説明

サージカルガウンのひもを固定するためのパッチ

【課題】不織布ガウンなどの衣服のひもを良好に固定する手段を提供する。
【解決手段】ノッチを有しかつひもが結合されているパッチを用いて、ガウンなどの衣服のための閉じ手段を提供する。パッチの端部に沿ってノッチが形成され、ひもは、ノッチを通過しかつ越えて延出するように配置されるようにパッチに結合されている。ノッチは、ひもに張力が印加されているときにパッチ上で張力を分散するように作用する。ノッチ付きパッチを有するガウンも開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2007年10月12日付けで出願した米国仮出願第60/979,504号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、医療環境や産業環境等で一般的に使用される防護衣を、ひもを用いて固定することに関する。詳細には、本発明は、サージカルガウン(手術用ガウン)などの防護衣または衣服(ガーメント)上でひもの少なくとも一部を保持するためのパッチであって、ひもは望ましくはパッチから外れず、パッチはガウンから外れないようにかつ/またはガウンを引き裂かないようになっている、該パッチに関する。
【背景技術】
【0003】
一般に知られているように、衣服(例えば、ほんの一例として無菌サージカルガウンなど)は、当該ガウンが液体及び液体内に取り込まれ得る生物学的汚染物質を通さないようにするとまではいかないにせよ、通す量を大幅に減らすようにデザインされている。外科手術環境では、そのような液体源として、ガウン着用者の汗、患者の体液(血液、汗、唾液など)、生命を維持させる液体(血漿、生理食塩水など)、その他が挙げられる。
【0004】
数多くのサージカルガウンは、元々は綿またはリネンでできており、手術室で使用する前に殺菌されていた。しかし、これらのガウンでは、外科手術時に遭遇する液体の多くが透過または「裏抜け(ストライクスルー)」可能であった。そのような「裏抜け」はガウンの着用者から/へのウィッキングによる細菌及び他の汚染物質の透過のための直接経路を確立するので、これらのガウンは不満足でないとすれば好ましくないものであった。さらに、ガウンは高価で、当然のことながら再使用の前に洗濯及び殺菌処置が必要であった。
【0005】
リネン及び/または綿のサージカルガウンは、大部分が1回使い捨てサージカルガウンに取って代わられている。ガウン上に配置されたガウンひもを用いて着用者に部分的に巻き付けるタイプのガウンは、快適でありかつ調節できるので、特に普及している。そのようなガウンは、通常は背中側が開いており、1組のひもを有している。1組のひもには、1つに結ばれてガウンの背中をゆるく保持し得るものもあるが、1組のひものうち一方のひもが少なくとも1つの後パネルに結合され、それに対応する他方のひもがガウンの前身頃の少なくとも一部に取り付けられ、一方のひもが前身頃の少なくとも一部に巻き付くようになっているものもある。ガウンの前身頃にひもを固定することは、問題となりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,037,281号明細書
【特許文献2】米国特許第5,695,868号明細書
【特許文献3】米国特許第3,849,241号明細書
【特許文献4】米国特許第4,041,203号明細書
【特許文献5】米国特許第5,169,706号明細書
【特許文献6】米国特許第5,145,727号明細書
【特許文献7】米国特許第5,178,931号明細書
【特許文献8】米国特許第5,188,885号明細書
【特許文献9】米国特許第3,855,046号明細書
【特許文献10】米国特許第4,374,888号明細書
【特許文献11】米国特許第4,340,563号明細書
【特許文献12】米国特許第3,692,618号明細書
【特許文献13】米国特許第3,802,817号明細書
【特許文献14】米国特許第3,338,992号明細書
【特許文献15】米国特許第3,341,394号明細書
【特許文献16】米国特許第3,502,763号明細書
【特許文献17】米国特許第3,542,615号明細書
【特許文献18】米国特許第4,214,320号明細書
【特許文献19】米国特許第5,025,501号明細書
【特許文献20】米国特許第6,378,136号明細書
【特許文献21】米国特許第5,594,955号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hydrophobic Surfaces, edited by F. M. Fowkes of the Academic Press, New York, 1969, page 1
【非特許文献2】the Introduction to Colloid and Surface Chemistry by Duncan J. Shaw, Third Edition, Butterworths 1980, pages 131-135
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ガウンの前身頃の少なくとも一部にバリア材料が提供されるのが望ましいので、前ひもを保持するための縫い目があることは望ましくない。縫い目によって、バリア材料に穴が開けられてしまう。さらに、縫い目は、ひもが強く引っ張られたときにガウンを引き裂き、ガウンの前身頃に与えられている望ましいバリアをなくしてしまうことがある。さらに、前ひもをガウンにヒートシールする標準方法は、ガウンの前身頃でのバリア特性を損ない、バリア材料を弱体化させるかまたは破損を生じさせる傾向がある。同様に、ひもをガウンの前身頃に結合するための超音波技法も、バリア材料を傷つけるかまたは影響を与えていた。ひもをガウンの前身頃に結合するための他の機械的結合、例えばステープリングなども、ガウンを傷つけ、バリア特性に影響を与えする。
【0009】
従って、ガウンに前ひもを保持するために接着剤が用いられてきた。接着剤はしばしば機能しなくなり、従って前ひもがガウンの前身頃から束縛されずに外れ、ガウンを開いた状態にする。不織布ガウンなどの衣服の前身頃にひもを固定し、そのとき、ガウンのバリア材料は、容易には破損したり、裂けたり、弱体化したり、または別な方法で悪影響を受けたりすることがないようにする必要がある。さらに、着用者の周りでガウンを閉じ位置にしっかりと保持するためにひもが不織布ガウンにしっかりと結合されるように不織布ガウンの前身頃にひもを固定する必要がある。ひもを保持するためのそのような機構は、たとえひもに強い張力がある場合であっても、ひもをしっかりと保持する必要がある。そのような機構は、適度に安価で、使い易く、ガウンの布地(本体生地)及びバリア材料とともに良好に機能することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した困難及び問題に対処するために、ひもが結合されたパッチを備えた不織布衣服が提供される。衣服には、前パネル、第1の後パネル、及び第2の後パネルが含まれる。後ひもが、第1の後パネルまたは第2の後パネルのうち少なくとも一方の一部に結合されている。不織布衣服上にはパッチも含まれる。パッチには、ノッチが形成されている。パッチは、1対の離間したアーム部を有する。パッチには、パッチの少なくとも一部に結合された前ひもも含まれる。前ひもは、ノッチを通過しかつノッチ及びパッチから離れて外向きに延出するように配置される。パッチは、前パネル上に配置される。パッチを衣服上にしっかりと保持することによって、ひもがパッチに対して約90°の角度で引っ張られるとき、ノッチに隣接するアーム部は衣服の布地に接触した状態で下向きに動く。後ひも及び前ひもは、衣服を少なくとも着用者の周りに保持するために結び付くように構成されている。
【0011】
本発明の別の態様では、不織布衣服上で用いるための、ひもが結合されたノッチ付きパッチが提供される。パッチには、ノッチが形成されている。パッチは、1対の離間したアーム部を有する。また、パッチの少なくとも一部には、ひもが結合されており、ひもは、ノッチを通過しかつノッチから離れて外向きに延出するように配置されている。パッチは、衣服に結合されている。パッチを衣服上にしっかりと保持することによって、ひもがノッチ付きパッチに対して約90°の角度で引っ張られるとき、ノッチに隣接するアーム部は衣服の布地に接触した状態で下向きに動く。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のアパレルまたはガウンの斜視図であり、左または第1の後身頃及び右または第2の後身頃を示しており、第2の後身頃は取り付けひもを示すために開かれている。
