説明

シガレット包装体

【課題】開封後もシール作用を有するシガレット包装体を提供する。
【解決手段】長手方向軸線Aを備えた実質的に平行六面体の形状を有するシガレット包装体が、開口14を備えた第1包装部材2と、この開口14を閉じるための蓋11,17と、シガレット5の群4を取り囲むための、前記第1包装部材2の内部の第2包装部材3とを具備しており、そして蓋11に向いた、第2包装部材3の長手方向端部が、シガレット5を抜き取るための開口24を具備しており;第1包装部材2と第2包装部材3との間には、滑り要素18が挟まれており、滑り要素は、第2包装部材3の開口24及び第1包装部材2の開口14を覆う位置と、これらを露出させる位置との間で移動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に剛性タイプのシガレット包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、剛性タイプのシガレット包装体は主として、平行六面体の形状を有しており、そして通常は銀紙から形成されてシガレット群を取り囲む内側包装部材と、板紙から形成された外側包装部材とを具備しており、前記外側包装部材は箱形本体とヒンジ付き蓋とから成る。箱形本体に固定され、箱形本体と蓋との結合を形成するカラーが、蓋の閉じられたときの安定性を保証する。包装体は、使用する瞬間まで包装体のための気密シールを保証することができる、透明な熱可塑性材料から作られた上包み材によって完成される。
【0003】
このようにして、シガレット内のタバコは、その適正な湿分レベル及びその芳香を維持する。
【0004】
包装体が開封されるときには、保護用上包み材が引き裂かれて、少なくとも部分的に取り外され、そして蓋を開けた後、「プル」と呼ばれる銀紙から形成された内側包装部材の一部が同様に取り外されることも知られている。
【0005】
このことは、包装体を開封した瞬間からその内容物全てが使用されるまで、包装体内のシガレットが外部環境から保護されずに、急速に酸化し、そしてその湿分及び芳香の適正なレベルを失う傾向があることを意味する。強力なシール作用を有する包装体の必要性が、ニコチン含有率が低く芳香が強い「ライト」なシガレットの場合に特に感じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記欠点を克服するシガレット包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の請求項のうちの1つ又は2つ以上のものに記載されたシガレット包装体を提供する。
【0008】
好ましい非限定的な実施態様を示す添付の図面を参照しながら、以下に本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明によるシガレット包装体を、閉じた状態で示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明によるシガレット包装体を、内側包装部材がその全開位置まで引き出された、開いた状態で示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明によるシガレット包装体を、内側包装部材が部分的に閉じられて外側包装部材内部に部分的に位置している状態で示す斜視図である。
【図4】図4は、図1の包装体を示す側面図である。
【図5】図5は、図1の包装体を示す側面図である。
【図5a】図5aは、図1の包装体を示す断面図である。
【図6】図6は、図1の包装体の構成要素部分を示す斜視図である。
【図6a】図6aは、図1の包装体の構成要素部分を示す斜視図である。
【図6b】図6bは、図1の包装体の構成要素部分を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明によるシガレット包装体の第2実施態様を、閉じられた状態で示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明によるシガレット包装体の第2実施態様を、開いた状態で示す斜視図である。
【図9】図9は、図7及び8に示された包装体の構成要素部分のうちの1つを示す斜視図である。
【図10】図10は、図7及び8に示された包装体の構成要素部分のうちの1つを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜6及び7及び8を参照すると、符号1によって全体を示されたシガレット包装体は実質的に、長手方向軸線Aを備えた直方体の形状を有しており、また板紙から形成された外側包装部材2と、板紙から形成された内側包装部材3とを具備している。内側包装部材3は、シガレット5の群4と直接に接触した状態で位置しており、シガレットは軸線Aと平行に位置している。
【0011】
外側包装部材2は、下壁又は底壁7と、軸線Aと平行な4つの横壁とによって形成された箱形本体6を具備している。これらの横壁は、より大きい前壁8、より大きい後壁9、及びより小さい2つの側壁10から成っている。
【0012】
具体的には、図1〜6に示した実施態様の場合、上壁又は上端壁12を有するフード型の蓋11が、軸線Aを横切るヒンジ13によって後壁9の上端部に結合されていることにより、箱形本体6の符号14が付けられた開口端部又は口部14が閉じられた位置と、口部14が開いた位置との間で、蓋11が移動することができるようになっている。
【0013】
外側包装部材2の前壁8には、実質的に方形の開口15が設けられている。この開口15の機能については、以下に詳しく説明する。
【0014】
