説明

シェード装置

【課題】シェードのスムーズな引出収納を可能にし、コンパクトに輸送すること。
【解決手段】巻取装置20と、巻取装置20に対して引出収納可能に取付けられたシェード30と、シェード30の引出側端部32に取付けられたステイ40と、ステイ40の両端部にそれぞれ第1連結部C1を介して連結された一対のランナー50と、一対のランナー50をそれぞれ移動可能に支持する一対のガイドレール60と、を備え、第1連結部C1は、各ガイドレール60を巻取装置20に対して近接する向きに折り畳み可能な態様で、ステイ40と各ランナー50とを相対回転可能に連結している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出収納されるシェードの先端部がガイドレールに沿って案内されるシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シェードの先端部がガイドレールに沿って案内されるシェード装置に関する技術として、特許文献1に記載のものがある。この特許文献1には、シェード(ブラインドシート)を展張・収納するためにシェードの引出側端部に取付けられたステイ(引張り棒)の両端部を案内する一対のガイドレールを備えるシェード装置(窓ブラインド)が開示されている。各ガイドレールは、シェードの収納状態でステイを支持する基部側レール(第1の部分)と、シェードの展張時にステイを支持する展張側レール(第2の部分)とに分割される。これにより、シェード装置全体をコンパクトにして輸送効率を向上させた構成となっている。このように構成されたシェード装置は、車両に取付ける直前に展張側レールを基部側レールに連結して車両に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−225566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような構成は、シェード装置を車両に取付けるにあたって、展張側レールを基部側レールに連結する際、組付け誤差により両レールとの間で段差又は屈曲が生じる恐れがある。この場合、ステイに連結されてガイドレール内を移動するランナーが段差を越える抵抗が大きくなったり、ランナーとガイドレールの内壁との間で摺動抵抗が大きくなって異音が発生したりする恐れがある。また、ランナーをモータにより摺動駆動する場合、モータに加わる負荷が増大して、モータが耐久性の劣化により作動しなくなる恐れもある。
【0005】
そこで、本発明は、シェードのスムーズな引出収納を可能にし、コンパクトに輸送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係るシェード装置は、ウインドウを遮蔽可能なシェード装置であって、巻取装置と、前記巻取装置に対して引出収納可能に取付けられたシェードと、前記シェードの引出側端部に取付けられたステイと、前記ステイの両端部にそれぞれ第1連結部を介して連結された一対のランナーと、前記一対のランナーをそれぞれ移動可能に支持する一対のガイドレールと、を備え、前記第1連結部は、前記各ガイドレールを前記巻取装置に対して近接する向きに折り畳み可能な態様で、前記ステイと前記各ランナーとを相対回転可能に連結している。
【0007】
第2の態様に係るシェード装置は、第1の態様に係るシェード装置であって、前記シェードの引出収納方向において、前記巻取装置から前記第1連結部のうち一方の第1連結部の回転軸までの距離と、他方の第1連結部の回転軸までの距離とが異なる距離に設定されている。
【0008】
第3の態様に係るシェード装置は、第1または第2の態様に係るシェード装置であって、前記巻取装置と前記各ガイドレールとは第2連結部を介して相対回転可能に連結され、前記シェードを前記巻取装置に収納した状態で、前記第1連結部の回転軸と前記第2連結部の回転軸とが略同軸となる。
【0009】
第4の態様に係るシェード装置は、第3の態様に係るシェード装置であって、前記第2連結部は、前記巻取装置と前記一対のガイドレールとを、少なくとも前記一対のガイドレールを展開した状態で、前記巻取装置の長手方向において前記巻取装置に対する前記各ガイドレールの位置を調節可能に連結している。
【0010】
第5の態様に係るシェード装置は、第1〜第4の態様のいずれか一態様に係るシェード装置であって、前記ステイは、前記シェードの引出側端部に取付けられる支持部材と、一端部が前記支持部材に対してその長手方向に沿って移動可能に支持されていると共に、他端部が前記第1連結部を介して前記各ランナーに対して相対回転可能に連結されている一対のスライド部材と、を備えている。
【0011】
第6の態様に係るシェード装置は、第1〜第5の態様のいずれか一態様に係るシェード装置であって、前記一対のガイドレールを展開した状態で、前記一対のガイドレールの展開方向への回転を規制可能なストッパーを備えている。
【0012】
第7の態様に係るシェード装置は、第1〜第6の態様のいずれか一態様に係るシェード装置であって、前記一対のガイドレールを、折り畳み状態に保持可能な保持部材を備えている。
【0013】
第8の態様に係るシェード装置は、第1〜第7の態様のいずれか一態様に係るシェード装置であって、前記各ガイドレールに沿って配設され、前記各ランナーが連結された可撓性線状部材と、前記可撓性線状部材を前記一対のガイドレールの長手方向に沿って移動させる駆動装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様に係るシェード装置によると、ステイとランナーが相対回転可能に連結されているため、ランナーをガイドレールに移動可能に支持した状態で、ガイドレールを展開、折り畳みすることができる。そして、一つのランナーを一つのガイドレールに対して支持することができるため、ランナーをスムーズに移動させることができる。また、ガイドレールを折り畳むことにより、梱包サイズを小さくすることができる。つまり、シェードのスムーズな引出収納を可能にして、コンパクトに輸送することができる。
【0015】
第2の態様に係るシェード装置によると、ガイドレールの折り畳み時に、一対のガイドレールが並列状に重なるようにして折り畳むことができる。このため、一対のガイドレールの長手方向の長さが巻取装置の長手方向の略半分の長さより長い場合でも、折り畳み状態をコンパクトにすることができる。また、異形窓に適用する場合等、ウインドウ形状に応じて引出側端部が巻取装置に対して傾斜を成すシェードを用いる場合でも、一対のガイドレールを折り畳むことができ、コンパクトに輸送することができる。
【0016】
第3の態様に係るシェード装置によると、巻取装置とガイドレールとを連結しているため、第1連結部に加わる負荷を抑制することができる。また、ガイドレールの折り畳み、展開時の形態がそれぞれほぼ一定となり、梱包し易いと共に、車両への取付精度を向上させることができる。さらに、第1連結部の回転軸と第2連結部の回転軸とを略同軸とすることができるため、ガイドレールの折り畳みをスムーズに行うことができる。
