説明

サーマルプリンタ

【課題】本発明は、リボン供給軸、リボン巻取り軸およびサーマルヘッドを印字ユニットとして一対のリボンフレームで支持するタイプであっても、インクリボンの交換作業を簡単に行うことができるサーマルプリンタを提供することを課題とする。
【解決手段】リボン供給軸15、リボン巻取り軸14およびサーマルヘッド12が支持されたヘッドハウジング60を右リボンフレーム42と左リボンフレーム43とで支持し、リボン供給軸15とリボン巻取り軸14との間に新たなインクリボンを架け渡すことが可能なリボン交換状態に移動可能な印字ユニット40と、ヘッドハウジング60との間隙がリボン供給軸15からサーマルヘッド12に供給されるインクリボンの挿通路52となるリボンカバー50とを備え、印字ユニット40がリボン交換状態に移動された場合には、挿通路52が拡がるようにリボンカバー50が移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンと被印字媒体とを重ねてプラテンローラとサーマルヘッドとの間に挟持搬送することで、インクリボンから被印字媒体にインクを転写させて印字を行うサーマルプリンタに関し、特にサーマルヘッドとの間隙がリボン供給軸からサーマルヘッドに供給されるインクリボンの挿通路となるリボンカバーを備えたサーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクリボンから被印字媒体にインクを転写させて印字を行うサーマルプリンタは、プラテンローラとサーマルヘッドとの間にラベル連続体やタグ連続体等の被印字媒体とインクリボンとを重ねて挟持搬送することで、被印字媒体に所定の印字情報を印字するものであり、サーマルヘッドは、発熱素子がプラテンローラに対向するように、印字ユニットによって支持されている。
【0003】
インクリボンは、リボン巻取り軸とリボン供給軸との間に架け渡され、リボン供給軸にロール状に巻き回された状態で支持されたインクリボンが、プラテンローラとサーマルヘッドとの間に被印字媒体と共に供給され、転写後のインクリボンがリボン巻取り軸によって巻き取られるようになっており、インクリボンを使い切った場合には、インクリボンの交換作業として、リボン巻取り軸に巻き取られた転写後のインクリボンを回収すると共に、新たなインクリボンをサーマルヘッドの印字面経由でリボン巻取り軸とリボン供給軸との間に架け渡す必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、従来技術のように、比較的大型でリボン巻取り軸およびリボン供給軸が片持ち支持されているタイプのサーマルプリンタでは、インクリボンの交換作業をリボン巻取り軸およびリボン供給軸の解放端側から行うことができるが、リボン供給軸、リボン巻取り軸およびサーマルヘッドを印字ユニットとして一対のリボンフレームで支持するタイプの小型のサーマルプリンタで、インクリボンの交換作業を行う場合には、リボン供給軸からサーマルヘッドの印字面に至るインクリボンの挿通路が狭く、インクリボンの交換作業が煩雑なものになってしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−11936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リボン供給軸、リボン巻取り軸およびサーマルヘッドを印字ユニットとして一対のリボンフレームで支持するタイプであっても、インクリボンの交換作業を簡単に行うことができるサーマルプリンタを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の要旨は、インクリボンと被印字媒体とを重ねてプラテンローラとサーマルヘッドとの間に挟持搬送することで、前記インクリボンから前記被印字媒体にインクを転写させて印字を行うサーマルプリンタであって、前記被印字媒体を収容する供給部および前記プラテンローラを備え、上部が解放された本体と、該本体の上部を開閉する上蓋部と、該上蓋部内に嵌脱可能に構成されていると共に、前記プラテンローラと前記サーマルヘッドとの間に供給する未使用の前記インクリボンが装着されるリボン供給軸、転写済みの前記インクリボンを巻取るリボン巻取り軸および前記サーマルヘッドを備え、前記サーマルヘッドが前記プラテンローラから離れた開状態に移動