説明

サンプルからの上部記録および下部記録のためのマイクロ電極グリッドアレイ

【課題】細胞ネットワークの電気的活動にアクセスするためのインターフェースデバイスを提供する。
【解決手段】組織切片6を保持すること、ならびに組織切片6からの神経細胞を記録および/または刺激することに適する混合マイクロ流体多重電極グリッドアレイ(MEGA)デバイス10。MEGAデバイス10は、少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイを備えるグリッド形状の上基板と、グリッド1および土台2で構成するスタック形状の第1下基板であって、グリッド1は、電気的および/または光学的多重電極アレイを備え、土台2は、マイクロ流体灌流システムを備え、前記グリッド1の下にあるようにした第1下基板とを備える。さらに、前記MEGAデバイス10は、第1基板および第2基板を一緒に押圧および位置決めし、前記2つの基板の間に組織切片または細胞培養を固定するための手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1セットまたはマトリクス状の複数のエレメントを通じた細胞ネットワークの電気的活動へのアクセスを提供するインターフェースデバイスの分野に関するものであり、前記エレメントは、マイクロ流体部ならびに電気的および/または光学的多重電極アレイを備える。
【0002】
さらに、本発明は、長期の神経プロセスの観察および記録に適したデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの細胞生理学的応用および医療的応用において、生体細胞に近接して、生化学的パラメータおよび生理学的パラメータを測定することに対する要望がある。体外(in-vitro)ネットワーク神経活動の記録のためのよく知られたテクニックが、多重電極アレイ(MEA)である。MEAは、その中を通って神経信号が取得または伝達される多数の(shank)を含むデバイスであり、本質的に神経細胞を電気回路に接続する神経インターフェースの機能を果たす。MEAは、最大約100個の電極および約10μmの最小電極ピッチを有する絶縁基板(例えばガラス)で構成する。新たに調整した組織切片を、信号の記録および/または刺激のために、MEA上に付着させ、または培養してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある体外の生理学実験は、より改良した多重電極アレイ(MEA)の機能性、例えば長期増強および長期抑圧の調査を要求する。市販のMEAがこの種の応用にあまり適さないのは、次の1つまたはそれ以上の理由のためである。
1.切片の下部での灌流は、組織細胞を低酸素症およびその後の細胞死へ準最適に導き、または集積流体部を特徴とするシステムにおいては、下部の記録は、底に位置する灌流パターンに阻害されうる。灌流部および電子回路を1チップ内に集積することによっても、システムは大きい費用がかかる。
2.ワイヤのための限定されたスペースに起因して、現行システムは、内部電極距離と、興味ある構造の領域カバー率とはトレードオフの関係がある。したがって、記録した領域の空間分解能は制限され、多くの応用に対して不十分である。
3.MEAにおける組織切片と記録電極との間の不十分な封止により、記録はしばしばノイズで汚染される。
【0005】
よって、上記不都合を考慮すると、体外の組織切片、例えば海馬切片からの、高密度長期同時記録を可能にするアレイ状のインターフェースシステムに対する明確なニーズがある。
【0006】
本発明の目的は、記録および/または刺激のための既在のMEAに関する課題を解決することである。
【0007】
本発明の実施形態の目的は、例えば脳切片または心臓切片もしくは細胞培養のような組織切片へのアクセスを提供するための良好なインターフェースデバイスを提供することであって、該インターフェースデバイスを、前記組織切片または細胞培養の振る舞いを培養、刺激、および/または検出するように配置したことである。該インターフェースデバイスは、神経生理学の分野において、重要なツールである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、本発明の実施形態に係るデバイスおよび方法によって達成される。
【0009】
第1の態様において、本発明は、組織切片、例えば脳切片または心臓切片を保持することに適し、前記組織切片または細胞培養からの神経細胞を記録および/または刺激することに適する混合マイクロ流体多重電極グリッドアレイデバイスを提供する。該デバイスは、
グリッドおよび土台で構成するスタック形状の第1下基板であって、グリッドは、電気的および/または光学的多重電極アレイを備え、土台は、マイクロ流体灌流システムを備え、前記グリッドの下にあるようにした第1下基板と、
少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイを備えるグリッド形状の第2上基板と、
前記第1基板および第2基板を一緒に押圧および位置決めし、前記2つの基板の間に組織切片または細胞培養を固定するための手段とを備える。
【0010】
本発明の実施形態に係る混合マイクロ流体多重電極グリッドアレイデバイスの利点は、高密度長期同時記録、および/もしくは組織切片、例えば脳(海馬)切片または心臓切片もしくは体外の細胞培養からの刺激をもたらすことを可能にする多重電極アレイシステム(MEA)が設けられたインターフェースデバイスとして機能しうることである。本発明の実施形態に係るグリッドアレイデバイスが、下記の1つまたはそれ以上をさらに達成するであろう。