【0017】
第4の態様に係るシェード装置によると、車両取付時にガイドレール展開時の組付け幅寸法を調節することができるため、製品或いは取付箇所の寸法誤差を吸収することができる。
【0018】
第5の態様に係るシェード装置によると、ガイドレールの長手方向において一対のガイドレール間の距離が異なる場合または車両取付時、取付後に一対のガイドレール間の距離が変化する場合でも、その距離の変化に対応でき、シェードをスムーズに引出収納することができる。また、第1連結部の回転軸と、第2連結部の回転軸とが略同軸上にない状態で一対のガイドレールが折り畳まれたとしても、一対のガイドレールの回転に合わせてスライド部材が支持部材に対して摺動することにより、ガイドレールの折り畳みが可能となるうえ、ステイ及びランナーに加わる負荷を抑制することができる。
【0019】
第6の態様に係るシェード装置によると、車両取付時にガイドレールが展開しすぎることを防止して、スライド部材及びランナーの破損を抑制することができる。また、ガイドレールが車両に衝突することによる傷付け、破損を抑制することができる。
【0020】
第7の態様に係るシェード装置によると、搬送時に、ガイドレールのガタつきを抑えてシェード装置の破損を抑制することができる。
【0021】
第8の態様に係るシェード装置によると、駆動装置により自動で移動される可撓性線状部材を介してランナーを任意の位置に移動、停止させることができるため、シェードを自動で所望の位置に移動させて使用することができる。また、一つのランナーが一つのガイドレールに移動可能に支持されてスムーズに移動するため、駆動装置に余分な負荷が加わることを抑制でき、耐久性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ガイドレール展開時のシェード装置を示す図である。
【図2】ガイドレール折り畳み時のシェード装置を示す図である。
【図3】第1連結部及び第2連結部付近の拡大平面図である。
【図4】ステイの構造を示す平面図である。
【図5】図3のV‐V線断面におけるランナーとガイドレールとの関係図である。
【図6】図3のVI‐VI線断面図である。
【図7】ガイドレール折り畳み時の第1連結部及び第2連結部付近の斜視図である。
【図8】駆動装置によるワイヤー移動の概念図である。
【図9】変形例1に係るガイドレール展開時のシェード装置を示す図である。
【図10】変形例1に係るガイドレール折り畳み時のシェード装置を示す図である。
【図11】変形例2に係るガイドレール展開時のシェード装置を示す図である。
【図12】変形例2に係るガイドレール折り畳み時のシェード装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態に係るシェード装置について説明する。本シェード装置は、車両のウインドウ、サンルーフ等をその車内側の位置でシェードにより遮蔽する装置である。以下、本シェード装置を車両のウインドウに適用する例で説明する。また、本シェード装置は、シェードの引出収納操作をガイドする一対のガイドレールを有しており、このガイドレールを折り畳んだ状態でコンパクトに輸送できるようにするものである。そして、輸送後の車両取付の際に、折り畳んだガイドレールを展開して取り付け、シェードのスムーズな引出収納を可能にするものである。
【0024】
<1.シェード装置の構成>
本シェード装置の構成について説明する。図1はガイドレール60展開時のシェード装置10を示す図、図2はガイドレール60折り畳み時のシェード装置10を示す図、図3は第1連結部C1及び第2連結部C2付近の拡大平面図、図4はステイ40の構造を示す図、図5は図3のV‐V線断面におけるランナー50とガイドレール60との関係図、図6は図3のVI‐VI線断面図、図7はガイドレール60折り畳み時の第1連結部C1及び第2連結部C2付近の斜視図、図8は駆動装置80によるワイヤー86移動の概念図である。
【0025】
本シェード装置10は、巻取装置20と、シェード30と、ステイ40と、一対のランナー50と、一対のガイドレール60とを備えている。このシェード装置10では、巻取装置20に対して引出及び収納可能なシェード30に引出用のステイ40が取付けられており、このステイ40が一対のランナー50に相対回転自在に連結されている。また、この一対のランナー50がそれぞれ一対のガイドレール60に対して移動可能に支持され、この一対のガイドレール60が巻取装置20に相対回転自在に連結されている。そして、一対のガイドレール60に沿って一対のランナー50が移動することによりシェード30が引出収納される。また、このシェード30の収納時に、一対のランナー50を一対のガイドレール60に支持した状態で、各連結部を介して一対のガイドレール60を折り畳み可能に構成されている。
【0026】
巻取装置20は、巻取シャフト22と巻取支持部材24とを備えている。巻取シャフト22は、巻取支持部材24に対して、その中心軸周りに相対回転可能に支持されていると共に、図示省略の付勢部材により回転付勢されている。また、巻取支持部材24は、一対のガイドレール60を連結可能な巻取支持部材側連結片部28及び後述する保持部材90を取付可能な2つの保持片部26を有している。この巻取支持部材側連結片部28及び保持片部26については後で詳述する。
【0027】
シェード30は、取付対象となる車両のウインドウの形状、大きさに応じて布等の材料を裁断、縫製等して形成されたシート状部材である。このシェード30は、車両のウインドウを遮蔽可能な遮光性を有する布材を用いて形成されてもよい。ここでは、シェード30は、略長方形に形成されており、その一端側部分(後述する引出側端部32)が他の部分より幅狭に形成されている。もっとも、シェード30の形状はこれに限られず、例えば、台形等の形状でもよい。
【0028】
このシェード30は、巻取装置20に対して引出及び収納可能に取付けられており、巻取装置20の長手方向に略直交する方向に引出収納される。より具体的には、シェード30は、その一端部が巻取装置20の巻取シャフト22に対してその軸方向に沿うようにその外周面に取付けられている。また、巻取シャフト22に取付けられたシェード30は、収納状態と最大引出状態との間の領域で引出収納方向で収納側に引張られた状態になる。そして、この状態で、シェード30の引出側端部32は、巻取装置20の長手方向と略平行である(図1または図2参照)。
【0029】
上記シェード30の引出側端部32(巻取装置20に取付けられた一端部と対向する他端部)にはステイ40が取付けられており、このステイ40の両端部には第1連結部C1を介して一対のランナー50がそれぞれ連結されている(図3参照)。
【0030】
