説明

サーマルプリンタ

【課題】単一のサーマルヘッド部及び搬送ローラ部を備えた最低限の構成で記録媒体への両面印刷を実現しつつ、記録媒体に対する印刷が不可能となる領域を無くして記録媒体の無駄を防止するサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】サーマルプリンタは、巻回された記録媒体Paを保持する保持部1と、記録媒体Paに印刷を行うサーマルヘッド部2と、一対のローラであるフィードローラ31及びピンチローラ32で記録媒体Paを挟持しつつ記録媒体Paを搬送する搬送ローラ部3と、保持部1に保持される記録媒体Paを搬送ローラ部3を経由してサーマルヘッド部2へ案内するパスラインLi1と、保持部1を回転させることによりパスラインLi1を通じてサーマルヘッド部2に臨む記録媒体Paの表裏を反転させる反転手段4とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドの発熱により記録媒体に印刷するサーマルプリンタに係り、特に単一のサーマルヘッドでの両面印刷を適正化したサーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタは、巻回されたロール紙等の記録媒体を一対のローラで挟持しつつローラを回転させることにより記録媒体を搬送する搬送ローラ部を有し、この搬送ローラ部を通じて記録媒体をサーマルヘッドへ搬送(供給)し、サーマルヘッドの加熱を通じて染料又は顔料をロール紙等の記録媒体に転写させることにより、若しくは、熱を感知すると色が変化する感熱紙等の記録媒体をサーマルヘッドで加熱することにより、記録媒体に印刷する印刷装置である。
【0003】
サーマルプリンタは、例えば特許文献1や図7(a)に示されるように、ロール紙等を巻回した記録媒体Paを保持する保持部1001と、記録媒体Paをフィードローラ1031及びピンチローラ1032で挟持しつつフィードローラ1031を回転させることにより記録媒体Paを搬送する搬送ローラ部1003と、この搬送ローラ部1003により搬送される記録媒体Paとインクリボンローラ1022により繰り出されるインクリボンPbとをサーマルヘッド1021及びプラテンローラ1023で共に挟持するサーマルヘッド部1002とを含んで構成されるのが通例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−347050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように単一のサーマルヘッド部及び搬送ローラ部を備えた最低限の構成で両面印刷を実現するために、図7(a)及び図7(b)に示すように、保持部1001で保持される記録媒体Paを単一のサーマルヘッド部1002に対して案内する複数のパスラインLi1、Li2を設けて、互いに逆差しとなる2方向からサーマルヘッド部1002に対して記録媒体Paを案内するように構成することが一つの有効な手段として考えられる。しかしながら、図7(b)に示すように、複数のパスラインLi1、Li2のうちの一方のパスラインLi2では搬送ローラ部1003がサーマルヘッド部1002の下流に配置されてしまい、搬送ローラ部1002で記録媒体Paを搬送しなければ印刷できないのでサーマルヘッド部1002からその下流の搬送ローラ1003部までにある記録媒体Pa(NG)に対する印刷が不可能となり、かかる部位の記録媒体が利用できずに無駄となってしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、単一のサーマルヘッド部及び搬送ローラ部を備えた最低限の構成で記録媒体への両面印刷を実現しつつ、記録媒体に対する印刷が不可能となる領域を無くして記録媒体の無駄を防止するサーマルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明のサーマルプリンタは、巻回された記録媒体を保持する保持部と、前記記録媒体に印刷を行うサーマルヘッド部と、一対のローラで前記記録媒体を挟持しつつ当該記録媒体を搬送する搬送ローラ部と、前記保持部に保持される記録媒体を前記搬送ローラ部を経由して前記サーマルヘッド部へ案内するパスラインと、前記サーマルヘッド部又は前記保持部の一方を回転させることにより前記パスラインを通じて前記サーマルヘッド部に臨む記録媒体の表裏を反転させる反転手段とを具備してなることを特徴とする。
【0009】
