説明

サンドイッチタイプのボード

本発明は、異なる順次積層した層から成り、そして、外側の面及び/又は対向の面に、有機溶剤類に不溶な又はわずかに溶ける透明な熱可塑性物質が添加されている透明なアクリルのポリマーのフィルムを含んでなるタイプでの、サンドイッチタイプのパネルに関する。本発明に準じて、その面及び対向面の表面のフィルムは、類似の熱膨張係数及び類似の湿気吸収係数且つ坪量を有している。本発明は、建築での使用にふさわしい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願人は、重合可能な樹脂類に含浸したセルロース素材での幾層に順次積層した層を用いる様なボードであって、そして、コンパクトなボードを生み出す為にプレスされる、サンドイッチタイプのボード類製造業者である。
【背景技術】
【0002】
これらのボードは、太陽の紫外線の作用により表面での品質が低下する。それ故に、アクリル系ポリマー、例えば、ポリアクリレート又はポリメタクリレート又はそれらの化合物での表面フィルムが、添加され、そして、そのフィルムが、太陽光には透明だが、紫外線を吸収した(国際公開第01/05587号パンフレット)。
【0003】
本出願人は、10年間である最低限の耐久性を想定する、3,000時間の実験室に於ける加速されたエージング条件を用いて、屋外の羽目板(panelling)用の前記ボードを製造している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
西暦2000年の間、本出願人の商業部門は、顧客から不測の苦情を受けた。屋外用のボード類の表面は、白色のしみ、光沢の消失、及び明らかなそりによる、品質の低下があった。
【0005】
本出願人は、損傷したボード類を研究した後、表面のアクリルのフィルムに小さなクラック類を発見した。
【0006】
本出願人は、顧客の苦情が発生した事により目標とされたボード類で観察される表面の劣化がない状況で、極度に悪い環境汚染条件下での試験を繰り返した。
【0007】
それにより、本出願人は、その劣化の原因が、その表面をきれいに維持する為に用いられた異種の製品類が原因で、実際の顧客により無意識に引き起こされた事と、考えた。何故なら、これらの製品は、エチルアルコール、メチルエチルケトン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルアセテート、類の様な別の有機溶剤類を含んでいる。
【0008】
これら化合物の侵蝕試験により、実験室に於いてその状態を再現する事によって、同種の劣化がボードの表面で正しく評価される。即ち、この劣化は、光沢や色の消失、及び本出願人により検知されたクラック類の出現であり、その出現は問題の原因が特定されている事を示している。
【0009】
表面フィルムでのクラックの問題を研究した後、本出願人は、その核心の原因が表面フィルムでのアクリルポリマーの化学構造に関するクラックであると言う事を、考慮している。
【0010】
アクリルポリマー又はアクリル化合物の化学結合の切断は、有機溶剤類の侵蝕により引き起こされた、クラックに於いて認められる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
多くの試験の後、本出願人は、その問題に対する解決はアクリルポリマーが有機溶剤類に溶解しない別のポリマーを導入する事により再構築される事にある、と言う結論に達している。良好な結果は、透明で、有機溶剤類に不溶又は溶け難い、熱可塑性のポリマーをアクリルポリマーに添加する事により、実験室に於いて得られる。
【0012】
そりの問題を研究した後、本出願人は、ボードの上及び下(the top and bottom of the board)が異なる性質を有している時、その核心の原因がそれらの異なった挙動に見出されるという事を、考慮している。そりの原因は、ボードの両側での、異なる熱膨張係数(coefficient of thermal dilation)、異なる湿気吸収係数(coefficient of humidity absorption)、及び異なる坪量(grammage)(重量/表面積)に由来する。
【0013】
そりの問題に対し、その解決は、ボードの下(裏面(reverse))に、坪量、熱膨張係数、及び湿気吸収係数での値に於いて類似の関係を有するフィルムを添加する事により見出される。
【0014】
本発明の主題をより一層理解する為に、実施例での優先の形態は、図面で明らかにされるが、付帯的変化が主題のベースから何も減じない事を前提としている。
【0015】
以下の限定されない実施例は、本発明に関して記述される。
【0016】
図1及び2は、内部の複層(1)の群を有するボードを示し、例えば、それは、フェノール樹脂に含浸したセルロース吸収シートのパッケージ(クラフト紙)、木材のシート、色調(tone)のパッケージ、類であり、それらの成分及び層化は、技術的には既知である。
【0017】
外側(2)は、アクリル系ポリマーのフィルムを有しており、例えば、そのポリマーは、アクリレート、メタクリレート、それらの化合物、類であり、そして、そのポリマーに対し、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、類の様な有機溶剤類にわずかに溶ける又は不溶である熱可塑性ポリマーから成る第二の成分が、添加されている。
【0018】
図3は、そのフィルム上に、例えば、図1及び2の実施例で用いられた熱可塑性ポリマーと同じ性質のポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、類の、追加の熱可塑性ポリマーフィルム(2)が設置されている、アクリル系の外側フィルム(21)有する内部の複層(1)を示す。
【実施例】
【0019】
試験1群
アクリレートが、5重量%のポリサルフォン(PSU)と混合され、ついで、得られたフィルムが、従来のボードに適用された。該ボードが、該フィルムの表面での目立った変化を認識する事なく、アルコールの存在状態で、24時間/室温(室温で24時間の暴露)の条件に置かれた。
【0020】
同じ試験が、同一の結果で、ヘキサン、ベンゼン、及びトルエンが順に存在する状態で繰り返された。
【0021】
試験2群
メタクリレートが、11重量%のポリカーボネート(PC)と混合され、ついで、試験1に記述された条件が再現され、そして、その結果は同じであり、該フィルムの表面での目立った変化はなかった。
【0022】
試験3群