上記ステイ40は、シェード30の引出側端部32に取付けられる支持部材42と、一端部が支持部材42に対してその長手方向に沿って移動可能に支持されていると共に、他端部が第1連結部C1を介して各ランナー50に対して相対回転可能に連結されている一対のスライド部材44と、を備えている(図4参照)。
【0031】
ここでは、支持部材42は、断面視略直方体の挿通孔部43を有する長尺の中空棒状に形成されている。この支持部材42は、シェード30の引出側端部32の幅寸法と略同寸法に設定され、この引出側端部32の幅方向全体に亘って取付けられている。また、ここでは、支持部材42は、巻取装置20の長手方向と略平行である(図1または図2参照)。
【0032】
また、スライド部材44は、樹脂等の材料により形成され、その一端側に支持部材42の挿通孔部43より小さい(ここでは僅かに小さい)断面積を有する略直方体の長尺棒状に形成されたスライド部46を有すると共に、他端側に後述するスライド部材側連結端部48を有している。
【0033】
そして、支持部材42の両端側からその挿通孔部43内に各スライド部材44のスライド部46が挿入されることにより、スライド部材44が支持部材42に対してその長手方向に沿って移動可能に支持される(図4参照)。つまり、スライド部材側連結端部48が支持部材42に対してその幅方向位置を変更可能であるため、ステイ40全体の設置幅寸法を変更することができる。
【0034】
なお、支持部材42がスライド部材44を支持する構成は上記のものに限られず、支持部材42に対してスライド部材44がその長手方向に移動可能に支持されていればよい。例えば、スライド部材及び支持部材には嵌合可能な溝部或いは突出部がそれぞれ長手方向に沿って形成され、この溝部と突出部とが嵌合された状態で、スライド部材が支持部材に対してその長手方向に沿って移動可能に支持される構成でもよい。
【0035】
また、一対のランナー50は、その一端側にスライド部材44(ここではスライド部材側連結端部48)と連結可能なランナー側連結端部58を有すると共に、他端側にガイドレール60に移動可能に支持される移動部54を有している。
【0036】
ここでは、ランナー50とスライド部材44とは、上記ランナー側連結端部58とスライド部材側連結端部48とが連結されることにより相対回転可能に維持される。より具体的には、このランナー側連結端部58及びスライド部材側連結端部48には、それぞれ、第1連結孔部58h、48hが形成されている。そして、ランナー側連結端部58及びスライド部材側連結端部48は、第1連結孔部58h、48hに対して、円柱状の挿通部を有する連結部材が挿通した状態で連結される。
【0037】
つまり、ランナー50とスライド部材44とは、ランナー側連結端部58及びスライド部材側連結端部48を重ねて第1連結孔部58h、48hの中心を略一致させた状態で、前記連結部材を挿通することにより、その中心軸周りに相対回転可能に連結されている。また、ランナー50とスライド部材44とは、連結部材により、その重なり合う方向においてがたつきなく連結されているとよい。このように連結されたランナー50とスライド部材44との連結部が第1連結部C1である。
【0038】
換言すると、この第1連結部C1は、後述する各ガイドレール60を巻取装置20に対して近接する向きに折り畳み可能な態様で、ステイ40と各ランナー50とを相対回転可能に連結している。ここでは、第1連結部C1は、各ランナー50とスライド部材44とを、シェード30の引出収納時にステイ40が移動する平面と略同一平面上において相対回転可能に連結している。なお、第1連結部C1を介した一対のガイドレール60の折り畳みについては後で詳述する。
【0039】
また、ランナー50の移動部54には、後述するランナー50を移動させるためのワイヤー86とこれに取付けられた係止部材87とを嵌入可能な嵌入凹部55が形成されている。より具体的には、嵌入凹部55は、係止部材87から両側に延びるワイヤー86がランナー50の移動方向に沿うように、ワイヤー86及び係止部材87を嵌入可能である。
【0040】
一対のガイドレール60は、シェード30をその引出収納方向にガイド可能なように、ステイ40の両端部に連結されている一対のランナー50をそれぞれ移動可能に支持している。ここで、シェード30の収納時に一対のランナー50が位置する側のガイドレール60の端部をガイドレール60の基端部60a、最大引出時に一対のランナー50が位置する側のガイドレール60の端部をガイドレール60の先端部60bとして説明する。
【0041】
一対のガイドレール60は、それぞれ、長尺の板状金属部材を屈曲、溶接等して形成されている。ここでは、ガイドレール60の材料にはアルミ材を採用している。
【0042】
各ガイドレール60は、その長手方向に沿って各ランナー50を移動可能なように、ランナー50の移動部54を支持するガイド溝部62を有している。ガイド溝部62は、その長手方向に直交する断面で、ランナー50の移動部54より大きい(ここでは僅かに大きい)溝状に形成されている(図5参照)。また、ガイド溝部62には、ランナー50のランナー側連結端部58を突出させる開口が長手方向に沿って形成されている。
【0043】
このガイド溝部62は、その開口から外方にランナー50のランナー側連結端部58側の部分を突出させた状態で移動部54を移動可能に支持している。また、このガイド溝部62は、その開口から移動部54が抜出すのを防止するように、奥側より開口側が幅狭に形成されている。さらに、ガイド溝部62は、その開口付近の内壁から内側に向けて突出状に延設された係止突片63をガイドレール60の長手方向に沿って有している(図5参照)。
【0044】
ランナー50には、この係止突片63に係止可能な溝状の係止溝部56が形成されている。この係止溝部56は、移動部54をガイド溝部62内に配設した状態でガイドレール60の長手方向に沿って延びていると共に、この長手方向に直交する平面方向において、係止突片63より大きい(ここでは僅かに大きい)溝状に形成されている(図5参照)。
【0045】
そして、ランナー50は、移動部54がガイド溝部62内に配設されることにより、ガイドレール60に対してその長手方向以外の方向においてがたつきなく支持される。もっとも、ランナー50は、ガイドレール60に対してその長手方向に移動可能に支持されていればよく、当該長手方向に直交する方向において遊びを設けてもよい。他にも、ランナー50は、ランナー側連結端部58側の部分のガイドレール60からの突出量を変化可能なように、ガイド溝部62の開口方向に移動可能に支持されていてもよい。
【0046】