・MEAの改良した機能。
・記録領域に対する改良した空間分解能。
・組織切片または細胞培養と汚染を避けるための記録電極との間の改良した封止。
【0011】
既在のMEAシステムに関する課題は、混合システムマイクロ流体多重電極グリッドアレイ(MEGA)と呼ぶ本発明の実施形態の進んだMEAシステムによって解決される。改良したマイクロ流体灌流システムと、改良した電気的および/または光学的多重電極グリッドアレイとを結びつけることによって課題を解決する。本発明の実施形態に係るMEGAシステムは、マイクロ流体部と電極グリッドとを互いに2つの分割可能な構造に分離し、電極アレイ(任意にチップ部品のような電気回路を含む)およびマイクロ流体部分の個々の発展を可能にすることによって、既在のMEAシステムとさらに差別化されている。
【0012】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムの利点は、例えば研磨による加工後、少なくとも1つのグリッドの厚さが減少することである。グリッドの厚さは、例えば上グリッドの可撓性の増加を付与するよう適合し、(脳)組織切片の形状に追従できるようにしてもよい。これは、マイクロ流体部を有しないグリッドの厚さは、上基板および下基板の両方を一緒に押圧する場合、脳組織に近接固定することに適するように、厚さが選択され、または適合するという利点を有する。
【0013】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムには、少なくとも上基板(上グリッド)および下基板(下グリッド)が設けられ、組織切片を前記両方の基板(グリッド)間に挟持することによって、組織切片内の神経細胞を記録することに使用する既在のMEAシステムと、さらに差別化されている。前記少なくとも2つの基板を設けることによって、一方の基板上のマイクロ流体灌流システムを設けること、および他方の基板上の電極グリッドシステム(または代替として2つの基板上の両方のシステムの組み合わせ)を設け、記録領域に対するより優れた空間分解能と、電極の機能性に対するより大きな可撓性とを付与することが可能である。興味ある組織切片を、両方の基板の間に設置し、両方の基板を堅く押圧することによって、より優れた封止を達成し、汚染を避けることができる。
【0014】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムの利点は、より適応性のあるマイクロ流体システムが使用可能であり、例えば酸素、成長因子、および他の(生物)化学サポートを有する組織切片を設けることができるように、マイクロ流体システムが、分離した基板上に位置することである。それゆえに、下基板は、好ましくは下層(土台とも呼ぶ)のスタックで構成し、下層はポリマー材料から成り、マイクロ流体システムを備え、適切な形状、例えば多重電極グリッドアレイを受容するよう適合した形状を有する前記土台の上にあり、または前記土台の中空に嵌合する該多重電極グリッドアレイを有する。
【0015】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムの利点は、電極が、単一層構造または(大きい電極密度のために好ましい)多層配線構造で、下グリッドおよび/または上グリッドの少なくとも1つに設けられ、グリッド周りに相互接続するフレームを形成することである。
【0016】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムの利点は、グリッドをCMOS互換の方法で製造可能であり、同じ製造フローが下グリッドおよび上グリッドを製造するために使用可能であることである。追加の(任意の)ステップが、例えば上部および下部に使用するためのグリッドの厚さを修正するために加わる。下グリッドは、上部で電極と共に使用してもよく、上グリッド(組織切片または細胞培養に下方向に対向する電極を有する)として使用する場合には、好ましくは反転する。同じ相互接続メカニズムが、両方の電極を外部電子回路またはグリッド枠内に嵌合した電子回路に電気的に接続するための両方の電極に使用可能である。組織切片、例えば脳切片、または細胞培養の頂面と底面の両方に多重電極グリッドアレイを設けることによって、組織切片、例えば脳切片、または細胞培養の単一の神経細胞の振る舞いを同時に刺激および記録することが可能になることはさらなる利点である。
【0017】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムの利点は、更なる電気回路、例えばCMOSベースの電子回路、ナノ電子回路、GaNおよび他のIII−IV材料ベースの技術、ポストCMOS電子回路および/またはバイオ電子回路をMEGAシステムに付加可能であることである。
【0018】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムのさらなる利点は、例えば研磨による加工後、少なくとも1つのグリッドの厚さが減少することである。マイクロ流体部を備えるグリッドの狭い溝のみが要求され、グリッドは、大きくは突き出さず、さらにグリッド全体に渡って自発的な神経細胞の成長を許容するように、例えば下グリッドの高さが減少する。
【0019】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムのさらなる利点は、高さの差が下グリッド(好ましくは、マイクロ流体部を備える土台に適合する)と上グリッドとの間で生じるように、少なくとも1つのグリッドの厚さを意図的に適合(減少)させることである。前記高さの差は、例えば灌流、またはマイクロ流体放出のための領域を密閉すること、相互から(マイクロ流体外乱を避けるために)領域を保護すること、および神経細胞の成長を閉じ込めることなどに使用してもよい。
