説明

サーマルプリンタ

【課題】複雑な機構を設けることなく印刷パターンの異なる記録紙を仕分けすることができ、使用者にとって排出用紙を受け取りやすくすることができるサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】記録紙P1の搬送方向における印刷ユニット21より下流側に、サーマルヘッド30により印刷された記録紙P1を外部に排出するためのプレゼンタ70が設けられ、このプレゼンタ70が回動シャフト23に回動可能に支持されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙から引き出された記録紙に各種の情報を印刷するサーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタは、熱を加えると変色する特殊な記録紙に熱したサーマルヘッドを押し付けることで印刷を行うものであり、現在様々な種類のものが数多く提供されている。特に、トナーやインク等を使用せずに、滑らかな文字の印刷や多彩なグラフィック印字が可能なため、例えば駐車場或いはセルフ式のガソリンスタンドにおける給油機の精算機や、各種の飲食店舗内等に設置される券売機、銀行のATM(Automatic Teller Machine)等の筐体に組み込まれ、各種ラベル、レシートやチケットの印刷等に好適に使用されている。
【特許文献1】特開昭61−287661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した精算機、券売機、ATM等のうち、例えば券売機においては、購入したチケットとチケットを購入したことを証明するためのレシートとが同一の券売機から発行される場合がある。この場合、上述したサーマルプリンタでは、1つのサーマルプリンタから異なる印刷パターンで印刷された用紙を、印刷パターンに応じて仕分けしながら排出するといった多様な使い方ができなかった。
【0004】
これに対して、例えば特許文献1では、複写機や、レーザプリンタ、液晶プリンタ、イオンプリンタ、印刷装置等の画像形成装置において、排出用紙のグループ毎に用紙の排出方向とは異なる方向(左右方向)に排紙トレイを移動させるスライドユニットを備え、排出される用紙をグループ毎に仕分けする構成が知られている。
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1の構成では、排出トレイがスライドすることにより排出用紙を仕分けする構成であるため、排出トレイをスライドさせるために複雑な機構を設ける必要がある。その結果、装置の大型化及び製造コストの増加に繋がる。
また、例えば筐体内にサーマルプリンタを備えた券売機に、上述した特許文献1の構成を採用した場合、排出トレイがスライドする構成では、使用者にとってレシートやチケットが受け取り難くなる。さらに、排出トレイは筐体の外部に露出しており、上述した券売機の場合等では不特定多数の使用者が排出トレイに触れるため、排出トレイに負荷がかかり、早期故障の原因となる。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に考慮してなされたものであって、複雑な機構を設けることなく印刷パターンの異なる記録紙を仕分けすることができ、使用者にとって排出用紙を受け取りやすくすることができるサーマルプリンタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明に係るサーマルプリンタは、連続供給される記録紙に印刷を行うサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドとの間に前記記録紙を挟んだ状態で回転することで前記記録紙を送り出すプラテンローラと、印刷後の前記記録紙を切断する切断部材と、前記切断部材により切断された前記記録紙を外部に排出するためのプレゼンタと、を備え、前記プレゼンタは前記記録紙の排出方向を異ならせるように移動可能に構成されていることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、プレゼンタを移動可能に構成したため、サーマルヘッドにて印刷された記録紙を、印刷パターンに応じてそれぞれ異なる排出方向に排出することができる。すなわち、印刷パターンによって記録紙の排出方向を異ならせることで、印刷パターンに応じて自動的に記録紙が仕分けすることができるため、例えば券売機等においてレシートやチケットを区別した状態で受け取ることができる。
特に、券売機等の筐体内に組み付けられるプレゼンタを移動可能にすることで、印刷された記録紙を仕分けすることができるため、従来のように筐体の外側の排出トレイを移動(スライド)可能に構成した場合に比べて、複雑な機構を設ける必要がない。また、印刷パターン毎に独立したサーマルプリンタを筐体内に組み込む必要もない。これにより、装置の大型化や製造コストの増加を抑えた上で、簡素な構成で記録紙の仕分けを実現することができる。
また、サーマルヘッドで印刷された記録紙は、券売機等の筐体に形成された排出口から排出されることになる。つまり、予め定められた場所から記録紙が排出されるため、使用者にとって記録紙が受け取りやすく、記録紙の受け取り作業に戸惑うこともない。さらに、記録紙を仕分けする機構(プレゼンタ)が筐体の内部に組み込まれることになるため、サーマルプリンタ自体が筐体の外部に露出することはない。これにより、使用者はプレゼンタに触れることがないため、サーマルプリンタを使用するにあたってサーマルプリンタに負荷がかかることもない。したがって、サーマルプリンタの早期故障を防ぐことができる。
【0009】
