説明

シクロスポリンを含むナノ粒子および放出調節された組成物

本発明は、生物学的利用能の改良されたナノ粒子を含む組成物に係る。本組成物のナノ粒子シクロスポリン粒子は、有効平均粒子寸法約2000nm未満の径を有し、器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他の関連疾患の予防および治療にて有用である。本発明は、また、作用にて、器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他の関連疾患の予防および治療のためにパルス様または2頂様に薬剤を供給するシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを含む放出調節組成物に係る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他の関連疾患を予防および治療するのに使用される新規組成物;および、その組成物を製造および使用するための方法に関する。本組成物は、シクロスポリンを含む。シクロスポリンは、ナノ粒子形で、すなわち、有効平均粒子寸法2000nm未満の径を有する粒子で存在するのがよい。本組成物は、シクロスポリンの放出調節を許容するように製剤するのがよい。
【0002】
発明の背景
A. シクロスポリンに関する背景
本発明の組成物は、シクロスポリンを含む。シクロスポリンは、薬学的有用性、例えば、免疫抑制、抗炎症および/または寄生虫症活性;および/または、抗腫瘍性または細胞増殖抑制因子薬剤療法抵抗性の腫瘍を阻止する活性を有するペプチド化合物の大きな類である。シクロスポリンは、11個のアミノ酸からなる環状非リボソームポリペプチド免疫抑制剤である。それは、子嚢菌類菌腫ボイベリアニベア(Beuveria nivea)により代謝産物として生成される。シクロスポリン類としては、例えば、天然産菌腫代謝産物、例えば、シクロスポリンA、B、C、DおよびG;ならびに、多種多様な合成および半合成シクロスポリン類、例えば、ジヒドロ-およびイソ-シクロスポリン類が挙げられる。
【0003】
シクロスポリン類は、例えば、“Water Soluble Monoesters as Solubisers for Pharmacologically Active Compounds and Pharmaceutical Excipients and Novel Cyclosporine Galenic Forms”と題するU.S.特許No.5,756,450;“Cyclosporin Galenic Forms”と題する5,759,997;“Cyclosporin Galenic Forms”と題する5,977,066;“Pharmaceutical Compositions for the Treatment of Transplant Rejection or Autoimmune or Inflammatory Conditions Comprising Cyclosporin A and 40-0-(2-hydroxyethyl)-rapamycin”と題する6,239,124;“Pharmaceutical Compositions Containing Cyclosporin as the Active Agent”と題する6,262,022;“Cyclosporin Galenic Forms”と題する6,306,825;“Pharmaceutical Capsules Comprising a Cyclosporin”と題する6,432,445;“Pharmaceutical Compositions for the Treatment of Transplant Rejection or Autoimmune or Inflammatory Conditions Comprising Cyclosporin A and 40-0-(2-hydroxyethyl)-rapamycin”と題する6,455,518;“Cyclosporin Galenic Forms”と題する6,468,968;“Oil-free Pharmaceutical Compositions Containing Cyclosporin A”と題する6,475,519;“Cyclosporin Compositions and Processes Therefor”と題する6,486,124;“Cyclosporin Compositons”と題する6,582,718;“Purification Process for Cyclosporin”と題する6,620,325;および、“Oil-free Pharmaceutical Compositions Containing Cyclosporin A”と題する6,723,339に記載されている。
【0004】
シクロスポリンは、若干のヒト免疫を抑制し、多くの動物種にて種々の器官について、細胞媒介反応、例えば、同種異形移植片反応、遅延性過敏症、実験的なアレルギー、脳脊髄炎、フロイントのアジュバントの関節炎および移植片宿主病を著しく抑制することが立証されている。皮膚、心臓、腎臓、肺、膵臓、脊髄および小腸の移植の場合に器官拒絶の危険性を低下させるべく患者の免疫系の活性を低下させるために、ポスト同種異系器官移植が使用されてきた。
【0005】
移植医学とは別に、シクロスポリンは、また、重症の場合にのみ、乾癬および慢性関節リウマチならびに関連疾患の治療に使用されるが、多くのその他の自己免疫疾患を治療するのに使用が検討されている。コルチコステロイドとともに投与されることが多い。さらに最近では、潰瘍性大腸炎に罹患した患者の治療に使用して成功を納めている。
【0006】
実験的な証拠は、シクロスポリンの有効性が細胞サイクルのG0-またはG1-相の免疫適格リンパ球の特異かつ可逆的抑制によることが示唆されている。Tリンパ球が選択的に阻害される。T-ヘルパー細胞が主要な標的であるが、T-抑制剤細胞も、また、抑制される。シクロスポリンは、また、インターロイキン-2またはT-細胞成長因子(TCGF)を含め、リンホカイン生産および放出を阻害する。シクロスポリンは、免疫適格リンパ球の細胞質蛋白質シクロフィリン(イムノフィリン)、特に、T-リンパ球に結合すると考えられる。シクロスポリンとシクロフィリンとのこの錯体は、カルシノイリンを阻害し、これにより、通常の環境下で、インターロイキン-2の転写を活性化させる役割を果たす。それは、また、リンホカイン生産およびインターロイキン放出を阻害し、したがって、エフェクターT-細胞の機能低下をもたらす。食に及ぼす機能効果はなく(酵素分泌の変化は、顆粒細胞の走化性転移、マクロファージ転移、インビボでのカーボンクリアランスを変化させなかった)または、腫瘍細胞(成長速度、転移)は、動物にて検知することができる。シクロスポリンは、動物モデルまたは男性にて骨髄抑制を生じない。
【0007】
化学的に、シクロスポリンは、[R-[R*,R*-(E)]]-環式(L-アラニル-D-アラニル-N-メチル-L-ロイシル-N-メチル-L-ロイシル-N-メチル-L-バリル-3-ヒドロキシ-N,4-ジメチル-L-2-アミノ-6-オクテノイル-L-(アルファ)-アミノ-ブチリル-N-メチルグリシル-N-メチル-L-ロイシル-L-バリル-N-メチル-L-ロイシル)と表される。シクロスポリンの分子式は、C62H111N11O12であり、分子量は、1202.63である。シクロスポリン(また、シクロスポリンAとして公知)の化学構造は、
【0008】
【化1】

【0009】
である:
その薬剤は、Novartisによりブランド名SANDIMMUNER(上付き文字Rは、以降、登録商標を表す)およびNEORALRの下販売されている。NEORALRおよびSANDIMMUNERは、NEORALRがSANDIMMUNERと比較して生物学的利用能が高い点で異なる。副腎コルチコステロイドによる補助療法が推奨されている。シクロスポリン属の薬剤は、例えば、SangstatAbbott Laboratories and Gengrafといった会社によって製造されている。乾式角結膜炎を治療するためのシクロスポリンの局所エマルジョンは、商品名RESTASISRの下に市販されている。
【0010】
胃腸管からのシクロスポリンの吸収は、不完全かつ変動しやすい。血液および血漿中のピーク濃度(Cmax)は、約3.5時間で達成される。血漿および血液濃度/時間曲線の下でのCmaxおよび面積(AUC)は、投与された投与量とともに増加し;血液については、その関係は、0〜1400mgの間で(放物線状の)曲線をなす。Cmaxは、血漿についてほぼ1.0ng/mL/mg投与量であり、血液について2.7〜1.4ng/mL/mg投与量(低いから高い投与量)である。静脈注射と比較して、経口溶液の絶対生物学的利用能は、2名の患者の結果に基づきほぼ30%である。
【0011】
シクロスポリンは、血液量を越えて広く分散する。血液中で、その分散は、濃度依存性である。血漿中で、ほぼ33%〜47%であり、リンパ球中で、4%〜9%、顆粒細胞中で、5%〜12%、および、赤血球中で、41%〜58%である。
【0012】
高濃度では、白血球および赤血球による吸収が飽和となる。血漿中では、ほぼ90%が、蛋白質、主として、リポ蛋白質に結合される。
シクロスポリン類は、器官移植拒絶の予防および自己免疫疾患、例えば、乾癬および慢性関節リウマチの治療のために治療価値が高い。しかし、シクロスポリン類は、特に安定性;薬剤生物学的利用能;および、患者間および患者内投与応答における変動の問題を含め投与に関して高度の特異的困難を示す。また、シクロスポリンは、水に実質的に不溶性であるので、慣用的なシクロスポリン錠剤は、その薬剤を潜在的に毒性の補助溶剤、例えば、プロピレングリコールに溶解させる。シクロスポリンの日用量は、2回に分割して投与する必要があり、1日の時間に関しておよび食事に関してむらのないスケジュールで投与する必要がある。
【0013】
かくして、これらおよびそれらの使用に伴うその他の問題を克服するシクロスポリン組成物に対する必要性が当分野には存在する。本発明は、そこで、シクロスポリンの放出調節のための組成物に関する。本発明は、また、生物学的利用能の改良されたシクロスポリンのナノ粒子製剤に関する。本発明は、また、ナノ粒子シクロスポリンの放出調節のための組成物に関する。特に、本発明は、作用にて、拍動または定常的にゼロ次でシクロスポリンを供給する放出調節組成物かまたは生物学的利用能の改良された即放性ナノ粒子組成物に関する。本発明は、さらに、このような放出調節または即放性組成物を含有する固形の経口剤形に関する。
【0014】
B. ナノ粒子組成物に関する背景
ナノ粒子組成物は、U.S.特許No.5,145,684(“‘684特許”)に最初に記載されており、その表面上に非架橋界面安定剤を吸着させた溶解性に乏しい治療または診断剤からなる粒子である。’684特許は、シクロスポリン類のナノ粒子組成物を記載していない。
【0015】
ナノ粒子組成物を製造する方法は、例えば、ともに“Method of Grinding Pharmaceutical Substances”と題するU.S.特許Nos.5,518,187および5,862,999;“Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances”と題するU.S.特許No.5,718,388;および、“Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticals”と題するU.S.特許No.5,510,118に記載されている。
【0016】
ナノ粒子組成物は、また、例えば、“Use of Ionic Cloud Point Modifiers to Prevent Particle Aggregation During Sterilization”と題するU.S.特許Nos.5,298,262;“Method to Reduce Particle Size Growth During Lyophilization”と題する5,302,401;“X-Ray Contrast Compositions Useful in Medical Imaging”と題する5,318,767;“Novel Formulation Forr Nanoparticulate X-Ray Blood Pool Contrast Agents Using High Molucular Weight Non-ionic Surfactants”と題する5,326,552;“Method of X-Ray Imaging Using Iodinated Aromatic Propanedioates”と題する5,328,404;“Use of Phospholipids to Reduce Nanoparticulate Aggregation”と題する5,336,507;“Charged Formulations Comprising Olin 10-G to Prevent Particle Aggregation and Increase Stability”と題する5,340,564;“Use of Non-ionic Cloud Point Modifiers to Minimize Nanoparticulate Aggregation During Sterilization”と題する5,346,702;“Preparation and Magnetic Properties of Very Small Magnetic-Dextran Particles”と題する5,349,957;“Use of Purified Surface Modifiers to Prevent Particle Aggregation During Sterilization”と題する5,352,459;ともに、“Surface Modified Anticancer Nanoparticles”と題する5,399,363および5,494,683;“Water Insoluble Non-Magnetic Manganese Particles as Magnetic Resonance Enhancement Agents”と題する5,401,492;“Use of Tyloxapol as a Nanoparticulate Stabilizer”と題する5,429,824;“Method for Making Nanoparticulate X-Ray Blood Pool Contrast Agents Using High Molecular Weight Non-ionic Surfactants”と題する5,447,710;“X-Ray Contrast Composition Useful in Medical Imaging”と題する5,451,393;“Formulations of Oral Gastointestinal Diagnostic X-Ray Contrast Agent in Combination with Pharmaceutical Acceptable Clays”と題する5,466,440;“Method of Preparing Nanoparticle Compositions Containig Charged Phospholipids to Reduce Aggregation”と題する5,470,583;“Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carbamic Anhydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging”と題する5,472,683;“Nanoparticulate Diagnostic Dimers as X−Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging”と題する5,500,204;“Nanoparticulate NSAID Formulations”と題する5,518,738;“Nanoparticulate Iododipamide Derivatives for Use as X-Ray Contrast Agents”と題する5,521,218;“Nanoparticulate Diagnostic Diatrizoxy Ester X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging”と題する5,525,328;“Process of Preparing X-Ray Contrast Compositions Containig Nanoparticles”と題する5,543,133;“Surface