説明

サーバ装置および代金回収方法

【課題】ユーザがサービスの代金を支払いやすい仕組みを提供すると共に、顧客満足と回収率の向上の両方を実現する。
【解決手段】サービスを提供する事業者に代わって、サービスを受けるユーザからサービスの代金を回収する代金回収システムに適用されるサーバ装置であって、金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信する電子メール送信部12と、前記ユーザの端末装置から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なう送金部13と、前記ユーザの端末装置に対して、前記サービスの代金を請求する回収部14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスを提供する事業者に代わって、サービスを受けるユーザからサービスの代金を回収する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、代金決済システムが知られている。例えば、特許文献1記載の技術では、ネットワークを介して、ユーザが所有する消費者端末およびカメラ付き携帯電話機、ユーザの公共料金引落口座がある銀行システム、ユーザが商品を購入したりサービスの提供を受けたりする業者の商品・サービス提供会社端末、および、この商品の購入またはサービスの提供に対する代金を立替払いに使用される代金決済代行会社端末を、相互に接続可能としている。また、このシステムには、地球環境に対する負荷増加量および低減量を数値化する環境負荷増加量/低減量データ収集システムと、公共サービス提供会社システムとが設けられている。
【0003】
そして、公共サービス提供会社システムは、消費者に対して、各商品・サービスの購入および各行動に対して、数値化された地球環境に対する負荷増加量及び低減量を通知する。また、それと共に、一定期間内の数値化された地球環境に対する負荷増加量および低減量を集計して通知する。これにより、代金決済システムを利用した環境家計簿提供システムを実現しようとしている。
【0004】
また、特許文献2記載の技術では、次のようなステップを経て代金の回収を図っている。すなわち、顧客のクレジットカードの情報に基づいて、加盟店の端末から上記クレジットカードの情報を読み取り、決済会社の端末に送信して、上記クレジットカードを認証する。次に、その認証の結果、決済が可能であれば、上記決済会社によって電子手形割引機関に電子手形を転送する。次に、その転送によって、決済代行機関から上記加盟店に商品の購入代金を振り込む。次に、上記決済機関と上記決済代行機関の間の取極めに基づいて、所定の期日に、上記決済代行機関から上記電子手形割引機関に、立替えた電子手形を振り込む。これにより、電子手形割引機関が決済を代行することを実現しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−323492号公報
【特許文献2】特開2003−196572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来は、サービスを提供する事業者に代わって、サービスを受けるユーザからサービスの代金を回収する場合、上記事業者に対してユーザが支払う代金を立て替えて支払うことは行なわれていなかった。このため、例えば、サービスが携帯電話である場合、ユーザの口座から携帯電話の利用代金を引き落とすことができなかった場合、ユーザに対して督促状を発送したり、督促の旨の電子メールを送信したり、オペレータが直接ユーザに発呼して支払を促す会話を行なったりするしかなかった。その結果、回収のために費やすコストが大きくなってしまっていた。このため、ユーザがサービスの代金を支払いやすい仕組みを実現することが望まれていた。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザがサービスの代金を支払いやすい仕組みを提供すると共に、顧客満足と回収率の向上の両方を実現することができるサーバ装置および代金回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明のサーバ装置は、サービスを提供する事業者に代わって、サービスを受けるユーザからサービスの代金を回収する代金回収システムに適用されるサーバ装置であって、金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信する電子メール送信部と、前記ユーザの端末装置から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なう送金部と、前記ユーザの端末装置に対して、前記サービスの代金を請求する回収部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように、ユーザの端末装置から、サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から事業者の口座に対して、サービスの代金に対応する送金を行なうので、ユーザにとっては、事業者からのペナルティを受けることなく、サービスの提供を継続して受けることが可能となる。また、事業者にとっては、サービスの代金を確実に回収することが可能となるため、ユーザの不払いリスクが軽減し、資金繰りが円滑化すると共に、不払いに対する督促に費やすコストを削減することが可能となる。
【0010】
