説明

サッシ室内側設置用防犯面格子

【課題】 サッシの室内側に設置することによって防犯効果の高い室内側設置の防犯面格子を外観良く,安定且つスムーズに伸縮できるようにする。
【解決手段】 多数の縦桟21をリンク25連結することによって面格子本体2を形成して,各縦桟21の上下に設置したスライダーを上下のガイドレール11にスライド自在に吊り支持することによって外枠1内で面格子本体2を横引き伸縮開閉自在に配置し縦枠12との間に配置したロック26の施錠によって室外側から開閉できないようにして,サッシ3の室内側に設置して侵入障害をなすようにする。リンク25をプレート状のものとして各縦桟21の室外側で結合することによって縦桟21の室内側にリンク25の結合部が露出して外観を損なうのを防止し,また各縦桟21とのリンク25結合部を上下一連に被覆する補助桟24を縦桟21の室外側に設置してリンク25結合部が露出するのを防止して防犯効果を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廊下に面するマンションの窓開口や戸建住宅の窓開口のサッシ室内側に設置することによって防犯効果を確保するようにしたサッシ室内側設置用防犯面格子に関する。
【背景技術】
【0002】
この種防犯面格子として,上下のガイドレールと左右の縦枠とを枠組みした外枠と,多数の縦桟を上下複数の連結箇所でリンクで相互に連結して上記上下ガイドレールに吊り支持することによって上記外枠内に幅方向伸縮開閉自在に配置した面格子本体とを備えたものが提案されており,この場合面格子本体は,多数の縦桟の室内外双方に表裏のリンクを回転自在に軸支固定して構成したものとされている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−19109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合,侵入犯がガラスを破損することによってクレセントを開錠しサッシ戸を開成しても,その室内側に存在する面格子を破損する等して更に面格子本体を開成しなければ室内に侵入することができず,仮に面格子を破損するとしてもその時間が掛り,サッシ戸の開成から数分間の時間を必要とすることによって一般に相当程度の防犯機能を発揮するものとなる。
【0005】
しかし乍ら,該面格子はサッシの室内側に設置して室内に露出するから,例えばその室内側にカーテンを設置するとしても,採光のためにカーテンを開ければ面格子が露出することになるところ,上記面格子本体は縦桟の室内外双方に表裏のリンクが設置されており,室内側に該表面のリンクと各縦桟の軸支部分が露出することによって,メカニカルな印象を呈する結果,室内設置の面格子としてそぐわないものとなって外観が損なわれる可能性がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,防犯性に優れて,サッシの室内側に設置することによって外観を良好に維持し得るようにしたサッシ室内側設置用防犯面格子を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に添って本発明は,面格子本体のリンクを縦桟の背面側,即ち室外側に設置して縦桟の室内側の面にリンクや軸支部が露出するのを防止して外観を可及的良好に確保し,リンクによる連結を確実強固になし得るようにして防犯性を高度に確保するとともに面格子本体の伸縮開閉自在性を高度に確保して安定且つスムーズな開閉をなし得るようにしたものであって,即ち請求項1に記載の発明を,上下のガイドレールと左右の縦枠とを枠組みした外枠と,多数の縦桟を上下複数の連結箇所でリンク連結して上記上下ガイドレールに吊り支持することによって上記外枠内に幅方向伸縮開閉自在に配置した面格子本体とを備え,上記縦桟の各連結箇所の室外面にそれぞれ上下位を一対とする連結軸を突設し,上記リンク長手方向一方の軸支孔に縦桟の連結箇所一対のうち上下位一方の連結軸を回転自在に軸支するとともにリンク長手方向他方のスライド孔に隣接する縦桟の連結箇所一対のうち上下位他方の連結軸をスライド自在に係合して該リンクを隣接縦桟間に傾斜配置することによって面格子本体を形成してなることを特徴とするサッシ室内側設置用防犯面格子としたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,各縦桟が室外側に連結軸を覆う上下方向に所定長さにして一連の補助桟を備えたものとすることによって,縦桟の室外側における連結軸,リンクとの連結部が露出するのを防止して,サッシ戸を開けるに至った侵入犯が該連結軸や連結部を破壊して面格子本体を