また、本発明に係るサーマルプリンタは、前記プレゼンタが、前記記録紙の面方向に交差する方向に回動可能に構成されており、前記プレゼンタには、回動方向における一端位置及び他端位置に向かって前記プレゼンタを付勢する弾性部材が設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、例えばプレゼンタが下方に向けて押し下げられ、中立位置を越えて一端位置との間に配置されると、プレゼンタは弾性部材により一端位置に向かって付勢される。逆に、プレゼンタが上方に向けて押し上げられ、中立位置を越えて他端位置との間に配置されると、プレゼンタは弾性部材により他端位置に向かって付勢される。これにより、プレゼンタが中立位置を越えることで、その後は押圧力を必要とせずに自動的に一端位置または下端位置までプレゼンタを容易に回動させることができる。そして、一端位置及び他端位置に向けてプレゼンタを付勢することで、一端位置または他端位置にプレゼンタを確実に向けることができるため、簡素な構成で所定の排出方向に向けて確実に記録紙を排出することができる。
【0010】
また、本発明に係るサーマルプリンタは、前記プラテンローラと前記プレゼンタとの間には、前記プレゼンタの移動に追従して前記プラテンローラと前記プレゼンタとの間を架け渡すガイドが設けられていることを特徴としている。
この構成によれば、例えば、プレゼンタが他端位置にある場合において、プレゼンタとプラテンローラとの間の距離が広い場合に、プレゼンタの回動に追従してプレゼンタとプラテンローラとの間がガイドによって架け渡される。これにより、プラテンローラから送り出された記録紙がガイド上を伝って確実にプレゼンタまで導かれるため、プレゼンタが移動した場合であってもプレゼンタとプラテンローラとの間で記録紙が脱落することがない。したがって、記録紙を確実に外部へ排出することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るサーマルプリンタによれば、プレゼンタを移動可能に構成したため、サーマルヘッドにて印刷された記録紙を、印刷パターンに応じてそれぞれ異なる排出場所に排出することができる。すなわち、印刷パターンによって記録紙の排出場所を異ならせることで、印刷パターンに応じて自動的に記録紙が仕分けされるため、例えば券売機等においてレシートやチケットを区別した状態で受け取ることができる。
特に、券売機等の筐体内に組み付けられるプレゼンタを回動可能にすることで、記録紙を仕分けすることができるため、従来のように筐体の外側の排出トレイを移動(スライド)可能に構成した場合に比べて、複雑な機構を設ける必要がない。これにより、装置の大型化や製造コストの増加を抑えた上で、簡素な構成で記録紙の仕分けを実現することができる。
また、サーマルヘッドで印刷された記録紙は、券売機等の筐体に形成された排出口から排出されることになる。つまり、予め定められた場所から記録紙が排出されるため、使用者にとって記録紙が受け取りやすく、受け取り作業に戸惑うこともない。さらに、記録紙を仕分けする機構(プレゼンタ)が筐体の内部に組み込まれることになるため、サーマルプリンタ自体が筐体の外部に露出することはない。これにより、使用者はプレゼンタに触れることがないため、サーマルプリンタを使用するにあたってサーマルプリンタに負荷がかかることもない。したがって、サーマルプリンタの早期故障を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(サーマルプリンタ)
次に、本発明の実施形態を図1〜5に基づいて説明する。図1は、サーマルプリンタの斜視図であり、図2は図1のA矢視図である。なお、図1〜5においては、発明を理解し易くするために、適宜構成部品の一部を省略したり、形状を単純化したりする等、図示を簡略化している。
図1,2に示すように、本実施形態のサーマルプリンタ1は、中空孔10を有する円筒形状の芯管11に記録紙P1が巻回されてなるロール紙Pがセットされ、このロール紙Pから引き出された記録紙P1に印刷を行うものである。なお、本実施形態のロール紙Pは、その外径サイズが6インチのロール紙Pを用いている。
【0013】
サーマルプリンタ1は、例えば、各種の飲食店舗内に設置される券売機等に組み込まれて使用されるものであって、本実施形態では券売機の筐体B(図2参照)内に設けられている。また、筐体Bの前面には、その高さ方向に沿ってスリット状の排出口100,101が形成されている。これら排出口100,101は、サーマルプリンタ1によって印刷された記録紙P1を排出するためのものであり、一方の排出口(例えば、上段排出口)100からは購入したチケットが、他方の排出口(例えば、下段排出口)101からはチケットを購入したことを証明するレシートが排出される。つまり、異なる印刷パターンで印刷された記録紙P1が、それぞれ異なる排出口100,101から排出されるようになっている。
【0014】
サーマルプリンタ1は、図示しないケーシング内に内装されたベース15と、このベース15上に設けられたロール紙保持機構20、印刷ユニット21、及びプレゼンタ70を備えている。
ベース15は、ステンレス等の金属材料により構成されており、底部パネル16と、この底部パネル16の長手方向一端側(図2における左側)における両側が底部パネル16の高さ方向(底部パネル16の厚さ方向)に切り起こされた突部17と、底部パネル16の長手方向他端側における両側から底部パネル16の高さ方向に向けて延出する側部パネル18と、各側部パネル18間を架け渡すように形成された上部パネル19とを備えている。
【0015】
上部パネル19上には、ロール紙Pが保持されるロール紙保持機構20が設けられており、このロール紙保持機構20から印刷ユニット21に向けて記録紙P1が供給されることで、印刷ユニット21にて記録紙P1への印刷が行われる。
【0016】
(ロール紙保持機構)
上述したロール紙保持機構20は、上部パネル19上に設けられたホルダ51と、ホルダ51に支持されたシャフト52とを備えている。
ホルダ51は、上部パネル19と面同士で連結された下壁53と、下壁53の幅方向両側が垂直に屈曲され、鉛直方向に延びる一対の側壁54とで構成された側面視C字状の部材であり、一対の側壁54間はロール紙Pを収容する収容部を構成している。