(2)また、本発明のサーバ装置において、前記電子メール送信部は、前記金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータと、立替払いの要求または前記ユーザの口座からの引き落とし日の指定のいずれか一方を選択すべきことを示すデータと、を含む電子メールを送信し、前記送金部は、前記ユーザの端末装置から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なう一方、前記ユーザの端末装置から、前記ユーザの口座からの引き落とし日の指定を示すデータを受信した場合、前記金融機関に対して、前記指定された引き落とし日を通知することを特徴としている。
【0011】
このように、ユーザの端末装置から、サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から事業者の口座に対して、サービスの代金に対応する送金を行なう一方、ユーザの端末装置から、ユーザの口座からの引き落とし日の指定を示すデータを受信した場合、金融機関に対して、指定された引き落とし日を通知するので、ユーザにとっては、立替払いの要求、または再引き落としのいずれかを選択することができる。これにより、ユーザがサービスの代金を支払いやすい仕組みを実現することが可能となる。
【0012】
(3)また、本発明のサーバ装置において、前記サービスは、携帯電話サービスであって、前記金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信すると共に、携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方を停止することを特徴としている。
【0013】
このように、金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信すると共に、携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方を停止するので、督促の実効性を担保することが可能となる。
【0014】
(4)また本発明のサーバ装置において、前記ユーザの支払実績に応じて、前記携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方の停止を解除することを特徴としている。
【0015】
このように、ユーザの支払実績に応じて、前記携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方の停止を解除するので、例えば、支払実績の良好なユーザに対しては、ペナルティを軽減する一方、支払実績の良好でないユーザに対しては、督促の実効性を担保することが可能となる。
【0016】
(5)また、本発明の代金回収方法は、サービスを提供する事業者に代わって、サービスを受けるユーザからサービスの代金を回収する代金回収方法であって、ネットワークに接続され金融機関およびユーザの端末装置と通信が可能なサーバ装置において、金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信するステップと、前記ユーザの端末装置から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なうステップと、前記ユーザの端末装置に対して、前記サービスの代金を請求するステップと、を少なくとも含むことを特徴としている。
【0017】
このように、ユーザの端末装置から、サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から事業者の口座に対して、サービスの代金に対応する送金を行なうので、ユーザにとっては、事業者からのペナルティを受けることなく、サービスの提供を継続して受けることが可能となる。また、事業者にとっては、サービスの代金を確実に回収することが可能となるため、ユーザの不払いリスクが軽減し、資金繰りが円滑化すると共に、不払いに対する督促に費やすコストを削減することが可能となる。
【0018】
(6)また、本発明の代金回収方法は、前記金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータと、立替払いの要求または前記ユーザの口座からの引き落とし日の指定のいずれか一方を選択すべきことを示すデータと、を含む電子メールを送信するステップと、前記ユーザの端末装置から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なうステップと、前記ユーザの端末装置から、前記ユーザの口座からの引き落とし日の指定を示すデータを受信した場合、前記金融機関に対して、前記指定された引き落とし日を通知するステップと、をさらに含むことを特徴としている。
【0019】
このように、ユーザの端末装置から、サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から事業者の口座に対して、サービスの代金に対応する送金を行なう一方、ユーザの端末装置から、ユーザの口座からの引き落とし日の指定を示すデータを受信した場合、金融機関に対して、指定された引き落とし日を通知するので、ユーザにとっては、立替払いの要求、または再引き落としのいずれかを選択することができる。これにより、ユーザがサービスの代金を支払いやすい仕組みを実現することが可能となる。
【0020】
(7)また、本発明の代金回収方法は、前記サービスは、携帯電話サービスであって、前記金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信すると共に、携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方を停止するステップをさらに含むことを特徴としている。
【0021】
このように、金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信すると共に、携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方を停止するので、督促の実効性を担保することが可能となる。