このように構成すると、サーマルヘッド部又は保持部の一方を回転させることにより保持部から搬送ローラ部を経由してサーマルヘッド部へ臨む記録媒体の表裏を反転させることができる。しかも、搬送ローラ部がサーマルヘッド部の上流に常に配置されるので、単一のサーマルヘッド部で両面印刷を実現しつつ、記録媒体に対する印刷が不可能となる領域を無くして記録媒体の無駄を防止することができる。また、記録媒体を案内するパスラインが単一となるので、設計の簡易化および自由度の向上に資することが可能となる。加えて、記録媒体の方向を急激に変えることができないことに鑑みると、別途にパスラインを設けてサーマルヘッド部に対して逆差しとなる方向に記録媒体を案内する構成は、搬送経路ひいてはプリンタの大型化につながる可能性があるが、本発明のように同じパスラインに反転手段を通じて記録媒体を表裏反転して送り込むように構成した場合、回転に必要なスペースを極力抑えることができれば、プリンタ全体の一層の小型化を追求することも可能となる。
【0010】
記録媒体の表裏反転を簡易な構成で電磁的に制御するためには、前記反転手段は、前記保持部を回動可能に支持するターンテーブル部と、前記ターンテーブル部を介して前記保持部を回動させる電動部と、前記保持部の姿勢を検出する検出部とを有し、前記検出部の検出結果に基づいて前記電動部を介して前記保持部の回動を制御し得るように構成されていることが好ましい。
【0011】
複数の機構を協働させて記録媒体への両面印刷を実現する適切な制御を行うためには、前記記録媒体の搬送制御、前記サーマルヘッド部の印刷制御および前記保持部の回転制御を行う制御部を有し、当該制御部は、前記保持部に保持される記録媒体を前記サーマルヘッド部へ搬送しつつ当該記録媒体のうちの一方の面に印刷を行い、印刷完了後に前記記録媒体を前記サーマルヘッド部から前記保持部側へ退避させ、退避後に前記保持部又は前記サーマルヘッド部の一方を回転させてサーマルヘッド部に対して記録媒体の表裏を反転させ、前記記録媒体を前記サーマルヘッド部へ搬送しつつ当該記録媒体のうちの他方の面に印刷を行うように構成されていることが挙げられる。
【0012】
記録媒体Paの繰り出し位置を所定位置にするためには、前記保持部は、前記記録媒体を挟持して当該記録媒体の繰り出し位置を決める補助送りローラを有し、前記反転手段は、前記補助送りローラで前記記録媒体を掴んだ状態で前記保持部又は前記サーマルヘッド部を回転させるように構成されていることが好ましい。
【0013】
記録媒体の搬送精度を維持するためには、前記反転手段は、前記搬送ローラ部で前記記録媒体を挟持した状態で当該搬送ローラ部及び前記保持部を共に回転させるように構成されていることが効果的である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上説明した構成であるから、反転手段によりサーマルヘッド部へ臨む記録媒体の表裏を反転可能とし、単一のパスラインを用いて搬送ローラ部がサーマルヘッド部の上流に常に配置されるようにしているので、単一のサーマルヘッド部及び搬送ローラ部を備えた最低限の構成で記録媒体への両面印刷を実現しつつ、記録媒体に対する印刷が不可能となる領域を無くして記録媒体の無駄を防止することか可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタを模式的に示す構成図。
【図2】記録媒体を保持する保持部を回動させる反転手段を模式的に示す斜視図。
【図3】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図4】両面印刷を行う動作に関する模式的な説明図。
【図5】本発明の他の実施形態に係るサーマルプリンタを模式的に示す構成図。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係るサーマルプリンタを模式的に示す構成図。
【図7】最低限の構成で両面印刷を実現する対応案を模式的に示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態のサーマルプリンタは、図1に示すように、巻回されたロール用紙等の記録媒体Paを保持する保持部1と、一対のローラで記録媒体Paを挟持しつつローラの少なくとも一方を回転させることにより記録媒体Paを搬送する搬送ローラ部3と、記録媒体Paに印刷を行うサーマルヘッド部2と、搬送ローラ部3を経由して保持部1とサーマルヘッド部2との間で記録媒体Paを案内するパスラインLi1と、記録媒体Paの搬送制御やサーマルヘッド部2の印刷制御を行う制御部5とを有し、保持部1に保持される記録媒体Paを搬送ローラ部3によりサーマルヘッド部2へ搬送しつつサーマルヘッド部2で記録媒体Paへの印刷を行うものである。
【0018】
保持部1は、図1及び図2に示すように、ロール状に巻回された記録媒体Paを回転軸C1を中心に回転可能に支持する軸支部11と、記録媒体Paを挟持してテンションを付与しつつ記録媒体Paの繰り出し位置を決定するための補助送りローラ12とを有し、図示しないモータ等の動力部によりロール状の記録媒体Paを回転軸C1を中心に正逆回転させて記録媒体Paの繰り出し及び巻き戻しを行い得るように構成されている。
【0019】