口部14が配置されている箱形本体6の端部に、内側包装部材3は、シガレット5を把持して抜き取るのを可能にするように形成された開口24を有している。
【0015】
外側包装部材2と内側包装部材3との間には、滑り要素18が挟まれている(図6a)。滑り要素18は、摩擦係数が低い材料から成る帯状体19を具備する。この帯状体19は軸線Bの周りでループ状に閉じられており、前記軸線Bは軸線Aを横切る方向であり且つ箱形本体6の側壁10に対して垂直である。
【0016】
符号20は、後壁9の内面に帯状体19を固定するための、底壁7と上端部12との間の中間位置を示している(図5a及び6)。前記固定は、シーリング作業によって、又は接着剤を使用して行うことができる。
【0017】
環状帯状体19は開口23を具備している。この開口23は、図1を参照すると(帯状体19の開口23は破線で示されている)、すなわち内側包装部材3が箱形本体6内に完全に収納されているときには、前壁8の開口15と、口部14が配置された箱形本体6の端部との間に位置する。
【0018】
実際には、蓋11を開いた後、使用者は前壁8の開口15を通して環状帯状体19に係合して、軸線Aに従ってそして矢印F1に従って箱形本体6の口部14に向かう押し動作を帯状体に加えることによって、内側包装部材3を、これが所定の最終位置に達するまで箱形本体6から部分的に出現させるようになっている。
【0019】
前壁8の側から帯状体19に加えられた押し動作は、後壁9の位置20に帯状体19を固定することによってもたらされる停止動作とともに、軸線Bを中心とする帯状体19の回転運動を生み出し(図2で見て反時計回り方向)、内側包装部材3の壁に対して帯状体を滑動させる。その結果、最終位置で、帯状体19の開口23は、フォイル内側包装部材3の開口24に重なり合うことになる。
【0020】
このような状態において、ほぼ重なりあった2つの開口23及び24は、使用者が群4からシガレット5を抜き取るのを可能にする(図2)。個々のシガレット5の抜き取りは、シガレットの端部が箱形本体6の外側に突出するという事実によって容易になる。
【0021】
一旦シガレットが使用者によって抜き取られたら、軸線A及び矢印F2に従う箱形本体6の底壁7に向かう押し動作を環状帯状体19に加えることによって、帯状体19が軸線Bを中心として回転させられることにより(図3で見て時計回り方向)、帯状体19は、それが開口23及び24が重ね合わされた位置に達するのを可能にした滑動方向とは反対方向に、内側包装部材3上を滑動するようになり、そして帯状体19が内側包装部材3の開口24を徐々に再び閉じることを可能にする(図3参照、ここでは帯状体19が開口24をまさに完全に閉じようとしている中間位置を示している)。
【0022】
結果として、上記最終位置から出発して、矢印F2に従って時計回り方向(図3)に行われる帯状体19の運動は、内側包装部材3が箱形本体6内に再び挿入されるのを可能にし、ひいては蓋11が閉じられるのを可能にする。
【0023】
このステップの終わりには、内側包装部材3に対して帯状体19が滑動する結果、開口23は再びその出発位置(図1)で、箱形本体6の開口15と口部14との間に位置し、ひいては包装体1が少しでもシガレットを収容する限り、シガレット5の最適な保護を保証する。
【0024】
図7〜10に示された実施態様は、この場合には環状帯状体19が外側包装部材2の箱形本体6に拘束されておらず、また包装体1の外側包装部材2が図1〜6に示された実施態様のようなフード型の蓋11を有していないという事実により、前に例示した実施態様とは異なる。
【0025】
外側包装部材2はその上端部12に蓋17を具備しており、この蓋17の縁部は、取り外し可能なパネル26を画定するミシン目線25によって形成されている。一旦パネル26が取り外されたら、包装体1は上端部に、箱形本体6の開口又は口部14を備える。箱形本体6は図7〜10の実施態様では外側包装部材2と一致する(図8)。
【0026】
開口14の対向する長手方向端部は、底壁7と平行な2つの壁27に隣接する。前記2つの壁27は、外側包装部材2内部に内側包装部材3を保持するように構成された停止手段を形成している。
【0027】
この実施態様でもやはり、内側包装部材3は板紙から形成されており、そして帯状体19は、内側包装部材3の開口24及び外側包装部材2の開口又は口部14とほぼ等しい開口23を具備している。
【0028】
なお、外側包装部材2と同様に、内側包装部材3も、壁27aによって2つの長手方向端部で閉じられた開口24を有している(図10)。これらの壁27aは、包装体1が完成している場合、外側包装部材2の壁27の下側に位置していて、これらの壁の間に環状帯状体19が挟まれている。実際には、一旦パネル26が取り外されると、前壁8の開口15を通して、使用者は指によって環状帯状19と係合して、矢印F1に従って外側包装部材2の口部14に向かう軸方向押し動作を帯状体に加える。
【0029】
内側包装部材3の壁27aが押圧する壁27の存在に起因して、内側包装部材3が外側包装部材2の内部で係止されるので、前記押し動作は、内側包装部材3に対する、そして外側包装部材2に対する環状帯状体19の滑動だけを引き起こす。
【0030】
図7及び8に示されているように、帯状体19の滑動を容易にするために、外側包装部材2はまた、その後壁9にも開口15を具備している。前記相対的滑動の結果として、帯状体19の開口23は、内側包装部材3の開口24に徐々に重ね合わされ、そして外側包装部材2の開口14と合致し(図8参照、ここには、開口24及び14が完全に閉じられている位置と、完全に開いている位置との間の中間位置に、帯状体19があることが示されている)、かくしてシガレット5の抜き取りが可能になる。