【図2】図1のガウンの斜視図であるが、第1の後身頃(部分的に破線で示されている)上で閉じられた第2の後身頃を示しており、第1の後身頃のひもは結ばれて部分的な閉じ手段を提供し、第2の後身頃のひもはガウンの左側面部の周りに延出している。
【図3】図1及び図2のガウンの正面斜視図であるが、ガウンの前身頃を示し、右後パネルから出ているひも、及びノッチ付きパッチによって前身頃に取り付けられている前身頃上の前ひもを示している。
【図4】図3に似た正面斜視図であるが、ガウンを着た着用者、及びガウンを着用者の周りに固定するためのちょう結びで結ばれた前ひも及び後ひもを示している。
【図5】図4に示すガウンから取った布地の或る部分上にあるノッチ付きパッチの部分斜視図であり、ノッチ付きパッチの向き(破線で示されているノッチ付きパッチの下のひもの或る部分の向き)に対して90°の角度をなす前ひもを示している。
【図6】図5のノッチ付きパッチの部分斜視図であるが、ひもに張力が印加されているときの布地に対するノッチ付きパッチの動作を示している。
【図7】ノッチ付きパッチの上面図。
【図8】ノッチ付きパッチの底面図であり、ノッチ付きパッチへの前ひもの或る部分の向き及び取り付けを示している。
【図9】図5のノッチ付きパッチの9−9側面図であり、ノッチ付きパッチとひもの互いに対する向きを示している。
【図10】先行技術のパッチ及びパッチに部分的に取り付けられているひもの斜視図。
【図11】ひもに張力が印加された後の図10の先行技術のパッチの斜視図。
【図12】図10及び図11の先行技術のパッチの斜視図であるが、ひもにさらなる張力が印加されているときの布地の動作を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
【0014】
本明細書中において、以下の用語は、文脈が異なる意味を要求するか、あるいは異なる意味が示されていない限り、特定の意味を有し、また、他に指定のない限り、単数形は一般的には複数形を含み、複数形は一般的には単数形を含む。
【0015】
本明細書中において、「含む」、「含んでいる」なる語及び「含む」なる語幹からの他の派生語は、任意の記載されている特徴、要素、整数、ステップ、または構成部品の存在を明確に述べるが、1若しくは複数の他の特徴、要素、整数、ステップ、構成部品、またはそれらの群の存在または追加を除外しないような非制限的な語であることを意味している。同様に、「包含する」及び/または「有する」なる語及びその派生語は、「含む」なる語として翻訳されることが意図されており、任意の記載されている特徴、要素、整数、ステップ、または構成部品の存在を明確に述べるが、1若しくは複数の他の特徴、要素、整数、ステップ、構成部品、またはそれらの群の存在または追加を除外しないような非制限的な語であることを意味している。
【0016】
本明細書中において、「布地」または「材料」なる語は、1種類が特定されていない限り、全ての織物、編物及び不織布の繊維状ウェブを指す。「布地」または「材料」なる語は、交絡糸、繊維またはフィラメント(長繊維)によって作られる任意の平面織物構造を意味するために広く用いられる。それゆえ、布地は織物ウェブまたは不織布ウェブであり得、そのいずれも当業者に公知の方法によって容易に作製される。例えば、不織布ウェブは、メルトブロー法、コフォーミング、スパンボンド法、カーディング法、エアーレイ法、ウェットレイ法などの工程によって作製される。さらに、布地は、単層または多層で構成されることができる。その上、多層布地は、フィルム、スクリム、及び他の非繊維状材料を含み得る。望ましい材料または布地が、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されており、両特許文献は、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0017】
本明細書中において、単数で用いられる「層」なる語は、単数の要素または複数の要素の二重の意味を有し得る。
【0018】
本明細書中において、「メルトブローン繊維」なる語は、溶融した熱可塑性材料を、複数の細い通常は円形のダイ細管から、溶融糸またはフィラメントとして、一点に集まる高速度の通常は高温のガス(例えば空気)流の中に押し出す(それにより、溶融した熱可塑性材料のフィラメントを細めてその径をマイクロファイバ(超極細繊維)径であり得る径にまで小さくする)ことによって形成される繊維を意味する。その後、メルトブローン繊維は高速ガス流によって運ばれ、捕集面上に堆積されて、ランダムに分散されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。そのような工程は、例えば特許文献3に開示されており、特許文献3は、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。メルトブローン繊維は、連続または非連続的であり得るマイクロファイバであり、平均径は概ね10ミクロンより小さく、捕集面上へ堆積されたときに一般的には粘着性がある。
【0019】
本明細書中において、「多層積層体」なる語は、例えばスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)積層体及び特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、及び特許文献8に開示されているような他の積層体のような、一部の層がスパンボンドであり、一部の層がメルトブローンである積層体を意味し、各特許文献は、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。そのような積層体は、移動する成形ベルト上へ、先ずスパンボンド布地層、次にメルトブローン布地層、最後に別のスパンボンド層を順次堆積し、次に後述する方法で積層体を結合することによって製造され得る。あるいは、布地層は、個々に製造され、ロール状に集められ、別々の結合ステップで組み合わせられることもできる。そのような布地は、約0.1ないし12osy(6ないし400gsm)、あるいはもっと限定すれば約0.75ないし約3osyの坪量を有する。多層積層体は、多くの異なる構成で様々な数のメルトブローン(M)層または複数のスパンボンド(S)層を有することもあり、例えばSMMS、SM、SFS、SMSなど、フィルム(F)またはコフォーム材料のような他の材料を含むことがある。
【0020】
本明細書中において、「結合された」及び「結合(する)」なる語は、2つの要素の連結、接着、接続、取り付け、または同様のものを指す。2つの要素は、互いに直接的にまたは互いに間接的に結合されたとき、例えば各々が中間要素に直接結合されたとき、結び付けられたと考えられる。そのような結合は、例えば接着剤、熱または超音波法によって生じ得る。
【0021】
本明細書中において、「サーマルポイントボンド法」または「ヒートボンド法」なる語は、加熱されたカレンダーロールとアンビルロールの間に繊維の布地またはウェブを通過させて結合させるステップを含む。布地の複数の層または2つ以上の布地が熱的に接着されるとき、これらの布地はそれぞれ融点まで加熱され、従って溶融工程において材料内の全ての孔、毛管、その他(もしあれば)がつぶれかつ/またはシールされる。材料の完全性及び連続性は維持される(すなわち、材料は結合領域で薄くなりすぎたり穴が開いたりしない)。
【0022】
カレンダーロールは、通常、必ずしもそうとは限らないが、布地全体がその表面全体にわたって結合されないように何らかの方法で凹凸(パターン)が形成され(サーマルポイントボンド法)、アンビルロールは、通常平坦である。その結果、機能的及び美的な理由から、カレンダーロールのための様々なパターンが開発された。パターンの一例は、複数の点(ポイント)を有し、特許文献9に教示されているような約200接着部/平方インチ(約31接着部/平方センチメートル)の、約30%の接着面積を持つハンセン・ペニングス(Hansen Pennings)すなわち「H&P」パターンであり、特許文献9は、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。H&Pパターンは、四角形の点またはピン接着面積を有し、各ピンは、一辺の寸法が0.038インチ(0.965mm)、ピンとピンの間隔が0.070インチ(1.778mm)、接着深さが0.023インチ(0.584mm)である。結果として得られるパターンは、約29.5%の接着面積を有する。別の典型的な点結合パターンは、拡張ハンセン・ペニングス(expanded Hansen Pennings)すなわち「EHP」接着パターンであり、これは、一辺の寸法が0.037インチ(0.94mm)、ピン間隔が0.097インチ(2.464mm)、深さが0.039インチ(0.991mm)の四角形のピンを用い、15%の接着面積を生じさせる。「714」と呼ばれる別の典型的な点接着パターンは、四角形のピン接着面積を有し、各ピンは、一辺の寸法が0.023インチ(0.584mm)、ピンとピンの間隔が0.062インチ(1.575mm)、接着深さが0.033インチ(0.838mm)である。結果として得られるパターンは、約15%の接着面積を有する。さらに別のよくあるパターンは、約16.9%の接着面積を有するC星(C-Star)パターンである。C星パターンは、流れ星によって中断された横方向バーまたは「コーデュロイ」デザインを有する。他のよくあるパターンには、接着面積約16%の、繰り返し現れる僅かに中心を外れた複数のダイヤモンドを有するダイヤモンドパターンと、接着面積約19%の、その名が示唆するように例えば窓網戸に見えるワイヤ模様パターンとが含まる。典型的には、接着面積率は、布地積層体ウェブの面積の約10%から約30%まで様々である。当分野で公知であるように、スポットボンド法は、複数の積層体層をひとまとめに保持し、かつ各層内でフィラメント及び/または繊維を接着することによって個々の層に完全性を与える。