パスラインLi1は、周知の搬送路と同様にガイドや、挟持ローラ、搬送ベルトにより構成され、保持部1に保持される記録媒体Paを搬送ローラ部3を介してサーマルヘッド部2へ案内する。
【0020】
搬送ローラ部3は、パスラインLi1に沿って保持部1の下流に配置され、保持部1に保持されるロール状の記録媒体Paをフィードローラ31とピンチローラ32とで挟持しながらフィードローラ31を図示しないモータ等の動力部を通じて回転駆動させることにより記録媒体Paを搬送する。
【0021】
サーマルヘッド部2は、パスラインLi1に沿って配置され、顔料や染料等のインクを塗布したインクリボンPbを繰り出すインクリボンローラ22と、搬送ローラ部3の下流にあって発熱抵抗体が配置されたサーマルヘッド21と、このサーマルヘッド21に対向配置されインクリボンPb及び記録媒体Paをサーマルヘッド21と共に挟持するプラテンローラ23とを備え、サーマルヘッド21の加熱によりインクリボンPbのインクを記録媒体Paに転写させて印刷を行う。
【0022】
制御部5は、周知のサーマルプリンタと同様にCPU、メモリ及びインターフェイスを具備する通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されて、メモリ内に搬送制御ルーチンや印刷制御ルーチン等の所要のプログラムが書き込まれており、CPUは適宜必要なプログラムを呼び出して実行することにより、周辺ハードリソースと協働して、所期の搬送動作や印刷動作が実現される。
【0023】
本実施形態では、上記構成にさらに以下の構成を加えている。
【0024】
すなわち、図1及び図2に示すように、ロール状の記録媒体Paを保持している状態で保持部1を回転軸Cnを中心に回転させることによりパスラインLi1を通じてサーマルヘッド部2に臨む記録媒体Paの表裏を反転させる反転手段4を設け、この反転手段4による保持部1の回転を制御部5で制御するように構成している。
【0025】
具体的には、図2に示すように、保持部1は、ロール状に巻回された記録媒体Paが回転軸C1を中心に回転可能になるように記録媒体Paの幅方向両側を軸支部11で支持している。反転手段4は、図示しない筐体に対して回転軸Cnを中心に回動可能に支持される板状のターンテーブル部41を有し、このターンテーブル部41に保持部1の軸支部11を固定して保持部1を回動可能としている。
【0026】
さらに、反転手段4は、制御部5からの駆動指令に基づいてターンテーブル部41を回転させるモータたる電動部42と、保持部1の姿勢を検出する検出部43と、保持部1の姿勢決めを行う姿勢決め部44とを有している。
【0027】
保持部1の姿勢を検出する検出部43は、ターンテーブル部41に設けられた図示しない遮光部と、回転軸Cnに対して互いに対称な位置関係に配置され遮光部による遮光を検出する2つの遮光センサとを有し、ターンテーブル部41の回転に伴って遮光部が各遮光センサを遮光する位置に移動し、遮光を検出した遮光センサがいずれの遮光センサであるかによって保持部1の回転位置が第1の姿勢又は第2の姿勢のいずれであるかを検出するものである。なお、本実施形態では、保持部1の姿勢を検出する検出部を複数の遮光センサを用いて構成しているが、保持部1の姿勢を検出することができれば、エンコーダやレゾルバ等の回転角度検出センサを用いてもよい。
【0028】
保持部1の姿勢決めを行う姿勢決め部44は、図示しない筐体側に設けられ制御部5からの指令信号に基づいてターンテーブル部41へ向けて進退する進退部44bと、進退部44bに対向してターンテーブル部41に設けられ進退部44bと係合する複数の受け部44aとを有している。受け部44aは、進退部44bと係合することにより保持部1及びターンテーブル部41の回動を禁止する禁止面44cと、進退部44bを禁止面44cへ呼び込むガイド面44dとが形成されており、電動部42による保持部1の回動停止位置が多少ずれたとしても進退部44bをガイド面44dで禁止面44cに案内して保持部1の正確な姿勢決めを行う。複数の受け部44aのうちの一部は第1の姿勢に対応する位置に配置され、複数の受け部44aのうちの他部は第2の姿勢に対応する位置に配置されている。
【0029】
保持部1と搬送ローラ部3との間には、図1に示すように、補助送りローラ12に挟持され先端が自由となっている記録媒体Paを受けて搬送ローラ部3へガイドするガイド機構7が設けられている。ガイド機構7は、保持部1の姿勢が第1の姿勢であるときの補助送りローラ12から記録媒体Paを受けて搬送ローラ部3へガイドする第1のガイド部71と、保持部1の姿勢が第2の姿勢であるときの補助送りローラ12から記録媒体Paを受け止めて搬送ローラ部3へガイドする第2のガイド部72とを有している。第1のガイド部71及び第2のガイド部72の保持部側端部は、ガイド面同士の間隔がラッパ状に広げられて巻き癖がついている記録媒体Paを円滑に受けるように形成されている。勿論、記録媒体Paと両ガイド部71、72とが当たる位置が明確であれば、対向するガイド面の双方を傾斜させてラッパ状に形成する必要はなく、対向する両ガイド面のうちの一方のガイド面のみを傾斜させて受け面としてもよい。
