サンドイッチハニカム構造の製造方法
【課題】ハニカムセルの開口する端面に段差部が形成されるハニカムコアを容易に製造することのできるサンドイッチハニカム構造の製造方法を提供する。
【解決手段】複数のシート材を接着して積重することにより未展張ブロックを形成し、所望の展張後形状に対応する形状で未展張ブロックから未展張のハニカムコア10を切り出した後に、この未展張のハニカムコア10を展張する。展張されたハニカムコア10の端面12,13には、ハニカムセル11の延伸方向において段差を有する段差部10dが形成されている。未展張ブロックを形成する際に、段差部10dを形成するハニカムセル111のセル壁の数を減少すべく、同ハニカムセル111のセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁111aを同ハニカムセル111の延伸方向と垂直な方向において延長するようにシート材の接着部位を設定する。
【解決手段】複数のシート材を接着して積重することにより未展張ブロックを形成し、所望の展張後形状に対応する形状で未展張ブロックから未展張のハニカムコア10を切り出した後に、この未展張のハニカムコア10を展張する。展張されたハニカムコア10の端面12,13には、ハニカムセル11の延伸方向において段差を有する段差部10dが形成されている。未展張ブロックを形成する際に、段差部10dを形成するハニカムセル111のセル壁の数を減少すべく、同ハニカムセル111のセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁111aを同ハニカムセル111の延伸方向と垂直な方向において延長するようにシート材の接着部位を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチハニカム構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材質の高強度と軽量化との両立を図るために、航空機の内装材等においてサンドイッチハニカム構造が広く採用されている。サンドイッチハニカム構造は通常、横断面が正六角形をなす中空柱状のハニカムセルの平面的集合体によって構成されるハニカムコアと、このハニカムコアにおいてハニカムセルが開口する端面に接着される表面材とによって構成されている。こうしたサンドイッチハニカム構造の製造方法としては、例えば特許文献1に記載の方法が知られている。すなわち、複数のシート材を所定の接着部で接着して積重することにより未展張ブロックを形成した後に、この未展張ブロックから平板状のハニカムコアを切り出す。そして、この未展張のハニカムコアをシート材の積重方向に引張することにより、同ハニカムコアは中空柱状のハニカムセルの平面的集合体になるように展張される。その後、展張されたハニカムコアにおいてハニカムセルが開口する端面に表面材を接着し、サンドイッチハニカム構造が完成する。
【特許文献1】特開2001−38832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、意匠性の向上等を図るため、段差部等の形状急変部を有する表面材を採用することが要求されている。ここで、展張された平板状のハニカムコアは中空柱状のハニカムセルの平面的集合体によって構成されており、そのハニカムコアにおいてハニカムセルが開口する端面が湾曲することが規制されている。そのため、形状急変部を有する表面材とハニカムコアとを密接させるためには、そのハニカムコアの端面を表面材の形状急変部の形状に合わせて切削する加工を行うことが必要となる。しかしながら、展張されたハニカムコアの端面を精確に切削することが困難であるため、こうした切削加工を採用すると、サンドイッチハニカム構造の製造に要する時間及びコストが増大するおそれがある。
【0004】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハニカムセルの開口する端面に形状急変部が形成されるハニカムコアを容易に製造することのできるサンドイッチハニカム構造の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、複数のシート材を所定の接着部位で接着して積重することにより未展張ブロックを形成する積重工程と、所望の展張後形状に対応する形状で前記未展張ブロックから未展張のハニカムコアを切り出す切出工程と、前記切り出された未展張のハニカムコアを前記シート材の積重方向に引張することにより、同ハニカムコアが横断面の正六角形をなす中空柱状のハニカムセルの平面的集合体になるようにこれを展張する展張工程と、前記展張後のハニカムコアにおいて前記ハニカムセルが開口する端面に表面材を接着する表面材接着工程とを備えるサンドイッチハニカム構造の製造方法であって、前記展張後のハニカムコアにおいて前記ハニカムセルが開口する端面には、同ハニカムセルの延伸方向において形状が変化する形状急変部が形成されており、前記積重工程は、前記形状急変部を形成する前記ハニカムセルのセル壁の数を減少すべく、同ハニカムセルのセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁を同ハニカムセルの延伸方向と垂直な方向において延長するように前記接着部位を設定することをその要旨とする。
【0006】
同構成によれば、所望の展張後形状に対応する形状で未展張ブロックから未展張のハニカムコアを切り出すことにより、例えば未展張ブロックから平板状のハニカムコアを切り出して展張した後に同ハニカムコアを切削する方法と比較して、展張後のハニカムコアにおいてハニカムセルが開口する端面を切削することを回避することができ、ハニカムセルの開口する端面に形状急変部が形成されるハニカムコアを容易に製造することができるようになる。
【0007】
ところで、積重工程においてシート材を接着して積重する際に、誤差等によりシート材の実際の接着部位と所望の接着部位との間にずれが発生するおそれがある。このようにずれが発生すると、未展張のハニカムコアを正確に切り出したとしても、展張後のハニカムコアの形状と所望の形状との間にずれが発生することとなる。特に、ハニカムコアの端面において形状急変部が形成された部分において、こうした不都合がより顕著になり、表面材をハニカムコアの端面に接着する際に、その形状急変部において表面材とハニカムコアの端面とが密接できないおそれがある。