【0023】
本明細書中において、「超音波接着法」または「超音波溶接」なる語は、例えば特許文献10に示されているように超音波ホーンとアンビルロールの間に不織布材料などの布地を通過させることによって行われる工程を意味する。特許文献10は、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。布地の複数の層または2つ以上の布地が超音波接着されるとき、これらの布地はそれぞれ融点まで加熱され、従って溶融工程において材料内の全ての孔、毛管、その他(もしあれば)がつぶれかつ/またはシールされる。材料の完全性及び連続性は、維持される(すなわち、材料は結合領域で薄くなりすぎたり穴が開いたりしない)。
【0024】
本明細書中において、「不織(の)」及び「不織布」なる語は、不織布ウェブ、フィルム、発砲シート材料、またはそれらの組合せのいずれかを意味する。
【0025】
本明細書中において、「繊維状不織(の)」及び「繊維状不織布またはウェブ」なる語は、編物におけるように識別可能な方法でではないが間に挿入されている個々の繊維、フィラメントまたは糸の構造を有するウェブを意味する。繊維状不織布またはウェブは、例えば、メルトブロー法、スパンボンド法、ボンデッドカーデッドウェブ工程などの数多くの工程から形成されてきた。繊維状不織布の坪量は、通常は材料のオンス/平方ヤード(osy)またはグラム/平方メートル(gsm)で表され、有用な繊維寸法は通常はミクロンで表される。(osyからgsmへの変換は、osyに33.91を掛けることに留意されたい)。
【0026】
本明細書中において、「サージカルガウン」、「衣服」、「アパレル」及び「衣」なる語は、作業者を汚染物質から保護するかまたは他のものの汚染を防止するために様々な産業/専門職/職業によって用いられる医療用衣服または医療作業服及び他の形態の防護衣を含むものである。そのような防護衣には、限定されるものではないが、ホスピタルガウン及びサージカルガウン、医療衣、医療用ドレープ、つなぎ服、並びに単なる例であるがシャツやパンツなど着用者の体の一部を保護するために用いられる衣服、あるいは単なる例であるがつなぎ服など着用者の全身の大部分を保護するために用いられる衣服が含まれる。この出願の目的上、「衣服」、「ガウン」、「衣」、「アパレル」及び/または「作業着」なる語は同義語として用いられる。
【0027】
本明細書中において、「スパンボンデッド繊維」なる語は、溶融した熱可塑性材料を、紡糸口金の複数の細い通常は円形の細管から、押出しフィラメントの径で、その後は例えば、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16及び特許文献17に開示されている方法によるなどして急激に細めて、フィラメントとして押し出すことによって形成される小径繊維を指す。上記各特許文献は、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。スパンボンド繊維は、捕集面上へ堆積されたときに一般的には粘着性がない。スパンボンド繊維は、一般的には連続的であり、多くの場合(少なくとも10個のサンプルからの)平均径が7ミクロン以上、もっと限定すれば約10ないし100ミクロンである。
【0028】
本明細書中において、「疎水性」なる語は、一般的には水の広がりを促進しない不織布を指すものである。水は代わりに水滴及び接触角を形成し、接触角は、3相境界線(空気−水−繊維)において繊維/材料表面の平面に対して水面の接線がなす角として測定することができる。典型的には、接触角は40〜110°の範囲にあり、多くの場合90°より大きい。繊維/材料は、約50ダイン/cm未満、例えば約10〜50ダイン/cmなどの表面張力またはエネルギーも示す。疎水性材料に関するさらなる詳細は、非特許文献1に見られるであろう。疎水性布地は、元来疎水性である材料から、または疎水性になるように何らかの方法で処理された親水性繊維/フィルムから、生み出され得る。そのような処理は、化学的処理を含み得る。
【0029】
接触角は、非特許文献2に記載されているような標準測定技法によって測定可能であり、非特許文献2は本明細書の一部となす。材料の表面エネルギーは、イリノイ州シカゴのUVプロセスサプライ社(UV Process Supply, Inc.)から入手可能であるようなダインペンセットを用いて測定可能である。しかし、表面エネルギーを測定する追加的な方法として、英国のトーションバランスサプライズ社(Torsion Balance Supplies)から入手可能であるような、白金環を利用するねじりばかり(Torsion Balance apparatus)及び他の装置もある。
【0030】
本明細書中において、「フィルム(膜)」なる語は、通気性膜または非通気性膜を指し得る。本明細書に記載の布地の一部として用いられるフィルム層は、本明細書に記載の性能特性と特徴の独自の組合せを有するバリア材料を生産するために、布地または不織布の最上層及び/または最下層に適切に結合されるか取り付けられることができる任意のフィルムで形成されることができる。そのようなフィルム層は、ポリマーから形成されるのが望ましい。
【0031】
通気性微孔フィルムの場合、適切なフィルム材料群は、少なくとも2つの主要構成要素、すなわち熱可塑性エラストマーポリオレフィン重合体及びフィラーを含み得る。これらの(及び他の)構成要素は、膜処理分野の当業者に既知の様々な膜製造工程のうち任意の1つを用いて、混合され、加熱され、その後押し出されて単層または多層フィルムになる。そのような成膜工程には、例えば、キャストエンボス加工(cast embossed)、冷却及び平打ち(chill and flat cast)、ブローンフィルム工程が含まれる。
【0032】
一般的には、フィルムの総重量に基づく乾燥重量ベースでは、通気性フィルム層は、約30ないし約60重量パーセントの熱可塑性ポリオレフィン重合体またはそのブレンドと、約40ないし約70パーセントのフィラーとを含み得る。他の添加剤及び成分は、本発明の教示に従って機能するフィルム層の能力を著しく妨げないならば、フィルム層14に加えられ得る。そのような添加剤及び成分は、例えば、酸化防止剤、安定剤、及び色素を含み得る。
【0033】
ポリオレフィン重合体に加えて、通気性フィルム層にはフィラーも含めるのが望ましい。本明細書中において、「フィラー」なる語は、フィルムポリマー押出しブレンドに加えることができ、押出しフィルムに化学的に干渉することはないが、フィルム全体にわたって均一に分散されることができるような、粒子状及び他の形態の材料を含むことを表している。一般的には、フィラーは、粒子状形態となり、平均粒径が約0.1ないし約7ミクロンの範囲の球形または非球形形状を有し得る。有機フィラー及び無機フィラーはともに、膜形成工程、または本発明の教示に従って機能するフィルム層の能力を妨げないならば、本発明の範囲内にあると考えられる。適切なフィラーの例には、炭酸カルシウム(CaCO)、様々な種類の粘土、シリカ(SiO)、アルミナ、炭酸バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、タルク、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、二酸化チタン(TiO)、ゼオライト、セルロース系粉末、カオリン、雲母、炭素、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、パルプ粉、木粉、セルロース誘導体、キチン及びキチン誘導体が含まれる。例えばステアリン酸などの適切なコーティングをフィラー粒子に施してもよい。
