説明

サービス用資料検索システム

【課題】以前に保守サービスを行った際にモバイルPCにダウンロードされたドキュメントに含まれる機種であればサービス員が一旦事務所に戻ることなく今回の保守サービスの対象の冷熱機器の技術資料を確認できるサービス用資料検索システムを提供する。
【解決手段】サービス用資料検索システムでは、ドキュメントには記載されている冷熱機器の形名を含むドキュメント情報が記載され、モバイルPC(2)は、ダウンロードされたドキュメントに技術資料が記載されている冷熱機器の形名を含むドキュメント情報が格納される第2の検索データベース(12)、ドキュメントがダウンロードされたときドキュメント情報を読み取り第2の検索データベースに格納するドキュメント情報読取格納手段(13)、および、キー情報を用いて第2の検索データベースを検索することによりモバイルPCにある技術資料を確認する形名検索表示手段(14)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷熱機器の保守サービスを行うときに使用する資料を検索するサービス用資料検索システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷熱機器の点検や故障時の修理など保守サービスを現場で行うとき、サービス員はその冷熱機器についての技術資料を持参しなければ作業を始めることができない。そこで、サービス員は、事前に技術資料を格納されているサーバを検索し該当するファイルを携行可能なモバイルPCにコピーするか、紙に印刷して準備する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−105565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷熱機器は、旧型から最新機種まで種々雑多であり、年々増加の一途を辿っており、A4サイズ換算で約30万枚もの資料が保管されている。そして、当初は20〜30機種の技術資料を紙に印刷して1つの冊子としてサービス員が持ち運べるように工夫されていたので、電子ドキュメント化した今でも冊子に付加されたドキュメント名からは機種を読み出すことはできない。
そこで、サーバで技術資料を検索するとき冷熱機器の形名などをキー情報としてドキュメント名を検索するために、検索データベースに冷熱機器の形名とドキュメント名が関連付けて格納されている。
【0005】
しかし、保守サービスの対象の冷熱機器は少し異なった機種が多量にあり、一般の人が現場で確認しようとしても分からない場合が多々あり、電話などで機種を教えてもらおうとしても難しいという問題がある。
また、モバイルPCには検索機能がないので、モバイルPCに既にコピーされているドキュメントに含まれる機種であってもサービス員が確認のために一旦事務所に戻らなければならないという問題がある。
【0006】
この発明の目的は、以前に保守サービスを行った際にモバイルPCにダウンロードされたドキュメントに含まれる機種であればサービス員が一旦事務所に戻ることなく今回の保守サービスの対象の冷熱機器の技術資料を確認できるサービス用資料検索システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るサービス用資料検索システムは、複数の冷熱機器の技術資料が一冊のドキュメントとしてまとめられて格納される資料データベース、上記冷熱機器毎の形名が他の上記ドキュメントに係る情報と合わさってドキュメント情報として格納される第1の検索データベース、外から入力されるキー情報により上記第1の検索データベースを検索し該キー情報に適合する上記ドキュメント情報を抽出し資料選択画面としてモニタに出力する形名検索出力手段、および上記モニタに表示された資料選択画面の該当する形名が選択されたとき該当する形名により上記資料データベースを検索し上記ドキュメントを抽出し出力するドキュメント検索出力手段を有するサーバと、上記ドキュメントがダウンロードされるモバイルPCと、を備えるサービス用資料検索システムにおいて、上記ドキュメントには、中に上記技術情報が記載されている冷熱機器の上記ドキュメント情報が記載され、上記モバイルPCは、上記サーバからダウンロードされた上記ドキュメントに記載されている冷熱機器の上記ドキュメント情報が格納される第2の検索データベースと、上記ドキュメントが上記サーバからダウンロードされたとき当該ドキュメントに記載された上記