【0008】
この点、上記構成では、形状急変部を形成するハニカムセルのセル壁の数を減少すべく、同ハニカムセルのセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁を同ハニカムセルの延伸方向と垂直な方向において延長するようにシート材の接着部位を設定するようにしている。これにより、形状急変部におけるシート材の接着箇所の数が減少するため、形状急変部においてシート材の実際の接着部位と所望の接着部位との間の偏差により展張後のハニカムコアの形状と所望の形状との間に偏差が発生することを抑制することができ、表面材をハニカムコアの端面に接着する際に形状急変部においてこれら表面材とハニカムコアの端面とが密接できないことを抑制することができるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のサンドイッチハニカム構造の製造方法において、前記形状急変部は、前記延長されるセル壁を備えて同セル壁と垂直な方向において排列する一列の前記ハニカムセルに含まれることをその要旨とする。
【0010】
同構成によれば、形状急変部が延長されるセル壁を備えて同セル壁と垂直な方向において排列する一列のハニカムセルに含まれるため、その形状急変部を形成するハニカムセルのセル壁の数を極力減少させることができ、形状急変部においてシート材の実際の接着部位と所望の接着部位との間の偏差により展張後のハニカムコアの形状と所望の形状との間に偏差が発生することを好適に抑制することができるようになる。
【0011】
なお、形状急変部としては、例えば請求項3に記載のように、前記ハニカムセルの延伸方向において段差を有する段差部等が挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るサンドイッチハニカム構造の製造方法によれば、ハニカムセルの開口する端面に形状急変部が形成されるハニカムコアを容易に製造することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るサンドイッチハニカム構造の製造方法を航空機の内装材を構成するサンドイッチハニカム構造の製造方法に適用した一実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
【0014】
まず、本実施形態に係るサンドイッチハニカム構造の完成後の態様について図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、航空機の内装材を構成するサンドイッチハニカム構造を示す破断斜視図であり、図2は、図1の2−2線に沿った断面の構造を示す断面図である。これら図1及び図2に示されるように、板状のサンドイッチハニカム構造50(以下、「ハニカム構造50」と称する)は、横断面が正六角形をなす中空柱状のハニカムセル11の平面的集合体によって構成されるハニカムコア10と、このハニカムコア10においてハニカムセル11が開口する端面12,13に接着される表面材20、30とによって構成されている。なお、本実施形態では、ハニカムコア10は、アルミニウムにより形成されており、表面材20,30は、プリプレグにより形成されている。
【0015】
表面材20,30は、ハニカムセル11を形成するセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁11aと垂直な方向(図中では方向X)に沿って延伸するとともに、同方向Xと垂直な方向に向けて湾曲するように形成されている。また、これら表面材20,30には、ハニカムセル11の延伸方向(図中では方向Z)において段差を有する段差部20d,30dが方向Xに沿って延伸するように形成されている。
【0016】
一方、ハニカムコア10には、その端面12,13において方向Zにおける段差を有する段差部10dが段差部20d,30dに対応して形成されている。なお、この段差部10dは、ハニカムセル11のセル壁11aと垂直な方向、すなわち方向Xにおいて排列する一列のハニカムセル111に含まれている。この一列のハニカムセル111において他のハニカムセル11のセル壁11aに対応するセル壁111aは、同ハニカムセル111の延伸方向と垂直な方向(図中では方向Y)において延長されており、このセル壁111aの方向Yにおける幅W1は、段差部10dの方向Yにおける幅W2よりも大きく設定されている。
【0017】
次に、本実施形態に係るハニカム構造50の製造方法について図3〜図8を参照して説明する。なお、図3〜図8における方向X,Y,Zは、図1の方向X,Y,Zにそれぞれ対応する。
【0018】
本実施形態に係るハニカム構造50の製造方法は、シート材を所定の接着部位で接着して積重することにより未展張ブロックを形成する積重工程、未展張ブロックから未展張のハニカムコアを切り出す切出工程、ハニカムコアを展張する展張工程、及び展張されたハニカムコアに表面材を接着する表面材接着工程を備えている。
【0019】
[積重工程]
図3は、本実施形態に係る積重工程においてシート材を積重する態様を模式的に示す斜視図であり、図4は、後述の展張工程において展張された後のシート材の態様及び同シート材の接着部位を模式的に示す説明図である。これら図3及び図4に示されるように、本実施形態の積重工程では、異なる接着部位に接着剤が塗布される2種類のシート材SA,SBを方向Xに沿って交互に積重することにより、未展張ブロックMBを形成するようにしている。
【0020】
シート材SBおいて上述のハニカムセル11に対応する位置には、方向Zに延伸する複数の接着部位SB1に接着剤が塗布されている。これら接着部位SB1の方向Yにおける幅は、上述したハニカムセル11の横断面の辺の長さHと等しく設定されている。また、上述の延長されるハニカムセル111のセル壁111aに対応する位置には、方向Zに延伸する1つの接着部位SB2に接着剤が塗布されている。この接着部位SB2の方向Yにおける幅は、図2に示される幅W1と等しく設定されている。なお、これら接着部位SB1,SB2の方向Yにおける間隔の幅は、長さHの3倍(「3H」)に設定されている。
