サーマルプリンタ
【課題】騒音の発生を抑制しつつ印刷密度を調整することができるサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】サーマルヘッド12と、シリアル印刷データ読み込みパラレル印刷データとして格納するシフトレジスタと、パラレル印刷データを読み込んで格納するラッチ回路と、ラッチ回路に格納されたパラレル印刷データを出力するスイッチ回路と、ヘッドコントローラ40とを備えたラベルプリンタにおいて、ヘッドコントローラ40は、1ラインの印刷周期を分割して複数の分割周期を生成する印刷周期タイマ42と、1ラインを構成する各画素の印刷密度を指定する密度データを生成する履歴データ生成回路43と、密度データに基づいて分割周期内での印加期間を設定する階調レジスタ46aと、分割周期及び印加期間に基づいてスイッチ回路に入力される許可信号を発生するタイミングコントローラ46とを備える。
【解決手段】サーマルヘッド12と、シリアル印刷データ読み込みパラレル印刷データとして格納するシフトレジスタと、パラレル印刷データを読み込んで格納するラッチ回路と、ラッチ回路に格納されたパラレル印刷データを出力するスイッチ回路と、ヘッドコントローラ40とを備えたラベルプリンタにおいて、ヘッドコントローラ40は、1ラインの印刷周期を分割して複数の分割周期を生成する印刷周期タイマ42と、1ラインを構成する各画素の印刷密度を指定する密度データを生成する履歴データ生成回路43と、密度データに基づいて分割周期内での印加期間を設定する階調レジスタ46aと、分割周期及び印加期間に基づいてスイッチ回路に入力される許可信号を発生するタイミングコントローラ46とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサーマルプリンタに係り、特に履歴制御や階調制御を行うことができると共に、サーマルヘッドと印刷用紙に起因する騒音を低減することができるサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルプリンタでは、ライン状に配置された多数の発熱素子を備えたサーマルヘッド装置によって主走査方向に画像を形成しつつ、主走査方向と直交する方向である副走査方向への用紙搬送を行い、印刷用紙上に画像を形成するようにしている。このようなサーマルプリンタ装置では、前記発熱素子を通電加熱することで印刷を行い、転写紙とインクリボンとを使用する場合には印刷用紙表面にインクリボンのインクを溶融又は昇華して転写紙に転写して画像を形成する。また、印刷用紙として感熱紙を用いる場合には感熱発色によって感熱紙に画像形成を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなサーマルプリンタのサーマルヘッド装置の制御について図10及び図11に基づいて説明する。図10は従来のサーマルヘッド装置の構成を示すブロック図である。
【0004】
本例では、サーマルヘッド装置100は、サーマルヘッド101と、シフトレジスタ102と、データラッチ回路103と、スイッチ回路104と、ヘッドコントローラ105とを備えて構成される。
【0005】
サーマルヘッド101は、通電されることで発熱する複数の発熱素子101−1〜101−nが列状に配置されて構成されている。シフトレジスタ102は、ヘッドコントローラ105からの印刷データ読込クロック信号(CLK)に同調してシリアル印刷データ(D1)を読み込みパラレル印刷データとして格納する。データラッチ回路103は、ヘッドコントローラ105からのラッチ信号(LATCH)に基づいて、前記シフトレジスタ102が格納しているパラレル印刷データ(D2)を読み込んで格納する。スイッチ回路104は、前記多数の発熱素子101−1〜101−nに対応して設けられたアンドゲート104−1〜104−nを備え、前記データラッチ回路103からのパラレル印刷データ(D2)とヘッドコントローラ105からのストローブ信号(STB)の論理積を前記各発熱素子101−1〜101−nに出力する。
【0006】
ここで、ヘッドコントローラ105はサーマルプリンタの制御装置(CPU)106に制御され、前記クロック信号CLK、シリアル印刷データD1、ラッチ信号LATCH、ストローブ信号STBを出力する。制御装置106は、印刷用紙の副走査方向の移動、上位装置からの印刷データの入力の状況に応じてヘッドコントローラ105を制御する。
【0007】
次にこのサーマルヘッド装置100の作動について説明する。
【0008】
図11は図10に示したサーマルヘッドの作動を示すタイミングチャートである。本例に係るサーマルヘッド装置100では、所定周期のクロック信号CLK(図11(a))に従い印刷1ライン毎にシリアル印刷データD1(図11(b))をシフトレジスタ102に取り込み、データラッチ回路103が1ラインのシリアル印刷データ(D1)を取り込んだ後、ラッチ信号LATCHが発せられる(図11(c))。この状態でデータラッチ回路103にはシリアル印刷データD2が格納された状態となり、スイッチ回路104のアンドゲート104−1〜104−nにストローブ信号STBが入力されて(図11(d))各発熱素子101−1〜101−nはシリアル印刷データD2に従って発熱する。
【0009】
これにより、印刷用紙に各発熱素子101−1〜101−nの発熱状態による印刷がなされる。
【0010】
【特許文献1】特開平8−258313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、このようなサーマルヘッド装置を用いて感熱紙に印刷を行う際には、騒音が発生することがある。即ち、上述したサーマルヘッド装置100では、1ラインの印刷周期を定めるストローブ信号STBの周期(図11(c))が400μs(秒)程度として設定されることが多く、この周期で印刷を行うと、印刷ヘッド装置と印刷用紙との間で2.5kHzの振動が発生し、この振動に起因して可聴域の異音が発生するのである。
【0012】
一方、このような、サーマルプリンタにおいては、印刷密度を調整することが要望される。
【0013】
印刷密度の調整には、履歴制御と階調制御とが含まれ、履歴制御は、発熱素子に連続して電圧が印加されると、熱が蓄積して、印刷の品質が劣化するため、発熱素子への電圧の印加履歴を参照して発熱素子への電圧の印加状態を変更して、常に一定の印刷品質を実現するものである。また、階調制御は、発熱素子への電圧印加の程度を変更して発熱素子の温度を調整して、複数階調の印刷を実現するものである。
【0014】
