説明

サーバレスプラント監視・制御装置

【課題】
分散型のプラント監視・制御装置において、システムに同期化が必要なデータの同期化を図れ、信頼性・性能の高いシステムを提供する。
【解決手段】
ネットワークを介して連絡する複数のクライアントが配置されたプラントの監視・制御装置であって、該プラント監視・制御のための機能毎のソフトウェアサーバであるオリジナルクライアントの役目をするクライアントを、各機能毎に一つずつ備え、第1の機能のオリジナルクライアントは、他のクライアントに第1の機能に関するデータを送信し、他のクライアントは前記第1のオリジナルクライアントからのデータを受け取り、該他のクライアントに備えた記憶部に記憶し、各々の他のクライアントに記憶されたデータの同期化を図るようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して複数の端末装置が配置され、全体として目的とするプラント監視・制御を行うプラントの制御監視・制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プログラム及びデータを一括管理する大型計算機を用いたプラントの制御・監視装置の信頼性を改善するために、装置全体の機能をいくつかに分割し、分割したサブ機能を各々の小型の複数の計算機で行い全体として目的とする全機能を実現する分散型システムが検討され、特開平7−230430 号公報には、分散する各計算機間の情報をやり取りする際に相手側の運転状態を意識することなく情報を伝達できるようにしたことが記載されている。
【特許文献1】特開平7−230430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記特開平7−230430 号公報は情報の受け渡しに関してふれているが、同期化が必要な情報等の各機能を担う計算機への同期化については明記されていない。
【0004】
分散型プラント監視・制御システムにおいては、同期化が必要なデータ等について他端末と協調している必要がある場合が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、分散型のプラント監視・制御装置において、システムに同期化が必要なデータの同期化を図れ、安定性の高いシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴は、ネットワークを介して連絡する複数のクライアントが配置されたプラントの監視・制御装置であって、該プラント監視・制御のための機能毎のソフトウエアサーバであるオリジナルクライアントの役目をするクライアントを、各機能毎に一つずつ備え、第1の機能のオリジナルクライアントは、他のクライアントに第1の機能に関するデータを送信し、他のクライアントは前記第1のオリジナルクライアントからのデータを受け取り、該他のクライアントに備えた記憶部に記憶し、各々の他のクライアントに記憶されたデータの同期化を図ることである。
【0007】
また、プラントとしては、ネットワークを介して連絡する複数のクライアントが配置されたプラントの監視・制御装置であって、該プラント監視・制御のための機能毎のうち第1の機能に対応するデータをネットワークから取り込んで処理し第1の処理同期データを算出する処理後、該第1の処理同期データを記憶すると共にネットワークを介して他のクライアントに送信する第1のクライアントがあり、該プラント監視・制御のための機能のうち第2の機能に対応するデータをネットワークから取り込んで処理し第2の処理同期データを算出する処理後、該第2の処理同期データを記憶すると共にネットワークを介して他のクライアントに送信する第2のクライアントとがある。
【0008】
また、第2の特徴は、ネットワークを介して連絡される複数のクライアントが配置されたプラントの監視・制御装置であって、各クライアントは、データをネットワークから取り込み、プラントの監視・制御のための機能のうち各々指定された機能に対応する同期データの処理して処理同期データを算出し、該処理同期データを記憶すると共にネットワークを介して他のクライアントに送信され、前記各々の機能は、一の定められた構成制御クライアントにより各クライアント毎に指定されることである。
【0009】
また、前記指定の際、前記構成制御クライアントは、他の各クライアントの処理負荷状況の検知結果を基に、負荷の大きい処理をしているクライアントには、負荷の軽い機能を、負荷の軽い処理をしているクライアントには負荷の重い機能をするよう、前記各々の機能を担うクライアントを指定する。これにより、計算機負荷の均等化が可能となる。
