説明

サーバ装置および送信系統の切替方法

【課題】送信系統の切り替えの際に、通信品質の低下を低減させるとともに、正常動作までの時間を短縮することができるサーバ装置および送信系統の切替方法を提供する。
【解決手段】現用系と予備系とに二重化可能であって、1または複数の処理ユニットを含む一対のユニット部と、現用系と予備系とに二重化可能であって、一対のユニット部をそれぞれ制御可能であり、かつ、相互に監視可能な一対の主制御部と、を備え、主制御部は、現用系のユニット部に含まれる一の処理ユニット、または対をなす主制御部が故障したことを検知する検知手段と、現用系のユニット部に含まれる一の前記処理ユニット、または対をなす主制御部が故障したことを検知した場合、当該故障した処理ユニットと対をなす予備系の前記処理ユニット、または当該故障した主制御部と対をなす予備系の主制御部について現用系への切り替えを行う系切替手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、サーバ装置および送信系統の切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に放送局における番組送出システムでは、オンエア停止の事故などを防止して放送の信頼性を高めるため、送信系統を二重構成にした冗長化を行っている。
【0003】
より具体的には、番組送出システムには放送番組のコンテンツ(素材)を収録してオンエアに備えるビデオサーバが設けられており、ビデオサーバが現用系と予備系とに二重化されている。これらの現用系と予備系との2つのビデオサーバには、フロントスイッチ、主制御部、制御スイッチ、ストレージなどがそれぞれ備えられている。これらの現用系と予備系との2つのビデオサーバの各ストレージには、放送番組のベースバンドビデオ信号を圧縮符号化した圧縮符号化データをファイルにした同じコンテンツファイルが記憶蓄積(収録)されている。
【0004】
このように現用系と予備系との二重化構成でシステムを構成することで、現用系のビデオサーバに障害が発生した場合にシームレスに予備系のビデオサーバに切り替え、処理を継続できるようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−188731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術においては、例えば、現用系のビデオサーバのいずれかのユニット(フロントスイッチ、主制御部、制御スイッチなど)が故障した場合は、正常なユニットも含めて、全て、予備系のビデオサーバに切り替えられることになる。
【0007】
ところが、上述のような系の切り替えの際には、瞬断が全てのユニットで発生し、通信品質を低下させる上、予備系のビデオサーバの全てのユニットが現用系として、制御、監視が可能となるまでに時間を要する、という問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のサーバ装置は、放送番組のコンテンツの再生処理に用いられるものであって、前記再生処理を実行する現用系と当該現用系の予備に用いられる予備系とに二重化可能であって、1または複数の処理ユニットを含む一対のユニット部と、前記現用系と前記予備系とに二重化可能であって、前記一対のユニット部をそれぞれ制御可能であり、かつ、相互に監視可能な一対の主制御部と、を備え、前記主制御部は、前記現用系の前記ユニット部に含まれる一の前記処理ユニット、または対をなす前記主制御部が故障したことを検知する検知手段と、前記現用系の前記ユニット部に含まれる一の前記処理ユニット、または対をなす前記主制御部が故障したことを検知した場合、当該故障した処理ユニットと対をなす前記予備系の前記処理ユニット、または当該故障した前記主制御部と対をなす前記予備系の前記主制御部について前記現用系への切り替えを行う系切替手段と、を有する。
【0009】
また、実施形態の送信系統の切替方法は、放送番組のコンテンツ再生処理を実行する現用系と当該現用系の予備に用いられる予備系とに二重化可能であって1または複数の処理ユニットを含む一対のユニット部のうち、前記現用系の前記ユニット部に含まれる一の前記処理ユニット、または前記現用系と前記予備系とに二重化可能であって、前記一対のユニット部をそれぞれ制御可能であり、かつ、相互に監視可能な一対の主制御部のうち、前記現用系の前記ユニット部に含まれる一の前記処理ユニット、または対をなす前記主制御部が、故障したことを検知する検知工程と、前記現用系の前記ユニット部に含まれる一の前記処理ユニット、または対をなす前記主制御部が故障したことを検知した場合、当該故障した処理ユニットと対をなす前記予備系の前記処理ユニット、または当該故障した前記主制御部と対をなす前記予備系の前記主制御部について前記現用系への切り替えを行う切替工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施形態にかかる番組送出システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、復号装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、1系のユニットを現用系とした場合の動作例を示すブロック図である。
