説明

サッシ

【課題】枠体に対し内外引き違い状に障子を納めた際における外障子の室内側内周部の意匠性を向上させたサッシを提供する。
【解決手段】枠体1内に内障子2と外障子3を引き違い状に納め、枠体1は金属製の室外枠部材20と金属製の室内枠部材21とを、樹脂製のブリッジ材22で連結してなり、内障子2と外障子3は框体4内にパネル体5を納めてなり、室内枠部材21は室内側面24の見付方向内側端部が框体4の見付方向内側端部と略同位置となるように形成され、外障子3の枠側縦框32は室内側面の見付方向内側端部から室内側に延出される室内延出部34を備え、室内延出部34は縦枠12を構成する室内枠部材21の室内側面24の見付方向内側端部近傍まで伸びて、額縁材6の内周面と略面一状とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に設置されるサッシに関し、特に金属製の室外枠部材と室内枠部材とを樹脂製のブリッジ材で連結してなるサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物開口部に設けられるサッシの断熱性を高めるため、金属製の室外枠部材と室内枠部材とを、樹脂製のブリッジ材で連結することが知られている。金属製の部材を樹脂製のブリッジ材で室内外に連結することにより、室外側に露出する室外枠部材と室内側に露出する室内枠部材とを熱的に絶縁することができ、断熱性を高くすることができる。このようなブリッジ構造により断熱性を高くしたサッシとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−293300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
枠体内に内障子と外障子を引き違い状に納めてなるサッシにおいて、意匠性向上のため、障子の框体を枠体で隠した構造としたものも知られている。その構造は、枠体の室内側面を見付方向内側に延出し、枠体と框体の見付方向内側端部が略同位置となるようにしてなるもので、これによって、室内側から見たときに、枠体によって框体が隠れることとなる。
【0005】
しかし、かかる隠し框の構造とした場合に、枠体の室内側面と外障子との間は距離が離れているため、外障子が配置される側の縦枠の内周面には、大きな凹部が形成されることとなり、これが室内側から見えるため、意匠性を損ねることとなっていた。また、ブリッジ材をこの領域に配置した場合に、ブリッジ材も室内側に露出するので、このことも意匠性を損ねる原因となっていた。
【0006】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、枠体に対し内外引き違い状に障子を納めた際における外障子の室内側内周部の意匠性を向上させたサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るサッシは、上枠と下枠及び左右の縦枠を方形状に枠組みしてなる枠体内に内障子と外障子を引き違い状に納め、前記枠体は、前記内障子と外障子を納める金属製の室外枠部材と、前記枠体の室内側面を構成する金属製の室内枠部材とを、樹脂製のブリッジ材で連結してなり、前記内障子と外障子は上框と下框と枠側縦框及び召合わせ框を方形状に框組みしてなる框体内にパネル体を納めてなるサッシにおいて、
前記室内枠部材は室内側面の見付方向内側端部が前記框体の見付方向内側端部と略同位置となるように形成され、
前記外障子の枠側縦框は室内側面の見付方向内側端部から室内側に延出される室内延出部を備え、該室内延出部は前記縦枠を構成する室内枠部材の室内側面の見付方向内側端部近傍まで伸びて、前記枠体の室内側に配置される額縁材の内周面と略面一状とされることを特徴として構成されている。
【0008】
また、本発明に係るサッシは、前記外障子が配置される側の縦枠は、前記外障子を構成する枠側縦框の室内側面と対向する外障子対向フィンを内周面に備え、該外障子対向フィンと前記室内側面との間の縦枠内周部に前記ブリッジ材が配置され、前記外障子を閉じた状態で前記室内延出部は前記ブリッジ材が配置される領域を覆うことを特徴として構成されている。
【0009】
さらに、本発明に係るサッシは、前記室内枠部材は、室内側面の見付方向内側端部から室内側に延出されるアングル部を有し、前記室内延出部は前記アングル部と略面一状であることを特徴として構成されている。
【0010】