【0034】
通気性フィルム層は、成膜をよく知る者に既知の従来の工程のうちの任意の1つを用いて形成され得る。ポリオレフィン重合体及びフィラーは、適切な割合で混合され、その後加熱され、押し出されてフィルムになるのが望ましい。フィルムの水蒸気透過速度に反映される均一な通気性を与えるために、伸長時に通気性を与えるための孔が作られるように、フィラーはポリマーブレンド全体にわたって、必然的にフィルム層自体全体にわたって、均一に分散されなければならない。本発明の目的上、フィルムは、本明細書に記載の試験方法を用いて計算して少なくとも300グラム/平方メートル/24時間(g/m/24h)の水蒸気透過速度を有していれば、「通気性がある」と考えられる。一般的に、フィルムが形成された時点でフィルムの単位面積当たりの重量は約80グラム/平方メートル(gsm)未満であり、伸ばして薄くした後にフィルムの単位面積当たりの重量は約10gsmないし約25gsmになる。当然のことながら、本発明では、当分野で既知の任意の通気性または非通気性のフィルムが用いられ得る。
【0035】
本明細書中において、「ウィック」または「ウィッキング」なる語は、典型的には毛管現象によって、水分/液体を運び去ることを意味するものである。そのような語には、シート材料同士の間、例えばサージカルドレープなどの繊維状不織布シート材料の表面と手袋などのフィルムシートとの間を、液体が移動する能力も含まれる。
【0036】
本明細書中において、「汚染物質」なる語は、人間または動物を潜在的に害し得る化学薬品または生物有機体/病原体を意味するものである。
【0037】
本明細書中において、サージカルガウンの幾つかの層または部分を一体になるように固着することを表す用語には、「連結する」、「固定する」、「取り付ける」及びそれらの派生語及び同義語が含まれる。そのような固着は、幾つかの従来の方法のうちの任意のものによって達成され得る。限定ではなく説明のつもりで、これらの方法には、フックアンドループ締結システム、並びに当業者によく知られている他の機構及び方法を用いた、縫い合わせ、接着、ヒートシール、ジッパー留め、スナップ留め、超音波接着法またはヒートボンド法が含まれる。本発明の幾つかの層を一体になるように固定するのに適した接着剤には、構造用接着剤及びホットメルト型粘着剤、例えばフィンドレーH2096またはH2088が含まれる。フィンドレー接着剤は、ウィスコンシン州ウォーワトサのフィンドレー・アドヒーシブ社(Findly Adhesive Inc.)から発売されている。
【0038】
本明細書中において、「アウター」または「外側」なる語は、衣服着用時に着用者から見て外方の衣服またはガウンの表面を表す。
【0039】
本明細書中において、「インナー」または「内側」なる語は、着用者の体または服のいずれかに面した衣服またはガウンの表面またはその一部を指す。
【0040】
本明細書中において、「液体」なる語は、任意の液体、流体、または気液混合物を指し、そのような液体には様々なエアロゾル及び粒子状物質が取り込まれ得る。
【0041】
本明細書中において、「結合」なる語は、2つのものを連結する、接続する、締結する、関連付ける、結ぶ、(接着剤により)接着する、若しくは一体的にまたは間に入って1つに結びつけることを含むが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書中において、「構成(する)」または「配置」なる語及びその派生語は、特定の用途または使用を視野に入れて、設計、配置、構築、または形成することを意味する。例えば:起伏の多い地形のために構成された軍用車両;システムのパラメータを設定することによってコンピュータを構成した。
【0043】
本明細書中において、「実質的」または「実質的に」なる語は、何かが大きな範囲または程度;かなりの量または多くの量までなされることを指す。例えば、本明細書中において「実質的に」覆われるという文脈で用いられる「実質的に」は、或る物体が少なくとも70%覆われることを意味する。
【0044】
本明細書中において、「整合」なる語は、直線または平行線上にある複数の物体の配置または位置が持つ空間特性を指す。
【0045】
本明細書中において、同じ意味で用いられる「方向(幾何学的配置)」または「位置」なる語は、何かが置かれている場所または置かれ方の空間特性を指す。例えば「時計の針の位置」。
【0046】
本明細書中において、「約」なる語は、記載されている数若しくは記載または暗示されている範囲の±10パーセントである量を指す。
【0047】
本明細書中において、「バリア材料」または「バリア材料」なる語は、3つの層、すなわち、例えばスパンボンドフィラメントで形成された最上不織布層と、例えばスパンボンドフィラメントで形成された最下不織布層と、例えば微孔フィルムで形成された中間通気性フィルム層とを含む積層体を指す。バリア材料の個々の層は、熱機械的結合、超音波接着法、接着剤、及び同類のものを含む既知の手段によって、一体になるように積層されるか、結合されるか、くっつけられる。本明細書中において、単数で用いられる「層」または「ウェブ」なる語は、単数の要素または複数の要素の二重の意味を有し得る。別の代替形態では、材料は、フィルムまたはポリマー層またはコーティングを有する当分野で既知の任意の種類の不織布材料である。そのようなフィルムまたはポリマー層またはコーティングは、約0.5milないし約3.0milの範囲で提供されるのが望ましい。
【0048】
これらの用語は、明細書の残りの部分において追加の言葉によって定義され得る。
【実施例】
【0049】
ここで、本発明の1若しくは複数の実施形態について詳細に触れ、その例を図面に示す。各例及び実施形態は、本発明の説明として与えられるものであり、本発明を限定する意図はない。例えば、1つの実施形態の一部として図示または説明されている特徴を別の実施形態とともに用いてさらなる実施形態を生み出すことができる。本発明は、本発明の範囲及び趣旨に含まれるものとしてこれら及び他の変更形態及び変形形態を含むことを意図している。
【0050】
ここで、図1〜図9、特に図1〜図4に示す図面を見てみると、防護衣またはサージカルガウン10が概略的に示されている。サージカルガウン10は、いくつかの部片の材料または布地11を結合したものから形成され得るか、あるいは、サージカルガウン10は、1つの部片またはウェブの布地または材料から形成され得る。いろいろなサージカルガウン及びその製造方法が、例えば、限定されるものではないが、特許文献18、特許文献19、特許文献20などに開示されている。サージカルガウン10は、着用者の前面を実質的に覆うように構成された前パネルまたは前身頃12を含む。前パネルまたは前身頃12はまた、着用者の前面側の上下の胴体、並びに少なくとも着用者の両脚の上部の前面を実質的に覆う。サージカルガウン10には、第1及び第2の後パネルまたは後身頃14、16も含まれる。第1及び第2の後パネルまたは後身頃14、16は、協働して着用者の背中を実質的に覆う。すなわち、第1及び第2の後パネルまたは後身頃14、16は、着用者の周りで閉じ位置になるように結ばれたとき、幾分か重なり合い、協働して着用者の背中側の上下の胴体並びに少なくとも着用者の両脚の上部の背面を実質的に覆うことが望ましい。前身頃12並びに第1及び第2の後身頃14、16は、積層体であり得る布地または材料の1つのウェブから構成され得る。あるいは、前身頃12は1つの部片の布地からなり得、第1及び第2の後身頃14、16は別々の複数の部片の布地からなり得る。別の代替形態では、前身頃12は複数の部片の布地からなり得、かつ/または第1及び第2の後部分14、16は複数の部片の布地からなり得る。
【0051】
1対の袖18が、サージカルガウン10の一部に結合されかつ/またはサージカルガウン10の一部として提供されるのが望ましい。各袖18は、多くの場合、限定されるものではないが、ガウン10の別体をなす部分として提供される。袖18は、縫い合わせ、ヒートボンド法またはヒートシール法、粘着結合、超音波接着法及び/または超音波シール法などによってガウン10に結合され得る。各袖18は、その自由端にカフ20を有するのが望ましい。1対の袖18は、前身頃12及び/または第1及び第2の後身頃14、16と協働してガウン10のための襟ぐり22(図示せず)を提供し得る。前身頃12並びに第1及び第2の後身頃14、16は、図1〜図4に示すような襟ぐりを提供する。
【0052】
ひとたび防護衣またはガウン10が提供されると、前身頃12並びに後身頃14、16が協働してガウン10の1対の側面部(左右の側面部)24を提供することが理解されるであろう。側面部24は、着用者の両側面すなわち左右両脇に隣接して配置される。ガウン10はまた、内面26及び外面28を有する。内面26は着用者の側に配置され、外面28は、着用者から離れて配置され、望ましくは1若しくは複数のバリアまたはバリア特性を有する。