【図4】図4は、2系のユニットを現用系とした場合の動作例を示すブロック図である。
【図5】図5は、主制御部の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図6】図6は、第1の故障事例の動作を示すブロック図である。
【図7】図7は、第2の故障事例の動作を示すブロック図である。
【図8】図8は、第3の故障事例の動作を示すブロック図である。
【図9】図9は、両系の並列動作を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、実施形態にかかる番組送出システム100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、番組送出システム100は、放送番組のコンテンツ(素材)の再生処理に用いられるサーバ装置であるビデオサーバ1と、素材送出装置2と、プレビュースイッチ3と、モニタ4とを備えている。
【0012】
素材送出装置2は、放送番組のコンテンツ(素材)の送出装置であって、例えばスタジオ等に設置される複数台のテレビカメラや多数のVTR等である。素材送出装置2は、ビデオサーバ1に対して放送番組のコンテンツ(素材)である放送番組信号(ベースバンドビデオ信号)やファイルを送出する。
【0013】
ビデオサーバ1は、素材送出装置2から入力されるベースバンドビデオ信号を圧縮符号化して符号化ビデオデータに変換し、又は素材送出装置2から入力されるファイルに対するファイル処理を実行するエンコーダ/ファイル化部(図面ではエンコーダ、以下、ENCと略す。)11a〜11n、圧縮符号化データや処理したファイルをコンテンツファイルとして記憶する記憶装置であるストレージ21,31、またストレージ21,31から読出したコンテンツファイルの圧縮符号化データを通常のベースバンドビデオ信号に復号して出力する復号装置(デコーダ、以下、DECと省略する)12a〜12nを備えている。
【0014】
プレビュースイッチ3は、ビデオサーバ1から出力されるベースバンドビデオ信号をモニタ4に対して選択出力する。モニタ4は、プレビュースイッチ3が出力するビデオ信号を入力して表示する。
【0015】
次に、ビデオサーバ1について詳述する。図1に示すように、ビデオサーバ1は、内蔵されるマザーボード上に各種の処理ユニットを含む一対のユニット部5,6を設けており、1系のユニット部5と2系のユニット部6とに二重化されている。また、図1に示すように、ビデオサーバ1は、内蔵されるマザーボード上に一対の主制御部23,33を設けている。1系のユニット部5と2系のユニット部6とは、1系の主制御部23および2系の主制御部33によりそれぞれ制御可能である。
【0016】
1系のユニット部5に含まれる処理ユニットとしては、フロントスイッチ22、制御スイッチ24、ストレージ21などが備えられている。一方、2系のユニット部6に含まれる処理ユニットとしては、フロントスイッチ32、制御スイッチ34、ストレージ31などが備えられている。また、エンコーダ/ファイル化部11a〜11nおよびDEC12a〜12nも、1系のユニット部5または2系のユニット部6に含まれる処理ユニットである。
【0017】
各ストレージ21,31には、放送番組のベースバンドビデオ信号を圧縮符号化した圧縮符号化データ等をファイルにした同じコンテンツファイルが記憶蓄積(収録)される。なお、現用系のストレージに収録した圧縮符号化データ等のコンテンツファイルを、そのまま予備系のストレージに対してファイル転送するファイル転送コピー動作はマイグレーションと呼ばれるが、ここでの説明は省略する。
【0018】
1系の主制御部23は、マイクロコンピュータ構成であって、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)やプログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)、各種データを書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能するRAM(Random Access Memory)などを備えている。同様に、2系の主制御部33も、各部を制御するものであって、CPU、ROMやRAMを備えたマイクロコンピュータ構成である。
【0019】
また、1系の主制御部23および2系の主制御部33は、外部制御機器(図示せず)からの放送番組のコンテンツ(素材)の送出指示に従い、1系のストレージ21または2系のストレージ31のいずれからコンテンツを入力するか、また、目的のDEC12a〜12nに切り替えてコンテンツファイルを送出するかを切り替えるL2スイッチ(layer 2 switch)を備えている。
【0020】
エンコーダ/ファイル化部11a〜11nは、1系のフロントスイッチ22、2系のフロントスイッチ32の両系に対してデータを出力できるように、1系のフロントスイッチ22および2系のフロントスイッチ32に接続されている。