側壁54は、幅方向前側(印刷ユニット21側)に形成された前方部54aと、幅方向後側で前方部54aと一体形成され、前方部54aより高さ方向に高く形成された後方部54bとで構成されている。前方部54a及び後方部54bの先端は、側壁54間が広がる方向(外側)に向けて屈曲形成されている。
【0017】
前方部54aにおける後側には、シャフト52が支持される第1支持部55が形成されている。この第1支持部55は、前方部54aの上端縁から高さ方向に沿って切り欠かれた溝であり、その上端側で鉛直方向に切り欠かれた鉛直部55aと、下端側で溝の幅が漸次先細るように形成された側面視V字状の保持部55bとで構成されている。鉛直部55aの幅は、シャフト52の後述するポール61の軸方向に垂直な断面の対角線の長さより長く形成されている。保持部55bは、例えば45度程度で傾斜した状態で下方に向かうにつれて先細っており、シャフト52を保持する部位である。保持部55bの下端には、保持部55bのなす角が例えば90度で交わった交点部55cが形成されている。つまり、第1支持部55の交点部55cは、第1支持部55の最下部に一点で交わるようになっている。
【0018】
一方、後方部54bにおける幅方向中間位置には、シャフト52が支持される第2支持部56が形成されている。この第2支持部56は、上述した第1支持部55と同様の構成からなり、上端から鉛直部56a、保持部56b、及び交点部56c(図2参照)が形成されている。
このように、本実施形態のサーマルプリンタ1は、シャフト52を支持する支持部55,56がホルダ51に2箇所形成されており、第1支持部55または第2支持部56の任意の保持部55b,56bにシャフト52を支持させるようになっている。この場合、第2支持部56は、第1支持部55より高さ方向において高い位置に形成されている。つまり、サーマルプリンタ1は、ロール紙Pの外径サイズに応じてロール紙Pを保持させる支持部55,56を変更できるようになっており、具体的には比較的大径のロール紙Pを第2支持部56に支持させ、比較的小径のロール紙Pを第1支持部55に支持させるように設定することが好ましい。なお、本実施形態で用いるロール紙Pは、外径サイズが6インチであるため、ロール紙Pは第2支持部56に支持されている。
【0019】
シャフト52は、ロール紙Pを挿通した状態でホルダ51の支持部(本実施形態では、第2支持部56)内に向けて投げ込むようにセットするものであり(いわゆる、ドロップイン式)、ロール紙Pの芯管11の中空孔10内に挿通され、ロール紙Pを支持するシャフト本体60と、上述した第2支持部56内に収容可能な一対のポール61とで構成されている。
シャフト本体60は、円柱形状のものであり、その外径がロール紙Pの芯管11の内径よりも小さく形成されている。つまり、ロール紙Pの芯管11の中空孔10内にシャフト本体60が挿通された状態で、ロール紙Pの芯管11の中空孔10とシャフト本体60との外周面との間は間隙を有しており、シャフト52に対してロール紙Pが回転可能になっている。
【0020】
ポール61は、シャフト52の両端面の中心からシャフト52の軸線方向に延出した軸線方向に垂直な断面が略正方形状のものであり、その先端部分の角部には面取りが施されている。そして、シャフト52は、ポール61の軸線方向に垂直な面の対角線が鉛直方向と一致した状態でホルダ51の第2支持部56に支持されることになる。具体的には、ポール61の頂点と第2支持部56の交点部56cとが一致するとともに、ポール61の2辺が第2支持部56の保持部56bに当接した状態で支持される。このように、シャフト52のポール61の2辺が第2支持部56の保持部56bに支持されているため、ロール紙Pが回転する際に生じる摩擦力がシャフト52に作用した場合でも、シャフト52はホルダ51に対して回転しないようになっている。つまり、ロール紙Pはシャフト52に対して回転可能に構成されている一方で、シャフト52はホルダ51に対して回転不能に構成されている。
【0021】
(印刷ユニット)
一方、ベース15の突部17には、各突部17間を架け渡すように回動シャフト23が支持されており、この回動シャフト23を介して印刷ユニット21及びプレゼンタ70が回動可能に支持されている。また、回動シャフト23にはトーションスプリング等の弾性部材24が設けられており、この弾性部材24の一端側が底部パネル16の上面に当接している一方、他端が印刷ユニット21に当接することで、印刷ユニット21が時計回りに付勢されている。印刷ユニット21のケーシング25の長手方向(図2における紙面奥行方向)における一方の側壁には、回動可能なレバー(図2参照)22が設けられており、このレバー22が一方の側部パネル18(図2における紙面奥側)に形成された図示しないフックに係止されている。そして、このレバー22を回動させることで、レバー22とフックとの係止が解除されて印刷ユニット21を反時計回りに回動させることができるようになっている。例えば、用紙交換時等において、印刷ユニット21を反時計回り回動させることにより、ロール紙保持機構20と印刷ユニット21との間の距離が拡大される。これにより、ロール紙Pをセットする際、またセットしたロール紙Pから記録紙P1を印刷ユニット21まで引き回す際におけるセット動作や引き回し動作を容易に行うことができる。
【0022】
図3は、図1のC−C’線に沿う断面図であり、印刷ユニット及びプレゼンタの一部破断断面図である。
図1〜3に示すように、印刷ユニット21には、ケーシング25内にサーマルヘッド30、プラテンローラ31及び切断部材32が設けられている。ケーシング25は、直方体形状のものであり、その幅方向後壁25a(記録紙P1の搬送方向における上流側の端面)に形成され、ロール紙Pから引き出された記録紙P1が搬送される受入口26と、前壁(記録紙P1の搬送方向における下流側の端面)25bにおいて受入口26に対向配置され、印刷ユニット21内で印刷された記録紙P1が排出される排出口27とを備えている。これら受入口26及び排出口27は、ケーシング25の下部においてケーシング25の長手方向に沿って形成されたスリット状の開口部であり、受入口26から排出口27に至る間にサーマルヘッド30、プラテンローラ31及び切断部材32が配置されている。
