説明

サーバラック還流防止装置及びサーバラック還流防止方法

【課題】サーバラック背面から排気される暖気の還流を防止すること。
【解決手段】サーバラック列10を前面吸気側が向かい合うように天井板20と間隙を開けて配置し、これらサーバラック列10の間隔の空間を冷気が供給されるコールドアイルとし、サーバラック列10背面の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定したサーバルーム内の暖気の還流を防止するサーバラック還流防止装置であって、サーバラックの列10の上面に天井板20に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネル31と、該還流防止パネル31の上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキン32と、前記還流防止パネルをサーバラックの上面に自立させるためのブラケット30とを備えることによって、コールドアイルへの暖気還流を防止するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の電子機器を搭載した複数のサーバラックを設置するサーバルームにおける暖気の還流を防止することができるサーバラック還流防止装置及びサーバラック還流防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にサーバルームにおけるサーバラックは、内部にサーバを構成する複数の電子機器を箱形の筐体に搭載し、複数のサーバラックを1列に連結して設置され、これらサーバラック内に収容された電子機器を効率良く冷却するため、サーバラック列の前面または背面同士を向い合せに設置し、サーバラック前面側を空調機から排出される冷気を集めた空間であるコールドアイルとし、サーバラック背面側をサーバの排熱を集めた空間であるホットアイルとして設定し、サーバラック内に収容された電子機器がサーバラック前面側のコールドアイルから冷気を吸気し、背面側のホットアイルに暖気を排気するように構成することによってサーバルーム内の冷却効率を向上し、空調機の消費電力を削減することが行われている。
【0003】
なお、前記したサーバルームの冷却に関する技術が記載された文献としては、例えば下記の特許文献1が挙げられ、この特許文献1には、ラック列に対向して空調機を配置し、この空調機からの冷気をフリーアクセスフロアの床面の下を通してラック列の吸気側の床から排出するように配置し、空調機からラックに対して吹き出された空調機吹出温度及びラックが吸気する際の冷却風の温度であるラック吸気温度を検出し、前記空調機吹出温度とラック吸気温度とが同じ温度となるように空調機の風量を制御すると共に、ラックから排気された排熱風のラック排気温度及び空調機が取り込む際の排熱風の温度である空調機戻り温度とを検出し、ラック排気温度と空調機戻り温度との温度差をなくす様に空調機の風量を制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−7423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1に記載された技術は、ラック列に対向して空調機を配置し、該空調機からの冷気をフリーアクセスフロアの床面の下を通してラック列の吸気側の床から排出してサーバラックに供給し、該サーバラックから排気される暖気を、天井側を通して空調機に戻す空気流路を形成し、冷却側温度及び排気暖気側温度を検出して送風量を制御することにより無駄な冷却風を削減することができるものの、サーバラック内部にはファンによって冷気を吸気するため、暖気もラック内に吸引してしまい、ラック内の電子機器を効率的に冷却することが困難であると言う課題があると共に、サーバラック列を向かい合わせたサーバルームにおけるサーバラックからの暖気の還流を考慮しておらず、この暖気の還流による電子機器の冷却を効率的に行うことが困難であるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、前述の従来技術による課題を解決しようとするものであり、サーバラックから排気される暖気が還流してサーバラックの吸気側から吸引されることを防止し、サーバラック内の電子機器を効率的に冷却することができるサーバラック還流防止装置及びサーバラック還流防止方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明は、縦長箱形の複数のサーバラックを1列に結合したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定し、サーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止装置であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの上面に自立させるためのブラケットとを備えることを第1の特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