【0021】
1系のフロントスイッチ22および2系のフロントスイッチ32は、エンコーダ/ファイル化部11a〜11nで生成された圧縮符号化データや処理されたファイルであるコンテンツファイルを、ストレージ21,31のうちの目的のストレージ宛てに切り替えるL2スイッチ(layer 2 switch)を備えている。
【0022】
1系のストレージ21は、1系のフロントスイッチ22、2系のフロントスイッチ32、および1系の主制御部23、2系の主制御部33に接続されており、両系からアクセス可能となっている。
【0023】
同様に、2系のストレージ31も、1系のフロントスイッチ22、2系のフロントスイッチ32、および1系の主制御部23、2系の主制御部33に接続されており、両系からアクセス可能となっている。
【0024】
DEC12a〜12nは、1系の主制御部23、2系の主制御部33の両系からデータを入力できるように、1系の主制御部23および2系の主制御部33に接続されている。
【0025】
ここで、DEC12a〜12nについて詳述する。図2は、DEC12a〜12nの構成を示すブロック図である。図2に示すように、DEC12a〜12nには大きく分けると2種類のバッファがある。一方は、パケットを受信して後段で分解するためのデータバッファであるパケット受信バッファ51a,51bであり、他方は、再生時に再生データ(ベースバンドビデオ信号)を一時的に蓄えておくための再生バッファ52である。パケット受信バッファ51aは1系用であり、パケット受信バッファ51bは2系用である。制御スイッチI/F55は、1系の制御スイッチ24や2系の制御スイッチ34に接続されて、制御、監視、セレクタ53の制御を行う。
【0026】
例えば、1系のストレージ21または2系のストレージ31より1系の主制御部23および2系の主制御部33に同一の放送番組のコンテンツ(素材)を送信する場合において、現用系が1系である場合には、DEC12a〜12nは、1系用のパケット受信バッファ51aからのコンテンツファイルの圧縮符号化データをセレクタ53で選択して、復号部54で圧縮符号化データを通常のベースバンドビデオ信号に復号して再生バッファ52に一時的に蓄えるとともに、再生バッファ52内のベースバンドビデオ信号を、プレビュースイッチ3を介してモニタ4に対して出力して再生する。
【0027】
このような構成のDEC12a〜12nによれば、現用系が1系である場合における再生時において、1系の主制御部23や1系の制御スイッチ24が故障しても、DEC12a〜12nが制御スイッチI/F55から故障の系を判別して、瞬時にセレクタ53を切り替えることにより、2系のパケット受信バッファ51b内のコンテンツファイルから再生できるようになる。なお、2系が現用系の場合は、上記の逆の動作で同様な処理が可能である。
【0028】
1系の制御スイッチ24は、1系のフロントスイッチ22、1系のストレージ21、1系の主制御部23、エンコーダ/ファイル化部11a〜11n、DEC12a〜12nの制御通信路を構成し、放送番組のコンテンツ(素材)をストレージ21に収録する指示や収録された放送番組のコンテンツ(素材)をDEC12a〜12nや再びエンコーダ/ファイル化部11a〜11nに送出する指示を各処理ユニット間でやり取りする。なお、図1においては、1系の制御スイッチ24とエンコーダ/ファイル化部11a〜11nとは、互いに1で示すラインで接続されている。
【0029】
また、1系の制御スイッチ24は、2系のフロントスイッチ32、2系のストレージ31、2系の主制御部33とも接続されている。
【0030】
同様に、2系の制御スイッチ34は、2系のフロントスイッチ32、2系のストレージ31、2系の主制御部33、エンコーダ/ファイル化部11a〜11n、DEC12a〜12nの制御通信路を構成し、放送番組のコンテンツ(素材)をストレージ31に収録する指示や収録された放送番組のコンテンツ(素材)をDEC12a〜12nや再びエンコーダ/ファイル化部11a〜11nに送出する指示を各ユニット間でやり取りする。なお、図1においては、2系の制御スイッチ34とエンコーダ/ファイル化部11a〜11nとは、互いに2で示すラインで接続されている。
【0031】
また、2系の制御スイッチ34は、1系のフロントスイッチ22、1系のストレージ21、1系の主制御部23とも接続されている。
【0032】
加えて、1系の制御スイッチ24と2系の制御スイッチ34とが接続されている。このように1系の制御スイッチ24と2系の制御スイッチ34とを互いに接続することで、1系の主制御部23および2系の主制御部33は、1系の制御スイッチ24および2系の制御スイッチ34を介して相互に監視可能な構成になっている。
【0033】