【0023】
また、受入口26の内周縁には、記録紙P1を印刷ユニット21内へ案内する第1案内部材33が設けられている。この第1案内部材33は、受入口26の上部内周縁に設けられた上側ガイド34と、下部内周縁に設けられた下側ガイド35とで構成されており、これらガイド34,35間は記録紙P1が搬送される案内路36となっている。各ガイド34,35の基端は、受入口26の内周縁を覆うように設けられており、互いの対向面は弧状に面取りが施されている。そして、各ガイド34,35は、基端から先端にかけて互い上方に傾斜した状態で印刷ユニット21内(サーマルヘッド30)に向けて延出している。
【0024】
サーマルヘッド30は、第1案内部材33の上側ガイド34の上方に隣接するように配置された断面略矩形状のものであり、その長手方向と記録紙P1の幅方向とが一致した状態で配置されている。サーマルヘッド30は、印刷ユニット21内に搬送された記録紙P1に対して印刷を行うものであり、記録紙P1の幅方向に沿って多数の発熱素子を有している。これら発熱素子は、図示しない制御部からの信号に基づいて、それぞれ発熱するように制御されており、発熱素子の発熱を制御することで各種の文字や図形等を記録紙P1の印字面(図3における記録紙P1の上面)へ印刷することが可能となっている。また、サーマルヘッド30は、コイルバネ等の弾性部材39によってプラテンローラ31側に付勢された状態となっている。
【0025】
プラテンローラ31は、第1案内部材33によって案内された記録紙P1を間に挟んだ状態でサーマルヘッド30に外周面が接触するように、サーマルヘッド30に対して対向配置されている。このプラテンローラ31の一端側には、図示しない従動ギアが固定されており、図1に示すモータ(例えば、ステッピングモータ)40によって回転する図示しない歯車伝達機構に噛合するようになっている。これにより、プラテンローラ31は、モータ40からの回転駆動力によって回転するようになっており、記録紙P1を排出口27側(下流側)へ送り出したり、受入口26側(上流側)に引き戻したりするようになっている。つまりモータ40は、図示しない制御部の信号を受けて正逆回転可能になっている。
【0026】
また、プラテンローラ31に対して搬送方向における下流側には、サーマルヘッド30を通過して印刷が行われた記録紙P1を切断するための切断部材32が設けられている。この切断部材32は、記録紙P1より下側に設けられ、記録紙P1の裏面に接触可能な固定刃37と、記録紙P1を間に挟んで固定刃37の反対側に設けられ、制御部によって制御される図示しないモータにより記録紙P1の搬送方向に略直交する方向(上下方向)にスライド可能に設けられた可動刃38とを備えている。なお、サーマルプリンタ1は、上述したように各種の電子機器が搭載された図示しない制御部を備えている。この制御部は、サーマルヘッド30に電気信号や制御信号を出力したり、プラテンローラ31や切断部材32を駆動するモータ(例えば、モータ40)に制御信号を出力したりして、各構成品の総合的な制御を行っている。
【0027】
切断部材32とサーマルヘッド30との間には、サーマルヘッド30を通過した記録紙P1を切断部材32まで案内するための第2案内部材41が設けられている。この第2案内部材41は、上述した第1案内部材33と同様に記録紙P1より下側に設けられた下側ガイド42と、記録紙P1を間に挟んで下側ガイド42の反対側に設けられた上側ガイド43とで構成されており、これら各ガイド42,43間に記録紙P1が通過する案内路44が形成されている。この案内路44は、その受入口26から排出口27にかけてその高さ方向の幅が漸次縮小するように構成されている。
【0028】
印刷ユニット21のケーシング25における後壁25aには、後壁25aからベース15の長手方向他端側(後側)に向けて平行に延出する一対の延出壁25cが形成されている。延出壁25cの上部には、下方から上方に向けて前側に傾斜する長溝45が形成されており、この長溝45にはテンションローラ46がスライド可能に支持されている。このテンションローラ46は、その両端側に形成されて長溝45内に挿通された支持部47と、両支持部47の間に形成され、支持部47より外径が拡大したローラ本体48とで構成されている。
ローラ本体48は、ゴム等からなる円柱形状のものであり、その外周面が記録紙P1に接触可能に構成されている。そして、ロール紙保持機構20から供給される記録紙P1はローラ本体48の下側を通過して、ローラ本体48により略90度折り返された状態で印刷ユニット21の受入口26に供給されている。
【0029】
一方、延出壁25cの下部であって、長溝45の延長線上には、互いの延出壁25cの外面から立設されたポール49が形成されている。そして、テンションローラ46の支持部47とポール49との間には、コイルバネ等の弾性部材50が介在している。この弾性部材50は、テンションローラ46とポール49とを接近させる方向にテンションローラ46を付勢しており、これにより、テンションローラ46は初期位置において、長溝45の下端部に位置するようになっている。
【0030】
そして、テンションローラ46は、記録紙P1を下方に向けて押圧した状態、すなわち記録紙P1に張力を与えるように付勢した状態で支持している。これにより、記録紙P1は、ロール紙保持機構20と印刷ユニット21との間で、テンションローラ46により張力を付与された状態で印刷ユニット21まで導かれている。また、テンションローラ46は、ロール紙保持機構20と印刷ユニット21との間で架け渡される記録紙P1の張力に応じて記録紙P1の搬送方向に交差する方向に長溝45上をスライドするようになっている。これにより、ロール紙保持機構20と印刷ユニット21との間でロール紙Pから供給される記録紙P1に付与される張力が調整されるようになっている。
