説明

サーマルプリンタおよびその制御方法

【課題】 1つの画像を複数の画像に分割して印刷するワイド印画時において、分割した画像間の濃度差を緩和できるサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】 1つの画像を複数の組のインクを用いて印刷する際に、2組目以降の組のインクを用いて印刷するときには、前回のインクの組を用いて印刷した画像の画像データに基づいて、サーマルヘッドのプレヒートを行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサーマルプリンタに関し、特に1つの画像を複数の組のインクを用いて印刷するサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルヘッドをインクシートに押圧しながら発熱させて、昇華したインクを印刷用紙に転写させることで画像を形成する昇華型熱転写式のプリンタがある。図6に、昇華型熱転写式のサーマルプリンタ使用するインクシートの構成を示す。インクシートには複数色のインクが順に塗布されており、図6で示すようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、オーバーコート (OC)の各インク層が一面ずつ順番に並べて配置されている。また、各インク層の先頭にはインク先頭検出センサが検出するための頭出しマーカーが設けられている。1回の印画処理は印刷用紙に対してY、M、C、OCの1組のインクを転写させるため、転写を4回繰返すことで完了する。また、1回の印画処理で印画可能なサイズはY、M、C、OC各層の一面サイズで印刷可能なサイズとなるためインク一面の大きさによって規定されており、これを定形サイズとする。このようなプリンタにおいて、通常印画とワイド印画を選択できるものが知られている。通常印画では、印画する画像の印画サイズを定形サイズまたは定型サイズ以下に設定し、1回の印画処理(1組分のインクを用いた印画処理)で印画を行う。一方、ワイド印画では、印画する画像の印画サイズをインクシート送り方向に対して定形サイズを超えた長尺なサイズに設定し、複数回の印画処理(複数組のインクを用いた印画処理)で印画を行う。図7に通常印画時とワイド印画時の印画例を示す。図7のワイド印画では印画サイズを定形サイズの2倍のサイズに設定した場合の印画例を示している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−160852
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここでワイド印画時は1つの画像を複数回の印画処理に分割するため、分割した画像間の境界線前後でサーマルヘッドの発熱状態が不連続になり、濃度差が発生し境界線が目立ってしまうという課題がある。
【0005】
そこで本発明では、1つの画像を複数回の印画処理に分割し多場合であっても、境界線前後でサーマルヘッドの発熱状態が不連続にならないようなサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のサーマルプリンタは、複数色のインクが繰り返し配置されたインクシートを用いて印刷用紙に画像を印刷するサーマルプリンタであって、複数色のインクの1組を用いて画像を印刷用紙に印刷するための印画処理を実行するサーマルヘッドと、複数回の印画処理を繰り返すことにより1つの画像を印刷する場合に、2回目以降の印画処理のときに、前回の印画処理時のデータに基づいて、サーマルヘッドによるプレヒートを実行させるための制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によればワイド印画時において分割した画像間の濃度差を緩和できるサーマルヘッドのプレヒート手段を備え、ワイド印画時の画質を向上させることが可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態におけるサーマルプリンタの処理フローチャート
【図2】第1の実施形態におけるプリントシステム
【図3】第1の実施形態におけるサーマルプリンタの構成を示すブロック図
【図4】第1の実施形態におけるサーマルプリンタの側面から見た構成模式図
【図5】第2の実施形態におけるサーマルプリンタの処理フローチャート
【図6】サーマルプリンタのインクシート構成図
【図7】通常印画設定とワイド印画設定
【図8】ワイド印画時の画像分割境界線における濃度特性
【図9】第1の実施形態におけるサーマルプリンタの処理フローチャート
【図10】第2の実施形態におけるサーマルプリンタの処理フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
なお、本発明のサーマルプリンタは、前述したような定型サイズ、または定型サイズ以下の通常印画と定型サイズより大きいまたは長尺なサイズのワイド印画を選択して印刷が可能なプリンタで、図6のようなインクシートを使用したプリンタである。ここで、定形サイズは1回の印画処理で印画可能なサイズであるY、M、C、OC各層の一面サイズによって規定されており、使用するインクカセット404の種類によって異なる。
【0011】
[第1の実施形態]
以下、図1から図4を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
【0012】
図2に本実施形態における昇華型熱転写式のプリンタを用いたプリントシステムの構成を示す。
【0013】