【0022】
(8)また、本発明の代金回収方法は、前記ユーザの支払実績に応じて、前記携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方の停止を解除することを特徴としている。
【0023】
このように、ユーザの支払実績に応じて、前記携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方の停止を解除するので、例えば、支払実績の良好なユーザに対しては、ペナルティを軽減する一方、支払実績の良好でないユーザに対しては、督促の実効性を担保することが可能となる。
【0024】
(9)また、本発明のサーバ装置は、サービスを提供する事業者に代わって、サービスを受けるユーザからサービスの代金を回収する代金回収システムに適用されるサーバ装置であって、前記ユーザが所有する携帯電話機の電話番号と一対一に対応する口座を管理する金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの携帯電話機に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信する電子メール送信部と、前記ユーザの携帯電話機から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なう送金部と、前記ユーザの携帯電話機に対して、前記サービスの代金を請求する回収部と、を備えることを特徴とする。
【0025】
このように、ユーザの携帯電話機から、サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から事業者の口座に対して、サービスの代金に対応する送金を行なうので、ユーザにとっては、事業者からのペナルティを受けることなく、サービスの提供を継続して受けることが可能となる。また、事業者にとっては、サービスの代金を確実に回収することが可能となるため、ユーザの不払いリスクが軽減し、資金繰りが円滑化すると共に、不払いに対する督促に費やすコストを削減することが可能となる。
【0026】
(10)また、本発明のサーバ装置において、前記電子メール送信部は、前記ユーザの携帯電話機が、前記事業者から代金を請求する情報を含む電子メールを受信し、前記ユーザの携帯電話機を払込票として、前記代金の払い込みが無かった場合は、前記代金を請求する情報を含む電子メールを前記事業者に代わって前記ユーザの携帯電話機に対して送信することを特徴とする。
【0027】
このように、ユーザの携帯電話機を払込票として、前記代金の払い込みが無かった場合は、前記代金を請求する情報を含む電子メールを前記事業者に代わって前記ユーザの携帯電話機に対して送信するので、代金の回収を促進させることが可能となる。
【0028】
(11)また、本発明の代金回収方法は、サービスを提供する事業者に代わって、サービスを受けるユーザからサービスの代金を回収する代金回収方法であって、ユーザの携帯電話機が、前記事業者から代金を請求する情報を含む電子メールを受信するステップと、前記ユーザの携帯電話機を払込票として、前記代金の払い込みがあったかどうかを判断するステップと、前記判断の結果、前記代金の払い込みが無かった場合は、前記代金を請求する情報を含む電子メールを前記事業者に代わって前記ユーザの携帯電話機に対して送信するステップと、前記ユーザが所有する携帯電話機の電話番号と一対一に対応する口座を管理する金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの携帯電話機に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信するステップと、前記ユーザの携帯電話機から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なうステップと、前記ユーザの携帯電話機に対して、前記サービスの代金を請求するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0029】
このように、ユーザの携帯電話機を払込票として、前記代金の払い込みが無かった場合は、前記代金を請求する情報を含む電子メールを前記事業者に代わって前記ユーザの携帯電話機に対して送信するので、代金の回収を促進させることが可能となる。また、ユーザの携帯電話機から、サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から事業者の口座に対して、サービスの代金に対応する送金を行なうので、ユーザにとっては、事業者からのペナルティを受けることなく、サービスの提供を継続して受けることが可能となる。また、事業者にとっては、サービスの代金を確実に回収することが可能となるため、ユーザの不払いリスクが軽減し、資金繰りが円滑化すると共に、不払いに対する督促に費やすコストを削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ユーザの端末装置から、サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から事業者の口座に対して、サービスの代金に対応する送金を行なうので、ユーザにとっては、事業者からのペナルティを受けることなく、サービスの提供を継続して受けることが可能となる。また、事業者にとっては、サービスの代金を確実に回収することが可能となるため、ユーザの不払いリスクが軽減し、資金繰りが円滑化すると共に、不払いに対する督促に費やすコストを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る代金回収システムの概要を示す図である。