【0020】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムの利点は、電極に近接するCMOS電子回路の直接嵌合を達成しうるように、電子回路がグリッド枠内または該電子回路グリッド自体の内側に嵌合することである。
【0021】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムのさらなる利点は、グリッドは、単一層相互接続システムまたは多層相互接続に使用可能であり、よって利用可能な標準CMOS相互接続プロセスを使用することである。
【0022】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムのさらなる利点は、電極は、上グリッドおよび下グリッドに設けられ、前記電極を意図的に互いに整列または不整列させられることである。アライメント構造は、両方のグリッドを互いに好ましく配列することに使用可能である。これにより、まさに同じ位置からの電極上の電極の刺激または記録が可能になる。
【0023】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムは、密閉チャンバ内にMEGAシステム全体を組み込むことでさらに完成してもよい。MEGAシステムを動作中視認して検査することが可能であるように、前記チャンバは透明材料で構成してもよい。密閉システムにMEGAシステムを組み込む利点は、例えば生きた脳切片を維持するために、および例えば汚染を避けるために最適化した、制御された環境が付与されることである。
【0024】
例えば多重組織切片、例えば脳切片、または細胞培養を、1つのMEGAシステム内で同時に記録および刺激可能であるように、本発明の実施形態に係るMEGAシステムは、中間グリッド構造を付加することによってさらに完成してもよい。これは、異なる脳切片間の相互作用を観察できるという更なる利点を有する。
【0025】
本発明の実施形態に係る混合マイクロ流体多重電極グリッドアレイデバイスの利点は、組織切片または細胞培養の頂面および底面の両方へのアクセスを提供するインターフェースデバイスを設けてもよく、その結果組織切片の単一の神経細胞の振る舞いを同時に刺激および記録することが可能になることである。
【0026】
本発明の実施形態に係る混合マイクロ流体多重電極グリッドアレイデバイスの利点は、数千の神経細胞における実験が同時に稼動することと、組織切片または細胞培養の下側だけでなく上側からもそれらの相互作用および振る舞いを調査することとを可能にすることである。
【0027】
本発明の実施形態に係る混合マイクロ流体多重電極グリッドアレイデバイスの利点は、(生きた)組織切片または細胞培養へのアクセスを提供することを可能にし、所要のマイクロ流体灌流システムを、組織切片または細胞培養の神経細胞を刺激および/または記録するために使用する所要の電気的(光学的)多重電極グリッドアレイから分離することが可能になることである。
【0028】
本発明の実施形態に係るMEGAシステムは、細胞ネットワークにおける興奮の広がりのような神経プロセスまたは筋生理学の態様の調査、および/もしくは空間記憶および連想記憶のための重要な脳の領域である海馬における長期増強(LTP)および長期抑制(LTD)のような神経プロセスの調査に使用してもよい。
【0029】
第2の態様において、本発明は、混合マイクロ流体多重電極グリッドアレイデバイスを製造するための方法を提供する。該方法は、
第1支持基板および第2支持基板を取得することと、
前記第1支持基板および第2支持基板を設けることと、
電気的および/または光学的多重電極グリッドアレイを前記第1支持基板および第2支持基板上に設けることと、
前記第2基板の下にポリマー材料で構成する土台を設けることと、
前記土台内にマイクロ流体灌流システムを設けることとを含む。
【0030】
本発明の実施形態に係る方法は、前記多重電極グリッドアレイに電気的に接続した、チップ、バイオセンサ、光学センサ、光刺激装置の少なくとも1つを設けることをさらに含んでもよい。
【0031】
本発明の実施形態に係る方法は、第1支持基板および第2支持基板を一緒に位置決めおよび押圧し、2つの基板間に、生きた組織切片または細胞培養を保持するための手段を設けることをさらに含んでもよい。
【0032】
本発明の実施形態に係る方法は、前記第1支持基板と第2支持基板との間に位置する少なくとも1つの中間基板を付加することをさらに含んでもよく、該少なくとも1つの中間基板は、少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイならびに任意のマイクロ流体部を備えるグリッド形状である。
【0033】
本発明の特定の好ましい態様は、添付する独立請求項および従属請求項において詳説する。従属請求項の特徴は、独立請求項の特徴および他の従属請求項の特徴と、適切および単に請求項に明記されただけでないものとして組み合わせてもよい。
【0034】
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下に記載する実施形態に関連して明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るMEGAデバイスの概略図を示す。
【図2】本発明の実施形態に係るMEGAデバイスでの使用のためのグリッドの一実施形態を示す。