Modified NSAID Nanoparticles”と題する5,552,160;“Formulations of Compounds as Nanoparticulate Dispersions in Digestable Oils or Fatty Acids”と題する5,560,931;“Polyalkylene Block Copolymers as Surface Modifiers for Nanoparticles”と題する5,565,188;“Sulfated Non-ionic Blook Copolymer Surfactant as Stabilizer Coatings for Nanoparticle Compositions”と題する5,569,448;“Formulations of Compounds as Nanoparticulate Dispersions in Digestible Oils or Fatty Acids”と題する5,571,536;“Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carboxylic Anhydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging”と題する5,573,749;“Diagnostic Imaging X-Ray Contrast Agents”と題する5,573,750;“Redispersible Nanoparticulate Film Matrices With Protective Overcoats”と題する5,573,783;“Site-specific Adhesion Within the GI Tract Using Nanoparticulates Stabilized by High Molecular Weight,Linear Poly(ethylene Oxide)Polymers”と題する5,580,579;“Formulations of Oral Gastrointestinal Therapeutic Agents in Combination with Pharmaceutically Acceptable Clays”と題する5,585,108;“Butylene Oxide-Ethylene Oxide Block Copolymers Surfactant as Stabilizer Coatings for Nanoparticulate Compositions”と題する5,587,143;“Milled Naproxen with Hydroxypropyl Cellulose as Dispersion Stabilizer”と題する5,591,456;“Novel Barium Salt Formulations Stabilized by Non-ionic and Anionic Stabilizers”と題する5,593,657;“Sugar Based Surfactant for Nanocrystals”と題する5,622,938;“Improved Formulations of Oral Gastrointestinal Diagnotic X-Ray Contrast Agents and Oral Gastrointestinal Therapeutic Agents”と題する5,628,981;“Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carbonic Anhydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging”と題する5,643,552;“Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances”と題する5,718,388;“Nanoparticles Containing the R(-)Enantiomer of Ibuprofen”と題する5,718,919;“Aerosols Containing Beclomethasone Nanoparticle Dispersions”と題する5,747,001;“Reduction of Intravenously Adminstered Nanoparticulate Formulation Induced Adverse Physiological Reactions”と題する5,834,025;“Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV) Protease Inhibitors Using Cellulosic Surface Stabilizers”と題する6,045,829;“Methods of Making Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV) Protease Inhibitors Using Cellulosic Surface Stabilizers”と題する6,068,858;“Injectable Formulations of Nanoparticulate Naproxen”と題する6,153,225;“New Solid Dose Form of Nanoparticulate Naproxen”と題する6,165,506;“Methods of Treating Mammals Using Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV) Protease Inhibitors”と題する6,221,400;“Nebulized Aerosols Containing Nanoparticle Dispersions”と題する6,264,922;“Methods for Preventing Crystal Growth and Particle Aggregation in Nanoparticle Compositions”と題する6,267,989;“Use of PEG-Derivatized Lipids as Surface Stabilizers for Nanoparticulate Compositions”と題する6,270,806;“Rapidly Disintegrating Solid Oral Dosage Form”と題する6,316,029;“Solid Dose Nanoparticulate Compositions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodiumu Sulfosuccinate”と題する6,375,986;“Bioadhesive Nanoparticulate Compositions Having Ccationic Surface Stabilizer”と題する6,428,814;“Small Scale Mill”と題する6,431,478;および、“Methods for Targeting Drug Delivery to the Upper and/or Lower Gastrointestinal Tract”と題する6,432,381に記載されており、これらは、全て、参考とすることによって本明細書に特に組み込む。また、“Controlled Release Nanoparticulate Compositions”と題する2002年1月31日に公開されたU.S.特許出願No.200220012675 A1は、ナノ粒子組成物を記載し、参考とすることによって本明細書に特に組み込む。
【0017】
非晶質小粒子組成物は、例えば、“Particulate Compositon and Use Thereof as Antimicrobial Agent”と題するU.S.特許No.4,783,484;“Method for Making Uniformly Sized Particles from Water-Insoluble Organic Compounds”と題する4,826,689;“Method for Making Uniformly-Sized Particles From Insoluble Compounds”と題する4,997,454;“Ultrasmall,Non-aggregated Porous Particles of Uniform Size for Entrapping Gas Bubbles Within and Methods”と題する5,741,522;および、“Ultrasmall Porous Particles for Enhancing Ultrasound Back Scatter”と題する5,776,496に記載されている。
【0018】
シクロスポリンは、実際上、水に不溶性であるので、顕著な生物学的利用能は、難しいかもしれない。器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他関連の疾患の予防および治療におけるシクロスポリンの使用に伴うこれおよびその他の問題を克服するナノ粒子シクロスポリン製剤について当分野で必要性が存在する。本発明は、この必要性を満たす。
【0019】
本発明は、そこで、器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他関連疾患の予防および治療のためのナノ粒子シクロスポリン組成物に関する。本明細書で記載する場合、本発明は、さらに、このようなナノ粒子シクロスポリンを含む放出調節組成物に関する。
【0020】
発明の記述
本発明は、シクロスポリンを含むナノ粒子組成物に関する。本組成物は、ナノ粒子シクロスポリン粒子;シクロスポリン粒子の表面上に吸着された少なくとも1つの界面安定剤を含む。ナノ粒子シクロスポリン粒子は、有効粒子寸法約2000nm未満の径を有する。
【0021】
本発明の好ましい剤形は、固形の剤形であるが、いずれの薬学的に許容可能な剤形も使用することができる。
本発明のもう1つの態様は、ナノ粒子シクロスポリン粒子;少なくとも1種の界面安定剤;薬学的に許容可能な担体;および、いずれかの所望される賦形剤を含む医薬組成物に係る。
【0022】
本発明のもう1つの態様は、慣用的なシクロスポリン製剤と比較して薬理学的プロフィールの改良されたナノ粒子シクロスポリン組成物に係る。
本発明のもう1つの実施態様は、器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他の関連疾患の予防および治療に有用な1つ以上の追加の化合物を含むナノ粒子シクロスポリン組成物に係る。
【0023】
本発明は、さらに、本発明のナノ粒子シクロスポリン組成物を製造する方法を開示する。このような方法は、安定したナノ粒子シクロスポリン組成物を生ずるのに十分な条件下である一定時間ナノ粒子シクロスポリンと少なくとも1つの界面安定剤とを接触させる工程を含む。
【0024】
本発明は、また、本明細書に開示する新規ナノ粒子組成物を使用し、器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他の関連疾患の予防および治療を含め処置方法に係るが、それらに限定されるものではない。このような方法は、治療学的に有効量のナノ粒子シクロスポリンを被験者に投与する工程を含む。本発明のナノ粒子組成物を使用するその他の処置方法は、当業者公知である。
【0025】
本発明は、さらに、作用にて、逐次投与される2つ以上の即放性(IR)剤形を投与することによって生ずる血漿プロフィールと実質的に同一の血漿プロフィールを生ずるシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを含む放出調節された組成物に関する。
【0026】
IR剤形が周期的間隔で投与される慣用的に頻繁な投薬レジームは、典型的には、拍動血漿プロフィールを生ずる。
この場合に、血漿薬剤濃度におけるピークは、各IR投与量の投与後に、連続した投与時点間に広がるトラフ[(曲線の底)低薬剤濃度領域]で観測される。このような投薬レジーム(およびそれらの生ずる拍動血漿プロフィール)は、それらに伴う個々の薬理学的かつ治療学的効果を有する。例えば、ピーク間の活性剤の血漿濃度の降下によって生ずるウオッシュアウト期間は、種々のタイプの薬剤に対して患者の薬物耐性の低下または予防に寄与する因子であると考えられる。
【0027】
本発明は、さらに、作用にて、このようなプロフィールが有益である場合に、逐次投与される2つ以上のIR剤形の投与によって生ずる“ピーク”と“トラフ”とをなくした血漿プロフィールを生ずるシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを含む放出調節された組成物に関する。このタイプのプロフィールは、“ゼロ次”投与を許容する放出調節機構を使用し、達成することができる。
【0028】
本明細書に開示すると同様のマルチ粒子放出改良調節組成物は、Devane et alに対する米国特許Nos.6,228,398および6,730,325にて開示され、かつ、特許請求されており、これら両特許とも、参考とすることによって、本明細書に組み込む。この分野の関連従来技術は、全て、また、それらに見ることができる。
【0029】
本発明のさらなる目的は、作用にて、拍動様またはゼロ次様にシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを供給する放出調節組成物を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、逐次投与される2つ以上のIR剤形の投与によって生ずる薬理学的かつ治療学的効果を実質的にまねた放出調節組成物を提供することである。
【0030】
本発明のもう1つの目的は、組成物中に存在するシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンに対する患者の薬物耐性の発生を実質的に低下またはなくす放出調節組成物を提供することである。
【0031】
本発明のもう1つの目的は、組成物の第1の部分、すなわち、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンが投与に際し直ちに放出され、活性成分の第2の部分が、2頂成分様式の最初の遅延期間後、迅速に放出される放出調節組成物を提供することである。
【0032】
本発明のもう1つの目的は、投薬量を浸食可能な製剤、拡散調節製剤または浸透圧調節製剤の形に製剤することである。
本発明のもう1つの目的は、活性成分の第1の部分が直ちにまたは遅延時間後に、放出されて、薬剤放出のパルスを生じ、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの1つ以上のさらなる部分が、それぞれの遅滞時間後、24時間までの期間薬剤放出のさらなるパルスを生ずる2頂または多頂様式で、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを放出しうる放出調節組成物を提供することである。
【0033】
本発明のもう1つの目的は、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを含む放出調節された組成物を含む固形経口剤形を提供することである。
本発明のその他の目的としては、作用にて、逐次投与された2つの即放性剤形の投与によって生ずる血漿プロフィールと実質的に同様の血漿プロフィールを生ずるシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの1日1回の剤形を用意し、このような剤形の投与に基づく器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他の関連疾患を予防および治療するための方法を含む。
【0034】
上記目的は、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの第1の個体群を含む第1の成分;および、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの続く個体群を含む少なくとも1つの続く成分または製剤を有する放出調節組成物によって達成される。続く成分の成分含有粒子は、さらに、放出コーチングまたは放出マトリックス材料あるいはその両方を含む放出改良成分を含む。経口投与に従い、組成物は、作用にて、拍動またはゼロ次様に、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを供給する。
【0035】