【0021】
一方、シート材SAにおいてシート材SBの接着部位SB1及びSB2に対応する位置から長さHの2倍(「2H」)だけずれた位置に、方向Zに延伸する複数の接着部位SA1に接着剤が塗布されている。これら接着部位SA1の方向Yにおける幅は、長さHに設定されている。なお、上述のハニカムセル111に対応する位置における2つの接着部位SA1の間の距離は、「W1+2H」に設定されている。
【0022】
ここで、このように形成された未展張ブロックMBにおいて、シート材SBの接着部位SB2及び同接着部位SB2に接着されるシート材SAの部位は、上述したハニカムコア10の段差部10dを形成するハニカムセル111のセル壁111aを形成する。すなわち、本実施形態の積重工程では、上述のハニカムコア10の段差部10dが一列のハニカムセル111に含まれるように、同ハニカムセル111のセル壁111aを同ハニカムセル111の延伸方向と垂直な方向において延長するようにシート材SA,SBの接着部位を設定している。これにより、段差部10dを形成するハニカムセル111のセル壁の数を極力減少させることができる。
【0023】
[切出工程]
図5は、切出工程において未展張のハニカムコア10を切り出す態様を示す斜視図である。
【0024】
図5に示されるように、本実施形態の切出工程では、積重工程において形成された未展張ブロックMBから図1及び図2に示される展張後形状に対応する形状で未展張のハニカムコア10を切り出す。具体的には、ハニカムコア10の段差部10dが接着部位SB2に対応するように、未展張のハニカムコア10をシート材SA,SBの積重方向(図中では方向X)に沿って切り出す。なお、この切出工程において切り出される未展張のハニカムコア10の形状とその展張後形状との関係については、後述する。
【0025】
[展張工程]
図6は、ハニカムコア10の展張に伴うその平面形状の変化態様を示す平面図であり、図7は、ハニカムコア10の展張に伴うその側面形状の変化態様を示す側面図である。
【0026】
図6に示されるように、本実施形態の展張工程では、切出工程において切り出された未展張のハニカムコア10をシート材SA,SBの積重方向(図中では方向X)に引張することにより、同ハニカムコア10が横断面の正六角形をなす中空柱状のハニカムセル11の平面的集合体になるようにこれを展張する。このようにハニカムコア10が展張された状態において、段差部10dは、方向Xにおいて排列する一列のハニカムセル111に含まれている。なお、上述したように、この段差部10dを形成するハニカムセル111の互いに平行な一対のセル壁111aは、シート材SBの接着部位SB2及びこの接着部位SB2に接着されるシート材SAの部位によって形成されている。
【0027】
また、ハニカムコア10は上述のように方向Xにおいて展張されると、同ハニカムコア10の方向Yにおける幅が短くなり、ハニカムコア10の平面形状及び側面形状が変化する。具体的には、図6及び図7に示されるように、展張された後のハニカムコア10の方向Yにおける幅L2が、展張される前の幅L1よりも小さくなり、展張された後のハニカムコア10の湾曲度合が展張される前の湾曲度合よりも大きくなる。なお、ハニカムコア10の段差部10dは、方向Xにおいて排列する一列のハニカムセル111に含まれているため、ハニカムコア10が展張されることにより同段差部10dの側面形状が変化することはない。
【0028】
ここで、実験や幾何計算により、ハニカムコア10の展張される前の形状と展張された後の形状との対応関係を算出することができる。上述の切出工程では、所望のハニカムコア10の展張後形状、すなわち表面材20,30に対応する形状に基づいて、その展張後形状に対応する形状で未展張のハニカムコア10を切り出すようにしている。
【0029】
[表面材接着工程]
上述のようにハニカムコア10が展張された後に、図8に示されるように、表面材20,30をその展張後のハニカムコア10の端面12,13にそれぞれ接着して、サンドイッチハニカム構造が完成する。
【0030】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)所望の展張後形状に対応する形状で未展張ブロックMBから未展張のハニカムコア10を切り出すようにした。これにより、例えば未展張ブロックMBから平板状のハニカムコアを切り出して展張した後に同ハニカムコアを切削する方法と比較して、展張後のハニカムコアにおいてハニカムセルが開口する端面を切削することを回避することができ、ハニカムセル11が開口する端面12,13に段差部10dが形成されるハニカムコア10を容易に製造することができる。
【0031】
ところで、積重工程においてシート材SA,SBを接着して積重する際に、誤差等によりシート材SA,SBの実際の接着部位と所望の接着部位との間にずれが発生するおそれがある。このようにずれが発生すると、未展張のハニカムコア10を正確に切り出したとしても、展張後のハニカムコア10の形状と所望の形状、すなわち表面材20,30に対応する形状との間にずれが発生することとなる。特に、ハニカムコア10の端面12,13において段差部10dが形成された部分については、こうした不都合がより顕著になり、表面材20,30をハニカムコア10の端面12,13に接着する際に、その段差部10dにおいて表面材20,30とハニカムコア10の端面12,13とが密接できないおそれがある。
【0032】
そこで、上記実施形態の積重工程では、段差部10dを形成するハニカムセル111のセル壁の数を減少すべく、同ハニカムセル111のセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁111aを同ハニカムセル111の延伸方向と垂直な方向において延長するようにシート材SA,SBの接着部位を設定するようにしている。これにより、段差部10dにおけるシート材SA,SBの接着箇所の数が減少するため、段差部10dにおいてシート材SA,SBの実際の接着部位と所望の接着部位との間の偏差により展張後のハニカムコア10の形状と所望の形状との間に偏差が発生することを抑制することができ、表面材20,30をハニカムコア10の端面12,13に接着する際に段差部10dにおいてこれら表面材20,30とハニカムコア10の端面12,13とが密接できないことを抑制することができる。