また、ガイドレール60は、その基端部60aに基端側規制部72を備えている。ここでは、基端側規制部72は、ガイド溝部62と略同じ大きさの断面積に形成された基端嵌合部72aを有し、この基端嵌合部72aがガイドレールの基端部60aでガイド溝部62内に嵌合されることにより配設されている(図6参照)。また、基端側規制部72には、後述するワイヤー86を挿通可能なワイヤー挿通溝部72bが形成されている(図3または図6参照)。また、各ガイドレール60は、その先端部60bに図示省略の先端側規制部を備えている。この先端側規制部は、基端側規制部72と同様で、一対のガイドレール60は、この基端側規制部72と先端側規制部との間でランナー50を移動可能に構成されている。
【0047】
もっとも、基端側規制部72及び先端側規制部は、上記構成に限られず、ランナー50がシェード30の収納位置と最大引出位置との間で移動するように規制可能であればよい。例えば、基端側規制部72及び先端側規制部は、ガイド溝部62に内装される内装部材をネジ止め等により固定するものであってもよい。
【0048】
さらに、一対のガイドレール60には、後述するワイヤー86のうち外方に臨む位置でガイドレール60に沿って配設可能なワイヤー配設溝部66と、ガイドレール60を折り畳み状態に保持する保持部材90の保持部94を配設可能な保持用溝部67とが形成されている。
【0049】
ワイヤー配設溝部66と保持用溝部67とは、ガイド溝部62を挟んで両側に、ガイドレール60の長手方向に沿って形成されている。ワイヤー配設溝部66と保持用溝部67とは、互いに離間する向きに開口している。ワイヤー配設溝部66は、後述するワイヤー86を保護するワイヤーチューブ89の断面積より大きい(ここでは僅かに大きい)溝状に形成されている。また、保持用溝部67は、保持部材90の保持部94より大きい溝状に形成されている(図5または図6参照)。このワイヤー配設溝部66とワイヤー86との関係、及び、保持用溝部67と保持部材90との関係については後に詳述する。
【0050】
また、一対のガイドレール60は、巻取装置20に、第2連結部C2を介して相対回転可能に連結されている。一対のガイドレール60は、それぞれ、巻取装置20に連結可能なガイドレール側連結片部68を有している。そして、一対のガイドレール60と巻取装置20とは、上記ガイドレール側連結片部68と巻取支持部材側連結片部28とが連結されることにより相対回転可能に維持される。より具体的には、このガイドレール側連結片部68及び巻取支持部材側連結片部28には、それぞれ、第2連結孔部68h、28hが形成されている。そして、ガイドレール側連結片部68及び巻取支持部材側連結片部28は、第2連結孔部68h、28hに対して、円柱状の挿通部を有する連結部材が挿通した状態で連結される。
【0051】
つまり、一対のガイドレール60と巻取装置20とは、ガイドレール側連結片部68及び巻取支持部材側連結片部28を重ねて第2連結孔部68h、28hを略一致させた状態で、連結部材を挿通することにより、連結部材の中心軸周りに相対回転可能に連結されている。また、各ガイドレール60と巻取装置20とは、連結部材により、その重なり合う方向においてがたつきなく連結されているとよい。このように連結された一対のガイドレール60と巻取装置20との連結部が第2連結部C2である(図7参照)。
【0052】
この第2連結部C2は、シェード30を巻取装置20に収納した状態で、第1連結部C1の回転軸と第2連結部C2の回転軸とが略同軸となるような位置で一対のガイドレール60と巻取装置20とを連結している。すなわち、一対のガイドレール60と巻取装置20とは、第2連結部C2の回転軸と、一対のランナー50の双方が基端側規制部72に当接した状態における第1連結部C1の回転軸とが、略同軸となる位置で第2連結部C2を介して連結されている(図3参照)。
【0053】
また、第2連結部C2は、巻取装置20と一対のガイドレール60とを、少なくとも一対のガイドレール60を展開した状態で、巻取装置20の幅方向において巻取装置20に対する各ガイドレール60の位置を調節可能に連結している。すなわち、第2連結部C2は、シェード装置10の車両取付時に、一対のガイドレール60間の距離、つまり、シェード装置10の取り付け幅寸法を調節可能に連結している。
【0054】
ここでは、ガイドレール60のガイドレール側連結片部68の第2連結孔部68hが、ガイドレール60展開時(車両取付時)において巻取装置20の長手方向に幅広な略楕円状に形成されている。そして、この第2連結孔部68hの範囲で巻取支持部材側連結片部28に対するガイドレール側連結片部68の位置を変化させて、ガイドレール側連結片部68と巻取支持部材側連結片部28とを連結部材により連結すればよい。もっとも、巻取装置20の巻取支持部材側連結片部28の第2連結孔部28hが略楕円状に形成されていてもよい。
【0055】
また、ステイ40と一対のランナー50との関係では、一対のガイドレール60の展開時にその間の距離を調節した場合、ガイドレール60と一緒に巻取装置20の幅方向に移動したランナー50にスライド部材44が追従してステイ40の長手寸法も変化する。このため、一対のガイドレール60間の距離を調節した場合でも、スムーズにシェード30の引出収納操作を行うことができる。また、一対のガイドレール60間の距離を調節した状態では、第1連結部C1の回転軸と第2連結部C2の回転軸と同軸位置からずれる場合もあるが、当該同軸である利点は展開、折り畳みの回転時の操作性等にあるため、車両取付後の形態は異なっていてもよい。
【0056】
なお、ここでは、上記ガイドレール側連結片部68及び巻取支持部材側連結片部28は、ガイドレール60及び巻取装置20とはそれぞれ別部材で構成されており、それぞれ一対のガイドレール60、巻取支持部材24に対してネジ止め等により固定されている。
【0057】
また、このガイドレール側連結片部68及び巻取支持部材側連結片部28は、板状金属部材を打抜き、屈曲等して形成されている。ここでは、ガイドレール側連結片部68及び巻取支持部材側連結片部28の材料には、スチール材を用いている。
【0058】
また、本シェード装置10は、一対のガイドレール60を展開した状態で、一対のガイドレール60の展開方向への回転を規制可能なストッパー部29を備えている。ここでは、巻取装置20の巻取支持部材側連結片部28にストッパー部29が形成されている。より具体的には、ストッパー部29は、巻取支持部材側連結片部28とガイドレール側連結片部68とを重ねて連結した状態において、ガイドレール側連結片部68側に向けて突出するように、金属板状部材により形成されている巻取支持部材側連結片部28の一部を屈曲して形成されている。つまり、ストッパー部29は、ガイドレール60展開時に、ガイドレール60の展開方向に回転移動するガイドレール側連結片部68の側縁部の一部に当接可能に形成されている。このストッパー部29の位置は、例えば、ガイドレール60展開時に、ガイドレール側連結片部68の第2連結孔部68hより巻取装置20側でかつ巻取装置20の幅方向中心側の側縁部に当接する位置である(図3または図7参照)。
【0059】