可能な印字ユニットと、該印字ユニットに設けられ、前記リボン供給軸に装着された前記インクリボンの下部を開閉するリボンカバーと、前記上蓋部に設けられ、前記印字ユニットが前記上蓋部に嵌装された状態で、前記リボンカバーに当接して前記リボンカバーを閉じられた状態にする当接部とを具備し、前記リボンカバーは、前記印字ユニットが開状態で、且つ前記上蓋部から引き出された状態では、自重によって開いた状態となることを特徴とするサーマルプリンタに存する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のサーマルプリンタは、プラテンローラとサーマルヘッドとの間に供給する未使用のインクリボンが装着されるリボン供給軸、転写済みのインクリボンを巻取るリボン巻取り軸およびサーマルヘッドが支持されたヘッドハウジングを一対のリボンフレームで支持し、サーマルヘッドがプラテンローラから離れてリボン供給軸とリボン巻取り軸との間に新たなインクリボンを架け渡すことが可能なリボン交換状態に移動可能な印字ユニットと、ヘッドハウジングとの間隙がリボン供給軸からサーマルヘッドに供給されるインクリボンの挿通路となるリボンカバーとを備え、印字ユニットがリボン交換状態に移動された場合には、挿通路が拡がるようにリボンカバーが移動するように構成することにより、インクリボンの交換作業時に、挿通路が拡がっているため、拡がった挿通路にインクリボンを通過させる作業を簡単に行うことができ、リボン供給軸、リボン巻取り軸およびサーマルヘッドを印字ユニットとして一対のリボンフレームで支持するタイプであっても、インクリボンの交換作業を簡単に行うことができるという効果を奏する。
【0009】
さらに、本発明のサーマルプリンタは、未使用のインクリボンを巻付けてある供給スプール軸と、転写後のインクリボンを巻取る巻取りスプール軸とに架け渡されたインクリボンが提供されると共に、リボン巻取り軸には、巻取りスプール軸が装着される巻取りスプール軸装着部が、リボン供給軸には、供給スプール軸が装着される供給スプール軸装着部がそれぞれ設けられており、印字ユニットがリボン交換状態に移動された場合には、リボンカバーは、挿通路が巻取りスプール軸の直径よりも大きく拡がるように構成することにより、インクリボンの交換作業時に、挿通路が巻取りスプール軸の直径よりも大きく拡がっているため、拡がった挿通路に巻取りスプール軸を通過させる作業を簡単に行うことができ、リボン供給軸、リボン巻取り軸およびサーマルヘッドを印字ユニットとして一対のリボンフレームで支持するタイプであっても、インクリボンの交換作業を簡単に行うことができるという効果を奏する。
【0010】
さらに、本発明のサーマルプリンタは、リボンカバーを印字ユニットに回動可能に支持し、印字ユニットがリボン交換状態に移動された場合には、リボンカバーが自重によって回動することで、挿通路が拡がるように構成することにより、複雑な移動機構を設けることなく、リボンカバーを移動させて挿通路を拡げることができるという効果を奏する。
【0011】
さらに、本発明のサーマルプリンタは、被印字媒体を収容する供給部およびプラテンローラを備え、上部が解放された本体と、本体の上部を開閉する上蓋部と、上蓋部内に嵌脱可能に構成されていると共に、プラテンローラとサーマルヘッドとの間に供給する未使用のインクリボンが装着されるリボン供給軸、転写済みのインクリボンを巻取るリボン巻取り軸およびサーマルヘッドを備え、サーマルヘッドがプラテンローラから離れた開状態に移動可能な印字ユニットと、印字ユニットに設けられ、リボン供給軸に装着されたインクリボンの下部を開閉するリボンカバーと、上蓋部に設けられ、印字ユニットが上蓋部に嵌装された状態で、リボンカバーに当接してリボンカバーを閉じた状態にする当接部とを設け、印字ユニットが開状態で、且つ上蓋部から引き出された状態では、リボンカバーが自重によって開いた状態となるように構成することにより、印字ユニットが開状態において、印字ユニットが上蓋部に嵌装された状態では、リボンカバーが閉じた状態となるため、リボン供給軸に装着されたインクリボンを保護することができると共に、印字ユニットが上蓋部から引き出された状態では、リボンカバーが閉じた状態となるため、インクリボンの交換作業を簡単に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図である。