本発明は、固形経口投与製剤からのシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの放出調節供給を利用して、投与の頻度を従来よりも少なくし、好ましくは、1日1回の投与を可能とし、患者の便宜およびコンプライアンスを高める。放出調節の機構は、好ましくは、侵食可能な製剤、拡散調節製剤および浸透圧調節製剤を使用するが、それらに限定されるものではない。合計投与量の一部は、直ちに放出されて、作用の迅速な開始を可能とする。本発明は、コンプライアンスを改善するのに有用であろうし、したがって、器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他関連の疾患(それらに限定されるものではないが)を含めシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを必要とする全ての治療についての治療結果に有用であろう。このアプローチは、慣用的なシクロスポリン錠剤および溶液にとって代わるだろう。従来のシクロスポリン錠剤および溶液は、器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよび関連疾患の予防および治療にて間接療法として1日2回投与されている。
【0036】
本発明は、また、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの放出調節のために放出調節改良された組成物に関する。特に、本発明は、作用にて、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンが、拍動またはゼロ次様に、好ましくは、24時間までの時間放出調節される組成物に関する。本発明は、さらに、放出調節組成物を含有する固形経口剤形に関する。
【0037】
好ましい放出調節製剤は、浸食可能な製剤、拡散調節製剤および浸透圧調節製剤である。本発明に従えば、合計投与量の一部は、直ちに放出されて、作用の迅速な開始を可能とし、合計投与量の残りの部分は、長期間にわたって放出される。本発明は、コンプライアンスを改善するのに有用であろうし、したがって、器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他関連の疾患(それらに限定されるものではないが)を含めシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを必要とする全ての治療についての治療結果に有用であろう。
【0038】
前述の概括的な説明および以下の詳細な説明の両方とも例として示し、説明するためのものであり、特許請求した本発明のさらなる説明を提供することを意図するものである。その他の目的、利点および新規な特徴は、当業者であれば、以下の発明の詳細な説明から容易に明らかとなるであろう。
【0039】
発明の詳細な記述
I. ナノ粒子シクロスポリン組成物
本発明は、シクロスポリンを含むナノ粒子組成物に係る。本組成物は、シクロスポリン;および、好ましくは、その薬剤の表面に吸着された少なくとも1つの界面安定剤を含む。シクロスポリン粒子は、有効平均粒子寸法約2000nm未満の径を有する。“有効平均粒子寸法”ある特定量未満によって、それは、少なくとも50%の粒子が、粒子寸法約その量未満を有することを意味する。
【0040】
‘684特許により教示され、以降の実施例に例を示すように、界面安定剤および活性剤のあらゆる組み合わせが安定なナノ粒子組成物を生ずるものではないだろう。驚くべきことに、安定なナノ粒子シクロスポリン製剤を製造することができることが発見された。
【0041】
本発明のナノ粒子シクロスポリン製剤の利点としては、(1)より小さな錠剤またはその他の固形剤形寸法;(2)シクロスポリンの慣用的な微結晶質形と比較して同等の薬理学的効果を達成するために必要とされる薬剤のより少ない投与量;(3)シクロスポリンの慣用的な微結晶質形と比較して生物学的利用能の増大;(4)薬物動力学的プロフィールの改善;(5)同シクロスポリンの慣用的な微結晶質形と比較してシクロスポリン組成物についての溶解速度の増大;および、(6)シクロスポリン組成物が器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他の関連疾患の予防および治療に有用なその他の活性剤と関連して使用しうる等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0042】
本発明は、また、1種以上の非毒性の生理学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクル(集合的に担体と称す)とともにナノ粒子シクロスポリン組成物を含む。組成物は、非経口注射(例えば、静脈内、筋肉内または皮下);固形、液体またはエアロゾル形の経口投与;膣内、鼻腔内、直腸、眼内、局所(粉末、軟膏またはドロップ)、頬、槽内、腹腔内または局所投与等のために製剤することができる。
【0043】
本発明の好ましい剤形は、固形剤形であるが、いずれの薬学的に許容可能な剤形も使用することができる。固形剤形の例としては、錠剤、カプセル、サッシェ、ロゼンジ、粉末、ピルまたは顆粒が挙げられるが、それらに限定されるものではなく、固形の剤形は、例えば、迅速な溶融剤形、放出調節剤形、凍結乾燥剤形、遅延放出剤形、放出延長剤形、拍動放出剤形、混合即放および放出調節剤形またはそれらの組み合わせであってもよい。固形の投与錠剤製剤が好ましい。
【0044】
A. 本発明のナノ粒子シクロスポリン組成物の好ましい特徴
1. 生物学的利用能の増大
本発明のナノ粒子シクロスポリン製剤は、生物学的利用能の増大を示し、従来の慣用的なシクロスポリン製剤と比較してより少ない投与量を必要とすることが提案されている。
【0045】
2. 本発明のシクロスポリン組成物の溶解プロフィール
本発明のナノ粒子シクロスポリン組成物は、予想しえなかったほどの劇的な溶解プロフィールを有することが提案されている。迅速な溶解は、概して、作用のより迅速な開始およびより大きい生物学的利用能をもたらすので、投与される活性剤の迅速な溶解が好ましい。シクロスポリンの溶解プロフィールおよび生物学的利用能を改善するためには、薬剤の溶解が100%に近いレベルに達するように、薬剤の溶解を増大させることが有用であろう。
【0046】
本発明のシクロスポリン組成物は、好ましくは、約5分以内に、組成物の少なくとも約20%が溶解される溶解プロフィールを有する。本発明のその他の実施態様にて、少なくとも約30%または約40%のシクロスポリン組成物が約5分以内に溶解される。本発明のなおその他の実施態様にて、好ましくは、少なくとも40%、約50%、約60%、約70%または約80%のシクロスポリン組成物が約10分以内に溶解される。最後に、本発明のもう1つの実施態様にて、好ましくは、少なくとも約70%、約80%、約90%または約100%のシクロスポリン組成物が20分以内に溶解される。
【0047】
溶解は、好ましくは、識別される媒体中で測定される。このような溶解媒体は、胃液中で非常に異なる溶解プロフィールを有する2つの生成物について2つの非常に異なる溶解曲線を生ずるであろう。すなわち、溶解媒体が、組成物のインビボ溶解を予測する。溶解媒体の例は、0.025Mで界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウムを含有する水性媒体である。溶解される量の決定は、分光法によって行われる。溶解を測定するためには、回転ブレード法(European Pharmacopoeia)を使用することができる。
【0048】
3. 本発明のシクロスポリン組成物の再分散性
本発明のシクロスポリン組成物のさらなる特徴は、再分散されたシクロスポリン粒子の有効平均粒子寸法が約2ミクロン未満の径となるように、組成物が再分散されることである。これは、有意であり、投与の際に、本発明のシクロスポリン組成物が実質的にナノ粒子寸法に再分散されない場合、その剤形は、シクロスポリンをナノ粒子寸法に製剤することによってもたらされる利点を失いかねない。
【0049】
これは、活性剤の小さな粒子寸法によるナノ粒子活性剤組成物の利点によるのであり;活性剤が投与に際し小さい粒子寸法に分散しない場合、ナノ粒子系の極めて高い表面自由エネルギーおよび熱力学的推進力により、“クランプ”または塊になった活性剤粒子が形成され、全体として自由エネルギーの低下が達成される。このような塊になった粒子の形成により、その剤形の生物学的利用能がナノ粒子活性剤の液体分散形で観測される生物学的利用能よりはるかに低下する。
【0050】
本発明のその他の実施態様にて、本発明の再分散されたシクロスポリン粒子は、光散乱法、鏡検法またはその他の適当な方法により測定して、有効平均粒子寸法約1900nm未満の径、約1800nm未満の径、約1700nm未満の径、約1600nm未満の径、約1500nm未満の径、約1400nm未満の径、約1300nm未満の径、約1200nm未満の径、約1100nm未満の径、約1000nm未満の径、約900nm未満の径、約800nm未満の径、約700nm未満の径、約600nm未満の径、約500nm未満の径、約400nm未満の径、約300nm未満の径、約250nm未満の径、約200nm未満の径、約150nm未満の径、約100nm未満の径、約75nm未満の径または約50nm未満の径を有する。
【0051】
4. その他の活性剤と関連して使用されるシクロスポリン
本発明のシクロスポリン組成物は、さらに、器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他の関連疾患の予防および治療に有用な1種以上の化合物を含むことができるか、または、シクロスポリン組成物は、このような化合物と関連して投与することができる。このような化合物の例としては、コルチコステロイド、アンスラリン、カルシポトリエン、コールタール、シアル酸、ステロイド、タザロテン、メトトレキセート、経口レチノイド、非ステロイド系抗炎症剤、アズルフィジン、コルチコステロイド、金およびヒドロキシコロキンが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0052】
B. ナノ粒子シクロスポリン組成物
本発明は、シクロスポリン粒子;および、少なくとも1つの界面安定剤を含む組成物を提供する。界面安定剤は、好ましくは、シクロスポリン粒子の表面に吸着または会合される。表面安定剤は、本明細書にて特に有用であり、好ましくは、ナノ粒子シクロスポリン粒子の表面に付着または会合するが、シクロスポリン粒子またはそれ自体と化学的に反応しない。界面安定剤の個々に吸着された分子は、本質的に、分子間架橋を含まない。
【0053】
本発明は、また、1種以上の非毒性の生理学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクル(集合的に担体と称す)とともにシクロスポリン組成物を含む。組成物は、非経口注射(例えば、静脈内、筋肉内または皮下);固形、液体またはエアロゾル形の経口投与;膣内、鼻腔内、直腸、眼内、局所(粉末、軟膏またはドロップ)、頬、槽内、腹腔内または局所投与等である。
【0054】
1. 界面安定剤
シクロスポリンについての界面安定剤の選択は、重要であり、望ましい製剤を実現するためには、広範囲にわたる実験を必要とする。したがって、本発明は、ナノ粒子シクロスポリン組成物を製造することができる驚くべき発見に係る。
【0055】
本発明にては、2種以上の界面安定剤の組み合わせを使用することもできる。本発明にて使用することのできる有用な界面安定剤としては、公知の有機および無機薬学的賦形剤を使用することができるが、それらに限定されるものではない。このような賦形剤としては、種々のポリマー、低分子量オリゴマー、天然物および界面活性剤が挙げられる。界面安定剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性、イオン性および双性イオン界面活性剤が挙げられる。
【0056】
界面安定剤の典型的な例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(現在、ヒポメロースとして公知)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファタイド)、デクストラン、ガムアカシア、コレステロール、トラガカンス、ステアリン酸、ベンズアルコニウムクロライド、カルシウムステアレート、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(例えば、マクロゴールエーテル類、例えば、セトマクロゴール 1000)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、市販入手可能なTweenR、例えば、Tween 20RおよびTween 80R(ICI Speciality Chemicals));ポリエチレングリコール類(例えば、Carbowaxs 3550Rおよび934R(Union Carbide)、ポリオシエチレンステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロースフタレート、非結晶質セルロース、マグネシウムアルミニウムシリケート、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドとの4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー(チロキサポール、スペリオンおよびトライトンとしても公知)、ポロキサマー類(例えば、Pluronics F68RおよびF108Rであり、これらは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);・ポリオキサミン類(例えば、Tetronic908R、Poloxamine 908Rとしても公知であり、これは、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンとの逐次付加から誘導される四官能性ブロックコポリマーである(BASF Wyandotte Corporation,Porsippany,N.J.));Tetronic 1508R(T-1508)(BASF Wyandotte Corporation)、Tritons X-200Rであり、これは、アルキルアリールポリエーテルスルホネートである(Rohm and Haas));Crodestas F-110Rであり、これは、サッカロースステアレートおよびサッカロースジエステルの混合物である(Croda Inc.);p-isononylphenoxy-(グリシドール)、Olin-IOGRまたはSurfadctant 10-GR(Olin Chemicals,Stamford,CT)としても公知;Crodestas SL-40R(Croda,Inc.)および、SA9OHCO、これは、C18H37CH2(CON(CH3)-CH2(CHOH)4(CH2OH)2(Eastman Kodak Co.);デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシルβ-D-グルコピラノシド;n-デシルβ-D-マルトピラノシド;n-ドデシルβ-D-グリコピラノシド;n-ドデシルβ-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグリカミド;n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド;n-ヘプチルβ-D-チオグルコシド;n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノニル-β-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;オクチルβ-D-チオグルコピラノシド;PEG-ホスホリピッド、PEG-コレステロール、PEG-コレスステロール誘導体、PEG-ビタミンA、PEG-ビタミン E、リソチーム、ビニルピロリドンとビニルアセテートとのランダムコポリマー等が挙げられる。
【0057】
有用なカチオン性界面安定剤の例としては、ポリマー;バイオポリマー;多糖類;セルロース類;アルギネート類;ホスホリピッド類;および、非高分子化合物、例えば、双性イオン安定剤、ポリ-n-メチルピリジニウム、アンスリウルピリジニウムクロライド、カチオン性ホスホリピッド、シトサン、ポリリシン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロマイドブロマイド(PMNTMABr)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(HDMAB)およびポリビニルピロリドン-2-ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルサルフェートが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0058】