そこで、本発明は上記課題を解決して、騒音の発生を抑制しつつ印刷密度を調整することができるサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明において、上記の課題を解決するための手段は、複数の発熱素子が列状に配置されたサーマルヘッドと、読込クロック信号に同調してシリアル印刷データを読み込みパラレル印刷データとして格納するシフトレジスタと、ラッチ信号に基づいて、前記パラレル印刷データを読み込んで格納するラッチ回路と、許可信号に基づいて前記ラッチ回路に格納されたパラレル印刷データを前記サーマルヘッドに出力するスイッチ回路と、前記読込クロックと、前記ラッチ信号と、前記許可信号と、前記シリアル印刷データとを出力するヘッド制御部と、を備え、上位装置からの出力印刷データに基づいて複数画素からなる1ラインの画像を所定の印刷周期で印刷するサーマルプリンタにおいて、前記ヘッド制御部は、前記1ラインの印刷周期を分割して複数の分割周期を生成する手段と、前記出力印刷データ及び各画素の印刷密度を指定する印刷密度レベルに基づいて前記分割周期内において指定の密度で画像を形成する密度データを生成し、この密度データを前記シリアル印刷データとして出力する手段と、前記分割周期内での前記密度レベルに対応した印加期間を設定する手段と、前記分分割周期及び前記印加期間に基づいて前記スイッチ回路に入力される許可信号を発生する手段と、を備えるサーマルプリンタである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1ラインの印刷周期は分割されるから、ストローブ信号は1ライン毎に複数発生されて高周波数のものとなるため、発生する異音も高周波数になって聞こえにくいものとなる。そして、1ラインを構成する複数の分割周期内において印刷密度制御が行え、騒音の発生を抑制しつつ印刷密度を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタについて図1ないし図9に基づいて説明する。本実施の形態は、熱履歴による制御を行うラベルプリンタへの適用例である。
【0018】
図1は、ラベルプリンタ1を概略的に示す側面図である。ハウジング4の外部に連続紙2を保持する用紙保持部3が設けられている。本実施の形態のラベルプリンタ1は、この用紙保持部3に保持された連続紙2をハウジング4の内部に引き込み、引き込んだ連続紙2に対してハウジング4の内部に収納された印刷機構5によって所定事項を印刷する。本実施の形態では、連続紙2としては、ロール状に巻回されたロール紙形態のラベル用紙又はタグ用紙が用いられる。
【0019】
ハウジング4の内部には、給紙口6から排紙口7に連なる通紙経路8が形成されており、用紙保持部3において回転自在な一対の用紙保持ローラ9に転動自在に保持された連続紙2は給紙口6から通紙経路8に引き込まれ、排紙口7から排紙されるように案内されている。
【0020】
こうして連続紙2を案内する通紙経路8には、印刷機構5が設けられている。印刷機構5は、ステッピングモータ10(図2参照)によって回転駆動される回転自在なプラテンローラ11と、このプラテンローラ11に通紙経路8を介して当接するサーマルヘッド12とを主体に形成されている。サーマルヘッド12は、プラテンローラ11と平行に配置された支軸13に回動自在に支持されたヘッド保持板14に保持されており、このヘッド保持板14は、図示しないスプリングによってサーマルヘッド12がプラテンローラ11に押し付けられる方向に付勢されている。
【0021】
ここで、印刷機構5による印刷済み連続紙2の発行形態として、本実施の形態のラベルプリンタ1では、通紙経路8において印刷機構5のすぐ下流位置に配置されたラベル剥離板15を用いて台紙からラベルを剥離して発行する剥離発行、連続紙2をそのままの形態で発行する連続発行、及び、カッタユニット16を用いて1ラベル毎に台紙をカットしてラベルを発行するか、あるいは、連続紙を所定の単位でカットして発行するカット発行という3種類の発行形態の選択が可能である。ここでは、そのための構造や制御の説明は省略する。
【0022】
図2は、ラベルプリンタ1の各部の電気的接続を示すブロック図である。プラテンローラ11を回転駆動するためのステッピングモータ10やサーマルヘッド12等の各部は、CPU17等によって構成されたマイクロコンピュータ18によって駆動制御される。つまり、各種演算処理を実行して各部を集中的に制御するCPU17が設けられ、このCPU17には固定データを固定的に格納するROM19と可変データを書換え自在に格納するRAM20とがシステムバス21を介して接続されている。ROM19には制御プログラムが格納され、マイクロコンピュータ18は、ROM19に格納された制御プログラムに従い、RAM20をワークエリアとして利用しつつ各種の処理を実行する。
【0023】
本実施の形態では、印刷機構5における印刷動作のためにマイクロコンピュータ18に駆動制御される各部として、プラテンローラ11を回転駆動するためのステッピングモータ10を駆動制御するためのモータドライバ22と、サーマルヘッド12の制御を行うヘッド制御部であるヘッドコントローラ40とが設けられている。これらのモータドライバ22及びヘッドコントローラ40は、システムバス21を介してCPU17に接続されている。
【0024】
また、本実施の形態のラベルプリンタ1は、ライン型の印刷方式を採用することから、サーマルヘッド12がライン状に備える多数個の発熱素子24(図3参照)によって主走査方向の印刷を行い、連続紙2の搬送によって生ずるサーマルヘッド12に対する連続紙2の移動によって副走査方向の印刷を行う。そこで、副走査方向の印刷のために、連続紙2の搬送タイミング等の検出が必要となり、本実施の形態では、このような検出のために透過型センサ25と反射型センサ26との2種類のセンサを含むセンサ部27が通紙経路8中に配置されている。これらの透過型センサ25と反射型センサ26とは、I/Oポート28を介してシステムバス21に接続されている。ここで、透過型センサ25は、連続紙2として用いられたラベル用紙におけるラベル間の台紙部分を検出するセンサであり、反射型センサ26は、タグ用紙に印刷された位置検出用のマークを検出するセンサである。
【0025】
さらに、本実施の形態のラベルプリンタ1では、外部機器から転送された印刷データをインターフェース29を介して取り込み、このインターフェース29を介して取り込んだ印刷データを印刷データに変換して画像メモリ30に展開する。なお、CPU17は、受信した印刷データを変換した印刷データから1ライン毎の素データを出力する。そこで、それらのインターフェース29及び画像メモリ30も、システムバス21を介してCPU17に接続されている。