さらにまた、本発明に係るサッシは、前記室内延出部は前記外障子の枠側縦框と別体として形成され、該枠側縦框の室内側面に対して固定されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るサッシによれば、外障子の枠側縦框は室内側面の見付方向内側端部から室内側に延出される室内延出部を備え、室内延出部は縦枠を構成する室内枠部材の室内側面の見付方向内側端部近傍まで伸びて、額縁材の内周面と略面一状とされることにより、隠し框の構成を有するサッシにおいて、外障子の室内面側から額縁材に渡って室内外方向における内周面の連続性を奏し、意匠性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係るサッシによれば、外障子を閉じた状態で室内延出部はブリッジ材が配置される領域を覆うことにより、室内延出部によりブリッジ材が室内側に露出しないので、意匠性の更なる向上を図ることができる。
【0013】
さらに、本発明に係るサッシによれば、室内延出部はアングル部と略面一状であることにより、アングル部を含む外障子の室内面側から額縁材に渡る内周面の連続的な意匠性を、より一層強くすることができる。
【0014】
さらにまた、本発明に係るサッシによれば、室内延出部は外障子の枠側縦框と別体として形成され、枠側縦框の室内側面に対して固定されることにより、外障子を枠体に建て込んだ後に、室内延出部を取付けるようにすれば、外障子を枠体に建て込む際に室内側に大きく延出される室内延出部が邪魔にならず、サッシの施工を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態におけるサッシの縦断面図である。
【図2】本実施形態におけるサッシの横断面図である。
【図3】縦枠を内周面側から見た側面図であって、下枠が配置される付近の拡大図である。
【図4】縦枠の固定面部付近拡大図である。
【図5】図2のうち外障子が配置される側の縦枠付近拡大図である。
【図6】室内延出部を枠側縦框と別体とした場合の枠側縦框の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態におけるサッシの縦断面図を、図2には本実施形態におけるサッシの横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態のサッシは、方形状に枠組みしてなる枠体1内に内障子2と外障子3を引き違い状に納めてなる引き違いサッシである。内障子2と外障子3は、いずれも方形状の框体4内にガラス板からなるパネル体5を納めて構成されている。
【0017】
枠体1は、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12からなり、これらの部材で上下左右の辺を構成している。また、枠体1を構成する上枠10と下枠11及び縦枠12は、それぞれいずれも金属製の室内枠部材21と室外枠部材20とを、樹脂製のブリッジ材22で連結して構成されている。これにより、室外側に露出する室外枠部材20と室内側に露出する室内枠部材21との間を断熱し、サッシの断熱性能を高くすることができる。
【0018】
内障子2と外障子3を構成する框体4は、上框30と下框31、枠側縦框32及び召合わせ框33を方形状に框組みしてなるものである。図1に示すように、上框30の見付方向内側端部位置は、内障子2と外障子3で同じ位置となるように形成されている。下框31についても、見付方向内側端部位置が、内障子2と外障子3で同じ位置となるように形成されている。
【0019】
上框30と下框31、枠側縦框32及び召合わせ框33は、いずれも室外側面に室外保持部35を、室内側面に室内保持部36を、それぞれ備え、室外保持部35と室内保持部36により、パネル体2の周縁部を室内外から保持する。これら室外保持部35と室内保持部36の各先端部が、框体4の見付方向内側端部位置となる。
【0020】
上枠10の室外枠部材20には、外障子3を案内する外レール10aが形成されている。また、外レール10aの室内側であって上枠10内周面の中央位置には、中央フィン10bが形成されている。中央フィン10bは先端部が外障子3の室内側面と対向しており、この先端部には気密材13が設けられて、外障子3に当接することで気密ラインを構成する。
【0021】
上枠10の中央フィン10bより室内側には、凹状案内部10cが形成される。内障子2の上辺は、凹状案内部10cにより長手方向に案内される。下枠11の室外枠部材20には、内レール11aと外レール11bが形成されており、それぞれ内障子2と外障子3を載置させ、長手方向に案内可能としている。
【0022】
図2に示すように、縦枠12は左右で内周面の構成が異なっている。外障子3が配置される左側の縦枠12は、内周面の内外中央位置に外障子3の室内面と対向する外障子対向フィン12aを有し、さらに内周面の外障子対向フィン12aより室外側に外障子3端部の凹状領域に飲み込まれる外障子飲込フィン12bを有している。外障子対向フィン12aの先端部には、気密材13が設けられ、これが外障子3に当接して気密ラインを構成する。