その他の有用なカチオン性安定剤としては、カチオン性リピッド;スルホニウム、ホスホニウム、および第4級アンモニウム化合物、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジル-ジ(2-クロロエチル)エチルアンモニウムブロマイド、ココナッツトリメチルアンモニウムクロライドまたはブロマイド、メチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライドまたはブロマイド、デシルトリエチルアンモニウムクロライド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドまたはブロマイド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドまたはブロマイド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドまたはブロマイド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドまたはブロマイド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロライドまたはブロマイド、N-アルキル(C12-18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、N-アルキル(C14-18)ジメチル-ベンジルアンモニウムクロライド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド1水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロライド、N-アルキルおよび(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロライド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル-トリメチルアンモニウム塩類およびジアルキル-ジメチルアンモニウム塩類、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、エトキシル化されたアルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩および/またはエトキシル化されたトリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロライド、N-ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド1水和物、N-アルキル(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロライドおよびドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロマイド、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ポリ-ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲナイド、トリセチルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(ALIQUAT 336TM)、POLYQUAT 10TM、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、コリンエステル類(例えば、脂肪酸のコリンエステル類)、ベンズアルコニウムクロライド、ステアラアルコニウムクロライド化合物(例えば、ステアリルトリモニウムクロライドおよびジステアリルジモニウムクロライド)、セチルピリジニウムブロマイドまたはクロライド、4級化されたポリオキシエチルアルキルアミン類のハライド塩、MIRAPOLTMおよびALKAQUATTM(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩類;アミン類、例えば、アルキルアミン類、ジアルキルアミン類、アルカノールアミン類、ポリエチレンポリアミン類、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリレート類およびビニルピリジン、アミン塩類、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、アルキルピリジニウム塩およびアルキルイミダゾリウム塩およびアミンオキシド類;イミドアゾリニウム塩類;プロトン化された第4級アクリルアミド類;メチル化された第4級ポリマー、例えば、ポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロライド]およびポリ-[N-メチルビニルピリジニウムクロライド];および、カチオン性グアルが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0059】
このようなカチオン性界面安定剤およびその他の有用な界面安定剤の例は、J.Cross and E.Singer,Cationic Surfactants:Analytical and Biological Evaluation(Marcel Dekker,1994);P. and D.Rubingh(Editor),Cationic Surfactant:Physical Chemistry(Marcel Dekker,1991) and J.Richmond,Cationic Surfactants:Organic Chemistry(Marcel Dekker,1990)に記載されている。
【0060】
非高分子界面安定剤は、いずれかの非高分子化合物であり、例えば、ベンズアルコニウムクロライド;カルボニウム化合物;ホスホニウム化合物;オキソニウム化合物;ハロニウム化合物;カチオン性有機金属化合物;第4級リン化合物;ピリジニウム化合物;アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシアンモニウム化合物、第1級アンモニウム化合物;第2級アンモニウム化合物;第3級アンモニウム化合物;および、式NR1R2R3R4(+)で表される第4級アンモニウム化合物である。式NR1R2R3R4(+)で表される化合物については、
(i) R1〜R4のいずれもCH3ではない;
(ii) R1〜R4の1つがCH3である;
(iii) R1〜R4の3つがCH3である;
(iv) R1〜R4の全てがCH3である;
(v) R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、R1〜R4の1つが7個以下の炭素原子を有するアルキル鎖である;
(vi) R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、R1〜R4の1つが19個以上の炭素原子を有するアルキル鎖である;
(vii) R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つが基C6H5(CH2)n,ここで、n>1である;
(viii) R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、R1〜R4の1つが少なくとも1個のヘテロ原子を含む;
(ix) R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、R1〜R4の1つが少なくとも1個のハロゲンを含む;
(x) R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、R1〜R4の1つが少なくとも1つの環式フラグメントを含む;
(xi) R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがフェニル環であるか;または、
(xii) R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の2つが純粋に脂肪族フラグメントである。
【0061】
このような化合物としては、ベヘンアルコニウムクロライド、ベンズエトニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ベヘントリモニウムクロライド、ラウルアルコニウムクロライド、セトアルコニウムクロライド、セトモニウムブロマイド、セトリモニウムクロライド、セチルアミンヒドロフルオライド、クロラリルメテンアミンクロライド(Quaternium-15)、ジステアリルジモニウムクロライド(Quaternium-5)、ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロライド(Quaternium-14)、Quaternium-22、Quaternium-26、Quaternium-18ヘクトライト、ジメチルアミノエチルクロライドヒドロクロライド、システインヒドロクロライド、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレチルエーテルホスフェート、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、タローアルコニウムクロライド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、ステアラアルコニウムクロライド、ドミフェンブロマイド、デナトニウムベンゾエート、ミリストアルコニウムクロライド、ラウルトリモニウムクロライド、エチレンジアミンジヒドロクロライド、グアニジンヒドロクロライド、ピリドキシンHCl、イオフェタミンヒドロクロライド、メグルミンヒドロクロライド、メチルベンズエトニウムクロライド、ミルトリモニウムブロマイド、オレイルトリモニウムクロライド、ポリクオタニウム-1、プロケインヒドロクロライド、ココベタイン、ステアアルコニウムベントナイト、ステアアルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミンジヒドロフルオライド、タロートリモニウムクロライドおよびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0062】
界面安定剤は、市販入手可能であり、および/または、当分野公知の技術によって製造することができる。これら界面安定剤の大部分は、公知の薬学的賦形剤であり、American Pharmaceutical AssociationとThe Pharmaceutical Society of Great Britain(The Pharmaceutical Press,2000)によって一緒に発行されたHandbook of Pharmaceutical Excipientsに詳細に記載されており、参考とすることによって本明細書に特に組み込む。
【0063】
2. その他の薬学的賦形剤
本発明に従う医薬組成物は、また、1種以上の結合剤、充填剤、滑剤、懸濁剤、甘味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤およびその他の賦形剤を含むことができる。このような賦形剤は、当分野公知である。
【0064】
充填剤の例は、ラクトース1水和物、ラクトース無水物および種々の澱粉であり;結合剤の例は、種々のセルロース類および架橋されたポリビニルピロリドン;微結晶質セルロース、例えば、AvicelR PH101およびAvicelR PH102;微結晶質セルロース;および、ケイ酸化した微結晶質セルロース(ProSolv SMCCTM)である。
【0065】
適した滑剤は、圧縮された粉末の流動性に作用する作用物質を含め、コロイド状の二酸化ケイ素、例えば、AerosilR 200;タルク;ステアリン酸;マグネシウムステアレート;カルシウムステアレート;および、シリカゲルである。
【0066】
甘味剤の例は、いずれかの天然または人工甘味剤、例えば、サッカロース、キシリトール、ナトリウムサッカリン、シクラメート、アスパルテームおよびアクサルフェームである。
【0067】
芳香剤の例は、MagnasweetR(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバーおよびフルーツフレーバー等である。
保存剤の例は、カリウムソルベート;メチルパラベン;プロピルパラベン;安息香酸およびその塩;パラヒドロキシ安息香酸、例えば、ブチルパラベン;アルコール類、例えば、エチルまたはベンジルアルコール;フェノール性化合物、例えば、フェノール;または、第4級化合物、例えば、ベンズアルコニウムクロライドである。
【0068】
適した希釈剤としては、薬学的に許容可能な不活性充填剤、例えば、微結晶質セルロース、ラクトース、二塩基性カルシウムホスフェート、糖類および/または前述のいずれかの混合物が挙げられる。希釈剤の例としては、微結晶質セルロース、例えば、AvicelR PH101およびAvicelR PH102;ラクトース、例えば、ラクトース1水和物、ラクトース無水物およびPharmatoseRDCL21;二塩基性カルシウムホスフェート、例えば、EmcompressR;マンニトール;澱粉;ソルビトール;サッカロースおよびグルコースが挙げられる。
【0069】
適した崩壊剤としては、軽く架橋されたポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ポテト澱粉;トウモロコシ澱粉および改質した澱粉、クロスカロメロースナトリウム、クロス-ポピドン、ナトリウム澱粉グリコレートおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0070】
発泡剤の例は、発泡剤の対、例えば、有機酸および炭酸塩または炭酸水素塩である。適した有機酸としては、例えば、クエン酸;酒石酸;リンゴ酸;フマール酸;アジピン酸;コハク酸;および、アルギン酸および無水物ならびに酸の塩が挙げられる。適した炭酸塩類および炭酸水素塩類としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、ナトリウムグリシンカーボネート、L-リシンカーボネートおよびアルギニンカーボネートが挙げられる。あるいは、発泡剤対の炭酸水素ナトリウム成分のみが存在してもよい。
【0071】
3. ナノ粒子シクロスポリンの粒子寸法
本発明の組成物は、光散乱法、鏡顕法またはその他の方法によって測定して、有効平均粒子寸法約2000nm未満(すなわち、2ミクロン未満)の径、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満または約50nm未満を有するナノ粒子シクロスポリン粒子を含有する。
【0072】
“有効平均粒子寸法特定量未満”とは、上記した技術によって測定した時に、シクロスポリン粒子の少なくとも50%が、粒子寸法約2000nm未満の径、1900nm未満の径、1800nm未満の径等を有することを意味する。好ましくは、シクロスポリン粒子の少なくとも約70%、約90%または95%が粒子寸法有効平均未満、すなわち、約2000nm未満の径、190nm未満の径、1800nm未満の径、1700nm未満の径等を有する。
【0073】
本発明にて、ナノ粒子シクロスポリン組成物のD50についての値は、シクロスポリン粒子の50%が重量により沈降するそれ以下の粒子寸法である。同様に、D90シクロスポリン粒子の90%が重量により沈降するそれ以下の粒子寸法である。
【0074】
4. シクロスポリンおよび界面安定剤の濃度
シクロスポリンおよび1つ以上の界面安定剤の相対量は、広範に変更することができる。個々の成分の最適量は、例えば、選択される個々のシクロスポリン;親水性脂質親和性バランス(HLB);融点;および、安定剤の水溶液の表面張力等に依存しうる。
【0075】
シクロスポリンの濃度は、その他の賦形剤を含むことなくシクロスポリンおよび少なくとも1つの界面安定剤の合計組み合わせ重量基準に基づき、約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1%または約90重量%〜約0.5重量%で変化させることができる。
