説明

サーバ装置、通信システム、制御方法及びプログラム

【課題】クライアント端末とサーバ装置との間で通信を開始する際に、放送番組情報をクライアント端末に対してなるべく早い段階で送信することが可能な通信システムを提供する。
【解決手段】サーバ装置(1)は、放送データをクライアント端末(2)に無線で送信する送信手段(11,13)を有し、送信手段(11,13)は、放送データの送信を開始する前に、当該放送データを送信する時の第1の通信方式(例えば、TCP)よりもデータ送信の速い第2の通信方式(例えば、UDP)を用いて、放送データに含まれる放送番組情報をクライアント端末(2)に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送データをクライアント端末に送信するサーバ装置、通信システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、図4に示すように、放送アンテナ3'等からサーバ装置1'が受信したデジタル放送データをクライアント端末2'にネットワーク(NW)を介して転送し、クライアント端末2'において表示装置4'等に出力表示するように制御する通信システムがある。
【0003】
上述した通信システムでは、クライアント端末2'は、サーバ装置1'から転送されてきたデジタル放送データに含まれるEPG(Electric Program Guide)を基に、録画予約を行い、その録画予約を行った番組データをクライアント端末2'において録画することができる。以下、図5を参照しながら、図4に示す通信システムにおける番組データの録画動作について説明する。
【0004】
クライアント端末2'は、サーバ装置1'から転送されてきたデジタル放送データに含まれるEPGを基に、録画予約を設定する(ステップA1)。クライアント端末2'は、録画予約が設定された場合は、その録画予約の情報(録画予約情報)をクライアント端末2'の記憶部(図示せず)に格納して管理する。録画予約情報としては、録画番組情報、録画準備開始時刻、録画開始時刻、録画終了時刻などの情報が挙げられる。録画番組情報は、録画する番組データに関する情報であり、番組名や、放送時間等の情報が挙げられる。録画準備開始時刻は、録画の準備を開始する時刻であり、録画開始時刻より所定時刻前の時刻である。録画準備開始時刻は、録画開始時刻を基に、任意に決定することができ、例えば、録画開始時刻よりも1分程度前の時刻を録画準備開始時刻として決定する。録画開始時刻は、録画を開始する時刻である。録画終了時刻は、録画を終了する時刻である。
【0005】
クライアント端末2'は、クライアント端末2'の電源がONになった場合に(ステップA2)、サーバ装置1'と接続するための接続要求をサーバ装置1'に送信する(ステップA3)。
【0006】
サーバ装置1'は、クライアント端末2'から接続要求を受け付けた場合に、クライアント端末2'との間でコネクションの確立処理を行う(ステップA4)。サーバ装置1'は、クライアント端末2'とのコネクションの確立処理が完了した場合に(ステップA5)、デジタル放送データ(EPGを含む)をTCP(Transmission Control Protocol)でクライアント端末2'に転送する(ステップA6)。
【0007】
クライアント端末2'は、サーバ装置1'から転送されてきたデジタル放送データを受信した場合に、ACKをサーバ装置1'に送信すると共に、そのデジタル放送データに含まれるEPGを基に、録画予約した番組の放送時刻に変更がないかどうかを判断する。クライアント端末2'は、録画予約した番組の放送時刻に変更がある場合は、録画予約した録画予約情報の変更を行う(ステップA7)。変更する録画予約情報としては、録画準備開始時刻、録画開始時刻、録画終了時刻などが挙げられる。録画準備開始時刻は、変更後の録画開始時刻を基に、任意に決定することができ、例えば、変更後の録画開始時刻よりも1分程度前の時刻を録画準備開始時刻として決定する。
【0008】
クライアント端末2'は、記憶部に格納して管理する録画予約情報を基に、録画準備開始時刻になった場合に(ステップA8)、録画準備を開始する(ステップA9)。
【0009】
そして、録画準備が終了し(ステップA10)、録画開始時刻になった場合に、録画予約した番組データの録画を開始する(ステップA11)。
【0010】
このように、図4に示す通信システムでは、サーバ装置1'から転送されてきたデジタル放送データに含まれるEPGを基に、録画予約を行い、録画予約を行った録画準備開始時刻になった場合に、録画準備を行い、録画開始時刻になった場合に、録画予約した番組データの録画を開始することになる。
【0011】