図2のプリントシステムにおいては、デジタルカメラ(以下、単に「カメラ」)201で撮影したJPEG圧縮画像をJPEGファイルのままUSBケーブル202経由で昇華型熱転写式のサーマルプリンタ(以下、単に「印刷装置」)203に送出する。また、複合カードスロット204にコンパクトフラッシュメモリー(CF)(登録商標)、SDメモリーカード(SD)(登録商標)、メモリースティック(MS)(登録商標)等のカード型記録媒体を挿入できる。複合カードスロット204に挿入されたカード型記録媒体に保存されているJPEG圧縮画像が印刷装置203に送出される。送出されたJPEG圧縮画像は、印刷装置203内でJPEGファイルの伸長、リサイズおよびイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色から成るYMCデータ作成等の画像処理を行った後、用紙上に印画出力される。液晶表示装置(LCD)205にはカメラ201やカード型記録媒体から送出されたJPEG圧縮画像や装置の操作メニューが表示される。各種スイッチ206は、本装置の電源スイッチや、画像選択、印刷設定の操作を行うための操作部材である。
【0014】
図3に印刷装置203において画像データを印刷するための構成を示すブロック図を示す。図中305は印刷装置203のシステム制御や演算処理を司るCPU(中央処理装置)である。306はカメラ201から送られてきたJPEG圧縮画像、カード型記録媒体から取得したJPEG圧縮画像を処理や、画像の回転、リサイズ、変換等の画像処理を実行するための画像処理エンジン等からなる画像処理部である。画像処理部306において、カメラ側から送信されたJPEG圧縮画像、またはカード型記録媒体から取得したJPEG圧縮画像に対する伸長、色変換、画像補正、リサイズ、回転等の各種画像処理が行われる。そして、その後、サーマルヘッド303で画像を印刷するための印刷データとして、YMCデータが作られる。ここで、YMCデータとは、画像処理後の印刷対象の画像データに基づいて作成される印刷用のデータで、Y,M,C各色用にそれぞれ作成されたYデータ、Mデータ、Cデータのことである。311は印刷装置203のシステム制御用プログラムを格納するFlash ROM、312はJPEG圧縮画像の一時保存およびデータ処理の作業用に用いるSDRAMである。CPU305はFlash ROM311から読み出したプログラムに基づいて各ブロックの制御や演算処理を行うことにより後述の処理を実行させる。314はJPEG圧縮画像が保存されているカード型記録媒体、313はカード型記録媒体314を印刷装置203に装着するためのカードコネクタである。316は印刷装置203での撮影画像や操作メニューを表示するLCD(液晶表示装置(LCD)205に対応している)、315はLCDを駆動するためのLCDドライバである。また、307は通信制御部であり、接続されるカメラ201との通信を制御する。308は操作部であり(図2の各種スイッチ206に対応している)、ユーザによる指示入力が行われる。304はサーマルヘッド制御部、303はサーマルヘッドであり、画像処理部306で変換されたYMCデータはサーマルヘッド制御部304に転送され、サーマルヘッド303を通電するためのラインデータに変換される。サーマルヘッド303はシフトレジスタ317、ラッチ回路318、発熱抵抗体319を備える。シフトレジスタ317はサーマルヘッド制御部304より送出される1ライン分のシリアルラインデータをパラレルに変換する。ラッチ回路318はサーマルヘッド制御部304からのラッチ信号によってシフトレジスタ317のデータをラッチし、このラッチデータとサーマルヘッド制御部304からのストローブ信号によって発熱抵抗体319は発熱する。このようにしてYMCデータを変換したラインデータに基づいてサーマルヘッド303を通電することで、サーマルヘッドの発熱量を制御してインクの転写量を制御し、階調画像を印画することができる。温度センサ320はサーマルヘッド303に直接取り付けられ、サーマルヘッド303の温度を検出する。CPU305は温度センサ320の出力信号を受けてサーマルヘッド303の温度を検知し、サーマルヘッド過熱時には温度が低下するまで印画処理を一時停止する、異常過熱時には印画動作を中止する印画停止処理を行う。301は印刷用紙搬送用、インクリボン巻取り用およびカッター駆動用のモータであり、302はモータを駆動するためのモータ駆動制御部である。310は印刷用紙先端検知を行う光センサであり、309は光センサを駆動するための光センサ駆動制御部である。
【0015】
図4は本実施形態におけるサーマルプリンタの側面の構成模式図である。ここで、図4を用いて印画動作を説明する。
【0016】
印刷装置401は印刷装置203を側面から捉えた図である。まず、印刷装置401に対して図示しないサイドドアを開けて外部から印刷用紙カセット402とインクカセット404を装填して準備を行う。印刷用紙カセット402内部にはロール状に巻かれた印刷用紙403が収納されており、印刷用紙403の中心部に印刷用紙403と一体的に回動するボビン軸411を駆動して印刷用紙403を印刷用紙カセット402から引き出す。
【0017】
印刷用紙カセット402から引き出された印刷用紙403はカール取りローラ対406へ到達する。カール取りローラ対406はカール取りローラと対抗するカール取り従動ローラによって構成され、印刷用紙403がカール取りローラ対406へ来たタイミングで離反状態から圧接状態へ移動し印刷用紙403を挟む。印刷用紙403はロール状に巻かれている方向と反対側にテンションを加えられることよって巻き癖をとることができる。
【0018】
カール取りを行われた印刷用紙403はカール取りローラ対406によって駆動され搬送ローラ対407に到達する。搬送ローラ対407はピンチローラ407aとグリップローラ407bによって構成され、グリップローラ407bは図示しないステッピングモータの出力軸が減速機構を介して直結され、このステッピングモータの回転制御により正逆自在に駆動される。搬送ローラ対407は印刷用紙403が到達するタイミングで離反状態から圧接状態へ移動し印刷用紙403を挟む。印刷用紙403は搬送ローラ対407によりしっかりと挟持され往復搬送されるので、印刷用紙403はステッピングモータの回転制御により正確に位置制御され搬送駆動される。いま、一例としてサーマルヘッド409による1ライン分の記録ピッチを85μmとし、印刷用紙403を1ライン分搬送するためのステッピングモータのステップ数を4ステップとする。このとき、印刷用紙403は、ステッピングモータを4ステップで回転制御することにより、1ライン(すなわち85μm)搬送することができる。印画範囲が用紙搬送方向において144mmであるとすると、1694ライン印画可能であり、記録紙をこの分搬送するためにはステッピングモータを6776ステップ分回転させればよい。