ここで、一対のガイドレール60の展開方向の回転が規制される位置は、シェード装置10が取付けられる車両のウインドウ形状に応じた位置であるとよい。例えば、この位置は、ウインドウの側縁部のうち、巻取装置20が配設される側縁部の両側に位置する側縁部に沿って一対のガイドレール60が配設される位置である。
【0060】
もっとも、ストッパー部29は上記態様に限られず、例えば、ガイドレール60の展開時にガイドレール60の外側部分に当接可能に構成されていてもよい。
【0061】
また、本シェード装置10は、一対のガイドレール60を折り畳み状態に保持可能な保持部材90を備えている。保持部材90は、巻取支持部材24の両端部側部分からシェード30の引出方向前方に向けて延出する2つの保持片部26にそれぞれ取付けられている。ここでは、この保持部材90は、保持片部26に着脱可能に構成されており、保持片部26に取付けられた状態で、一対のガイドレール60を折り畳み状態で保持可能である。より具体的には、保持部材90は、樹脂等の可塑性材料により略L字形に成型されており、その一端側に巻取装置20の保持片部26に取付可能な取付部92を有していると共に、他端側にガイドレール60を保持可能な保持部94とを有している(図7参照)。
【0062】
取付部92は、巻取支持部材24からシェード30の引出方向に延出する保持片部26に対して挟持状に取付可能に構成されている。より具体的には、取付部92は、断面視略U字形状に形成され、その対向する2片の先端部の間隔が基端部側より幅狭に設定されている。そして、取付部92の対抗する2片の先端部の間隔が広がるように弾性変形させた状態で保持片部26をその間に差し込み、その後前記対抗する2片を弾性復帰させると、取付部92の弾性復帰力で保持片部26を挟むようにして保持部材90が取付られる。
【0063】
また、保持部94は、その先端側部分がガイドレール60の保持用溝部67に収容可能に形成されている。つまり、保持部94は、取付部92を保持片部26に取付けた状態で、折り畳んだガイドレール60の保持用溝部67内に挿入可能な大きさ、形状に形成されている。ここでは、保持部94は、断面視略三角形状で、その先端側の一部分が先端側から基端側に向けて取付部92の先端側に傾斜するように形成されている。なお、この形状は、本実施形態に係るシェード装置10では、輸送時のコンパクト化のため後述する駆動装置80を巻取装置20の長手方向中途部でかつ巻取装置20よりシェード30引出側に設けており、この駆動装置80と干渉しない位置でガイドレール60を保持することを考慮したものである。すなわち、保持部材90は、シェード装置10の輸送に適した態様で一対のガイドレール60を折り畳み状態に保持可能に形成されていればよい。
【0064】
そして、保持部材90の取付部92をそれぞれの保持片部26に取付け、保持部94により一対のガイドレール60をそれぞれ一本ずつ支持すると、シェード装置10は、各ガイドレール60の先端部60bが向き合うようにして折り畳まれた状態で保持される。ここでは、シェード装置10の搬送時に、各ガイドレール60は、上記のように駆動装置80の位置との関係によりこの駆動装置80を避けるようにして、巻取装置20の長手方向に対して傾斜を成す姿勢で保持される(図7参照)。
【0065】
また、本シェード装置10は、一対のガイドレール60が、その自重のみにより展開、折り畳み動作しないように回転規制される構成であってもよい。つまり、一対のガイドレール60は、外部から力を加えない状態では展開、折り畳み動作をせず、作業者等により展開、折り畳みする操作力が加えられた際に、展開、折り畳み動作をするように回転規制されていてもよい。このような構成としては、例えば、第2連結部C2においてガイドレール側連結片部68と巻取支持部材側連結片部28とがその間にOリング等の弾性部材を挟んだ状態で連結され、その間の摺動抵抗によりガイドレール60の回転規制をするものが挙げられる。他にも、ガイドレール側連結片部68と巻取支持部材側連結片部28とが向かい合う面上にそれぞれ放射状に複数の凹凸が形成され、この凹凸が一定角度ごとに噛み合ってガイドレール60の回転規制をするものであってもよい。
【0066】
本シェード装置10は、さらに、各ガイドレール60に沿って配設され、各ランナー50が連結されたワイヤー86と、このワイヤー86を一対のガイドレール60の長手方向に沿って移動させる駆動装置80とを備えている。
【0067】
このワイヤー86にはランナー50連結用の係止部材87が取付けられている。この係止部材87は、ワイヤー86の径より大きい径の略円柱状に形成され、その中心軸とワイヤー86の中心軸とが略一致するようにワイヤー86に取り付けられている。そして、この係止部材87がランナー50の移動部54に形成されている嵌入凹部55に嵌入されることにより、ワイヤー86とランナー50とが連結され(図3または図5参照)、ワイヤー86の移動に従ってランナー50がガイドレール60内を移動する。
【0068】
ここでは、ワイヤー86は環状に形成され、一つのワイヤー86が駆動装置80に対して循環移動可能に配設されると共に、一対のガイドレール60に沿って配設されている。このワイヤー86は、連結されている一対のランナー50をシェード30の引出収納方向のうちの一の向きに同時に移動させるように配設されている。より具体的には、ワイヤー86は、駆動装置80から出て一方のガイドレール60のガイド溝部62内にその基端側から先端側に向けて一方のランナー50が連結された部分が配設されると共に、その先端側で折り返されて、ガイドレール60の外側に先端側から基端側に向けて配設される。さらに、一方のガイドレール60の基端部60aに戻ってきたワイヤー86は、他方のガイドレール60の基端部60aに向けて配設される。そして、ワイヤー86は、他方のガイドレール60のガイド溝部62内にその基端側から先端側に向けて他方のランナー50が連結された部分が配設されると共に、その先端側で折り返されて、ガイドレール60の外側にその先端側から基端側に向けて配設され、駆動装置80に戻る(図8参照)。
【0069】
上記のように配設されたワイヤー86は、各ガイドレール60の基端部60aにおいて、基端側規制部72のワイヤー挿通溝部72b内を通ってガイド溝部62からその基端側の外方に延出している。
【0070】
また、ワイヤー86は、各ガイドレール60の先端側の位置で案内用プーリー88により案内されてガイドレール60の基端側に向けて折り返されている。この案内用プーリー88は、図示省略のプーリー支持部材により支持され、ワイヤー86をガイドレール60のガイド溝部62内とその外側に配設するように折り返し可能な姿勢で、回転可能に各ガイドレール60に対して支持されている。ここでは、前記プーリー支持部材は、ガイドレール60の先端側規制部と一体に形成されている。そして、ワイヤー86は、各ガイドレール60の先端部60bにおいて、先端側規制部のワイヤー挿通溝部内を通ってガイド溝部62から案内用プーリー88側に延出している。
【0071】