記第1の特徴のサーバラック還流防止装置において、前記ブラケットが、底辺をサーバラック上面に固定され、垂直辺を前記還流防止パネルの平面に固定された直角三角形状とすることを第2の特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記第1の特徴のサーバラック還流防止装置において、前記ブラケットが、底辺をサーバラック上面に固定され、垂直辺を前記還流防止パネルの平面に固定された直角三角形状を成し、前記サーバラック上面に固定されてブラケットのサーバラック上面におけるラック前面から背面に向かう方向の移動を案内するベースレールとを備えたことを第3の特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記第3の特徴のサーバラック還流防止装置において、前記サーバラックが箱形上面に枠を有し、前記サーバラック還流防止装置が、該サーバラック箱形上面の枠に前記ベースレールを固定するためのフックを含むことを第4の特徴とする。
【0011】
更に本発明は、縦長箱形のサーバラックを間隔を空けて配置したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定し、サーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止装置であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの箱形上面に自立させるためのブラケットと、該ブラケットから還流防止パネルの平板面に沿ってサーバルーム天井板方向に延びるアングルと、前記間隔を空けて配置したサーバラック間の間隙に沿って延び、前記アングル間に支持される金属バーと、前記サーバラック間の間隙を塞ぐように該金属バーに吊される還流防止カーテンとを備えたことを第5の特徴とする。
【0012】
また、本発明は、縦長箱形のサーバラックを間隔を空けて配置したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定し、サーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止装置であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの上面に自立させるためのブラケットと、該ブラケットから還流防止パネルの平板面に沿ってサーバルーム天井板方向に延びるアングルと、前記間隔を空けて配置したサーバラック間の間隙に沿って延び、前記アングル間に伸縮自在に支持されるワイヤーと、前記サーバラック間の間隙を塞ぐように該ワイヤーに吊される還流防止カーテンとを備えたことを第6の特徴とする。
【0013】
更に、本発明は、縦長箱形の複数のサーバラックを1列に結合したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定したサーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止方法であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの上面に自立させるためのブラケットとを備えるサーバラック還流防止装置を設け、該サーバラック還流防止装置にサーバラック背面から排気される暖気が天井板方向に上昇してサーバラック前面側への暖気の還流を防止することを第7の特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記第7の特徴のサーバラック還流防止方法において、前記ブラケットを、底辺をサーバラック上面に固定され、垂直辺を前記還流防止パネルの平面に固定された直角三角形状とし、該直角三角形状のブラケットにより還流防止パネルをサーバラック上面に固定することを第8の特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記第7の特徴のサーバラック還流防止方法において、前記ブラケットを、底辺をサーバラック上面に固定され、垂直辺を前記還流防止パネルの平面に固定された直角三角形状とし、前記サーバラック上面に固定されてブラケットのサーバラック上面におけるラック前面から背面に向かう方向の移動を案内するベースレールとを設け、該ベースレールに前記ブラケットのサーバラック上面におけるラック前面から背面に向かう方向の移動を案内させることを第9の特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記第9の特徴のサーバラック還流防止方法において、前記サーバラックが箱形上面に枠を有し、前記サーバラック還流防止装置に、該サーバラック箱形上面の枠に前記ベースレールを固定するためのフックを設け、該フックに前記該サーバラック箱形上面の枠にベースレールを固定させることを第10の特徴とする。
【0017】