【図2】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の閉状態を示す外観斜視図である。
【図3】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の開状態を示す外観斜視図である。
【図4】図3に示す開状態における印字ユニットの構成を示す概略斜視図である。
【図5】図2に示す閉状態における印字ユニットの構成を示す概略側面図である。
【図6】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態における印字ユニットからの使用済みインクリボンの取り外し動作を説明するための説明図である。
【図7】本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態における印字ユニットへのインクリボンの装着動作を説明するための説明図である。
【図8】図3に示す印字ユニットを上方側から見た平面図である。
【図9】図3に示す印字ユニットにインクリボンが装着された状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図であり、図2は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の閉状態を示す外観斜視図であり、図3は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態の開状態を示す外観斜視図であり、図4は、図3に示す開状態における印字ユニットの構成を示す概略斜視図であり、図5は、図2に示す閉状態における印字ユニットの構成を示す概略側面図である。
【0015】
本実施の形態のサーマルプリンタ10は、図1を参照すると、印字部として、プラテンローラ11と、複数の発熱体が幅方向に形成されている面(以下、印字面と称す)がプラテンローラ11に対向するように配置されたサーマルヘッド12とを有し、複数枚のラベルが帯状台紙に仮着されているラベル連続体等の被印字媒体1とインクリボン2とを重ねてプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に挟持搬送し、サーマルヘッド12の発熱体を選択的に発熱させることにより、被印字媒体1にインクリボン2からインクを転写させて印字を施すように構成されている。
【0016】
被印字媒体1は、紙管等の筒状体にロール状に巻き回された状態、すなわちロール紙3として供給部13に回転可能に支持(収容)され、供給部13からプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給される。また、インクリボン2は、プラテンローラ11に連動して回転駆動されるリボン巻取り軸14とリボン供給軸15との間に架け渡され、リボン供給軸15にロール状に巻き回された状態で支持されたインクリボン2が、プラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に被印字媒体1と共に供給され、転写後のインクリボン2が、リボン巻取り軸14によって巻き取られるようになっている。
【0017】
また、サーマルプリンタ10は、プラテンローラ11および供給部13を備え、上部が解放された本体20と、本体20の上部を覆う上蓋部30と、サーマルヘッド12、リボン巻取り軸14およびリボン供給軸15を備え、本体20と上蓋部30との間に配置された印字ユニット40とからなり、上蓋部30と印字ユニット40とは、本体20の奥側に設けられている支持軸17によって、回動自在に支持され、印字済みの印字媒体が排出される排出口16が設けられている手前側から開くように構成されている。
【0018】
図2は、上蓋部30が閉じられた閉状態のサーマルプリンタ10が示されており、閉状態では、印字ユニット40が本体20と上蓋部30とに挟まれて位置決めされ、図1に示すように、印字ユニット40に備えられたサーマルヘッド12が本体に備えられたプラテンローラ11に押し当てられて位置決めされる。なお、印字ユニット40は、上蓋部30に嵌脱可能に構成されており、図2に示す閉状態において、印字ユニット40は、上蓋部30に嵌装された嵌装状態となっている。
【0019】