【0026】
加えて、サーマルヘッド12のヘッド基板(図示せず)にはサーミスタ及びADコンバータ(いずれも図示せず)が取り付けられており、このサーミスタによる検出信号(ヘッド温度情報)はADコンバータによりデジタル値に変換されてCPU17に取り込まれるように接続されている。
【0027】
次に、サーマルヘッド12について詳述する。図3は、サーマルヘッドの構成を示すブロック図である。このサーマルヘッド12では、図示しない電源回路からの24Vを多数個、例えば432個の発熱素子24(24−1〜24−n)に選択的に印加することができるように構成されている。電圧を発熱素子24に選択的に印加するためのスイッチ回路33として、各発熱素子24に対応させて、スイッチングトランジスタとして作用する複数個のトランジスタ31(31−1〜31−n)を備える。そして、各トランジスタ31のオン・オフを制御するためのベースには、それぞれANDゲート32(32−1〜32−n)が接続され、これらのANDゲート32からの出力信号が入力されるようになっている。
【0028】
また、サーマルヘッド12には、入力されるクロック信号CLKを基準クロックとして動作するDタイプのフリップフロップ回路(FF回路)からなるシフトレジスタ34が設けられている。このシフトレジスタ34にはヘッドコントローラ40で履歴処理がされた印刷データがサーマルヘッド12の1ライン分ずつシリアル入力されるように構成されている。そして、そのシフトレジスタ34にシリアル入力された1ラインを構成する印刷データはラッチ回路35にパラレル出力されるように構成されている。各ラッチ回路35は、データラッチ信号LATCHの入力によってパラレル印刷データをANDゲート32の一方の入力端子に入力するように構成されている。
【0029】
一方、ストローブ信号STBは、ヘッドコントローラ40によって生成されてCPU17からANDゲート32のもう一方の入力端子に入力される。これにより、ANDゲート32から出力信号が発生してトランジスタ31のベースに出力される。こうして、対応する発熱素子24に電圧が印加され、発熱素子24が発熱駆動される。
【0030】
次に本例に係るラベルプリンタ1のヘッドコントローラ40について説明する。
【0031】
図4はヘッドコントローラの構成を示すブロック図である。本例に係るヘッドコントローラ40には、あらかじめ指定された分割数(正の整数、4,8,16…、本例では4)を設定しておく分割数レジスタ41と、分割数レジスタ41が格納した数(本例では4)で1ラインを印刷するのに必要な期間(本例では、400μs)を分割して分割周期(本例では100μs)毎に分割指定信号を発生する印刷周期タイマ42とを備える。また、ヘッドコントローラ40は履歴データ生成回路43を備える。この履歴データ生成回路43は、前記分割指定信号、CPU17からの1ライン毎の画像信号及び1ラインを構成する各画素の過去の印刷履歴(熱履歴)を受け、密度データ即ち1画素毎における分割周期毎の印刷データを作成する。
【0032】
図5は密度データの内容を示す説明図、図6は熱履歴制御の概要を示す表、図7は履歴データ生成回路の密度印刷データ作成の状態を示す説明図である。
【0033】
本例では、履歴データ生成回路43は、4段階の密度即ち、密度1、密度2、密度3、密度4でサーマルヘッド12の各発熱素子24−1〜24−nを駆動する。ここで各密度について説明すると、図5に示すように、密度1は1分割周期(100μs)中で30μsだけ発熱素子に通電する。同様に密度2では50μs、密度3では65μs、密度4では80μsだけ発熱素子に通電する。
【0034】
そして、本例では、1分割周期100μsのうち80μsを通電期間としてランク1〜ランク4に分割して、最初の30μsをランク1、次の20μsをランク2、さらに次の15μsをランク3、最後の15μsをランク4として管理する。これらのランクの長さは、後述するタイミングコントローラ46の階調レジスタ46aにCPU17により設定された値によって定められる。
【0035】
そして、上述した密度1をランク1の通電、密度2をランク1及びランク2の通電、密度3をランク1、ランク2及びランク3の通電、密度4をランク1、ランク2、ランク3及びランク4の通電とすることにより密度調整をする。
【0036】
また、この密度は、図6に示すように、今回印刷するドットの過去3回の印字分まで遡っての印刷履歴(熱履歴)によりCPU17が制御するものとしている。例えば、過去3回とも印刷していない場合は加熱素子が冷えているため、加熱を長時間行う必要があり密度4(80μs:ランク1+ランク2+ランク3+ランク4)とし、過去3回印刷している場合には加熱素子が冷え切っていないため、加熱時間を短縮して密度1(30μs:ランク1)とする。そして上述した以外の印字履歴に対応して、図6下段に示す密度を定めておく。この密度の設定は図6に示す例の他、実験や過去の印刷実績により適宜定めることができる。
【0037】
本例では、履歴データ生成回路43は、CPU17から入力される素印刷データについてこのような印刷履歴制御を行い、加熱素子24−1〜24−n毎の各ランクにおける加熱信号をランク1〜ランク4まで順次出力する。即ち、素印刷データが1ラインについて印刷するデータである場合でも、図7に示すように、各ドットの印刷履歴に従って密度が指定され、各ランクにおける加熱「1」又は非加熱「0」が指定され順次出力されるようになっている。
【0038】
なお、本例では、各ラインの各ドットの密度の指定は、CPU17からの指示により行われる。
【0039】
また、履歴データ生成回路43は前記分割周期信号を受け、前記履歴データ生成回路43からの密度データを1ラインの各ランクに格納するラインメモリ44と、ラインメモリ44の制御を行うラインメモリコントローラ45と、前記分割周期信号と前記ラインメモリ44からの印刷データを受けて、前記サーマルヘッド12にシリアル印刷データD1、クロック信号CLK、データラッチ信号LATCH、及び許可信号であるストローブ信号STBを出力するタイミングコントローラ46を備えている。本例では、タイミングコントローラ46には、第1ないし第4の階調レジスタ46aを備えるものとしている。この階調レジスタ46aには、CPU17から、ランク1からランク4の通電時間(本例では、30μs、20μs、15μs、15μs)が格納されている。この階調レジスタ46aの各通電時間は変更することができ、各種条件により最適な値を選択することができる。
