説明

サポートパッド

【目的】 人体や物の形状に添って変形後、固化するサポートパッドを容易に製作する。
形状、大きさ、硬さ等多様な選択肢を持ったサポートパッドを製作する。
体形が変わり姿勢を維持しにくくなった人などへの補助具として広く利用する、
【解決手段】 柔軟性のある外皮と、その内側に内包された分離皮膜と該分離皮膜により主剤と硬化剤が分離された二液性樹脂で構成され、使用時に該分離皮膜を破って混ぜ合わせることにより反応を開始させた後、人体や物に押し当て、形状に添って変形保持させることを特徴とするサポートパッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体や物の形状に添って変形後、固化するサポートパッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加齢による筋肉減少や事故などにより体形が変わってしまい姿勢を維持しにくくなった人に対し補助手段としてコルセットやサポーター等が使用されていた。しかし製造方法や構造の制約から個人ごとの体形にぴったりフィットする物の供給が困難だった。
【0003】
形状記憶合金を用いた、個人の体形に合わせた背もたれ、靴の中敷等も提案されて いるが工程が複雑で普及しにくい状況にある。
【0004】
また、物品の配送梱包などにおいて搬送物と外箱の隙間を発砲スチロール等の緩衝材で埋めることが多い。この場合の緩衝材は隙間をぴったり埋める必要性から高精度が要求される。このため、型による成形や切削などの製法が用いられ、費用も時間も多くを必要としている。
【0005】
ゴム粘土などで型取りし二液性のシリコン樹脂を流し込み緩衝材を作る方法もあるが 工程数が多く、時間も費用も多くを要する。また二液性樹脂は扱いにくく臭気も強い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景から、扱いが簡単で人体や物の形状に添って変形後固化するサポート パッドの必要性が大きいが、簡単に安価に短時間で製作する方法がなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1においては、柔軟性のある外皮(1)の内側に分離皮膜(2)により主剤(3)と硬化剤(4)が分離された状態で構成される。使用直前に前記分離皮膜を破って二液の反応が開始された状態でサポートする形状に添って変形させ保持する、この時点では柔軟性があるため容易に形状に馴染ませることが可能である。時間と共に固化が進み形状に添ったサポートパッドを作成できる。
【0008】
請求項2においては、柔軟性のある外皮(1)の内側に揉む、たたく、踏む等の外部圧力をかけると破れる性状を持つ分離皮膜(2)により主剤(3)と硬化剤(4)が分離された状態で構成される。外部圧力により前記分離皮膜が破れると前記主剤と前記硬化剤の攪拌がなされ、硬化が開始される。この状態で人体や物に押し当て、形状に添って変形させ保持すれば、時間と共に固化が進み形状に添ったサポートパッドを作成できる。
【0009】
請求項3においては柔軟性のある外皮(1)の内側に熱により溶解する性状を持つ分離皮膜(2)により主剤(3)と硬化剤(4)が分離された状態で構成される。
加熱により前記分離皮膜が溶解すると前記主剤と前記硬化剤の攪拌が成され、硬化が開始される。この状態で人体や物に押し当て、形状に添って変形させ保持すれば、時間と共に固化が進み形状に添ったサポートパッドを作成できる。
【0010】
請求項4においては硬化剤(23a)が皮膜(23b)に覆われた粒状の球または多面体として主剤(22)の中に点在している。前記硬化剤が分散されているため硬化の均質化がはかれる。
【0011】