更に、本発明は、縦長箱形の複数のサーバラックを1列に結合したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定したサーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止方法であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの箱形上面に自立させるためのブラケットと、該ブラケットから還流防止パネルの平板面に沿ってサーバルーム天井板方向に延びるアングルと、前記間隔を空けて配置したサーバラック間の間隙に沿って延び、前記アングル間に支持される金属バーと、前記サーバラック間の間隙を塞ぐように該金属バーに吊される還流防止カーテンとを備えるサーバラック還流防止装置を設け、該サーバラック還流防止装置にサーバラック背面から排気される暖気が天井板方向に上昇してサーバラック前面側への暖気の還流を防止することを第11の特徴とする。
【0018】
更に、本発明は、縦長箱形の複数のサーバラックを1列に結合したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定したサーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止方法であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの上面に自立させるためのブラケットと、該ブラケットから還流防止パネルの平板面に沿ってサーバルーム天井板方向に延びるアングルと、前記間隔を空けて配置したサーバラック間の間隙に沿って延び、前記アングル間に伸縮自在に支持されるワイヤーと、前記サーバラック間の間隙を塞ぐように該ワイヤーに吊される還流防止カーテンとを備えるサーバラック還流防止装置を設け、該サーバラック還流防止装置にサーバラック背面から排気される暖気が天井板方向に上昇してサーバラック前面側への暖気の還流を防止することを第12の特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるサーバラック還流防止装置及びサーバラック還流防止方法は、サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの上面に自立させるためのブラケットとを設けたことによって、サーバラック背面から排気される暖気が天井板方向に上昇してサーバラック前面側への暖気の還流を防止することができる。
【0020】
更に、本発明は、直角三角形状のブラケットを用いて還流防止パネルをサーバラック上面に固定することによって還流防止パネルをサーバラック上面に直立して支持することができ、ラック前面から背面に延びる方向への移動を案内するベースレールを設けたことによって、還流防止パネルの直立位置を調整することができ、前記ベースレールをサーバラック箱形上面の枠にフックを用いて固定することによってサーバラックを加工することなくベースレールを設けることができる。
【0021】
更に本発明は、縦長箱形のサーバラックを間隔を空けて配置したサーバラック列を設置したサーバルームにおいて、前記還流防止パネルに加え、アングル間に渡した金属バーに還流防止カーテンを吊すことによってラック間からの暖気の還流を防止することができ、アングル間に渡した伸縮自在なワイヤーに還流防止カーテンを吊すことによってラック間からの暖気の還流を防止することができると共にラック間の間隔に係わらず還流防止カーテンを吊すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるサーバラック還流防止方法を適用したサーバルームを示す図。
【図2】本発明によるサーバラック還流防止装置の第1及び第2実施形態を示す図。
【図3】本発明によるサーバラック還流防止装置の第3の実施形態を示す図。
【図4】本発明によるサーバラック還流防止装置の第4の実施形態を示す図。
【図5】本発明によるサーバラック還流防止装置の第5の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明によるサーバラック還流防止方法を適用したサーバラック還流防止装置の実施形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
本発明によるサーバラック還流防止方法を適用したサーバルームは、図1に示す如く、縦長箱形の複数のサーバラックを1列に結合したサーバラック列10を吸気側(前面側)が向かい合うように配置し、該サーバラック列10の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、該サーバラック列10の排気側(背面側)の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定し、更に、前記サーバラック列10の背面に排気された暖気が天井側を通して還流されることを防止するための遮蔽物である還流防止パネル31及び該還流防止パネル31を自立させるための支持部材であるブラケット30とからなるサーバラック還流防止装置を設置している。
【0024】
