デバイスにより被検体をスキャンすることによって投影データを収集し、
前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択し、
前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定し、
前記サイノグラム曲線各々に対する寄与値を、前記測定された投影データに基づいて決定し、
前記選択した視野外の投影角とファン角に対応する拡張投影データを、前記決定した寄与値に基づいて計算する方法。
【請求項2】
前記寄与値を決定するステップにおいて、前記複数のサイノグラム曲線の少なくとも1つに沿って、前記測定された投影データを補間する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記計算するステップにおいて、前記複数のサイノグラム曲線に関する複数の寄与値の重み付け加算値に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを推定する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記寄与値各々は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値に基づいて決定される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記寄与値各々は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの境界値に基づいて決定される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記寄与値各々は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値と境界値とに基づいて決定される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記測定された投影データの最小値と境界値とを含むテーブルを記憶するステップをさらに備え、
前記テーブル内に含まれるデータを使用して前記推定される拡張投影データを計算する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記境界値は、前記対応するサイノグラム曲線の勾配に基づいて計算される請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記テーブルは、最小値テーブルであり、前記最小値テーブルのピークは丸められる請求項7記載の方法。
【請求項10】
スキャニング・デバイスの視野外の投影データを推定するための装置であって、
前記スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって、投影データを測定する手段と、
前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、
前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、
前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、
前記決定された寄与値に基づいて、前記選択された投影角とファン角に関する前記拡張投影データを計算する手段とを具備する装置。
【請求項11】
スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって投影データを測定する手段と、
前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、
前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、
前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、
前記決定した寄与値に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する手段とをコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
前記寄与値を決定する手段は、前記複数のサイノグラム曲線の少なくとも1つに沿って前記測定された投影データを補間する請求項11記載の記憶媒体。
【請求項13】
前記計算する手段は、前記複数のサイノグラム曲線に対する前記寄与値による重み付き合計に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する前記拡張投影データを計算すること請求項11記載の記憶媒体。
【請求項14】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値に基づいて計算される請求項11記載の記憶媒体。
【請求項15】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの境界値に基づいて計算される請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項16】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値と境界値とに基づいて決定される請求項11記載の記憶媒体。
【請求項17】
前記測定された投影データの最小値と境界値を含むテーブルを記憶する手段をさらに備え、
前記計算する手段は、前記テーブル内に含まれるデータを使用して前記拡張投影データを計算する請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項18】
前記境界値は、前記対応するサイノグラム曲線の勾配に基づいて計算される請求項15記載の記憶媒体。
【請求項19】
前記テーブルは最小値テーブルであり、前記最小値テーブルのピークが丸められる請求項17記載の記憶媒体。
【請求項20】
被検体をスキャンすることによって投影データを測定するために構成されたスキャニング・デバイスと、
前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する選択ユニットと、
プロセッサとを具備し、
前記プロセッサは、
前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定し、
前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を、前記測定された投影データに基づいて決定し、
前記決定した寄与値に基づいて、前記選択された投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する装置。
【請求項21】
前記プロセッサは、さらに、前記複数のサイノグラム曲線の少なくとも1つに沿って前記測定された投影データを補間し、前記寄与値を決定するべく構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記複数のサイノグラム曲線に関する前記寄与値の重み付け加算値に基づいて、前記選択された投影角とファン角に関する前記拡張投影データを計算する請求項20記載の装置。
【請求項23】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値に基づいて計算される請求項20記載の装置。
【請求項24】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの境界値に基づいて計算される請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値と境界値とに基づいて計算される請求項20に記載の装置。
【請求項26】
前記測定された投影データの最小値と境界値を含むテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記プロセッサは、前記テーブル内に含まれるデータを使用して前記拡張投影データを計算する請求項20に記載の装置。
【請求項27】
前記境界値は、前記対応するサイノグラム曲線の勾配に基づいて計算される請求項24記載の装置。
【請求項28】
前記テーブルは最小値テーブルであり、前記最小値テーブルのピークが丸められる請求項26記載の装置。
【請求項29】
スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって投影データを測定する手段と、
前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、
前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、
前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、
前記決定した寄与値に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する手段とをコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項1】
スキャニング・デバイスの視野外の拡張投影データを推定するための方法において、
前記スキャニング・デバイスにより被検体をスキャンすることによって投影データを収集し、