図3は、上蓋部30が開けられた開状態のサーマルプリンタ10が示されており、上蓋部30と、印字ユニット40とをそれぞれ独立して回動させることができるようになっている。上蓋部30は、開閉ストッパ31によって、手を離しても図3に示す開状態に維持されるように構成されていると共に、印字ユニット40は、開閉ストッパ31の内側に突出する凸部31aにアーム部41が引っかかることで、図3に示す状態で印字ユニット40から独立して停止させることができるようになっている。なお、上蓋部30には、印字ユニット40に弾性を有して当接することで、印字ユニット40を嵌装状態に維持する図示しない当接部材が設けられており、図2に示す閉状態から上蓋部30を開く際には、印字ユニット40も嵌装状態で上蓋部30と共に回動され、その後に、上蓋部30から印字ユニット40を引き出すことによって、図3に示す開状態となる。
【0020】
印字ユニット40は、図3および図4を参照すると、一方端が支持軸17に支持されたアーム部41の解放端側に、リボン巻取り軸14およびリボン供給軸15が回転可能にそれぞれ架け渡される右リボンフレーム42と左リボンフレーム43とが設けられており、右リボンフレーム42および左リボンフレーム43と垂直な方向に架け渡された調整軸44と当該調整軸44に取り付けられている偏心部材45とからなるヘッド圧調整手段を備えている。右リボンフレーム42には、リボン巻取り軸14、リボン供給軸15および調整軸44にそれぞれ対応する箇所に、リボン巻取り軸14、リボン供給軸15および調整軸44を操作する貫通孔46、47、48がそれぞれ形成されている。左リボンフレーム43には、プラテンローラ11と共に回転駆動される伝達ギヤ21に対して図2に示す閉状態において咬合される被伝達ギヤ49と、被伝達ギヤ49からリボン巻取り軸14およびリボン供給軸15に回転駆動力を伝達するギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達機構が設けられている。
【0021】
ヘッドハウジング60は、図5を参照すると、リボン巻取り軸14およびリボン供給軸15の下方に組み付けられており、リボン供給軸15からプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給されるインクリボン2を案内するガイド面として機能する下面を有している。また、ヘッドハウジング60は、サーマルヘッド12(形成されている発熱体)よりも被印字媒体1の搬送方向上流側に設けられた図示しない回動軸に対して、サーマルヘッド12を印字面に対して略垂直な方向に移動可能に枢設されていると共に、ヘッドハウジング60には、サーマルヘッド12が固着されており、サーマルヘッド12の印字面の反対面側には、ヘッドハウジング60を印字ユニット40に組み付けた際に、後述するヘッド圧調整手段に当接する押圧部材61が、印字面に対して垂直な方向に移動可能に支持されており、サーマルヘッド12と押圧部材61との間には、バネ62が介装されている。これにより、ヘッドハウジング60に固着されているサーマルヘッド12が、バネ62の付勢力によってプラテンローラ11に押圧されるようになっている。
【0022】
組み付けられているヘッドハウジング60の上方、すなわち押圧部材61側には、調整軸44と偏心部材45とからなるヘッド圧調整手段が設けられており、調整軸44を回動させて偏心部材45を押圧部材61に当接されることで、ヘッドハウジング60における押圧部材61の位置を制御して、サーマルヘッド12がプラテンローラ11に押圧される力、すなわちヘッド圧を調整することができるようになっている。
【0023】
また、印字ユニット40には、リボン供給軸15の下方を覆うリボンカバー50が設けられており、リボンカバー50は、リボン供給軸15よりも奥側、すなわちアーム部41側に配置され、右リボンフレーム42および左リボンフレーム43と垂直な回動軸51によって、回動自在に支持されている。
【0024】