【0019】
搬送ローラ対407の近傍の位置には印刷用紙先端検出センサ412が置かれ、これにより印刷用紙403の先端を検出する。検出後、印刷用紙403を所定ライン分送り停止させる。印画動作は印刷用紙403を印刷用紙カセット402内部に引き込む方向に搬送しながら行われるので、印刷用紙403の先端はサーマルヘッド409真下の印画開始位置から排紙口414に向かって印画範囲分だけ用紙搬送された地点にセットされる。
【0020】
印画部においては印刷用紙搬送経路を挟んでプラテンローラ408とYMCデータに応じて発熱するサーマルヘッド409が対向している。インクカセット404に収納されるインクシート405は熱溶融性または熱昇華性インクを塗布したインク層と印画面の保護を目的として印画面上にオーバーコートを施すためのオーバーコート層で構成される。印画時には、インクシート405はサーマルヘッド409によって印刷用紙403に押圧される。さらにYMCデータに応じてサーマルヘッド409の発熱抵抗体を選択的に加熱することによって印刷用紙403に画像が転写記録される。
【0021】
インクシート405は、所定のサイズでイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インク層とオーバーコート(OC)層が並べて設けられている。1回の印画処理で印画可能なサイズはY、M、C、OC各層の一面サイズによって規定されており、これを定形サイズとする。印画開始位置から所定ライン数搬送して1層分を熱転写した後、印刷用紙403を印画開始位置に戻す。このようにしてYMC各色及びオーバーコート層転写を4回繰返すことで1回の印画処理が完了する。
【0022】
オーバーコート層の印画を終了すると印刷用紙403は搬送ローラ対407により駆動されて、印刷用紙403の印画終端がカッターユニット410に到達する。
【0023】
カッターユニット410は不図示のカッターモータによりカッター歯410aを駆動し、はさみの様にカッター歯410aとカッター受け歯410bをすり合わせて用紙送り方向に対して垂直に用紙のカットを行うものである。また、カッターユニット410は印刷装置401に対して外部から着脱可能に構成されており、歯が欠けた場合に容易に交換作業ができるように構成されている。印刷用紙403の印画終端がカッターユニット410に到達すると、図示しないステッピングモータによって排紙ローラ対413を駆動して印刷用紙403を挟む。
【0024】
この時、搬送ローラ対407を駆動して印刷用紙403を印刷用紙カセット402の方向へ所定量だけ巻き上げ印刷用紙403のたるみを取る。そして、カッターユニット410のカッターモータを駆動して印刷用紙403をカットする。
【0025】
カットされた印画済み用紙は排紙ローラ対413によって用紙後端部が挟持された状態である。この状態から排紙ローラ対413を排紙方向に駆動して印画済み用紙を排紙口414まで搬送して印刷装置401の外部へ排紙する。排紙ローラ対413は所定時間駆動した後に停止する。印画終了後、印刷用紙カセット402側の未印画の印刷用紙403は搬送ローラ対407によって印刷用紙カセット402の方向へ所定ライン分巻き上げられて、次の印画処理を開始するまで待機する。
【0026】
ここで本発明の特徴的動作について詳細に説明する。
【0027】
図1は本実施形態のプリントシステムにおける印画処理シーケンスを示す図である。図1に示す処理シーケンスは、Flash ROM311に格納された制御用プログラムに基づき、CPU305によって制御される。以下、図1を用いて本実施形態におけるシステムの動作について説明する。
【0028】
図1(a)において、最初に、ユーザがLCD205を見ながら各種スイッチ206を操作することにより、印画する画像と印画サイズや印画モードが設定され、印刷開始の捜査がされると、CPU305は印画命令を受付ける(S100)。次に、通常印画かワイド印画であるかを判定する(S101)。この判定は、印画モードが、通常印画モードであるかワイド印画モードであるかで判定してもよい。また、印画サイズから、印画サイズが定形サイズまたは定型サイズ以下である場合には通常印画、定型サイズよりも大きい、または長尺のサイズである場合には、ワイド印画であると判定してもよい。通常印画と判定された場合は、S102において通常印画処理Aが行われる。
【0029】
この通常印画処理Aでは、図1(b)の処理(S110)〜(S122)を実行する。まず、S110では、インクシート405をY印画開始位置にセットするために巻き取り動作を開始し、インクシート405のY層の先頭に設けられた頭出しマーカーをインク先頭検出センサ(不図示)が検出した時点で巻き取り動作を停止する。そして、印刷用紙403は上述した用紙搬送機構によって印画開始位置まで搬送される(S111)。画像処理部306は印画するJPEG圧縮画像に対してJPEGファイルの伸長を行い、画像サイズを印画サイズに合わせてリサイズし、Y、M、Cの3色それぞれのデータから成るYMCデータを作成する(S112)。Yデータがサーマルヘッド制御部304に転送されてサーマルヘッド303を通電するためのラインデータに変換される。印刷用紙403およびインクシート405を搬送するのに同期して、Yデータの先頭ラインデータから終端ラインデータまで1ラインずつ順番にサーマルヘッド303に通電してY印画を行う(S113)。