しかし、上述した通信システムでは、サーバ装置1'は、デジタル放送データ(EPGを含む)をTCPで送信しているため、クライアント端末2'とサーバ装置1'との間でコネクション処理を行う必要がある。このため、クライアント端末2'は、ステップA3でサーバ装置1'に接続要求を送信してから、ステップA6でデジタル放送データ(EPGを含む)を受け取るまでに、ある程度の時間がかかることになる。
【0012】
その結果、クライアント端末2'は、サーバ装置1'から受け付けたデジタル放送データに含まれるEPGを基に、録画予約した番組の放送時刻に変更があり、録画予約を行った録画予約情報を変更することになった場合(記憶部に設定されている録画開始時刻よりも早い録画開始時刻に変更することになった場合)に、録画準備を行うための時間を確保することができず、変更後の録画開始時刻までに録画準備が完了できない状況が発生してしまうことになる。この場合、クライアント端末2'は、録画準備が完了するまでは録画予約を行った番組データを録画することができないことになる。
【0013】
上述した図4に示す通信システムは、サーバ装置1'とクライアント端末2'との間のネットワーク(NW)の帯域の状態が悪くなった場合は、データ転送に時間がかかるため、クライアント端末2'は、サーバ装置1'に接続要求を送信してからデジタル放送データ(EPGを含む)を受け取るまでに、時間がかかってしまうことになる。
【0014】
また、ネットワーク(NW)の帯域の状態が悪くなり、サーバ装置1'とクライアント端末2'との間の通信が切断されてしまった場合には、クライアント端末2'は、サーバ装置1'との間で接続処理を再度行う必要がある。このため、クライアント端末2'は、デジタル放送データ(EPGを含む)を受け取るまでに、時間がかかってしまうことになる。
【0015】
従って、変更後の録画開始時刻までに録画準備が完了できない状況は、ネットワーク(NW)の帯域を保証することができない場合(特に、無線通信の場合)に、顕著に発生することになる。
【0016】
このようなことから、変更後の録画開始時刻までに録画準備が完了できない状況の発生を抑制し、録画予約を行った番組データの録画失敗を低減することが可能なシステムの開発が必要視されることになる。即ち、クライアント端末2'とサーバ装置1'との間で通信を開始する際に、EPG(放送番組情報)をクライアント端末2'に対してなるべく早い段階で送信することが可能なシステムの開発が必要視されることになる。
【0017】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、録画予約の失敗を抑制することが可能な技術について開示された文献がある(例えば、特許文献1参照)。
【0018】
上記特許文献1では、録画準備に要した時間を録画準備時間として録画準備時間DB125Bに登録し、その録画準備時間DB125Bに登録した情報を基に、次回録画時に録画準備に要する時間を予測して起動時間を設定することにしている。これにより、環境の変化や様々な要因により録画準備に要する時間が長くなった場合にも、録画準備に要する予測時間を長く設定し、録画予約の失敗を抑制することを可能にしている。
【0019】
また、放送時間帯の変更に拘わらず、所望の番組を正確に予約録画する技術について開示された文献がある(例えば、特許文献2参照)。
【0020】
上記特許文献2では、受信したEIT(Event Information Table)に含まれる情報に基づいて、番組の放送時間に変更がないかどうかを判断し、変更がある場合はVTRに放送時間(開始時刻、終了時刻)の再設定を行い、放送時間帯の変更に拘わらず、所望の番組を正確に予約録画することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2009−4958号公報
【特許文献2】特開平9−326987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
上記特許文献1には、次回録画時に録画準備に要する時間を予測して起動時間を設定し、録画予約の失敗を抑制する点について開示されている。しかし、上記特許文献1には、録画予約を行った番組の放送時刻が変更になった場合でも、その録画予約を行った番組の録画失敗を抑制する点については何ら記載も示唆もされていない。
【0023】
また、上記特許文献2には、EITに含まれる情報に基づいて、放送時間(開始時刻、終了時刻)の再設定を行い、放送時間帯の変更に拘わらず、所望の番組を正確に予約録画する点について開示されている。しかし、上記特許文献2の発明は、チューナ4を搭載した受信機2において受信したEITに含まれる情報に基づいて、放送時間(開始時刻、終了時刻)の再設定を行う発明であるため、上述した問題(EITを受け取るまでに、ある程度の時間がかかってしまうという問題)自体が発生しない。このため、上記特許文献2には、クライアント端末とサーバ装置との間で通信を開始する際に、放送番組情報をクライアント端末に対してなるべく早い段階で送信する点については何ら記載も示唆もされていない。
