説明

サーバ装置、及び着信音管理システム

【課題】多数の移動通信端末ユーザが集まる場所で、移動通信端末が移動した場合であっても、近隣の移動通信端末と異なる着信音を設定することができる移動通信端末の着信音管理システムを提供する。
【解決手段】移動通信端末2は発信機16を有し、発信機によって発信された位置データは着信音管理サーバ1の位置保存部15に保存される。着信音管理サーバ1の着信音DB12には、移動通信端末識別子と、当該識別子に対応づけられた着信音、及び位置データに基づいて作成された位置情報が保存されている。位置情報が変更され、かつ変更後の位置において、移動通信端末2と近隣の移動通信端末とで着信音が同じとき、着信音管理部11は、移動通信端末2に着信音変更依頼を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末の着信音に関し、近隣の移動通信端末と着信音が一致しないように着信音を管理するシステムである。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信端末の着信音は、初期設定された着信音か、ユーザが選択した着信音を用いるのが一般的だった。そのため、他のユーザが使用する移動通信端末と着信音が同じとなる可能性は高かった。したがって、複数のユーザが集まって仕事をするオフィスのような環境では、移動通信端末同士の着信音が同じである場合、どの移動通信端末の着信なのか特定するのが困難だった。
【0003】
特許文献1には、数人以上の人数が集まるような環境において、ボタン電話主装置が各ボタン電話機の着信音データベースを有し、各ボタン電話機は、ボタン電話主装置から送られてきた着信音源駆動データを着信音とする。これによって、各ボタン電話機の着信音を発信者番号や着信番号によって任意の着信音で鳴動させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−218518公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のボタン電話主装置は、各ボタン電話機の位置情報を有していない。したがって、近隣のボタン電話機と着信音が同一になってしまうことも考えられる。
【0006】
本発明は、多数の移動通信端末ユーザが集まる場所で、移動通信端末が移動した場合であっても、近隣の移動通信端末と異なる着信音を設定することができる移動通信端末の着信音管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のサーバ装置は、複数の移動通信端末の着信音と位置情報とを格納した格納手段を有し、複数の移動通信端末のうち一の前記移動通信端末の前記位置情報が更新され、かつ前記一の移動通信端末、及び他の前記移動通信端末のうち近隣の移動通信端末の着信音が同一であったとき、前記一の移動通信端末に着信音変更依頼を送信する送信手段を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、着信音管理サーバと、複数の移動通信端末とを有する着信音管理システムにおいて、前記着信音管理サーバは、各前記移動通信端末の着信音と位置情報とを格納した格納手段を有し、一の前記移動通信端末の前記位置情報が更新され、かつ前記一の移動通信端末、及び他の前記移動通信端末のうち近隣の移動通信端末の着信音が同一であったとき、前記一の移動通信端末に着信音変更依頼を送信する送信手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記各移動通信端末は位置データを発信する発信機を有し、前記着信音管理サーバは前記位置データを受信する受信機を有し、前記位置情報は、前記移動通信端末の有する発信機が送信する位置データに基づいて作成され、前記位置データは、前記一の移動通信端末と、前記近隣の移動通信端末とが異なる位置であってもよい。
【0010】
また、前記位置データの示す位置が変更され、当該変更後の位置が所定の時間継続したあと、前記格納手段が有する前記位置情報が更新されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態を構成する着信音管理システムの機能ブロックを示す図である。
【図2】本実施形態の着信音DBが保存するデータを示す図である。
【図3】本実施形態の位置保存部が保存するデータを示す図である。
【図4】本実施形態の着信音管理システムの初期動作を示す図である。
【図5】本実施形態の着信音管理システムの更新動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態を構成する着信音管理サーバ、及び移動通信端末の機能ブロックを示す図である。着信音管理サーバ1は、着信音管理部11、着信音DB12、メール送受信部13、受信機14、位置保存部15を有する。
【0013】
着信音管理部11は、メール送受信部13を介して移動通信端末2にメールを送信する。また、移動通信端末2から送信されたメールに基づき、着信音DB12を変更する。また、着信音管理部11は、位置保存部15を参照する。
【0014】