リボンカバー50は、上蓋部30が閉じられた閉状態、すなわち印字ユニット40が上蓋部30に嵌装された嵌装状態では、図5を参照すると、リボンカバー50の回動軸51を挟んだ被当接端53に、上蓋部30に設けられた当接部32が当接することにより、リボンカバー50が閉じられた状態となり、ヘッドハウジング60の下面とリボンカバー50の上面との間隙が、リボン供給軸15からサーマルヘッド12に供給されるインクリボン2の挿通路52となり、リボンカバー50の下面が、供給部13からサーマルヘッド12に供給される被印字媒体1を上側から案内するガイド板として機能するように構成されている。なお、本実施の形態では、印字ユニット40を上蓋部30に嵌装させることなく、印字ユニット40を本体20に降ろした場合にも、リボンカバー50が本体20に当接することで、リボンカバー50が閉じられた状態となるようになっている。
【0025】
リボンカバー50は、図3に示すように、上蓋部30と印字ユニット40とをそれぞれ独立して回動させた開状態では、被当接端53と上蓋部30に設けられた当接部32との当接が解除されると共に、リボンカバー50と本体20との当接が解除されるため、リボンカバー50は、自重によって、ヘッドハウジング60の下面から離れる方向に回動され、図4に示すように、挿通路52が大きく拡がるようになっている。
【0026】
次に、本実施の形態における印字ユニット40へのインクリボン2の装着動作について図6乃至図8を参照して詳細に説明する。
図6は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態における印字ユニットからの使用済みインクリボンの取り外し動作を説明するための説明図であり、図7は、本発明に係るサーマルプリンタの実施の形態における印字ユニットへのインクリボンの装着動作を説明するための説明図であり、図8は、図3に示す印字ユニットを上方側から見た平面図であり、図9は、図3に示す印字ユニットにインクリボンが装着された状態を示す概略斜視図である。
【0027】
インクリボン2は、図7(a)に示すように、未使用のインクリボン2を巻付けてある紙管等の筒状体からなる供給スプール軸4と、転写後のインクリボン2を巻取る紙管等の筒状体からなる巻取りスプール軸5とに架け渡されて提供される。図8(a)を参照すると、リボン巻取り軸14には、巻取りスプール軸5を軸方向から挟持する巻取りスプール軸装着部14aが、リボン供給軸15には、供給スプール軸4を軸方向から挟持する供給スプール軸装着部15aがそれぞれ設けられており、図8(b)に示すように、巻取りスプール軸5が巻取りスプール軸装着部14aにリボン巻取り軸14として装着されると共に、供給スプール軸4が供給スプール軸装着部15aにリボン供給軸15として装着されるように構成されている。
【0028】
印字ユニット40へのインクリボン2の装着は、図3に示すように、上蓋部30が開けられ、且つ印字ユニット40が上蓋部30から独立して回動された状態、すなわち、リボン巻取り軸14およびリボン供給軸15の上方が解放され、且つサーマルヘッド12がプラテンローラ11から離れて、サーマルヘッド12の印字面を経由してリボン供給軸15とリボン巻取り軸14との間に新たなインクリボン2を架け渡すことが可能なリボン交換状態で行われる。
【0029】
リボン交換状態においては、ヘッドハウジング60の下面から離れる方向にリボンカバー50が回動され、挿通路52、すなわちヘッドハウジング60の下面とリボンカバー50の上面との間隙は、少なくとも供給スプール軸4および巻取りスプール軸5の直径よりも大きく拡がるようになっている。
【0030】
まず、未使用のインクリボン2が引き出された供給スプール軸4を供給スプール軸装着部15aから取り外し、図6に矢印で示すように、供給スプール軸4を大きく拡がった挿通路52を通し、転写後のインクリボン2が巻き取られている巻取りスプール軸5を巻取りスプール軸装着部14aから取り外す。
【0031】
次に、供給スプール軸4の巻き回されている新品のインクリボン2を用意し、図7(a)に矢印で示すように、巻取りスプール軸5を大きく拡がった挿通路52に通し、図7(b)に矢印で示すように、インクリボン2がサーマルヘッド12の印字面を経由するように、巻取りスプール軸5をリボン巻取り軸14として巻取りスプール軸装着部14aに、供給スプール軸4をリボン供給軸15として供給スプール軸装着部15aにそれぞれ装着し、リボン巻取り軸14やリボン供給軸15を回転させることによって、図9に示すように、インクリボン2の弛みを解消した後、上蓋部30を閉じる。
【0032】