【0040】
次に、ヘッドコントローラ40の制御下におけるサーマルヘッド12の作動について説明する。
【0041】
図8はサーマルヘッド装置の駆動状態を示すタイミングチャート、図9はサーマルヘッド装置の駆動状態を示す詳細なタイミングチャートである
本例では、タイミングコントローラ46はCPU17からの指令により、分割周期においてドット毎に加熱時間を指定する。即ち、CPU17は履歴データ生成回路43に印字履歴に基づいて設定した濃度を指定し、履歴データ生成回路43はこの指定に基づいて素画像データを加工し、順次ランク1、ランク2、ランク3、ランク4において加熱を行うかどうかを指定する画像データをラインメモリ44に出力する。
【0042】
タイミングコントローラ46は、階調レジスタ46aの設定に基づいてストローブ信号を発生し、ストローブ信号に従ってラインメモリ44の画像データをサーマルヘッド12に出力する。このように、タイミングコントローラ46からは、各ランクにおけるシリアル印刷データD1、クロック信号CLK、データラッチ信号LATCH、及びストローブ信号STBが発生される。
【0043】
サーマルヘッド12では、図8(a)、(b)に示すように、1ラインのすべてのランク毎にシリアル画像データD1をクロック信号CLKに従ってシフトレジスタ34に格納していく。このシリアル画像データD1は、図7に示した1ドット中の各ランクにおいて指定される信号であり、本例では1つの分割周期において4つのランク毎に発生される。本例では、4つ分割周期(4×100μs)で1ラインの印刷周期(400μs)が形成される。即ち、1ラインの印刷周期中には4つの分割周期があり、1つの分割周期は4つのランクに分割して画像データが入力制御される。そして、本例では、1ラインは4つの分割領域から構成されているから、ステッピングモータ10は1ラインごとに印刷用紙を送るようCPU17に制御される。即ち、印刷用紙の1ラインでは同じ個所を、4回の分割領域として印刷を行うこととなる。
【0044】
ラッチ回路35はラッチ信号LTCH1を受ける度にANDゲート32−1〜32−2に画像信号を出力し、ANDゲート32−1〜32−nはこの画像信号とストローブ信号STBを基づいてトランジスタ31をオンにして対応する発熱素子24−1〜24−nに電圧が印加され、発熱駆動される。
【0045】
本例では、1つの分割周期でみると、図5に示すように、指定された濃度に応じて、濃度4のときは80μs(ランク1+ランク2+ランク3+ランク4)、濃度3のときは65μs(ランク1+ランク2+ランク3)、濃度2のときは50μs(ランク1+ランク2)、濃度1のとき30μs(ランク1)の間発熱素子が加熱される。
【0046】
そして、図8(a)に示すように、1ラインの印刷周期(400μs)中には、4つの分割周期が設定され、各分割周期には4つのランクが設定される。
【0047】
例えば、ラインが濃度4で印刷されるときには、図8(b)に示すように、各分割周期中のランク1〜ランク4の範囲で加熱が行われることとなる。また、ラインが濃度1で印刷されるときには、図8(c)に示すように、各分割周期中のランク1だけが加熱が行われることとなる。同様に、濃度3で印刷されるときには、ランク1+ランク2+ランク3の範囲で加熱され、濃度2で印刷されるときには、ランク1+ランク2の範囲で加熱されて印刷されることとなる。
【0048】
従って、本例に係るラベルプリンタ1によれば、1ラインの印刷周期を4つに分割して各分割領域において印刷履歴に基づいて印刷制御を行うようにしたので、サーマルヘッドの加熱によって発生する異音が高周波数になって聞こえにくいものとなる。そして、1ラインを構成する複数の分割周期内において印刷密度制御を行うものとしているので印刷品質を良好なものとすることができる。
【0049】
なお、上記例では印刷密度の制御をサーマルヘッドの熱履歴に対応して行うようにしているが、印刷密度の制御を各印刷ドットの階調制御に用いることができる。この場合には、濃度1〜濃度Nに対応して1分割周期内でランクを設定して所定数のランクにおいて加熱ヘッドに通電するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベルプリンタの構成を示す側面図である。
【図2】ラベルプリンタの電気的接続を示すブロック図である。
【図3】ラベルプリンタのサーマルヘッドの構成を示す回路図である。
【図4】ヘッドコントローラの構成を示すブロック図である。
【図5】密度データの内容を示す説明図である。
【図6】熱履歴制御の概要を示す表である。
【図7】履歴データ生成回路の密度印刷データ作成の状態を示す説明図である。
【図8】ラベルプリンタの駆動状態を示すタイミングチャートである。
【図9】ラベルプリンタの駆動状態を示す詳細なタイミングチャートである。
【図10】従来のサーマルヘッド装置の構成を示すブロック図である。
【図11】従来のサーマルヘッド装置の作動を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1…ラベルプリンタ,12…サーマルヘッド,33…スイッチ回路,34…シフトレジスタ,35…ラッチ回路,40…ヘッドコントローラ,41…分割数レジスタ,42…印刷周期タイマ,43…履歴データ生成回路,44…ラインメモリ,45…ラインメモリコントローラ,46…タイミングコントローラ,46a…階調レジスタ
【技術分野】
【0001】
本発明はサーマルプリンタに係り、特に履歴制御や階調制御を行うことができると共に、サーマルヘッドと印刷用紙に起因する騒音を低減することができるサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルプリンタでは、ライン状に配置された多数の発熱素子を備えたサーマルヘッド装置によって主走査方向に画像を形成しつつ、主走査方向と直交する方向である副走査方向への用紙搬送を行い、印刷用紙上に画像を形成するようにしている。このようなサーマルプリンタ装置では、前記発熱素子を通電加熱することで印刷を行い、転写紙とインクリボンとを使用する場合には印刷用紙表面にインクリボンのインクを溶融又は昇華して転写紙に転写して画像を形成する。また、印刷用紙として感熱紙を用いる場合には感熱発色によって感熱紙に画像形成を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなサーマルプリンタのサーマルヘッド装置の制御について図10及び図11に基づいて説明する。図10は従来のサーマルヘッド装置の構成を示すブロック図である。
【0004】