【0023】
内障子2が配置される右側の縦枠12は、内周面の内外中央位置に内障子2の室外面と対向する内障子対向フィン12cを有し、さらに内周面の内障子対向フィン12cより室内側に内障子2端部の凹状領域に飲み込まれる内障子飲込フィン12dを有している。内障子対向フィン12cの先端部には、気密材13が設けられ、これが内障子2に当接して気密ラインを構成する。
【0024】
このように、枠体1を構成する室外枠部材20は、内障子2と外障子3を納める構成を有し、室内枠部材21は、枠体1の室内側面を構成する。
【0025】
室内枠部材21は、四周に渡って室内側面24を備え、この室内側面24は、見付方向内側端部が框体4の見付方向内側端部と略同位置となるように形成されている。すなわち、室内枠部材21の室内側面24は、内障子2と外障子3の上框30と下框31及び枠側縦框32の室内側面を室内側から覆っており、各障子の框体4が室内側から見えにくい、いわゆる隠し框の構造を有するように構成されている。
【0026】
また、内障子2の召合わせ框33における見付方向内側端部位置と外障子3の召合わせ框33の外周面とが、室内外方向に関し同一面内に並ぶように配置されており、外障子3の召合わせ框33における見付方向内側端部位置と内障子2の召合わせ框33の外周面とが、室内外方向に関し同一面内に並ぶように配置されている。
【0027】
室内枠部材21の室内側面24には、見付方向内側端部から室内側に向かって伸びるアングル部25が固定される。アングル部25は、枠体1の室内側に四周に渡って設けられる額縁材6の表面に当接しネジ止め固定される。アングル部25の室内側に延出される面及び額縁材6の内周面は、框体4の見付方向内側端部と略同位置に配置されることとなり、サッシのパネル体5を通した内周面が面一状となって、意匠性を良好にすることができる。
【0028】
室内枠部材21と室外枠部材20を連結するブリッジ材22は、枠体1の四周各辺の長手方向に沿ってそれぞれ見付方向内外に2本ずつが離隔して配設されており、それぞれの室内端部が室内枠部材21に、室外端部が室外枠部材20に、嵌入されて、両者を連結した状態としている。
【0029】
室内枠部材21と室外枠部材20の互いに対向する位置には、それぞれブリッジ材22を嵌合させる凹部23aを備えた固定面部23、23が形成されている。室内枠部材21の固定面部23は、室外側に向かう面に2つの凹部23aが並設配置されてなり、室外枠部材20の固定面部23は、室内側に向かう面に2つの凹部23aが並設配置されてなる。
【0030】
固定面部23は、凹部23aにブリッジ材22の端部を納めた状態で、内外周方向に押圧することで、ブリッジ材22をカシメ固定する。このとき、固定面部23の表面には凸形状が残るため、縦枠12と上枠10や下枠11との連結部分でのシールを行いにくくなる。図3には、縦枠12を内周面側から見た側面図であって、下枠11が配置される付近の拡大図を示している。
【0031】
縦枠12と下枠11の連結は、縦枠12の側面に下枠11の端面が突き当てられ、両者がビス止め固定されることによってなされる。図3においては、下枠11は破線で表されており、また、ハッチングされているのは、下枠11の端面領域に設けられるシール材の充填領域である。このように、シール材は下枠11の端面全体にわたって充填されるが、前述のように、縦枠12の固定面部23の部分には、凸形状23aがあるため、シール材を充填しにくくなっている。このため、縦枠12の固定面部23のうち下枠11が突き当てられる部分を予め削っておく。
【0032】
図4には、縦枠12の固定面部23付近拡大図を示している。この図に示すように、縦枠12の固定面部23のうち下枠11が突き当てられる領域につき、ドリル40により穴を開け、固定面部23の凸形状23aを除去する。これにより、下枠11との連結部分においてシール材を充填しやすくすることができる。
【0033】
図5には、図2のうち外障子3が配置される側の縦枠12付近拡大図を示している。この図に示すように、外障子3を構成する枠側縦框32は、室内側面に形成される室内保持部36の見付方向内側端部から室内側に延出される室内延出部34を備えている。室内延出部34は、枠側縦框32から縦枠12を構成する室内枠部材21の室内側面24近傍まで伸びるように形成されており、先端部は、外周方向に向かって屈曲した屈曲部34aとされている。
【0034】