Y印画終了後、Y先頭検出と同様にしてインクシート405のM先頭検出を行う(S114)。ステッピングモータをY印画開始から完了までと同ステップ分逆回転させて、印刷用紙403を印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S115)。Y印画と同様にして、今度は、Mデータを用いてサーマルヘッド303を通電してM印画を行う(S116)。M印画終了後、Y先頭検出と同様にしてインクシート405のC先頭検出を行う(S117)。印刷用紙403を印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S118)。Y印画と同様にしてCデータを用いてサーマルヘッド303を通電してC印画を行う(S119)。C印画終了後、Y先頭検出と同様にしてインクシート405のOC先頭検出を行う(S120)。印刷用紙403を印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S121)。画像処理部306は印画するYMCデータとは別にOCデータを持っており、OCデータは予め一定の階調値に設定されている。OC印画は印刷用紙403およびインクシート405を搬送するのに同期して、同一のラインデータを所定ライン分だけ繰り返しサーマルヘッド303に通電して行う(S122)。以上のように通常印画では印画する画像の印画サイズが定形サイズ、または、定型サイズ以下であるため1回の印画処理(Y、M、C、OCの1組分のインクを用いて、Y、M、C、OC印画をそれぞれ1回実行)で印画を完了する。
【0030】
S101においてワイド印画と判定された場合は、S103〜S106の印画処理が実行される。ワイド印画では、印刷対象の画像のサイズが、定型サイズより副操作方向に大きい長尺なサイズであるので、1つの画像を複数の定形サイズに分割して複数回の印画処理を行い、印刷用紙上では分割した画像をつなぎ合せるようにして印画される。ここで、1つの画像をN回の印画処理に分割して印画するとする。Nは、印画するサイズが定形サイズの何倍であるかを示す自然数であり、例えば、印画サイズの副走査方向のサイズを定形サイズの副走査方向で割ることで求めルことが出来る。また、印刷対象の画像のアスペクト比と定形サイズのアスペクト比とから、印刷対象の画像の副走査方向の大きさが定形サイズの副走査方向大きさの何倍であるかを求めることが出来る。また、印刷設定時にユーザがNの値を設定可能な場合は、設定されたその値を取得する。このようにして取得したNの値を用いて、印刷対象の画像を印画時の副走査方向となる方向でN個に分割する(S103)。なお、S103では、画像処理部306は、分割する前に、印刷対象の画像を印画サイズにリサイズし、画像補正等の処理を施してから、N個に画像データを分割して、SDRAM312に記録しておく。
【0031】
そして、分割したN個の画像について、順に印画処理を行っていく(S104〜A106で)。まず、分割した1個目の画像について、印画処理1回目を行い(S104)、続いて分割したn個目の画像について、印画処理n回目(2≦n≦N)を行う(S105)。印画処理N回目を終了していない場合は(S106でno)、n=n+1として、次のn個目の分割画像の印画処理n回目を引き続き行う(S105)。印画処理N回目を終了した場合は(S106でyes)、ワイド印画を完了する。
【0032】
ここでワイド印画の印画処理1回目(S104)の詳細な処理シーケンスについて図9(a)を参照して説明する。なお、処理Bフローチャート(S123)〜(S124)、(S126)〜(S135)は処理Aフローチャート(S110)〜(S111)、(S113)〜(S122)とそれぞれ同様の動作であるため説明を省略し、(S125)の動作に限って説明する。(S125)において、画像処理部306はS103で印刷対象の画像をN分割して作成した画像データのうち1番目の画像データからYMCデータを作成する。このようにして作成したYMCデータを用いて、処理Aと同様の印画処理を行う。
【0033】
次にワイド印画の印画処理n回目(S105)の詳細な処理シーケンスについて図9(b)を参照して説明する。図9(b)は、ワイド印画の印画処理n回目(S105)の処理シーケンスを示している。まず、S110と同様にインクシート405のY先頭検出を行う(S136)。印刷用紙403は印画処理n−1回目の終了位置で停止しているので、印画開始位置が印画処理n−1回目の終端に連続するように所定ライン数搬送される(S137)。S138において、S103でN分割した画像データのうちn−1番目およびn番目の画像データからYMCデータを作成する。n−1番目のYMCデータは、個々で浅く制しても良いし、前の印画処終了後に消去せずに、SDRAM312に記録し玉間にしておいても良い。このとき、n−1番目のYMCデータは、n番目の印画処理画終了した後にSDRAM312から消去する。
【0034】
2回目移行の印画処理では、Y,M,C印画の前に、サーマルヘッドを予熱するためにプレヒートを行う。ここで、2回目移行の印画処理でのプレヒートの必要性について図8を参照して説明する。
【0035】
図8はワイド印画時の分割した画像間の境界線前後の濃度特性を示すものであり、分割の境界前後において1画素を用紙送り方向(副走査方向)に一列分抜き出した時の濃度特性を示したものである。直線aは画像データに対応する理想的な濃度値である。また、点線bは印画処理2回目の開始時点でプレヒートせずに印画した場合の濃度値である。点線bは印画開始時点でのサーマルヘッドの発熱状態が不十分である場合、理想的な濃度値からかけ離れてしまうことを示している。また、点線cは印画処理2回目の開始時点でプレヒートを行い印画した場合の濃度値である。点線cはプレヒートを行うことで印画処理2回目の開始時点の濃度値を理想的な濃度値に近づけることができることを示している。斜線部dは1回目印画処理時に注目画素の濃度値が前回ラインおよび現在ラインにおける周辺画素の蓄熱の影響を受けて理想的な濃度値からばらつく範囲を示している。分割した画像間の境界前後で濃度差が目立つという課題解決のためには、斜線部dのばらつきを含めて濃度を連続的に変化させる必要がある。