【0024】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上述した課題である、クライアント端末とサーバ装置との間で通信を開始する際に、放送番組情報をクライアント端末に対してなるべく早い段階で送信することが可能なサーバ装置、通信システム、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0026】
<サーバ装置>
本発明にかかるサーバ装置は、
放送データをクライアント端末に無線で送信する送信手段を有するサーバ装置であって、
前記送信手段は、
前記放送データの送信を開始する前に、当該放送データを送信する時の第1の通信方式よりもデータ送信の速い第2の通信方式を用いて、前記放送データに含まれる放送番組情報を前記クライアント端末に送信することを特徴とする。
【0027】
<通信システム>
本発明にかかる通信システムは、
サーバ装置と、少なくとも1台のクライアント端末と、を有して構成する通信システムであって、
前記サーバ装置は、
放送データを前記クライアント端末に無線で送信する送信手段を有し、
前記送信手段は、
前記放送データの送信を開始する前に、当該放送データを送信する時の第1の通信方式よりもデータ送信の速い第2の通信方式を用いて、前記放送データに含まれる放送番組情報を前記クライアント端末に送信することを特徴とする。
【0028】
<制御方法>
本発明にかかる制御方法は、
放送データをクライアント端末に送信するサーバ装置で行う制御方法であって、
放送データを前記クライアント端末に無線で送信する送信工程を有し、
前記送信工程は、
前記放送データの送信を開始する前に、当該放送データを送信する時の第1の通信方式よりもデータ送信の速い第2の通信方式を用いて、前記放送データに含まれる放送番組情報を前記クライアント端末に送信することを特徴とする。
【0029】
<プログラム>
本発明にかかるプログラムは、
放送データをクライアント端末に送信するサーバ装置に実行させるプログラムであって、
放送データを前記クライアント端末に無線で送信する送信処理をコンピュータに実行させ、
前記送信処理は、
前記放送データの送信を開始する前に、当該放送データを送信する時の第1の通信方式よりもデータ送信の速い第2の通信方式を用いて、前記放送データに含まれる放送番組情報を前記クライアント端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、クライアント端末とサーバ装置との間で通信を開始する際に、放送番組情報をクライアント端末に対してなるべく早い段階で送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態の通信システムのシステム構成例を示す図である。
【図2】本実施形態の通信システムにおける番組データの録画処理動作例を示す図である。
【図3】本実施形態の通信システムのシステム構成例を示す図である。
【図4】本発明と関連する通信システムの構成例を示す図である。
【図5】本発明と関連する通信システムにおける番組データの録画処理動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<通信システムの概要>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の通信システムの概要について説明する。
【0033】
本実施形態の通信システムは、サーバ装置1と、少なくとも1台のクライアント端末2と、を有して構成する通信システムである。
【0034】
本実施形態のサーバ装置1は、放送データをクライアント端末2に無線で送信する送信手段(制御部11,送信部13に相当)を有し、送信手段(11,13)は、放送データの送信を開始する前に、当該放送データを送信する時の第1の通信方式(例えば、TCP)よりもデータ送信の速い第2の通信方式(例えば、UDP)を用いて、放送データに含まれる放送番組情報をクライアント端末2に送信する。
【0035】
これにより、本実施形態の通信システムは、クライアント端末1とサーバ装置2との間で通信を開始する際に、放送番組情報をクライアント端末2に対してなるべく早い段階で送信することが可能となる。
【0036】