ドキュメント情報を読み取り上記第2の検索データベースに格納するドキュメント情報読取格納手段と、外から入力されるキー情報により上記第2の検索データベースを検索し該キー情報に適合する上記ドキュメント情報を抽出し資料選択画面としてディスプレイに表示する形名検索表示手段と、上記ディスプレイに表示された資料選択画面の該当する形名が選択されたとき該当する上記ドキュメントをディスプレイに表示するドキュメント表示手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るサービス用資料検索システムの効果は、以前にモバイルPCにダウンロードしたことのあるドキュメントに技術資料が含まれる冷熱機器の形名がドキュメントの資料名と関係付けられて第2の検索データベースに格納されており、新たに技術資料が必要な冷熱機器の形名をキー情報として用いて第2の検索データベースを検索することによりサービス員が携行しているモバイルPCに既に新たに必要な技術資料が記憶されているか否かを現地で判断することができることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、この発明を実施するための形態によるドキュメントの裏表紙に記載されているドキュメント情報の一例である。
この発明を実施するための形態によるサービス用資料検索システムでは、複数の冷熱機器の技術資料が一冊のドキュメントとしてまとめられている。そして、冷熱機器の技術資料は、コンピュータ上の電子ドキュメントを扱うためのファイルフォーマットのファイルであり、例えば、ファイルフォーマットとしてはPortable Document Format(以下、「PDF」と略称する)が一般的に利用される。そこで、以下の説明では技術資料はPDFファイルであるとして説明する。
そして、ドキュメントには表裏表紙が付けられ、資料データベースに格納されている。なお、技術資料の内容は冷熱機器の構造、回路図など一般的な内容であるので、説明は省略する。
【0010】
ドキュメントの裏表紙には、図1に示すように、ドキュメント情報がマークアップ言語、例えば、Extensible Markup Language(以下、「XML」と略称する)で記載されている。ドキュメント情報としては、本ドキュメントを製作した製作所、発行年度、発行月、発行番号、資料名、本ドキュメントに含まれる冷熱機器の特徴、本ドキュメントの総頁数、および本ドキュメントに含まれる冷熱機器の形名が記載されている。通常1つのドキュメントには数十形名分の技術資料が記載されている。
【0011】
図2は、この発明を実施するための形態によるサービス用資料検索システムの構成図である。
この発明を実施するための形態によるサービス用資料検索システムは、サーバ1とモバイルPC2から構成される。なお、説明を簡単にするためにモバイルPC2は1個として説明するが実際はサービス員が利用する数だけ必要となる。
サーバ1のハードウエア構成は、一般的であるので図示を省略するが、CPU、ROM、RAMおよびインタフェース回路からなるコンピュータ、外部大容量記憶装置、モニタ、キーボードおよびマウスを備える。また、モバイルPC2のハードウエア構成は、一般的であるので図示を省略するが、CPU、ROM、RAMおよびインタフェース回路からなるコンピュータ、外付け記憶媒体、小型ディスプレイおよびキーボードを備える。
【0012】
サーバ1は、PDFファイルである複数の冷熱機器の技術資料が一冊の電子ドキュメントとしてまとめられて格納される資料データベース4、冷熱機器毎の形名が製作所名、発行年月日、発行番号、総頁、および資料名と関連付けられて格納される第1の検索データベース5、外から入力されるキー情報により第1の検索データベース5を検索しキー情報に該当する形式を製作所名、発行年度、発行月、発行番号、総頁、資料名に関連付けて抽出し資料選択画面としてモニタに出力する形名検索出力手段6、および、モニタに表示された資料選択画面の該当する形名が選択され入力されたとき該当する形名により資料データベース4を検索しドキュメントをモニタに出力するドキュメント検索出力手段7を有する。
【0013】