着信音DB12は、図2に示すように、移動通信端末識別子と、当該識別子に対応づけられた着信音、発信機識別子、及び位置情報とを有するデータベースである。着信音DB12は、着信音管理部11によって更新される。移動通信端末識別子は、例えば携帯電話の電話番号である。また、発信機識別子は、移動通信端末識別子と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0015】
メール送受信部13は、移動通信端末2にメールを送受信する。受信機13は、移動通信端末2の発信機26が発信した発信機識別子及びその位置情報を受信する。
【0016】
位置保存部15は、図3に示すように、受信機14が受信した発信機識別子、当該発信機の位置データ、及びデータの受信時刻を保存する。なお、管理DB12に保存される位置情報は、発信機の位置データに基づき着信音管理部11によって作成される。
【0017】
移動通信端末2は、端末管理部21、メール送受信部22、ユーザインタフェース23、着信音保存部24、スピーカー25、発信機26を有する。移動通信端末26は、例えば携帯電話など、移動が可能な通信機器で、他の通信機器より呼び出されたときに着信音が再生される電子機器である。図1において、移動通信端末は1つのみ図示されているが、本実施形態において、複数の移動通信端末が着信音管理サーバ1の管理下にある。
【0018】
端末管理部21は、メール送受信部22を介して着信音管理サーバ1にメールを送信することができる。また、ユーザインタフェース23を介して、ユーザが着信音の設定を行った場合、その結果をユーザインタフェース23に表示する。また、端末管理部21は、他の通信機器から移動通信端末2が呼び出されたとき、スピーカー25に着信音を再生するように命令する。
【0019】
メール送受信部22は、着信音管理サーバ1や他の通信機器等にメールを送受信する。ユーザインタフェース23は、表示部と入力部を有し、ユーザが入力部を介して入力した内容を表示部に表示する。また、表示部には、メールの内容が表示される。
【0020】
着信音保存部24は、管理端末部21によって設定された着信音データを保存する。スピーカー25は端末管理部21の命令によって、着信音保存部24に保存された着信音データを再生する。また、不図示の通話機能によって他の通信機器と通話を行う際、他の通信機器より入力された音声を再生する。
【0021】
発信機26は発信機識別番号、及び移動通信端末2の位置データを所定の間隔で発信する。移動通信端末2の発信機26、及び受信機14は、例えばZigBee(登録商標)などの無線通信機器である。発信機26が発信する位置データは、複数の移動通信端末が集まる場所において、自移動通信端末と、他の移動通信端末の位置が異なることを検出できる程度の精度である。
【0022】
続いて、図4を参照して、本実施形態の着信音管理システムの初期動作について説明する。本実施形態では、着信音DB12は既に入力が完了しているものとする。最初に着信音管理部11は、着信音DB12を参照し、移動通信端末2が、近隣の移動通信端末の着信音と同一かどうかを判定する(S11)。本実施形態では、近隣の移動通信端末とは、着信音が聞こえる程度の距離にある他の移動通信端末であって、移動通信端末2と同様に着信音管理サーバの管理下にある移動通信端末を指す。近隣とは、例えば、オフィスにおける同一フロア、または同じ島である。
【0023】
S11にて、近隣の移動通信端末と同じ着信音だった場合には、着信音管理部11はメール送信部13を介して、移動通信端末2に着信音変更依頼を送信する(S12)。当該変更依頼には、単にユーザに着信音の変更を促す内容であってもよい。また、メールに着信音データそのものを添付してもよいし、着信音データをダウンロードするためのURLを通知してもよい。メールに着信音データを添付、又はURLを通知する場合には、着信音管理部11は着信音DB12を参照し、近隣の移動通信端末の着信音とは異なる着信音を選択することが好ましい。
【0024】
着信音の変更は、移動通信端末2のユーザが手動で行う。端末管理部21が自動で着信音を変更した場合、ユーザ自身が移動通信端末2の着信音を識別できなくなる可能性があるからである。ユーザがユーザインタフェースを介して着信音を変更すると、端末管理部21は、着信音保存部24に更新後の着信音データを保存する。同時に、端末管理部21は、メール送受信部22を介して、着信音変更完了通知を着信音管理部11に送信する。なお、本実施形態では、着信音変更完了通知をメールにて送信したが、その他の通信手段で送信してもよい。
【0025】
メール送受信部13が着信音変更完了通知を受信した場合(S13)、着信音管理部11は、着信音DB12における移動通信端末2の識別子に対応づけられた着信音を変更する(S14)。次にS11に戻り、着信音管理部11は再度着信音DB12を参照して、変更後の着信音が、近隣の移動通信端末の着信音と同一かどうかを判定する。
【0026】
一方、着信音変更依頼にも関わらず、所定の時間が経過してもユーザが着信音を変更しなかった場合(S13)、S11に戻り、着信音管理部11は再度着信音DB12を参照して、移動通信端末2の着信音が、近隣の移動通信端末の着信音と同一かどうかを判定する。これは、同じ着信音に設定されていた他の移動通信端末について、着信音が変更された可能性があるからである。