【図2】本実施形態に係る代金回収サーバ10の概略構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係る代金回収システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【図4】代金回収システムの他の動作例を示すシーケンスチャートである。
【図5】代金回収システムの他の動作例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る代金回収システムの概要を示す図である。この代金回収システムは、代金回収業者が管理する代金回収サーバ10、ユーザへ携帯電話サービスを提供する通信事業者の通信事業者サーバ20、金融機関が管理する金融機関サーバ30、およびユーザの端末装置(携帯電話機)40から構成され、これらは通信ネットワーク50を介して通信が可能となっている。また、代金回収サーバ10は、特定の銀行に代金回収業者用口座10aから他の口座へ送金が可能である。また、金融機関サーバ30は、ユーザの口座30aからサービスの代金の引落しが可能となっている。
【0033】
本実施形態では、本発明を携帯電話サービスに適用した場合について説明する。本実施形態に係る代金回収システムは、携帯電話サービスの高い決済率、支払促進の新たな仕組み、連絡手段の確保、徹底的な省力化、および手数料・遅延金の徴収による未納発生の抑制を実現するものである。すなわち、高い決済率の実現については、毎月、例えば、6回程度の引落し日を設定可能とする。また、ユーザは希望の引き落とし日を選択することができる。また、ユーザが資金不足である場合は、直後の引落し日に自動的に再引落しをする。この場合、引落し不能データを銀行に留め置くこととする。さらに、再引き落とし不能である場合は、代金回収業者のサーバ装置が、立替払いを行なう。立替払いの代わりに、次月の決済日までのいずれかの日を引落し日として再設定するようにしても良い。
【0034】
次に、支払促進の新たな仕組みの実現については、再引き落とし不能であった場合は、その端末装置の発信を停止する。これにより、督促の実効性を担保する。ここで、発信を完全に停止するわけではなく、引落し日を再設定するための手段を残しておく。例えば、特番を付与したり、引落し日を再設定するためのWebサイトへのアクセスのみを可能としたりする。ユーザが、再設定した引落し日に再度引落し不能とした場合は、その端末装置の着信を停止する。さらにペナルティを課すことにより、督促の実効性と公平性を担保する。ここで、着信が停止した端末装置に、着呼があったとき、完全に着信を停止するのではなく、着信があった旨のみを通知したり、発信者番号通知機能が有効である場合は、発信者の番号のみを通知したりするようにしても良い。
【0035】
次に、連絡手段の確保の実現については、ユーザの端末装置の発信停止の時は、特番とWebサイトを開放し、その旨をトーキーやテキストで通知する。また、着信停止の時も、特番とWebサイトを開放し、電子メール等での督促を可能とする。
【0036】
次に、徹底的な省力化の実現については、従来行なわれていた督促状の送付と、電話による督促を廃止し、未納通知は電子メールまたはショートメール(登録商標)で行なう。また、ユーザの過去の支払実績に応じて、クレジットクラスを設けても良い。支払実績が良好なユーザに対しては、引き落とし不能となった後、引落し日の指定があったら、その日に発信停止を解除する。また、支払実績が好ましくないユーザに対しては、支払確認後に発信停止を解除しても良い。
【0037】
また、手数料・遅延金の徴収による未納発生の抑制の実現については、再引き落としでは手数料のみを徴収し、それ以降は入金日までの遅延金を翌月の請求分に加算することで実現することができる。
【0038】
図2は、本実施形態に係る代金回収サーバ10の概略構成を示す図である。この代金回収サーバ10は、送受信部11において、通信ネットワークを介してデータの送受信を行なう。また、送受信部11において、金融機関からサービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、ユーザの端末装置40に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信する電子メール送信部12を備えている。この電子メール送信部12は、送受信部11が金融機関からサービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、ユーザの端末装置40に対して、代金支払の督促を示すデータと、立替払いの要求またはユーザの口座からの引き落とし日の指定のいずれか一方を選択すべきことを示すデータと、を含む電子メールを送信する。
【0039】
また、代金回収サーバ10は、ユーザの端末装置40から、サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座、すなわち、代金回収業者用口座10aから通信事業者の口座に対して、サービスの代金に対応する送金を行なう送金部13を有している。これにより、代金の立替払いが可能となる。また、送金部13は、ユーザの端末装置40から、ユーザの口座からの引き落とし日の指定を示すデータを受信した場合、金融機関サーバ30に対して、指定された引き落とし日を通知する機能も有する。
【0040】
また、回収部14は、ユーザの端末装置40に対して、立替を行なったサービスの代金を請求する。
【0041】