モバイルPC2は、ダウンロードされたドキュメントが記憶されるメモリ部11、サーバ1からダウンロードされたドキュメントに含まれるドキュメント情報が格納される第2の検索データベース12、ドキュメントがサーバからダウンロードされたとき当該ドキュメントに記載されたドキュメント情報を読み取り第2の検索データベース12に格納するドキュメント情報読取格納手段13、外から入力されるキー情報により第2の検索データベース12を検索しキー情報に適合する形式を製作所名、発行年度、発行月、発行番号、総頁、資料名に関連付けて抽出し資料選択画面としてディスプレイに出力する形名検索表示手段14、およびディスプレイに表示された資料選択画面の該当する形名が選択されたとき該当するドキュメントをディスプレイに表示するドキュメント表示手段15を有する。
【0014】
次に、サービス員がサービスに出向くのに先立って事務所で必要な技術資料をサーバ1からモバイルPC2にダウンロードする手順について説明する。図3は、サーバのモニタに表示される開始画面である。
サービス員がサーバ1に接続したモバイルPC2を立ち上げると開始画面がモニタに表示される。開始画面には、図3に示すように形名、製作所名、発行年月を入力する欄が表示されるので、サービス員はカーソルを入力する欄に合わせてクリックし、技術資料を必要とする冷熱機器のキー情報を入力し、GOアイコンをクリックする。
形名検索出力手段6は、入力されたキー情報により第1の検索データベース5を検索しキー情報に関連する形式を製作所名、発行年月日、発行番号、総頁、資料名に関連付けて抽出し資料選択画面としてモニタに出力する。資料選択画面には、図4に示すように、キー情報に関連する形名、製作所名、発行年月、発行番号、総頁、資料名が表形式で表示される。
【0015】
サービス員は、技術資料が必要な形名で資料選択画面の形名を選択しクリックする。
ドキュメント検索出力手段7は、選択された形名の技術資料を含んだドキュメントをモニタにPDFファイルとして表示する。
サービス員は、表示されたドキュメントに必要な技術資料が含まれていることを確認してモバイルPC2にドキュメントのPDFファイルをダウンロードする。
このようにして現地でのサービスを行う上で必要な技術資料をモバイルPC2にダウンロードすることができる。
【0016】
次に、上述のようにしてドキュメントをモバイルPC2にダウンロードしたときモバイルPC2のドキュメント情報読取格納手段13がダウンロードされたドキュメントからドキュメント情報を読み取り、第2の検索データベース12に格納する手順について説明する。
ドキュメント情報読取格納手段13は、ドキュメントがダウンロードされる度に裏表面にXMLで記載されているドキュメント情報を読み取る。
すなわち、開始タグおよび終了タグから項目を読み取り、開始タグと終了タグに挟まれたテキストを項目の内容とする。例えば、図1に示す例の場合、一列名から項目が製作所で冷熱システム製作所が内容を読み取ることができる。二列名以降も同様に項目が発行年度、発行月、発行番号、資料名、特徴、総ページとして読み取ることができ、各項目の内容として1990、7、R3H006、サービスハンドブック、店舗用(室外機PUH−200・250EKD、28と読み取ることができる。また、形名の項目では75個の形名を読み取ることができる。ゆえに、発行番号R3H006のサービスハンドブックには75個の技術資料が記載されていることが読み取れる。
ドキュメント情報読取格納手段13は、読み取った形名毎に製作所名、発行年月、発行番号、総頁数、資料名を第2の検索データベース12に格納する。
【0017】
次に、形名から必要とする技術資料が記載されているドキュメントのモバイルPC2での有無を判断する手順について説明する。
サービス員がモバイルPC2を起動し技術資料の有無の確認メニュを立ち上げるとキー情報入力画面がディスプレイに表示される。キー情報入力画面には、図5に示すように形名、製作所名、発行年月を入力する欄が表示されるので、サービス員はカーソルを入力する欄に合わせてクリックし、技術資料を必要とする冷熱機器のキー情報を入力し、RETURNキーを押下する。
形名検索表示手段14は、入力されたキー情報により第2の検索データベース12を検索しキー情報に関連する形式を製作所名、発行年月日、発行番号、総頁、資料名に関連付けて抽出し資料選択画面としてディスプレイに表示する。資料選択画面には、図6に示すように、キー情報に関連する形名、製作所名、発行年月、発行番号、総頁、資料名が表形式で表示される。
ドキュメント表示手段15は、選択された形名の技術資料を含んだドキュメントをディスプレイにPDFファイルとして表示する。サービス員は、ディスプレイに表示された技術資料に基づいて保守サービスを実行する。
【0018】