【0053】
第1の後身頃14は、第2の後身頃16より小さいのが望ましく、ガウン10の左側面部24に配置され得る。第1の後身頃14は、第1の後身頃14の自由端32上または自由端32に隣接して結合されているひも30を有するのが望ましい。ひも30は、外面28(図示せず)に、あるいは望ましくはガウン10の第1の後身頃の内面26に、結合され得る。ひも30は、図1〜図3に示すように、粘着性パッチ31などのパッチによってガウン10の布地11に結合され得る。しかし、ひもは、本明細書に記載の、または当分野で公知の、任意の手段または方法によってガウン10の布地11に結合され得る。ガウン10の内面26に、望ましくは第1の後身頃14の反対側の側面部24上に、または側面部24に隣接して、対応する内ひも34が結合されるのが望ましい。着用者がガウン10を着用するとき、第1の後身頃14は、第1の後身頃14及びガウン10の前身頃12が着用者の周りに固定されるように、ひも30と内ひも34を結ぶことによって固定される。
【0054】
第2の後身頃16は、より幅広であり、ガウン10の右側面部24に配置され得るのが望ましい。着用者がガウン10を着用して着用者の周りに固定するとき、第2の後身頃16は(左の)第1の後身頃14の一部と重なる。第2の後身頃16は、場合によってはガウン10の側面部24の一部とも重なり得る(図示せず)。後身頃16には、パッチ31を介してガウン10の自由端38上またはその近くに結合されている後ひも36が含まれる。後ひも36はガウン10の内面26に結合され得るが、当然のことながら、後ひも36は代わりに外面28またはガウン(図示せず)の自由端38にも結合され得る。対応する前ひも40は、ノッチ付きパッチ42を介してガウン10の前身頃12上の布地11に結合される。限定されるものではないが、ノッチ付きパッチ42は、前身頃12の中心を外れて、ガウン10の左側面部24に隣接するかまたはその近くに、着用者の胴体の中間領域の近くかまたはその周りに配置されるのが望ましい。後ひも36は、第2の後身頃16から延出し、第1の後身頃14の少なくとも一部を横切って、前身頃12の一部の上を通って、前ひもに結ばれる。ガウン10は、このように着用者の周りに固定される。
【0055】
図4〜図9に示すように、ノッチ付きパッチ42は、この実施形態では、限定されるものではないが、概ね矩形のノッチ付きパッチ42を含み、隅が丸まっている外周辺端部43を有するのが望ましい。周辺端部43は、1対の短端部44及び1対の長端部46を含む。左側面部24の最も近くに配置されるノッチ付きパッチ42の1つの短側部44は、ノッチ付きパッチ42の短端部42に形成された概ね半円形の切れ込みまたはノッチ48を有するのが望ましい。ノッチ付きパッチ42はまた、上面50及び下面52を有する。下面52には、下面52を実質的に覆う接着剤が含まれるのが望ましい。接着剤は、限定されるものではないが、粘着剤を含むのが望ましい。前ひも40の部分54が、望ましくはノッチ付きパッチ42の下面52に結合され、下面52に塗布された接着剤によってそこに結合されたまま保持されている。ノッチ付きパッチ42はその後、そこに塗布された接着剤によってガウン10の前身頃12に結合されるのが望ましい。
【0056】
前ひも40は、ノッチ付きパッチ42とガウン10の前身頃12の間からノッチ48を通って延出するように結合される。前ひも40は、最も近い側面部24に向かって延出するように、すなわちガウン10の左側面部24に隣接して着用者の胴体の中間領域の近くかまたはその周りに配置される。前ひも40は、ガウン10の前身頃12のガウン10の左側面部24上またはその近くで、ガウン10の第2の後身頃16からの後ひも36に結合するのが望ましい。
【0057】
ノッチ付きパッチ42は、任意の材料または複数の材料の組み合わせから形成され得る。そのような材料には、紙、プラスチック、高分子フィルム、1若しくは複数の不織布、ポリエステル、ナイロン、シリコーン、ワックス(ろう)、上記のうちの任意のものの積層体などが含まれ得る。しかし、一実施形態では、ノッチ付きパッチは紙から形成されるが、シリコーン積層体などのバリア材料から形成されるのが望ましい上面を有する。ノッチ付きパッチ42の上面50は、耐液性または液体不透過性の材料から作製されるのが望ましい。
【0058】
本明細書に記載のひも30、34、36、40は、任意の材料または複数の材料の組み合わせから形成され得る。そのような材料には、不織布、高分子フィルム、ポリエステル、ナイロン、紙、それらの積層体などが含まれ得る。
【0059】
ノッチ付きパッチ42の切れ込みまたはノッチ48は、「C」、「V」、または「U」字形状を含み得るのが望ましい。しかし、切れ込みまたはノッチ48を形成するための任意の左右対称の構成(限定されるものではないが、半円形、半楕円形など)、左右対称でないすなわち非対称の構成、または複数の構成の組合せは、ノッチ付きパッチ42が本明細書に示されかつ/または記載されているように機能する限り、ノッチ付きパッチ42でも使われ得る。
【0060】
当然のことながら、本明細書に示すノッチ付きパッチ42の構成は一例にすぎず、ノッチ付きパッチ42のための構成は、非限定的なものとして意図されている。従って、ノッチ付きパッチ42は、本明細書に示されかつ/または記載されているように機能する限り、ノッチ48を有した、任意の形状、大きさ、構成のもの、例えば、限定されるものではないが、正方形、円形、楕円形、矩形などのものであり得る。
【0061】
ノッチ付きパッチ42上の接着剤は、前ひも40に接着結合するのに十分な量であるのが望ましい。前ひも40は、ガウンの前身頃12ではなく、ノッチ付きパッチ42にのみ結合される。その上、接着剤は、ノッチ付きパッチ42を、ノッチ付きパッチ42に接触した状態で配置されている前ひも40の部分54の外周辺56の周りに接着結合するのが望ましい。従って、ノッチ付きパッチ42の結合領域57(図8)は、前ひも40の外周辺56を越えて延出し、ガウン10のバリアに引裂または破損を生じさせることなく、あるいはノッチ付きパッチ42上の接着剤が機能しなくなることによって前ひも40が不注意にほどけることなく前ひも40をガウン10に隣接して保持する。前ひも40に結合されていないノッチ付きパッチ42の残りの下面52は、ガウン10の前身頃12の布地11に結合される。後述するように、このことは、前ひも40に対する引っ張りの力がノッチ付きパッチ42の全域でより広範に分散されることができるようにする(図6)。
【0062】
ノッチ付きパッチ42は、ノッチ付きパッチ42のノッチ48によって形成され、従って離間して互いに対して向き合う向きに配置されているような、2つのアーム部58を含むのが望ましい。前ひも40が或る方向にすなわちノッチ付きパッチ42の向きに対して少なくとも約90°の角度で引っ張られるときのノッチ付きパッチ42の起こるべくして起こる振る舞いは、前ひも40が引っ張られるときに2つのアーム部58間の空間60が減少するように、2つのアーム部58が下向き方向59にかつ幾分か互いに向かって引いたり押したりすることである(図6)。ノッチ付きパッチ42によるこの動作は、ガウン10の前身頃12の布地11に接触した状態でノッチ付きパッチ42をしっかりと方向付けかつ保持する。対照的に、パッチ31及び先行技術で既知の先行技術のパッチ62などの他のパッチは、ノッチを有さず、パッチに結合されたひもが引っ張られるときに圧力及び摩擦への働きが異なる。
【0063】
例えば、図10〜図12に示す先行技術のパッチ62を見ると、ひも64がパッチ62の接着剤によって下面66に結合されている。パッチ62は、布地(例えば本明細書に示しかつ既に記載した布地11)に結合される。ひもがパッチ62の向きに対して約90°の角度で引っ張られるとき、パッチ62の端部68に隣接して配置されているひも64の少なくとも一部67並びに端部68は、図11に示すように、布地11から離れて上向き方向70に動くかまたは引っ張られる。この動作は、しばしば布地11を引き裂きかつ/または剥離を生じさせ、それによって、布地11により作られるバリアを破壊する。あるいは、パッチ62及びひも63は、布地11から部分的に剥離する一方で、布地11を上向き方向70に引っ張り、さらに布地11のより広い領域に対する張力及び摩擦を生じさせる。
【0064】