【0030】
次に上記の構成において記録媒体Paに両面印刷を行う動作について図3及び図4を用いて説明する。
【0031】
まず、図3(a)に示すように、制御部5は、保持部1及び搬送ローラ部3のモータたる動力部やサーマルヘッド部2に駆動指令を行い、第1の姿勢にある保持部1に保持される記録媒体Paをサーマルヘッド部2へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの一方の面である表面fに印刷を行う。
【0032】
記録媒体Paの表面fへの印刷が完了すると、図3(b)に示すように、制御部5は、保持部1のモータたる動力部に巻き戻しさせる駆動指令を行い、記録媒体Paをサーマルヘッド部2及び搬送ローラ部3から保持部側へ退避させる。
【0033】
記録媒体Paの退避が完了すると、制御部5は、図2に示す進退部44bを受け部44aから退避させ、電動部42によりターンテーブル部41を回動させ、検出部43により保持部1が第2の姿勢にあることが検出されたことを以てターンテーブル部41の回動を停止させ、進退部44bを受け部44aへ係合させて保持部1の姿勢決めを行い、図4(c)に示すように、サーマルヘッド部2に対する記録媒体Paの表裏を反転させる。
【0034】
記録媒体Paの表裏を反転させると、制御部5は、図4(d)に示すように、保持部1及び搬送ローラ部3のモータたる動力部やサーマルヘッド部2に駆動指令を行い、第2の姿勢にある保持部1に保持される記録媒体Paをサーマルヘッド部2へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの他方の面である裏面bに印刷を行い、両面印刷を完了する。
【0035】
以上のように本実施形態に係るサーマルプリンタは、巻回された記録媒体Paを保持する保持部1と、記録媒体Paに印刷を行うサーマルヘッド部2と、一対のローラであるフィードローラ31及びピンチローラ32で記録媒体Paを挟持しつつ記録媒体Paを搬送する搬送ローラ部3と、保持部1に保持される記録媒体Paを搬送ローラ部3を経由してサーマルヘッド部2へ案内するパスラインLi1と、保持部1を回転させることによりパスラインLi1を通じてサーマルヘッド部2に臨む記録媒体Paの表裏を反転させる反転手段4とを具備している。
【0036】
このように、保持部1を回転させることにより保持部1から搬送ローラ部3を経由してサーマルヘッド部2へ臨む記録媒体Paの表裏を反転させることができる。しかも、搬送ローラ部3がサーマルヘッド部2の上流に常に配置されるので、単一のサーマルヘッド部2で両面印刷を実現しつつ、記録媒体Paに対する印刷が不可能となる領域を無くして記録媒体Paの無駄を防止することが可能となる。また、記録媒体Paを案内するパスラインLi1が単一となるので、設計の簡易化および自由度の向上に資することが可能となる。加えて、記録媒体Paの方向を急激に変えることができないことに鑑みると、別途にパスラインを設けてサーマルヘッド部2に対して逆差しとなる方向に記録媒体Paを案内する構成は、搬送経路ひいてはプリンタの大型化につながる可能性があるが、本実施形態のように同じパスラインLi1に反転手段4を通じて記録媒体Paを表裏反転して送り込むように構成した場合、回転に必要なスペースを極力抑えることができれば、プリンタ全体の一層の小型化を追求することも可能となる。
【0037】
また、本実施形態では、反転手段4は、保持部1を回動可能に支持するターンテーブル部41と、ターンテーブル部41を介して保持部1を回動させるモータ等の電動部42と、保持部1の姿勢を検出する複数の遮蔽センサにより構成される検出部43とを有し、検出部43の検出結果に基づいてモータ等の電動部42を介して保持部1の回動を制御し得るように構成されているので、記録媒体Paの表裏反転を簡易な構成で電磁的に制御することが可能となる。
【0038】
さらに、本実施形態では、記録媒体Paの搬送制御、サーマルヘッド部2の印刷制御および保持部1の回転制御を行う制御部5を有し、制御部5は、保持部1に保持される記録媒体Paをサーマルヘッド部2へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの一方の面である表面fに印刷を行い、印刷完了後に記録媒体Paをサーマルヘッド部2から保持部側へ退避させ、退避後に保持部1を回転させてサーマルヘッド部2に対して記録媒体Paの表裏を反転させ、記録媒体Paをサーマルヘッド部2へ搬送しつつ記録媒体Paのうちの他方の面である裏面bに印刷を行うように構成されているので、複数の機構を協働させて記録媒体への両面印刷を実現する適切な制御を実現することが可能となる。
【0039】