また、ここで、ワイヤー86のうち各ガイドレール60の外部に配設されている部分及び各ガイドレール60の基端部60a間に配設されている部分は、可撓性部材により中空状に形成されたワイヤーチューブ89内を通って配設されている。つまり、各ガイドレールのワイヤー配設溝部66と一対のガイドレール60の各基端部60a間にはワイヤーチューブ89が配設されている。
【0072】
駆動装置80は、環状に形成され配設されたワイヤー86をその循環方向両方向に移動可能に構成されている。ここでは、駆動装置80は、ワイヤー86にテンションを掛けた状態で、図示省略のモータにより駆動用プーリー82を回転駆動させ、ワイヤー86を送り移動させている。つまり、駆動装置80は、前記モータの正転、逆転によりワイヤー86をその循環方向両方向に移動可能に構成されている。
【0073】
また、駆動装置80は、一対のランナー50が基端側規制部72または先端側規制部に当接した際に、自動的にモータが停止されるように構成されていてもよい。例えば、このような構成としては、各ランナー50が各基端側規制部72または各先端側規制部に当接して、駆動装置80に基準以上の負荷が加わるとモータが停止する構成を採用することができる。また、各ランナー50が各基端側規制部72または各先端側規制部に当接する際にランナー50により押圧可能な位置に、押圧操作によりモータを停止可能なスイッチを設けた構成であってもよい。
【0074】
また、ここでは、駆動装置80は、図1または図2のように、巻取装置20の裏側(シェード装置10の車両取付時における巻取装置20の車外側)の位置で、かつ、巻取装置20の長手方向中途部の位置に配設されている。例えば、駆動装置80は、巻取支持部材24に直接または間接的に取付けられているとよい。そして、ワイヤー86は、駆動装置80が上記位置に配設されたシェード装置10において、各ガイドレール60を折り畳んだ状態で突っ張りがない程度に、長さに余裕を持たせて配設されているとよい(図2参照)。
【0075】
もっとも、駆動装置80によりワイヤー86を移動させる構成は上記のものに限られず、一対のランナー50を一対のガイドレール60に沿って移動させることができればよい。例えば、駆動装置は、端部を有するワイヤーの各端部を巻き取る構成であってもよい。
【0076】
また、本シェード装置10には、上記駆動装置80のモータの正転、逆転、停止を切換操作可能な切替スイッチ84を有しているとよい。そして、この切替スイッチ84は、シェード装置10の車両取付時に、車両利用者が操作可能な箇所に配設されるとよい。
【0077】
<2.シェード装置の操作について>
以下、本シェード装置10の操作について説明する。
【0078】
本シェード装置10は、搬送時には、一対のガイドレール60を巻取装置20に対して近接するように折り畳んだ状態で搬送される(図2参照)。すなわち、シェード30を収納状態で、一対のガイドレール60が、略同軸位置となっている第1連結部C1と第2連結部C2との回転軸周りに折り畳まれる。そして、保持部材90を各保持片部26に取付け、この保持部材90により各ガイドレール60をそれぞれ保持して各ガイドレール60の折り畳み状態を維持する(図7参照)。
【0079】
そして、上記一対のガイドレール60を折り畳んだ状態で、シェード装置10は、梱包等されて車両取付作業場等に輸送される。
【0080】
車両取付時には、まず、各ガイドレール60について保持部材90による保持を解除すると共に、保持部材90を保持片部26から取り外す。そして、巻取装置20を車両のウインドウの一つの側縁部に沿って配設すると共に、一対のガイドレール60を展開する。このガイドレール60の展開は、各ガイドレール60が前記ウインドウの側縁部の両側の側縁部に沿って配設されるようにして行われる。もっとも、一対のガイドレール60は、車両取付位置まで展開すると、ストッパー部29がガイドレール側連結片部68の側縁部に当接することにより展開方向の移動を規制され、その位置からは展開移動されない。また、この展開時に一対のガイドレール60の間隔が車両取り付け箇所に対して狭い或いは広い場合、各ガイドレール60を、ガイドレール側連結片部68の第2連結孔部68hの長手方向に沿って、巻取装置20に対して移動させて所望の位置に配設すればよい。
【0081】
そして、シェード装置10が車両に取付けられた状態で、切替スイッチ84の操作によりシェード30を任意の位置に移動させて使用する。
【0082】
すなわち、シェード30引出操作時には、切替スイッチ84に対して引出の操作を行うと、駆動装置80によりワイヤー86が移動され、このワイヤー86に取付けられた一対のランナー50が各ガイドレール60に沿って同時にシェード30を引出す側に移動される。これにより、一対のランナー50に連結されたステイ40が引出方向に移動され、このステイ40に取付けられたシェード30が引出される。ガイドレール60の中途部で切替スイッチ84に対して停止の操作を行うと、ワイヤー86の移動が停止されてシェード30は停止操作までに引出された位置に維持される。また、シェード30が最大引出し位置まで引出されると、その位置でシェード30の引出操作が停止される。
【0083】
シェード30収納操作時には、切替スイッチ84に対して収納の操作を行うと、駆動装置80によりシェード30引出操作時とは反対方向にワイヤー86が移動され、一対のランナー50が各ガイドレール60に沿って同時にシェード30を収納する側に移動される。これによりシェード30が収納方向に移動される。ガイドレール60の中途部で切替スイッチ84により停止の操作を行うと、上記と同様にシェード30は停止操作までに収納された位置に維持される。また、シェード30が収納位置まで収納されると、その位置でシェード30の収納操作が停止される。
【0084】
本実施形態に係るシェード装置10によると、ステイ40と一対のランナー50が相対回転可能に連結されているため、ランナー50をガイドレール60に移動可能に支持した状態で、ガイドレール60を展開、折り畳みすることができる。そして、一つのランナー50を一つのガイドレール60に対して支持することができるため、ランナー50をスムーズに移動させることができる。また、ガイドレール60を折り畳むことにより、梱包サイズを小さくすることができる。つまり、シェード30のスムーズな引出収納を可能にして、コンパクトに輸送することができる。
【0085】
また、本シェード装置10では、巻取装置20と一対のガイドレール60とを巻取支持部材側連結片部28とガイドレール側連結片部68との間で直接連結しているため、搬送時またはガイドレール60の折り畳み、展開時に第1連結部C1に加わる負荷を抑制することができる。また、第1連結部C1の回転軸と第2連結部C2の回転軸とを略同軸とすることができるため、ガイドレールの折り畳みをスムーズに行うことができる。さらに、巻取装置20に対してそれぞれ略一定位置の第2連結部C2の回転軸周りに一対のガイドレール60を展開、折り畳みするため、その展開、折り畳み操作を安定して行うことができる。また、これにより、一対のガイドレール60の折り畳み時にシェード装置10の形態を略同一にすることができるため、輸送時にシェード装置10を扱い易く容易に梱包することができる。また、一対のガイドレール60の展開時にシェード装置10の形態を略同一にすることができるため、車両取付時にシェード装置10を扱い易いと共に車両への取付精度を向上させることができる。