【0036】
そこで、本実施形態では、ワイド印画処理で2回目以降の印画を行う際に、前回のYMCデータを用いてプレヒート時のサーマルヘッドの発熱量を制御することにより、分割した画像間の境界前後で濃度差を軽減させている。
【0037】
S139では、n−1番目のYデータの終端の所定数のライン分をサーマルヘッド制御部304に転送し、サーマルヘッド303を通電するためのラインデータに変換する。n−1番目のYデータの所定位置ラインデータから終端ラインデータまでのデータを使用してプレヒートを行う。このとき、所定位置ラインから終端ラインデータまでの1ラインずつ順番にサーマルヘッド303に通電してY印画プレヒートを行ってもよい。しかし、プレヒートは、サーマルヘッドを予熱するために行うものであって、プレヒート中にインクが転写されてしまうと本来の画像の濃度とは異なる濃度となってしまう。そこで、YMCデータの終端部のデータをそのまま使用せずに、インクが転写されない程度の階調に変換して、変換したデータに基づいてプレヒートを行うとよい。また、終端の何ライン分のラインデータをプレヒートに使用すれば十分であるかはサーマルヘッド303の蓄熱特性に依存する。そのため、プレヒートで使用するデータのライン数はプレヒートによる分割した画像間の境界での濃度差緩和効果を予め測定して決定される。Y印画プレヒート終了後、n番目のYデータがサーマルヘッド制御部304に転送されてサーマルヘッド303を通電するためのラインデータに変換される。印刷用紙403およびインクシート405を搬送するのに同期して、n番目のYデータの先頭ラインデータから終端ラインデータまで1ラインずつ順番にサーマルヘッド303に通電してY印画を行う(S140)。Y印画終了後、インクシート405のM先頭検出を行う(S141)。印刷用紙403を印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S142)。Y印画プレヒート(S139)と同様にしてn−1番目のMデータを用いてサーマルヘッド303を通電してM印画プレヒートを行う(S143)。Y印画(S140)と同様にしてn番目のMデータを用いてサーマルヘッド303を通電してM印画を行う(S144)。M印画終了後、インクシート405のC先頭検出を行う(S145)。印刷用紙403をM印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S146)。Y印画プレヒート(S139)と同様にしてn−1番目のCデータを用いてサーマルヘッド303を通電してC印画プレヒートを行う(S147)。Y印画(S140)と同様にしてn番目のCデータを用いてサーマルヘッド303を通電してC印画を行う(S148)。C印画終了後、インクシート405のOC先頭検出を行う(S149)。印刷用紙403をC印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S150)。通常印画と同様にOCデータは予め一定の階調値に設定されているので、OC印画は同一のラインデータを所定ライン分だけ繰り返しサーマルヘッド303に通電して行う(S151)。以上のようにしてワイド印画の印画処理n回目を終了する。
【0038】
分割した画像間の境界での濃度差は印画処理n−1回目の終端と印画処理n回目の先頭でサーマルヘッド409の発熱状態が不連続になるために発生する。そこで、印画処理n−1回目のYMCデータを使用してサーマルヘッド409を通電した後、続けて印画処理n回目の印画処理を開始すればサーマルヘッド409の発熱状態は連続的に変化することになるので境界の濃度差を緩和することができる。
【0039】
図1(a)において通常印画またはワイド印画の印画終了後、印刷用紙403を所定ライン数搬送して印画終端をカッターユニット410によるカット位置に合わせる(S107)。カッターユニット410のカッターモータを駆動して印刷用紙403をカットする。(S108)。カットされた印画済み用紙は排紙口414まで搬送して印刷装置401の外部へ排紙される(S109)。
【0040】
以上のように本実施形態によれば、ワイド印画において2回目以降の印画処理で各色インク層の印画前に前回印画処理における同種類インク層のYMCデータの所定位置ラインデータから終端ラインデータに基づいてプレヒートを行う。このプレヒートによってワイド印画時における分割した画像間の濃度差を緩和して、前の分割画像と階調の連続性を保ってワイド印画時の画質を向上させることが可能となる。
【0041】
また、本実施形態では、ワイド印画の2回目以降の印画の時のみプレヒートを行い、1回目の印画ではプレヒートを行わなかった。これは、用紙の端部であるため、前の画像との連続性を保つ必要がないためである。また、本実施形態では、印刷用紙のカットは、印画終端のみ行った。しかし、出力するサイズよりも少し大きい画像を印刷して、印画先端と終端の両端をカットするような場合は、1回目の印画の先頭ラインおよび終端ラインが転写された部分はカットされるので、1回目の印画の先頭ラインについてプレヒートする必要はなくなる。
【0042】
また、上述の実施形態では2回目以降の印画では必ずプレヒートを行ったが、YMCの印刷データの終端の所定数ライン分の階調数が低階調であったり、階調値が0である場合は、プレヒートを行わない用にしても良い。つまり、YMCデータの終端の所定数ラインの階調から、プレヒートを行うか中を判断し、その結果に応じてプレヒートを実行すると良い。
【0043】