【0033】
(2)ハニカムコア10の段差部10dが延長されるセル壁111aを備えて同セル壁111aと垂直な方向において排列する一列のハニカムセル111に含まれることとした。これにより、その段差部10dを形成するハニカムセルのセル壁の数を極力減少させることができ、段差部10dにおいてシート材SA,SBの実際の接着部位と所望の接着部位との間の偏差により展張後のハニカムコア10の形状と所望の形状との間に偏差が発生することを好適に抑制することができる。
【0034】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、ハニカムコア10の段差部10dが一列のハニカムセル111に含まれるように、そのハニカムセル111のセル壁111aを延長する構成を採用している。これに限らず、例えば段差部10dが一列のハニカムセル111に含まれるようにそのセル壁111aを延長したときにハニカム構造50の強度が要求される強度を満たさない場合には、図9に示されるように、段差部10dが二列のハニカムセル111に含まれるようにそれらのセル壁111aを延長する構成を採用することができる。また、段差部10dが三列以上のハニカムセルに含まれるようにそれらのセル壁を延長する構成を採用することもできる。要するに、段差部10dを形成するハニカムセルのセル壁の数を減少するようにそのセル壁を延長する構成であれば、表面材20,30をハニカムコア10の端面12,13に接着する際に段差部10dにおいてこれら表面材20,30とハニカムコア10の端面12,13とが密接できないことを抑制することができる。
【0035】
・上記実施形態では、端面12,13に段差部10dが形成されたハニカムコア10を備えるハニカム構造50の製造方法に本発明を適用した場合について例示した。これに限らず、端面12,13に急カーブ等、ハニカムセル11の延伸方向において形状が変化する他の形状急変部が形成されるハニカムコアを備えるハニカム構造の製造方法に本発明を適用することもできる。
【0036】
・上記実施形態では、図5に示されるように、切出工程において未展張ブロックMBから同図の方向Xに沿って延伸するハニカムコア10を切り出すようにしている。これに限らず、例えば図10に示されるように、所望の展張後形状に合わせて方向Xと垂直な方向に向けて湾曲するとともに、方向Yと垂直な方向に向けて湾曲する形状等、いわば三次元形状を有するハニカムコア10を未展張ブロックMBから切り出すこともできる。
【0037】
・上記実施形態では、アルミニウムにより形成されたハニカムコア10を備えるハニカム構造50の製造方法に本発明を適用した場合について例示したが、これに限らず、例えばアラミド紙等、他の材料により形成されるハニカムコアを備えるハニカム構造の製造方法に本発明を適用することもできる。また、上記実施形態では、プリプレグにより形成された表面材20,30を採用しているが、アルミニウム等、他の材料により形成される表面材を採用することもできる。
【0038】
・上記実施形態では、航空機の内装材を構成するサンドイッチハニカム構造の製造方法に本発明を適用した場合について例示したが、これに限らず、例えば車両の内装材や部屋の壁材等を構成するサンドイッチハニカム構造の製造方法についても、基本的に同様の態様をもって本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係るサンドイッチハニカム構造の完成後の態様を示す破断斜視図。
【図2】図1の2−2線に沿った断面の構造を示す断面図。
【図3】同実施形態に係る積重工程においてシート材を積重する態様を模式的に示す斜視図。
【図4】同実施形態に係る展張工程において展張された後のシート材の態様及び同シート材の接着部位を模式的に示す説明図。
【図5】同実施形態に係る切出工程において未展張のハニカムコアを切り出す態様を示す斜視図。
【図6】同実施形態に係るハニカムコアの展張に伴うその平面形状の変化態様を示す平面図。
【図7】同実施形態に係るハニカムコアの展張に伴うその側面形状の変化態様を示す側面図。
【図8】同実施形態に係る表面材接着工程において表面材をハニカムコアに接着する態様を示す側面図。
【図9】上記ハニカムコアの変形例を示す説明図。
【図10】上記切出工程において切り出されるハニカムコアの変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0040】
SA,SB…シート材、SA1,SB1,SB2…接着部位、10…ハニカムコア、10d…段差部、11…ハニカムセル、11a…セル壁、12,13…端面、20,30…表面材、20d,30d…段差部、50…サンドイッチハニカム構造、111…ハニカムセル、111a…セル壁。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチハニカム構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材質の高強度と軽量化との両立を図るために、航空機の内装材等においてサンドイッチハニカム構造が広く採用されている。サンドイッチハニカム構造は通常、横断面が正六角形をなす中空柱状のハニカムセルの平面的集合体によって構成されるハニカムコアと、このハニカムコアにおいてハニカムセルが開口する端面に接着される表面材とによって構成されている。こうしたサンドイッチハニカム構造の製造方法としては、例えば特許文献1に記載の方法が知られている。すなわち、複数のシート材を所定の接着部で接着して積重することにより未展張ブロックを形成した後に、この未展張ブロックから平板状のハニカムコアを切り出す。そして、この未展張のハニカムコアをシート材の積重方向に引張することにより、同ハニカムコアは中空柱状のハニカムセルの平面的集合体になるように展張される。その後、展張されたハニカムコアにおいてハニカムセルが開口する端面に表面材を接着し、サンドイッチハニカム構造が完成する。