本例では、サーマルヘッド装置100は、サーマルヘッド101と、シフトレジスタ102と、データラッチ回路103と、スイッチ回路104と、ヘッドコントローラ105とを備えて構成される。
【0005】
サーマルヘッド101は、通電されることで発熱する複数の発熱素子101−1〜101−nが列状に配置されて構成されている。シフトレジスタ102は、ヘッドコントローラ105からの印刷データ読込クロック信号(CLK)に同調してシリアル印刷データ(D1)を読み込みパラレル印刷データとして格納する。データラッチ回路103は、ヘッドコントローラ105からのラッチ信号(LATCH)に基づいて、前記シフトレジスタ102が格納しているパラレル印刷データ(D2)を読み込んで格納する。スイッチ回路104は、前記多数の発熱素子101−1〜101−nに対応して設けられたアンドゲート104−1〜104−nを備え、前記データラッチ回路103からのパラレル印刷データ(D2)とヘッドコントローラ105からのストローブ信号(STB)の論理積を前記各発熱素子101−1〜101−nに出力する。
【0006】
ここで、ヘッドコントローラ105はサーマルプリンタの制御装置(CPU)106に制御され、前記クロック信号CLK、シリアル印刷データD1、ラッチ信号LATCH、ストローブ信号STBを出力する。制御装置106は、印刷用紙の副走査方向の移動、上位装置からの印刷データの入力の状況に応じてヘッドコントローラ105を制御する。
【0007】
次にこのサーマルヘッド装置100の作動について説明する。
【0008】
図11は図10に示したサーマルヘッドの作動を示すタイミングチャートである。本例に係るサーマルヘッド装置100では、所定周期のクロック信号CLK(図11(a))に従い印刷1ライン毎にシリアル印刷データD1(図11(b))をシフトレジスタ102に取り込み、データラッチ回路103が1ラインのシリアル印刷データ(D1)を取り込んだ後、ラッチ信号LATCHが発せられる(図11(c))。この状態でデータラッチ回路103にはシリアル印刷データD2が格納された状態となり、スイッチ回路104のアンドゲート104−1〜104−nにストローブ信号STBが入力されて(図11(d))各発熱素子101−1〜101−nはシリアル印刷データD2に従って発熱する。
【0009】
これにより、印刷用紙に各発熱素子101−1〜101−nの発熱状態による印刷がなされる。
【0010】
【特許文献1】特開平8−258313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、このようなサーマルヘッド装置を用いて感熱紙に印刷を行う際には、騒音が発生することがある。即ち、上述したサーマルヘッド装置100では、1ラインの印刷周期を定めるストローブ信号STBの周期(図11(c))が400μs(秒)程度として設定されることが多く、この周期で印刷を行うと、印刷ヘッド装置と印刷用紙との間で2.5kHzの振動が発生し、この振動に起因して可聴域の異音が発生するのである。
【0012】
一方、このような、サーマルプリンタにおいては、印刷密度を調整することが要望される。
【0013】
印刷密度の調整には、履歴制御と階調制御とが含まれ、履歴制御は、発熱素子に連続して電圧が印加されると、熱が蓄積して、印刷の品質が劣化するため、発熱素子への電圧の印加履歴を参照して発熱素子への電圧の印加状態を変更して、常に一定の印刷品質を実現するものである。また、階調制御は、発熱素子への電圧印加の程度を変更して発熱素子の温度を調整して、複数階調の印刷を実現するものである。
【0014】
そこで、本発明は上記課題を解決して、騒音の発生を抑制しつつ印刷密度を調整することができるサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明において、上記の課題を解決するための手段は、複数の発熱素子が列状に配置されたサーマルヘッドと、読込クロック信号に同調してシリアル印刷データを読み込みパラレル印刷データとして格納するシフトレジスタと、ラッチ信号に基づいて、前記パラレル印刷データを読み込んで格納するラッチ回路と、許可信号に基づいて前記ラッチ回路に格納されたパラレル印刷データを前記サーマルヘッドに出力するスイッチ回路と、前記読込クロックと、前記ラッチ信号と、前記許可信号と、前記シリアル印刷データとを出力するヘッド制御部と、を備え、上位装置からの出力印刷データに基づいて複数画素からなる1ラインの画像を所定の印刷周期で印刷するサーマルプリンタにおいて、前記ヘッド制御部は、前記1ラインの印刷周期を分割して複数の分割周期を生成する手段と、前記出力印刷データ及び各画素の印刷密度を指定する印刷密度レベルに基づいて前記分割周期内において指定の密度で画像を形成する密度データを生成し、この密度データを前記シリアル印刷データとして出力する手段と、前記分割周期内での前記密度レベルに対応した印加期間を設定する手段と、前記分分割周期及び前記印加期間に基づいて前記スイッチ回路に入力される許可信号を発生する手段と、を備えるサーマルプリンタである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1ラインの印刷周期は分割されるから、ストローブ信号は1ライン毎に複数発生されて高周波数のものとなるため、発生する異音も高周波数になって聞こえにくいものとなる。そして、1ラインを構成する複数の分割周期内において印刷密度制御が行え、騒音の発生を抑制しつつ印刷密度を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタについて図1ないし図9に基づいて説明する。本実施の形態は、熱履歴による制御を行うラベルプリンタへの適用例である。
【0018】
図1は、ラベルプリンタ1を概略的に示す側面図である。ハウジング4の外部に連続紙2を保持する用紙保持部3が設けられている。本実施の形態のラベルプリンタ1は、この用紙保持部3に保持された連続紙2をハウジング4の内部に引き込み、引き込んだ連続紙2に対してハウジング4の内部に収納された印刷機構5によって所定事項を印刷する。本実施の形態では、連続紙2としては、ロール状に巻回されたロール紙形態のラベル用紙又はタグ用紙が用いられる。
【0019】
ハウジング4の内部には、給紙口6から排紙口7に連なる通紙経路8が形成されており、用紙保持部3において回転自在な一対の用紙保持ローラ9に転動自在に保持された連続紙2は給紙口6から通紙経路8に引き込まれ、排紙口7から排紙されるように案内されている。
【0020】