このように以前にモバイルPC2にダウンロードしたことのあるドキュメントに技術資料が含まれる冷熱機器の形名がドキュメントの資料名と関係付けられて第2の検索データベース12に格納されており、新たに技術資料が必要な冷熱機器の形名をキー情報として用いて第2の検索データベース12を検索することによりサービス員が携行しているモバイルPC2に既に新たに必要な技術資料が記憶されているか否かを現地で判断することができる。
【0019】
特に、冷熱機器の機種の分布は地域差があり、以前にサービスを行った冷熱機器と同じ機種または類似の機種がその地域で使用されている場合が多く、以前にモバイルPC2にダウンロードしたことのあるドキュメントに新たに必要な技術資料が含まれている可能性が高いので、第2の検索データベース12を検索するだけで良く、サーバ1で検索する手間が省ける。
【0020】
なお、モバイルPC2を通信回線を介してサーバ1に接続し、サーバ1の形名検索出力手段6およびドキュメント検索出力手段7により必要とする技術資料が含まれるドキュメントを通信回線を介してダウンロードしても良いが、この発明のようにモバイルPC2に既にダウンロードされていた技術資料の有無を確認してから技術資料が無いときだけサーバ1から通信回線を介してダウンロードすれば良いので、サーバ1への無駄なアクセスを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明を実施するための形態によるドキュメントの裏表紙に記載されているドキュメント情報の一例である。
【図2】この発明を実施するための形態によるサービス用資料検索システムの構成図である。
【図3】サーバのモニタに表示される開始画面である。
【図4】サーバのモニタに表示される資料選択画面である。
【図5】モバイルPCのディスプレイに表示されるキー情報入力画面である。
【図6】モバイルPCのディスプレイに表示される資料選択画面である。
【符号の説明】
【0022】
1 サーバ、2 モバイルPC、4 資料データベース、5 第1の検索データベース、6 形名検索出力手段、7 ドキュメント検索出力手段、11 メモリ部、12 第2の検索データベース、13 ドキュメント情報読取格納手段、14 形名検索表示手段、15 ドキュメント表示手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の冷熱機器の技術資料が一冊のドキュメントとしてまとめられて格納される資料データベース、上記冷熱機器毎の形名が他の上記ドキュメントに係る情報と合わさってドキュメント情報として格納される第1の検索データベース、外から入力されるキー情報により上記第1の検索データベースを検索し該キー情報に適合する上記ドキュメント情報を抽出し資料選択画面としてモニタに出力する形名検索出力手段、および上記モニタに表示された資料選択画面の該当する形名が選択されたとき該当する形名により上記資料データベースを検索し上記ドキュメントを抽出し出力するドキュメント検索出力手段を有するサーバと、上記ドキュメントがダウンロードされるモバイルPCと、を備えるサービス用資料検索システムにおいて、
上記ドキュメントには、中に上記技術情報が記載されている冷熱機器の上記ドキュメント情報が記載され、
上記モバイルPCは、
上記サーバからダウンロードされた上記ドキュメントに記載されている冷熱機器の上記ドキュメント情報が格納される第2の検索データベースと、
上記ドキュメントが上記サーバからダウンロードされたとき当該ドキュメントに記載された上記ドキュメント情報を読み取り上記第2の検索データベースに格納するドキュメント情報読取格納手段と、
外から入力されるキー情報により上記第2の検索データベースを検索し該キー情報に適合する上記ドキュメント情報を抽出し資料選択画面としてディスプレイに表示する形名検索表示手段と、
上記ディスプレイに表示された資料選択画面の該当する形名が選択されたとき該当する上記ドキュメントをディスプレイに表示するドキュメント表示手段と、
を有することを特徴とするサービス用資料検索システム。
【請求項2】
上記ドキュメント情報は、マークアップ言語により上記ドキュメントに記載されていることを特徴とする請求項1に記載のサービス用資料検索システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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