【0076】
少なくとも1つの界面安定剤の濃度は、その他の賦形剤を含むことなくシクロスポリンおよび少なくとも1つの界面安定剤の合計組み合わせ重量基準に基づき、約0.5重量%〜約99.999重量%、約5.0重量%〜約99.9重量%または約10.重量%〜約99.5重量%で変化させることができる。
【0077】
5. ナノ粒子シクロスポリン錠剤製剤の例
数種のシクロスポリン錠剤製剤の例を以下に示す。これらの例は、幾つかの点で特許請求の範囲の請求項を制限する意図はなく、本発明の方法で使用することのできるシクロスポリンの錠剤製剤の例を提供する。このような錠剤の例は、また、コーチング剤を含んでもよい。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
C. ナノ粒子シクロスポリン組成物を製造する方法
ナノ粒子シクロスポリン組成物は、例えば、微粉砕、均質化、沈殿、凍結またはテンプレートエマルジョン技術を使用して製造することができる。ナノ粒子組成物を製造する方法の例は、’684特許に記載されている。ナノ粒子組成物を製造する方法は、また、“Method of Grinding Pharmaceutical Substances”と題するU.S.特許No.5,518,187;“Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances”と題するU.S.特許No.5,718,388;“Method of Grinding Pharmaceutical Substances”と題するU.S.特許No.5,862,999;“Co-Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agens with Crystal Growth Modifiers”と題するU.S.特許No.5,665,331;“Co-Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agens with Crystal Modifiers”と題するU.S.特許No.5,662,883;“Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents”と題するU.S.特許No.5,560,932;“Process of Preparing X-Ray Contrast Composition Containing Nanoparticulate”と題するU.S.特許No.5,543,133;“Method of Preparing Stable Drug Nanoparticulates”と題するU.S.特許No.5,534,270;“Process of Preparing Therapeutic Compositions Containg Nanoparticles”と題するU.S.特許No.5,510,118;および、“Method of Preparing Nanoparticle Compositions Containig Charged Phospholipids to Reduce Aggregation”と題するU.S.特許No.5,470,583に記載されており、これらの全ては、参考とすることによって本明細書に特に組み込む。
【0083】
生ずるナノ粒子シクロスポリン組成物または分散液は、固形または液体の投与製剤、例えば、液体分散液、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、放出調節製剤、即溶融製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル、放出遅延製剤、放出延長製剤、放出拍動製剤、混合即放および放出調節製剤等にて使用することができる。
【0084】
1. ナノ粒子シクロスポリン分散液を得るための微粉砕
ナノ粒子分散液を得るためにシクロスポリンを微粉砕する工程は、シクロスポリンが溶解性に乏しい液体分散媒にシクロスポリン粒子を分散させる工程、続いて、分散媒の存在で機械的手段を使用して、シクロスポリンの粒子寸法を所望される有効平均粒子寸法まで低くする工程を含む。分散媒は、例えば、水、サフラワー油、エタノール、t-ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサンまたはグリコールであってもよい。好ましい分散媒は、水である。
【0085】
シクロスポリン粒子は、少なくとも1つの界面安定剤の存在で寸法が減少しうる。あるいは、シクロスポリン粒子は、磨耗後、1つ以上の界面安定剤と接触させることができる。その他の化合物、例えば、希釈剤は、寸法減少プロセスの間に、シクロスポリン/界面安定剤組成物に添加してもよい。分散液は、連続的またはバッチモードで製造することができる。
【0086】
2. ナノ粒子シクロスポリン組成物を得るための沈殿
所望されるナノ粒子シクロスポリン組成物を形成するもう1つの方法は、ミクロ沈殿による。これは、いずれの痕跡量の毒性溶剤も可溶化された重金属不純物も含まない1つ以上の界面安定剤および1つ以上のコロイド安定性を高める界面活性剤の存在で溶解性に乏しい活性剤の安定な分散液を調製する方法である。このような方法は、例えば、(1)シクロスポリンを適当な溶剤に溶解させ;(2) 少なくとも1つの界面安定剤を含む溶液に、工程(1)からの製剤を加え、(3)適当な非溶剤を使用して工程(2)からの製剤を沈殿させる工程を含む。この方法は、続いて、存在する場合、いずれかの形成された塩を、透析またはジアフィルトレーション(diafiltration)により除去し、慣用的な手段により分散液を濃縮する。
【0087】
3. ナノ粒子シクロスポリン組成物を得るための均質化
活性剤ナノ粒子組成物を調製する均質化法の例は、“Process of Preparing Therapeutic Compositions Containig Nanoparticles”と題するU.S.特許No.5,510,118に記載されている。このような方法は、シクロスポリンの粒子を液体分散媒に分散させ、続いて、その分散液を均質化に賦して、シクロスポリンの粒子を所望される有効平均粒子寸法まで低下させる。シクロスポリン粒子は、少なくとも1つの界面安定剤の存在で寸法を減少させることができる。あるいは、シクロスポリン粒子は、磨耗前後のいずれかで1つ以上の界面安定剤と接触させることができる。その他の化合物、例えば、希釈剤は、寸法低下プロセスの前、間または後のいずれかでシクロスポリン/界面安定剤組成物に添加することができる。分散液は、連続的またはバッチモードで製造することができる。
【0088】
4. ナノ粒子シクロスポリン組成物を得るための低温法
所望されるナノ粒子シクロスポリン組成物を形成するもう1つの方法は、液体(SFL)への噴霧凍結による。この技術は、シクロスポリンと安定剤との有機または有機水性溶液を含み、これは、極低温液体、例えば、液体窒素に注入される。シクロスポリン溶液の液滴は、結晶化および粒子成長を最小とするのに十分な速度で凍結し、かくして、ナノ構造のシクロスポリン粒子を製剤する。溶剤システムおよび加工条件の選択に依存し、ナノ粒子シクロスポリン粒子は、可変粒子形態を有することができる。単離工程にて、窒素および溶剤は、シクロスポリン粒子の団粒または熟成を回避する条件下で除去される。
【0089】
SFLの補足技術として、超迅速凍結(URF)をまた使用して、大きく拡張した表面積を有する等価のナノ構造シクロスポリン粒子を生じさせることもできる。URFは、PG誘導体の安定剤との水混和性、無水、有機または有機水性溶液を吸収し、それを極低温基板に塗被する工程を含む。溶剤は、ついで、凍結乾燥または大気圧凍結乾燥のような手段によって除去され、生ずるナノ構造PG誘導体が残る。
【0090】
5. ナノ粒子シクロスポリン組成物を得るためのエマルジョン法
所望されるナノ粒子シクロスポリン組成物を形成するもう1つの方法は、テンプレートエマルジョンによる。テンプレートエマルジョンは、粒子の調節された分布および迅速な溶解性能を有するナノ構造のシクロスポリン粒子を生ずる。本方法は、調製され、ついで、シクロスポリンおよび安定剤を含む非水性溶液で膨張される水中油のエマルジョンを含む。シクロスポリン粒子の粒子寸法分布は、このプロセスで調節および最適化しうる特性をシクロスポリンに負荷する前のエマルジョン液滴の寸法の直接的な結果である。さらに、溶剤および安定剤の選択使用を通して、エマルジョン安定性は、Ostwald熟成なしかまたは抑制ありで達成される。続いて、溶剤および水が除去され、安定化されたナノ構造のシクロスポリン粒子が回収される。種々のシクロスポリン粒子の形態は、加工条件を適切にコントロールすることによって達成することができる。
【0091】
D. 本発明のナノ粒子シクロスポリン組成物を使用する方法
本発明は、被験者におけるシクロスポリンの生物学的利用能を高める方法を提供する。このような方法は、被験者にシクロスポリンを含む有効量の組成物を経口投与する工程を含む。シクロスポリン組成物は、標準薬物動力学実施に従い、慣用的な剤形よりも約50%高い、約40%高い、約30%高い、約20%高いまたは約10%高い生物学的利用能を有する。
【0092】
本発明の組成物は、器官移植拒絶および自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他関連疾患の予防および治療に有用である。
本発明のシクロスポリン配合物は、いずれかの慣用的な手段、例えば、経口、直腸、眼内、非経口(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)、槽内、肺、膣内、腹腔内、局所(例えば、粉末、軟膏またはドロップ)を含めまたは頬もしくは鼻腔内噴霧(これらに限定されるものではないが)により被験者に投与することができる。本明細書で使用する場合、“被験者”という用語は、動物、好ましくは、哺乳類、例えば、ヒトまたはヒト以外を意味するために使用される。患者および被験者という用語は、互換的に使用することができる。
【0093】
非経口注射に適した組成物は、生理学的に許容可能な滅菌水性または非水性溶液;分散液、懸濁液またはエマルジョン;および、滅菌注入可能な溶液または分散液に再形成するための滅菌粉末を含むことができる。適した水性および非水性担体、希釈剤、溶剤またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール類(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、それらの適した混合物、植物油(例えば、オリーブ油)および注射可能な有機エステル類、例えば、エチルオレエートが挙げられる。適当な流動性は、例えば、コーチング、例えば、レシチンの使用により;分散液の場合の要求される粒子寸法の維持により;および、界面活性剤の使用により維持することができる。
【0094】
ナノ粒子シクロスポリン組成物は、また、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含有することもできる。微生物の成育の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等によって確保される。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム等を含むことも望ましい。注射可能な薬学形の長期間の吸収は、遅延吸収剤、例えば、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチンの使用によって生じさせることができる。
【0095】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル、錠剤、ピル、粉末および顆粒が挙げられるが、それらに限定されるものではない。このような固体剤形にて、活性剤は、以下の:(a)1つ以上の不活性賦形剤(または担体)、例えば、クエン酸ナトリウムまたはジカルシウムホスフェート;(b)充填剤またはエキステンダー、例えば、澱粉、ラクトース、サッカロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸;(c)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アリグネート類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、サッカロースおよびアカシア;(d)保湿剤、例えば、グリセロール;(e)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ポテトまたはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種の錯ケイ酸塩および炭酸ナトリウム;(f)溶液遅延剤、例えば、パラフィン;(g)吸収促進剤、例えば、第4級アンモニウム化合物;(h)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート;(d)吸着剤、例えば、カオリンおよびベントナイト;および、(j)滑剤、例えば、タルク、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、固形のポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウムまたはそれらの混合物の少なくとも1つと混和する。カプセル、錠剤およびピルについては、剤形は、また、緩衝剤を含むことができる。
【0096】
経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容可能なエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。シクロスポリン以外に、液体剤形は、当分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水またはその他の溶剤;可溶化剤;および、乳化剤を含むのがよい。乳化剤の例は、エチルアルコール;イソプロピルアルコール;エチルカーボネート;酢酸エチル;ベンジルアルコール;ベンジルベンゾエート;プロピレングリコール;1,3-ブチレングリコール;ジメチルホルムアミド;オイル、例えば、綿実油、グラウンドナッツ油(groundnut oil)、トウモロコシ種油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油;グリセロール;テトラヒドロフルフリルアルコール;ポリエチレングリコール類;ソルビタンの脂肪酸エステル類;または、これら物質の混合物等である。
【0097】
このような不活性希釈剤以外に、組成物は、また、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、芳香剤および香料を含んでもよい。
シクロスポリンに関して本明細書で使用する“治療学的有効量”とは、シクロスポリンがそのような処置に必要とされる有意数の被験者に投与される個々の薬理学的応答を生ずるような投薬量を意味する。個々の例にて特定の被験者に投与される“治療学的有効量”とは、本明細書に記載する疾患を処置するのに必ずしも有効ではないであろうが、当業者であれば、そのような投薬量を“治療学的有効量”と見なすであろうことを強調する。シクロスポリン投薬量は、個々の例にて、経口投与量として測定されるかまたは血液中で測定される薬剤レベルを基準とすることをさらに理解するべきである。
【0098】
当業者であれば、シクロスポリンの有効量は、実験によって決定することができ、純粋な形で使用することができるかまたはそのような形が薬学的に許容可能な塩、エステルまたはプロドラッグ形にて存在することが理解されよう。本発明のナノ粒子組成物中のシクロスポリンの実際の投薬レベルは、個々の組成物および投与方法についての所望される治療応答を得るのに有効なシクロスポリンの量を達成すべく変化させるかもしれない。選択される投薬レベルは、したがって、所望される治療効果、投与ルート、投与されるシクロスポリンの効能、処置の所望される期間およびその他の因子に依存する。
【0099】
投薬単位組成物は、日用量を構成するために使用することのできるそのような組成物の約量を含有するのがよい。しかし、いずれかの特定の患者についての個々の投与レベルは、種々の因子:達成されるべき細胞または生理学的応答のタイプおよび度合い;使用される個々の作用物質または組成物の活性;使用される個々の作用物質または組成物;年齢;体重;おおよその健康;性別および患者の食事;投与時間;投与ルート;ならびに、作用物質の排泄速度;処置の期間;特定の作用物質との組み合わせまたは同時使用にて使用される薬剤;および、医学分野で周知の因子等に依存するであろうことが理解されるであろう。