【0010】
また、前記構成制御クライアントは、他のクライアントの健全状態を監視し、第1のクライアントが指定された第1の機能の処理が困難になった場合、第2のクライアントに第1の機能処理をする指令を出すようにする。これにより、異常発生時においても、機能の欠損を抑制できプラントの安定運転を図ることができる。
【0011】
例えば、前記ネットワークにデータ移送の分断部が生じた場合、分断されて前記構成制御クライアントとの連絡が断たれた第2のネットワークの中で、新たに第2の構成制御クライアントが定められ、該第2の構成制御クライアントは、前記第2のネットワークの中にある他のクライアントに、分断前のネットワークの中で各々分担していた機能を、第1のネットワークの中にあるクライアントで分担するように、各クライアント毎に機能を指定する。
【0012】
また、このとき、分断されて前記構成制御クライアントと連絡される第1のネットワークの中で、前記構成制御クライアントは、前記第1のネットワークの中にある他のクライアントに、分断前のネットワークの中で各々分担していた機能を、第1のネットワークの中にあるクライアントで分担するように、各クライアント毎に機能を指定するようにする。
【0013】
本発明により、全体システムにおける機能の分割が例えば、従来の計算機機能レベルの分散等に比べ、本発明では、いわゆる計算機内の個別機能レベル分散がなされるため、システムの信頼性が向上する。
【0014】
又これにより、全体のシステムの性能を上げるには、ネットワークに連絡する各計算機の性能に左右されず、比較的汎用的な低性能の計算機で従来と同様の性能を維持できると共に、計算機機能レベルの分散等の際に使用するのと同様の性能の計算機を使用する場合は、全体として高性能なプラント監視・制御装置を提供することも可能である。
【0015】
また、本発明により、ハードウェアとしてのサーバを配置しなくても全体システムを構成することもでき、いわゆるサーバ機能をソフトウェアレベルで有することができ、更にシステムの信頼性向上が可能となる。
【0016】
たとえ、処理性能が低い端末(クライアント)を用いても、ハードウェアとしてのサーバをなくした廉価なシステムを提供することができ、高い信頼性及び同期データ等の一元管理を確保できる。
【0017】
具体的には、処理性能の低い端末を用いたとしても、複数の処理機能を複数の処理端末に分散配置させることにより、性能を維持しつつ経済性を高めることができる。
【0018】
又、ハードウェアによるサーバをなくしても全体システムを構成することができ、データを一元管理するために、機能単位にサーバ機能を有し、他端末と協調処理することができる。
【0019】
又システムの信頼性を向上させるために、機能単位のサーバ機能を端末単位に相互バックアップさせることもできる。
【発明の効果】
【0020】
分散型のプラント監視・制御装置において、システムに同期化が必要なデータの同期化が図れる。また、システムの信頼性・性能を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1に本発明の一実施例における全体構成について示す。
【0022】
プラントからのプロセスデータは、各種コントローラ51,52やSOEサーバ(高速接点取り込み装置)53のプロセス入出力装置(PI/O)から取り込まれ、制御ネットワークを介してゲートウエイ54に取り込まれる。ゲートウエイ54に取り込まれたプロセスデータは、監視・制御ネットワークへ周期的に転送される。各CRT端末では、周期的におくられてくるプロセスデータを周期的に取り込み、監視・制御を行う。ここで、プラント監視制御を行う場合に、各CRT端末で監視・制御情報が、同じでなくても問題とならない情報(非同期データ)と同じでなければならない情報(同期データ)との分ける事ができる。例えば、非同期データには、プラントの現在状態を周期的に表示する一覧表示やプラント運転状況をグラフィカルに現在値と共に表示する系統図表示などがある。また、同期データには、プラントの異常を発生した時刻と共に表示する警報表示や、過去のプロセス状態をトレンド表示する機能、あるCRT端末で設定したデータが各CRT端末で同じデータとするデータ挿入機能等がある。
【0023】