また、上述の実施形態ではn−1番目のYMCデータの終端の複数ラインのデータを使用して、n番目の印画前に終端の複数ラインのデータに応じた熱量をサーマルヘッドに加えることでプレヒートを実行した。しかし、これに限らず、終端の1ライン(最終ライン)のみを使用してプレヒートを行っても良い。
【0044】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は第1の実施形態のプリントシステムにおいてサーマルヘッド温度を利用したプレヒート手段に関するものである。図5は本実施形態のプリントシステムにおける印画処理シーケンスを示す図である。図5に示す処理シーケンスは、Flash ROM311に格納された制御用プログラムに基づき、CPU305によって制御される。以下、図5を用いて、本実施形態におけるシステムの動作について説明する。なお、図5(a)の(S500)〜(S503)、(S506)〜(S509)は図1(a)の(S100)〜(S103)、(S106)〜(S109)とそれぞれ同様の動作であるため説明を省略する。ここではワイド印画の印画処理1回目(S504)およびワイド印画の印画処理n回目(S505)の動作に限って説明する。
【0045】
ワイド印画の印画処理1回目(S504)の詳細な処理シーケンスについて説明する。図10(b)の処理Dフローチャート(S510)〜(S525)にワイド印画の印画処理1回目(S504)の処理シーケンスを示す。まず、インクシート405のY先頭検出を行う(S510)。印刷用紙403を印画開始位置まで搬送する(S511)。(S512)において、画像処理部306はS503で分割した画像データのうち1番目の画像データからYMCデータを作成する。Yデータを用いてサーマルヘッド303を通電してY印画を行う(S513)。Yデータの終端ラインデータをサーマルヘッド303に通電した直後、CPU305はサーマルヘッド303に直接取り付けられた温度センサ320の出力信号を受けて温度を検出する。検出した温度を印画処理1回目におけるY印画終了時のサーマルヘッド303の温度TYとしてSDRAM312に記憶する(S514)。ヘッド温度TY記憶後、インクシート405のM先頭検出を行う(S515)。印刷用紙403をY印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S516)。Mデータを用いてサーマルヘッド303を通電してM印画を行う(S517)。Mデータの終端ラインデータをサーマルヘッド303に通電した直後、CPU305は温度センサ320によって温度を検出し、印画処理1回目におけるM印画終了時のサーマルヘッド303の温度TMとしてSDRAM312に記憶する(S518)。ヘッド温度TM記憶後、インクシート405のC先頭検出を行う(S519)。印刷用紙403をM印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S520)。Cデータを用いてサーマルヘッド303を通電してC印画を行う(S521)。CPU305は温度センサ320によって温度を検出し、印画処理1回目におけるC印画終了時のサーマルヘッド303の温度TCとしてSDRAM312に記憶する(S522)。ヘッド温度TC記憶後、インクシート405のOC先頭検出を行う(S523)。印刷用紙403をC印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S524)。OCデータは予め一定の階調値に設定されているので、OC印画は同一のラインデータを所定ライン分だけ繰り返しサーマルヘッド303に通電して行う(S525)。以上のようにしてワイド印画の印画処理1回目を終了する。このようにして、1回目の印画処理では、各色のインクの転写終了時に検出したヘッド温度を記憶しておく。
【0046】
ワイド印画の印画処理n回目(S505)の詳細な処理シーケンスについて説明する。図10(c)の処理Eフローチャート(S526)〜(S547)にワイド印画の印画処理n回目(S505)の処理シーケンスを示す。まず、インクシート405のY先頭検出を行う(S526)。印刷用紙403は印画処理n−1回目終了位置で停止しているので、印画開始位置が印画処理n−1回目の終端に連続するように所定ライン数搬送される(S527)。(S528)において画像処理部306はS503で分割した画像データのうちn−1番目およびn番目の画像データからYMCデータを作成する。なお、第1の実施形態のように、n−1番目のYMCデータにおいては前回記録しておいたものを用いても良い。n−1番目のYデータがサーマルヘッド制御部304に転送されてサーマルヘッド303を通電するためのラインデータに変換される。n−1番目のYデータの所定位置ラインデータから終端ラインデータまで1ラインずつ順番にサーマルヘッド303に通電してY印画プレヒートを行う(S529)。ここで、所定位置から終端までの何ライン分のラインデータをプレヒートに使用すれば十分であるかはサーマルヘッド303の蓄熱特性に依存する。そのため、プレヒートライン数はプレヒートによる分割した画像間の境界での濃度差緩和効果を予め測定して決定される。Y印画プレヒートにおいて終端ラインデータをサーマルヘッド303に通電した直後、CPU305は温度センサ320によってサーマルヘッド温度を検出する。そして、検出した温度が印画処理n−1回目におけるY印画終了時のサーマルヘッド303の温度TY±ΔTの範囲内におさまっているかどうか判定する(S530)。ここで、ΔTは予め測定によって求められた温度許容差とする。Y印画プレヒート直後のサーマルヘッド温度がTY±ΔTの範囲外である場合は(S530でno)、再びY印画プレヒートを実行する(S529)。Y印画プレヒート直後のサーマルヘッド温度がTY±ΔTの範囲内である場合は(S530でyes)、n番目のYデータがサーマルヘッド制御部304に転送されてサーマルヘッド303を通電するためのラインデータに変換される。