【0100】
II. 放出調節シクロスポリン組成物
シクロスポリンを含む放出調節組成物を説明する。ナノ粒子シクロスポリンを含む放出調節組成物もまた説明する。
【0101】
A. 多粒子放出調節シクロスポリン組成物
上記目的は、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの第1の個体群を含む第1の成分;および、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの続く個体群を含む続く成分を有する放出調節組成物によって達成される。続く成分の成分含有粒子は、放出改良されたコーチングによって塗被される。あるいはまたは追加として、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリン含有粒子の続く個体群は、さらに、放出改良されたマトリックス材料を含む。経口投与に続いて、組成物は、作用にて、拍動またはゼロ次様にシクロスポリンを供給する。
【0102】
好ましい実施態様にて、本発明の放出調節組成物は、即放性成分である第1の成分を含む。
シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの続く個体群に使用される放出改良されたコーチングは、活性なシクロスポリン含有粒子の第1の個体群からの活性形と活性なシクロスポリン含有粒子の続く個体群からの活性形の放出との間に遅滞時間を生ずる。同様に、活性なシクロスポリン含有粒子の続く個体群における放出改良されたマトリックス材料は、シクロスポリン含有粒子の第1の個体群からのシクロスポリンの放出と活性成分含有粒子の続く個体群からの活性成分の放出との間に遅滞時間を生ずる。遅滞時間は、組成物および/または放出改良されたコーチングの量を変化させおよび/または使用する組成物および/または放出改良されたマトリックス材料の量を変化させることによって変化させることができる。かくして、遅滞時間は、所望される血漿プロフィールをまねるように設定することができる。
【0103】
投与の際に放出調節組成物によって生ずる血漿プロフィールは、逐次投与される2つ以上のIR剤形の投与によって生ずる血漿プロフィールと実質的に同一であるので、本発明の放出調節組成物は、患者の薬物耐性が問題をはらむシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを投与するために特に有用である。この放出調節組成物は、したがって、組成物における活性な成分に対する患者の薬物耐性の発生を低下または最小とするのに有益である。
【0104】
本発明の好ましい実施態様にて、シクロスポリンもしくはナノ粒子シクロスポリンおよび組成物は、作用にて、二頂もしくは拍動またはゼロ次様にシクロスポリンを供給する。このような組成物は、作用にて、例えば、典型的な処置レジームにおけるように、2つのTR投与量の逐次投与により達成される血漿プロフィールを実質的にまねる血漿プロフィールを生ずる。
【0105】
本発明は、さらに、このようなプロフィールが有益である場合に逐次投与される2つ以上のIR剤形の投与によって生ずる“ピーク”および“トラフ”をなくす血漿プロフィールを作用にて生ずるシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを含む放出調節組成物に関する。このタイプのプロフィールは、“ゼロ次”供給を可能とする放出調節機構を使用して達成することができる。
【0106】
本発明は、また、本発明に従う組成物を含む固形の経口剤形を提供する。
本明細書で使用する“粒子(particulate)”という用語は、それらの寸法、形状または形態の不規則な離散粒子、ペレット、ビーズまたは顆粒の存在を特徴とする物質の状態を称す。本明細書で使用する“多粒子(multiparticulate)”という用語は、それらの寸法、形状または形態の不規則な複数の離散または凝集された粒子、ペレット、ビーズ、顆粒またはそれらの混合物を意味する。
【0107】
コーチングまたはコーチング材料に関して本明細書で使用されるかまたはいずれかのその他のコンテキスト中で使用される“放出改良”という用語は、即放性ではない放出を意味し、放出調節、持続性放出および放出遅延を含むとする。
【0108】
本明細書で使用する“時間遅延”という用語は、組成物の投与と個々の成分からのシクロスポリンの放出との間の時間を称す。
本明細書で使用する“遅滞時間”という用語は、1つの成分からのシクロスポリンの供給ともう1つの成分から続くシクロスポリンの供給との間の時間を称す。
【0109】
本明細書で使用する“浸食可能な”という用語は、体内の物質の作用によってすり減り、目減りし、少なくなることのできる製剤を称す。
本明細書で使用する“拡散調節される”という用語は、それらの自発運動の結果として、例えば、高濃度領域から低濃度領域へと広がりうる製剤を称す。
【0110】
本発明で使用する“浸透圧調節”という用語は、膜の2つの側で製剤の濃度を等しくする傾向のある半透膜を介して高濃度の溶液へのそれらの移動の結果として広がりうる製剤を称す。
【0111】
各成分中の活性成分は、同一または異なっていてもよい。例えば、組成物は、シクロスポリンを含有する第1の成分を含むのがよく、続く成分は、組み合わせ療法のために望ましい第2の活性成分を含むのがよい。事実、活性成分が相互に相溶性である時、2つ以上の活性な成分は、同一の成分に組み込むのがよい。組成物の1つの成分中に存在する薬剤化合物は、例えば、薬剤化合物の生物学的利用能または治療効果を改良するために、組成物のもう1つの成分にエンヘンサー化合物またはセンシタイザー化合物を伴うのがよい。
【0112】
本明細書で使用する場合、“エンヘンサー(enhancer)”という用語は、動物、例えば、ヒトにてGTTを横切るネット輸送(net transport)を促進することにより活性成分の吸収および/または生物学的利用能を高めうる化合物を称す。エンヘンサーとしては、グリセリドおよびトリグリセリドを含め、中程度の鎖の脂肪酸、それらの塩類、エステル類、エーテル類および誘導体;例えば、エチレンオキシドと脂肪酸、脂肪アルコール、アルキルフェノールもしくはソルビタンまたはグリセロール脂肪酸エステルとを反応させることにより製造しうる非イオン性界面活性剤;シトクロムP450阻害剤、P-グリコ蛋白質阻害剤等;および、それら作用物質の2つ以上の混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0113】
組成物およびそれらからなる剤形に含まれる活性成分の量は、その組成物およびそれからなる剤形に含まれる成分を含む異なる粒子の個体群を横切って均一または不均一に配分することができる。1つの実施態様にて、第1の成分の粒子に含まれる活性成分は、組成物または剤形中の活性成分の合計量の小部分を含み、その他の成分中の活性成分の量は、組成物または剤形中の活性成分の合計量の大半部分を含む。2つの成分を含む1つのこのような実施態様にて、活性成分の合計量の約20%は、第1の成分の粒子に含まれ、活性成分の合計量の約80%は、第2の成分の粒子に含まれる。
【0114】
各成分に含まれるシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの量比は、所望される投薬レジームに依存して同一または異なってもよい。シクロスポリンは、治療応答を誘発するのに十分ないずれかの量にて第1成分および第2成分中に存在する。シクロスポリンは、使用可能な時に、1つの実質的に光学的に純粋なエナンチオマーの形で、または、エナンチオマーの混合物、ラセミ体等として存在するのがよい。シクロスポリンは、好ましくは、組成物中に、0.1〜500mgの量、好ましくは、1〜100mgの量、存在するのがよい。シクロスポリンは、好ましくは、第1の成分中に0.5〜60mgの量、存在し;さらに好ましくは、シクロスポリンは、第1の成分中に2.5〜30mgの量、存在する。シクロスポリンは、続く成分中に第1の成分について記載した量と同等の範囲内の量、存在する。
【0115】
各成分からのシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの投与についての放出時間特性は、存在しうる賦形剤またはコーチングのいずれかを改良することを含め、各成分の組成を改良することによって変化させうる。特に、シクロスポリンの放出は、組成物;および/または、このようなコーチングが存在する場合に、粒子上の放出改良されたコーチングの量を変化させることによって調節することができる。2つ以上の放出改良成分が存在する場合、これらの成分の各々についての放出改良コーチングは、同一または異なってもよい。同様に、放出改良マトリックス材料を包含することによって、放出改良が促進される時、活性成分の放出は、使用される放出改良マトリックス材料の選択および量によって調節しうる。各成分にて、放出改良コーチングは、各個々の粒子成分について所望される遅延時間を生ずるのに十分ないずれかの量、存在するのがよい。各成分にて、放出改良コーチングは、成分間の所望される時間遅滞を生ずるのに十分ないずれかの量、存在するのがよい。
【0116】
各成分からのシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの放出のための遅滞時間または遅延時間は、また、存在しうるいずれかの賦形剤およびコーチングの改良を含め、各成分の組成を改良することによって変化させることができる。例えば、第1成分は、シクロスポリンが投与の際即放出される即放性成分であってもよい。あるいは、第1成分は、シクロスポリンが時間遅延後直ちにその全てが実質的に放出される、例えば、時間遅延即放性成分であってもよい。続く成分は、直上記した時間遅延即放性成分であるか、あるいは、シクロスポリンが長時間にわたって調節されながら放出される時間遅延持続性放出または長時間放出成分であってもよい。
【0117】
当業者であれば理解されるであろうが、血漿濃度曲線の正しい特性は、直上記したこれら因子の全ての組み合わせによって影響を受けるであろう。特に、各成分中のシクロスポリンの供給(かつかくしてまた作用の開始)間の遅滞時間は、各成分の組成および(存在する場合)コーチングを変化させることによって調節することができる。かくして、(活性成分の量および特性を含め)各成分の組成の変化および遅滞時間の変化によって、数多くの放出および血漿プロフィールを達成することができる。各成分からのシクロスポリンの放出間の遅滞時間および各成分からのシクロスポリンの放出の特性(すなわち、即放出、持続性放出等)に依存し、血漿プロフィールにおけるパルスは、十分に広げられ、はっきりとピークが画定される(例えば、遅滞時間が長い時)かまたはパルスは、ある程度、重ねられる(例えば、遅滞時間が短い時に)。
【0118】
好ましい実施態様にて、本発明に従う放出調節組成物は、即放性成分および少なくとも1つの放出改良された成分を有し、即放性成分は、活性成分含有粒子の第1の個体群を含み、放出改良された成分は、活性成分含有粒子の続く個体群を含む。続く放出改良成分は、放出調節されたコーチングを含むのがよい。追加的にまたはあるいは、続く放出改良成分は、放出改良されたマトリックス材料を含んでもよい。作用にて、例えば、1つの放出改良された成分を有するこのような多粒子放出改良組成物の投与は、組成物の即放性成分が血漿プロフィールにて第1のピークを生じ、放出改良された成分が血漿プロフィールにて第2のピークを生ずるシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの特徴的な拍動濃度レベルを生ずる。2つ以上の放出改良成分を含む本発明の実施態様は、血漿プロフィールにてさらなるピークを生ずる。
【0119】
1つの投薬単位の投与より生ずるこのような血漿プロフィールは、2つ(またはより多い)投薬単位の投与についての必要性がなく活性成分の2つ(またはより多い)パルスを供給することが望ましい時に有益である。また、器官移植拒絶および自己免疫疾患を処置する場合に、このような二頂血漿プロフィールを有することが特に有用である。例えば、典型的なシクロスポリン処置レジームは、4時間間隔で投与される即放性の投薬配合物の2回の投与からなる。
【0120】
このタイプのレジームは、治療学的に有効であることが見出されており、広範に使用されている。先に記載したように、患者の薬物耐性の広がりは、シクロスポリン処置に伴う悪影響であることがしばしばある。2つのピーク血漿濃度間の血漿プロフィールにおけるトラフは、シクロスポリンのウオッシュアウトの期間を設けることによって患者の薬物耐性の広がりを減少させるのに有益であると考えられる。
【0121】
また、“ピーク”対“トラフ”の比をなくすかまたは最小とするゼロ次または擬ゼロ次供給を有する供給システムも、また、説明する。
シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの放出を所望されるように改良するいずれのコーチング材料も使用することができる。特に、本発明の実施にて使用するのに適したコーチング材料としては、ポリマーコーチング材料、例えば、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリマレテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、アンモニオメタクリレート例えば、商標Eudragit.RTM.RSおよびRLの下に販売されているもの;ポリアクリル酸およびポリアクリレートならびにメタクリレートコポリマー例えば、商標Eudragit SおよびLの下に販売されているもの;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、シェラック;ヒドロゲルおよびゲル形成材料例えば、カルボキシビニルポリマー、ナトリウムアルギネート、ナトリウムカルメロース、カルシウムカルメロース、ナトリウムカルボキシメチル澱粉、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、澱粉;および、セルロース基体の架橋ポリマー(水の吸収およびポリマーマトリックスの膨張を促進するような、架橋度の低い);ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセロース、ポリビニルピロリドン、架橋された澱粉、微結晶質セルロース、キチン、アミノアクリル-メタクリレートコポリマー(Eudragit. RTM.RS-PM,Rohm & Haas)プルラン、コラーゲン、カゼイン、寒天、アラビアゴム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、(膨潤可能な親水性ポリマー)ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)(m.wt.約5k〜5,000k)、ポリビニルピロリドン(m.wt.約10k〜360k)、アニオン性およびカチオン性ヒドロゲル、低アセテート残基を有するポリビニルアルコール、寒天およびカルボキシメチルセルロースの膨潤可能な混合物、無水マレイン酸とスチレン、エチレン、プロピレンまたはイソブチレンとのコポリマー、ペクチン(m.wt.約30k〜300k)、多糖類例えば、寒天、アカシア、カラヤ、トラガカンス、アルギンおよびグア、ポリアクリルアミド類、Polyox.RTMポリエチレンオキシド類(m.wt.約100k〜5,000k)、AquaKeep.RTM.アクリレートポリマー、ポリグルカンのジエステル類、架橋されたポリビニルアルコールおよびポリN-ビニル-2-ピロリドン、ナトリウム澱粉グルコレート(例えば、Explotab.RTM.;Edward Mandell C.Ltd);親水性ポリマー、例えば、多糖類、メチルセルロース、ナトリウムもしくはカルシウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル類、ポリエチレンオキシド類(例えば、Polyox.RTM.,Union Carbide)、メチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート、ゼラチン、コラーゲン、澱粉、マルトデキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、グリセロール脂肪酸エステル類、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、メタクリル酸のコポリマーまたはメタクリル酸(例えば、Eudragit.RTM.,Rohm and Hass)、その他のアクリル酸誘導体、ソルビタンエステル類、天然ゴム、レシチン類、ペクチン、アルギネート類、アンモニアアルギネート、ナトリウム、カルシウム、カリウムアルギネート類、プロピレングリコールアルギネート、寒天、および、ゴム類例えば、アラビア、カラヤ、イナゴマメ、トラガカンス、カラギーン、グア、キサンタン、スクレログルカンおよびそれらの混合物およびブレンドが挙げられるが、それらに限定されるものではない。当業者であれば理解されるであろうように、賦形剤、例えば、可塑剤、滑剤、溶剤等をコーチングに添加することもできる。適した可塑剤としては、例えば、アセチル化されたモノグリセリド類;ブチルフタリルブチルグリコレート;ジブチルタータレート;ジエチルフタレート;ジメチルフタレート;エチルフタリルエチルグリコレート;グリセリン;プロピレングリコール;トリアセチン;シトレート;トリプロピオイン;ジアセチン;ジブチルフタレート;アセチルモノグリセリド;ポリエチレングリコール類;ヒマシ油;トリエチルシトレート;多価アルコール類、グリセロール、アセテートエステル類、グリセロールトリアセテート、アセチルトリエチルシトレート、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジオクチルアゼレート、エポキシ化されたタレート、トリイソオクチルトリメリテート、ジエチルヘキシルフタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジ-i-オクチルフタレート、ジ-i-デシルフタレート、ジ-n-ウンデシルフタレート、ジ-n-トリデシルフタレート、トリ-2-エチルヘキシルトリメリテート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケートが挙げられる。