従って、本発明に戻ると、ノッチ付きパッチ42のノッチ48は、ノッチ付きパッチ42が全く異なるやり方で前ひも40上の張力または引っ張りに作用または反応することができるように働く。すなわち、そのような引っ張りの圧力及び張力は、ノッチ付きパッチ42のアーム部58及び短端部44に沿ってより広範に分散される。この作用または反応は、ガウン10の布地11またはガウン10それ自体の全体においてノッチ付きパッチ42が剥離、破損または引裂を生じさせる可能性を小さくする。場合によっては、ノッチ付きパッチ42及びそこで使われている材料の構造に起因して、ノッチ付きパッチ42はこの領域ではガウン10の布地11に結合されていないので、前ひも40を保持するノッチ付きパッチ42の領域は、ガウン10の布地11の引裂または剥離を生じさせることなく部分的に離れることになる。前ひも40が、ノッチ付きパッチ42から離れて或る角度で、例えば約10°ないし約180°の角度で引っ張られているとき、ノッチ付きパッチ42はガウン10の布地11の引裂及び/または剥離に大いに耐えることができる。
【0065】
図5及び図6に示すように、ガウン10の前身頃12及びその上のノッチ付きパッチ42が水平軸線または第1の軸線74の方向に向けられ、かつ前ひも40がノッチ付きパッチ42の水平方向に対して約90°の角度で垂直軸線または第2の軸線76の方向に引っ張られているとき、ノッチ付きパッチ42のアーム部58は、斜めの軸線または第3の軸線78に沿って下向きかつ内向きに引っ張られる。これは、先行技術のパッチ62とは異なっており、先行技術のパッチ62は、水平軸線または第1の軸線74上で布地11上に保持され、かつ、ひも64が先行技術のパッチ62の向きに対して約90°の角度で垂直軸線74に沿って上向きまたは垂直方向70に引っ張られているとき、ひも64の一部67及び先行技術のパッチ62の隣接端部68も、ひも64に加えられる引っ張りまたは張力を受けて、図11に示すように、垂直または第2の軸線76上で上向き方向70に引っ張られ、それによってガウン10の下層布地11の剥離及び/または引裂(図示せず)を促す。そのような張力はまた、先行技術のパッチ62の下及び近くの布地11を、上向き方向70に概ね垂直または第2の軸線76に沿って動かす。布地11のこの動作は、本発明のノッチ付きパッチ42の動作とは異なっており、本発明では、少なくともノッチ付きパッチ42のアーム部58を囲繞する布地11は、下向き方向59に、または概ね斜めの軸線78に沿って動かされる。
【0066】
図1〜図4を見ると、サージカルガウンの坪量は約0.5osyないし約3.0osyであるのが望ましい。サージカルガウンの一定の領域には、より多い坪量を有する布地が含まれることがある。これらの坪量がより多い領域は、外科手術中、医療処置中などに液体、粒子状物質、及び同類のものによる接触及び汚染の可能性が最も高い領域に存在するのが望ましい。これらの高汚染領域は、前身頃19の少なくとも一部であり得、袖18の一部も含む。これらの高汚染領域内の布地は、約1.45osyないし約3.0osyの坪量を有するのが望ましい。これらの領域内の布地は、約1.45osyないし約2.0osyの坪量を有するのがさらに望ましい。あるいは、サージカルガウン10は、全体にわたって同じ坪量を用いることもできる。
【0067】
本発明は、単なる例であるが特許文献1に開示されているような、改良された服のような液体不透過性で通気性のバリア材料と併用されるのが望ましく、特許文献1は、全文を引用することを以て本明細書の一部となすものであり、詳細に後述する。通気性バリア材料は、材料を外科手術用品の形成時の使用並びに他の衣服及びオーバーガーメント用途向け、例えば個人用保護具用途向けなどに適したものにする特徴と性能特性との独自のバランスを持つ。バリア材料は、3つの層、すなわち、例えばスパンボンドフィラメントで形成された最上不織布層と、例えばスパンボンドフィラメントで形成された最下不織布層と、例えば微孔フィルムで形成された中間通気性フィルム層とを含む積層体である。バリア材料の個々の層は、熱機械的結合、超音波接着法、接着剤、及び同類のものを含む既知の手段によって、一体になるように積層されるか、結合されるか、くっつけられる。本明細書中において、単数で用いられる「層」または「ウェブ」なる語は、単数の要素または複数の要素の二重の意味を有し得る。別の代替形態では、材料は、フィルムまたはポリマー層またはコーティングを有する当分野で既知の任意の種類の不織布材料である。そのようなフィルムまたはポリマー層またはコーティングは、約0.5milないし約3.0milの範囲で提供されるのが望ましい。
【0068】
市販の熱可塑性高分子材料は、最上層及び最下層を形成する繊維またはフィラメントを製造する際に有利に使用されることができる。本明細書中において、「高分子(重合体、ポリマー)」なる語は、限定されるものではないが、ホモポリマー、共重合体(例えば、ブロック、グラフト、ランダム及び交互共重合体、ターポリマーなど)並びにそれらのブレンド及び修飾体を含むものである。さらに、他に特に限定されていない限り、「高分子」なる語は、限定されるものではないが、アイソタクチック、シンジオタクチック、ランダム、アタクチック対称を含む材料の全ての可能な幾何学的形状を含むものとする。本明細書中において、「熱可塑性高分子」または「熱可塑性高分子材料」なる語は、熱にされされると柔らかくなり、大気温度まで冷却されると固体状態に戻る長鎖高分子を指す。例示的な熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリフルオロカーボン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、カプロラクタム、及び上記のものの共重合体を含むが、これに限定されるものではない。
【0069】
不織布の最上層及び最下層として使用され得る不織布ウェブは、スパンボンド法、エアーレイ法、メルトブロー法、またはボンデッドカーデッドウェブ形成工程を含む様々な既知の形成工程によって形成されることができる。例えば、最上層及び最下層はともにスパンボンド不織布ウェブであり、それはバリア材料の形成に利点があることが分かっている。スパンボンド不織布ウェブは、溶融紡糸フィラメントから製造される。溶融紡糸フィラメントは、移動する搬送ベルトまたは同類のものの上へ実質的にランダムに堆積されて、実質的に連続的かつランダムに配置された溶融紡糸フィラメントのウェブを形成する。スパンボンドフィラメントは、捕集面上へ堆積されたときに一般的には粘着性がない。スパンボンド工程によって形成される溶融紡糸フィラメントは、一般的には連続的であり、少なくとも5回の測定に基づく平均径が7ミクロン以上、もっと限定すれば約10ないし100ミクロンである。別のよく用いられる繊維またはフィラメントの径の表し方はデニールであり、デニールは繊維またはフィラメントの9000メートル当たりのグラム数として定義される。
【0070】
スパンボンドウェブは一般的に、さらなる処理の厳しさに耐えるのに十分な完全性及び強度をウェブに与えるために、形成されるとすぐに何らかの方法で安定化または強固化(事前結合)される。この事前結合ステップは、加熱によって活性化され得る液体または粉末としてフィラメントに塗布される接着剤の使用を通じて、あるいはより一般的にはエアナイフまたは圧縮ロールによって、達成され得る。本明細書中において、「圧縮ロール」なる語は、スルーエアボンド法、ヒートボンド法、超音波接着法及び同類のものなどの後から適用される二次接着工程の比較的強い結合ではないが、さらなる処理に対する十分な完全性をウェブに与えるために、ちょうど形成されたばかりの溶融紡糸フィラメント、特にスパンボンドウェブを処理する方法としての、ウェブを圧縮するために用いられる不織布ウェブ上下にある1組のローラを意味する。圧縮ロールは、ウェブの自己接着性及びそれによってウェブの完全性を増加させるために、ウェブを僅かに絞る。エアナイフは、その名が示すように、加熱空気をスロットまたは1列の開口部からウェブ上へ向かわせ、圧縮して第1の接着を提供する。
【0071】
例示的な二次接着工程は、スパンボンドウェブを熱的に接着するための凹凸(パターン)が形成されたローラ配置を利用する。ローラ配置は、典型的には、凹凸が形成されたボンディングロール及び平滑なアンビルロールを含み、これらは共に熱パターン形成ボンディングニップを画定する。あるいは、アンビルロールの外面上にも接着パターンを有し得る。パターンロールは、従来の加熱手段により適切な結合温度まで加熱され、従来の駆動手段によって、スパンボンドウェブがニップを通過するときに一連の熱パターン接着部が形成されるように回転させられる。ニップ内のニップ圧力は、所望の程度のウェブ接着、所与のライン速度、接着温度、及びウェブを形成する材料を達成するのに十分なものでなければならない。そのようなスパンボンドウェブには、約10パーセントないし約20パーセントの範囲内の接着面積率が典型的である。
【0072】