その結果、クライアント端末2は、サーバ装置1から受け付けた放送番組情報を基に、録画予約した番組の放送時刻に変更がないかどうかを早い段階で判断することが可能となる。従って、クライアント端末2は、録画予約した番組の放送時刻に変更があり、録画予約を行った録画予約情報を変更することになった場合(記憶部に設定されている録画開始時刻よりも早い録画開始時刻に変更することになった場合)でも、録画準備を行うための時間を確保することが可能となる。これにより、変更後の録画開始時刻までに録画準備が完了できない状況が発生することを抑制し、録画予約を行った番組データの録画失敗を低減することが可能となる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の通信システムについて詳細に説明する。
【0037】
<通信システムのシステム構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の通信システムのシステム構成例について説明する。
【0038】
本実施形態の通信システムは、サーバ装置1と、クライアント端末2と、がネットワーク(NW)を介して接続して構成している。サーバ装置1は、放送アンテナ3等から受信したデジタル放送データを、ネットワーク(NW)を介してクライアント端末2に無線で転送し、クライアント端末2においてデジタル放送データに含まれる番組データを表示装置4等に出力表示するように制御する。また、クライアント端末2は、サーバ装置1から転送されてくるEPG(Electric Program Guide)を基に、録画予約を行い、その録画予約を行った番組データをクライアント端末2において録画することができる。
【0039】
本実施形態のサーバ装置1は、受信部10と、制御部11と、記憶部12と、送信部13と、を有して構成する。
【0040】
受信部10は、放送アンテナ3等から逐次受信したデジタル放送データをバッファ(図示せず)に逐次格納する。受信部10が受信したデジタル放送データには、番組データや、EPG(放送番組情報)等の情報が含まれている。
【0041】
制御部11は、受信部10がバッファ(図示せず)に逐次格納したデジタル放送データを送信部13のバッファ(図示せず)に格納する。
【0042】
送信部13は、バッファ(図示せず)に格納されたデジタル放送データを、ネットワーク(NW)を介してクライアント端末2に無線で転送する。
【0043】
記憶部12は、サーバ装置1を制御する際に使用する各種情報を記憶する。
【0044】
本実施形態のサーバ装置1は、GOP単位のデータ量に基づいたバッファ管理により、デジタル放送データの画像品質の安定化を図ることにしている。
【0045】
GOPは、MPEGを構成する最小の再生・編集単位であり、通常15フレーム程度で構成する。GOPは、例えば、Iフレームのみから構成したりする。また、IフレームとPフレームおよびBフレームとの組み合わせで構成したりする。また、IフレームとPフレームまたはBフレームとの組み合わせで構成したりする。
【0046】
Iフレームは、画像データを予測符号化により圧縮符号化し、復号の際に他の符号化画像(フレーム)のデータを必要としないイントラ符号化画像である。Pフレームは、復号の際に時間的に直前の復号後のフレームを必要とする前方予測符号化画像である。Bフレームは、復号の際に時間的に直前および直後の復号後のフレームを必要とする双方向予測符号化画像である。
【0047】
クライアント端末2は、サーバ装置1から転送されてきたデジタル放送データを表示装置4等に表示する。本実施形態のクライアント端末2は、受信部21と、制御部22と、記憶部23と、を有して構成する。
【0048】
受信部21は、サーバ装置1から転送されたデジタル放送データを受信する。制御部22は、受信部21が受信したデジタル放送データを表示装置4等に出力する。制御部22は、クライアント端末2の表示装置4上にデジタル放送データを表示したり、外部の表示装置4上にデジタル放送データを表示したりする。記憶部23は、クライアント端末2を制御する際に使用する各種情報を記憶する。本実施形態では、記憶部23は、クライアント端末2において録画予約の設定が行われた際の録画予約情報等を記憶する。録画予約情報としては、録画番組情報、録画準備開始時刻、録画開始時刻、録画終了時刻などの情報が挙げられる。録画番組情報は、録画する番組データに関する情報であり、番組名や、放送時間等の情報が挙げられる。録画準備開始時刻は、録画の準備を開始する時刻であり、録画開始時刻より所定時刻前の時刻である。録画準備開始時刻は、録画開始時刻を基に、任意に決定することができ、例えば、録画開始時刻よりも1分程度前の時刻を録画準備開始時刻として決定する。録画開始時刻は、録画を開始する時刻である。録画終了時刻は、録画を終了する時刻である。
【0049】
<通信システムにおける処理動作例>
次に、図2を参照しながら、本実施形態の通信システムにおける処理動作例について説明する。なお、以下の処理動作を行う前提として、サーバ装置1は、放送アンテナ3等からデジタル放送データ(EPGを含む)を逐次受信しているものとする。
【0050】
