説明

サウンダーの防水構造

【課題】携帯無線電話機等で使用する着信表示としてのサウンダーの防水を考慮した工事性良く、安価な取付構造を提供する。
【解決手段】スリット7が形成され且つ内面にリブ2を有している筐体1と、音孔9を形成するサウンダー5との間に密着用ゴムリング3a,3bを密着させて挟み込む。十分な厚さがあって中央に孔8を有する2つの密着用ゴムリング3a,3bの間には防水シート4が挟み込まれており、この防水シート4はサウンダー5から発生する音を空気の振巾として受け、自由に振動し得る。簡易な構造で工事性良く、安価でかつ音圧を十分に得られる防水構造とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はサウンダーの防水構造に関し、特に携帯無線電話等のサウンダーの防水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の防水構造としては、図4に示すようなものがある。この従来例では、筐体13に設けたマイクリブ14には背面にマイク17を収納する収納凹所18が形成してあり、マイクリブ14内には、前面の外周に沿った突条19を形成しているマイクゴム16が配置され、マイクリブ14内にビニールシート15を挟んでマイク17を収納したマイクゴム16を押し込み、マイク17を固定することでマイク17部の防水を施すようにしてある(例えば、特開平3−112242号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この従来の防水構造では、構造が複雑なうえ、大がかりなものとなっていた。また、マイクリブ14内に防水用のビニールシート15を挟んでマイク17を収納したマイクゴム16を押し込み、マイク17を固定しているため、マイクリブ14内に押し込む手間がかかり、またビニールシート15をマイクリブ14とマイクゴム16で挟むため、防水のためのビニールシート15が正確に取り付けられず、しわがよってしまう等の問題点があった。
【0004】また、簡易化を図る目的で筐体の前面に直接防水シートを取り付けた構造のものが考えられるが、この方法では、防水シートが筐体に挟み込まれて充分に振幅できない為、音響抵抗が大きくなり、サウンダーの様な大きな音量を必要とする取付け構造には適していない。
【0005】本発明の目的は、簡易な構造で工事も行い易く、しかも音圧が低下しないサウンダーの防水構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のサウンダーの防水構造は、携帯無線電話において放音孔を有する筐体の内部に収納された着信表示としてのサウンダーと、このサウンダーの前面に取り付けた第1の密着用ゴムリングと、この第1の密着用ゴムリングの前面を覆う防水シートと、この防水シートの前面に取り付けた第2の密着用ゴムリングとを有し、この第2の密着用ゴムリングの前面を前記筐体の前記放音孔の部分に密着させるようになっている。
【0007】このサウンダーの防水構造において、前記筐体の内面の前記放音孔の周囲に前記第1および第2の密着用ゴムリングを押圧するリブが設けられているか、或いは前記第2の密着用ゴムリングが前記筐体の前記放音孔の部分に直接に接着されるようになっており、また前記防水シートがビニールシートからなっているか、或いは前記防水シートが不織布(テフロン系)からなっている。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明につて図面を参照して説明する。
【0009】図1は本発明の第1の実施の形態を示す(a)は断面図、(b)は斜視図であり、図2はこの実施の形態の主要構成を示す分解斜視図である。
【0010】図1および図2に示すように、本発明の第1の実施の形態は、着信表示としてのサウンダー5を収納している携帯無線電話(一体型)20aの筐体1に、放音孔としてのスリット7が形成され、一方、音孔9を有するサウンダー5が筐体1内のプリント板6上に搭載されている。サウンダー5がプリント板6に対して正位置で取り付けられているので、このサウンダー5を上から押しておさえるためのリブ2が、筐体1のスリット7の周囲の内面に形成されている。リブ2とサウンダー5の間に、弾力性のある密着用ゴムリング3a,3bおよび防水シート4が設けられる。即ち、防水シート4を挟み込んだ2つの密着用ゴムリング3a,3bを、筐体1のリブ2によって押しつつサウンダー5との間に固定することにより、この実施例が構成される。なお防水シート4は、ビニールシートからなっている。
【0011】このように、リブ2によって密着用ゴムリング3a,3bを固定する構成の第1の実施の形態において、2つの密着用ゴムリング3a,3bの中央には孔8が形成されていて、かつ2つの密着用ゴムリング3a,3bには十分な厚さがあるため、この2つの密着用ゴムリング3a,3bに挟み込まれた防水シート4は、サウンダー5から発生する音を空気の振巾として受け、空気の振幅に従って自由に振動できる。防水シート4が厚膜の場合でも充分な振巾自由度が得られるため、防水シート4が薄膜の場合と同様に十分な音圧が得られ、実用的で工事の際の不要な工数を削減することができる。