ここで、1系のユニットを現用系とした場合の動作について図3を参照しつつ説明する。図3に示すように、素材送出装置2から送出されたベースバンドビデオ信号やファイルはエンコーダ/ファイル化部11a〜11nに入力され、ファイルの場合はファイル処理、ベースバンドビデオ信号の場合は圧縮符号化して符号化ビデオデータに変換される。なお、どのエンコーダ/ファイル化部11a〜11nを入力系統とするかについては、現用系である1系の主制御部23が1系の制御スイッチ24を介してエンコーダ/ファイル化部11a〜11nを監視し、未使用中のエンコーダ/ファイル化部11a〜11nを割り当てるようにする。また、予め、エンコーダ/ファイル化部11a〜11nの使用割当をスケジューリングするようにしても良い。
【0034】
エンコーダ/ファイル化部11a〜11nで生成された圧縮符号化データや処理されたファイルであるコンテンツファイルは、1系のフロントスイッチ22に入力され、フロントスイッチ22のL2スイッチによりストレージ21,31のうちの目的のストレージ宛て(ここでは、1系のストレージ21)に切り替えて出力する。1系のストレージ21は、放送番組のベースバンドビデオ信号を圧縮符号化した圧縮符号化データ等をファイルにしたコンテンツファイルを記憶蓄積(収録)する。
【0035】
その後、外部制御機器(図示せず)から1系の主制御部23に対して、必要な時間に目的の放送番組のコンテンツ(素材)の送出指示が届くと、主制御部23は、1系のストレージ21より主制御部23のL2スイッチにより目的のDEC12a〜12nに切り替えて、コンテンツファイルを送出する。つまり、外部制御機器(図示せず)から指示されたDEC12a〜12nが出力系統として割り当てられる。
【0036】
上述したような動作は、図4に示すように、2系のユニットを現用系とした場合も同様に動作することができる。そして、1系を現用系とした場合には、2系は予備系として動作し、2系を現用系とした場合には、1系が予備系として動作する。
【0037】
次に、ビデオサーバ1の現用系におけるいずれかのユニット(フロントスイッチ、主制御部、制御スイッチなど)が故障した場合における予備系への切り替え動作について、事例を挙げて説明する。
【0038】
このような現用系から予備系への切り替え動作は、1系の主制御部23および2系の主制御部33における動作により実現される。より具体的には、1系の主制御部23および2系の主制御部33においては、ROM内のプログラムが起動するとCPUが、図5に示すように、検知手段60と、系切替手段70と、として機能することによって、現用系から予備系への切り替え動作を実現する。
【0039】
まず、第1の故障事例として現用系である1系の主制御部23が故障した場合の動作について図6を参照しつつ説明する。
【0040】
図6に示すように、現用系である1系の主制御部23が故障した場合、1系の主制御部23が故障したことを2系の主制御部33の検知手段60が検知する。1系の主制御部23が故障したことを検知した2系の主制御部33の系切替手段70は、自身を現用系とする。すなわち、1系の主制御部23が故障すると、2系の主制御部33が現用系になり、1系のフロントスイッチ22、1系のストレージ21、1系の制御スイッチ24はそのまま動作を継続する。このようにすることで、1系の制御スイッチ24は、1系のフロントスイッチ22、1系のストレージ21、2系の主制御部33、エンコーダ/ファイル化部11a〜11n、DEC12a〜12nの制御通信路を構成する。
【0041】
制御通信路は、図6において破線で示すように、1系の制御スイッチ24と2系の主制御部33の系統が再構築されることにより制御通信が可能となり、1系のストレージ21に蓄積された放送番組のコンテンツ(素材)は、図6において実線で示す経路でDEC12a〜12nに送出される。
【0042】
なお、ストレージ21,31とDEC12a〜12nは両系と接続されているので、切替は瞬時に動作し、1系のフロントスイッチ22、1系の制御スイッチ24については切替動作をせず、故障箇所のみの系の切替えで済むとともに、DEC12a〜12nのパケット受信バッファ51a,51b内のデータにより再生を継続することから、通信の障害時間を最短に抑えることができる。
【0043】
次に、第2の故障事例として現用系である1系のフロントスイッチ22が故障した場合の動作について図7を参照しつつ説明する。
【0044】
図7に示すように、現用系である1系のフロントスイッチ22が故障した場合、1系のフロントスイッチ22が故障したことを1系の制御スイッチ24を介して1系の主制御部23の検知手段60が検知する。1系のフロントスイッチ22が故障したことを検知した1系の主制御部23の系切替手段70は、2系のフロントスイッチ32を現用系とする。すなわち、1系のフロントスイッチ22が故障すると、2系のフロントスイッチ32が現用系になり、1系のストレージ21、1系の主制御部23、1系の制御スイッチ24はそのまま動作を継続する。このようにすることで、1系の制御スイッチ24は、2系のフロントスイッチ32、1系のストレージ21、1系の主制御部23、エンコーダ/ファイル化部11a〜11n、DEC12a〜12nの制御通信路を構成する。
【0045】
制御通信路は、図7において破線で示すように、1系の制御スイッチ24と2系のフロントスイッチ32の系統が再構築されることにより、制御通信が可能となる。収録動作はリアルタイムで実施しないため、故障時の収録は図7において実線で示す経路で再実行する。