クライアント端末2は、サーバ装置1から転送されてきたEPG(放送番組情報)を基に、録画予約を設定する(ステップB0)。クライアント端末2は、録画予約が設定された場合は、その録画予約の情報(録画予約情報)を記憶部23に格納して管理する。
【0051】
クライアント端末2は、クライアント端末2の電源がONになり(ステップB1)、記憶部23に録画予約情報が格納されている場合には、放送番組情報の受信プログラムを開始する(ステップB2)。クライアント端末2は、放送番組情報の受信プログラムを開始することで、サーバ装置1から放送番組情報を受信した場合に、その放送番組情報を基に、録画予約した番組の放送時刻に変更がある場合は、録画予約した録画予約情報の変更を行うことができる。
【0052】
また、クライアント端末2は、クライアント端末2の電源がONになった場合は(ステップB1)、サーバ装置1と接続するための接続要求をサーバ装置1に送信する(ステップB3)。
【0053】
サーバ装置1は、クライアント端末2から接続要求を受け付けた場合に、放送アンテナ3等から受信したデジタル放送データに含まれるEPGを基に、そのEPGに含まれる将来放送予定の番組データの放送番組情報をUDP(User Datagram Protocol)でクライアント端末2に送信する(ステップB4)。UDPは、TCPとは異なり、装置間で通信が確立していることを確認する処理や、データの再送処理等を行わないため、TCPよりもデータ送信を高速に行うことができる。将来放送予定の番組データの放送番組情報としては、例えば、番組名、放送時間などのEPGに元々含まれている情報などが挙げられる。
【0054】
クライアント端末2は、サーバ装置1から送信されてきた放送番組情報を受信した場合に、その放送番組情報を基に、録画予約した番組の放送時刻に変更がないかどうかを判断する。クライアント端末2は、録画予約した番組の放送時刻に変更がある場合は、録画予約した録画予約情報の変更を行う(ステップB5)。変更する録画予約情報としては、録画準備開始時刻、録画開始時刻、録画終了時刻などが挙げられる。録画準備開始時刻は、変更後の録画開始時刻を基に、任意に決定することができ、例えば、変更後の録画開始時刻よりも1分程度前の時刻を録画準備開始時刻として決定する。
【0055】
サーバ装置1は、クライアント端末2との間でコネクションの確立処理を行い(ステップB6)、コネクションの確立処理が完了した場合に(ステップB7)、デジタル放送データ(EPGを含む)をTCPでクライアント端末2に転送する(ステップB8)。クライアント端末2は、サーバ装置1から転送されてきたデジタル放送データを受信した場合に、ACKをサーバ装置1に送信すると共に、そのデジタル放送データに含まれるEPGを基に、録画予約した番組の放送時刻に変更がないかどうかを判断する。クライアント端末2は、録画予約した番組の放送時刻に変更がある場合は、録画予約した録画予約情報の変更を行う。
【0056】
クライアント端末2は、記憶部23に格納して管理する録画予約情報を基に、録画準備開始時刻になった場合に(ステップB9)、録画準備を開始する(ステップB10)。
【0057】
そして、録画準備が終了し(ステップB11)、録画開始時刻になった場合に、録画予約した番組データの録画を開始する(ステップB12)。
【0058】
<本実施形態のサーバ装置1の作用・効果>
このように、本実施形態のサーバ装置1は、クライアント端末2から接続要求を受け付けた場合に、EPGに含まれる将来放送予定の番組データの放送番組情報をUDPでクライアント端末2に送信する。これにより、クライアント端末2は、サーバ装置1から送信されてきた放送番組情報を基に、録画予約した番組の放送時刻に変更がある場合は、録画予約した録画予約情報の変更を行うことができる。このため、クライアント端末2は、サーバ装置1とのコネクション処理が完了する前に、録画予約した録画予約情報の変更を行うことが可能となる。
【0059】
その結果、クライアント端末2は、録画予約した番組の放送時刻に変更があり、録画予約を行った録画予約情報を変更することになった場合(記憶部23に設定されている録画開始時刻よりも早い録画開始時刻に変更することになった場合)でも、録画準備を早い段階で開始し、録画準備を行うための時間を確保することが可能となる。従って、変更後の録画開始時刻までに録画準備が完了できない状況が発生することを抑制し、録画予約を行った番組データの録画失敗を低減することが可能となる。
【0060】
現在では、2.4GHz帯近辺のISM(Industry Science Medical)帯を使用して無線LAN通信を行っている。しかし、ISM帯は、無線LAN以外にも、Bluetooth,Zigbee,電子レンジ,コードレスホン等にも使用されている。
【0061】