【0031】
(プレゼンタ)
図4,5はプレゼンタの拡大側面図であり、図4は上端位置に配置されたプレゼンタ、図5は下端位置に配置されたプレゼンタを示している。
図1〜5に示すように、プレゼンタ70は、印刷ユニット21にて印刷されて排出口27(図1参照)から排出される記録紙P1を一時保持(ループ)し、記録紙P1への印刷が完全に終了して切断部材32により切断された後に筐体Bの排出口100,101に向けて記録紙P1を排出するものである(図3中鎖線参照)。
プレゼンタ70は、金属製のフレーム75と、このフレーム75に組み付けられた搬送ローラ76と、搬送ローラ76の回転に追従して回転する従動ローラ77とを備え、上述した回動シャフト23に印刷ユニット21とともに回動可能に支持されている。なお、以下の説明では、プレゼンタ70が上端位置Hに配置されている場合について説明する。そして、プレゼンタ70の上方を図4における上方とし、プレゼンタ70の側方を図4の紙面垂直方向として説明する。
【0032】
プレゼンタ70のフレーム75は、一対の側部フレーム71,72と、これら側部フレーム71,72の先端部71c,72cから側部フレーム71,72間を架け渡すように形成された下部フレーム73と、下部フレーム73と間隙を空けた状態で下部フレーム73に対向配置された上部フレーム74とで構成されている。
【0033】
側部フレーム71,72は、平板状の部材であり、印刷ユニット21のケーシング25の側壁を外側から覆うように形成された基端部71aと、基端部71aの先端が内側に屈曲形成された屈曲部71bと、屈曲部71bの先端が記録紙P1の搬送方向における下流側に向けて基端部71aの延出方向と平行に屈曲形成された先端部71c,72cとで構成されている。なお、側部フレーム72の基端部及び屈曲部は、図示を省略する。
【0034】
下部フレーム73は、側部フレーム71,72の先端部71c,72c側が記録紙P1の幅方向に向けて屈曲形成されたものであり、側部フレーム71,72間を記録紙P1の幅方向に沿って延出している。下部フレーム73には、その長手方向(記録紙P1の幅方向)に沿って複数の搬送ローラ76が配列されている。これら搬送ローラ76は、下部フレーム73の下面側に沿って延出するローラシャフト82に支持されており、下部フレーム73を厚さ方向に沿って形成された貫通孔(不図示)から搬送ローラ76の上側の一部が下部フレーム73の上面側を臨むように配置されている。搬送ローラ76は、樹脂等からなり、その外周面にはゴム等のOリングが取り付けられている。また、上述したローラシャフト82は、側部フレーム71,72の先端部71c,72cで回転可能に支持されている。ローラシャフト82の一端側(側部フレーム71側)には、従動ギア83が固定されており、側部フレーム71の内面側に組み付けられたモータ81からの駆動力が伝達されるようになっている。すなわち、モータ81のモータシャフトには、ギア84が固定されており、このギア84から歯車伝達機構86を介して搬送ローラ76の従動ギア83へモータ81の駆動力が伝達されるように構成されている。
【0035】
また、下部フレーム73は、記録紙P1の搬送方向における中途部において、下流側(図3における左側)から上流側にかけて下側に向けて傾斜する傾斜部73a(図3参照)が形成されている。この傾斜部73aは、印刷ユニット21の受入口26における下側内周縁に近接する位置まで延出している。
【0036】
上部フレーム74は、下部フレーム73の上面との間に間隙を有した状態で下部フレーム73に平行に対向配置された天板部74aと、この天板部74aの両側方から下部フレーム73に向けて屈曲形成され、下部フレーム73に連結された足部74bとで形成されている。つまり、上部フレーム74の天板部74aと下部フレーム73との間には、足部74の高さ寸法分のスリット状の間隙が形成されており、この間隙が印刷ユニット21より印刷された記録紙P1が搬送される搬送路88を構成している。
【0037】
天板部74aの上面側には、天板部74aの長手方向(記録紙P1の幅方向)に沿って複数(例えば、2つ)の従動ローラ77が配列されている。この従動ローラ77は、天板部74aの上面に沿って延出するローラシャフト87に支持されており、天板部74aを厚さ方向に沿って形成された貫通孔74fから従動ローラ77の下側の一部が天板部74aの下面側に臨むように配置されている。従動ローラ77は、印刷ユニット21の排出口27から排出された記録紙P1を間に挟んだ状態で、上述した搬送ローラ76の外周面に接触するように搬送ローラ76に対向配置されている。つまり、従動ローラ77は、搬送ローラ76との摩擦力により搬送ローラ76の回転に追従して回転するものであり、搬送ローラ76とともに記録紙P1を排出口100,101に向けて送り出すものである。なお、上述したローラシャフト87は、貫通孔74fの周縁が天板部74aの上方に向けて切り起こされた突部74cにより回転可能に支持されている。また、ローラシャフト87の両端は、天板部74aの両端側が天板部74の上方に向けて切り起こされた突部74dに当接可能に構成されており、ローラシャフト87の軸方向への移動が規制されている。
【0038】
また、天板部74aは、記録紙P1の搬送方向における下流側(図3における左側)の端部において、上方へ向けて湾曲する湾曲部74eが形成されている。この湾曲部73eの内面は、記録紙P1を保持した状態において上面(印字面)が接触する面であり(図3参照)、下側フレーム73の傾斜部73aより短く形成されている。これにより、湾曲部74eとケーシング25の前壁25bとの間には、記録紙P1をループするためのループスペースSが形成されている。
そして、下部フレーム73と上部フレーム74との間に形成される搬送路88は、上流側において、下部フレーム73の傾斜部73aの先端から基端にかけて漸次先細るように形成された受入口88aを構成している。一方、下流側では一定の高さを有した状態で、印刷された記録紙P1を筐体Bの排出口100,101に排出するための排出口88bを構成している。