【0086】
また、シェード装置10の車両取付時に一対のガイドレール60を展開した状態の組付け幅寸法を調節することができるため、製品ごとの寸法誤差或いは取付箇所の寸法誤差を吸収することができる。
【0087】
また、ガイドレール60の長手方向において一対のガイドレール60間の距離が異なる場合、または、車両取付時、取付後に一対のガイドレール60間の距離が変化した場合でも、その距離の変化に対応して、シェード30をスムーズに引出収納することができる。また、第1連結部C1の回転軸と第2連結部C2の回転軸とが略同軸上にない状態で一対のガイドレール60が折り畳まれたとしても、一対のガイドレール60の回転に合わせてスライド部材44が支持部材42に対して摺動することにより、ガイドレール60の折り畳みが可能となるうえ、ステイ40及びランナー50に加わる負荷を抑制することができる。
【0088】
また、車両取付時にガイドレール60が展開しすぎることを防止して、スライド部材44及びランナー50の破損を抑制することができる。また、ガイドレール60が車両に衝突することによる車両の傷付き、破損を抑制することができる。
【0089】
また、保持部材90により一対のガイドレール60を折り畳み状態に保持することができるため、シェード装置10の搬送時に、ガイドレール60のガタつきを抑えてシェード装置10の破損を抑制することができる。
【0090】
また、駆動装置80により自動で移動されるワイヤー86を介してランナー50を任意の位置に移動、停止させることができるため、シェード30を自動で所望の位置に移動させて使用することができる。また、本シェード装置10は、一つのランナー50が一つのガイドレール60に対して移動可能に支持され、スムーズに移動可能に構成されているため、駆動装置80に余分な負荷が加わることを抑制でき、耐久性の劣化を抑制することができる。
【0091】
{変形例}
以下、上記実施形態に係るシェード装置10の変形例について説明する。なお、変形例の説明において、上記実施形態との相違点を中心に説明し、上記実施形態と同様の構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0092】
変形例に係るシェード装置100、200は、シェード30、230の引出収納方向において、巻取装置20から第1連結部C1のうち一方の第1連結部C1の回転軸までの距離と、他方の第1連結部C1の回転軸までの距離とが異なる距離に設定されている。以下、2つの変形例に係るシェード装置100、200について説明する。
【0093】
<1.変形例1>
まず、変形例1について説明する。図9は変形例1に係るガイドレール160展開時のシェード装置100を示す図、図10は変形例1に係るガイドレール160折り畳み時のシェード装置100を示す図である。
【0094】
変形例1に係るシェード装置100は、長手方向の長さが巻取装置20の略半分の長さより長い一対のガイドレール160を有しており、この一対のガイドレール160の折り畳み時の形態をコンパクトにするものである。
【0095】
このシェード装置100においては、ステイ40は、それぞれ形状の異なる一対のスライド部材144、44を有している。この一対のスライド部材144、44のうち、一方のスライド部材144と一方のランナー50とが連結されている一方の第1連結部C1の回転軸の位置と、他方の第1連結部C1の回転軸の位置とが、シェード30の引出方向において異なっている。すなわち、各第1連結部C1によって、シェード30の引出方向における巻取装置20に対する回転軸の位置が異なっている。ここでは、一方のスライド部材144は、支持部材42に対して移動可能に支持されている一端側部分に対して、他端側部分がシェード30の引出方向前方に向けて略直角に屈曲され、全体として略L字状に形成されている。そして、一方のスライド部材144は、その屈曲された他端側にスライド部材側連結端部148を有しており、このスライド部材側連結端部148において一方のランナー50と第1連結部C1を介して連結されている。つまり、この一方の第1連結部C1の回転軸は、他方の第1連結部C1の回転軸に対して引出方向前方に位置する。
【0096】
この一方のスライド部材144のその他形状、ランナー50との連結については、上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0097】
また、シェード装置100においては、各第2連結部C2についても、シェード30の引出方向における巻取装置20に対する回転軸の位置が異なっている。より具体的には、両第2連結部C2は、上記実施形態と同様に、シェード30の収納状態において、第1連結部C1の回転軸と第2連結部C2の回転軸とが略同軸となるような位置で一対のガイドレール60と巻取装置20とを連結している。つまり、上記一方のスライド部材144と一方のランナー50が連結されている第1連結部C1の回転軸と一方の第2連結部の回転軸とが略同一となるため、シェード30の収納状態において、他方の第2連結部C2の回転軸に対して一方の第2連結部C2の回転軸が引出方向前方に位置する。
【0098】
ここでは、巻取装置20の一方の巻取支持部材側連結片部128が、シェード30の引出方向において他方の巻取支持部材側連結片部28より長く形成されている。つまり、巻取支持部材側連結片部128は、巻取支持部材側連結片部28の第2連結孔28hよりシェード30の引出方向前方に第2連結孔128hを有しており、その位置でガイドレール側連結片部68に連結されている。この巻取支持部材側連結片部128の形状、ガイドレール側連結片部68との連結については上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0099】
上記構成により、一対のガイドレール160を展開、折り畳みする際には、各第1連結部C1及び第2連結部C2の回転軸周りに一対のガイドレール160が回転される。そして、一対のガイドレール160の折り畳み状態では、一方のガイドレール160が他方のガイドレール160のシェード30の引出方向前方に位置するようにして、一対のガイドレール160がシェード30の引出方向に並列状に配設される。
【0100】
また、シェード30の引出収納操作時には、一対のランナー50は、シェード30の引出収納方向においてずれた位置関係のまま一対のガイドレール160に沿って移動される。なお、シェード30は、その引出側端部32が巻取装置20の長手方向に略平行となる姿勢で引出収納操作される。