中間通気性フィルム層は、本明細書に記載の性能特性と特徴の独自の組合せを有するバリア材料を生産するために、最上層及び最下層に適切に結合されるか取り付けられることができる任意の微孔フィルムで形成されることができる。適切なフィルム材料群は、少なくとも2つの主要構成要素、すなわち熱可塑性エラストマーポリオレフィン重合体及びフィラーを含む。これらの(及び他の)構成要素は、膜処理分野の当業者に既知の様々な膜製造工程のうち任意の1つを用いて、混合され、加熱され、その後押し出されて単層または多層のフィルムにされ得る。そのような成膜工程には、例えば、キャストエンボス加工、冷却及び平打ち、ブローンフィルム工程が含まれる。
【0073】
一般的には、フィルムの総重量に基づく乾燥重量ベースでは、中間通気性フィルム層は、約30ないし約60重量パーセントの熱可塑性ポリオレフィン重合体またはそのブレンドと、約40ないし約70パーセントのフィラーとを含み得る。他の添加剤及び成分は、本発明の教示に従って機能するフィルム層の能力を著しく妨げないならば、フィルム層14に加えられ得る。そのような添加剤及び成分は、例えば、酸化防止剤、安定剤、及び色素を含み得る。
【0074】
ポリオレフィン重合体に加えて、中間通気性フィルム層にはフィラーも含まれる。本明細書中において、「フィラー」は、フィルムポリマー押出しブレンドに加えることができ、押出しフィルムに化学的に干渉することはないが、フィルム全体にわたって均一に分散されることができるような、粒子状及び他の形態の材料を含むことを表している。一般的には、フィラーは、粒子状形態となり、平均粒径が約0.1ないし約7ミクロンの範囲の球形または非球形形状を有し得る。有機フィラー及び無機フィラーはともに、成膜工程、または本発明の教示に従って機能するフィルム層の能力を妨げないならば、本発明の範囲内にあると考えられる。適切なフィラーの例には炭酸カルシウム(CaCO)、様々な種類の粘土、シリカ(SiO)、アルミナ、炭酸バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、タルク、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、二酸化チタン(TiO)、ゼオライト、セルロース系粉末、カオリン、雲母、炭素、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、パルプ粉、木粉、セルロース誘導体、キチン及びキチン誘導体が含まれる。例えばステアリン酸などの適切なコーティングをフィラー粒子に施してもよい。
【0075】
本明細書で述べられているように、通気性フィルム層は、成膜をよく知る者に既知の従来の工程のうちの任意の1つを用いて形成され得る。ポリオレフィン重合体及びフィラーは、本明細書中で概説した範囲で与えられる適切な割合で混合され、その後加熱され、押し出されてフィルムになる。フィルムの水蒸気透過速度に反映される均一な通気性を与えるために、伸長時に通気性を与えるための孔が作られるように、フィラーはポリマーブレンド全体にわたって、必然的にフィルム層自体全体にわたって、均一に分散されなければならない。本発明の目的上、フィルムは、本明細書に記載の試験方法を用いて計算して少なくとも300グラム/平方メートル/24時間(g/m/24h)の水蒸気透過速度を有していれば、「通気性がある」と考えられる。一般的に、フィルムが形成された時点でフィルムの単位面積当たりの重量は約80グラム/平方メートル(gsm)未満であり、伸ばして薄くした後にフィルムの単位面積当たりの重量は約10gsmないし約25gsmになる。
【0076】
後述する本発明の例で用いられる通気性フィルム層は単層フィルムであるが、多層フィルムなどの他の種類のものも、形成技法が充填フィルムに適合する限り、本発明の範囲内にあると考えられる。最初に形成されるフィルムは概ね、振動させると「ガタガタ」音を立てる傾向にあるので、所望のフィルムより薄くてノイズがある。さらに、フィルムは、その水蒸気透過速度によって測定される十分な程度の通気性を有しない。このため、フィルムは、ポリオレフィン重合体の融点以下である約5℃に等しいかそれ以下の温度まで加熱され、その後、フィルムを薄くして多孔性にするためにインライン機械方向配向(machine direction orientation:MDO)ユニットを用いて元の長さの少なくとも約2倍(2X)まで伸ばされる。中間通気性フィルム層を元の長さの約3倍(3X)、4倍(4X)、またはそれ以上までさらに伸ばすことが、中間通気性フィルム層の形成に関連して明白に考えられる。伸ばして薄くされた後、中間通気性フィルム層は、約0.2milないし約0.6milの「有効」フィルムゲージまたは厚さを有しなければならない。通気性フィルム層内のボイドまたは空隙を考慮に入れるために有効ゲージが用いられる。
【0077】
カフ20は、図1〜図4に示しかつ既に述べたように、ガウン10の袖18に取り付けられるのが望ましい。カフ材料は、各ガウンの首、その他(図示せず)にも取り付けられ得る。カフ20は、合成または天然材料から形成される弾性糸から作られるのが望ましい。弾性糸を形成するための合成材料の例は、ポリウレタンである。スパンデックスは、ポリウレタンベースのエラストマーの例である。もっと限定すれば、スパンデックスは、ポリウレタン含有量が少なくとも85%である熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含む繊維形態のポリウレタンである。市販のスパンデックスの例として、ライクラ(LYCRA)、VYRENE、DORLASTAN、SPANZELLE及びGLOSPANが挙げられる。弾性糸を形成するための天然材料の例は、天然ゴムである。ポリエステル、ナイロン、並びに上記の合成及び/または天然弾性糸のうちの任意の弾性糸の組み合わせが用いられることもある。これらの及び他の材料を用いて袖及び/またはカフを作ることは特許文献21に開示されており、特許文献21は、全文を引用することを以て本明細書の一部となす。この実施形態では、カフ20は、各袖18の自由端に縫い付けられたり、熱的に接着されたり、超音波接着されたり、粘着により取り付けられたりなどするのが望ましい。
【0078】
本明細書に示されかつ/または記載されている実施形態の場合、図1〜図12に示すように、パッチ31、ノッチ付きパッチ42及び先行技術のパッチ62に塗布される接着剤は、強い剪断及び摩擦特性を有するのが望ましい。パッチ31、ノッチ付きパッチ42及び先行技術のパッチ62の剥離強度は同等であり、パッチ31、ノッチ付きパッチ42及び先行技術のパッチ62をガウン10の布地11の外面28に接触した状態で保持するのに十分に強いかまたは接着性があることが望ましい。
【0079】
図7に示すノッチ付きパッチ42の1つの限定的でない実施形態では、ノッチ付きパッチ42は矩形であり、長さ約2.87インチ(72.9mm)の2つの長辺46と、長さ約2.5インチ(63.5mm)の2つの短辺44とを有する。2つの短辺44のうち一方にノッチ48が形成される。ノッチは、短辺44の中央に位置し、概ね半円形を有する。短辺44に対するノッチ48の湾曲部の深さは、約0.75インチ(19.05mm)である。ノッチ48の最大幅は、約1.25(31.75mm)インチである。ノッチ48の半径79は、対応する既述の寸法でノッチ付きパッチ42が形成されるとき、約0.50インチ(12.7mm)ないし約0.65インチ(16.51mm)であるのが望ましい。
【0080】
ノッチ付きパッチ42は、前ひも40の部分54の外周56に関して、前ひも40の部分54の幅80の少なくとも2倍である幅寸法80を有するのが望ましい。切れ込みまたはノッチ48の深さは、ノッチ付きパッチ42の最大径の少なくとも約5%ないし約70%の範囲にある。切れ込みまたはノッチ48の深さは、ノッチ付きパッチ42の最大径の少なくとも約10%ないし約50%であるのがより望ましい。切れ込みまたはノッチ48の深さは、ノッチ付きパッチ42の最大径の少なくとも約15%ないし約35%であるのがさらに望ましい。切れ込みまたはノッチ48の深さは、ノッチ付きパッチ42の最大径の少なくとも約16%ないし約30%であるのがなおさら望ましい。
【0081】
本明細書に示されかつ記載されているノッチ付きパッチ42及びひも40は、特定の閉じ手段と併用されているが、当然のことながら、ノッチ付きパッチ及びひもは、衣服の任意の部分において用いられ得る。その上、ノッチ付きパッチは、例えば、限定されるものではないが、糸状物、ベルト、バックル、スナップ、フック、フックアンドループファスナ、フックアンドループ材料、または当分野で既知の他の締結具、その他などの、別の種類の連結手段または複数の連結手段の組合せと併用され得る。衣服の任意の部分上のノッチ付きパッチ(ひも付きまたはひもなし)による任意のかつ全ての閉じ方法は、本明細書中において可能なものとして意図されている。