この還流防止パネル31は、サーバラック列10の背面側から排気される暖気が温度により天井板20に達し、この上昇した暖気が天井板20を伝わってコールドアイル側に流れることを阻止するため、サーバラック列10の上面(天板)とサーバルームの天井板20との間隙を塞ぐように配置され、照明の光を遮断しないように透過性の合成樹脂を材料とするのが好ましい。
【0025】
このサーバラック還流防止装置は、図2(a)に示す如く、サーバラック10aの上面の前面側縁から下縁が直立する平板状の還流防止パネル31と、還流防止パネル31の上縁に設けられ、地震等による揺れを吸収し且つ前記天井板20との間隙を弾性力をもって塞ぐためのゴム材等のパッキン32と、該還流防止パネル31をサーバラック10aの天板に固定的に直立させるための直角三角形状のブラケット30とから構成され、前記直角三角形状のブラケット30は、底辺をサーバラック10aの上面とネジ止めされ、垂直辺を還流防止パネル31の垂直面にネジ止めされている。前記還流防止パネル31と天井板20との間隙は、約5〜20mm程度の間隔を空け、この間隙を弾性材料から成るパッキン32によって塞ぐことが好ましい。
【0026】
このように構成したサーバラック還流防止方法を適用したサーバルームは、サーバラック列10の背面から排気された暖気が天井板20に達してサーバラック前面側に還流しようとする空気流が生じた場合であっても、この空気流の流れを還流防止パネル31が阻止するため、暖気がコールドアイル側に戻されることが無く、従ってサーバラック内の電子機器に空調機から排気された冷気のみを供給することができ、効率的に電子機器を冷却することができる。
【0027】
[第2実施形態]
前記の実施形態においては、還流防止パネル31をサーバラック10aの天板に固定的に直立させるサーバラック還流防止装置を説明したが、本発明は還流防止パネル31を固定的に取り付けるものに限られるものではなく、図2(b)に示す如く、サーバラック10aの上板に還流防止パネル31を支持した直角三角形状のブラケット30の底辺を移動可能に案内する一対のベースレール33をボルト固定し、該ベースレール33によって還流防止パネル31の直立位置を調整自在に構成しても良い。
【0028】
本実施形態によるサーバラック還流防止装置は、天井板に熱感知センサ等の突起物が設けられている場合、これら突起物が障害と成らない位置に還流防止パネル31の直立位置を調整することができる。
【0029】
[第3実施形態]
更に、本発明によるサーバラック還流防止装置は、前記ベースレール33をサーバラック10aの上面にボルト固定するものに限られるものではなく、図3に示す如く、ベースレール33の両端をサーバラック10aの上面の枠に勘合するフック40を用いて着脱自在に配置するように構成しても良い。
【0030】
本実施形態によるサーバラック還流防止装置は、前述の第2実施形態による天井突起物が障害と成らない位置に還流防止パネル31の直立位置を調整することができる効果に加え、サーバラック上面上におけるベースレール33の位置を容易に変更することができる効果を奏する。
【0031】
[第4実施形態]
また、本発明によるサーバラック還流防止装置は、コンピュータシステムの構成や地震対策のために、サーバラックとサーバラック間に間隙を開けた配置のサーバルームにも適用することができ、この実施形態によるサーバラック還流防止装置は、図4に示す如く、間隔を空けて配置されたサーバラック10aのそれぞれの上面の前面側縁から下縁が直立する板状の還流防止パネル31と、還流防止パネル31の上縁に設けられ、地震等による揺れを吸収し且つ前記天井板20との間隙を弾性力をもって塞ぐためのゴム材等のパッキン32と、該還流防止パネル31をサーバラック10aの上面に固定的に直立させるための直角三角形状のブラケット30と、2つのサーバラック10aのブラケット30の垂直辺から天井板20に向かって延びるアングル52と、2つのサーバラック10aのアングル52の上端に取り付けられる長板状の金属バー51と、該金属バー51に上端が複数の支持リング54によって支持され、2つのサーバラック10a間の間隙を塞ぐように吊り下げられた還流防止カーテン50とから構成される。
【0032】
本実施形態によるサーバラック還流防止装置は、サーバラック10a間に隙間があった場合であっても、前記アングル52により支持された金属バー51に複数の支持リング54によって吊り下げられた還流防止カーテン50が、サーバラック10a背面から排気された暖気がサーバラック10aからサーバラック10a前面側への還流を防止することができ、サーバラック内の電子機器に空調機から排気された冷気のみを供給することができ、効率的に電子機器を冷却することができる。
【0033】
[第5実施形態]