【0101】
このように、変形例1に係るシェード装置100によると、一対のガイドレール160を長手方向の長さが巻取装置20の略半分の長さより長い場合でも、折り畳み状態をコンパクトにすることができる。
【0102】
<2.変形例2>
次に、変形例2について説明する。図11は変形例2に係るガイドレール260展開時のシェード装置200を示す図、図12は変形例2に係るガイドレール260折り畳み時のシェード装置200を示す図である。
【0103】
変形例2に係るシェード装置200は、巻取装置20に対して引出収納操作されるシェード230が巻取装置20(巻取支持部材24)の長手方向に対して傾斜を成す引出側端部232を有している。そして、このシェード装置200は、このような引出側端部232を有するシェード230を引出収納方向にガイドする一対のガイドレール260の折り畳み時の形態をコンパクトにするものである。
【0104】
このシェード装置200においては、巻取装置20の長手方向に対して傾斜した引出側端部232に沿ってステイ240が取付けられている。つまり、ステイ240(支持部材242)は、巻取装置20の長手方向に対して傾斜を成すようにしてシェード230に取付けられている。このステイ240の一対のスライド部材244は、巻取装置20に対して傾斜を成している支持部材242に沿ってその両側に移動可能に支持されている。この一対のスライド部材244は、そのスライド部材側連結端部248の位置が互いにシェード230の引出収納方向において異なっている。つまり、スライド部材244とランナー50とを連結している各第1連結部C1の回転軸の位置がシェード230の引出収納方向において異なっている。
【0105】
ステイ240のその他構成、ランナー50との連結については、上記実施形態に係るシェード装置10と同様であるため説明を省略する。
【0106】
また、各第2連結部C2は、上記実施形態と同様に、シェード230の収納状態において、その回転軸が第1連結部C1の回転軸と略同軸となるような位置で一対のガイドレール260と巻取装置20とを連結している。ここでは、変形例1に係るシェード装置100と同様に、巻取装置20の一方の巻取支持部材側連結片部228は、他方の巻取支持部材側連結片部28の第2連結孔28hよりシェード230の引出方向前方に第2連結孔228hを有しており、その位置でガイドレール側連結片部68に連結されている。
【0107】
上記構成により、一対のガイドレール260を展開、折り畳みする際には、各第1連結部C1及び第2連結部C2の回転軸周りに各ガイドレール260が回転される。そして、一対のガイドレール260の折り畳み状態では、一方のガイドレール260が他方のガイドレール260のシェード230の引出方向前方に位置するようにして、一対のガイドレール260がシェード230の引出方向に並列状に配設される。なお、この状態でも、シェード230は、引出側端部232を巻取装置20の長手方向に対して傾斜させた状態で維持される。
【0108】
このように、変形例2に係るシェード装置200によると、例えば、対向する側縁部が平行でない異形窓に適用する場合等、ウインドウ形状に応じて引出側端部が巻取装置に対して傾斜を成すシェードを用いる場合でも、一対のガイドレールを折り畳むことができ、コンパクトに輸送することができる。
【符号の説明】
【0109】
10 シェード装置
20 巻取装置
29 ストッパー部
30 シェード
32 引出側端部
40 ステイ
42 支持部材
44 スライド部材
50 ランナー
60 ガイドレール
80 駆動装置
86 ワイヤー
90 保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドウを遮蔽可能なシェード装置であって、
巻取装置と、
前記巻取装置に対して引出収納可能に取付けられたシェードと、
前記シェードの引出側端部に取付けられたステイと、
前記ステイの両端部にそれぞれ第1連結部を介して連結された一対のランナーと、
前記一対のランナーをそれぞれ移動可能に支持する一対のガイドレールと、
を備え、
前記第1連結部は、前記各ガイドレールを前記巻取装置に対して近接する向きに折り畳み可能な態様で、前記ステイと前記各ランナーとを相対回転可能に連結している、シェード装置。
【請求項2】
請求項1記載のシェード装置であって、
前記シェードの引出収納方向において、前記巻取装置から前記第1連結部のうち一方の第1連結部の回転軸までの距離と、他方の第1連結部の回転軸までの距離とが異なる距離に設定されているシェード装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシェード装置であって、
前記巻取装置と前記各ガイドレールとは第2連結部を介して相対回転可能に連結され、
前記シェードを前記巻取装置に収納した状態で、前記第1連結部の回転軸と前記第2連結部の回転軸とが略同軸となる、シェード装置。
【請求項4】
請求項3記載のシェード装置であって、
前記第2連結部は、前記巻取装置と前記一対のガイドレールとを、少なくとも前記一対のガイドレールを展開した状態で、前記巻取装置の長手方向において前記巻取装置に対する前記各ガイドレールの位置を調節可能に連結している、シェード装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のシェード装置であって、
前記ステイは、
前記シェードの引出側端部に取付けられる支持部材と、
一端部が前記支持部材に対してその長手方向に沿って移動可能に支持されていると共に、他端部が前記第1連結部を介して前記各ランナーに対して相対回転可能に連結されている一対のスライド部材と、
を備えているシェード装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシェード装置であって、
前記一対のガイドレールを展開した状態で、前記一対のガイドレールの展開方向への回転を規制可能なストッパーを備えている、シェード装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のシェード装置であって、
前記一対のガイドレールを、折り畳み状態に保持可能な保持部材を備えている、シェード装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のシェード装置であって、
前記各ガイドレールに沿って配設され、前記各ランナーが連結された可撓性線状部材と、
前記可撓性線状部材を前記一対のガイドレールの長手方向に沿って移動させる駆動装置と、
を備えているシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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