【図3】本発明の実施形態に係るMEGAデバイスでの使用のための土台の一実施形態を示しており、土台は、図2に示すグリッドに適合する。
【図4】図2のグリッドの図3の土台への導入を示す。
【図5】本発明の実施形態に係るMEGAデバイスを概略的に示しており、3つのグリッドを有する堆積部を備え、組織切片が、2つの隣接したグリッドの間に設置され、土台が、グリッドの1つの下に設けられ、該土台は、マイクロ流体部分を備える。
【図6】本発明の実施形態に係るMEGAデバイスでの使用のためのグリッドのもう一つの実施形態を示す。
【図7】対応する土台に導入される図6のグリッドを示す。
【0036】
図面は概略的に過ぎず、限定的でない。図面において、いくつかの要素のサイズが説明目的のため誇張したり、縮尺どおりに描かれていない。
【0037】
請求項のどの参照符号も、範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0038】
異なる図面において、同じ参照符号は、同一または類似のエレメントを参照する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここで使用する場合、他に記述がない限り、用語「MEA」は、絶縁基板(例えばガラス)に設けられる多重電極アレイシステムに関する。電極アレイは、10〜50μmの範囲の直径および約25〜50μmの最小電極ピッチを有する最大約100個の電極を典型的に備える。
【0040】
ここで使用する場合、他に記述がない限り、用語「組織切片」は、培養液中で生命維持される組織の薄片または移植片を参照する。本発明に関連する組織切片の特定の例は、脳切片および心臓切片であるが、本発明はそれらに限定されない。例として、脳切片培養は、全能組織の薄片または脳の特定の領域から取得される移植片に由来してもよい。
任意の領域が、脳切片を作成するのに使用可能である。しかしながら、脳切片の好ましい起源は、脳の特定の領域、例えば海馬領域から取得される移植片である。
【0041】
ここで使用する場合、他に記述がない限り、用語「細胞培養」は、細胞が制御条件下で成長する複雑なプロセス、およびそうして成長した細胞に関する。細胞は、適切な培養状況(例えば温度、ガス混合、成長培地。培養条件は、異なる種類の細胞に応じて大きく変化する。)で成長し、生命維持される。
【0042】
ここで使用する場合、他に記述がない限り、用語「マイクロ流体システム」は、組織切片または細胞培養を生きた状態に保つための、酸素、成長因子、および/または他の(生物)化学的サポートを含む適切な培養条件で、組織切片、例えば脳切片または心臓切片もしくは細胞培養を設けるための、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で構成するチャネルネットワークに関する。本発明に関連する適切なマイクロ流体システムの特定の例、およびそれらの製造方法は、スティーグリッツ(T. Stieglitz)によって論文(Integration of Microfluidic Capabilities into Micromachined Neural Implants", International Journal of Micro-Nano Scale Transport, Vol.1, N°2, 2010)に記載されている。
【0043】
ここで使用する場合、他に記述がない限り、用語「成長因子」は、細胞の成長、増殖および細胞分化を刺激することが可能な物質を自然発生させることを参照する。それは、典型的にはタンパク質またはステロイドホルモンであるが、本発明はそれらに限定されない。
【0044】
ここで使用する場合、他に記述がない限り、用語「生体適合材料」は、細胞生理学に悪影響を与えない、細胞または組織に適合する材料を参照する。
【0045】
本発明は、本発明の第1の態様に係るデバイスの詳細な説明、および本発明の第2の態様に係る、前記デバイスを組立てる方法の詳細な説明に記載されることになる。本発明のいくつかの実施形態が例として記載されているが、本発明の他の実施形態は、本発明の技術的教示から逸脱しない当業者の知識に従って構成されうることは明白であり、本発明は、添付した特許請求の範囲の語句により限定されない。
【0046】
本発明の第1の態様に従って、混合システムマイクロ流体多重電極グリッドアレイ(MEGA)を開示する。前記MEGAシステムは、組織(例えば脳または心臓)切片または細胞培養上での頂面または底面の記録/刺激に適し、あるいは組織切片または細胞培養上での頂面または底面の同時記録/同時刺激に適したデバイスである。これに関して、組織切片または細胞培養は、少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイを備える上基板と下基板との間に保持される。MEGAシステムは、組織切片または細胞培養を生きた状態に保つための適切な培養条件で組織切片または細胞培養を設けるためのマイクロ流体灌流システムをさらに備える。組織切片または細胞培養は、典型的に250〜400μmの範囲の厚さを有する。
【0047】