アクリレートが、18重量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)と混合され、ついで、試験1に記述された条件が再現され、そして、該当ボードは、メチルエチルケトンの存在状態でも置かれた。PVDFでの結果は、熱可塑性物質類を有する全ての試験の中でベストであった。
【0023】
実験室に於いて、有機溶剤に不溶で透明な熱可塑性ポリマーを有するアクリルフィルムは、THF又はエチルアセテートの存在状態に曝された時、光沢でのわずかな変化を示すのみである。
【0024】
5〜20%の熱可塑性物質の存在により良好な結果が得られると言う事が、これらの試験から推定され得る。
【0025】
これらの結果を考慮して、本出願人は、多分、熱可塑性物質をアクリルに添加する事は必要ではなく、アクリル系フィルム(21)を有機溶剤類に不溶な透明の熱可塑性物質での追加フィルム(22)で被覆する事で十分であろうと言う事を、推定した。
【0026】
実験室に於いて、その想定は、結果的に事実であり、そして、ボードは、二つの重ね合わせた表面のフィルム(21)、(22)、即ち、既知のアクリル系フィルム及び熱可塑性物質での追加フィルムにより、優れた機能を果たした。
【0027】
アクリルフィルムがサンドイッチボードでの内部の複層に接着する為に、アクリルフィルムの内側表面は、サンドイッチボードでの直に接する前記層に付着する物質を含浸している。
【0028】
ボードのそりに関して、ボードの上側で用いられたフィルム又はフィルム類(2)と同様の、熱膨張係数、湿気吸収係数、及び坪量を同時に有している、フィルム又はフィルム類(3)が、ボードの下側に設置される。
【0029】
図1では、フェノールフィルム類(31)が、下側に用いられており、図2ではメラミンフィルム(32)、及び、図3ではアルミニウムシート/フィルム(33)が用いられている。
【0030】
例証として、次の試験が記載される。
試験1
10重量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含有し、68g/m2の坪量を有し、そして10×10-5×1/Kの線熱膨張係数及び0.2%の湿気吸収係数を有する、アクリルのフィルムが、ボードの上側として用いられる。25×10-6×1/Kの線熱膨張係数及び0.05%の湿気吸収係数を有し、12μm厚み(32g/m2の坪量)のアルミニウムのシートが、ボードの下側として用いられた。最適な結果である。
【0031】
試験2
10重量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含有し、68g/m2の坪量を有し、そして10×10-5×1/Kの線熱膨張係数及び0.2%の湿気吸収係数を有する、アクリルのフィルムが、用いられる。15×10-5×1/Kの線熱膨張係数及び0.15%の湿気吸収係数を有し、50g/m2坪量のポリオレフィンのフィルムが、ボードの下側として用いられた。極めて良好な結果である。
【0032】
試験3
10重量%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含有し、68g/m2の坪量を有し、そして10×10-5×1/Kの線熱膨張係数及び0.2%の湿気吸収係数を有する、アクリルのフィルムが、用いられる。同種類のフィルムが、ボードの下側として用いられる。優れた結果である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明により目標とされたボードの第一の実施例の図式表現である。
【0034】
【図2】図2は、本発明により目標とされたボードの第二の実施例の図式表現である。
【0035】
【図3】図3は、本発明により目標とされたボードの第三の実施例の図式表現である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾層に順次積層した層を備えてなるような、そして、その外側に、上側及び/又は下側として、透明なアクリル系のポリマーのフィルムを有する、サンドイッチタイプのボードであって、有機溶剤類に不溶又はわずかに溶ける、透明の熱可塑性物質が該アクリル系のポリマーフィルムに添加される事を特徴とする、サンドイッチタイプのボード。
【請求項2】
該透明な熱可塑性物質は、該アクリル系のポリマーにその熱可塑性物質を混合する事により添加される事を特徴とする、請求項1に記載されたサンドイッチタイプのボード。
【請求項3】
該透明な熱可塑性物質は、該アクリル系のポリマーフィルム上にフィルムとして添加される事を特徴とする、請求項1に記載されたサンドイッチタイプのボード。
【請求項4】
該透明な熱可塑性物質は、該アクリル系のポリマーに対して5〜20重量%の割合で添加される事を特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載されたサンドイッチタイプのボード。
【請求項5】
該透明な熱可塑性物質は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である事を特徴とする、請求項1に記載されたサンドイッチタイプのボード。
【請求項6】
上側及び下側での表面のフィルムは、類似の熱膨張係数、湿気吸収係数を有している事を特徴とする、請求項1に記載されたサンドイッチタイプのボード。
【請求項7】
下側での外側のフィルムは、アルミニウムのシートである事を特徴とする、請求項6に記載されたサンドイッチタイプのボード。
【請求項8】
下側での外側のフィルムは、ポリオレフィンのフィルムである事を特徴とする、請求項6に記載されたサンドイッチタイプのボード。
【請求項9】
上側及び下側での表面のフィルムは、類似の坪量を有している事を特徴とする、請求項6に記載されたサンドイッチタイプのボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−504548(P2006−504548A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−522583(P2004−522583)
【出願日】平成14年9月17日(2002.9.17)
【国際出願番号】PCT/ES2002/000439
【国際公開番号】WO2004/009274
【国際公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(505023951)プロデマ,ソシエダ アノニマ (1)
【Fターム(参考)】