【特許文献1】特開2001−38832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、意匠性の向上等を図るため、段差部等の形状急変部を有する表面材を採用することが要求されている。ここで、展張された平板状のハニカムコアは中空柱状のハニカムセルの平面的集合体によって構成されており、そのハニカムコアにおいてハニカムセルが開口する端面が湾曲することが規制されている。そのため、形状急変部を有する表面材とハニカムコアとを密接させるためには、そのハニカムコアの端面を表面材の形状急変部の形状に合わせて切削する加工を行うことが必要となる。しかしながら、展張されたハニカムコアの端面を精確に切削することが困難であるため、こうした切削加工を採用すると、サンドイッチハニカム構造の製造に要する時間及びコストが増大するおそれがある。
【0004】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハニカムセルの開口する端面に形状急変部が形成されるハニカムコアを容易に製造することのできるサンドイッチハニカム構造の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、複数のシート材を所定の接着部位で接着して積重することにより未展張ブロックを形成する積重工程と、所望の展張後形状に対応する形状で前記未展張ブロックから未展張のハニカムコアを切り出す切出工程と、前記切り出された未展張のハニカムコアを前記シート材の積重方向に引張することにより、同ハニカムコアが横断面の正六角形をなす中空柱状のハニカムセルの平面的集合体になるようにこれを展張する展張工程と、前記展張後のハニカムコアにおいて前記ハニカムセルが開口する端面に表面材を接着する表面材接着工程とを備えるサンドイッチハニカム構造の製造方法であって、前記展張後のハニカムコアにおいて前記ハニカムセルが開口する端面には、同ハニカムセルの延伸方向において形状が変化する形状急変部が形成されており、前記積重工程は、前記形状急変部を形成する前記ハニカムセルのセル壁の数を減少すべく、同ハニカムセルのセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁を同ハニカムセルの延伸方向と垂直な方向において延長するように前記接着部位を設定することをその要旨とする。
【0006】
同構成によれば、所望の展張後形状に対応する形状で未展張ブロックから未展張のハニカムコアを切り出すことにより、例えば未展張ブロックから平板状のハニカムコアを切り出して展張した後に同ハニカムコアを切削する方法と比較して、展張後のハニカムコアにおいてハニカムセルが開口する端面を切削することを回避することができ、ハニカムセルの開口する端面に形状急変部が形成されるハニカムコアを容易に製造することができるようになる。
【0007】
ところで、積重工程においてシート材を接着して積重する際に、誤差等によりシート材の実際の接着部位と所望の接着部位との間にずれが発生するおそれがある。このようにずれが発生すると、未展張のハニカムコアを正確に切り出したとしても、展張後のハニカムコアの形状と所望の形状との間にずれが発生することとなる。特に、ハニカムコアの端面において形状急変部が形成された部分において、こうした不都合がより顕著になり、表面材をハニカムコアの端面に接着する際に、その形状急変部において表面材とハニカムコアの端面とが密接できないおそれがある。
【0008】
この点、上記構成では、形状急変部を形成するハニカムセルのセル壁の数を減少すべく、同ハニカムセルのセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁を同ハニカムセルの延伸方向と垂直な方向において延長するようにシート材の接着部位を設定するようにしている。これにより、形状急変部におけるシート材の接着箇所の数が減少するため、形状急変部においてシート材の実際の接着部位と所望の接着部位との間の偏差により展張後のハニカムコアの形状と所望の形状との間に偏差が発生することを抑制することができ、表面材をハニカムコアの端面に接着する際に形状急変部においてこれら表面材とハニカムコアの端面とが密接できないことを抑制することができるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のサンドイッチハニカム構造の製造方法において、前記形状急変部は、前記延長されるセル壁を備えて同セル壁と垂直な方向において排列する一列の前記ハニカムセルに含まれることをその要旨とする。
【0010】
同構成によれば、形状急変部が延長されるセル壁を備えて同セル壁と垂直な方向において排列する一列のハニカムセルに含まれるため、その形状急変部を形成するハニカムセルのセル壁の数を極力減少させることができ、形状急変部においてシート材の実際の接着部位と所望の接着部位との間の偏差により展張後のハニカムコアの形状と所望の形状との間に偏差が発生することを好適に抑制することができるようになる。
【0011】
なお、形状急変部としては、例えば請求項3に記載のように、前記ハニカムセルの延伸方向において段差を有する段差部等が挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るサンドイッチハニカム構造の製造方法によれば、ハニカムセルの開口する端面に形状急変部が形成されるハニカムコアを容易に製造することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るサンドイッチハニカム構造の製造方法を航空機の内装材を構成するサンドイッチハニカム構造の製造方法に適用した一実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
【0014】
まず、本実施形態に係るサンドイッチハニカム構造の完成後の態様について図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、航空機の内装材を構成するサンドイッチハニカム構造を示す破断斜視図であり、図2は、図1の2−2線に沿った断面の構造を示す断面図である。これら図1及び図2に示されるように、板状のサンドイッチハニカム構造50(以下、「ハニカム構造50」と称する)は、横断面が正六角形をなす中空柱状のハニカムセル11の平面的集合体によって構成されるハニカムコア10と、このハニカムコア10においてハニカムセル11が開口する端面12,13に接着される表面材20、30とによって構成されている。なお、本実施形態では、ハニカムコア10は、アルミニウムにより形成されており、表面材20,30は、プリプレグにより形成されている。