破損開閉するのを可及的に防止して,侵入犯による侵入時間を可及的に延長し得るものとするように,これを,上記縦桟が,それぞれ室外側に上下複数の連結箇所を一連に被覆する補助桟を備え,該補助桟を各連結箇所上下の連結軸の先端に固定してなることを特徴とする請求項1に記載のサッシ室内側設置用防犯面格子としたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,室内側に露出することのない連結軸と補助桟の固定をプレス加工によって可及的簡易且つ確実になし得るものとするように,これを,上記連結軸に対する補助桟の固定を,補助桟にかしめ,切り起し等のプレス加工を施して連結軸又はこれに設置した固定部材を支持することによって行ってなることを特徴とする請求項2に記載のサッシ室内側設置用防犯面格子としたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,外枠の縦枠と面格子本体との間に施開錠自在のロックを設置することによって室内側から操作し易く,室外側からの侵入犯に対する面格子本体の開閉を阻害して侵入時間を可及的に延長し得るものとするように,これを,上記面格子本体における縦枠側の縦桟に該縦枠との間で施開錠自在のロックを設置してなることを特徴とする請求項1,2又は3に記載のサッシ室内側設置用防犯面格子としたものである。
【0011】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,面格子本体のリンクを縦桟の室外側に設置して縦桟の室内側の面にリンクや軸支部が露出するのを防止して外観を可及的良好に確保し,リンクによる連結を確実強固になし得るようにして防犯性を高度に確保するとともに面格子本体の伸縮開閉自在性を高度に確保して安定且つスムーズな開閉をなし得るようにすることによって,防犯性に優れて,サッシの室内側に設置することによって外観を良好に維持し得るようにしたサッシ室内側設置用防犯面格子を提供することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,各縦桟が室外側に連結軸を覆う上下方向に所定長さにして一連の補助桟を備えたものとすることによって,縦桟の室外側における連結軸,リンクとの連結部が露出するのを防止して,サッシ戸を開けるに至った侵入犯が該連結軸や連結部を破壊して面格子本体を破損開閉するのを可及的に防止して,侵入犯による侵入時間を可及的に延長し得るものとすることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,室内側に露出することのない連結軸と補助桟の固定をプレス加工によって可及的簡易且つ確実になし得るものとすることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,外枠の縦枠と面格子本体との間に施開錠自在のロックを設置することによって室内側から操作し易く,室外側からの侵入犯に対する面格子本体の開閉を阻害して侵入時間を可及的に延長し得るものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば,Aは防犯面格子であり,該防犯面格子Aは,上下のガイドレール11と左右の縦枠12とを枠組みした外枠1と,多数の縦桟21を上下複数の連結箇所でリンク25連結して上記上下ガイドレール11に吊り支持することによって上記外枠1内に幅方向伸縮開閉自在に配置した面格子本体2とを備えたものとしてあり,本例にあって外枠1及び面格子本体2をそれぞれアルミ押出形材を用いて構成することによって防犯面格子Aをアルミ製のものとしてあり,本例にあって該防犯面格子Aは,その上記面格子本体2における縦枠12側の縦桟21に該縦枠12との間で施開錠自在のロック26を設置したものとしてあり,本例の該ロック26は防犯面格子Aの幅方向両端にこれを設置してある。
【0017】
外枠1を構成する縦枠12は断面略I字状にした共通断面のものを反転使用し,またガイドレール11は対向方向にスリットを開口した断面略C字状にして室内端に額縁固定片111を一体に起立した同じく共通断面のものを反転使用して単一のガイドレール11と縦枠12の2種のアルミ押出形材によって構成してあり,このときガイドレール11に形成したタッピングホールに縦枠12からネジを螺入して,サッシ3設置の窓開口に合せた開口を有する室内視矩形の外枠1をなすものとしてある。
【0018】