発信着信制御部15は、金融機関サーバ30からサービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、ユーザの端末装置40に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信すると共に、ユーザの端末装置(携帯電話機)40の発信または着信の少なくとも一方を停止する。この発信着信制御部15は、通信事業者サーバ20が備えていても良い。以上の各構成要素は、制御バス16を介して相互にデータの送受信が可能となっている。
【0042】
次に、以上のように構成された本実施形態に係る代金回収システムの動作について説明する。図3は、本実施形態に係る代金回収システムの動作例を示すシーケンスチャートである。通信事業者サーバは、サービス(ここでは携帯電話サービス)の代金の請求を行なう(ステップS1)。ここでは、ユーザの端末装置にデータを送信するように表現されているが、請求書を郵送する手法を採ることもできる。次に、通信事業者サーバは、請求書データを代金回収サーバへ送信する(ステップS2)。代金回収サーバは、例えば、代金の引き落としの5日前に、電子メールで請求内容を通知する(ステップS3)。また、代金回収サーバは、金融機関サーバに対して、例えば、4営業日前に請求書データを送信する(ステップS4)。
【0043】
金融機関で、ユーザが希望した日に引き落としを行ない(ステップS5)、引き落としが不能であった場合は、その引落し結果データを代金回収サーバへ送信する(ステップS6)。代金回収サーバは、引き落としが不能であったことを電子メールでユーザの端末装置へ送信する(ステップS7)。金融機関サーバは、例えば、5日後に自動的に再引き落としを行なう(ステップS8)。ここで、再び引き落としが不能であった場合、金融機関サーバは、その引落し結果データを代金回収サーバへ送信する(ステップS9)。
【0044】
代金回収サーバは、引き落としが不能であったことを電子メールでユーザの端末装置へ送信する(ステップS10)。ここで、電子メールに、立替払いの要求をするかどうかを選択させる情報が含められる。また、代金回収サーバは、ユーザの端末装置(携帯電話機)の発信を停止する(ステップS11)。
【0045】
ユーザの端末装置から、立替払いの要求をする旨のデータを受信した場合は(ステップS12)、代金回収サーバは、通信事業者に対して、ユーザに代わって携帯電話サービスの代金の立替払いを行ない(ステップS13)、その結果データを通信事業者サーバへ送信する(ステップS14)。また、ユーザの端末装置に対する発信停止を解除する(ステップS15)。そして、代金回収サーバは、ユーザに対して、立替えたサービスの代金の請求を行なう(ステップS16)。この請求は、電子メールを用いても良いし、請求書を発行するようにしても良い。この請求に対して、ユーザが支払を行なうことによって、サービスの代金の回収が完了する(ステップS17)。
【0046】
これにより、ユーザにとっては、通信事業者からのペナルティを受けることなく、サービスの提供を継続して受けることが可能となる。また、通信事業者にとっては、サービスの代金を確実に回収することが可能となるため、ユーザの不払いリスクが軽減し、資金繰りが円滑化すると共に、不払いに対する督促に費やすコストを削減することが可能となる。
【0047】
(第2の実施形態)
図4は、代金回収システムの他の動作例を示すシーケンスチャートである。ステップS11までは、図3と同様である。図4では、引き落としが不能であったことを電子メールでユーザの端末装置へ送信する場合(ステップS10)、電子メールに、立替払いの要求をするか、または再び引落し日を設定するかを選択させる情報が含められるものとする。そして、代金回収サーバは、ユーザの端末装置(携帯電話機)の発信を停止する(ステップS11)。
【0048】
ユーザの端末装置から、引落し日の再設定を示すデータを受信した場合(ステップS20)、代金回収サーバは、金融機関サーバに対して、引落し日の設定を行なうデータを送信し(ステップS21)、ユーザの端末装置の発信停止を解除する(ステップS22)。金融機関サーバは、ユーザが指定した引落し日に引き落としができた場合は、引落し結果データを代金回収サーバへ送信し(ステップS24)、代金回収サーバは、引落し結果データを通信事業者サーバへ送信する(ステップS25)。これにより、サービスの代金の回収が完了する。
【0049】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、通信事業者サーバから代金を請求する情報を含む電子メールを携帯電話機が受信し、ユーザがその携帯電話機を払込票として代金の支払いを行なう場合について説明する。図5は、代金回収システムの他の動作例を示すシーケンスチャートである。通信事業者サーバは、サービス(ここでは携帯電話サービス)の代金の請求を行なう(ステップT1)。ここでは、ユーザの端末装置にデータを送信するように表現されているが、請求書を郵送する手法や、WEB請求を行なう手法を採ることもできる。次に、通信事業者サーバは、請求書データを代金回収サーバへ送信する(ステップT2)。この請求書データは、口座振替方式や携帯電話機を払込票とする支払い方式のいずれをも指定することができる。代金回収サーバは、例えば、代金の引き落としの5日前に、電子メールで請求内容を通知する(ステップT3)。また、代金回収サーバは、金融機関サーバに対して、例えば、4営業日前に請求書データを送信する(ステップT4)。
【0050】
ユーザが、携帯電話機を払込票として代金を支払った場合、例えば、コンビニエンスストアにおける支払い、携帯電話番号と一対一に対応する銀行口座からの振り込み、いわゆるネットバンキング、またはクレジットカードによる支払いをした場合は(ステップT5)、これで決済が終了する。
【0051】