非同期データを取り扱う各CRT端末での処理は、各CRT端末にて独立して表示処理を行い、他CRT表示端末の動作状況(生死)を監視・制御する必要がない。従って、各CRT端末に同一の監視・制御機能を組み込む事により、実現可能となる。同期データを扱う各CRT端末での処理は、従来は、1つのサーバが、全てのデータを一元処理・管理しており、本サーバから各CRT表示端末(クライアント)へデータを配布していた。本実施例では、従来のサーバに対し同期データを扱う機能単位に分割したサーバを各クライアント内に分散配置・制御する事により、監視・制御システムを実現する事ができる。
【0024】
監視・制御ネットワークに連絡されている各クライアント(例えば、クライアント71〜75等)は種々のオリジナルクライアントとしての機能を担っている。例えば、クライアント72はオリジナルマンマシンクライアントとしての機能を担い、クライアント73はオリジナル自動化クライアントとしての機能を担う。現在値データ処理は、各クライアントで処理する。また、履歴処理のうち、トレンドデータ収集も、各クライアントにて収集する。起動時には、オリジナルマンマシンクライアント72からトレンドデータをダウンロードすることができる。
【0025】
例えば、クライアント75はオリジナルプリントクライアントとしての機能を担い、日誌処理,計算処理(時系列計算)を行い、日誌データを他のクライアント76等にネットワークを介して日誌データ151を送信してデータの同期化を図る。
【0026】
また、オリジナル自動化クライアントのクライアント73からオリジナルマンマシンクライアントのクライアント72へネットワークを介してデータ152が挿入されたら、該クライアント72の担う機能に基づき処理後のデータである警報メッセージデータ153をネットワークを介して他のクライアント71やクライアント73及びクライアント74等に挿入し、一元化を図ることができる。
【0027】
また、CRTオペレーション実行中のクライアント74の処理データは他のクライアント71〜73等へ送信される。
【0028】
図2に機能単位データサーバ・クライアントについて示す。
【0029】
ネットワークを介して連絡する複数のクライアントが配置されたプラントの監視・制御装置に、該プラント監視・制御のための機能毎のソフトウェアサーバであるオリジナルクライアントの役目をするクライアントを、各機能毎に一つずつ備える。一の機能についてのオリジナルクライアント20とクライアント40を担う各々クライアントがある。各クライアントは実質同様の構成を備えている。概要としては、第1の機能のクライアントは、ネットワークからデータが取り込まれるプラントデータ取込部21を有する。また、伝送(受信)部30は、他の処理データ等の取り込み部として使用できるものである。
【0030】
該取り込んだデータのうち第1の機能に対応するデータの処理を行う機能処理部22を有し、割り当てられた機能についてオリジナルクライアントとしての機能処理を行う。前記取り込んだデータのうち同期データ或いは該処理部を経た第1の処理データを記憶する処理結果記憶領域24,該記憶領域24のデータをネットワークを介して他のクライアントに送信する伝送(送信)部29とを備え、前記処理部を経た第1の処理データを記憶部に記憶すると共に前記送信部より送信するよう制御され、他の前記同期データは記憶部に記憶されるよう制御するクライアント監視処理部26を有している。これにより、入力データの機能処理を行うかどうかを指令し、データを発信するか否かを指令することができるものである。
【0031】
また、該クライアント監視処理部26にていずれの機能処理を担うか等を他のクライアントとの連絡により決めるための信号の送信或いは受信を行う送受信処理部28を備える。
【0032】
第2の機能のクライアントは、前記同様の構成を有するものであることができる。
【0033】
同期化処理を必要とする機能を、各CRT端末にて実現する必要がある場合を、機能単位のデータ管理を行う端末をオリジナルクライアントとデータ管理されたデータを参照して監視・表示するクライアントに分けて以下に説明する。
【0034】
「オリジナルクライアント20の処理」
(i)オリジナルクライアント20のプラントデータ処理は、まずオリジナルクライアン ト20は経路1aを介してネットワークからプラントデータ取込部21へ取り込む。
【0035】
(ii)取り込まれたプロセスデータは機能処理部22に送られ、経路2aを介して機能処 理部22にてオリジナルクライアントとして割り当てられた機能処理され、処理データ は経路3a(SW1)23を経て処理結果記憶領域24に転送される。プラントデータ が処理され記憶されるか伝送(受信)部30から記憶されるかは、クライアント監視処 理部26から(SW1)23へのオリジナルクライアントの制御指令10によって決定 される。クライアント監視処理部26については、経路9を通して送受信処理部28か ら経路8によりネットワークを介して他クライアントの送受信処理部48,経路8b及 び経路9bによりいずれのクライアントがいずれの機能処理についてのオリジナルクラ イアント等になるか等が決定される。詳細は、図3により説明する。