こうして連続紙2を案内する通紙経路8には、印刷機構5が設けられている。印刷機構5は、ステッピングモータ10(図2参照)によって回転駆動される回転自在なプラテンローラ11と、このプラテンローラ11に通紙経路8を介して当接するサーマルヘッド12とを主体に形成されている。サーマルヘッド12は、プラテンローラ11と平行に配置された支軸13に回動自在に支持されたヘッド保持板14に保持されており、このヘッド保持板14は、図示しないスプリングによってサーマルヘッド12がプラテンローラ11に押し付けられる方向に付勢されている。
【0021】
ここで、印刷機構5による印刷済み連続紙2の発行形態として、本実施の形態のラベルプリンタ1では、通紙経路8において印刷機構5のすぐ下流位置に配置されたラベル剥離板15を用いて台紙からラベルを剥離して発行する剥離発行、連続紙2をそのままの形態で発行する連続発行、及び、カッタユニット16を用いて1ラベル毎に台紙をカットしてラベルを発行するか、あるいは、連続紙を所定の単位でカットして発行するカット発行という3種類の発行形態の選択が可能である。ここでは、そのための構造や制御の説明は省略する。
【0022】
図2は、ラベルプリンタ1の各部の電気的接続を示すブロック図である。プラテンローラ11を回転駆動するためのステッピングモータ10やサーマルヘッド12等の各部は、CPU17等によって構成されたマイクロコンピュータ18によって駆動制御される。つまり、各種演算処理を実行して各部を集中的に制御するCPU17が設けられ、このCPU17には固定データを固定的に格納するROM19と可変データを書換え自在に格納するRAM20とがシステムバス21を介して接続されている。ROM19には制御プログラムが格納され、マイクロコンピュータ18は、ROM19に格納された制御プログラムに従い、RAM20をワークエリアとして利用しつつ各種の処理を実行する。
【0023】
本実施の形態では、印刷機構5における印刷動作のためにマイクロコンピュータ18に駆動制御される各部として、プラテンローラ11を回転駆動するためのステッピングモータ10を駆動制御するためのモータドライバ22と、サーマルヘッド12の制御を行うヘッド制御部であるヘッドコントローラ40とが設けられている。これらのモータドライバ22及びヘッドコントローラ40は、システムバス21を介してCPU17に接続されている。
【0024】
また、本実施の形態のラベルプリンタ1は、ライン型の印刷方式を採用することから、サーマルヘッド12がライン状に備える多数個の発熱素子24(図3参照)によって主走査方向の印刷を行い、連続紙2の搬送によって生ずるサーマルヘッド12に対する連続紙2の移動によって副走査方向の印刷を行う。そこで、副走査方向の印刷のために、連続紙2の搬送タイミング等の検出が必要となり、本実施の形態では、このような検出のために透過型センサ25と反射型センサ26との2種類のセンサを含むセンサ部27が通紙経路8中に配置されている。これらの透過型センサ25と反射型センサ26とは、I/Oポート28を介してシステムバス21に接続されている。ここで、透過型センサ25は、連続紙2として用いられたラベル用紙におけるラベル間の台紙部分を検出するセンサであり、反射型センサ26は、タグ用紙に印刷された位置検出用のマークを検出するセンサである。
【0025】
さらに、本実施の形態のラベルプリンタ1では、外部機器から転送された印刷データをインターフェース29を介して取り込み、このインターフェース29を介して取り込んだ印刷データを印刷データに変換して画像メモリ30に展開する。なお、CPU17は、受信した印刷データを変換した印刷データから1ライン毎の素データを出力する。そこで、それらのインターフェース29及び画像メモリ30も、システムバス21を介してCPU17に接続されている。
【0026】
加えて、サーマルヘッド12のヘッド基板(図示せず)にはサーミスタ及びADコンバータ(いずれも図示せず)が取り付けられており、このサーミスタによる検出信号(ヘッド温度情報)はADコンバータによりデジタル値に変換されてCPU17に取り込まれるように接続されている。
【0027】
次に、サーマルヘッド12について詳述する。図3は、サーマルヘッドの構成を示すブロック図である。このサーマルヘッド12では、図示しない電源回路からの24Vを多数個、例えば432個の発熱素子24(24−1〜24−n)に選択的に印加することができるように構成されている。電圧を発熱素子24に選択的に印加するためのスイッチ回路33として、各発熱素子24に対応させて、スイッチングトランジスタとして作用する複数個のトランジスタ31(31−1〜31−n)を備える。そして、各トランジスタ31のオン・オフを制御するためのベースには、それぞれANDゲート32(32−1〜32−n)が接続され、これらのANDゲート32からの出力信号が入力されるようになっている。
【0028】
また、サーマルヘッド12には、入力されるクロック信号CLKを基準クロックとして動作するDタイプのフリップフロップ回路(FF回路)からなるシフトレジスタ34が設けられている。このシフトレジスタ34にはヘッドコントローラ40で履歴処理がされた印刷データがサーマルヘッド12の1ライン分ずつシリアル入力されるように構成されている。そして、そのシフトレジスタ34にシリアル入力された1ラインを構成する印刷データはラッチ回路35にパラレル出力されるように構成されている。各ラッチ回路35は、データラッチ信号LATCHの入力によってパラレル印刷データをANDゲート32の一方の入力端子に入力するように構成されている。
【0029】
一方、ストローブ信号STBは、ヘッドコントローラ40によって生成されてCPU17からANDゲート32のもう一方の入力端子に入力される。これにより、ANDゲート32から出力信号が発生してトランジスタ31のベースに出力される。こうして、対応する発熱素子24に電圧が印加され、発熱素子24が発熱駆動される。
【0030】
次に本例に係るラベルプリンタ1のヘッドコントローラ40について説明する。
【0031】
図4はヘッドコントローラの構成を示すブロック図である。本例に係るヘッドコントローラ40には、あらかじめ指定された分割数(正の整数、4,8,16…、本例では4)を設定しておく分割数レジスタ41と、分割数レジスタ41が格納した数(本例では4)で1ラインを印刷するのに必要な期間(本例では、400μs)を分割して分割周期(本例では100μs)毎に分割指定信号を発生する印刷周期タイマ42とを備える。また、ヘッドコントローラ40は履歴データ生成回路43を備える。この履歴データ生成回路43は、前記分割指定信号、CPU17からの1ライン毎の画像信号及び1ラインを構成する各画素の過去の印刷履歴(熱履歴)を受け、密度データ即ち1画素毎における分割周期毎の印刷データを作成する。