【0046】
本方式によれば、故障時に該当箇所以外の系の切替えを実施しないことから、1系のストレージ21から1系の主制御部23を経由してDEC12a〜12nで再生中に1系のフロントスイッチ22が故障しても、再生が乱れることはない。
【0047】
次に、第3の故障事例として現用系である1系の制御スイッチ24が故障した場合の動作について図8を参照しつつ説明する。
【0048】
図8に示すように、1系の主制御部23からの生存監視信号に対して、エンコーダ/ファイル化部11a〜11n、1系のフロントスイッチ22、DEC12a〜12n、2系の制御スイッチ34から応答がない場合、1系の主制御部23の検知手段60が現用系である1系の制御スイッチ24が故障したことを検知する。1系の制御スイッチ24が故障したことを検知した1系の主制御部23の系切替手段70は、2系の制御スイッチ34を現用系とする。すなわち、1系の制御スイッチ24が故障すると、2系の制御スイッチ34が現用系になり、1系のフロントスイッチ22、1系のストレージ21、1系の主制御部23はそのまま動作を継続する。このようにすることで、2系の制御スイッチ34は、1系のフロントスイッチ22、1系のストレージ21、1系の主制御部23、エンコーダ/ファイル化部11a〜11n、DEC12a〜12nの制御通信路を構成する。
【0049】
制御通信路は、図8において破線で示すように、2系の制御スイッチ34と1系のフロントスイッチ22、1系のストレージ21、1系の主制御部23の系統が再構築されることにより、制御通信が可能となる(エンコーダ/ファイル化部11a〜11n、DEC12a〜12nも同様)。
【0050】
なお、上述した図6〜図8に示した第1〜第3の故障事例の動作説明は、1系が現用系、2系が予備系のときの説明であったが、2系が現用系、1系が予備系のときは、正反対の動作になる(説明は省略する)。
【0051】
このように本実施形態によれば、現用系と予備系とに二重化可能であって、1または複数の処理ユニット(フロントスイッチ、制御スイッチなど)を含む一対のユニット部と、現用系と予備系とに二重化可能であって、一対のユニット部をそれぞれ制御可能であり、かつ、相互に監視可能な一対の主制御部とを備え、現用系のユニット部に含まれる一の処理ユニット、または対をなす主制御部が故障したことを検知した場合、当該故障した処理ユニットと対をなす予備系の処理ユニット、または当該故障した主制御部と対をなす予備系の主制御部について現用系への切り替えを行うようにした。これにより、一方の系のいずれかの処理ユニット(フロントスイッチ、制御スイッチなど)または対をなす主制御部が故障した場合は、異常な処理ユニットまたは対をなす主制御部だけを系切替し、正常な処理ユニットまたは主制御部は、そのまま運用することにより、系変化が特定の処理ユニットの瞬断だけとなり、通信品質の低下を低減させるとともに、制御、監視が可能となるまでの時間は系切替した処理ユニットまたは対をなす主制御部だけとなるので、正常動作までの時間を短縮することができる。
【0052】
なお、系切替手段70は、故障時における該当箇所の系の切替えを、GOP(Group Of Pictures)単位で行う。これにより、系の切替えを行っても画面が途切れることを防ぐことができるようになる。
【0053】
次に、ビデオサーバ1の動作の他の事例について説明する。ここでは、1系と2系の両系の並列動作した場合の動作について図9を参照しつつ説明する。このような1系と2系の両系の並列動作は、1系の主制御部23および2系の主制御部33における動作により実現される。より具体的には、1系の主制御部23および2系の主制御部33においては、ROM内のプログラムが起動するとCPUが、図5に示すように、並列動作手段80として機能することによって、1系と2系の両系の並列動作を実現する。
【0054】
上述したように、両系のフロントスイッチ22,32、ストレージ21,31、両系の主制御部23,33、両系の制御スイッチ24,34を接続する配線は、マザーボードで布線されている。したがって、二重化と同一構成のままで、装置起動時に両系の並列動作への切り替えを指示すれば、主制御部23,33の並列動作手段80によって両系は個別に動作し、2倍の処理能力を実現できる。また、ハードウェアの変更なしに負荷が両系に分散するので、インタフェースの収容数を増大することができ、処理パフォーマンスも向上する。
【0055】
なお、並列運転時においても、両系のフロントスイッチ22,32、両系の主制御部23,33、両系の制御スイッチ24,34のいずれかが故障したときは、前述したように、故障箇所のみ他方の系のユニットが動作し、運用を継続することができる。
【0056】
本実施形態のビデオサーバ1の1系の主制御部23または2系の主制御部33で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0057】