【0036】
(iii)各監視・制御・表示・操作処理部25は、処理結果記憶領域24に格納された処理 結果を経路4aを通して取り込み処理される。
【0037】
(iv)一方処理結果記憶領域24に格納された処理結果は、オリジナルクライアント(5) を通して(SW2)27に送られる。クライアント監視処理部26による制御指令11 によりON/OFFされた(SW2)27は、この場合、処理データを送信すべくON となっている。そのため、(SW2)27を通し、また伝送(発信)部29を通して経 路6aから、他クライアント40へ処理結果が伝送される。これにより、処理データの 同期化が図れる。
【0038】
「クライアントの処理」
(i)オリジナルクライアント20で処理された処理結果は、ネットワークを介して経路 7bを経由して伝送(受信)部50から(SW1)43によりクライアントの処理結果 記憶領域44に格納される。(SW1)43は、クライアント監視処理部46からの制 御指令は経路10により(SW1)43が切り替えられ、処理データを取込むようにす る。クライアント40側は、伝送(受信)処理部50側に接続される。クライアント監 視処理部46については、経路9aを通して送受信処理部48から経路8aを経由して 他クライアントの送受信処理(経路8b及び経路9b)により決定される。詳細は、図 3により説明する。
【0039】
(ii)各監視・制御・表示・操作処理部45は、処理結果記憶領域44に格納された処理 結果を経路4bを通して取り込み処理される。
【0040】
(iii)一方処理結果記憶領域44に格納された処理結果は、経路5bを通して(SW2) 47に送られるが、クライアント監視処理部46による制御指令11によりON/OFF された(SW2)47は、この場合、処理データでないためOFFとなっている。その ため、当該情報についてはSW2を通して、他クライアントへの伝送は行われない。
【0041】
例えば、所定の機能について、オリジナルクライアントとして機能処理を行った場合は他のクライアントに処理データを送り、データの同期化を図り、他のクライアントは当該データを受け取って記憶し、他のクライアントへは送信しない。
【0042】
このように、一つの機能単位のオリジナルクライアントにて収集・管理された処理結果は、クライアント監視処理部の指令により他のクライアントにデータを送信するよう設定し、ネットワークを介して他クライアントへ伝送されてデータの一元化が実現できる。
【0043】
次に、本クライアント監視処理について図3,図4に基づいて説明する。
【0044】
図4に、クライアント監視処理の説明図を示す。プロセスデータ収集・制御を行うコントローラ(A) と(B) から、ネットワークへプロセスデータが取り込まれている。CPU番号1のクライアント61がオリジナル構成クライアントとなり、CPU番号がそれより多いクライアント(61,62,63,64)がネットワークを介して連絡されている。以下にクライアント監視処理について説明する。
【0045】
(1)各クライアントは、同一ネットワーク上で、起動した順に他クライアントへの問い 合わせを行う事により、空いているCPU番号を取る。例えば、CPUの空き状況や、 どんな負荷の機能を担っているか等を問い合わせる。
【0046】
(2)各クライアントのうち、CPU番号の一番小さいものをシステム全体の構成を判定 ・決定するためのオリジナル構成制御クライアントになる。各機能について、いずれの CPU番号を有するクライアントを、各々のオリジナルクライアントにするかどうか、 割り当てをする。
【0047】
(3)オリジナル構成制御クライアントは、一例として図3に示す同期化データを必要と する機能別管理情報(構成制御管理情報)に基づき、各クライアントに対して機能処理 についての各オリジナルクライアント指令を発行する。図に記載の機能を各クライアン トに分担する場合の一例を示す。
【0048】
これは、図に示す同期化データを必要とする機能について3つのクライアント(1〜3)への割り当て例を示す。警報監視機能については、クライアント1を候補1として割り当てるようにし、立ち上がっていないとき、止まっている場合、或いは異常が生じて作動困難な場合はクライアント2そしてクライアント3の順にオリジナルクライアント候補とする。同様に他の機能についても各クライアントの担う機能の負荷がより均等となるように割り当てる。