このため、無線LANを用いてサーバ装置1からクライアント端末2にデータ転送を行っている最中に、無線LANと同一周波数帯の一部の電波を少なくとも使用する電波発生装置(Bluetooth,Zigbee,電子レンジ,コードレスホン等)が電波を発生した場合には、電波干渉が発生し、データ転送ができなかったり、サーバ装置1とクライアント端末2との通信が切断されてしまったりする状況が頻繁に発生してしまう虞がある。もし、上述した状況が発生した場合には、クライアント端末2は、デジタル放送データ(EPGを含む)をTCPで受け取るまでに、ある程度の時間がかかることになる。
【0062】
このため、本実施形態のサーバ装置1は、クライアント端末2から接続要求を受け付けた場合に、EPGに含まれる将来放送予定の番組データの放送番組情報をUDPでクライアント端末2に送信する。これにより、クライアント端末2は、放送番組情報を早い段階で受け取りことが可能となる。その結果、クライアント端末2は、サーバ装置1から受け取った放送番組情報を基に、録画予約した番組の放送時刻に変更があり、録画予約を行った録画予約情報を変更することになった場合(記憶部23に設定されている録画開始時刻よりも早い録画開始時刻に変更することになった場合)でも、録画準備を早い段階で開始し、録画準備を行うための時間を確保することが可能となる。従って、変更後の録画開始時刻までに録画準備が完了できない状況が発生することを抑制し、録画予約を行った番組データの録画失敗を低減することが可能となる。
【0063】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0064】
例えば、上述した通信システムでは、サーバ装置1は、クライアント端末2から接続要求を受け付けた場合に、EPGに含まれる将来放送予定の番組データの放送番組情報をUDPでクライアント端末2に送信することにした。しかし、サーバ装置1は、クライアント端末2から放送番組情報の送信要求を受け付けた場合に、放送番組情報をUDPでクライアント端末2に送信するように構築することも可能である。また、サーバ装置1は、クライアント端末2がサーバ装置1の周囲に存在する旨の通知を受け付けた場合に、放送番組情報をUDPでクライアント端末2に送信するように構築することも可能である。また、サーバ装置1は、クライアント端末2の有無に関わらず、EPGに含まれる将来放送予定の番組データの放送番組情報を、UDPで定期的にクライアント端末2に送信するように構築することも可能である。この場合、サーバ装置1が放送番組情報をUDPで定期的に送信する期間を任意に設定変更することが可能である。
【0065】
また、上述した通信システムでは、サーバ装置1は、コネクションの確立処理が完了した場合に、デジタル放送データ(EPGを含む)をTCPでクライアント端末2に転送することにした。しかし、EPGに含まれる将来放送予定の番組データの放送番組情報は、UDPで既にクライアント端末2に送信しているため、既に送信済みの放送番組情報を除いたEPGをTCPでクライアント端末2に送信するように構築することも可能である。
【0066】
また、サーバ装置1がUDPで送信する放送番組情報は、その放送番組情報をクライアント端末2が受信した場合に、その放送番組情報を基に、録画予約した録画予約情報の変更を行うことが可能であれば、特に限定せず、あらゆる情報を放送番組情報として送信することが可能である。但し、放送番組情報をクライアント端末2に早く送信するためには、放送番組情報のデータ量を少なくするように構成することが好ましい。このため、例えば、将来放送予定の番組データの放送番組情報として、番組名を識別するための識別子と放送開始時刻などで構成することが好ましい。また、放送開始時刻ではなく、放送開始までの時間などで構成することが好ましい。
【0067】
また、上述した通信システムでは、図1に示すように、サーバ装置1は、一台のクライアント端末2と無線接続する構成にした。しかし、図3に示すように、サーバ装置1は、複数台(Nは、任意の整数)のクライアント端末2-1,2-2,2-Nと無線通信するように構築することも可能である。この場合、サーバ装置1は、ブロードキャストを使用し、放送番組情報を複数のクライアント端末2-1〜2-Nに同時に送信することもできる。
【0068】
また、上述した通信システムでは、図1、図3に示すように、サーバ装置1は、放送アンテナ3等から受信したデジタル放送データをクライアント端末2に転送することを前提とした。しかし、サーバ装置1は、デジタル放送データ(EPGを含む)をサーバ装置1で管理し、そのサーバ装置1で管理するデジタル放送データをクライアント端末2に送信するように構築することも可能である。
【0069】