【0015】
表面材20,30は、ハニカムセル11を形成するセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁11aと垂直な方向(図中では方向X)に沿って延伸するとともに、同方向Xと垂直な方向に向けて湾曲するように形成されている。また、これら表面材20,30には、ハニカムセル11の延伸方向(図中では方向Z)において段差を有する段差部20d,30dが方向Xに沿って延伸するように形成されている。
【0016】
一方、ハニカムコア10には、その端面12,13において方向Zにおける段差を有する段差部10dが段差部20d,30dに対応して形成されている。なお、この段差部10dは、ハニカムセル11のセル壁11aと垂直な方向、すなわち方向Xにおいて排列する一列のハニカムセル111に含まれている。この一列のハニカムセル111において他のハニカムセル11のセル壁11aに対応するセル壁111aは、同ハニカムセル111の延伸方向と垂直な方向(図中では方向Y)において延長されており、このセル壁111aの方向Yにおける幅W1は、段差部10dの方向Yにおける幅W2よりも大きく設定されている。
【0017】
次に、本実施形態に係るハニカム構造50の製造方法について図3〜図8を参照して説明する。なお、図3〜図8における方向X,Y,Zは、図1の方向X,Y,Zにそれぞれ対応する。
【0018】
本実施形態に係るハニカム構造50の製造方法は、シート材を所定の接着部位で接着して積重することにより未展張ブロックを形成する積重工程、未展張ブロックから未展張のハニカムコアを切り出す切出工程、ハニカムコアを展張する展張工程、及び展張されたハニカムコアに表面材を接着する表面材接着工程を備えている。
【0019】
[積重工程]
図3は、本実施形態に係る積重工程においてシート材を積重する態様を模式的に示す斜視図であり、図4は、後述の展張工程において展張された後のシート材の態様及び同シート材の接着部位を模式的に示す説明図である。これら図3及び図4に示されるように、本実施形態の積重工程では、異なる接着部位に接着剤が塗布される2種類のシート材SA,SBを方向Xに沿って交互に積重することにより、未展張ブロックMBを形成するようにしている。
【0020】
シート材SBおいて上述のハニカムセル11に対応する位置には、方向Zに延伸する複数の接着部位SB1に接着剤が塗布されている。これら接着部位SB1の方向Yにおける幅は、上述したハニカムセル11の横断面の辺の長さHと等しく設定されている。また、上述の延長されるハニカムセル111のセル壁111aに対応する位置には、方向Zに延伸する1つの接着部位SB2に接着剤が塗布されている。この接着部位SB2の方向Yにおける幅は、図2に示される幅W1と等しく設定されている。なお、これら接着部位SB1,SB2の方向Yにおける間隔の幅は、長さHの3倍(「3H」)に設定されている。
【0021】
一方、シート材SAにおいてシート材SBの接着部位SB1及びSB2に対応する位置から長さHの2倍(「2H」)だけずれた位置に、方向Zに延伸する複数の接着部位SA1に接着剤が塗布されている。これら接着部位SA1の方向Yにおける幅は、長さHに設定されている。なお、上述のハニカムセル111に対応する位置における2つの接着部位SA1の間の距離は、「W1+2H」に設定されている。
【0022】
ここで、このように形成された未展張ブロックMBにおいて、シート材SBの接着部位SB2及び同接着部位SB2に接着されるシート材SAの部位は、上述したハニカムコア10の段差部10dを形成するハニカムセル111のセル壁111aを形成する。すなわち、本実施形態の積重工程では、上述のハニカムコア10の段差部10dが一列のハニカムセル111に含まれるように、同ハニカムセル111のセル壁111aを同ハニカムセル111の延伸方向と垂直な方向において延長するようにシート材SA,SBの接着部位を設定している。これにより、段差部10dを形成するハニカムセル111のセル壁の数を極力減少させることができる。
【0023】
[切出工程]
図5は、切出工程において未展張のハニカムコア10を切り出す態様を示す斜視図である。
【0024】
図5に示されるように、本実施形態の切出工程では、積重工程において形成された未展張ブロックMBから図1及び図2に示される展張後形状に対応する形状で未展張のハニカムコア10を切り出す。具体的には、ハニカムコア10の段差部10dが接着部位SB2に対応するように、未展張のハニカムコア10をシート材SA,SBの積重方向(図中では方向X)に沿って切り出す。なお、この切出工程において切り出される未展張のハニカムコア10の形状とその展張後形状との関係については、後述する。
【0025】
[展張工程]
図6は、ハニカムコア10の展張に伴うその平面形状の変化態様を示す平面図であり、図7は、ハニカムコア10の展張に伴うその側面形状の変化態様を示す側面図である。
【0026】
図6に示されるように、本実施形態の展張工程では、切出工程において切り出された未展張のハニカムコア10をシート材SA,SBの積重方向(図中では方向X)に引張することにより、同ハニカムコア10が横断面の正六角形をなす中空柱状のハニカムセル11の平面的集合体になるようにこれを展張する。このようにハニカムコア10が展張された状態において、段差部10dは、方向Xにおいて排列する一列のハニカムセル111に含まれている。なお、上述したように、この段差部10dを形成するハニカムセル111の互いに平行な一対のセル壁111aは、シート材SBの接着部位SB2及びこの接着部位SB2に接着されるシート材SAの部位によって形成されている。
【0027】