【0049】
また、構成制御クライアントにより、適宜クライアントに機能を割り当てることができるので、システムの拡張性を良好に保つことができる。
【0050】
機能を分けて各々のクライアントで協調して働かせることができる。
【0051】
連続してプラント状態監視して制御を行う場合等において、ネットワークの一部が分断した場合であっても、各分断された系統において全体としての機能を損なわずにプラントを維持することも可能である。
【0052】
また、各クライアント間で連絡信号を定期的に出して、異常と判断したら異常とされたクライアントの機能を、例えば、図の候補順に従い、他のクライアントで担うように切り替えることも可能である。この時は、各クライアントから報告されるCPU負荷に応じて機能別オリジナルクライアントを決定する。種々の機能のうち、どのクライアントにどのオリジナルクライアントにするか割り当てる。各CPUから報告された負荷から判断して、CPU負荷に余裕があるクライアントに負荷の多い機能についてのオリジナルクライアントになるよう割り当てる。尚、オリジナル構成制御クライアントが、各クライアントの生死状態監視を行うために、各クライアントからCPU負荷,オリジナルクライアント機能について周期的にオリジナル構成制御クライアントへ報告する。また、報告されたオリジナル構成制御クライアントは、各クライアントに対して、オリジナル構成制御クライアントが健全である旨、機能別管理情報(構成制御管理情報)を伝送する。
【0053】
(4)オリジナル構成制御クライアントは、本構成制御管理情報を、各クライアントに送 り、オリジナル構成制御クライアント異常時の再構成が必要な場合に時に迅速に処理で きるようにする。
【0054】
本構成により、各オリジナルクライアント(オリジナル構成制御クライアントを除く)が停止した場合、オリジナル構成制御クライアントは、構成制御管理情報と各CPUの負荷に応じて、各クライアントのCPU負荷を平均化するように、正常なクライアントに対して異常停止したオリジナルクライアントが受け持っていた機能を分担するように指令を発行する。停止したオリジナルクライアントが担っていた機能処理を残りのクライアントで担うようにする。その際の機能の割り当ては、負クライアントのCPU負荷の余裕に応じて、前述のように割り当てる。
【0055】
本実施例により、プラントの信頼性を高めることができる。また、併せて、性能向上或いは経済性を図ることもできる。
【0056】
処理性能を考慮しつつ、データの一元管理が図れ、分散型処理を行うことにより、並列に機能処理を行うことができるため、全体性能の向上、例えば速度向上、を図ることができる。
【0057】
他のクライアントで処理したデータに所定の処理をする場合であっても、同一に同期すべきものに差が生じることを防止できるので、システム監視上適切な機能処理を可能となる。
【0058】
クライアントでは、オンラインの計算機(クライアント)に伝達されるデータのうち、割り当てられた機能に該当するか否かを判断する。そして、割り当てられた機能に該当するものであれば、当該機能処理を行うようにする。これにより、ハードウェアのサーバレス化を図ることができる。
【0059】
また、図5にネットワーク分断後のクライアント監視処理の説明図を示す。ネットワークが分断した場合には、分断した左ループに関しては、上記構成制御処理により、バックアップされる。分断した右ループに関しては、各クライアントで監視されているオリジナル構成制御クライアントからの機能別管理情報(構成制御管理情報)が回答されない先に述べたように、クライアントは、CPU番号の一番小さいものクライアント63が分断した右ループに関するシステム全体の構成を判定・決定するためのオリジナル構成制御クライアントになる。そして前記のように新たなオリジナル構成クライアントであるクライアント63は分断された信号の連絡できる範囲にあるクライアント64に対して前述のように各機能につしてのオリジナルクライアントを割り当てる。このため、ネットワークが分断されても、現状の各種機能を維持したまま、プラント監視・制御を実現できる。
【0060】
図6〜図9に、クライアントのシステム構成制御の説明図を示し、具体的にはオリジナルクライアントが、異常になってから復帰した場合のシステム構成制御について示している。
【0061】