【0012】図3は本発明の第2の実施の形態を示す(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【0013】この第2の実施の形態は、図3に示すように、携帯無線電話(折り畳み型)20bにおいて、筐体11の後部に電池パック10が搭載されるために、サウンダー5の取付部分のスペースが狭くなってしまうような装置に適用した場合を示し、狭い取付スペースにサウンダー5がプリント板6に対して正位置ではなく垂直に取り付けられており、かつ筐体11にリブが無い例である。なお、密着用ゴムンリング3a,3bおよび防水シート4などの、この実施の形態における主要な構成要素は、図2で示した第1の実施の形態の場合と同様になっている。
【0014】図3で示す通り、サウンダー5がプリント板6に対して垂直取り付けになっている場合、第1の実施例のようにリブによって固定する方法では筐体11も複雑になり、筐体11内に収納する工事も工数がかかってしまう。そこでサウンダー5がプリント板6に対して垂直に取り付けられる場合には、リブ無しの筐体11に直接、防水シート4を挟み込んだ密着用ゴムリング3a,3bを接着(装着)し、筐体11とサウンダー5とで防水シート4を挟みこんだ密着用ゴムリング3a,3bを挟み込み、固定する。
【0015】図3に示すように、スリット7のみが形成さるれ筐体11において、筐体11の内側に、中央に孔8が形成されておりかつ防水シート4を挟み込んだ密着用ゴムリング3a,3bを直接接着し、サウンダー5を組み入れる。
【0016】第1の実施の形態と同様、十分な厚さがある密着用ゴムリング3a,3bに形成された孔8により、防水シート4はサウンダー5から発生する音を空気の振巾として受け、空気の振巾に従って自由に振動でき、厚膜の防水シート4でも充分な振巾自由度が得られ、防水シート4が薄膜の場合と同様に十分な音圧が得られ、実用的で工事の際の不要な工数を削減できる。図3R>3の密着用ゴムリング3a,3bには、筐体11にリブが無い分だけ可能な限りの厚みがとれるため、振巾自由度は十分に得られる。
【0017】この第2の実施の形態は、リブを形成することで複雑になってしまう構造の簡易化、あるいはリブが形成されていところにサウンダーを押し込む際の密着用ゴムリングのずれ防止、などの対策が必要な場合に適用すると効果的である。また、筐体にリブを形成するスペースが無い構造に適用してもよい。
【0018】なお、上述した実施の形態においては、防水シート4としてビニールシートを用いるように例示したが、これに限らず同様の機能を発揮する他の材質、例えば不織布(テフロン系)などを用いてもよい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、従来の複雑で工事の工数がかかるサウンダーの防水構造を、中央に孔を形成しかつ十分な厚さがある2つの密着用ゴムリングによって防水シートを挟み込んだものを、筐体内面とサウンダーとの間に押し込んで密着固定させることにより、簡易な構造で工事性良く、安価でかつ十分な音圧が得らるものとすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図2】図1における主要構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図4】従来のこの種の防水構造の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,11,13 筐体
2 リブ
3a,3b 密着用ゴムリング
4 防水シート
5 サウンダー
6 プリント板
7 スリット
8 孔
9 音孔
10 電池パック
12 空間
14 マイクリブ
15 ビニールシート
16 マイクゴム
17 マイク
18 収納凹所
19 突条
20a 携帯無線電話(一体型)
20b 携帯無線電話(折り畳み型)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 携帯無線電話において放音孔を有する筐体の内部に収納された着信表示としてのサウンダーと、このサウンダーの前面に取り付けた第1の密着用ゴムリングと、この第1の密着用ゴムリングの前面を覆う防水シートと、この防水シートの前面に取り付けた第2の密着用ゴムリングとを有し、この第2の密着用ゴムリングの前面を前記筐体の前記放音孔の部分に密着させることを特徴とするサウンダーの防水構造。
【請求項2】 前記筐体の内面の前記放音孔の周囲に前記第1および第2の密着用ゴムリングを押圧するリブが設けられている請求項1記載のサウンダーの防水構造。
【請求項3】 前記第2の密着用ゴムリングが前記筐体の前記放音孔の部分に直接に接着される請求項1記載のサウンダーの防水構造。
【請求項4】 前記防水シートがビニールシートからなる請求項1ないし3のいずれかに記載のサウンダーの防水構造。
【請求項5】 前記防水シートが不織布(テフロン系)からなる請求項1ないし3のいずれかに記載のサウンダーの防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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