印刷用紙403およびインクシート405を搬送するのに同期して、n番目のYデータの先頭ラインデータから終端ラインデータまで1ラインずつ順番にサーマルヘッド303に通電してY印画を行う(S531)。このように印画処理n−1回目のYMCデータによるプレヒートを繰り返して、サーマルヘッド温度を印画処理n−1回目終了時点の温度に十分近づけてから印画処理n回目を開始する。この結果、サーマルヘッド409の発熱状態は連続的に変化することになるので境界の濃度差を緩和することができる。Yデータの終端ラインデータをサーマルヘッド303に通電した直後、CPU305は温度センサ320によって温度を検出し、印画処理n回目におけるY印画終了時のサーマルヘッド303の温度TYとしてSDRAM312の記憶を更新する(S532)。ヘッド温度TY更新後、インクシート405のM先頭検出を行う(S533)。印刷用紙403をY印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S534)。Y印画プレヒート(S529)と同様にしてn−1番目のMデータを用いてサーマルヘッド303を通電してM印画プレヒートを行う(S535)。M印画プレヒートにおいて終端ラインデータをサーマルヘッド303に通電した直後、CPU305は温度センサ320によってサーマルヘッド温度を検出する。そして、検出した温度が印画処理n−1回目におけるM印画終了時のサーマルヘッド303の温度TM±ΔTの範囲内におさまっているかどうか判定する(S536)。M印画プレヒート直後のサーマルヘッド温度がTM±ΔTの範囲外である場合は(S536でno)、再びM印画プレヒートを実行する(S535)。M印画プレヒート直後のサーマルヘッド温度がTM±ΔTの範囲内である場合は(S536でyes)、Y印画(S531)と同様にしてn番目のMデータを用いてサーマルヘッド303を通電してM印画を行う(S537)。Mデータの終端ラインデータをサーマルヘッド303に通電した直後、CPU305は温度センサ320によって温度を検出し、印画処理n回目におけるM印画終了時のサーマルヘッド303の温度TMとしてSDRAM312の記憶を更新する(S538)。ヘッド温度TM更新後、インクシート405のC先頭検出を行う(S539)。印刷用紙403をM印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S540)。Y印画プレヒート(S529)と同様にしてn−1番目のCデータを用いてサーマルヘッド303を通電してC印画プレヒートを行う(S541)。C印画プレヒートにおいて終端ラインデータをサーマルヘッド303に通電した直後、CPU305は温度センサ320によってサーマルヘッド温度を検出する。そして、検出した温度が印画処理n−1回目におけるC印画終了時のサーマルヘッド303の温度TC±ΔTの範囲内におさまっているかどうか判定する(S542)。C印画プレヒート直後のサーマルヘッド温度がTC±ΔTの範囲外である場合は(S542でno)、再びC印画プレヒートを実行する(S541)。C印画プレヒート直後のサーマルヘッド温度がTC±ΔTの範囲内である場合は(S542でyes)、Y印画(S531)と同様にしてn番目のCデータを用いてサーマルヘッド303を通電してC印画を行う(S543)。Cデータの終端ラインデータをサーマルヘッド303に通電した直後、CPU305は温度センサ320によって温度を検出し、印画処理n回目におけるC印画終了時のサーマルヘッド303の温度TCとしてSDRAM312の記憶を更新する(S544)。ヘッド温度TC更新後、インクシート405のOC先頭検出を行う(S545)。印刷用紙403をC印画完了位置から印画開始位置まで戻すように搬送する(S546)。OCデータは予め一定の階調値に設定されているので、OC印画は同一のラインデータを所定ライン分だけ繰り返しサーマルヘッド303に通電して行う(S547)。以上のようにしてワイド印画の印画処理n回目を終了する。
【0047】
以上のように本発明によれば、ワイド印画において2回目以降の印画処理で各色インク層の印画に、ヘッド温度が前回印画処理における同種類インク層の印刷終了時点におけるヘッド温度に到達するまで次回の印画処理時のプレヒートを繰り返し実行する。このプレヒートによってワイド印画時における分割した画像間の濃度差を緩和して、ワイド印画時の画質を向上させることが可能なプリンタを提供することができる。また、記憶していたヘッド温度と同じ温度に到達しなくても、予め定められた誤差範囲内に到達していたらプレヒートを終了しても良い。また、検出したヘッド温度が小さいときは誤差範囲を小さくし、検出したヘッド温度が高すぎる場合は誤差範囲を大きくしておいても良い。
【0048】
[その他の実施形態]
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0049】
また、上述した各実施形態の機能を実現するように各種のデバイスを動作させ、その各種のデバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに対して上述した各実施形態の機能を実現させるソフトウェアのプログラムコード(プログラム)を供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に(ソフトウェア的に又はハードウェア的に)格納されたプログラムにしたがって上記の各種のデバイス(各手段)を動作させるようにしたものも、本発明の範疇に含まれる。また、この場合、上記のソフトウェアのプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになる。また、そのプログラム自体、及びそのプログラムのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを格納した記憶媒体も、本発明の範疇に含まれる。かかるプログラムを記憶する記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROM等を用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