【0122】
放出改良された成分が放出改良されたマトリックス材料を含む時、いずれかの適当な放出改良されたマトリックス材料または放出改良されたマトリックス材料の適当な組み合わせを使用することができる。このような材料は、当業者公知である。本明細書で使用する場合、“放出改良されたマトリックス材料”という用語は、インビトロまたはインビボでその中に分散されているシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの放出を改良しうる親水性ポリマー、疎水性ポリマーおよびそれらの混合物を含む。本発明の実施に適した放出改良されたマトリックス材料としては、微結晶質セルロース;ナトリウムカルボキシメチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース類、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース;ポリエチレンオキシド;アルキルセルロース類、例えば、メチルセルロースおよびエチルセルロース;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン;セルロースアセテート;セルロースアセテートブチレート;セルロースアセテートフタレート;セルロースアセテートトリメリテート;ポリビニルアセテートフタレート;ポリアルキルメタクリレート類;ポリビニルアセテートおよびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0123】
本発明に従う放出調節された組成物は、拍動またはゼロ次様に活性成分の放出を促進するいずれかの適当な剤形に配合することができる。典型的には、その剤形は、即放性および放出改良成分を構成するシクロスポリン含有粒子の異なる個体群のブレンドであってもよく、そのブレンドは、適当なカプセル、例えば、硬質または軟質ゼラチンカプセルに充填される。あるいは、活性成分含有粒子の異なる個体群は、(場合によっては、続いて、追加の賦形剤とともに)適当な量比で充填することのできるミニ錠剤に圧縮し、続いてカプセルに充填することができる。もう1つの適した剤形は、多層錠剤剤形である。この場合に、放出調節される組成物の第1の成分は、1つの層に圧縮され、第2の成分が、続いて、多層錠剤の第2の層として添加される。本発明の組成物を構成するシクロスポリン含有粒子の個体群は、さらに、迅速に溶解する剤形、例えば、発泡剤形または即溶融剤形に組み込むことができる。
【0124】
本発明に従う組成物は、異なるインビトロ溶解プロフィールを有するシクロスポリン含有粒子の少なくとも2つの個体群を含む。
好ましくは、作用にて、本発明の組成物およびその組成物を含有する固形の経口剤形は、第1の成分に含まれる実質的に全てのシクロスポリンが第2の成分からのシクロスポリンの放出前に放出されるように、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを放出する。第1の成分が例えばIR成分を含む時、第2の成分からのシクロスポリンの放出は、IR成分中の実質的に全てのシクロスポリンが放出されるまで遅延されることが好ましい。第2の成分からのシクロスポリンの放出は、放出改良されたコーチングおよび/または放出改良されたマトリックス材料の使用により、上記詳述したように、遅延されるのがよい。
【0125】
さらに好ましくは、患者のシステムからシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの第1の投与量のウオッシュアウトを促進する投薬レジームを与えることによって患者の薬物耐性を最小とすることが望ましい時、第2の成分からのシクロスポリンの放出は、第1の成分に含まれる実質的に全てのシクロスポリンが放出されるまで遅延され、第1の成分から放出されるシクロスポリンの少なくとも一部が患者のシステムから取り除かれるまでさらに遅延される。好ましい実施態様にて、組成物の第2の成分からのシクロスポリンの放出は、作用にて、完全でない場合、組成物の投与後少なくとも約2時間の間実質的に遅延される。
【0126】
組成物の第2の成分からの薬剤のシクロスポリン放出は、作用にて、完全でない場合、組成物の投与後、少なくとも約4時間、好ましくは、約4時間の間遅延される。
B. 放出調節シクロスポリン組成物についてのその他の供給機構
本明細書で使用する場合、本発明は、それによって活性な薬剤が拍動またはゼロ次様に供給されうる種々のタイプの放出調節システムを含む。これらのシステムとしては、ポリマーマトリックス中に薬剤を有するフィルム(モノリチックデバイス);ポリマーによって含有される薬剤(溜めデバイス);溜めおよびマトリックスデバイスの形の高分子コロイド状の粒子またはミクロ封入物(ミクロ粒子、マイクロスフェアまたはナノ粒子);親水性および/または浸出可能な添加剤、例えば、第2のポリマー、界面活性剤または可塑剤等を含有するポリマーによって含まれる薬剤等が挙げられ、それらに限定されるものではないが、多孔質デバイス;または、薬剤放出が浸透圧的に“調節されうるデバイス(溜めおよびマトリックスデバイス);(適当なpHでイオン化および溶解する)腸コーチング;(共有結合的に)結合された“ペンダント”薬剤分子を有する(溶解性の)ポリマー;放出速度が劇的に調節されるデバイス、例えば、浸透圧ポンプを生ずる。
【0127】
本発明の供給機構は、薬剤の放出速度を調節するであろう。幾つかの機構は、一定速度(ゼロ次)で薬剤を放出するであろうが、その他は、例えば、濃度勾配または多孔性をもたらす添加剤浸出等の因子に依存し、時間の関数として変化するであろう。
【0128】
持続性放出コーチングに使用されるポリマーは、必ずや、生物学的相溶性であり、理想的には、生物分解性である。天然産のポリマーの例としては、例えば、AquacoatR(FMC Corporation,Food & Pharmaceutical Product Division,Philadelphia,USA)(サブミクロン寸法で、水性基体、擬ラテックス分散液に機械的に球形とされた(spheronised)エチルセルロース)が挙げられ;および、また、合成ポリマーの例としては、例えば、EudragitR(Rohm Pharma,Weiterstadt)ポリ(アクリレート,メタクリレート)コポリマーの範囲が当分野で公知である。
【0129】
1. 溜めデバイス
放出調節のための典型的なアプローチは、ポリマーフィルムまたは塗膜(すなわち、マイクロカプセルまたはスプレー/パン塗被された心)内の(例えば、心としての)薬剤全体を封入または含有させることである。
【0130】
拡散プロセスに影響を及ぼしうる種々の因子は、溜めデバイスに容易に適用することができ(例えば、添加剤の効果、ポリマー官能性{および、したがって、沈降溶液(sink-solution)のpH}、多孔度、フィルム注型条件等)、したがって、ポリマーの選択は、溜めデバイスの開発にて重要な考察を必要する。薬剤の輸送が溶液拡散機構による溜めデバイス(およびモノリチックデバイス)の放出特性をモデル化することは、したがって、典型的には、適切な境界条件についてのFickの第2法則(非定常状態条件;濃度依存性フラックス)に対する解決を含む。デバイスが溶解された活性剤を含む時、放出速度は、デバイスの減少内の作用物質の濃度(活性)(すなわち、放出のための推進力)として経時的に指数的に減少する(1次放出)。しかし、活性剤が飽和懸濁液中にある場合、放出のための推進力は、そのデバイスがもはや飽和されなくなるまで、一定に保たれる(ゼロ次)。あるいは、放出速度動力学は、脱着調節することができ、時間の平方ルートの関数である。
【0131】
塗被された錠剤の輸送特性は、浸透圧の内部構成を可能とする錠剤心の封入性(浸透)により、フリーポリマーフィルムと比較して高めることができ、これは、錠剤から浸出させるように作用するであろう。
【0132】
ポリ(エチレングリコール)(PEG)含有シリコーンエラストマー中塗被された塩含有錠剤に及ぼす脱イオン水の効果およびまたフリーフィルムに及ぼす水の効果も調べた。錠剤からの塩の放出は、コーチングの水和および浸透圧ポンプ輸送により形成される水充填された孔を介しても拡散混合物であることが見出された。ちょうど10%PEGを含有するフィルムを介してのKCl輸送は、同様のフリーフィルムにて観測される幅広い膨潤にもかかわらず、無視可能であり、KClの放出のためには、多孔度が必要であり、これは、“孔経由の拡散”によって生ずることを示す。円板形状の塗被された塩錠剤は、脱イオン水中で膨潤することが見られ、内部静水圧の増加の結果として形状を楕円形状に変化させることが見出され、形状における変化は、発生する“力”を測定するための手段を提供する。予想されるように、浸透力は、PEG含量のレベルを増大させると低下する。低いPEGレベルは、水和されたポリマーを介して水を吸い込ませ;高レベルのPEG含量(20〜40%)で溶解するコーチングにより生ずる多孔度は、KClの流れによって、その圧力を軽減させる。
【0133】
2つの異なる塩(例えば、KClおよびNaCl)の放出を(独立に)モニターすることにより、浸透圧ポンプ輸送および孔を経由する拡散の両方が錠剤からの塩の放出に寄与する相対的な大きさの計算を可能とする方法および式が開発された。低PEGレベルでは、浸透圧流が低い孔の数密度の発生により、孔を経由するよりも大きく増加される:20%の負荷では、両方の機構が放出にほぼ等しく寄与した。静水圧の増加は、しかし、浸透圧流入および浸透圧ポンプ輸送を減少させた。PEGのより高い負荷では、水和されたフィルムは、さらに多孔質となり、塩の流出に対する抵抗性を低くした。したがって、浸透圧ポンプ輸送が(より低い負荷と比較して)増加するが、孔経由の拡散が支配的な放出機構となった。浸透圧放出機構は、また、水溶性心含有マイクロカプセルについても報告されている。
【0134】
2. モノリチックデバイス(マトリックスデバイス)
モノリチック(マトリックス)デバイスは、恐らく、薬剤の放出を調節するための最も一般的なデバイスである。これは、恐らく、それらが溜めデバイスと比較して製造が比較的容易であり、溜めデバイスの膜の破壊により生ずる偶発的な高い投薬の危険がないからであろう。このようなデバイスにて、活性剤は、ポリマーマトリックス内に分散液として存在し、これらは、典型的には、ポリマー/薬剤混合物の圧縮によるかまたは溶解もしくは溶融によって形成される。モノリチックデバイスの投薬放出特性は、ポリマーマトリックス内の薬剤の溶解性;または、多孔質マトリックスの場合に、粒子の孔のネットワーク内の沈降溶液(sink solution)への溶解性;および、また、(フィルムの透過性よりもはるかに大きく)ネットワークの曲折に依存し、薬剤がポリマー中に分散されるかまたはポリマー中に溶解されるかどうかに依存する。薬剤の低負荷(0〜5%W/V)については、薬剤は、(孔の不在で)溶液拡散機構によって放出されるであろう。より高い負荷(5〜10%W/V)では、放出機構は、薬剤が失われるにつれデバイスの表面近くに形成されるキャビティの存在により複雑となるであろう:このようなキャビティは、薬剤の放出速度を増大させる環境からの流体で満たされる。
【0135】
透過性を高める手段としてマトリックスデバイス(および溜めデバイス)に、可塑剤(例えば、ポリ(エチレングリコール))もしくは界面活性剤またはアジュバント(すなわち、効能を増大させる成分)を添加させることが一般的である(対照的に、可塑剤は、一時的なものであり、フィルム形成を補助する役割を単に果たし、したがって、透過性を減少させるが、ポリマーペイントコーチングにて通常さらに望ましい特性)。PEGの浸出は、多孔度を増加させることによって負荷するPEGの機能として直線的に(エチルセルロース)フィルムの透過性を増加させるように作用するが、しかし、フィルムは、それらのバリヤー特性を維持し、電解質の輸送を許容しないことを強調しておく。それらの透過性の高まりは、PEG浸出によって生ずる厚みの効率的な減少の結果であることが推定される。これは、50%W/WのPEG負荷でのフィルムの厚さの逆数および時間の関数としての単位面積当りの累積永久流入のプロットから明らかとされた:プロットは、均質な膜内での(Fickian)溶液拡散タイプの輸送機構について予想されるように、透過速度とフィルム厚さの逆数との間の線形関係を示す。グラフの時間軸に対する線形領域の推定は、時間軸上にプラスの切片を与える:その大きさは、フィルム厚さの減少に伴って、ゼロに向かって減少する。これらの変化する遅滞時間は、実験の早期段階の間の2つの拡散流の発生に起因し(“薬剤”流およびまたPEG流);およびまた、フィルム中の浸透物の濃度が増加する間のより通常の遅滞時間に起因する。カフェインは、浸透物として使用する時、マイナスの遅滞時間を示した。この説明は、未だ明らかではないが、カフェインがシステム中で低い分配計数を示し、これがまた同様にマイナスの遅滞時間を示すポリエチレンフィルムを介してのアニリン透過の特徴であることを強調しておく。
【0136】
(疎水性)マトリックスデバイスについての添加される界面活性剤の効果は、研究されている。界面活性剤は、3つの可能な機構:(i)溶解度の増大;(ii)溶解媒体に対する“湿潤性”の増大;および、(iii)界面活性剤の浸出の結果としての孔形成によって薬剤放出速度を増大させることができると考えられる。研究されたシステム(ソルビトールにより可塑化されたEudragitRRL 100およびRS 100;薬剤としてのFlurbiprofenおよび界面活性剤の範囲)について、錠剤の湿潤性の改良は、薬剤放出の部分的な改良のみをもたらし(放出は、溶解というよりもむしろ調節された拡散であるみなされる)が、その効果は、EudragitRRLよりもEudragitRRSについて大きく、放出に及ぼす最大の効果は、マトリックス内に溶解媒体をアクセス可能とするマトリックス中の“破裂”の形成によりさらに溶解性となる界面活性剤によると結論付けられる。これは、ポリマーラテックスが界面活性剤なしとは反対に界面活性剤により調製されるその容易さにより、薬学的なコーチングに適したラテックスフィルムの研究に明らかに関連する。2つのポリマー間で差が認められ、EudragitRRSのみが、アニオン性/カチオン性界面活性剤および薬剤間の相互作用を示す。これは、ポリマーに及ぼす第4級アンモニウムイオン類のレベルが異なることに帰する。
【0137】
薬剤を含有しないポリマーに塗被されたポリマー/薬剤マトリックスからなる複合デバイスもまた存在する。このようなデバイスは、水性Eudragit Rラテックスより構成され、心からシェルを介する薬剤の拡散によりゼロ次の放出を生ずることが見出された。同様に、薬剤を含有するポリマー心が製造されているが、胃液により侵蝕されたシェルでこれを塗被した。薬剤の放出速度は、(シェルを介する拡散プロセスを制限する速度の関数が)比較的線形であることが見出されており、シェルの厚さに逆比例するのに対し、心のみからの放出は、経時的に減少することが見出されている。