【0082】

【0083】
パッチを適用した材料上の定位置にパッチがとどまることができなくなることに関して、本明細書に既に示しかつ記載したようにそれぞれにひもが取り付けられている標準的な概ね矩形の先行技術のパッチ62(図10)及びノッチ付きパッチ42(図5)を試験して各パッチの強度を判定した。
【0084】
引張試験機によって引張強度を試験し、このとき100Nロードセルを用いた。ロードセルをメーカーの仕様及び指示に従って調整した。水平プラットフォームの各端部において6.5インチ×15インチ+0.04インチ(165.1mm×381mm+1.016mm)の大きなグリップを用いた。プラットフォームの大まかな中心より上方に小さめの3インチのグリップを配置した。グリップ及びグリップ面にはビルドアップ(盛り上がった部分)がなく、グリップ面には表面のくぼみまたは他の損傷が存在しなかった。グリップを操作する気圧は、メーカーの最大負荷仕様内で設定した。使用する引張試験機のメーカーの仕様に従ってロードセルを較正した。引張試験機のパラメータが以下の仕様通りであることを確認した。
【表1】

【0085】
カリフォルニア州パサディナのエイブリィ・デニソン社(Avery Dennison)製Part No. GCS-2の、接着剤が塗布され、長さ2.375インチ(60.325mm)、幅1/32インチ(0.794mm)になるように寸法を決められたひもが本明細書に示されかつ記載されているように結合されているような、概ね矩形の先行技術のパッチ62を用いた。エイブリィ・デニソン社製Part No. GCS-2 - 70069988の、接着剤が塗布されかつ(上記したような)ひもが結合された、先行技術のパッチ62と同じ大きさ(パッチ内のノッチを除く)の、概ね矩形のノッチ付きパッチ42も用いた。各パッチのためのひもをSFSから作製し、各パッチ62、42にそれぞれ同じ方法で同じ場所に取り付けた。ひももエイブリィ・デニソン社製のものを使った。各パッチ62及び42にはそれぞれひもを取り付け、3つの異なる材料、すなわち、ジョージア州ロズウェルのキンバリー・クラーク社(Kimberly-Clark Corporation)製のSMS、キンバリー・クラーク社製のUltra Impervious(tm)(SFS)、及びキンバリー・クラーク社製のスパンレースに接着結合した。各材料から、幅6.5インチ+0.125インチ(165.1mm+3.175mm)、長さ21+0.125(533.4mm+3.175mm)の試験片を切断した。パッチ62及び42をそれぞれ、プラットフォームの左から7.5インチのプラットフォームの中心に載置した。パッチの先端を、各パッチ62、42の下から現れるようにひもの右に配置した。各試験片には、試験片を残りの試験材料と異なる異常なものにするであろうような、ひだ、しわ、または他の目に見える変形がなかった。各試験片を、大きなジョークリップを用いて2つの6.5インチ(165.1mm)の端部で水平プラットフォームに取り付けた。ひもから緩んだ状態を取り除くのに十分にピンと張っているが、パッチまたは材料をプラットフォームから引き離すほどにはピンと張っていないような或る位置で、上グリップにおいてプラットフォームに対して垂直な角度にひもを取り付けた。
【0086】
クロスヘッドをスタートさせ、戻り限界に達したときに戻した。ピーク負荷、ピーク伸び及びピークエネルギーを記録した。実験室環境は、23+10℃、相対湿度50+10%であった。
【表2】

【0087】
先行技術のパッチ62のひもを引っ張るときに張力が増加するにつれて、パッチ62は、図11及び図12に示すように、材料から引き離されていた。ノッチ付きパッチ42のひもを引っ張るときに張力が増加するにつれて、パッチ42のアーム部58は、図6に示すように、材料に接触した状態で下向きかつ内向きに動かされ、パッチ42を材料に接触した状態で下向きにさせ、それによってパッチ42が材料に接触した状態で定位置にとどまるように働きかける。
【0088】
本発明について特定の好適実施形態に関連して説明してきたが、本発明に含まれる主題はこれらの特定の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。それどころか、本発明の主題は、本発明の趣旨及び範囲内に含まれているように全ての代替形態、変更形態及び等価形態を含むことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひもが結合されたパッチを備えた不織布衣服であって、該衣服が、
前パネル、第1の後パネル及び第2の後パネル、前記第1の後パネル及び前記第2の後パネルのうちの少なくとも一方の一部に結合された後ひもと、
ノッチが形成されかつ1対の離間したアーム部を有するパッチとを含み、
前記パッチの少なくとも一部には、前記ノッチを通過しかつ前記ノッチから離れて外向きに延出するように配置された前ひもが結合され、前記パッチは、前記前パネル上に配置され、
前記ひもが前記パッチに対して約90°の角度で引っ張られるとき、前記ノッチに隣接する前記アーム部が前記衣服の布地に接触した状態で下向きに動き、それよって前記パッチを前記衣服上にしっかりと保持し、
前記後ひも及び前記前ひもが、前記衣服を着用者の周りに保持するために1つに結ばれるように構成されていることを特徴とする不織布衣服。
【請求項2】
不織布衣服に用いるための、ひもが結合されたノッチ付きパッチであって、該パッチが、
ノッチが形成されかつ1対の離間したアーム部を有するパッチを含み、
前記パッチの少なくとも一部には、前記ノッチを通過しかつ前記ノッチから離れて外向きに延出するように配置されたひもが結合され、前記パッチは、衣服に結合され、
前記ひもが前記パッチに対して約90°の角度で引っ張られるとき、前記ノッチに隣接する前記アーム部が前記衣服の布地に接触した状態で下向きに動き、それよって前記パッチを前記衣服上にしっかりと保持することを特徴とするパッチ。
【請求項3】
前記が、2層以上の不織布の層を含むことを特徴とする請求項1の不織布衣服。
【請求項4】
前記ガウンが、フィルム層をさらに含むことを特徴とする請求項3の不織布衣服。
【請求項5】
前記パッチの前記ノッチが、前記パッチの一端に形成されていることを特徴とする請求項1の不織布衣服または請求項2のノッチ付きパッチ。
【請求項6】
前記ノッチが、半円形状であることを特徴とする請求項5の不織布衣服またはノッチ付きパッチ。
【請求項7】
前記ノッチが、半楕円形状であることを特徴とする請求項5の不織布衣服またはノッチ付きパッチ。
【請求項8】
前記パッチが、前記ひもの周りに結合領域を有するように構成されていることを特徴とする請求項5の不織布衣服またはノッチ付きパッチ。
【請求項9】
前記ひもが、前記不織布衣服ではなく前記パッチに結合されていることを特徴とする請求項1の不織布衣服または請求項2のノッチ付きパッチ。
【請求項10】
前記ひもが、接着剤によって前記パッチに結合されていることを特徴とする請求項9の不織布衣服またはノッチ付きパッチ。
【請求項11】
前記パッチが、接着剤によって前記不織布衣服に結合されていることを特徴とする請求項1の不織布衣服または請求項2のノッチ付きパッチ。
【請求項12】
前記ノッチ付きパッチの前記ノッチを画定する切れ込みの深さが、前記パッチの最大径の少なくとも約5%ないし約70%であることを特徴とする請求項1の不織布衣服または請求項2のノッチ付きパッチ。
【請求項13】
前記ノッチ付きパッチの前記ノッチを画定する切れ込みの前記深さが、前記パッチの最大径の少なくとも約10%ないし約50%であることを特徴とする請求項12の不織布衣服またはノッチ付きパッチ。
【請求項14】
前記ノッチ付きパッチの前記ノッチを画定する切れ込みの前記深さが、前記パッチの最大径の少なくとも約16%ないし約35%であることを特徴とする請求項13の不織布衣服またはノッチ付きパッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−500975(P2011−500975A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528510(P2010−528510)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054005
【国際公開番号】WO2009/047671
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(309038085)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】