【0039】
ここで、側部フレーム71における基端部71aの下部には、上述した回動シャフト23が挿通されている。そして、プレゼンタ70は回動シャフト23を回動中心として回動可能に構成されている。また、回動シャフト23の上方には、基端部71aから外側に向けて突出するピン78が設けられている。なお、上述した印刷ユニット21のケーシング25の下部にも側壁から外側に向けて突出するピン79が形成されている。これらピン78,79間には、コイルバネ等の弾性部材80が連結されており、プレゼンタ70をその上端位置H及び下端位置(回動位置)Lに向けて付勢している。つまり、弾性部材80は、プレゼンタ70が上端位置Hまたは下端位置Lに位置している場合に略自然長となっており、上端位置Hと下端位置Lとの間の中間位置で最も伸びた状態(弾性力が最大)となる。なお、プレゼンタ70は図示しない回動手段(例えば、モータ等)により自動で回動可能となっており、制御部からの信号に基づいて記録紙P1の排出方向が決定され、プレゼンタ70を上端位置Hまたは下端位置Lへ回動させるように構成されている。
【0040】
このように、本実施形態のプレゼンタ70は、回動シャフト23を介して上端位置Hまたは下端位置Lの2段階に位置変更可能に構成されている。具体的には、プレゼンタ70の上端位置Hでは、屈曲部71bの内側が印刷ユニット21のケーシング25の下部に形成されたストッパ25d(図5参照)に突き当たることでプレゼンタ70の搬送路88と、印刷ユニット21の排出口27及び筐体Bの排出口100とが高さ方向における略同位置に配置されている。そして、プレゼンタ70に供給された記録紙P1は、搬送路88内を通過して筐体Bの排出口100から排出されることにより、使用者が記録紙P1を受け取れるようになっている。
一方、図5に示すように、プレゼンタ70の下端位置Lでは、側部フレーム71の先端部71cが底部パネル16の端部に形成されたストッパ16aに突き当たった状態となっており、搬送路88が筐体Bの排出口101に向けて傾斜している。そして、プレゼンタ70に供給された記録紙P1は、搬送路88内を通過して筐体Bの排出口101から排出されることにより、使用者が記録紙P1を受け取れるようになっている。
【0041】
また、上述した下部フレーム73における傾斜部73aの上面には、印刷ユニット21の排出口27からプレゼンタ70の搬送路88における受入口88aまで記録紙P1を案内するガイド89が設けられている。このガイド89は、樹脂等からなる可撓性を有する薄板であり、一端が傾斜部71aの上面に片持ち状に連結され、プレゼンタ70の回動に追従して印刷ユニット21とプレゼンタ70との間を架け渡すように構成されている。すなわち、ガイド89は、プレゼンタ70の上端位置Hにおいて印刷ユニット21のケーシング25と底部パネル16との間に収容され、プレゼンタ70の下端位置Lにおいて印刷ユニット21のケーシング25と底部パネル16との間から引き出されてケーシング25とプレゼンタ70との間を架け渡している(図5参照)。
【0042】
(サーマルプリンタの作動方法)
次に、図1〜5に基づいて上述したサーマルプリンタの作動方法について説明する。以下の説明では、主として記録紙P1の仕分け方法について説明する。
始めに、初期状態として、ホルダ51にロール紙Pがセットされ、ロール紙Pの記録紙P1が印刷ユニット21の受入口26から排出口27まで導かれているものとする。
まず使用者が券売機の操作パネル(不図示)を操作すると、サーマルプリンタ1の制御部がその操作目的や印刷する情報量等に応じて、記録紙P1に印刷を行うための各構成品を制御する。すなわち、制御部は、モータ40を駆動させてプラテンローラ31を回転させるとともに、チケットを印刷するために必要な情報量に基づいてサーマルヘッド30の発熱素子を作動させる。また、プレゼンタ70を回動させて記録紙P1の排出方向を決定する。以下の説明では、印刷ユニット21において、チケットとレシートとが順に印刷される場合について説明する。したがって、プレゼンタ70は、初期状態において上端位置Hに位置しているものとする。
【0043】
そして、記録紙P1は、サーマルヘッド30を通過する際にプラテンローラ31により下流側へ送り出されながら、熱を発している発熱素子によって所望の文字や図形等が明瞭に印刷される。印刷が行われた記録紙P1は、第2案内部材41の案内路44を通って排出口27まで案内され、プレゼンタ70の搬送路88内に進入していく。
この時、プレゼンタ70の搬送ローラ76を回転させるモータ81は駆動しておらず、搬送ローラ76は回転していない。すなわち、搬送路88内において搬送ローラ76と従動ローラ77との互いの外周面が接触しており、これら搬送ローラ76と従動ローラ77とにより搬送路88内が遮断されている。これにより、印刷ユニット21の排出口27から送り出された記録紙P1の先端は、搬送路88内において搬送ローラ76または従動ローラ77の外周面に接触して塞き止められた状態となる。
【0044】
一方、印刷ユニット21では記録紙P1に連続的に印刷され、印刷された記録紙P1が順次排出口27から排出され始める。すると、排出口27から送り出された記録紙P1は、プレゼンタ70と印刷ユニット21との間、すなわちループスペースSにて上方に向けてループ状に弛んだ状態で保持される(図3中鎖線参照)。そして、制御部は印刷された部分が完全に排出口27から排出されたタイミングで、可動刃38を作動させるようにモータに信号を出力する。これにより、可動刃38は、固定刃37に沿ってスライドして記録紙P1を切断する。切断と同時に、制御部は搬送ローラ77を回転させるモータ81に向けて駆動信号を出力し、この駆動信号に基づいてモータ81が駆動する。モータ81が駆動すると、モータ81の駆動力がモータ81のギア84から歯車伝達機構86を介して搬送ローラ77の従動ギア83に伝達される。これにより、搬送ローラ76が記録紙P1を下流側へ送り出す方向(反時計回り)に回転する。