請求項5においては外皮(11)の内面に突起(15)を設けた。該突起が請求項1、請求項2、請求項4における硬化剤を覆う皮膜(2)(12)または(23b)を破ることを補助し、より確実な主剤と硬化剤の攪拌が行われる。
【0012】
請求項6においては外皮(41)の内部空間に仕切り(42)を設け、仕切られた部屋ごとに適正量の主剤(43)と硬化剤(44)をいれ均質化をはかる。また仕切られた部屋ごとに樹脂量を変えてサポートする形状の多様性に対応することができる。
【0013】
請求項7においては外皮(31)の表面の人体や物に接触する部分に外装シート(34)をラミネートしている。前記外装シートに通気性や防臭性等の特性を持たせることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、柔軟性のある外皮と、その内側に内包された分離皮膜と、該分離皮膜により主剤と硬化剤が分離された二液性樹脂で構成された反応前のサポートパッドを、使用時に、前記分離皮膜を破り前記二液性樹脂を混ぜ合わせ反応開始後、人体や物に押し当て、形状に添って変形保持させ、固化させることにより簡単に安価に短時間で、形状にぴったりフィットするサポートパッドを製作することができる。
【0015】
本発明によれば前記分離皮膜の破り方として外部圧力を加える、熱を加える等多様な選択肢を持ったサポートパッドを製作することができる。
また本発明によれば形状や大きさや硬さも多様な選択肢を持ったサポートパッドを製作することができる。
さらに本発明によればサポートする面の必要に応じ通気性や防菌性や消臭性等多様な選択肢を持ったサポートパッドを製作することができる。
以上、本発明によれば多様性に富むサポートパッドを製作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明の主な構成の一例を示す断面図である
図1において、外皮(1)は柔軟性のあるゴムや樹脂で作られている。(2)は外皮(1)に内包されている空間を2層に分離している分離皮膜である。(3)(4)は二液性の主剤と硬化剤であり、混ぜ合わされることにより反応が始まり固化する特性を有する。
図1の状態では分離皮膜(2)によって主剤(3)と硬化剤(4)は完全に分離されており、反応は起こらない。
このような構成において、分離皮膜(2)を外力によって破れ易い、例えば薄いゴム、樹脂、アルミ箔等で作っておけば、使用時に揉んだり、叩いたりすることで簡単に破け、反応させることができる。
また、分離皮膜(2)を熱によって溶解する材質、例えばニカワのような物で構成しておけば60℃以上に加熱することによって溶解してしまい、反応が始まる。熱によって溶解する場合、輸送などを考えると60℃以上が好ましい
分離皮膜(2)はその他、紫外線とか赤外線などで破壊される材質で構成しても良いし、振動や圧力などで破壊されるように構成しても構わない。
二液性樹脂としてはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂などがあるが用途によって最適な材質や固化後の硬度のものを選択する必要がある。
また、選択する樹脂材料によっては硬化促進剤や硬化遅延剤などを併用する場合があるがこの場合は同様に分離皮膜を用い多層構造とする。
【0017】
図2は本発明の別の構成を示す断面図である。外皮(21)の内側に主剤(22)を内包する。さらに主剤(22)の中に粒状に分離皮膜(23b)に覆われた硬化剤(23a)が点在している。この状態では反応は起こらない。分離皮膜(23b)も分離皮膜(2)と同様に構成していけば前述した手段で反応を起こす事ができる。図2は図1に比べて攪拌し易いという利点を有する。
【0018】
図3は本発明の別の構成を示す断面図である。