図1は、本発明の実施形態に係るMEGAシステム10の概略図を示す。例に示すMEGAシステム10は、グリッド1形状の底面を備える。このグリッド1は、少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイを備える。該多重電極アレイは、電極アレイを備えるが、図示した例においては黒ドット8で表している。MEGAシステム10は、第2グリッド4形状の頂面をさらに備える。また、このグリッド4は、少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイを備える。該多重電極アレイは、電極のアレイを備えるが、図示した例において黒ドット9で表している。グリッド1、4には、電子コンポーネントが設けられ、例えば該電子コンポーネントを備え、電極8、9に電気的に接続したチップが設けられる。さらに、土台2は前記グリッド1の下に設けられる。土台2は、機械的支持および機械的強度をシステム10に提供する。土台2には、マイクロ流体システム3がさらに設けられる。マイクロ流体システム3は、生体適合ポリマーで構成してもよい。グリッド1、4は、互いに底面と頂面との位置を合わせ、組織切片6または細胞培養を両方の基板の間に固着させるための手段5を用いて適切な位置に保持してもよい。こうした手段5は、グリッド1、4のどちらかに垂直な方向に適合させるための、例えばマイクロドライブでもよい。
【0048】
本発明の実施形態に係るMEGAデバイスは、組織切片、例えば脳切片6、または細胞培養を保持すること、および前記組織切片または細胞培養からの神経細胞を記録および/または刺激することに適する。
【0049】
本発明の実施形態に係るMEGAデバイス10の第1基板および/または第2基板のグリッド1、4は、例えばシリコン、ガラス、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、GaN、ポリマーのような適切な絶縁材料で構成してもよい。グリッドは、好ましくは生体適合材料で構成する。グリッド1、4上に、複数の電極8、9を備える電気的および/または光学的アレイが設けられる。1アレイ内部の電極8、9は、個々にアドレス可能であってもよい。これに関して、アドレス回路(addressing circuitry)をグリッド1、4上に設けてもよい。さらに、本発明の実施形態に係るMEGAデバイス10のグリッド1、4は、複数の電極8、9、例えばチップ、バイオセンサ、光学センサ、光学刺激装置、電気センサ、または電気刺激装置の少なくとも1つに電気接続した電気回路を備えてもよい。
【0050】
本発明の特定の実施形態において、MEGAデバイス10のグリッド1、4は、単一層構造の電極を備えてもよい。あるいは、電極8、9を多層配線構造に配置し、グリッド1、4周りに相互接続フレームを形成してもよい。
【0051】
本発明の実施形態に係るグリッド1の例を図2に示す。該グリッド1は、少なくとも2つの異なる方向のバーの網から成る。図2に示す実施形態において、グリッド1は、第1方向、例えば水平方向に第1バー20を備え、第1方向に垂直である必要はない第2方向、例えば垂直方向に第2バー21を備えるが、バー20、21は、均等に間隔を隔てる。本発明の実施形態において、すべての第1バー20の間隔は等しく、すべての第2バー21の間隔は等しい。第1バー20の間隔は、第2バー21の間隔に等しい必要はない。グリッドには、多重電極アレイを形成する複数の電極が設けられる。図2は、グリッド1の例を示すが、本発明の実施形態に係る他のグリッド、例えば以下で説明する上グリッドまたは中間グリッドは、同一、または類似の配置を有してもよい。
【0052】
本発明の実施形態に係るMEGAデバイス10の第1基板のグリッド1、4は、グリッド領域22、23、例えば第1方向の2つの第1バー20および第2方向の2つの第2バー21で規定される空間を有する。グリッド1、4の端部のグリッド領域は、必要ではないが、図2に示すように、2つの第1バー20および1つのみの第2バー21によって規定してもよく、または1つのみの第1バー20および2つの第2バー21によって規定してもよく(不図示)、または角部で、1つのみの第1バー20および1つのみの第2バー21によって規定してもよい(不図示)。グリッド領域22、23は、10〜50μmオーダーの大きさを有してもよい。前記グリッド上の電極アレイのそれぞれは、10〜50μmの範囲の直径および約25〜50μmの最小電極ピッチを有する最大約100個の電極を典型的に備える。
【0053】
本発明の実施形態に係るグリッド1のもう1つの例を図6に示す。この実施形態においても、グリッドは、第1方向の第1バー20および第2方向の第2バー21を備える。図示した実施形態において、第1方向と第2方向とは互いに垂直であるが、本発明はそれに限定されない。図示した実施形態において、バーは、均等に間隔を隔てているが、これは両方向においてである。しかしながら、本発明はそれに限定されない。
【0054】
本発明の実施形態において、グリッド領域は、空白グリッド領域22(グリッド開口部)または機能的グリッド領域23でもよい。空白グリッド領域22は図6に白四角で示している。該空白グリッド領域は、例えばエッチングによって得られる開口部である。これは、それらが透過的であることを意味し、細胞および組織は、これらの空白グリッド領域22を経由して成長する。機能的グリッド領域23を斜線模様の四角形で図6に示す。機能的グリッド領域23は、機能的特性を含有しうる。該機能的特性は、その必要はないが、グリッド上の特性と同じ特性、例えば電気回路のような、電極特性および/またはCMOS特性であってもよい。グリッド領域の実質的な量、例えば、75%以上、より具体的には90%以上、例えば95%以上が空白を維持し、これらの空白グリッド領域22を通じて組織または細胞の成長を促進することは好都合である。機能的領域23は、例えば組織切片または細胞培養の生物学的トポロジーに適合するように、より大きい電極密度が望まれる場所に設置してもよい。
【0055】