【0045】
搬送ローラ76が回転すると、この回転に追従して従動ローラ77も回転し始める。これにより、搬送ローラ76と従動ローラ77との間に、記録紙P1を挟み込みながら記録紙P1を下流側へ搬送していく。そして、搬送路88内を通過した記録紙P1は、搬送路88の排出口88bを介して筐体Bの排出口100から排出される。その結果、使用者は、ロール紙Pに巻回された記録紙P1を、チケットとして受け取ることができる。
【0046】
チケットの印刷が終了すると、サーマルプリンタ1はレシートの印刷を行う。
ここで、まず回動手段によりプレゼンタ70を上端位置Hから下端位置Lに移動させる。具体的には、回動手段を作動させてプレゼンタ70を下方に向けて押し下げると、プレゼンタ70の弾性部材80にはプレゼンタ70を上端位置Hに付勢する弾性力が発生する。そして、プレゼンタ70が上端位置Hと下端位置Lとの間の中立位置まで達すると、弾性部材80は最も伸びた状態となり、中立位置を越えるとプレゼンタ70は下端位置Lに向けて付勢される。すなわち、プレゼンタ70は、上端位置Hから中立位置に至るまでは弾性部材80により上端位置Hに向けて付勢されており、中立位置から下端位置Lに至るまでは弾性部材80により下端位置Lに向けて付勢されている。なお、以上の動作は、プレゼンタ70が下端位置Lから上端位置Hに移動する際も同様である。
【0047】
また、プレゼンタ70が回動するとプレゼンタ70の傾斜部73aの上面に設けられたガイド89が、プレゼンタ70の回動に追従してケーシング25と底部パネル16との間から引き出される。そして、ガイド89は、プレゼンタ70の搬送路88と印刷ユニット21との間を架け渡すように配置される。
【0048】
プレゼンタ70を回動させた後、制御部は再びモータ40を駆動させてプラテンローラ31を回転させるとともに、レシートを印刷するために必要な情報量に基づいてサーマルヘッド30の発熱素子を作動させる。
そして、記録紙P1は、サーマルヘッド30を通過する際にプラテンローラ31により下流側へ送り出されながら、熱を発している発熱素子によって所望の文字や図形等が明瞭に印刷される。印刷が行われた記録紙P1は、第2案内部材41の案内路44を通って排出口27まで案内され、印刷ユニット21とプレゼンタ70とを架け渡すガイド89上に沿ってプレゼンタ70の搬送路88内に進入していく。
【0049】
この時、上述したように搬送ローラ76は回転しておらず、印刷ユニット21の排出口27から送り出された記録紙P1の先端は、搬送路88内において搬送ローラ76または従動ローラ77の外周面に接触して塞き止められた状態となる。したがって、排出口27から送り出された記録紙P1は、ループスペースSにて上方に向けてループ状に弛んだ状態で保持される(図5中鎖線参照)。そして、制御部は印刷された部分が完全に排出口27から排出されたタイミングで、可動刃38を作動させて記録紙P1を切断する。その後、搬送ローラ76と従動ローラ77との間に、記録紙P1を挟み込みながら記録紙P1を下流側へ搬送していく。そして、搬送路88内を通過した記録紙P1は、搬送路88の排出口88bを介して筐体Bの排出口101から排出される。その結果、使用者は、ロール紙Pに巻回された記録紙P1を、レシートとして受け取ることができる。
【0050】
このように、本実施形態では、記録紙P1の搬送方向における印刷ユニット21より下流側に、サーマルヘッド30により印刷された記録紙P1を外部に排出するためのプレゼンタ70が設けられ、このプレゼンタ70が回動シャフト23に回動可能に支持されている構成とした。
この構成によれば、プレゼンタ70を回動可能に構成したため、印刷ユニット21にて印刷された記録紙P1を、印刷パターンに応じてそれぞれ異なる排出方向(例えば、筐体Bの排出口100,101)に排出することができる。すなわち、印刷パターンによって記録紙P1の排出方向を異ならせることで、印刷パターンに応じて自動的に記録紙P1が仕分けすることができるため、例えば券売機等においてレシートやチケットを区別した状態で受け取ることができる。
特に本実施形態では、筐体B内に組み付けられるプレゼンタ70を回動可能にすることで、記録紙P1を仕分けすることができるため、従来のように筐体側の排出トレイを移動(スライド)可能に構成した場合に比べて、複雑な機構を設ける必要がない。また、印刷パターン毎に独立したサーマルプリンタ1を筐体B内に組み込む必要もない。これにより、装置の大型化や製造コストの増加を抑えた上で、簡素な構成で記録紙P1の仕分けを実現することができる。
【0051】
ところで、本実施形態のようなサーマルプリンタ1は、上述したように一般的に券売機等の筐体B内に組み込まれて用いられる。筐体B内にサーマルプリンタ1を備えた券売機に、排出トレイがスライドする構成を採用した場合には、使用者にとってレシートやチケットが受け取り難くなる。さらに、排出トレイは筐体の外部に露出しており、上述した券売機の場合等では不特定多数の使用者が排出トレイに触れるため、早期故障の原因となる。
【0052】
これに対して、本実施形態では、印刷ユニット21で印刷された記録紙P1は、筐体Bに形成された排出口100,101から排出される。つまり、予め定められた場所から記録紙P1が排出されるため、使用者にとって記録紙P1が受け取りやすく、記録紙P1の受け取り作業に戸惑うこともない。また、本実施形態では、記録紙P1を仕分けする機構(プレゼンタ70)が筐体Bの内部に組み込まれているため、サーマルプリンタ1自体が筐体Bの外部に露出することはない。これにより、使用者はプレゼンタ70に触れることがないため、サーマルプリンタ1を使用するにあたってサーマルプリンタ1に負荷がかかることもない。したがって、サーマルプリンタ1の早期故障を防ぐことができる。