一方、口座引き落としを行なう場合、第3の実施形態では、この口座は、携帯電話番号と一対一に対応する銀行口座である。この銀行口座を管理する金融機関で、ユーザが希望した日に引き落としを行ない(ステップT6)、引き落としが不能であった場合は、その引落し結果データを代金回収サーバへ送信する(ステップT7)。代金回収サーバは、引き落としが不能であったことを電子メールでユーザの携帯電話機へ送信する(ステップT8)。金融機関サーバは、例えば、5日後に自動的に再引き落としを行なう(ステップT9)。ここで、再び引き落としが不能であった場合、金融機関サーバは、その引落し結果データを代金回収サーバへ送信する(ステップT10)。
【0052】
代金回収サーバは、引き落としが不能であったことを電子メールでユーザの携帯電話機へ送信する(ステップT11)。ここで、電子メールに、立替払いの要求をするかどうかを選択させる情報が含められる。また、代金回収サーバは、ユーザの携帯電話機の発信を停止する(ステップT12)。
【0053】
ユーザの携帯電話機から、立替払いの要求をする旨のデータを受信した場合は(ステップT13)、代金回収サーバは、通信事業者に対して、ユーザに代わって携帯電話サービスの代金の立替払いを行ない(ステップT14)、その結果データを通信事業者サーバへ送信する(ステップT15)。また、ユーザの携帯電話機に対する発信停止を解除する(ステップT16)。そして、代金回収サーバは、ユーザに対して、立替えたサービスの代金の請求を行なう(ステップT17)。この請求は、電子メールを用いても良いし、請求書を発行するようにしても良い。この請求に対して、ユーザが支払を行なうことによって、サービスの代金の回収が完了する(ステップT18)。
【0054】
これにより、ユーザにとっては、通信事業者からのペナルティを受けることなく、サービスの提供を継続して受けることが可能となる。また、通信事業者にとっては、サービスの代金を確実に回収することが可能となるため、ユーザの不払いリスクが軽減し、資金繰りが円滑化すると共に、不払いに対する督促に費やすコストを削減することが可能となる。
【0055】
本実施形態に係る代金回収システムによれば、督促状を郵送する場合のコストが、一通100円として、100万通で合計1億円のコストとなるが、このコストの削減が見込まれる。また、電話による督促を取り止めることにより、100万件の不払いに対して、1000人で電話による督促を行なった場合に要する1か月分の人件費の3億円が削減される。さらに、一回20円の通話料金を要する電話による督促では、100万件で2000万円となるが、このコストも削減される。さらに、延滞金による収入として、50万件が対象となると仮定し、平均単価を5000円、日歩を4銭、延滞平均日数を20日とすると、2000万円の収入が見込まれる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る代金回収システムによれば、ユーザの端末装置から、サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から事業者の口座に対して、サービスの代金に対応する送金を行なうので、ユーザにとっては、事業者からのペナルティを受けることなく、サービスの提供を継続して受けることが可能となる。また、事業者にとっては、サービスの代金を確実に回収することが可能となるため、ユーザの不払いリスクが軽減し、資金繰りが円滑化すると共に、不払いに対する督促に費やすコストを削減することが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
10 代金回収サーバ
10a 代金回収業者用口座
11 送受信部
12 電子メール送信部
13 送金部
14 回収部
15 発信着信制御部
16 制御バス
20 通信事業者サーバ
30 金融機関サーバ
30a ユーザの口座
40 端末装置
50 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスを提供する事業者に代わって、サービスを受けるユーザからサービスの代金を回収する代金回収システムに適用されるサーバ装置であって、
金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信する電子メール送信部と、
前記ユーザの端末装置から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なう送金部と、
前記ユーザの端末装置に対して、前記サービスの代金を請求する回収部と、を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記電子メール送信部は、前記金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータと、立替払いの要求または前記ユーザの口座からの引き落とし日の指定のいずれか一方を選択すべきことを示すデータと、を含む電子メールを送信し、
前記送金部は、前記ユーザの端末装置から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なう一方、前記ユーザの端末装置から、前記ユーザの口座からの引き落とし日の指定を示すデータを受信した場合、前記金融機関に対して、前記指定された引き落とし日を通知することを特徴とする請求項1記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記サービスは、携帯電話サービスであって、前記金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信すると共に、携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方を停止することを特徴とする請求項1または請求項2記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記ユーザの支払実績に応じて、前記携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方の停止を解除することを特徴とする請求項3記載のサーバ装置。