外皮(11)の内側に突起(15)が設けられている。前述したように外皮(11)に揉む・踏む・たたく等の外部圧力を加え分離皮膜(12)を破ろうとする際、外部圧力が不足すると分離皮膜(12)の破れが不完全で攪拌不足が懸念される。この場合において突起(15)があれば分離皮膜(12)に刺さり分離皮膜(12)の破れを促進する効果がある。
突起(15)の形状は分離皮膜(12)の材質や厚さや形状により変えていき最適条件を選択する。
また突起(15)の製法も一体成形や接着など形状により使い分ける。
【0019】
図5は本発明の別の構成を示す平面図である。
柔軟性のある外皮(41)の内部空間を仕切り(42)により複数の部屋に仕切る。
各部屋ごとに主剤(43)と分離皮膜に覆われた硬化剤(44)を内包させている。
各部屋ごとの主剤と硬化剤の配合比率が均質化できる効果が望める。
さらに部屋ごとに主剤と硬化剤からなる二液性樹脂の内包量を変えることによりサポート対象の形状の多様性にも応えることができる。仕切り(42)は外皮(41)と同じもしくは類似の材料で作られ柔軟性を有しており、外皮(41)と同時成型、接着等の製法で作られる。
【0020】
図4は本発明の別の構成を示す断面図である。
サポートパッドが接触する人体や物のサポート対象面には様々な要求特性がある。通気性、防菌性、消臭性等である。材質的には不織布、ガラスウール、チタン織り込み繊維など多様な組み合わせがある。外皮(31)の外側に要求特性にあったシート(34)をラミネートすることによりサポートパッドに要求される様々な特性を満たすことができる。
【実施例】
【0021】
図6は本発明によるサポートパッドの一使用例を示す断面図である。
靴の中に敷く中敷を足の形状に合わせて成型すると足裏全体に負荷が分散し、疲れにくいことが知られている。
しかし今までの足裏形状に合わせた中敷の製造方法は特許公開平7−314582の事例のように型を必要とし、さらに工程数も多く、そのため費用も時間も労力も非常に多くを必要とし実用性が低いものであった
(53)は本発明によるサポートパッドである。サポートパッド(53)の分離皮膜を機械的、熱的等の外力により破り攪拌した後、靴(52)の内側に敷いて使用者自身の足(51)を挿入する。こうすると中敷用サポートパッド(53)は靴(52)と足(51)に倣った形状に成型される。固化に必要な時間が経過すれば、足型に合った中敷用サポートパッド(53)が完成される。
【特許文献1】特開平7−314582
【0022】
図7は本発明によるサポートパッドの別の使用例を示す正面図である。
事故・病気等により右あるいは左の半身が麻痺した人の場合、筋肉を動かせない為に麻痺した半身の萎縮により体の左右の大きさが違ってくる事がある。
このような状態で椅子に座ると萎縮した側に重心が傾き、なおさら萎縮した側に体重負荷がかかり体勢保持を困難にし座った人に苦痛を与える。
これを軽減する為に、現在は通常の座布団を傾いた側の尻の下に敷いたり、傾く側に支えを置いたりしている。しかしこの方法ではサポート面が点当たりになるとか、毎回最適な高さに設定できないなどサポートして欲しい人の個別の要求に応えられなかった。
(61a)はサポートパッドの無い状態で椅子(63)にすわった半身が萎縮した人である。(61b)は本発明による座布団用サポートパッド(62)により姿勢矯正がなされた半身が萎縮した人である。
座布団用サポートパッド(62)の分離皮膜を機械的、熱的等の外力により破り攪拌した後、椅子(63)に敷く、その上に使用者自身が座る、体勢的に最適な姿勢を決めて保持する。体形にフィットしさらに重心バランスも最適な状態に座布団用サポートパット(62)が成型され固化が始められる、固化に必要な時間が経過すれば体形にフィットし重心バランスも最適な座布団用サポートパッド(62)が完成される。