図6において、ある機能についてのオリジナルクライアントであるクライアント(a)異常時、図示していない先に述べたオリジナル構成制御クライアントが決まり、該オリジナル構成制御クライアントから、オリジナルクライアント(a)の機能について、クライアント(a)がオリジナルクライアントになる旨の指令が出され、これを受けたクライアント(b)のプラント監視処理部(11)はその指令に基づいて、クライアント(b)が、新たなオリジナルクライアントとなりバックアップする。
【0062】
図7において、そのタイミングで、クライアント(b)のクライアント監視処理部(11)は、SW1を同クライアント(b)の機能処理側へ切り替え、新たにオリジナルクライアントとなった機能に関する情報を処理できるようすると共に、SW2をONにして、他クライアントへ当該、処理結果記憶領域の情報を伝送できるようにする。
【0063】
図8において、次に、旧オリジナルクライアントのクライアント(a)が異常を修理し、クライアントとして復帰時(以降“復帰クライアント(a)”と呼ぶ)、復帰クライアント(a)は、現オリジナルクライアントのクライアント(b)に対してクライアント(b)は処理結果記憶領域(24)に格納された全データ転送要求を行い、現オリジナルクライアントのクライアント(b)の処理結果記憶領域(211)の(SW2)(27)−伝送(発信)部(29(b)−復帰クライアント(a)(伝送(受信)部(30)−SW1)(23)経由にて、復帰クライアント(a)/処理結果記憶領域(24a)のデータを一致化させる。
【0064】
図9において、上記一致化以降は、新オリジナルクライアントのクライアント(b)で処理された情報のみ、新オリジナルクライアントのクライアント(b)から復旧クライアント(a)へ転送される事により、以後のデータの同期化を実現することができる。
【0065】
旧オリジナルクライアントは、クライアントとして動作させる。
【0066】
本発明によれば、
データを一元管理・監視するサーバが不要なため、少ないハードウェア端末でシステムを構成できる。
【0067】
機能単位に各端末に分散構成・配置できるため、信頼性の高いシステムを構成できる。
【0068】
機能分散化を各端末の能力を均等化するように行うため、処理能力の低い端末でも性能の良いシステムを構成できる。
【0069】
ネットワーク異常に対しても、孤立した端末グループで監視継続可能なため、信頼性の高いシステムを構成できる。
【0070】
といった効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施例における全体構成図。
【図2】機能単位データサーバクライアント図。
【図3】クライアント送受信処理図。
【図4】クライアントの説明図。
【図5】ネットワーク分断後のクライアントの説明図。
【図6】クライアントのシステム構成制御の説明図。
【図7】クライアントのシステム構成制御の説明図。
【図8】クライアントのシステム構成制御の説明図。
【図9】クライアントのシステム構成制御の説明図。
【符号の説明】
【0072】
21,41…プラントデータ取込部、22,42…機能処理部、23,43…SW1、24,44…処理結果記憶領域、25,45…監視・制御・表示・操作処理部、26,
46…クライアント監視処理部、27,47…SW2、28,48…送受信処理部、29,49…伝送(送信)部、30,50…伝送(受信)部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して連絡する複数のクライアントが配置されたプラントの監視・制御装置であって、
該プラント監視・制御のための機能毎のソフトウエアサーバであるオリジナルクライアントの役目をするクライアントを、各機能毎に一つずつ備え、第1の機能のオリジナルクライアントは、他のクライアントに第1の機能に関するデータを送信し、他のクライアントは前記第1のオリジナルクライアントからのデータを受け取り、該他のクライアントに備えた記憶部に記憶し、各々の他のクライアントに記憶されたデータの同期化を図ることを特徴とするプラントの監視・制御装置。
【請求項2】
ネットワークを介して連絡する複数のクライアントが配置されたプラントの監視・制御装置であって、
該プラント監視・制御のための機能のうち第1の機能に対応するデータをネットワークから取り込んで処理し第1の処理同期データを算出する処理後、該第1の処理同期データを記憶すると共にネットワークを介して他のクライアントに送信する第1のクライアントと、該プラント監視・制御のための機能のうち第2の機能に対応するデータをネットワークから取り込んで処理し第2の処理同期データを算出する処理後、該第2の処理同期データを記憶すると共にネットワークを介して他のクライアントに送信する第2のクライアントと、を備えたことを特徴とするプラント監視・制御装置。