本発明の実施形態に従って、少なくとも第1グリッド1は、土台2に支持されてもよい。土台2は、グリッド1を受容するように適合した溝部30と嵌合する。よって、溝部30は、第1バー20および第2バー21に少なくとも対応する。図2に示すグリッド1と協調するように適合した土台2を図3に示す。図示していないが、任意に、より多くの溝部、または第1バー20および第2バー21を受容する位置でない他の位置に溝部があってもよい。これにより、複数の形態のグリッドのための単一の土台2を有することが可能になる。土台2は、チャネルと、任意にマイクロ流体システム、より具体的には、例えばマイクロ流体灌流システムを設けるためのチャンバとをさらに備える。土台2は、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリジメチルシロキサン(PDMS)のような任意の適切な材料で構成してもよい。土台2内のマイクロ流体システムは、培養条件に適した組織切片6または細胞培養が設けられるように適合する。特に、マイクロ流体システムは、組織切片6または細胞培養を生きた状態に保つための酸素、成長因子、および/または他の(生物)化学的サポートを有する組織切片6または細胞培養が設けられるように適合してもよい。本発明の実施形態の利点は、マイクロ流体チャネルのようなマイクロ流体灌流システムを付加することにより、生きた組織/細胞をサポートする培地を設けることが可能になることである。
【0056】
グリッド1は、図2に示すように、グリッド高さhを有する。グリッド1の高さhは、第1バー20および第2バー21の厚さにより決まる。土台2内の溝部30は、深さHを有する。深さHは、グリッド1が高さ方向で土台2に嵌合するようにとる。一平面内にすべての電極を設けるために、好ましくは、深さHは高さhより小さいまたはhに等しい。
【0057】
第1基板は、図2および図6のそれぞれに示す2つのグリッドの実施形態に対応する図4および図7に示すように、第1グリッド1を土台2に嵌合させることによって作成してもよい。該第1基板は、組織切片および/または細胞培養をサポートすること、刺激すること、および/または感知することに使用可能である。この構造が好都合であるのは、電気インターフェース(グリッド上の多重電極アレイ)の組み合わせを設けてもよく、半導体材料、例えばマイクロ流体コンポーネントを有するシリコンのような第1材料で構成してもよく、第2材料、例えばPDMSで構成してもよいからである。PDMSは、マイクロ流体部を形成することに利点があるが、容易な電子回路の製造を可能にしない。同様に、半導体材料は、電気的コンポーネントを作成するのに優れているが、マイクロ流体コンポーネントを製造することには適していない。図4の第1基板が、両方のメリットを組み合わせ、同時にデメリットを軽減する。該システムは、土台2に嵌合した第1グリッド1を有する第1基板を備え、第1グリッド1は高密度記録電極マトリックスおよび刺激電極マトリックスを備えるが、該システムは、記録組織または細胞培養の応答を同時に刺激(電気的または光学的に)および記録することに使用可能である。
【0058】
図6に示す実施形態から空白領域22は透過的であることがわかる。土台2の一部が、領域22を通じて見える。これらの部分は、マイクロ流体部を機能的に含んでもよい。図7の中央の円は、例えばマイクロ流体PDMSモールドで満ちた空白状態で放置してもよい。
【0059】
本発明の実施形態に係るMEGAデバイスの基板は、例えばCMOSベースの電子回路、ナノ電子回路、GaNおよび他のIII−IV材料ベースの技術、ポストCMOS電子回路およびまたはバイオ電子回路のような電気回路をさらに備えてもよい。前記電気回路は、土台部分および/またはグリッド部分に設けられてもよい。
【0060】
使用に際し、(図1に示すように)本発明の実施形態に係るMEGAデバイス10を形成するために、図4に示すように、グリッド1を土台2の溝部30に嵌合させることによって第1基板を形成する。第1基板の上部に、組織切片6または細胞培養を付着させる。その上部に第2基板4を付着させるが、該第2基板4は物理的に第1グリッド1と同じように見える。この第2グリッド4には、少なくとも、複数の電極9(多重電極アレイ)を備える電気的および/または光学的電極アレイが設けられる。電極9が組織切片6または細胞培養に面するように、第2グリッド4は、反転してもよい。第1グリッド1上の電極8および第2グリッド4上の電極9の両方が、組織切片6または細胞培養との接触に至る場合、同時測定が下部(第1グリッド1と接する)および上部(第2グリッド4と接する)で実施されうる。この方法で、3次元分解能が得られる。即ち、測定が組織切片6または細胞培養のさまざまな平面で実施される。または、刺激が下側で行われる間、測定は上側で行われるが、その逆でもよい。
【0061】
別の実施形態において、MEGAデバイス10は、土台2およびグリッド1を有する第1下基板だけでなく、グリッド4を有する第2上基板を備えうる。MEGAデバイス10は、グリッド50を有する少なくとも1つの中間基板をさらに備えうる。この方法で、組織切片6、7および/または細胞培養のスタックは作成され、グリッド50は、少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイを間に備える。例を図5に概略的に示す。多重電極アレイの電極を、中間グリッド50の片側または両側に付着させてもよい。電極がグリッド50の片側にのみ存在する場合、中間グリッド50は、電極の所望の位置に依存して、反転しても反転しなくてもよい。中間グリッド50を付加することによって、1以上の組織切片6、7および/または細胞培養を同時調査する。任意であるが、異なる組織切片6、7および/または細胞培養の間の相互作用を観測してもよい。任意であるが(不図示)、中間グリッド50のいずれか、またはそれぞれに、適切なマイクロ流体部、例えば土台2のような土台を設けられうる。