また、ハニカムコア10は上述のように方向Xにおいて展張されると、同ハニカムコア10の方向Yにおける幅が短くなり、ハニカムコア10の平面形状及び側面形状が変化する。具体的には、図6及び図7に示されるように、展張された後のハニカムコア10の方向Yにおける幅L2が、展張される前の幅L1よりも小さくなり、展張された後のハニカムコア10の湾曲度合が展張される前の湾曲度合よりも大きくなる。なお、ハニカムコア10の段差部10dは、方向Xにおいて排列する一列のハニカムセル111に含まれているため、ハニカムコア10が展張されることにより同段差部10dの側面形状が変化することはない。
【0028】
ここで、実験や幾何計算により、ハニカムコア10の展張される前の形状と展張された後の形状との対応関係を算出することができる。上述の切出工程では、所望のハニカムコア10の展張後形状、すなわち表面材20,30に対応する形状に基づいて、その展張後形状に対応する形状で未展張のハニカムコア10を切り出すようにしている。
【0029】
[表面材接着工程]
上述のようにハニカムコア10が展張された後に、図8に示されるように、表面材20,30をその展張後のハニカムコア10の端面12,13にそれぞれ接着して、サンドイッチハニカム構造が完成する。
【0030】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)所望の展張後形状に対応する形状で未展張ブロックMBから未展張のハニカムコア10を切り出すようにした。これにより、例えば未展張ブロックMBから平板状のハニカムコアを切り出して展張した後に同ハニカムコアを切削する方法と比較して、展張後のハニカムコアにおいてハニカムセルが開口する端面を切削することを回避することができ、ハニカムセル11が開口する端面12,13に段差部10dが形成されるハニカムコア10を容易に製造することができる。
【0031】
ところで、積重工程においてシート材SA,SBを接着して積重する際に、誤差等によりシート材SA,SBの実際の接着部位と所望の接着部位との間にずれが発生するおそれがある。このようにずれが発生すると、未展張のハニカムコア10を正確に切り出したとしても、展張後のハニカムコア10の形状と所望の形状、すなわち表面材20,30に対応する形状との間にずれが発生することとなる。特に、ハニカムコア10の端面12,13において段差部10dが形成された部分については、こうした不都合がより顕著になり、表面材20,30をハニカムコア10の端面12,13に接着する際に、その段差部10dにおいて表面材20,30とハニカムコア10の端面12,13とが密接できないおそれがある。
【0032】
そこで、上記実施形態の積重工程では、段差部10dを形成するハニカムセル111のセル壁の数を減少すべく、同ハニカムセル111のセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁111aを同ハニカムセル111の延伸方向と垂直な方向において延長するようにシート材SA,SBの接着部位を設定するようにしている。これにより、段差部10dにおけるシート材SA,SBの接着箇所の数が減少するため、段差部10dにおいてシート材SA,SBの実際の接着部位と所望の接着部位との間の偏差により展張後のハニカムコア10の形状と所望の形状との間に偏差が発生することを抑制することができ、表面材20,30をハニカムコア10の端面12,13に接着する際に段差部10dにおいてこれら表面材20,30とハニカムコア10の端面12,13とが密接できないことを抑制することができる。
【0033】
(2)ハニカムコア10の段差部10dが延長されるセル壁111aを備えて同セル壁111aと垂直な方向において排列する一列のハニカムセル111に含まれることとした。これにより、その段差部10dを形成するハニカムセルのセル壁の数を極力減少させることができ、段差部10dにおいてシート材SA,SBの実際の接着部位と所望の接着部位との間の偏差により展張後のハニカムコア10の形状と所望の形状との間に偏差が発生することを好適に抑制することができる。
【0034】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、ハニカムコア10の段差部10dが一列のハニカムセル111に含まれるように、そのハニカムセル111のセル壁111aを延長する構成を採用している。これに限らず、例えば段差部10dが一列のハニカムセル111に含まれるようにそのセル壁111aを延長したときにハニカム構造50の強度が要求される強度を満たさない場合には、図9に示されるように、段差部10dが二列のハニカムセル111に含まれるようにそれらのセル壁111aを延長する構成を採用することができる。また、段差部10dが三列以上のハニカムセルに含まれるようにそれらのセル壁を延長する構成を採用することもできる。要するに、段差部10dを形成するハニカムセルのセル壁の数を減少するようにそのセル壁を延長する構成であれば、表面材20,30をハニカムコア10の端面12,13に接着する際に段差部10dにおいてこれら表面材20,30とハニカムコア10の端面12,13とが密接できないことを抑制することができる。
【0035】
・上記実施形態では、端面12,13に段差部10dが形成されたハニカムコア10を備えるハニカム構造50の製造方法に本発明を適用した場合について例示した。これに限らず、端面12,13に急カーブ等、ハニカムセル11の延伸方向において形状が変化する他の形状急変部が形成されるハニカムコアを備えるハニカム構造の製造方法に本発明を適用することもできる。
【0036】
・上記実施形態では、図5に示されるように、切出工程において未展張ブロックMBから同図の方向Xに沿って延伸するハニカムコア10を切り出すようにしている。これに限らず、例えば図10に示されるように、所望の展張後形状に合わせて方向Xと垂直な方向に向けて湾曲するとともに、方向Yと垂直な方向に向けて湾曲する形状等、いわば三次元形状を有するハニカムコア10を未展張ブロックMBから切り出すこともできる。
【0037】
・上記実施形態では、アルミニウムにより形成されたハニカムコア10を備えるハニカム構造50の製造方法に本発明を適用した場合について例示したが、これに限らず、例えばアラミド紙等、他の材料により形成されるハニカムコアを備えるハニカム構造の製造方法に本発明を適用することもできる。また、上記実施形態では、プリプレグにより形成された表面材20,30を採用しているが、アルミニウム等、他の材料により形成される表面材を採用することもできる。