前記第4の実施形態においては長板状の金属バー51に還流防止カーテン50を吊り下げる例を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、図5に示す如く、間隔を空けて配置されたサーバラック10aのそれぞれの上面の前面側縁から下縁が直立する板状の還流防止パネル31と、還流防止パネル31の上縁に設けられ、地震等による揺れを吸収し且つ前記天井板20との間隙を弾性力をもって塞ぐためのゴム材等のパッキン32と、該還流防止パネル31をサーバラック10aの上面に固定的に直立させるための直角三角形状のブラケット30と、2つのサーバラック10aのブラケット30の垂直辺から天井板20に向かって延びるアングル52と、2つのサーバラック10aのアングル52の上端に取り付けられ、両端にスプリング56が取り付けられたワイヤー55と、該ワイヤー55に上端が複数の支持リング54によって、支持され、2つのサーバラック10a間の間隙を塞ぐように吊り下げられた還流防止カーテン50とから構成される。
【0034】
本実施形態によるサーバラック還流防止装置は、サーバラック10a間に隙間が固定的でなく、配置変更によって、ラック間の間隙寸法が変化した場合であっても、前記アングル52により支持されたワイヤー55に複数の支持リング54によって吊り下げられた還流防止カーテン50が、サーバラック10a背面から排気された暖気がサーバラック10aからサーバラック10aの前面側への還流を防止することができ、サーバラック内の電子機器に空調機から排気された冷気のみを供給することができ、効率的に電子機器を冷却することができる。
【0035】
なお、前記図4及び図5を参照した実施形態における還流防止パネル31及び還流防止カーテン50は、防火の観点から不燃または難燃性の素材を使用することが望ましい。また、本発明による還流防止カーテン50は、サーバラック列10の両端のサーバラック10aを耐震のために固定した場合には図4に示した実施形態の金属バー51を使用し、片側または両側のサーバラック10aが簡易免震装置等に設置されてサーバラック10aが可動し、サーバラック10a間の距離が変動する場合は、図5に示した実施形態のスプリング56及びワイヤー55を使用することによって、サーバラックを固定式及び稼働式両方のラックに適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10a サーバラック、10 サーバラック列、20 天井板、
30 ブラケット、31 還流防止パネル、32 パッキン、
33 ベースレール、40 フック、50 還流防止カーテン、51 金属バー、
52 アングル、54 支持リング、55 ワイヤー、56 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦長箱形の複数のサーバラックを1列に結合したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定し、サーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止装置であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの上面に自立させるためのブラケットとを備えることを特徴とするサーバラック還流防止装置。
【請求項2】
前記ブラケットが、底辺をサーバラック上面に固定され、垂直辺を前記還流防止パネルの平面に固定された直角三角形状とすることを特徴とする請求項1記載のサーバラック還流防止装置。
【請求項3】
前記ブラケットが、底辺をサーバラック上面に固定され、垂直辺を前記還流防止パネルの平面に固定された直角三角形状を成し、前記サーバラック上面に固定されてブラケットのサーバラック上面におけるラック前面から背面に向かう方向の移動を案内するベースレールとを備えたことを特徴とする請求項1記載のサーバラック還流防止装置。
【請求項4】
前記サーバラックが箱形上面に枠を有し、前記サーバラック還流防止装置が、該サーバラック箱形上面の枠に前記ベースレールを固定するためのフックを含むことを特徴とする請求項3記載のサーバラック還流防止装置。
【請求項5】
縦長箱形のサーバラックを間隔を空けて配置したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定し、サーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止装置であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの箱形上面に自立させるためのブラケットと、該ブラケットから還流防止パネルの平板面に沿ってサーバルーム天井板方向に延びるアングルと、前記間隔を空けて配置したサーバラック間の間隙に沿って延び、前記アングル間に支持される金属バーと、前記サーバラック間の間隙を塞ぐように該金属バーに吊される還流防止カーテンとを備えたことを特徴とするサーバラック還流防止装置。
【請求項6】
縦長箱形のサーバラックを間隔を空けて配置したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定し、サーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止装置であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの上面に自立させるためのブラケットと、該ブラケットから還流防止パネルの平板面に沿ってサーバルーム天井板方向に延びるアングルと、前記間隔を空けて配置したサーバラック間の間隙に沿って延び、前記アングル間に伸縮自在に支持されるワイヤーと、前記サーバラック間の間隙を塞ぐように該ワイヤーに吊される還流防止カーテンとを備えたことを特徴とするサーバラック還流防止装置。