前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択し、
前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定し、
前記サイノグラム曲線各々に対する寄与値を、前記測定された投影データに基づいて決定し、
前記選択した視野外の投影角とファン角に対応する拡張投影データを、前記決定した寄与値に基づいて計算する方法。
【請求項2】
前記寄与値を決定するステップにおいて、前記複数のサイノグラム曲線の少なくとも1つに沿って、前記測定された投影データを補間する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記計算するステップにおいて、前記複数のサイノグラム曲線に関する複数の寄与値の重み付け加算値に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを推定する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記寄与値各々は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値に基づいて決定される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記寄与値各々は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの境界値に基づいて決定される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記寄与値各々は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値と境界値とに基づいて決定される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記測定された投影データの最小値と境界値とを含むテーブルを記憶するステップをさらに備え、
前記テーブル内に含まれるデータを使用して前記推定される拡張投影データを計算する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記境界値は、前記対応するサイノグラム曲線の勾配に基づいて計算される請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記テーブルは、最小値テーブルであり、前記最小値テーブルのピークは丸められる請求項7記載の方法。
【請求項10】
スキャニング・デバイスの視野外の投影データを推定するための装置であって、
前記スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって、投影データを測定する手段と、
前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、
前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、
前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、
前記決定された寄与値に基づいて、前記選択された投影角とファン角に関する前記拡張投影データを計算する手段とを具備する装置。
【請求項11】
スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって投影データを測定する手段と、
前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、
前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、
前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、
前記決定した寄与値に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する手段とをコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
前記寄与値を決定する手段は、前記複数のサイノグラム曲線の少なくとも1つに沿って前記測定された投影データを補間する請求項11記載の記憶媒体。
【請求項13】
前記計算する手段は、前記複数のサイノグラム曲線に対する前記寄与値による重み付き合計に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する前記拡張投影データを計算すること請求項11記載の記憶媒体。
【請求項14】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値に基づいて計算される請求項11記載の記憶媒体。
【請求項15】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの境界値に基づいて計算される請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項16】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値と境界値とに基づいて決定される請求項11記載の記憶媒体。
【請求項17】
前記測定された投影データの最小値と境界値を含むテーブルを記憶する手段をさらに備え、
前記計算する手段は、前記テーブル内に含まれるデータを使用して前記拡張投影データを計算する請求項11に記載の記憶媒体。
【請求項18】
前記境界値は、前記対応するサイノグラム曲線の勾配に基づいて計算される請求項15記載の記憶媒体。
【請求項19】
前記テーブルは最小値テーブルであり、前記最小値テーブルのピークが丸められる請求項17記載の記憶媒体。
【請求項20】
被検体をスキャンすることによって投影データを測定するために構成されたスキャニング・デバイスと、
前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する選択ユニットと、
プロセッサとを具備し、
前記プロセッサは、
前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定し、
前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を、前記測定された投影データに基づいて決定し、
前記決定した寄与値に基づいて、前記選択された投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する装置。
【請求項21】
前記プロセッサは、さらに、前記複数のサイノグラム曲線の少なくとも1つに沿って前記測定された投影データを補間し、前記寄与値を決定するべく構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記複数のサイノグラム曲線に関する前記寄与値の重み付け加算値に基づいて、前記選択された投影角とファン角に関する前記拡張投影データを計算する請求項20記載の装置。
【請求項23】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値に基づいて計算される請求項20記載の装置。
【請求項24】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの境界値に基づいて計算される請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記寄与値は、前記対応するサイノグラム曲線上の前記測定された投影データの最小値と境界値とに基づいて計算される請求項20に記載の装置。
【請求項26】
前記測定された投影データの最小値と境界値を含むテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記プロセッサは、前記テーブル内に含まれるデータを使用して前記拡張投影データを計算する請求項20に記載の装置。
【請求項27】
前記境界値は、前記対応するサイノグラム曲線の勾配に基づいて計算される請求項24記載の装置。
【請求項28】
前記テーブルは最小値テーブルであり、前記最小値テーブルのピークが丸められる請求項26記載の装置。
【請求項29】
スキャニング・デバイスを用いて被検体をスキャンすることによって投影データを測定する手段と、
前記スキャニング・デバイスの視野外の投影角とファン角を選択する手段と、
前記選択した投影角とファン角に基づいて、前記被検体内の異なる像点に対応する複数のサイノグラム曲線を決定する手段と、
前記測定された投影データに基づいて、前記サイノグラム曲線各々に関する寄与値を決定する手段と、
前記決定した寄与値に基づいて、前記選択した投影角とファン角に関する拡張投影データを計算する手段とをコンピュータに実現させるためのプログラム。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−296352(P2007−296352A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120161(P2007−120161)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]