【請求項5】
サービスを提供する事業者に代わって、サービスを受けるユーザからサービスの代金を回収する代金回収方法であって、
ネットワークに接続され金融機関およびユーザの端末装置と通信が可能なサーバ装置において、
金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信するステップと、
前記ユーザの端末装置から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なうステップと、
前記ユーザの端末装置に対して、前記サービスの代金を請求するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする代金回収方法。
【請求項6】
前記金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータと、立替払いの要求または前記ユーザの口座からの引き落とし日の指定のいずれか一方を選択すべきことを示すデータと、を含む電子メールを送信するステップと、
前記ユーザの端末装置から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なうステップと、
前記ユーザの端末装置から、前記ユーザの口座からの引き落とし日の指定を示すデータを受信した場合、前記金融機関に対して、前記指定された引き落とし日を通知するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の代金回収方法。
【請求項7】
前記サービスは、携帯電話サービスであって、前記金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの端末装置に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信すると共に、携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方を停止するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5または請求項6記載の代金回収方法。
【請求項8】
前記ユーザの支払実績に応じて、前記携帯電話機の発信または着信の少なくとも一方の停止を解除することを特徴とする請求項7記載の代金回収方法。
【請求項9】
サービスを提供する事業者に代わって、サービスを受けるユーザからサービスの代金を回収する代金回収システムに適用されるサーバ装置であって、
前記ユーザが所有する携帯電話機の電話番号と一対一に対応する口座を管理する金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの携帯電話機に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信する電子メール送信部と、
前記ユーザの携帯電話機から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なう送金部と、
前記ユーザの携帯電話機に対して、前記サービスの代金を請求する回収部と、を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項10】
前記電子メール送信部は、前記ユーザの携帯電話機が、前記事業者から代金を請求する情報を含む電子メールを受信し、前記ユーザの携帯電話機を払込票として、前記代金の払い込みが無かった場合は、前記代金を請求する情報を含む電子メールを前記事業者に代わって前記ユーザの携帯電話機に対して送信することを特徴とする請求項9記載のサーバ装置。
【請求項11】
サービスを提供する事業者に代わって、サービスを受けるユーザからサービスの代金を回収する代金回収方法であって、
ユーザの携帯電話機が、前記事業者から代金を請求する情報を含む電子メールを受信するステップと、
前記ユーザの携帯電話機を払込票として、前記代金の払い込みがあったかどうかを判断するステップと、
前記判断の結果、前記代金の払い込みが無かった場合は、前記代金を請求する情報を含む電子メールを前記事業者に代わって前記ユーザの携帯電話機に対して送信するステップと、
前記ユーザが所有する携帯電話機の電話番号と一対一に対応する口座を管理する金融機関から前記サービスの代金の引き落としができなかった旨のデータを受信した場合、前記ユーザの携帯電話機に対して、代金支払の督促を示すデータを含む電子メールを送信するステップと、
前記ユーザの携帯電話機から、前記サービスの代金の立替払いの要求を示すデータを受信した場合、特定の口座から前記事業者の口座に対して、前記サービスの代金に対応する送金を行なうステップと、
前記ユーザの携帯電話機に対して、前記サービスの代金を請求するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする代金回収方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−108221(P2011−108221A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147620(P2010−147620)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(505354497)株式会社KDDIエボルバ (1)
【Fターム(参考)】