【0138】
3. マイクロスフェア
スフェアのシェルに分散された薬剤を含む中空のマイクロスフェア(“マイクロバルーン”)を製造するための方法およびまた高度に多孔質のマトリックスタイプのマイクロスフェア(“マイクロスポンジ“)を記載する。マイクロスポンジは、薬剤およびポリマーをエタノールに溶解させることによって調製した。水以外に、高度に多孔質の粒子を残すためにエマルジョン液滴からエタノールを拡散させた。
【0139】
中空のマイクロスフェアは、薬剤およびポリマーを含有するエタノール/ジクロロメタンの溶液を調製することによって形成した。水に注ぐと、これは、それよりエタノール(ポリマーについて良好な溶剤)が迅速に拡散されるコアセルベーションタイプ(coacervation-type)のプロセスによって分散されたポリマー/薬剤/溶剤粒子を含有するエマルジョンを形成し、液滴の表面にポリマーを沈殿させて、ジクロロメタンに溶解された薬剤を封入するハードシェルド粒子を生ずる。この点で、ジクロロメタンのガス相が粒子内に生じ、これにより、シェルを介する拡散後、水相の表面にバブルするのが観測された。中空スフィアは、減圧で、ついで、水を充填され、これは、乾燥期間によって除去されうる。(薬剤は、水中に見られない)マイクロスフィアの示唆される使用は、胃にて使用されるフローティング薬剤供給デバイスであった。
【0140】
4. ペンデントデバイス
水性エマルジョン重合によって製造されるポリ(アクリレート)エステルラテックス粒子に対するエステル結合によりある範囲の薬剤、例えば、鎮痛剤および抗うつ剤を結合する手段が開発されている。これらのラテックスは、イオン交換樹脂を介して通過する時、ポリマー末端基がそれらの強酸形に変換され、エステル結合の加水分解により薬剤の放出を“自己触媒”することができる。
【0141】
薬剤は、ポリマーに結合され、また、モノマーは、結合されたペンデント薬剤で合成されている。リサーチグループは、また、薬剤が不安定な化学結合により生物学的相溶性ポリマーに結合されるそれら固有の剤形もまた製造しており、例えば、置換された無水物(それ自体、酸クロライドと薬剤との反応によって製造される:メトキシ安息香酸のナトリウム塩およびメタクリロイル)から製造されるポリ無水物は、加水分解の際に胃液で薬剤を放出する第2のポリマー(EudragitRRL)でマトリックスを形成するために使用される。薬学的アミン類の担体として使用するのに適した高分子Schiff塩基もまた説明されている。
【0142】
5. 腸フィルム
腸コーチングは、pH感応性ポリマーからなる。典型的には、ポリマーは、カルボキシル化され、低pHの水で非常に少なく相互作用(膨潤)するのに対し、高pHで、ポリマーは、イオン化され、膨潤を生ずるかまたはポリマーを溶解させる。コーチングは、したがって、胃の酸性環境にて無傷のままとなるように設計することができるが(この環境からの薬剤または薬剤からの胃のいずれかを保護する)、腸のさらにアルカリ性の環境で溶解するように設計される。
【0143】
6. 浸透圧調節デバイス
浸透圧ポンプは、溜めデバイスに類似しているが、周囲の媒体から半透膜を介して水を吸収する作用をする浸透圧作用剤(例えば、塩形の活性剤)を含有する。このようなデバイスは、“基本の浸透圧ポンプ”と称され、説明する。(溶質拡散を最小とするように設計された寸法を有し、浸透圧を低下させかつデバイス寸法(容積)を変化させる効果を有する静水圧の増加を防止する)オリフィスを介してデバイスから活性物質を押出すデバイス内に圧力を発生させる。他方、デバイスの内部容積は、一定のままであり、デバイス内に過剰の固形物(飽和された溶液)が存在するものの、放出速度は、一定のままであり、溶剤吸収の量に等しい量を供給する。
【0144】
7. 電気的に刺激される放出デバイス
モノリチックデバイスは、例えば、外部電気刺激が印加された時に、膨潤し、pHの変化を生ずるポリ電解質ゲルを使用し、製造される。放出は、電流により変調することができ拍動性の放出プロフィールを生ずる。
【0145】
8. ヒドロゲル
ヒドロゲルは、それらの薬剤マトリックスにおける使用以外に数多くの生物医学的用途にて使用が見られる(例えば、ソフトコンタクトレンズおよび種々の“ソフト”移植組織等)。
【0146】
C. 放出調節されたシクロスポリン組成物を使用する方法
本発明は、さらに、シクロスポリンのパルスもしくは2頂性またはゼロ次供給を生ずるためのシクロスポリンの固形経口剤形の治療学的に有効量を投与する工程を含むシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンを使用する、器官移植拒絶または自己免疫疾患、例えば、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他の関連疾患に罹患した患者を処置する方法を提供する。本発明の利点としては、拍動血漿プロフィールから誘導される利点をなお維持するかまたは“ピーク”対“トラフ”比をなくすかもしくは最小化しつつ、慣用的な多IR投薬レジームによって要求される投与頻度を減少させることが挙げられる。この投与頻度の減少は、患者のコンプライアンスに関して有益であり、少ない頻度で投与しうる製剤を有する。本発明の使用によって可能となる投薬頻度の減少は、薬剤の投与についてのヘルスケアワーカーによって費やされる時間の量を減少させることによってヘルスケアコストを低減させるのに寄与するであろう。
【0147】
以下の実施例にて、全てのパーセンテージは、特に断らない限り、重量%である。実施例を通して使用される“精製水”という用語は、水濾過システムを通過させることによって精製された水を指す。実施例は、例示する目的のみのためであることを理解するべきであり、本発明の特許請求の範囲の請求項によって定義される本発明の精神および範囲を制限すると解釈すべきではない。
【0148】
実施例1
シクロスポリンを含有する多粒子放出改良組成物
シクロスポリンを含有する即放性の成分および放出改良成分を含む本発明に従う多粒子放出改良組成物は、以下のように調製される。
【0149】
(a) 即放性成分
シクロスポリン(50:50ラセミ混合物)の溶液は、表1に示す製剤のいずれかに従い調製される。メチルフェニデート溶液を、ついで、ノンパレイルシード上に、例えば、Glatt GPCG3(Glatt,Protech Ltd.,Leicester,,UK)流動床塗布装置を使用して、ほぼ16.9%の固形物重量増のレベルに塗被して、即放性成分のIR粒子を形成する。
【0150】
【表5】

【0151】
(b) 放出改良成分
シクロスポリン含有遅延放出粒子は、表2に詳述する放出改良塗布溶液で上記実施例1(a)に従い調製される即放性粒子を塗被することによって調製される。例えば、流動床装置を使用し、ほぼ30%重量増までレベルを変化させつつ、即放性粒子を塗被する。
【0152】
【表6】

【0153】
(c) 即放性および遅延放出粒子の封入
例えば、Bosch GKF 4000S封入装置を使用し、上記実施例1(a)および(b)に従い調製した即放性および遅延放出粒子を寸法2硬質ゼラチンカプセルに合計20mg投薬強度となるまで封入する。20mgシクロスポリンの合計投薬強度を即放性成分から10mgおよび放出改良成分から10mg構成した。
【0154】
実施例2
シクロスポリンを含有する多粒子放出改良組成物
即放性成分と、放出改良マトリックス材料を有する放出改良成分とを有する本発明に従う多粒子放出改良シクロスポリン組成物を表3(a)および(b)に示す配合に従い調製する。
【0155】
【表7】

【0156】
【表8】

【0157】
当業者であれば、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の方法および組成物にて、種々の変更および変形をなしうることは明らかであろう。かくして、本発明は、特許請求の範囲の請求項およびそれらの等価体内に入る限り、本発明の変更および変形をカバーすることを意図する。
【0158】
また、当業者であれば、上記実施例のシクロスポリンの代わりに、ナノ粒子形のシクロスポリンを使用しうることは明らかであろう。さらに、放出改良粒子は、さらに、放出改良部分の頂部に塗被されるシクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの追加の層を含み、この追加の層は、シクロスポリンまたはナノ粒子シクロスポリンの即放を可能とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定なナノ粒子シクロスポリン組成物であって、
(a) シクロスポリン粒子;および、
(b) その表面と会合した少なくとも1つの界面安定剤;
を含み、
シクロスポリン粒子が、有効平均粒子寸法約2000nm未満の径を有する組成物。
【請求項2】
前記ナノ粒子シクロスポリン粒子が、結晶質相、非晶質相、半結晶質層、半非晶質相およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が、経口錠剤、カプセル、サッシェ、溶液、分散液およびそれらの混合物からなる群より選択される形で投与するために製剤される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が、さらに、1種以上の薬学的に許容可能な賦形剤、担体またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
シクロスポリンが、その他の賦形剤を除き、シクロスポリンおよび少なくとも1つの界面安定剤の合計組み合わせ重量基準で、約99.5〜約0.001重量%からなる量存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの界面安定剤が、その他の賦形剤を除き、シクロスポリンおよび少なくとも1つの界面安定剤の合計組み合わせ乾燥重量基準で、約0.5〜約99.999重量%の量存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
界面安定剤が、アニオン性界面安定剤、カチオン性界面安定剤、双性イオン界面安定剤およびイオン性界面安定剤からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(a) 約50〜約500g/kgのシクロスポリン;
(b) 約10〜約70g/kgのヒプロメロース;
(c) 約1〜約10g/kgのドクセートナトリウム;
(d) 約100〜約500g/kgのサッカロース;
(e) 約1〜約40g/kgのラウリル硫酸ナトリウム;
(f) 約50〜約400g/kgのラクトース1水和物;
(g) 約50〜約300g/kgのケイ酸化した微結晶質セルロース;
(h) 約20〜約300g/kgのクロスポビドン;および、
(i) 約0.5〜約5g/kgのステアリン酸マグネシウム;
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
さらに、コーチング剤を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
以下の成分:
(a) 約100〜約300g/kgのシクロスポリン;
(b) 約30〜約50g/kgのヒプロメロース;
(c) 約0.5〜約10g/kgのドクセートナトリウム;
(d) 約100〜約300g/kgのサッカロース;
(e) 約1〜約30g/kgのラウリル硫酸ナトリウム;
(f) 約100〜約300g/kgのラクトース1水和物;
(g) 約50〜約200g/kgのケイ酸化した微結晶質セルロース;
(h) 約50〜約200g/kgのクロスポビドン;および、
(i) 約0.5〜約5g/kgのステアリン酸マグネシウム;
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
さらに、コーチング剤を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
液体分散液;ゲル;エアロゾル;軟膏;クリーム;放出調節製剤;即溶融製剤;凍結乾燥製剤;錠剤;カプセル;放出遅延製剤;放出延長製剤;放出拍動製剤;および、混合即放出および放出調節製剤からなる群より選択される剤形に製剤された、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
さらにまた、乾癬、慢性関節リウマチおよびその他の関連疾患のような自己免疫疾患および器官移植拒絶の予防または治療のために有用な1種以上の活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記1種以上の活性剤が、コルチコステロイド、アンスラリン、カルシポトリエン、コールタール、シアル酸、ステロイド、タザロテン、メトトレキセート、経口レチノイド、非ステロイド系抗炎症剤、アズルフィジン、コルチコステロイド、金およびヒドロキシコロキンからなる群より選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
ナノ粒子シクロスポリンを製造する方法であって、有効平均粒子寸法約2000nm未満の径を有するナノ粒子シクロスポリン組成物を生じさせるために十分な条件下、ある一定時間、シクロスポリン粒子を少なくとも1つの界面安定剤と接触させる工程を含む方法。
【請求項16】
前記接触が、
(a) シクロスポリン粒子を溶剤に溶解させ;
(b) それに、少なくとも1つの界面安定剤を加え;
(c) 非溶剤を添加することにより、その上に吸着された少なくとも1つの前記安定剤とともに可溶化されたシクロスポリンを沈殿させる;
各工程を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
器官移植拒絶および自己免疫疾患を予防および/または治療する方法であって、シクロスポリン粒子と、その表面に会合した少なくとも1つの界面安定剤を含む安定なナノ粒子シクロスポリン組成物とを投与する工程を含み、前記粒子が、有効粒子寸法約2000nm未満の径を有する方法。
【請求項18】
(A) それよりシクロスポリンの即または遅延即放出を許容するシクロスポリン含有粒子の第1の個体群;および、 (B) それよりシクロスポリンの放出改良を許容するシクロスポリン含有粒子の少なくとも1つの続く個体群を含み、その組成物が、経口投与に続きシクロスポリンの拍動様供給を許容する放出調節された組成物。
【請求項19】
前記放出改良が、放出改良コーチング、放出改良マトリックス材料またはそれらの両方を使用して達成される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
含まれる活性成分の量が、約0.1mg〜約1gである、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
組成物が硬質ゼラチンまたは軟質ゼラチンカプセルに内包される、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
器官移植拒絶および自己免疫疾患を予防および/または治療するための方法であって、請求項18に記載の治療学的に有効量の組成物を患者に投与する工程を含む方法。
【請求項23】
(A) それよりシクロスポリンの放出改良を許容するシクロスポリン含有粒子;および、 (B) シクロスポリンの即放出を許容する前記粒子の頂部に塗被されたシクロスポリン層を含む組成物。
【請求項24】
前記シクロスポリンの放出改良を許容する、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記放出改良が、放出改良コーチング、放出改良マトリックス材料またはそれらの両方を使用して達成される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、即放性の粒子を含む、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−535921(P2008−535921A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506629(P2008−506629)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/013631
【国際公開番号】WO2006/110802
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507250508)エラン・ファルマ・インターナショナル・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】