面格子本体2を構成する縦桟21は,左右端部において上記ロック26設置用の中空スぺースを確保するように室内側を開口した断面略C字状の桟本体211と室内側において開口を閉塞する閉塞プレート212とによって断面略矩形の中空のものとし,該左右端部を除く中間においてそれぞれ室内側を湾曲面として上記左右端部のものより細幅にして一体に形成した断面略矩形の中空のものとしてある。これら縦桟21はそれぞれ中空部内にタッピングホールを備えてあり,該タッピングホールにネジを螺入することによって各縦桟21がその上下端に断面略T字状のスライダー22を固定し,その連結軸を上記スリットに挿通して該スライダー22を上下のガイドレール11にスライド自在に係合することによって面格子本体2の各縦桟21を上下のガイドレール11に対してスライド開閉自在に吊り支持したものとしてある。
【0019】
縦桟21は相互にリンク25連結して幅方向伸縮開閉自在の面格子本体としてあり,該縦桟21を連結するリンク25は,これを,長手方向一方に軸支孔251,他方にスライド孔252を透設したリンクプレートによるものとし,上記縦桟21の各連結箇所の室外面にそれぞれ上下位を一対とする連結軸23を突設し,上記リンク25長手方向一方の軸支孔251に縦桟21の連結箇所一対のうち上下位一方の連結軸23を回転自在に軸支するとともにリンク25長手方向他方のスライド孔252に隣接する縦桟21の連結箇所一対のうち上下位他方の連結軸23をスライド自在に係合して該リンク25を隣接縦桟21間に傾斜配置することによって面格子本体を形成したしたものとしてある。
【0020】
本例のリンク25はステンレス,アルミ等の金属プレートを打抜き加工して,例えば径大の円弧をなすように幾分湾曲した形状として,室内に露出使用する防犯面格子Aとしての外観を向上したものとし,その長手方向一方に軸支孔251を,他方にスライド孔252を同じく打抜き加工して透設してあり,このときスライド孔252は金属プレート内で直線をなすようにしてある。
【0021】
各縦桟21はその長手方向上下位置にそれぞれ金属製又は合成樹脂製の連結軸23を,幅方向両端の縦桟21にあっては上下位置で各合計2箇所に,その中間の縦桟21にあっては上下位置で各上下位一対とするように各合計4箇所に突設してあり,このとき本例にあって中間の縦桟21における上下位一対の連結軸23の設置高さを,面格子本体2の幅方向一端の縦桟21における一方が上位,他方が下位の連結軸23の高さと同位置とすることによって,各縦桟21において連結軸23設置位置が幅方向に同一高さ位置に一致するように設置して上記リンク25による結合とこれによる連結を行ってあり,このとき本例にあって室内視左側端部の縦桟21の上方上位及び下方下位の連結軸23をリンク25の軸支孔251に軸支し,これに隣接する2本目の縦桟21の上方下位及び下方上位の連結軸23をリンク25のスライド孔252に挿通して結合し,また該2本目の縦桟21の上方上位及び下方下位の連結軸23をリンク25の軸支孔251に軸支し,更にこれに隣接する3本目の縦桟21の上方下位及び下方上位の連結軸23をリンク25のスライド孔252に挿通係合して結合し,順次これを繰返すとともに幅方向他端においてリンク25の向きを反転して同様に結合することによってリンク25が上方及び下方でそれぞれ幅方向に同じ向きとなるように外観を考慮してリンク25の配置とこれによる連結を行ってある。
【0022】
このとき本例の上記縦桟21は,これが,それぞれ室外側に上下複数の連結箇所を一連に被覆する補助桟24を備え,該補助桟24を各連結箇所上下の連結軸23の先端に固定したものとしてあり,本例にあって該連結軸23に対する補助桟24の固定は,これを,補助桟21にかしめ,切り起し等のプレス加工を施して連結軸23又はこれに設置した固定部材253を支持することによって行ったものとしてある。
【0023】
即ち本例にあって補助桟24は,例えば各縦桟21の全長に亘るように該縦桟21と同長にして浅溝を形成するように断面略C字状のアルミ押出形材によって形成したものとしてあり,連結軸23の先端側にプレート状の固定部材253を設置し,補助桟24に該固定部材253を嵌合し,その上下移動を阻止するように上記かしめ,切り起し等のプレス加工を補助桟24に対して施すことによって,その固定とこれによる支持を行なったものとしてある。
【0024】
このように形成した防犯面格子Aは,例えばガイドレール11にスライダー22をスライド自在に係合することによって現場又は工場で外枠1に面格子本体2を装着した完成品状態とし,サッシ3のサッシ枠31室内側に設置した木製,アルミ製等の額縁34の対向面に外枠1の縦枠12における見込方向中間部を,また額縁34の室内側の側面に上下のガイドレール11における額縁固定片111をそれぞれ釘,ネジ等の固定金具によって固定することによって外枠1をサッシ3室内側,特にサッシ枠31の室内側に固定してその設置を行えばよく,このとき既設サッシ及び新設サッシのいずれにも後付的にその設置を行なうことができる。