また、本実施形態のサーマルプリンタ1は、印刷ユニット21とプレゼンタ70との間において、ループスペースSを構成したため、印刷ユニット21にて印刷された記録紙P1が完全に印刷されて切断部材32に切断されるまでプレゼンタ70から排出させずに一時保持しておくことができる。これにより、排出口100,101から印刷途中、すなわち切断前の記録紙P1が排出口100,101から排出され始めることがないため、印刷途中にも関わらず強引に記録紙P1が引張られることがない。したがって、サーマルプリンタ1を使用するにあたってサーマルプリンタ1に負荷がかかることもないため、プラテンローラ31のモータ40の脱調や、記録紙P1のずれ、印字ミス等を防ぐことができる。
【0053】
また、プレゼンタ70が弾性部材80により上端位置H及び下端位置に向けて付勢されているため、プレゼンタ70が下方に向けて押し下げられ、中立位置を越えて上端位置Hと下端位置Lとの間に配置されると、プレゼンタ70は弾性部材80により下端位置に向かって付勢される。逆に、プレゼンタ70が上方に向けて押し上げられ、中立位置を越えて上端位置Hと下端位置Lとの間に配置されると、プレゼンタ70は弾性部材80により上端位置Hに向かって付勢される。これにより、プレゼンタ70が中立位置を越えることで、その後は押圧力を必要とせずに自動的に下端位置Lまでプレゼンタ70を容易に回動させることができる。そして、上端位置H及び他端位置Lに向けてプレゼンタ70を付勢することで、上端位置Hまたは下端位置Lにプレゼンタ70を確実に向けることができるため、簡素な構成で所定の排出方向に向けて確実に記録紙P1を排出することができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、プレゼンタ70下部フレーム73に、印刷ユニット21の排出口27から排出される記録紙P1をプレゼンタ70の排出路88内まで導くガイド89が設けられている構成とした。
この構成によれば、例えば、プレゼンタ70が下端位置Lにある場合において、プレゼンタ70と印刷ユニット21との間の距離が広い場合に、プレゼンタ70の回動に追従してプレゼンタ70と印刷ユニット21との間がガイド89によって架け渡される。これにより、印刷ユニット21の排出口27から排出された記録紙P1がガイド89上を伝って確実に搬送路88まで導かれるため、プレゼンタ70が回動した場合であってもプレゼンタ70と印刷ユニット21との間で記録紙P1が脱落することがない。したがって、記録紙P1を確実に外部へ排出することができる。
【0055】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態では芯管に記録紙が巻回されたロール紙を用いて説明したが、ロール紙を軸支できる中空孔を有していれば、芯管を有していなくてもよい。
また、本実施形態のプレゼンタは、上端位置と下端位置との2段に移動可能に構成したが、これに限らず3段以上に移動可能に構成してもよい。この場合、プレゼンタをモータ等の回動手段のみにより移動させる構成も可能である。
【0056】
さらに、上述した実施形態では、プレゼンタを回動可能に支持する構成について説明したが、これに限らず、記録紙の搬送方向に交差する方向(例えば、上下方向)にスライド可能に構成する等、適宜設計変更が可能である。
また、プレゼンタの上端位置をホームポジションとし、毎回の印刷毎にプレゼンタがホームポジションに戻ってくるような構成としても構わない。すなわち、ホームポジションで印刷を行った後に所望の排出方向に向けてプレゼンタを移動させ、排出した後に再びホームポジションに戻る動作を繰り返す構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態におけるサーマルプリンタの斜視図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図1のC−C’線に沿う印刷ユニットの一部破断断面図である。
【図4】上端位置におけるプレゼンタの拡大図である。
【図5】下端位置におけるプレゼンタの拡大図である。
【符号の説明】
【0058】
1…サーマルプリンタ 10…中空孔 20…ロール紙保持機構 30…サーマルヘッド 31…プラテンローラ 70…プレゼンタ 80…弾性部材 89…ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続供給される記録紙に印刷を行うサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドとの間に前記記録紙を挟んだ状態で回転することで前記記録紙を送り出すプラテンローラと、印刷後の前記記録紙を切断する切断部材と、
前記切断部材により切断された前記記録紙を外部に排出するためのプレゼンタと、を備え、前記プレゼンタは前記記録紙の排出方向を異ならせるように移動可能に構成されていることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記プレゼンタは、前記記録紙の面方向に交差する方向に回動可能に構成されており、前記プレゼンタには、回動方向における一端位置及び他端位置に向かって前記プレゼンタを付勢する弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記プラテンローラと前記プレゼンタとの間には、前記プレゼンタの移動に追従して前記プラテンローラと前記プレゼンタとの間を架け渡すガイドが設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のサーマルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−47392(P2010−47392A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215121(P2008−215121)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】