201 デジタルカメラ
202 USBケーブル
203 昇華型サーマルプリンタ
204 複合カードスロット
205 LCD
206 各種スイッチ
301 搬送モータ
302 モータ駆動制御部
303 サーマルヘッド
304 サーマルヘッド制御部
305 CPU
306 画像処理部
307 通信制御部
308 操作部
309 センサ駆動制御部
310 光センサ
311 Flash ROM
312 SDRAM
313 カードコネクタ
314 カード型記憶媒体
315 LCD ドライバ
316 LCD
317 シフトレジスタ
318 ラッチ回路
319 発熱抵抗体
320 温度センサ
401 印刷装置
402 印刷用紙カセット
403 印刷用紙
404 インクカセット
405 インクシート
406 カール取りローラ対
407 搬送ローラ対
407a ピンチローラ
407b グリップローラ
408 プラテンローラ
409 サーマルヘッド
410 カッターユニット
410a カッター歯
410b カッター受け歯
411 ボビン軸
412 印刷用紙先端検出センサ
413 排紙ローラ対
414 排紙口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色のインクが繰り返し配置されたインクシートを用いて印刷用紙に画像を印刷するサーマルプリンタであって、
前記複数色のインクの1組を用いて画像を印刷用紙に印刷するための印画処理を実行するサーマルヘッドと、
複数回の印画処理を繰り返すことにより1つの画像を印刷する場合に、2回目以降の印画処理のときに、前回の印画処理時のデータに基づいて、前記サーマルヘッドによるプレヒートを実行させるための制御手段と、を有することを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記制御手段は、2回目以降の印画処理のときに、前回の印画処理時に印刷した画像のデータに基づいて、プレヒートを実行させることを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記サーマルヘッドは、印刷対象の画像に基づいて作成された前記複数色ごとの印刷データに基づいて、前記複数色ごとにインクを印刷用紙に転写させることにより印画処理を実行し、
前記制御手段は、前記複数色ごとの印刷データに基づいて、前記サーマルヘッドのプレヒートを制御することを特徴とする請求項2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記制御手段は、今回の印画処理を実行するインクと同じ色を転写したときの前回の印画処理での印刷データに基づいて、前記サーマルヘッドの発熱量を制御してプレヒートを実行することを特徴とする請求項3に記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記制御手段は、前回の印画処理で印刷した画像の端部の印刷データに基づいて、次回の印画処理時のプレヒートを制御することを特徴とする請求項3または4に記載のサーマルプリンタ。
【請求項6】
前記制御手段は、前回の印画処理で印刷した画像の印刷データの最終ラインのデータに基づいて、次回の印画処理時のプレヒートを制御することを特徴とする請求項5に記載のサーマルプリンタ。
【請求項7】
前記制御手段は、前記印刷データに基づいて、サーマルヘッドの発熱量を制御してプレヒートを実行することを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載のサーマルプリンタ。
【請求項8】
前記制御手段は、前記印刷データに基づいて、プレヒートを行うか否かを制御することを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載のサーマルプリンタ。
【請求項9】
印刷終了時の温度を検出する検出手段を有し、
前記制御手段は、2回目以降の印画処理のときに、前回の印画処理時に前記検出手段により取得した温度になるまで、前記サーマルヘッドのプレヒートを実行することを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項10】
前記サーマルヘッドは、前記複数色ごとにインクを印刷用紙に転写させることにより印画処理を実行し、
前記検出手段は、前記複数色のインクの転写終了ごとに温度を検出し、
前記制御手段は、今回の印画処理を実行するインクと同じ色を前回の印画処理で転写終了した時に検出した温度になるまで、プレヒートを実行することを特徴とする請求項9に記載のサーマルプリンタ。
【請求項11】
前記検出手段は、前記サーマルヘッドの温度を検出することを特徴とする請求項9または10に記載のサーマルプリンタ。
【請求項12】
複数色のインクが繰り返し配置されたインクシートのインクを、サーマルヘッドにより記録媒体に転写させて、画像を印刷するサーマルプリンタの制御方法であって、
前記複数色のインクの1組を用いて、前記サーマルヘッドにより画像を印刷用紙に印刷するための印画処理を実行する印画工程と、
複数回の印画処理を繰り返すことにより1つの画像を印刷する場合に、2回目以降の印画処理のときに、前回の印画処理時のデータに基づいて、前記サーマルヘッドによるプレヒートを実行させるための制御手段と、を有することを特徴とするサーマルプリンタの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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