【0027】
S11にて、近隣の移動通信端末と同じ着信音でないことが確認されると、本実施形態の着信音管理システムは初期動作を終了する。なお、初期動作中、移動通信端末は、自席などユーザが移動通信端末を通常使用する場所に配置されることが好ましい。
【0028】
続いて、図5を参照して、本実施形態の着信音管理システムの更新動作について説明する。初期動作終了後、オフィス内の配置換え等により、ユーザが通常移動通信端末を使用する場所が変わることが想定される。その場合、着信音管理システムは更新動作によって対応する。
【0029】
まず、着信音管理部11は、位置保存部15を参照し、移動通信端末の位置データが変更され、当該変更状態が所定の時間継続したかどうかを確認する(S21)。所定の時間とは、例えば24時間などである。位置データが変更された直後に次ステップに進まないのは、例えばユーザが移動通信端末を携帯して会議に出席するなど、一時的な移動によって、着信音変更通知が送信されるのを防ぐためである。
【0030】
移動通信端末2の位置データが変更され、その状態が所定の時間継続すると、着信音管理部11は、着信音DB12における移動通信端末2の識別子に対応する位置情報を更新する(S22)。その後、着信音管理部11は変更後の着信音DB12を参照して、移動通信端末2の着信音が近隣の移動通信端末の着信音と同一かどうかを判定する(S23)。
【0031】
S23にて、近隣の移動通信端末と同じ着信音だった場合には、着信音管理部11はメール送信部13を介して、移動通信端末2に着信音変更依頼を送信する(S24)。
【0032】
メール送受信部13が着信音変更完了通知を受信した場合(S25)、着信音管理部11は、着信音DB12における移動通信端末2の識別子に対応づけられた着信音を変更する(S26)。次にS23に戻り、着信音管理部11は再度着信音DB12を参照して、変更後の着信音が、近隣の移動通信端末の着信音と同一かどうかを判定する。この動作は、移動通信端末2の着信音が、近隣の移動通信端末の着信音と異なるまで繰り返される。
【0033】
一方、着信音変更依頼にも関わらず、所定の時間が経過してもユーザが着信音を変更しなかった場合、S21に戻り、着信音管理部11は、位置保存部15を参照して移動通信端末2が移動したかどうかを判断する。これは、移動通信端末2の移動が一時的なもので、また元の場所に戻っている可能性があるからである。
【0034】
以上の変更動作によって、移動通信端末の位置が変更になっても、変更後の近隣の移動通信端末と異なる着信音に変更することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 着信音管理サーバ
2 移動通信端末
11 着信音管理部
12 着信音DB
14 受信機
21 端末管理部21
24 着信音保存部
26 発信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動通信端末の着信音と位置情報とを格納した格納手段を有し、
複数の移動通信端末のうち一の前記移動通信端末の前記位置情報が更新され、かつ前記一の移動通信端末、及び他の前記移動通信端末のうち近隣の移動通信端末の着信音が同一であったとき、前記一の移動通信端末に着信音変更依頼を送信する送信手段を有することを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
着信音管理サーバと、複数の移動通信端末とを有する着信音管理システムにおいて、
前記着信音管理サーバは、各前記移動通信端末の着信音と位置情報とを格納した格納手段を有し、
一の前記移動通信端末の前記位置情報が更新され、かつ前記一の移動通信端末、及び他の前記移動通信端末のうち近隣の移動通信端末の着信音が同一であったとき、前記一の移動通信端末に着信音変更依頼を送信する送信手段を有することを特徴とする着信音管理システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記各移動通信端末は位置データを発信する発信機を有し、
前記着信音管理サーバは前記位置データを受信する受信機を有し、
前記位置情報は、前記移動通信端末の有する発信機が送信する位置データに基づいて作成され、
前記位置データは、前記一の移動通信端末と、前記近隣の移動通信端末とが異なる位置であることを示すことを特徴とする着信音管理システム。
【請求項4】
請求項3において、前記位置データの示す位置が変更され、当該変更後の位置が所定の時間継続したあと、前記格納手段が有する前記位置情報が更新されることを特徴とする着信音管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−77755(P2011−77755A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226073(P2009−226073)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】