【請求項7】
縦長箱形の複数のサーバラックを1列に結合したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定したサーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止方法であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの上面に自立させるためのブラケットとを備えるサーバラック還流防止装置を設け、該サーバラック還流防止装置にサーバラック背面から排気される暖気が天井板方向に上昇してサーバラック前面側への暖気の還流を防止することを特徴とするサーバラック還流防止方法。
【請求項8】
前記ブラケットを、底辺をサーバラック上面に固定され、垂直辺を前記還流防止パネルの平面に固定された直角三角形状とし、該直角三角形状のブラケットにより還流防止パネルをサーバラック上面に固定することを特徴とする請求項7記載のサーバラック還流防止方法。
【請求項9】
前記ブラケットを、底辺をサーバラック上面に固定され、垂直辺を前記還流防止パネルの平面に固定された直角三角形状とし、前記サーバラック上面に固定されてブラケットのサーバラック上面におけるラック前面から背面に向かう方向の移動を案内するベースレールとを設け、該ベースレールに前記ブラケットのサーバラック上面におけるラック前面から背面に向かう方向の移動を案内させることを特徴とする請求項8記載のサーバラック還流防止方法。
【請求項10】
前記サーバラックが箱形上面に枠を有し、前記サーバラック還流防止装置に、該サーバラック箱形上面の枠に前記ベースレールを固定するためのフックを設け、該フックに前記該サーバラック箱形上面の枠にベースレールを固定させることを特徴とする請求項9記載のサーバラック還流防止方法。
【請求項11】
縦長箱形の複数のサーバラックを1列に結合したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定したサーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止方法であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの箱形上面に自立させるためのブラケットと、該ブラケットから還流防止パネルの平板面に沿ってサーバルーム天井板方向に延びるアングルと、前記間隔を空けて配置したサーバラック間の間隙に沿って延び、前記アングル間に支持される金属バーと、前記サーバラック間の間隙を塞ぐように該金属バーに吊される還流防止カーテンとを備えるサーバラック還流防止装置を設け、該サーバラック還流防止装置にサーバラック背面から排気される暖気が天井板方向に上昇してサーバラック前面側への暖気の還流を防止することを特徴とするサーバラック還流防止方法。
【請求項12】
縦長箱形の複数のサーバラックを1列に結合したサーバラック列を前面の吸気側が向かい合うように天井板と間隙を開けて配置し、該向かい合ったサーバラック列前面の吸気側の間隔の空間をコールドアイルとし、前記向かい合ったサーバラック列背面の排気側の空間を暖気が排気されるホットアイルとして設定したサーバルーム内のサーバラック背面から排気される暖気の還流を防止するサーバラック還流防止方法であって、
前記サーバラックの上面からサーバルーム天井板に向かって延びる平板状且つ透過性を有する還流防止パネルと、該還流防止パネルの上縁とサーバルーム天井板との間隙を塞ぐための弾性材料からなるパッキンと、前記還流防止パネルをサーバラックの上面に自立させるためのブラケットと、該ブラケットから還流防止パネルの平板面に沿ってサーバルーム天井板方向に延びるアングルと、前記間隔を空けて配置したサーバラック間の間隙に沿って延び、前記アングル間に伸縮自在に支持されるワイヤーと、前記サーバラック間の間隙を塞ぐように該ワイヤーに吊される還流防止カーテンとを備えるサーバラック還流防止装置を設け、該サーバラック還流防止装置にサーバラック背面から排気される暖気が天井板方向に上昇してサーバラック前面側への暖気の還流を防止することを特徴とするサーバラック還流防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−182163(P2012−182163A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42081(P2011−42081)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000233491)株式会社日立システムズ (394)
【Fターム(参考)】