【請求項3】
ネットワークを介して連絡する複数のクライアントが配置されたプラントの監視・制御装置であって、
該プラント監視・制御のための機能毎のソフトウエアサーバであるオリジナルクライアントの役目をするクライアントを、各機能毎に一つずつ備え、
第1の機能のクライアントは、
ネットワークからデータが取り込まれる取り込み部、該取り込んだデータのうち第1の機能に対応するデータの処理を行う処理部、前記取り込んだデータのうち同期データ或いは該処理部を経た第1の処理データを記憶する記憶部、該記憶部のデータをネットワークを介して他のクライアントに送信する送信部とを備え、前記処理部を経た第1の処理データを記憶部に記憶すると共に前記送信部より送信するよう制御され、他の前記同期データは記憶部に記憶されるよう制御する監視部を有し、
第2の機能のクライアントは、
ネットワークからデータが取り込まれる取り込み部、該取り込んだデータのうち第2の機能に対応するデータの処理を行う処理部、前記取り込んだデータのうち同期データ或いは該処理部を経た第2の処理データを記憶する記憶部、該記憶部のデータをネットワークを介して他のクライアントに送信する送信部とを備え、前記処理部を経た第2の処理データを記憶部に記憶すると共に前記送信部より送信するよう制御され、他の前記同期データは記憶部に記憶されるよう制御する監視部を有することを特徴とするプラント監視・制御装置。
【請求項4】
ネットワークを介して連絡される複数のクライアントが配置されたプラントの監視・制御装置であって、
各クライアントは、データをネットワークから取り込み、プラントの監視・制御のための機能のうち各々指定された機能に対応する同期データの処理して処理同期データを算出し、該処理同期データを記憶すると共にネットワークを介して他のクライアントに送信され、前記各々の機能は、一の定められた構成制御クライアントにより各クライアント毎に指定されることを特徴とするプラント監視・制御装置。
【請求項5】
請求項4のプラント・制御装置において、前記指定の際、前記構成制御クライアントは、他の各クライアントの処理負荷状況の検知結果を基に、負荷の大きい処理をしているクライアントには、負荷の軽い機能を、負荷の軽い処理をしているクライアントには負荷の重い機能をするよう、前記各々の機能を担うクライアントを指定することを特徴とするプラント監視・制御装置。
【請求項6】
請求項4のプラント監視・制御装置において、
前記構成制御クライアントは、他のクライアントの健全状態を監視し、第1のクライアントが指定された第1の機能の処理が困難になった場合、第2のクライアントに第1の機能処理をする指令を出すことを特徴とするプラント監視・制御装置。
【請求項7】
請求項4のプラント監視・制御装置において、前記ネットワークにデータ移送の分断部が生じた場合、分断されて前記構成制御クライアントとの連絡が断たれた第2のネットワークの中で、新たに第2の構成制御クライアントが定められ、該第2の構成制御クライアントは、前記第2のネットワークの中にある他のクライアントに、分断前のネットワークの中で各々分担していた機能を、第1のネットワークの中にあるクライアントで分担するように、各クライアント毎に機能を指定することを特徴とするプラント監視・制御装置。
【請求項8】
請求項7のプラント監視・制御装置において、
分断されて前記構成制御クライアントと連絡される第1のネットワークの中で、
前記構成制御クライアントは、前記第1のネットワークの中にある他のクライアントに、分断前のネットワークの中で各々分担していた機能を、第1のネットワークの中にあるクライアントで分担するように、各クライアント毎に機能を指定することを特徴とするプラントの監視制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−4456(P2006−4456A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256209(P2005−256209)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【分割の表示】特願2002−142293(P2002−142293)の分割
【原出願日】平成8年4月25日(1996.4.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】