【0031】
一旦シガレットが抜き取られたら、使用者は図8の矢印F2に従って外側包装部材2の底壁7に向かう押し動作を環状帯状体19に加えることによって、開口23は、図8に示されているようなその出発位置、すなわち蓋17の下方に戻される。
【0032】
この第2実施態様も、包装体1が少しでもシガレットを収容する限り、シガレットの最適な保護を保証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸線(A)に従って延びる実質的に平行六面体の形状を有するシガレット包装体であって、
開口又は口部(14)を備えた第1包装部材(2)と、
前記長手方向軸線(A)と平行に位置するシガレット(5)の群(4)を収容する、前記第1包装部材(2)の内部の第2包装部材(3)にして、前記開口又は口部(14)に向いた長手方向端部が、前記シガレット(5)を抜き取るための開口(24)を具備する第2包装部材(3)と、を具備するシガレット包装体において、
該シガレット包装体が、前記第1包装部材(2)と前記第2包装部材(3)との間に挟まれた滑り要素(18)を具備し、前記滑り要素(18)が、前記第2包装部材(3)の前記開口(24)を覆う位置と、前記第2包装部材の前記開口を露出させる位置との間で移動することができることを特徴とする、シガレット包装体。
【請求項2】
前記第1包装部材(2)が、底壁(7)と、前記長手方向軸線(A)に平行に位置する4つの横壁とによって形成された箱形本体(6)を具備しており、前記横壁が、より大きい前壁(8)と、より大きい後壁(9)と、より小さい側壁(10)とを具備する請求項1に記載の包装体であって、
前記滑り要素(18)が、前記内側包装部材(3)を取り囲む帯状体(19)であり、前記帯状体(19)が、長手方向軸線(A)を横切る方向の、前記箱形本体(6)のより小さい側壁(10)に対して垂直な第2軸線(B)の周りでループを形成するとともに、前記第2包装部材(3)の前記開口(24)と前記露出位置で合致するように形成された開口(23)を具備することを特徴とする、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記箱形本体(6)の少なくとも1つの前記より大きい横壁(8,9)が、前記滑り要素(18)のための操作区域を形成する開口(15)を具備することを特徴とする、請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記滑り要素(18)が、前記箱形本体(6)の前記後壁(9)と、固定区域(20)において一体的であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の包装体。
【請求項5】
ヒンジ線(13)によって前記後壁(9)に接合されたフード型の蓋(11)を具備する請求項4に記載の包装体であって、前記蓋(11)は、該蓋(11)が前記箱形本体(6)を閉じる位置と、該蓋(11)が開いている位置との間で移動することができ、前記後者の開位置は、前記内側包装部材(3)が、前記滑り要素(18)の動作に起因して出現するのを可能にするように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の包装体。
【請求項6】
前記外側包装部材(2)はその上端部(12)にミシン目線(25)によって形成された蓋(17)を具備しており、前記蓋(17)が、取り外し可能なパネル(26)を形成していることを特徴とする、請求項1に記載の包装体。
【請求項7】
前記外側包装部材(2)内部で前記内側包装部材(3)を係止するための係止手段(27)を具備することを特徴とする、請求項6に記載の包装体。
【請求項8】
前記係止手段が、前記外側包装部材(2)の前記開口(14)に位置する少なくとも1つの壁を具備しており、前記開口(14)が、前記取り外し可能なパネル(26)を取り外すことにより形成されることを特徴とする、請求項7に記載の包装体。
【請求項9】
前記滑り要素(18)が、前記内側包装部材(3)を取り囲む帯状体(19)であり、前記帯状体(19)は、長手方向軸線(A)を横切る方向の、前記外側包装部材(2)のより小さい側壁(10)に対して垂直な第2軸線(B)の周りでループを形成するとともに、前記第2包装部材(3)の前記開口(24)と、前記外側包装部材(2)の前記開口(14)とに前記露出位置で合致するように形成された開口(23)を具備することを特徴とする、請求項6から8までのいずれか1項に記載の包装体。
【請求項10】
前記滑り要素(18)が、摩擦係数の低い材料から形成されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5a】
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【図6】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−184103(P2011−184103A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50637(P2011−50637)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(392003937)ジー.デー ソチエタ ペル アツィオニ (102)
【氏名又は名称原語表記】G.D SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】