さらにまた、本実施形態では、保持部1は、記録媒体Paを挟持して記録媒体Paの繰り出し位置を決める補助送りローラ12を有し、反転手段4は、補助送りローラ12で記録媒体Paを掴んだ状態で保持部1を回転させるように構成されているので、記録媒体Paの繰り出し位置を所定位置にすることが可能となる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0041】
例えば、本実施形態では、反転手段4は保持部1を回転させるものであるが、図5に示すように、反転手段4を、サーマルヘッド部2を回転させてサーマルヘッド21とプラテンローラ23の位置関係を入れ替えることによりパスラインLi1を通じてサーマルヘッド部2に臨む記録媒体Paの表裏を反転させるように構成してもよい。加えて、サーマルヘッド部2と共に搬送ローラ部3を回転させてもよく、補助送りローラ12で記録媒体Paを掴んだ状態でサーマルヘッド部2を回転させてもよい。
【0042】
さらに、本実施形態では、反転手段4は保持部1を回転させるものであるが、図6に示すように、反転手段4を、搬送ローラ部3で記録媒体Paを挟持した状態で搬送ローラ部3及び保持部1を共に回転させるように構成してもよい。このように構成すると、搬送ローラ部3から記録媒体Paを抜かなくてもよいので、記録媒体Paの位置決めを省略でき、記録媒体Paの搬送精度を維持することが可能となる。
【0043】
その他、本実施形態では、保持部1を回転軸Cnを中心に回転させているが、空間の直交座標系を定めるy軸やx軸、z軸周りに回転させてもよい。
【0044】
最後に、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…保持部
2…サーマルヘッド部
31、32…一対のローラ(フィードローラ及びピンチローラ)
3…搬送ローラ部
4…反転手段
41…ターンテーブル部
42…電動部(モータ等)
43…検出部(複数の遮光センサ)
5…制御部
Pa…記録媒体
Li1…パスライン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回された記録媒体を保持する保持部と、
前記記録媒体に印刷を行うサーマルヘッド部と、
一対のローラで前記記録媒体を挟持しつつ当該記録媒体を搬送する搬送ローラ部と、
前記保持部に保持される記録媒体を前記搬送ローラ部を経由して前記サーマルヘッド部へ案内するパスラインと、
前記サーマルヘッド部又は前記保持部の一方を回転させることにより前記パスラインを通じて前記サーマルヘッド部に臨む記録媒体の表裏を反転させる反転手段とを具備してなることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記反転手段は、前記保持部を回動可能に支持するターンテーブル部と、前記ターンテーブル部を介して前記保持部を回動させる電動部と、前記保持部の姿勢を検出する検出部とを有し、前記検出部の検出結果に基づいて前記電動部を介して前記保持部の回動を制御し得るように構成されている請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記記録媒体の搬送制御、前記サーマルヘッド部の印刷制御および前記保持部の回転制御を行う制御部を有し、当該制御部は、前記保持部に保持される記録媒体を前記サーマルヘッド部へ搬送しつつ当該記録媒体のうちの一方の面に印刷を行い、印刷完了後に前記記録媒体を前記サーマルヘッド部から前記保持部側へ退避させ、退避後に前記保持部又は前記サーマルヘッド部の一方を回転させてサーマルヘッド部に対して記録媒体の表裏を反転させ、前記記録媒体を前記サーマルヘッド部へ搬送しつつ当該記録媒体のうちの他方の面に印刷を行うように構成されている請求項1又は2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記保持部は、前記記録媒体を挟持して当該記録媒体の繰り出し位置を決める補助送りローラを有し、
前記反転手段は、前記補助送りローラで記録媒体を掴んだ状態で前記保持部又は前記サーマルヘッド部を回転させるように構成されている請求項1〜3のいずれかに記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記反転手段は、前記搬送ローラ部で前記記録媒体を挟持した状態で当該搬送ローラ部及び前記保持部を共に回転させるように構成されている請求項1〜3のいずれかに記載のサーマルプリンタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−93255(P2011−93255A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251410(P2009−251410)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】