【0023】
図8は本発明によるサポートパッドの別の使用例を示す。
(71a)は加齢等により背中の丸くなった人である。椅子(73)に背中の丸くなった人(71a)が座ると重心が前に傾き楽に座れない、また背もたれにもたれようとしても点当たりになり苦痛になる。
(71b)は本発明による背もたれ用サポートパッド(72)を使用し姿勢矯正がなされ重心バランスも最適な状態で椅子(73)に乗った、背中の丸くなった人である。
製造手順は本発明による背もたれ用サポートパッド(72)の分離皮膜を機械的、熱的等の外力により破り攪拌した後、椅子(73)の坐面から椅子の背もたれ部(73a)に敷く、その上に使用する人が腰掛けバランスをとり、楽な姿勢で背もたれ用サポートパッド(72)にもたれる。
背もたれ用サポートパッド(72)はバランスがとれ、楽な状態にある使用する人
(71b)の背中と椅子(73)の形に合わせ成型される。固化に必要な時間が経過すれば、使う人の背中(71b)の形状にあった背もたれ用サポートパッド(72)が完成される。


【産業上の利用可能性】
【0024】
加齢による筋肉減少や事故により体形が変わってしまい姿勢を維持しにくくなった人などへの補助具として広く利用できる。
【0025】
梱包時の緩衝材など物の姿勢を保持する用途に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の主な構成の一例を示す断面図である。 分離皮膜を平面状の膜で構成している。
【図2】本発明の別の構成を示す断面図である。 硬化剤を粒状にして点在させている。
【図3】本発明の別の構成を示す断面図である。 分離皮膜を破りやすくする為に外皮内面に突起を設けている。
【図4】本発明の別の構成を示す断面図である。 人体や物への接触面にシートをラミネートしている。
【図5】本発明の別の構成を示す平面図である。 外皮内側空間を仕切りにより複数に分離している。
【図6】本発明の実施例である。 靴の中敷に本特許を利用。
【図7】本発明の実施例である。 椅子用座布団に本特許を利用。
【図8】本発明の実施例である。 背もたれに本特許を利用。
【符号の説明】
【0027】
1:外皮 2:分離皮膜
3:主剤 4:硬化剤

11:外皮 12:分離皮膜
13:主剤 14:硬化剤
15:突起

21:外皮 22:主剤
23a:硬化剤 23b:硬化剤を包む皮膜

31:外皮 32:主剤
33a:硬化剤 33b:硬化剤を包む皮膜
34:外装シート

41:外皮 42:仕切り
43:主剤 44:硬化剤

51:足 52:靴
53:中敷用サポートパッド

61a:サポートパッドが無い状態で椅子に座った半身が萎縮した人
61b:座布団用サポートパッドにより姿勢矯正がなされた半身が萎縮した人
62:座布団用サポートパッド 63:椅子

71a:加齢等により背中の丸くなった人
71b:背もたれ用サポートパッドを使用した背中の丸くなった人
72:背もたれ用サポートパッド 73:椅子
73a:椅子の背もたれ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性のある外皮と、その内側に内包された分離皮膜と、該分離皮膜により主剤と硬化剤が分離された二液性樹脂で構成され、使用時に該分離皮膜を破って混ぜ合わせることにより反応を開始させた後、人体や物に押し当て、形状に添って変形保持させ、固化させることを特徴とするサポートパッド。
【請求項2】
前記分離皮膜を破る手段が外部圧力であることを特徴とする請求項1によるサポートパッド。
【請求項3】
前記分離皮膜を破る方法が熱による溶解であることを特徴とする請求項1によるサポートパッド。
【請求項4】
硬化剤(23a)が皮膜(23b)に覆われた粒上の球、又は多面体の状態で主剤
(22)の中に点在する事を特徴とする請求項1、請求項2、請求項3によるサポート パッド。
【請求項5】
外皮(11)の内面に突起(15)を設けたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4によるサポートパッド。
【請求項6】
外皮(41)の内部が仕切り(42)により複数に分離されていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5によるサポートパッド。
【請求項7】
外皮(31)の表面に外装シート(34)をラミネートすることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6によるサポートパッド。
【請求項8】
靴の中敷として足裏形状および靴形状にフィットする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7によるサポートパッド。
【請求項9】
布団として使用者の体形にフィットし補助する、請求項1、請求項2、請求項3、
請求項4、請求項5、請求項6、請求項7によるサポートパッド。
【請求項10】
背もたれとして使用者の体形にフィットし補助する請求項1、請求項2、請求項3、
請求項4、請求項5、請求項6、請求項7によるサポートパッド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−260189(P2007−260189A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89728(P2006−89728)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(301052700)株式会社埼玉富士 (7)
【Fターム(参考)】