【0032】
図5は密度データの内容を示す説明図、図6は熱履歴制御の概要を示す表、図7は履歴データ生成回路の密度印刷データ作成の状態を示す説明図である。
【0033】
本例では、履歴データ生成回路43は、4段階の密度即ち、密度1、密度2、密度3、密度4でサーマルヘッド12の各発熱素子24−1〜24−nを駆動する。ここで各密度について説明すると、図5に示すように、密度1は1分割周期(100μs)中で30μsだけ発熱素子に通電する。同様に密度2では50μs、密度3では65μs、密度4では80μsだけ発熱素子に通電する。
【0034】
そして、本例では、1分割周期100μsのうち80μsを通電期間としてランク1〜ランク4に分割して、最初の30μsをランク1、次の20μsをランク2、さらに次の15μsをランク3、最後の15μsをランク4として管理する。これらのランクの長さは、後述するタイミングコントローラ46の階調レジスタ46aにCPU17により設定された値によって定められる。
【0035】
そして、上述した密度1をランク1の通電、密度2をランク1及びランク2の通電、密度3をランク1、ランク2及びランク3の通電、密度4をランク1、ランク2、ランク3及びランク4の通電とすることにより密度調整をする。
【0036】
また、この密度は、図6に示すように、今回印刷するドットの過去3回の印字分まで遡っての印刷履歴(熱履歴)によりCPU17が制御するものとしている。例えば、過去3回とも印刷していない場合は加熱素子が冷えているため、加熱を長時間行う必要があり密度4(80μs:ランク1+ランク2+ランク3+ランク4)とし、過去3回印刷している場合には加熱素子が冷え切っていないため、加熱時間を短縮して密度1(30μs:ランク1)とする。そして上述した以外の印字履歴に対応して、図6下段に示す密度を定めておく。この密度の設定は図6に示す例の他、実験や過去の印刷実績により適宜定めることができる。
【0037】
本例では、履歴データ生成回路43は、CPU17から入力される素印刷データについてこのような印刷履歴制御を行い、加熱素子24−1〜24−n毎の各ランクにおける加熱信号をランク1〜ランク4まで順次出力する。即ち、素印刷データが1ラインについて印刷するデータである場合でも、図7に示すように、各ドットの印刷履歴に従って密度が指定され、各ランクにおける加熱「1」又は非加熱「0」が指定され順次出力されるようになっている。
【0038】
なお、本例では、各ラインの各ドットの密度の指定は、CPU17からの指示により行われる。
【0039】
また、履歴データ生成回路43は前記分割周期信号を受け、前記履歴データ生成回路43からの密度データを1ラインの各ランクに格納するラインメモリ44と、ラインメモリ44の制御を行うラインメモリコントローラ45と、前記分割周期信号と前記ラインメモリ44からの印刷データを受けて、前記サーマルヘッド12にシリアル印刷データD1、クロック信号CLK、データラッチ信号LATCH、及び許可信号であるストローブ信号STBを出力するタイミングコントローラ46を備えている。本例では、タイミングコントローラ46には、第1ないし第4の階調レジスタ46aを備えるものとしている。この階調レジスタ46aには、CPU17から、ランク1からランク4の通電時間(本例では、30μs、20μs、15μs、15μs)が格納されている。この階調レジスタ46aの各通電時間は変更することができ、各種条件により最適な値を選択することができる。
【0040】
次に、ヘッドコントローラ40の制御下におけるサーマルヘッド12の作動について説明する。
【0041】
図8はサーマルヘッド装置の駆動状態を示すタイミングチャート、図9はサーマルヘッド装置の駆動状態を示す詳細なタイミングチャートである
本例では、タイミングコントローラ46はCPU17からの指令により、分割周期においてドット毎に加熱時間を指定する。即ち、CPU17は履歴データ生成回路43に印字履歴に基づいて設定した濃度を指定し、履歴データ生成回路43はこの指定に基づいて素画像データを加工し、順次ランク1、ランク2、ランク3、ランク4において加熱を行うかどうかを指定する画像データをラインメモリ44に出力する。
【0042】
タイミングコントローラ46は、階調レジスタ46aの設定に基づいてストローブ信号を発生し、ストローブ信号に従ってラインメモリ44の画像データをサーマルヘッド12に出力する。このように、タイミングコントローラ46からは、各ランクにおけるシリアル印刷データD1、クロック信号CLK、データラッチ信号LATCH、及びストローブ信号STBが発生される。
【0043】
サーマルヘッド12では、図8(a)、(b)に示すように、1ラインのすべてのランク毎にシリアル画像データD1をクロック信号CLKに従ってシフトレジスタ34に格納していく。このシリアル画像データD1は、図7に示した1ドット中の各ランクにおいて指定される信号であり、本例では1つの分割周期において4つのランク毎に発生される。本例では、4つ分割周期(4×100μs)で1ラインの印刷周期(400μs)が形成される。即ち、1ラインの印刷周期中には4つの分割周期があり、1つの分割周期は4つのランクに分割して画像データが入力制御される。そして、本例では、1ラインは4つの分割領域から構成されているから、ステッピングモータ10は1ラインごとに印刷用紙を送るようCPU17に制御される。即ち、印刷用紙の1ラインでは同じ個所を、4回の分割領域として印刷を行うこととなる。
【0044】
ラッチ回路35はラッチ信号LTCH1を受ける度にANDゲート32−1〜32−2に画像信号を出力し、ANDゲート32−1〜32−nはこの画像信号とストローブ信号STBを基づいてトランジスタ31をオンにして対応する発熱素子24−1〜24−nに電圧が印加され、発熱駆動される。
【0045】
本例では、1つの分割周期でみると、図5に示すように、指定された濃度に応じて、濃度4のときは80μs(ランク1+ランク2+ランク3+ランク4)、濃度3のときは65μs(ランク1+ランク2+ランク3)、濃度2のときは50μs(ランク1+ランク2)、濃度1のとき30μs(ランク1)の間発熱素子が加熱される。
【0046】
そして、図8(a)に示すように、1ラインの印刷周期(400μs)中には、4つの分割周期が設定され、各分割周期には4つのランクが設定される。
【0047】