なお、使用中のインクリボン2に皺等の何らかの障害や、印字色の変更等が生じた場合には、供給スプール軸4に未使用のインクリボン2が、巻取りスプール軸5に転写済みのインクリボン2がそれぞれ巻き回された状態で、交換作業が行われることがあり、この場合には、未使用のインクリボン2が巻き回されている供給スプール軸4もしくは転写済みのインクリボン2が巻き回されている巻取りスプール軸5を、大きく拡がった挿通路52に通す必要がある。そこで、リボン交換状態において、挿通路52、すなわちヘッドハウジング60の下面とリボンカバー50の上面との間隙を、少なくともインクリボン2を半分使用した状態の供給スプール軸4および巻取りスプール軸5の巻き径よりも広くなるように設定し、インクリボン2を半分使用した状態の供給スプール軸4および巻取りスプール軸5を挿通路52通すことができるように構成するとより好適である。
【0033】
上蓋部30が閉じられると、印字ユニット40は、上蓋部30に嵌装された嵌装状態となり、図5に示すように、リボンカバー50の回動軸51を挟んだ被当接端53に、上蓋部30に設けられた当接部32が当接することにより、リボンカバー50が閉じられた状態となり、ヘッドハウジング60の下面とリボンカバー50の上面との間隙が、リボン供給軸15からサーマルヘッド12に供給されるインクリボン2の挿通路52となり、リボンカバー50の下面が、供給部13からサーマルヘッド12に供給される被印字媒体1を上側から案内するガイド板として機能する。なお、印字ユニット40を上蓋部30に嵌装させることなく、印字ユニット40を本体20に降ろした場合にも、リボンカバー50が本体20に当接することで、リボンカバー50が閉じられた状態となる。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態によれば、プラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給する未使用のインクリボン2が装着されるリボン供給軸15、転写済みのインクリボン2を巻取るリボン巻取り軸14およびサーマルヘッド12が支持されたヘッドハウジング60を右リボンフレーム42と左リボンフレーム43とで支持し、サーマルヘッド12がプラテンローラ11から離れてリボン供給軸15とリボン巻取り軸14との間に新たなインクリボン2を架け渡すことが可能なリボン交換状態に移動可能な印字ユニット40と、ヘッドハウジング60との間隙がリボン供給軸15からサーマルヘッド12に供給されるインクリボン2の挿通路52となるリボンカバー50とを備え、印字ユニット40がリボン交換状態に移動された場合には、挿通路52が拡がるようにリボンカバー50が移動するように構成することにより、インクリボン2の交換作業時に、挿通路52が拡がっているため、拡がった挿通路52にインクリボン2を通過させる作業を簡単に行うことができ、リボン供給軸15、リボン巻取り軸14およびサーマルヘッド12を印字ユニット40として右リボンフレーム42と左リボンフレーム43とで支持するタイプであっても、インクリボン2の交換作業を簡単に行うことができるという効果を奏する。
【0035】
さらに、本実施の形態によれば、未使用のインクリボン2を巻付けてある供給スプール軸4と、転写後のインクリボン2を巻取る巻取りスプール軸5とに架け渡されたインクリボン2が提供されると共に、リボン巻取り軸14には、巻取りスプール軸5が装着される巻取りスプール軸装着部14aが、リボン供給軸15には、供給スプール軸4が装着される供給スプール軸装着部15aがそれぞれ設けられており、印字ユニット40がリボン交換状態に移動された場合には、リボンカバー50は、挿通路52が巻取りスプール軸5の直径よりも大きく拡がるように構成することにより、インクリボン2の交換作業時に、挿通路52が巻取りスプール軸5の直径よりも大きく拡がっているため、拡がった挿通路52に巻取りスプール軸5を通過させる作業を簡単に行うことができ、リボン供給軸15、リボン巻取り軸14およびサーマルヘッド12を印字ユニット40として右リボンフレーム42と左リボンフレーム43とで支持するタイプであっても、インクリボン2の交換作業を簡単に行うことができるという効果を奏する。
【0036】
さらに、本実施の形態によれば、リボンカバー50を印字ユニット40に回動可能に支持し、印字ユニット40がリボン交換状態に移動された場合には、リボンカバー50が自重によって回動することで、挿通路52が拡がるように構成することにより、複雑な移動機構を設けることなく、リボンカバー50を移動させて挿通路52を拡げることができるという効果を奏する。