【0062】
本発明の実施形態に係るグリッドのスタック1、40、50は、(i)いくつかの組織切片または細胞培養からの同時読み出しの可能性を提供するか、または(ii)切片の長期培養に関する組織工学および組織集積の可能性を証明するために使用可能である。さらに、温度センサは集積し、リアルタイムの読み出しを提供する。該読み出しは、実験に対するコントロールを向上させ、実験条件の連続的なクオリティコントロールを実施するための情報を提供する。
【0063】
本発明の実施形態に係るMEGAデバイス10は、密閉チャンバ(不図示)内に設置してもよい。前記密閉チャンバは、透明材料で構成し、動作中MEGAシステム10を検査してもよい。密閉チャンバは、例えば生きた組織切片6、7および/または細胞培養を保持するようさらに最適化した、制御された環境を提供するよう適合し、および/または例えば汚染を避けるよう適合してもよい。
【0064】
本発明の実施形態に係るMEGAデバイス10は、生きた組織の神経細胞および/または筋肉細胞を刺激または記録することに使用してもよい。
【0065】
MEGAデバイス10は、組織切片、例えば体外の脳切片または心臓切片における興奮しやすい細胞の電気活動(例えば、神経可塑性における変化の広がり)の細かい調査を実施することに使用可能である。電極上でのマイクロ灌流システムの実装は、マイクロ流体システムの一部として、鋭い切片における長期記録、切片の特定領域の灌流分離、およびそれらの区別を示す薬理学的処置(例えば活性化しない領域と比較した活性化した領域の特性化)および同様の薬理学的応用を可能にする。マイクロ流体部分の流体および化学フラックスは、さらに刺激され、下部の電気的およびまたは光学的記録の最小の外乱を提供する。
【0066】
本発明の実施形態に係るMEGAデバイス10は、細胞ネットワークの興奮の広がりのような筋生理学の態様の調査、および脳内の長期増強(LTP)および長期抑制(LTD)のような神経プロセスの調査に使用してもよい。
【0067】
本発明の第2の態様に従って、(上記)本発明の実施形態に係る本発明の実施形態に係る混合マイクロ流体多重電極グリッドアレイデバイス(MEGAデバイス)10を製造するための方法を開示する。前記方法は、
第1支持基板および第2支持基板を取得するステップと、
前記第1支持基板および第2支持基板内にそれぞれ第1グリッド1および第2グリッド4を設けるステップと、
電気的および/または光学的多重電極グリッドアレイを前記第1グリッド1および第2グリッド4上に設けるステップと、
例えばポリマー材料で構成し、第1グリッドとの精密嵌合に適合した形状を有する土台2を設け、前記土台2内にマイクロ流体灌流システムを設けるステップとを少なくとも含む。
【0068】
本発明の利点は、慣習的な加工ステップが、本発明の実施形態に係るMEGAデバイス10のさまざまなコンポーネントを製造することに使用可能であることである。
【0069】
本発明の実施形態に係るMEGAデバイス10を製造する方法は、前記第1グリッド1および/または第2グリッド4上の多重電極グリッドアレイに電気的に接続した、チップ、バイオセンサ、光学センサ、光刺激装置、生物化学センサ、生物化学刺激装置の少なくとも1つを設けるステップをさらに含んでもよい。
【0070】
本発明の実施形態に係るMEGAデバイスを製造する方法は、グリッド1、4を一緒に押圧し、組織切片、例えば脳切片または心臓切片、もしくは細胞培養のような生きた組織をその間に保持するための前記手段5を備えるステップをさらに含んでもよい。
【0071】
本発明の実施形態に係るMEGAデバイス10を製造する方法は、前記第1グリッド1と第2グリッド4との間に位置し、少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイならびに任意のマイクロ流体部を備えるグリッド形状の中間グリッド50を付加するステップをさらに含んでもよい。
【0072】
開示した実施形態に対する他の変形が、図面、開示内容および添付した請求項の研究から、請求項の発明を実施する際に、当業者によって理解され達成される。請求項において、「備える」(comprising)は、他のエレメントまたはステップを除外せず、不定冠詞「1つの」(aまたはan)は複数を除外しない。ある手段が異なる従属請求項に相互に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用することができないことを言うものではない。請求項におけるどの参照符号も範囲を狭く限定するものと解釈すべきでない。
【0073】
先の説明は、発明のある実施形態を詳細に述べている。しかしながら、先の説明が明細書においていかに詳細にされようと、発明は多くの方法で実行可能してもよく、それゆえ開示した実施形態に限定されないことがわかるだろう。注意すべきは、本発明のある特徴または態様を説明する場合の特定の用語の使用は、該用語が、関連する発明の特徴または態様のいかなる特性をも含むよう限定するようここで再定義されることを暗示するものであると取るべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織切片(6)または細胞培養を保持すること、ならびに前記組織切片(6)または細胞培養からの神経細胞を記録および/または刺激することに適した混合マイクロ流体多重電極グリッドアレイデバイス(10)であって、