【0038】
・上記実施形態では、航空機の内装材を構成するサンドイッチハニカム構造の製造方法に本発明を適用した場合について例示したが、これに限らず、例えば車両の内装材や部屋の壁材等を構成するサンドイッチハニカム構造の製造方法についても、基本的に同様の態様をもって本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係るサンドイッチハニカム構造の完成後の態様を示す破断斜視図。
【図2】図1の2−2線に沿った断面の構造を示す断面図。
【図3】同実施形態に係る積重工程においてシート材を積重する態様を模式的に示す斜視図。
【図4】同実施形態に係る展張工程において展張された後のシート材の態様及び同シート材の接着部位を模式的に示す説明図。
【図5】同実施形態に係る切出工程において未展張のハニカムコアを切り出す態様を示す斜視図。
【図6】同実施形態に係るハニカムコアの展張に伴うその平面形状の変化態様を示す平面図。
【図7】同実施形態に係るハニカムコアの展張に伴うその側面形状の変化態様を示す側面図。
【図8】同実施形態に係る表面材接着工程において表面材をハニカムコアに接着する態様を示す側面図。
【図9】上記ハニカムコアの変形例を示す説明図。
【図10】上記切出工程において切り出されるハニカムコアの変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0040】
SA,SB…シート材、SA1,SB1,SB2…接着部位、10…ハニカムコア、10d…段差部、11…ハニカムセル、11a…セル壁、12,13…端面、20,30…表面材、20d,30d…段差部、50…サンドイッチハニカム構造、111…ハニカムセル、111a…セル壁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート材を所定の接着部位で接着して積重することにより未展張ブロックを形成する積重工程と、所望の展張後形状に対応する形状で前記未展張ブロックから未展張のハニカムコアを切り出す切出工程と、前記切り出された未展張のハニカムコアを前記シート材の積重方向に引張することにより、同ハニカムコアが横断面の正六角形をなす中空柱状のハニカムセルの平面的集合体になるようにこれを展張する展張工程と、前記展張後のハニカムコアにおいて前記ハニカムセルが開口する端面に表面材を接着する表面材接着工程とを備えるサンドイッチハニカム構造の製造方法であって、
前記展張後のハニカムコアにおいて前記ハニカムセルが開口する端面には、同ハニカムセルの延伸方向において形状が変化する形状急変部が形成されており、前記積重工程は、前記形状急変部を形成する前記ハニカムセルのセル壁の数を減少すべく、同ハニカムセルのセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁を同ハニカムセルの延伸方向と垂直な方向において延長するように前記接着部位を設定する
ことを特徴とするサンドイッチハニカム構造の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のサンドイッチハニカム構造の製造方法において、
前記形状急変部は、前記延長されるセル壁を備えて同セル壁と垂直な方向において排列する一列の前記ハニカムセルに含まれる
ことを特徴とするサンドイッチハニカム構造の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のサンドイッチハニカム構造の製造方法において、
前記形状急変部は、前記ハニカムセルの延伸方向において段差を有する段差部である
ことを特徴とするサンドイッチハニカム構造の製造方法。
【請求項1】
複数のシート材を所定の接着部位で接着して積重することにより未展張ブロックを形成する積重工程と、所望の展張後形状に対応する形状で前記未展張ブロックから未展張のハニカムコアを切り出す切出工程と、前記切り出された未展張のハニカムコアを前記シート材の積重方向に引張することにより、同ハニカムコアが横断面の正六角形をなす中空柱状のハニカムセルの平面的集合体になるようにこれを展張する展張工程と、前記展張後のハニカムコアにおいて前記ハニカムセルが開口する端面に表面材を接着する表面材接着工程とを備えるサンドイッチハニカム構造の製造方法であって、
前記展張後のハニカムコアにおいて前記ハニカムセルが開口する端面には、同ハニカムセルの延伸方向において形状が変化する形状急変部が形成されており、前記積重工程は、前記形状急変部を形成する前記ハニカムセルのセル壁の数を減少すべく、同ハニカムセルのセル壁のうち互いに平行な一対のセル壁を同ハニカムセルの延伸方向と垂直な方向において延長するように前記接着部位を設定する
ことを特徴とするサンドイッチハニカム構造の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のサンドイッチハニカム構造の製造方法において、
前記形状急変部は、前記延長されるセル壁を備えて同セル壁と垂直な方向において排列する一列の前記ハニカムセルに含まれる
ことを特徴とするサンドイッチハニカム構造の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のサンドイッチハニカム構造の製造方法において、
前記形状急変部は、前記ハニカムセルの延伸方向において段差を有する段差部である
ことを特徴とするサンドイッチハニカム構造の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−76308(P2010−76308A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248363(P2008−248363)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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