【0037】
さらに、本実施の形態によれば、被印字媒体1を収容する供給部13およびプラテンローラ11を備え、上部が解放された本体20と、本体20の上部を開閉する上蓋部30と、上蓋部30内に嵌脱可能に構成されていると共に、プラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給する未使用のインクリボン2が装着されるリボン供給軸15、転写済みのインクリボン2を巻取るリボン巻取り軸14およびサーマルヘッド12を備え、サーマルヘッド12がプラテンローラ11から離れた開状態に移動可能な印字ユニット40と、印字ユニット40に設けられ、リボン供給軸15に装着されたインクリボン2の下部を開閉するリボンカバー50と、上蓋部30に設けられ、印字ユニット40が上蓋部30に嵌装された状態で、リボンカバー50に当接してリボンカバー50を閉じた状態にする当接部32とを設け、印字ユニット40が開状態で、且つ上蓋部30から引き出された状態では、リボンカバー50が自重によって開いた状態となるように構成することにより、印字ユニット40が開状態において、印字ユニット40が上蓋部30に嵌装された状態では、リボンカバー50が閉じた状態となるため、リボン供給軸15に装着されたインクリボン2を保護することができると共に、印字ユニット40が上蓋部30から引き出された状態では、リボンカバー50が閉じた状態となるため、インクリボン2の交換作業を簡単に行うことができるという効果を奏する。
【0038】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0039】
1 被印字媒体
2 インクリボン
3 ロール紙
4 供給スプール軸
5 巻取りスプール軸
10 サーマルプリンタ
11 プラテンローラ
12 サーマルヘッド
13 供給部
14 リボン巻取り軸
14a 巻取りスプール軸装着部
15 リボン供給軸
15a 供給スプール軸装着部
16 排出口
17 支持軸
20 本体
30 上蓋部
31 開閉ストッパ
31a 凸部
32 当接部
40 印字ユニット
41 アーム部
42 右リボンフレーム
43 左リボンフレーム
44 調整軸
45 偏心部材
46、47、48 貫通孔
49 被伝達ギヤ
50 リボンカバー
51 回動軸
52 挿通路
53 被当接端
60 ヘッドハウジング
61 押圧部材
62 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンと被印字媒体とを重ねてプラテンローラとサーマルヘッドとの間に挟持搬送することで、前記インクリボンから前記被印字媒体にインクを転写させて印字を行うサーマルプリンタであって、
前記被印字媒体を収容する供給部および前記プラテンローラを備え、上部が解放された本体と、
該本体の上部を開閉する上蓋部と、
該上蓋部内に嵌脱可能に構成されていると共に、前記プラテンローラと前記サーマルヘッドとの間に供給する未使用の前記インクリボンが装着されるリボン供給軸、転写済みの前記インクリボンを巻取るリボン巻取り軸および前記サーマルヘッドを備え、前記サーマルヘッドが前記プラテンローラから離れた開状態に移動可能な印字ユニットと、
該印字ユニットに設けられ、前記リボン供給軸に装着された前記インクリボンの下部を開閉するリボンカバーと、
前記上蓋部に設けられ、前記印字ユニットが前記上蓋部に嵌装された状態で、前記リボンカバーに当接して前記リボンカバーを閉じた状態にする当接部とを具備し、
前記リボンカバーは、前記印字ユニットが開状態で、且つ前記上蓋部から引き出された状態では、自重によって開いた状態となることを特徴とするサーマルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−32016(P2013−32016A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226617(P2012−226617)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2008−22109(P2008−22109)の分割
【原出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】