・グリッド(1)および土台(2)で構成するスタック形状の第1下基板であって、
グリッド(1)は、電気的および/または光学的多重電極(8)アレイを備え、
土台(2)は、マイクロ流体灌流システムを備え、前記グリッド(1)の下にあるようにした第1下基板と、
・少なくとも電気的および/または光学的多重電極(9)アレイを備えるグリッド(4)形状の第2上基板と、
・前記第1基板および第2基板を一緒に押圧および位置決めし、前記2つの基板の間に組織切片(6)または細胞培養を付着させるための手段(5)とを備えるデバイス(10)。
【請求項2】
第1基板および/または第2基板は、シリコン、ガラス、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、GaN、ポリマーを備えるようにした請求項1記載のデバイス(10)。
【請求項3】
少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイを有する前記グリッド(1、4)のいずれかは、電気回路、チップ、バイオセンサ、光学センサ、光刺激装置、電気センサ、電気刺激装置の少なくとも1つをさらに備えるようにした請求項1または2記載のデバイス(10)。
【請求項4】
少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイを備える前記グリッド(1、4)のいずれかは、単一層構造または代替として多層配線構造の電極を備え、グリッド周りに相互接続するフレームを形成するようにした請求項1〜3のいずれかに記載のデバイス(10)。
【請求項5】
マイクロ流体灌流システムは、組織切片(6)または細胞培養を生きた状態に保つための酸素、成長因子、および/または他の(生物)化学的サポートを有する組織切片(6)または細胞培養を設けるための、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリジメチルシロキサン(PDMS)で構成するチャネルネットワークを備えるようにした請求項1〜4のいずれかに記載のデバイス(10)。
【請求項6】
第1基板および/または第2基板は、CMOSベースの電子回路、ナノ電子回路、GaNおよび他のIII−IV材料ベースの技術、ポストCMOS電子回路および/またはバイオ電子回路のいずれかをさらに備えるようにした請求項1〜5のいずれかに記載のデバイス(10)。
【請求項7】
グリッド形状の第1基板および/または第2基板は、10〜50μmオーダーの開口部(22)を有するようにした請求項1〜6のいずれかに記載のデバイス(10)。
【請求項8】
多重電極アレイのいずれかが、10〜50μmの範囲の直径および約25〜50μmの最小電極ピッチを有する最大約100個の電極を備える請求項1〜7のいずれかに記載のデバイス(10)。
【請求項9】
デバイス(10)は、密閉チャンバの中に設置されるようにした請求項1〜8のいずれかに記載のデバイス(10)。
【請求項10】
前記第1基板と第2基板との間に位置した、少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイおよび任意のマイクロ流体部を有するグリッド(50)形状の中間基板をさらに備えるようにした請求項1〜9のいずれかに記載のデバイス(10)。
【請求項11】
生きている組織の神経細胞および筋細胞を刺激および/または記録するための請求項1〜10のいずれかに記載のデバイス(10)の使用。
【請求項12】
筋生理学の態様および/または神経プロセスの調査のための請求項11記載の使用。
【請求項13】
混合マイクロ流体多重電極グリッドアレイデバイス(10)を製造する方法であって、
・第1支持基板および第2支持基板を取得することと、
・前記第1支持基板よび第2支持基板内にグリッド構造を設けることと、
・電気的および/または光学的多重電極グリッドアレイを前記第1支持基板および第2支持基板上に設けることと、
・前記第2基板の下にポリマー材料で構成する土台を設け、前記土台内にマイクロ流体灌流システムを設けることとを含む方法。
【請求項14】
前記多重電極グリッドアレイに電気的に接続した、チップ、バイオセンサ、光学センサ、光刺激装置の少なくとも1つを設けることをさらに含む請求項13に係る方法。
【請求項15】
第1支持基板および第2支持基板を一緒に位置決めおよび押圧し、2つの基板の間に生きた組織切片または細胞培養を保持するための手段を備える請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
前記第1支持基板と第2支持基板との間に位置する少なくとも1つの中間基板を付加することをさらに含み、該少なくとも1つの中間基板は、少なくとも電気的および/または光学的多重電極アレイならびに任意のマイクロ流体部を備えるグリッド形状であるようにした請求項13〜15のいずれかに記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−239779(P2011−239779A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−101792(P2011−101792)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【出願人】(599098493)カトリーケ・ウニフェルジテイト・ルーベン・カー・イュー・ルーベン・アール・アンド・ディ (83)
【氏名又は名称原語表記】Katholieke Universiteit Leuven,K.U.Leuven R&D
【Fターム(参考)】