また、上述した本実施形態における通信システムを構成する各装置における制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0070】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0071】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0072】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0073】
また、本実施形態における通信システムは、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 サーバ装置
10 受信部
11 制御部(送信手段)
12 記憶部
13 送信部(送信手段)
2 クライアント端末
21 受信部
22 制御部
23 記憶部
3 放送アンテナ
4 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送データをクライアント端末に無線で送信する送信手段を有するサーバ装置であって、
前記送信手段は、
前記放送データの送信を開始する前に、当該放送データを送信する時の第1の通信方式よりもデータ送信の速い第2の通信方式を用いて、前記放送データに含まれる放送番組情報を前記クライアント端末に送信することを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記送信手段は、
前記サーバ装置と接続するための接続要求を前記クライアント端末から受け付けた場合と、
前記クライアント端末が前記サーバ装置の周囲に存在する旨の通知を前記クライアント端末から受け付けた場合と、
前記放送番組情報の送信要求を前記クライアント端末から受け付けた場合と、
の少なくとも1つの場合に、前記第2の通信方式を用いて、前記放送番組情報を前記クライアント端末に送信することを特徴とする請求項1記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記送信手段は、
前記第2の通信方式を用いて、前記放送番組情報を前記クライアント端末に定期的に送信することを特徴とする請求項1または2記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記放送番組情報は、将来放送予定の番組データの放送番組情報であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記第1の通信方式は、TCP(Transmission Control Protocol)であり、
前記第2の通信方式は、UDP(User Datagram Protocol)であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のサーバ装置。
【請求項6】
サーバ装置と、少なくとも1台のクライアント端末と、を有して構成する通信システムであって、
前記サーバ装置は、
放送データを前記クライアント端末に無線で送信する送信手段を有し、
前記送信手段は、
前記放送データの送信を開始する前に、当該放送データを送信する時の第1の通信方式よりもデータ送信の速い第2の通信方式を用いて、前記放送データに含まれる放送番組情報を前記クライアント端末に送信することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
放送データをクライアント端末に送信するサーバ装置で行う制御方法であって、
放送データを前記クライアント端末に無線で送信する送信工程を有し、
前記送信工程は、
前記放送データの送信を開始する前に、当該放送データを送信する時の第1の通信方式よりもデータ送信の速い第2の通信方式を用いて、前記放送データに含まれる放送番組情報を前記クライアント端末に送信することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
放送データをクライアント端末に送信するサーバ装置に実行させるプログラムであって、
放送データを前記クライアント端末に無線で送信する送信処理をコンピュータに実行させ、
前記送信処理は、
前記放送データの送信を開始する前に、当該放送データを送信する時の第1の通信方式よりもデータ送信の速い第2の通信方式を用いて、前記放送データに含まれる放送番組情報を前記クライアント端末に送信することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−77882(P2011−77882A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227932(P2009−227932)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】