さらに、本実施形態のビデオサーバ1の1系の主制御部23または2系の主制御部33で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のビデオサーバ1の1系の主制御部23または2系の主制御部33で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0058】
本実施形態のビデオサーバ1の1系の主制御部23または2系の主制御部33で実行されるプログラムは、上述した各部(検知手段60、系切替手段70、並列動作手段80)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、検知手段60、系切替手段70、並列動作手段80が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 サーバ装置
5,6 ユニット部
11a〜11n 処理ユニット
12a〜12n 復号装置、処理ユニット
21,22,24 処理ユニット
23,33 主制御部
31,32,34 処理ユニット
51a,51b データバッファ
60 検知手段
70 系切替手段
80 並列動作手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送番組のコンテンツの再生処理に用いられるものであって、前記再生処理を実行する現用系と当該現用系の予備に用いられる予備系とに二重化可能であって、1または複数の処理ユニットを含む一対のユニット部と、
前記現用系と前記予備系とに二重化可能であって、前記一対のユニット部をそれぞれ制御可能であり、かつ、相互に監視可能な一対の主制御部と、
を備え、
前記主制御部は、
前記現用系の前記ユニット部に含まれる一の前記処理ユニット、または対をなす前記主制御部が故障したことを検知する検知手段と、
前記現用系の前記ユニット部に含まれる一の前記処理ユニット、または対をなす前記主制御部が故障したことを検知した場合、当該故障した処理ユニットと対をなす前記予備系の前記処理ユニット、または当該故障した前記主制御部と対をなす前記予備系の前記主制御部について前記現用系への切り替えを行う系切替手段と、
を有する、
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記処理ユニットの1つは、前記現用系と前記予備系とに二重化可能であって同一のコンテンツファイルを格納する一対のデータバッファを有して、前記データバッファ内のコンテンツファイルをベースバンドビデオ信号に復号する復号装置であり、
前記復号装置は、前記系切替手段による前記予備系から前記現用系への切り替えの際に、前記現用系の前記データバッファから前記予備系の前記データバッファに切り替える、
ことを特徴とする請求項1記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記処理ユニットの1つは、他の前記処理ユニット間の制御通信路を構成する一対の制御スイッチであって、前記現用系の制御スイッチと前記予備系の制御スイッチとは互いに接続されており、
前記現用系の主制御部と前記予備系の主制御部とは、前記一対の制御スイッチを介して相互に監視可能な構成になっている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記予備系の前記ユニット部および前記主制御部について、前記現用系の前記ユニット部および前記主制御部と並列に動作させるように切り替える並列動作手段を更に有する、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記系切替手段は、故障時における該当箇所の系の切替えは、GOP(Group Of Pictures)単位で行う、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のサーバ装置。
【請求項6】
放送番組のコンテンツ再生処理を実行する現用系と当該現用系の予備に用いられる予備系とに二重化可能であって1または複数の処理ユニットを含む一対のユニット部のうち、前記現用系の前記ユニット部に含まれる一の前記処理ユニット、または前記現用系と前記予備系とに二重化可能であって、前記一対のユニット部をそれぞれ制御可能であり、かつ、相互に監視可能な一対の主制御部のうち、前記現用系の前記ユニット部に含まれる一の前記処理ユニット、または対をなす前記主制御部が、故障したことを検知する検知工程と、
前記現用系の前記ユニット部に含まれる一の前記処理ユニット、または対をなす前記主制御部が故障したことを検知した場合、当該故障した処理ユニットと対をなす前記予備系の前記処理ユニット、または当該故障した前記主制御部と対をなす前記予備系の前記主制御部について前記現用系への切り替えを行う切替工程と、
を含む、
ことを特徴とする送信系統の切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−65968(P2013−65968A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202324(P2011−202324)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】