【0025】
防犯面格子Aは,在室時や緊急時に一方のロック26を解除して面格子本体2を横方向に引けばスライダー22がガイドレール11をスライドすることによって面格子本体2を安定且つスムーズに開成でき,本例にあってロック26は幅方向両端に設置したから任意の一方に向けてその開成を行なうことができる。また不在時にはロック26を施錠することによって侵入犯がサッシ戸32を開けたとしてもその侵入障害となって侵入を防止できる。サッシ戸32には一般に透明ガラス,型板ガラス,曇りガラス等が設置されており,これらガラスを通して室外側から該面格子本体2の存在が看取できることが多く,この場合侵入犯にはサッシ戸32を開けても侵入障害があることが分ることになり侵入断念による防犯効果を発揮することも期待し得る。
【0026】
図中254はリンク25の連結に際して該リンク25の室内外の面と縦桟21及び上記固定部材253間に介設したワッシャー,33はサッシ3の戸当ブロックである。
【0027】
図示した例は以上のとおりとしたが,テラス窓のように開口高さの大きなサッシの室内側に設置することによって面格子本体の重量が嵩むとき,縦桟の上下端,特に上端に設置した上記スライダーに代えて,その一部又は全部をローラーによるものとして重量による摩擦抵抗を減少してスムーズな開閉をなし得るようにすること,外枠に一対の面格子本体を装着して引分けの防犯面格子とすること等を含めて,本発明の実施に当って,外枠,そのガイドレール,縦枠,面格子本体,その縦桟,連結軸,リンク,必要に応じて用いる補助桟等の各具体的形状,構造,材質,これらの関係,これらに対する付加等は,上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】防犯面格子の正面図である。
【図2】防犯面格子を片側に開成した状態を示す正面図である。
【図3】防犯面格子の設置状態を示す縦断面図である。
【図4】防犯面格子の設置状態を示す横断面図である。
【図5】リンクの正面図である。
【符号の説明】
【0029】
A 防犯面格子
1 外枠
11 ガイドレール
12 縦枠
2 面格子本体
21 縦桟
22 スライダー
23 連結軸
24 補助桟
25 リンク
3 サッシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下のガイドレールと左右の縦枠とを枠組みした外枠と,多数の縦桟を上下複数の連結箇所でリンク連結して上記上下ガイドレールに吊り支持することによって上記外枠内に幅方向伸縮開閉自在に配置した面格子本体とを備え,上記縦桟を連結するリンクを,長手方向一方に軸支孔,他方にスライド孔を透設したリンクプレートによるものとし,上記縦桟の各連結箇所の室外面にそれぞれ上下位を一対とする連結軸を突設し,上記リンク長手方向一方の軸支孔に縦桟の連結箇所一対のうち上下位一方の連結軸を回転自在に軸支するとともにリンク長手方向他方のスライド孔に隣接する縦桟の連結箇所一対のうち上下位他方の連結軸をスライド自在に係合して該リンクを隣接縦桟間に傾斜配置することによって面格子本体を形成してなることを特徴とするサッシ室内側設置用防犯面格子。
【請求項2】
上記縦桟が,それぞれ室外側に上下複数の連結箇所を一連に被覆する補助桟を備え,該補助桟を各連結箇所上下の連結軸の先端に固定してなることを特徴とする請求項1に記載のサッシ室内側設置用防犯面格子。
【請求項3】
上記連結軸に対する補助桟の固定を,補助桟にかしめ,切り起し等のプレス加工を施して連結軸又はこれに設置した固定部材を支持することによって行ってなることを特徴とする請求項2に記載のサッシ室内側設置用防犯面格子。
【請求項4】
上記面格子本体における縦枠側の縦桟に該縦枠との間で施開錠自在のロックを設置してなることを特徴とする請求項1,2又は3に記載のサッシ室内側設置用防犯面格子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−125074(P2006−125074A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315419(P2004−315419)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(598000172)岡山ビルサッシ工業株式会社 (1)
【出願人】(505264598)株式会社MSK (1)
【出願人】(504393426)イヨ建材株式会社 (1)
【Fターム(参考)】