例えば、ラインが濃度4で印刷されるときには、図8(b)に示すように、各分割周期中のランク1〜ランク4の範囲で加熱が行われることとなる。また、ラインが濃度1で印刷されるときには、図8(c)に示すように、各分割周期中のランク1だけが加熱が行われることとなる。同様に、濃度3で印刷されるときには、ランク1+ランク2+ランク3の範囲で加熱され、濃度2で印刷されるときには、ランク1+ランク2の範囲で加熱されて印刷されることとなる。
【0048】
従って、本例に係るラベルプリンタ1によれば、1ラインの印刷周期を4つに分割して各分割領域において印刷履歴に基づいて印刷制御を行うようにしたので、サーマルヘッドの加熱によって発生する異音が高周波数になって聞こえにくいものとなる。そして、1ラインを構成する複数の分割周期内において印刷密度制御を行うものとしているので印刷品質を良好なものとすることができる。
【0049】
なお、上記例では印刷密度の制御をサーマルヘッドの熱履歴に対応して行うようにしているが、印刷密度の制御を各印刷ドットの階調制御に用いることができる。この場合には、濃度1〜濃度Nに対応して1分割周期内でランクを設定して所定数のランクにおいて加熱ヘッドに通電するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベルプリンタの構成を示す側面図である。
【図2】ラベルプリンタの電気的接続を示すブロック図である。
【図3】ラベルプリンタのサーマルヘッドの構成を示す回路図である。
【図4】ヘッドコントローラの構成を示すブロック図である。
【図5】密度データの内容を示す説明図である。
【図6】熱履歴制御の概要を示す表である。
【図7】履歴データ生成回路の密度印刷データ作成の状態を示す説明図である。
【図8】ラベルプリンタの駆動状態を示すタイミングチャートである。
【図9】ラベルプリンタの駆動状態を示す詳細なタイミングチャートである。
【図10】従来のサーマルヘッド装置の構成を示すブロック図である。
【図11】従来のサーマルヘッド装置の作動を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1…ラベルプリンタ,12…サーマルヘッド,33…スイッチ回路,34…シフトレジスタ,35…ラッチ回路,40…ヘッドコントローラ,41…分割数レジスタ,42…印刷周期タイマ,43…履歴データ生成回路,44…ラインメモリ,45…ラインメモリコントローラ,46…タイミングコントローラ,46a…階調レジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱素子が列状に配置されたサーマルヘッドと、
読込クロック信号に同調してシリアル印刷データを読み込みパラレル印刷データとして格納するシフトレジスタと、
ラッチ信号に基づいて、前記パラレル印刷データを読み込んで格納するラッチ回路と、
許可信号に基づいて前記ラッチ回路に格納されたパラレル印刷データを前記サーマルヘッドに出力するスイッチ回路と、
前記読込クロックと、前記ラッチ信号と、前記許可信号と、前記シリアル印刷データとを出力するヘッド制御部と、
を備え、上位装置からの出力印刷データに基づいて複数画素からなる1ラインの画像を所定の印刷周期で印刷するサーマルプリンタにおいて、
前記ヘッド制御部は、
前記1ラインの印刷周期を分割して複数の分割周期を生成する手段と、
前記出力印刷データ及び各画素の印刷密度を指定する印刷密度レベルに基づいて前記分割周期内において指定の密度で画像を形成する密度データを生成し、この密度データを前記シリアル印刷データとして出力する手段と、
前記分割周期内での前記密度レベルに対応した印加期間を設定する手段と、
前記分割周期及び前記印加期間に基づいて前記スイッチ回路に入力される許可信号を発生する手段と、
を備えることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記印加時間は、前記分割周期をあらかじめ複数の区間として設定しておき、印刷密度により定まる1又は複数の区間を指定して決定することを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記ヘッド制御部は、前記複数の区間毎に前記シフトレジスタにシリアル印刷データを出力することを特徴とする請求項1又は2記載のサーマルプリンタ。
【請求項1】
複数の発熱素子が列状に配置されたサーマルヘッドと、
読込クロック信号に同調してシリアル印刷データを読み込みパラレル印刷データとして格納するシフトレジスタと、
ラッチ信号に基づいて、前記パラレル印刷データを読み込んで格納するラッチ回路と、
許可信号に基づいて前記ラッチ回路に格納されたパラレル印刷データを前記サーマルヘッドに出力するスイッチ回路と、
前記読込クロックと、前記ラッチ信号と、前記許可信号と、前記シリアル印刷データとを出力するヘッド制御部と、
を備え、上位装置からの出力印刷データに基づいて複数画素からなる1ラインの画像を所定の印刷周期で印刷するサーマルプリンタにおいて、
前記ヘッド制御部は、
前記1ラインの印刷周期を分割して複数の分割周期を生成する手段と、
前記出力印刷データ及び各画素の印刷密度を指定する印刷密度レベルに基づいて前記分割周期内において指定の密度で画像を形成する密度データを生成し、この密度データを前記シリアル印刷データとして出力する手段と、
前記分割周期内での前記密度レベルに対応した印加期間を設定する手段と、
前記分割周期及び前記印加期間に基づいて前記スイッチ回路に入力される許可信号を発生する手段と、
を備えることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記印加時間は、前記分割周期をあらかじめ複数の区間として設定しておき、印刷密度により定まる1又は複数の区間を指定して決定することを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記ヘッド制御部は、前記複数の区間毎に前記シフトレジスタにシリアル印刷データを出力することを特徴とする請求項1又は2記載のサーマルプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−36819(P2008−36819A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209506(P2006−209506)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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