室内延出部34は、枠側縦框32の見付方向内側端部から室内側に延出されているから、その見付方向位置は、縦枠12のアングル部25や額縁材6の内周面と略同じであり、アングル部25や額縁材6の内周面と室内延出部34は略面一状となる。また、外障子3が配置される側の縦枠12は、外障子対向フィン12aと内周面及び室内側面24とで、大きな凹部が形成されるが、室内延出部34によりこの凹部を隠して、サッシ内周面を平面状とすることができ、意匠性を向上させることができる。
【0035】
外障子3が配置される側の縦枠12においてブリッジ材22は、外障子対向フィン12aと室内側面24との間の内周部に配置される。枠側縦框32の室内延出部34は、この領域を覆うので、ブリッジ材22を室内側に露出させないようにすることができ、意匠性を向上させることができる。また、室内延出部34とアングル部25や額縁材6の内周面が面一状となるように配置されるので、隠し框の構成を有する本実施形態のサッシにおいて、室内外方向における内周面の連続性を奏し、意匠性の更なる向上を図ることができる。さらには、外障子3から室内側に延出される室内延出部34により、外障子3の開閉を行いやすくすることもできる。
【0036】
枠側縦框32において、室内延出部34を別体とすることもできる。図6には、室内延出部34を枠側縦框32と別体とした場合における枠側縦框32の断面図を示している。この図に示すように、室内延出部34は、枠側縦框32の室内側面に当接して固定される固定面部34bと、固定面部34bから室内側に向かって延出される延出面部34cと、延出面部34cの室内端部に形成される屈曲部34aとを有して構成される。外障子3を枠体1に建て込んだ後に、室内延出部34を取付けるようにすれば、外障子3を枠体1に建て込む際に室内側に大きく延出される室内延出部34が邪魔にならず、サッシの施工を円滑に行うことができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。本実施形態では、室内枠部材21は金属材のみからなるので、室内露出面も金属材からなるが、室内枠部材21の室内側面24に樹脂材を配設することにより、意匠性の高いサッシとすることもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 枠体
2 内障子
3 外障子
4 框体
5 パネル体
6 額縁材
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
20 室外枠部材
21 室内枠部材
22 ブリッジ材
23 固定面部
24 室内側面
25 アングル部
30 上框
31 下框
32 枠側縦框
33 召合わせ框
34 室内延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と下枠及び左右の縦枠を方形状に枠組みしてなる枠体内に内障子と外障子を引き違い状に納め、前記枠体は、前記内障子と外障子を納める金属製の室外枠部材と、前記枠体の室内側面を構成する金属製の室内枠部材とを、樹脂製のブリッジ材で連結してなり、前記内障子と外障子は上框と下框と枠側縦框及び召合わせ框を方形状に框組みしてなる框体内にパネル体を納めてなるサッシにおいて、
前記室内枠部材は室内側面の見付方向内側端部が前記框体の見付方向内側端部と略同位置となるように形成され、
前記外障子の枠側縦框は室内側面の見付方向内側端部から室内側に延出される室内延出部を備え、該室内延出部は前記縦枠を構成する室内枠部材の室内側面の見付方向内側端部近傍まで伸びて、前記枠体の室内側に配置される額縁材の内周面と略面一状とされることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記外障子が配置される側の縦枠は、前記外障子を構成する枠側縦框の室内側面と対向する外障子対向フィンを内周面に備え、該外障子対向フィンと前記室内側面との間の縦枠内周部に前記ブリッジ材が配置され、前記外障子を閉じた状態で前記室内延出部は前記ブリッジ材が配置される領域を覆うことを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項3】
前記室内枠部材は、室内側面の見付方向内側端部から室内側に延出されるアングル部を有し、前記室内延出部は前記アングル部と略面一状であることを特徴とする請求項1または2記載のサッシ。
【請求項4】
前記室内延出部は前記外障子の枠側縦框と別体として形成され、該枠側縦框の室内側面に対して固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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